JPH0547624U - 密封装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 断面略Ｕ字形の合成樹脂製の摺動リング２の
へたりによる密封性および耐久性の低下を防止し、また
蓄圧を逃がす。 【構成】 摺動リング２の内部にゴム状弾性材製の内挿
リング７を配置し、摺動リング２にへたりが生じたとき
に該摺動リング２を内挿リング７でバックアップする。
また摺動リング２の軸方向の壁部４に連通孔６を設け、
内挿リング７の内周面または外周面に切欠８，９を設
け、この連通孔６と切欠８，９を介して蓄圧を圧力側へ
逃がす。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、密封装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来から、図４に示すように、断面略Ｕ字形を呈し、軸方向一端側を開放した 合成樹脂製の摺動リング単体よりなる密封装置１１が知られている。 この密封装置１１は、図５に示すように、例えばピストン２１の外周面に設け た環状の装着溝２２に装着され、シリンダ２３の内周面に摺動自在に接触して流 体圧力ｐを密封する。またこの密封装置１１がこのようにピストンシールとして 使用される場合は、同図に示したように、他のゴム状弾性材製の密封装置２４と 組み合わされることが多い。この場合、密封装置１１は他の密封装置２４の圧力 ｐ側に配置され、軸方向に並んだ両密封装置１１，２４の間の空間２５には蓄圧 が発生する。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来技術には、次の問題がある。 ａ．密封装置１１が摺動リング単体であるために、高温下での使用時、そのリ ップ部１２，１３のへたりが大きい。このへたりにより内周側のリップ部１２は 外周側へ傾き、外周側のリップ部１３は内周側へ傾き、よって密封性および耐久 性に問題が生じる。 ｂ．上記したように密封装置１１が他の密封装置２４と組み合わされて使用さ れる場合、両密封装置１１，２４の間の空間２５に蓄圧が発生するとこの蓄圧を 逃がすことができない。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は以上の点に鑑み、上記従来技術にみられる問題を解消すべく案出され たものであって、この目的を達成するため、互いに対向し、相対に移動する二部 材のうちの一方の部材に設けた環状の装着溝に装着され、他方の部材に摺動自在 に接触する環状の密封装置において、断面略Ｕ字形を呈し、軸方向一端側を開放 した合成樹脂製の摺動リングと、前記摺動リングの内部に配置されたゴム状弾性 材製の内挿リングと、を有し、前記摺動リングの軸方向他端側の壁部に連通孔を 設け、前記内挿リングの内周面または外周面に切欠を設けたことを特徴とする密 封装置を提供する。

【０００５】

【作用】

摺動リングの内部に内挿リングを配置し、高温下での使用により摺動リングに へたりが生じたときに該摺動リングを内挿リングでバックアップする。また摺動 リングの軸方向他端側の壁部に連通孔を設け、内挿リングの内周面または外周面 に切欠を設け、この連通孔と切欠を介して蓄圧を圧力側へ逃がす。

【０００６】

【実施例】

つぎに本考案の実施例を図面にしたがって説明する。

【０００７】 図１に示すように、当該密封装置１は合成樹脂製の摺動リング２と該摺動リン グ２の内部に配置されたゴム状弾性材製の内挿リング７とを有している。摺動リ ング２は断面略Ｕ字形を呈し、軸方向一端側を開放し、内周側のリップ部３と軸 方向他端側の壁部４と外周側のリップ部５とを有するものであって、前記壁部４ に該壁部４を軸方向に貫通する連通孔６が形成されている。連通孔６は複数が等 配に形成されている。内挿リング７は断面円形を呈し、その内周面および外周面 に、図２に示すように、切欠８，９が形成されている。切欠８，９はそれぞれ複 数が等配に形成されている。尚、この切欠８，９は内挿リング７の内周面側だけ でも良く、また外周面側だけでも良い。

【０００８】 上記構成の密封装置１は、図３に示すように、例えばピストン２１の外周面に 設けた環状の装着溝２２に装着され、シリンダ２３の内周面に摺動自在に接触す るものであって、他のゴム状弾性材製の密封装置２４と組み合わされて流体圧力 ｐを密封する。密封作用の重きからみれば他の密封装置２４が主、当該密封装置 １が従である。

【０００９】 上記密封装置１は、摺動リング２の内部に内挿リング７を配置したために、高 温下での使用により摺動リング２にへたりが生じたときにリップ部３，５が傾こ うとするのを内挿リング７により抑えることが可能である。したがってリップ部 ３，５の緊迫力が低下するのを防止し、密封性および耐久性を向上させることが できる。 また摺動リング２に連通孔６を形成し、内挿リング７に切欠８，９を形成した ために、当該密封装置１と他の密封装置２４の間の空間２５に発生した蓄圧をこ の連通孔６と切欠８，９を介して圧力ｐ側へ逃がすことができる。 空間２５に発生した蓄圧は連通孔６を通り、切欠８，９を通り、更に外周側の リップ部５と装着溝２２の側壁の間の間隙を通って圧力ｐ側へ戻される。したが って外周側のリップ部５と装着溝２２の側壁が接触するとこの戻し流路が閉じら れる虞がある。この虞を未然に防止するには外周側のリップ部５の先端に切欠部 １０を形成して接触時の流路を確保しておくと良い。切欠部１０は複数が等配に 形成されている。

【００１０】

【考案の効果】

本考案は次の効果を奏する。 すなわち、摺動リングの内部に内挿リングを配置したために、高温下での使用 により摺動リングにへたりが生じたときに該摺動リングを内挿リングでバックア ップすることが可能である。したがって、このへたりによる緊迫力の低下を防止 し、密封性および耐久性を向上させることができる。 また摺動リングに連通孔を設け、内挿リングに切欠を設けたために、当該密封 装置と他の密封装置の間の空間に発生した蓄圧をこの連通孔と切欠を介して圧力 側へ逃がすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係る密封装置の半裁断面図

【図２】内挿リングの一部斜視図

【図３】同密封装置の使用状態を示す断面図

【図４】従来例に係る密封装置の半裁断面図

【図５】同密封装置の使用状態を示す断面図

【符号の説明】

１ 密封装置 ２ 摺動リング ３，５ リップ部 ４ 壁部 ６ 連通孔 ７ 内挿リング ８，９ 切欠 １０ 切欠部 ２１ ピストン（一方の部材） ２２ 装着溝 ２３ シリンダ（他方の部材） ２４ 他の密封装置 ２５ 空間

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに対向し、相対に移動する二部材２
   １，２３のうちの一方の部材２１に設けた環状の装着溝
   ２２に装着され、他方の部材２３に摺動自在に接触する
   環状の密封装置１において、断面略Ｕ字形を呈し、軸方
   向一端側を開放した合成樹脂製の摺動リング２と、前記
   摺動リング２の内部に配置されたゴム状弾性材製の内挿
   リング７と、を有し、前記摺動リング２の軸方向他端側
   の壁部４に連通孔６を設け、前記内挿リング７の内周面
   または外周面に切欠８，９を設けたことを特徴とする密
   封装置。