JPH0549178U - プラズマ切断機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プラズマ切断機に係わり、特には、プラズマ
による切断、マーキング、ポンチングを一本のトーチに
より行うプラズマ切断機の改良に関する。 【構成】 プラズマガスとして酸素あるいは酸素を含む
ガスまたは窒素を使用し、移行アーク形トーチにより金
属板を切断するプラズマ切断機において、プラズマガス
として切断用ガス（Ｏ2 又はＡｉｒ又はＮ2 ）とマーキ
ング・ポンチング用ガス（ＡｒまたはＡｒ＋Ｈ2 ）とを
適宜切り換えて、切断およびマーキングおよびポンチン
グのいずれ、あるいは、切断とマーキングまたあるいは
切断とポンチングのいずれでも１本の移行アーク形トー
チにより行う。 【効果】 切断とポンチング又は切断とマーキングは同
一のトーチで行えるため、用途別トーチを２本持つタイ
プのような取付時、使用時の煩わしさおよび用途別トー
チ間の距離測定、使用時のトーチ間の位置ズレが無くワ
ークの外形寸法に対して、ポンチング（又はマーキン
グ）位置の狂いが無くなり、装置が簡単になるとともに
精度が向上する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本発明は、プラズマ切断機に係わり、特には、プラズマによる切断、マーキン グ、ポンチングを一本のトーチにより行うプラズマ切断機の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の技術において、特開昭６３−１２００４５に示すように、プラズマ切断 及びマーキングあるいはポンチングの両方を実施する場合には、切断用のプラズ マトーチとマーキング・ポンチング用のペンあるいはガス炎による焼き付け用ガ ストーチ等を切断台車に並べて搭載している。 また、従来ポンチング作業は次の方法が実用化されている。 1) 切断前の材料に対し穴明け位置や位置合わせのために図面や型紙によって ケガキを行い、その後にポンチ作業を行っている。 2) 加工機に切断用トーチ、およびガス式マーキング用トーチを一定の距離を 隔てて搭載し、ＮＣのデータをその量だけシフトし、マーキング用トーチにてポ ンチする位置をけがいている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、特開昭６３−１２００４５では、切断用のプラズマトーチ以外 にマーキング・ポンチング用のペンあるいはガストーチを用意しなければならず 、装置が複雑になる。また、切断する時、切断寸法に対してマーキングあるいは ポンチの寸法精度が良いことが要求されているが、切断とマーキングあるいはポ ンチが別々のトーチで行われるために、それぞれのトーチの取り付け精度によっ ては、切断寸法とマーキングポンチの位置にズレが生じ、切断製品の寸法精度が 悪くなるという問題がある。 また、従来のポンチング作業は、 1)においては、作業が２工程に分割されているため、誤差が生じやすく、また 、その前後に要する工数も大きなものとなる。さらに、現在ではＣＡＤでのプロ グラミングが主流となってきており、型紙等をプロッタ、または、手で切るため に型紙の温度等による伸縮、マーキング時の誤差および工数が、ともに大きくな りマーキングあるいはポンチングから切断までの自動化が望まれている。 2)においては、1)項の要望により、マーキングトーチ併設によるＮＣ自動切断 方法が実用化されたが、切断トーチとマーキングトーチは同一化することが出来 ずに並べ設置され、その間隔を正確に調整測定し、ＮＣデータシフト量として入 力、補正する必要があり、トーチのメンテナンス等で間隔が狂いやすく、また、 間隔の正確な測定も容易では無いため、製品誤差が大きくなるという問題が生ず る。 本発明は上記問題に着目し、プラズマ切断機に係わり、特には、プラズマによ る切断、マーキング、ポンチングを一本のトーチにより行うプラズマ切断機の改 良を目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するためには、本発明に係わる第１の発明では、プラズマガス として酸素あるいは酸素を含むガスまたは窒素を使用し、移行アーク形トーチに より金属板を切断するプラズマ切断機において、プラズマガスとして切断用ガス （Ｏ2 又はＡｉｒ又はＮ2 ）とマーキング・ポンチング用ガス（ＡｒまたはＡｒ ＋Ｈ2 ）とを適宜切り換えて、切断およびマーキングおよびポンチングのいずれ 、またあるいは、切断とマーキングあるいは切断とポンチングのいずれでも１本 の移行アーク形トーチにより行う。

