JPH0547609A - 電解コンデンサ用電極箔の製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ用電極箔の製造方法

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JPH0547609A
JPH0547609A JP31783091A JP31783091A JPH0547609A JP H0547609 A JPH0547609 A JP H0547609A JP 31783091 A JP31783091 A JP 31783091A JP 31783091 A JP31783091 A JP 31783091A JP H0547609 A JPH0547609 A JP H0547609A
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孝義 赤松
Haruki Nonaka
晴支 野中
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Abstract

(57)【要約】 【構成】基体の少なくとも片面に金属薄膜を形成し、次
いで該金属薄膜をエッチングする電解コンデンサ用電極
箔の製造方法。 【効果】より薄い金属薄膜で静電容量の増大が図れ、生
産性の向上や基体の熱ダメ−ジ防止を図ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電解コンデンサ用電極
箔の製造方法に関する。更に詳しくは、電解コンデンサ
の小型大容量化に寄与する電極箔の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電解コンデンサ用電極としては、一般に
アルミニウム箔にエッチングを施して表面積を拡大した
ものが用いられている。電極の表面積を拡大すること
は、コンデンサの静電容量を増加させるために必須であ
り、小型大容量化への要求から更に電極の表面積を拡大
することが求められている。しかしエッチングによるア
ルミニウム箔の表面積拡大は、アルミニウム箔の強度の
低下などから限界に近付いている。
【0003】これに対して特開昭56−29669号公
報では、30度以上、好ましくは80〜85度の入射角
で基体にアルミニウムやタンタルなどの弁金属の蒸気を
入射させて多孔質金属膜を作成し、表面積が拡大した電
解コンデンサ電極箔を得ることが提案されている。また
特開昭59−167009号公報では、アルミニウム箔
などの基体上にアルミニウム、タンタル、チタン、ニオ
ブ、ジルコニウムなどの弁金属をアルゴンなどの不活性
ガス中で蒸着して多孔質膜を形成し、電極の表面積を拡
大すると共に誘電率を増加させることが提案されてい
る。
【0004】これらの技術は電解コンデンサの見掛けの
単位面積当たりの静電容量の増加に大きな効果がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の技術には未だ以下のような課題があった。
【0006】(1)充分な表面積拡大効果を得るために
は該弁金属膜の厚みを1μm〜20μmと大きくする必
要があり、生産性の点で問題があったほか、アルミニウ
ム以外の弁金属は高融点材料であるため上記のような比
較的厚い膜を形成しようとすると、蒸着時に基体が熱ダ
メ−ジを受けて平坦性が損なわれやすい。
【0007】(2)弁金属を不活性ガス中で蒸着する方
法では真空槽内の圧力を高くしたほうが同じ膜厚でも大
きな表面積すなわち大きな静電容量が得られるが、一
方、真空槽内の圧力を高くすると膜付着速度が減少して
いく問題がある。特に直進型電子ビ−ムガンを使うよう
な大型生産機においては蒸発源と基体とをあまり近くで
きないので、真空槽内の圧力上昇に伴う膜付着速度の減
少は著しく、大幅な生産性の低下をきたす。
【0008】(3)不活性ガス中で蒸着し、表面積をあ
る程度以上に拡大した多孔質金属膜は、電解液中で生成
した水和物や酸化物によって微細孔が塞がれて容易に表
面積の減少すなわち静電容量の減少をきたしやすい。
【0009】本発明は上記のごとき従来技術の諸欠点に
鑑み創案されたもので、その目的とするところは、特性
の安定性に優れ、静電容量の増加に効果が大きくかつ製
造時の熱ダメ−ジの恐れがなく生産性に優れた電解コン
