JPH054771B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は電子管の直熱型陰極構体、更に詳しく
はビユーフアインダ用ブラウン管などの陰極線管
に使用されるリボン状カソードヒータの熱膨張吸
収機構に関する。

従来の技術 速動形のカソードとしてエミツタ物質をヒータ
で直接加熱する直熱型カゾードが一般的に用いら
れている。この直熱型カソードの従来例を第３図
乃至第８図に基づいて説明すると、１は有底筒状
の第１グリツド電極２内に収納された直熱型カソ
ード、３は第１グリツド電極２内に直熱型カソー
ド１を固着するリテーナーである。該直熱型カソ
ード１はセラミツク等の耐熱性絶縁材料から形成
されたインシユレータ４の、インシユレータ４に
固定された２本のリード５，５と、リード５，５
の固定されて上方に延びる２本のバネ状支持部材
６，６と、上面中央部にメタルベース７を介して
エミツタ物質、８を被覆したリボン状のヒータ９
とで構成される。

インシユレータ４は第１グリツド電極２内に嵌
着される基板部１０と、基板部１０の上面中央部
分から突設した円筒状の端壁部１１、および基板
部１０の上面両端部に突設したスペーサ部１２，
１２とで構成される。基板部１０の端壁部１１の
外周に沿う直径方向の２箇所には板厚方向に貫通
孔１３，１３が形成され、この貫通孔１３，１３
の内面にリード５，５の上端部が固定され、リー
ド５，５の上端部にバネ状支持部材６，６の下端
部が固定されて上方に延び、バネ状支持部材６，
６の上端部にヒータ９の両端部が溶接され、ヒー
タ９は端壁部１１の上端面に直径方向に跨がり所
定の張力作用下に架橋張設される。このカソード
１は第１グリツプ電極２内にインシユレータ４の
スペーサ部１２，１２が第１グリツド電極２の天
面に当たる位置まで挿入され、リテーナ３を介し
てエミツタ物質８と第１グリツド電極２の天面と
のGK間隔ｇを一定に保つて固定される。

考案が解決しようとする問題点 ところで、ヒータ９として第５図に二点鎖線で
示す直線状の耐熱合金製リボンを曲げて使用する
場合と、第６図に二点鎖線で示す両端部を予め折
曲加工した耐熱合金製リボンを使用する場合があ
る。ところがインシユレータ４の端壁部１１の上
端面は外周エツジが面取りされた平坦面であるた
め次の問題があつた。

即ち、第５図に示す場合には、ヒータ９はその
剛性のため実線で示すように端壁部１１の対向す
る部分１１ａ，１１ａ上に２点接触して上に湾曲
した状態で張設される。そのため組立時のGK間
隔ｇがバラツキ易く、またヒータ９は通電による
加熱で膨張し通電停止で冷却して収縮するが、こ
の膨張収縮の影響がヒータ９中央部に直接的に現
れてGK間隔ｇが小さくなり、最悪の場合には
GKシヨートを招くことがあつた。更にヒータ９
の膨張収縮に起因する変形でテンシヨンが弱くな
り、外部衝撃力が加わつた時ヒータ９が板厚方向
に振動してGK間隔ｇが変動し、ノイズが発生し
たり高度変動が生じたりすることがあつた。この
ようなトラブルはエミツタ物質８を活性化する工
程でヒータ９を900℃前後の高温に加熱する場合
にも多発していた。

第６図に示す場合は端壁部１１の外側エツジ部
分１４ａ，１４ｂ間の長さｌと同一の長さにヒー
タ９の両端部を折曲げたもので、この折曲点P₁，
P₂を第６図に実線で示すように上記エツジ部分
１４ａ，１４ｂに接触させた状態でヒータ９を張
設するとヒータ９の中央部はほぼ直線状になり、
これにより組立時のGK間隔ｇが略一定になり、
また折曲点P₁，P₂がエツジ部分１４ａ，１４ｂ
に当接することによりヒータ９の安定性が増す。
ところが第６図に実線で示す張設形態は理想的な
もので、実際には第７図に示すようにヒータ９の
折曲点P₁，P₂が端壁部１１の対応するエツジ部
分１４ａ，１４ｂから少しずれてヒータ９の張設
が行われる場合が多く、このような張設形態をと
る場合にはヒータ９の折曲点P₁，P₂のいずれか
一方が端壁部１１上に乗り上げてヒータ中央部が
傾いたり折曲点P₁，P₂がエツジ部分１４ａ，１
４ｂから外れる等のトラブルが発生し、第５図に
示す場合と同様に問題を生じていた。