【０００５】 また、第２の発明では、プラズマガスとして酸素あるいは酸素を含むガスまた は窒素を使用し、移行アーク形トーチにより金属板を切断するプラズマ切断機に おいて、切断時およびマーキング時あるいは／およびポンチング時に電流値をプ ラズマ電源で適宜切り換え、１本の移行アーク形トーチにより切断およびマーキ ングあるいは／およびポンチングを行う。

【０００６】 また 、第１の発明を主体とする第３の発明では、プラズマガスとして切断用 ガス（Ｏ2 又はＡｉｒ又はＮ2 ）とマーキング・ポンチング用ガス（Ａｒまたは Ａｒ＋Ｈ2 ）とを電磁切換弁により適宜切り換える。

【０００７】 さらに、第２の発明を主体とする第４の発明では、切断用および、マーキング 用あるいは／およびポンチング用として別々に電流設定が可能で、切断および、 マーキングあるいは／およびポンチングに際してはそれぞれの電流設定値に切り 替える。

【０００８】 第１あるいは第２の発明を主体とする第５の発明では、ポンチングを行う際に メインアーク発生後、所定時間経過するとアークが停止する。

【０００９】 第６の発明では、プラズマガスとして酸素あるいは酸素を含むガスまたは窒素 を使用し、１本の移行アーク形トーチにより金属板を切断するプラズマ切断機に おいて、ガスの切り換えに際してガス切り換え部からトーチまでのガス配管内に 残るガスの置換を行うための所要時間のガスパージを制御装置により行う。

【００１０】

【作用】

上記構成によれば、同一のトーチにて切断とポンチングまたは切断とマーキン グ作業が行えるため、切断時とポンチング時または切断時とマーキング時の基準 が一致するので製品精度が向上するとともに、従来方法で掛かっていた工数が大 幅に低減できる。また、本考案ではトーチ、プラズマ電源等の装置をそのまま使 用し、プラズマ電流値が所定の値を越えた時点から所定時間後に制御装置により プラズマ電流をＯＦＦとすることによりポンチ状凹部跡を付けることができる。

【００１１】

【実施例】

以下に、本発明のプラズマ切断機の実施例につき、図面を参照して詳細に説明 する。図１は本発明の第１実施例のプラズマ切断機の概略を示す全体構成断面図 である。図１において、移行プラズマアークを生ずる移行アーク形トーチ１（以 下、プラズマトーチ１という。）は被切断材２に平行な平面であるＸ軸方向、Ｙ 軸方向および被切断材２に接近・離反するＺ軸方向に作動する駆動装置３に保持 されている。駆動装置３の作動は被切断材２の形状に合わせて入力装置４より入 力された所定の形状寸法に合わせ、制御装置５により制御されて作動する。被切 断材２は支持台６上に乗せられた後に、所定位置を固定され支持される。

【００１２】 プラズマトーチ１には、プラズマ電源７よりそれぞれ被切断材２を切断するに 適する電流が制御装置５からの指令により送られる。プラズマ電源７より適宜な 電流値が出力されるように、制御装置５からの指令値は入力装置４から入力され る。また、プラズマトーチ１には、ガス切り換え装置８を介して、切断用ガスボ ンベ装置９およびマーキング・ポンチング用ガスボンベ装置１０に接続されてい る。なお、このとき、マーキング・ポンチング用ガスボンベ装置１０はそれぞれ マーキング用ガスボンベ装置１０ａとポンチング用ガスボンベ装置１０ｂの装置 に分けて設けても良い。

【００１３】 切断用ガスボンベ装置９には、切断用ガスとして、例えば、Ｏ2 又はＡｉｒ又 はＮ2 が収納されている。マーキング・ポチング用ガスボンベ装置１０には、マ ーキング・ポチングガスとして、例えば、ＡｒまたはＡｒ＋Ｈ2 が収納されてい る。

【００１４】 ガス切り換え装置８は、後述するように切断用ガスとマーキング・ポチング用 ガスとを適宜切り換える機構を有し、切断及びマーキングあるいは／およびポン チング（以下マーキング・ポンチングと記す。）に際してはそれぞれに適したガ スにするためガスの切り換えを行うとともに、切り換え時にガスのパージを行う 。さらに、制御装置５はプラズマ起動時の電流値、立ち上がり時間等の制御、あ るいは、プラズマアークに流す出力電流の設定値を切断とマーキングポンチング で切り換え可能な機能を有する。さらにまた、制御装置５にはプラズマ電源７の 発する電流のプラズマ電流値のモニター２０が装着されている。また、制御装置 ５には上記のプラズマ起動時の電流値等を入力する入力装置４が付いている。

【００１５】 ガス切り換え装置８は、一例として、図２に示すような電磁切換弁１１が用い られており、入力ポート１１ａは切断用ガスボンベ装置９に、他の入力ポート１ １ｂはマーキング・ポチング用ガスボンベ装置１０に、出力ポート１１ｃは流量 制御弁１２を介してプラズマトーチ１に、各々接続されている。

【００１６】 また、他の一例として、図３に示すような電磁切換弁１５を用いて、入力ポー ト１５ａは切断用ガスボンベ装置９に、他の入力ポート１５ｂはマーキング・ポ チング用ガスボンベ装置１０に、出力ポート１５ｃは流量制御弁１２、フイルタ −１２ａを介してプラズマトーチ１に、さらに、中立入力ポート１５ｄは切り換 え時にガスをパージする空気を発生する圧縮機１６に、各々接続されている。

【００１７】 上記構成において、次に作動を説明する。まず、マーキング、ポンチングに際 して、制御装置５よりガス切換信号がガス切り換え装置８に入力され、電磁切換 弁１１および流量制御弁１２等が作動し、マーキング・ポチング用ガスがプラズ マトーチ１に所定の流量供給される。このとき、トーチ１内に残るガスを全て置 換するために所定時間ガスパージを行う。

【００１８】 次に、制御装置５からの指令によりプラズマ電源７が動作を開始し、プラズマ アークが発生する。この時の出力電流値はマーキング・ポンチングに適した電流 値になるように制御装置５からプラズマ電源７に信号が送られる。その後、プロ グラムに従い制御装置５の指令により駆動装置３が作動し、被切断材２の所定位 置にプラズマトーチ１のアークによりマーキング・ポンチングが実施される。

【００１９】 マーキング・ポンチング終了後に、制御装置５よりガス切換信号がガス切り換 え装置８に入力され、電磁切換弁１１および流量制御弁１２等が作動し、入力ポ ート１１ａと出力ポート１１ｃとが接続されて、ガスを切断用ガスのＯ2 又はＡ ｉｒ又はＮ2 に切り換え、そしてガスパージを行なう。ガスパージを行った後に 、制御装置５により電流設定を切断用に切り換え、被切断材２の所定位置をプラ ズマトーチ１のアークにより切断を行う。

【００２０】 図４は、ポンチングの一例を示し、プラズマ電源をＯＮ下後に、材料による設 定レベル、電流値等による所定時間Ｔａ後に、所定レベルに電流値が達したとき からＴ時間後に、例えば、２ｓｅｃ後にプラズマ電流をＯＦＦとすることにより 、簡単に切断線（製品外形）に対して、ポンチ状凹部跡を付けることができる。

【００２１】 図５にマーキング・ポンチングおよび外周切断したサンプル材の写真を示し、 表１にそれぞれの条件を示す。

【００２２】

【表１】 ＋−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−＋ ｜ 切断およびマーキング・ポンチングの条件 ｜ ＋−−−−−−−−＋−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−＋ ｜ サンプル材 ｜ 軟鋼（ＳＰＣ） 板厚 ２．３ｍｍ ｜ ｜ ｜ ｜ ｜ ノズル径 ｜ Φ０．６ｍｍ ｜ ＋−−−−−＋−−＋−＋−−−−＋−−−−−−−＋−−−−−−−−−＋ ｜ ｜ガス ｜電流 ｜ 速度 ｜ 備 考 ｜ ｜ ｜ ｜ （Ａ）｜（ｍ／ｍｉｎ）｜ ｜ ＋−−−−−＋−−−−＋−−−−＋−−−−−−−＋−−−−−−−−−＋ ｜マーキング｜アルゴン｜ ３ ｜ ３ ｜ −− ｜ ＋−−−−−＋−−−−＋−−−−＋−−−−−−−＋−−−−−−−−−＋ ｜ポンチング｜アルゴン｜ ６ ｜ −− ｜アーク保持時間 ｜ ｜ ｜ ｜ ｜ ｜ １秒 ｜ ＋−−−−−＋−−−−＋−−−−＋−−−−−−−＋−−−−−−−−−＋ ｜切断 ｜酸素 ｜ ２７ ｜ １．２ ｜外周切断 ｜ ＋−−−−−＋−−−−＋−−−−＋−−−−−−−＋−−−−−−−−−＋