このような問題を解決するために第８図に示す
ようにヒータ９の折曲点P₁，P₂間の間隔をエツ
ジ部分１４ａ，１４ｂ間の間隔ｌより大きくし
て、ヒータ９が多少位置ずれを起しても折曲点
P₁，P₂の内側の直線部分が端壁部１１上に傾く
ことなく張設されるようにすることが考えられる
が、折曲点P₁，P₂がエツジ部分１４ａ，１４ｂ
から外れるヒータ９の安定性が低下し、上記問題
の解決策としては未だ不十分であつた。更に上記
直熱型陰極構体於いては、インシユレータ４の円
筒状端壁部１１の上端でリボン状ヒータ９を当接
支持しているため、通電時に該当接支持点から熱
が放散しリボン状ヒータ９の温度が低下してしま
うという問題点も見受けられている。

本発明の主要の目的は、上記の問題点を解消
し、リボン状ヒータに常時水平な張設形態を維持
せしめ、且つGK間隔の変動を抑制した直熱型陰
極構体を提供することにある。

問題点を解決するための手段 斯かる目的に鑑みて本発明は、中央にエミツタ
物質を被着したリボン状ヒータをインシユレータ
上に張設支持するものに於いて、前記リボン状ヒ
ータは、その基端部を補助スプリングに固着する
と共に、この基端部から所定距離だけ内側に位置
する折曲げ点を有し、この折曲げ点をバネ弾性を
有する可動部材の支持体により支持したことを要
旨とする。

作 用 リボン状ヒータの張設支持体をバネ弾性を有す
る可動部材から形成することによつて、リボン状
ヒータの熱膨張に該可動部材を自動的に追随させ
る。斯くしてリボン状ヒータはその熱膨張量の如
何に拘らず常に水平な張設形態を維持し、GK間
隔の変動しない直熱型陰極構体を構成する。

実施例 第１図は本発明に係る直熱型陰極構体を例示す
る斜視図であり、第２図Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄはリボン
状ヒータを張設支持する弾性可動部材の正面図で
ある。これらの図面に見られるようにセラミツク
製のインシユレータ２０の上方には、中央部にエ
ミツタ物質２１を被着したリボン状ヒータ２２が
第１グリツド電極（図示省略）と対向状態で配設
されている。図示する実施態様に於いては、リボ
ン状ヒータ２２はその基端部２２ａ，２２ａから
所定距離だけ内側に位置する折曲げ点２２ｂ，２
２ｂをインシユレータ２０の側壁部２０ａに固着
されたバネ弾性を有する可動部材２３の一例であ
るセラミツク製板バネの上端縁２３ａ，２３ａに
よつて当接支持されることによつて、略水平な両
端支持梁状の支持形態を与えられている。該可動
部材２３，２３としては例えば幅0.7mm、板厚
0.13mm、全長4.3mmのジルコニア磁器製板バネを
使用することができる。前記リボン状ヒータ２２
は折曲げ点２２ｂ，２２ｂから斜め下方に向かつ
て延びた後、延設方向を変換して水平方向に延
び、その基端部２２ａ，２２ａをインシユレータ
２０の側壁部に固着された接続リード２４，２４
と一体構造をなす熱膨張吸収用の補助スプリング
２５，２５の上端２５ａ，２５ａに接続してい
る。尚、以上の説明に於いては、セラミツク製板
バネから形成されたバネ弾性を有する可動部材を
２３を使用した実施態様が説明されているが、該
可動部材を絶縁された基端部、即ちインシユレー
タ本体に対する固着部位を有する金属製板バネか
ら形成することも可能である。特に金属バネ部材
にセラミツク材をコーテイングして形成した可動
部材が好ましく、セラミツクコーテイングにより
熱的絶縁が図られる。