【００２３】 上記実施例の図５ではマーキングが明確になるように複雑な形状を描き、切 断は外周を四角に切断しただけであるが、実際の型切断の作業においては、製 品の形状により、もっと複雑な切断が行われる。

【００２４】

【考案の効果】

以上説明したように、本発明によれば、切断とポンチング又は切断とマーキ ングは同一のトーチで行えるため、用途別トーチを２本持つタイプのような取 付時、使用時の煩わしさおよび用途別トーチ間の距離測定、使用時のトーチ間 の位置ズレが無くワークの外形寸法に対して、ポンチング（又はマーキング） 位置の狂いが無くなり、装置が簡単になるとともに精度が向上するという優れ た効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のプラズマ切断機の１実施例を示す全体
構成図。

【図２】本発明のプラズマ切断機のガス切換装置の一実
施例を示す図。

【図３】本発明のプラズマ切断機のガス切換装置の他の
一実施例を示す図。

【図４】本発明のプラズマ切断機のポンチングの時間と
電流の関係を示す図。

【図５】本発明のプラズマ切断機のポンチングの跡を示
す金属表面の写真。

【図６】本発明の図５の要部拡大写真。

【符号の説明】

１ プラズマトーチ ２ 被切断材 ３ 駆動装置 ４ 入力装置 ５ 制御装置 ７ プラズマ電源 ８ ガス切り換え装置 ９ 切断用ガスボンベ装置 １０ マーキング・ポンチング用ガスボンベ装置 １１、１５ 電磁切換弁

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 プラズマガスとして酸素あるいは酸素を
   含むガスまたは窒素を使用し、移行アーク形トーチによ
   り金属板を切断するプラズマ切断機において、プラズマ
   ガスとして切断用ガス（Ｏ2 又はＡｉｒ又はＮ2 ）とマ
   ーキング・ポンチング用ガス（ＡｒまたはＡｒ＋Ｈ2 ）
   とを適宜切り換えて、切断およびマーキングおよびポン
   チングのいずれ、あるいは、切断とマーキングまたある
   いは切断とポンチングのいずれでも１本の移行アーク形
   トーチにより行うことを特徴とするプラズマ切断機。
2. 【請求項２】 プラズマガスとして酸素あるいは酸素を
   含むガスまたは窒素を使用し、移行アーク形トーチによ
   り金属板を切断するプラズマ切断機において、切断時お
   よびマーキング時あるいは／およびポンチング時に電流
   値をプラズマ電源で適宜切り換え、１本の移行アーク形
   トーチにより切断およびマーキングあるいは／およびポ
   ンチングを行うことを特徴とするプラズマ切断機。
3. 【請求項３】 請求項１において、プラズマガスとして
   切断用ガス（Ｏ2 又はＡｉｒ又はＮ2 ）とマーキング・
   ポンチング用ガス（ＡｒまたはＡｒ＋Ｈ2 ）とを電磁切
   換弁により適宜切り換えることを特徴とするプラズマ切
   断機。
4. 【請求項４】 請求項２において、切断用および、マー
   キング用あるいは／およびポンチング用として別々に電
   流設定が可能で、切断および、マーキングあるいは／お
   よびポンチングに際してはそれぞれの電流設定値に切り
   替えることを特徴とするプラズマ切断機。
5. 【請求項５】 請求項１あるいは請求項２において、ポ
   ンチングを行う際にメインアーク発生後、所定時間経過
   するとアークが停止することを特徴とするプラズマ切断
   機。
6. 【請求項６】 プラズマガスとして酸素あるいは酸素を
   含むガスまたは窒素を使用し、１本の移行アーク形トー
   チにより金属板を切断するプラズマ切断機において、ガ
   スの切り換えに際してガス切り換え部からトーチまでの
   ガス配管内に残るガスの置換を行うための所要時間のガ
   スパージを制御装置により行うことを特徴とするプラズ
   マ切断機の操作方法。