以下、第２図に基づいて可動部材２３，２３に
よるリボン状ヒータ２２の張設支持要領を説明す
る。まず第２図Ａに示すように基端部２３ｂ，２
３ｂをインシユレータ２０の側壁部２０ａに固着
したときの可動部材２３，２３の上端縁２３ａ，
２３ａ間の対向間隔をl₀に設定した後、第２図Ｂ
に示すように押圧部材２６，２６によつて可動部
材２３，２３を内側方向に押圧し前記対向間隔を
l₁に変化させる。この状態で可動部材２３，２３
の上端縁２３ａ，２３ａにリボン状ヒータ２２を
被着し、押圧部材２６，２６による押圧付勢状態
を解除する。この結果、第２図Ｃに見られるよう
に可動部材２３，２３が離間方向に相対移動し、
前記上端縁２３ａ，２３ａの外端をリボン状ヒー
タ２２を折曲げ点２２ｂ，２２ｂに当接させる。
このときの可動部材２３，２３の対向間隔をl₂で
表示する。この状態でリボン状ヒータ２２に通電
すると、該リボン状ヒータは熱膨張し可動部材２
３，２３の上端の対向間隔も第２図Ｄに示すよう
にl₂からl₃に変化させる。リボン状ヒータの熱膨
張が最大になつた場合に於いても可動部材２３，
２３の上端縁２３ａ，２３ａの外端とリボン状ヒ
ータ２２の折曲げ点２２ｂ，２２ｂは当接位置が
完全に一致しており、また可動部材２３，２３は
２乃至３グラム程度のバツクテンシヨンが働く曲
げ応力残存状態に維持されている。より具体的に
例示すれば、前記可動部材２３，２３の上端縁の
対向間隔l₀，l₁，l₂およびl₃は下記の如く設定され
ている。

l₀−（100〜200μｍ）＝l₁ − l₀−（70〜150μｍ）＝l₂ − l₀−（70〜40μｍ）＝l₃ − 上記関係式が成立するように可動部材２
３，２３に働く曲げ応力の水準を調節することに
よつて、リボン状ヒータ２２の熱膨張に可動部材
２３，２３が自動的に追随する。

発明の効果 以上の説明から理解されるように、基端部から
所定寸法だけ内側に位置する折曲げ点を有するリ
ボン状ヒータの折曲点を支持する張設支持体を在
来の固定支持体に代わるバネ弾性を有する可動部
材から形成することによつて、リボン状ヒータの
熱膨張に可動部材が一定の当接支持点を維持して
追随する。斯くしてリボン状ヒータはその熱膨張
量の如何に拘らず常に水平な張設形態を維持し、
GK間隔が変動せず輝度変化や横縞ノイズの発生
防止機能を向上せしめた直熱型陰極構体を構成す
る。更に本発明は可動部材の熱抵抗特性を向上せ
しめることによつて、リボン状ヒータの支点から
熱の放散を抑制し、リボン状ヒータの温度低下を
効果的に回避する。従つて本発明は、直熱型陰極
構線管の性能の安定手段として、在来装置の水準
を大幅に上廻る効果を発揮し得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る直熱型陰極構体を例示す
る斜視図であり、第２図Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄはリボン
状ヒータを張設支持する弾性可動部材の正面図で
ある。また第３図乃至第８図は在来の直熱型陰極
構体に於けるリボン状ヒータの支持状態の説明図
である。 ２０……インシユレータ、２１……エミツタ物
質、２２……リボン状ヒータ、２３，２３……バ
ネ弾性を有する可動部材（張設支持体）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 中央部にエミツタ物質を被着したリボン状ヒ
   ータをインシユレータ上に張設支持するものにお
   いて 前記リボン状ヒータは、その基端部を補助スプ
   リングに固着すると共に、この基端部から所定距
   離だけ内側に位置する折曲げ点を有し、この折曲
   げ点をバネ弾性を有する可動部材の支持体により
   支持したことを特徴とする直熱型陰極構体。 ２ 前記可動部材は、その基端部をインシユレー
   タ本体に固着されたセラミツク製板バネである特
   許請求の範囲第１項に記載の直熱型陰極構体。 ３ 前記可動部材は、その絶縁された基端部をイ
   ンシユレータ本体に固着された金属製板バネであ
   る特許請求の範囲第１項記載の直熱型陰極構体。