デンサ用電極箔の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は以下の製
造方法により達成される。
【0011】すなわち、基体の少なくとも片面に金属薄
膜を形成し、該金属薄膜をエッチングすることを特徴と
する電解コンデンサ用電極箔の製造方法である。
【0012】本発明で使用される基体としては、アルミ
ニウム箔の他、アルミニウム合金箔やアルミニウム以外
の金属箔、プラスチックフィルム、紙なども用いること
ができるが、漏れ電流が小さい点や機械的強度が高い点
から、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔またはプラ
スチックフィルムの採用が好ましい。これらの金属箔に
は、表面積を増やす点ではエッチングやサンドブラスト
などにより粗面化処理が施されていることが好ましく、
工程を省略して生産性を上げる点では製造された状態の
平坦なままであることが好ましい。該金属箔の厚さは、
機械的強度と占有体積の関係から5μm〜100μmの
範囲が好ましい。
【0013】プラスチックフィルムの材質としてはポリ
エチレンテレフタレ−ト、ポリカ−ボネ−トなどのポリ
エステル類、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、
ポリフェニレンスルフィドなどのポリアリレンスルフィ
ド類、ポリアミド類、芳香族ポリアミド類、ポリエ−テ
ルケトン類およびポリイミド類などが挙げられるが、電
気的特性や価格の点でポリエチレンテレフタレ−トまた
はポリプロピレンが好ましい。機械的安定性や強度の点
で、これらのプラスチックは二軸延伸されてフィルム化
されていることが好ましい。該プラスチックフィルムの
厚さは、機械的強度と占有体積の関係から1μm〜50
μmの範囲が好ましい。
【0014】本発明の金属薄膜が、プラスチックフィル
ムなどの非導電性基体の片面にだけ形成される場合は、
これらの膜が形成される方とは反対の面が金属化されて
いる必要がある。プラスチックフィルムの金属化は蒸着
やスパッタによる金属膜の形成でなされる。この金属膜
は導電性が高いほど誘電損失が小さくなり好ましいの
で、アルミニウム膜または亜鉛膜であることが好まし
い。また該金属膜の厚さは、厚いほど導電性が良好にな
り一方薄いほどセルフヒ−リングしやすいので、0.0
3μm〜0.15μmの範囲が好ましい。非導電性基体
は金属化に先立ち、易接着化処理などの前処理が行われ
ても良い。チタン、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、
ハフニウムなどは導電性が高くないので、これらの金属
または合金膜が非導電性基体上に形成される場合は、そ
れに先立って非導電性基体が金属化されていることが誘
電損失を小さくできる点で好ましい。
【0015】本発明で言う金属薄膜はアルミニウム、チ
タン、ジルコニウム、タンタル、ニオブおよびハフニウ
ムのいわゆる弁金属の群から選ばれた少なくとも1種の
金属またはこれらの合金からなることが好ましいが、コ
バルト、クロム、ニクロム、銀、銅、鉄、亜鉛などの金
属やこれらの合金も採用可能である。チタンは、静電容
量の増加に効果が大きく好ましい。該金属または合金薄
膜の純度は漏れ電流を小さくするために99.8%以
上、さらに好ましくは99.9%以上であることが望ま
しい。
【0016】この金属薄膜には特性を損なわない範囲
で、酸素、窒素などが含まれていても良い。
【0017】金属薄膜は、カラム構造の集合体からなる
ことがエッチングによる静電容量の増大効果が大きい点
で好ましい。以下カラム構造について図1を用いて説明
する。図1はカラム構造の集合体を模式的に示したもの
であり、薄膜の厚さ方向に伸びた柱状の粒子(カラム)
の集合体である。図1においてはaは基体、bは金属薄
膜を構成するカラムの一つである。該カラムは、基体側
より金属薄膜表面側で細い場合、金属薄膜表面側より基
体側で細い場合、金属薄膜の厚さ方向にほぼ均一な太さ
の場合などがあるが、エッチングによる静電容量増大効
果が大きい点で、該カラムは基体側より金属薄膜表面側
で細いこと、もしくは金属薄膜の厚さ方向にほぼ均一な
太さであることが好ましい。またカラムは湾曲していた
り、基体表面に対して傾いていても良い。なお上述の図
1に示した例では各カラムがそれぞれ分離された構造を
持つ場合であるが、もちろんこれらの構造のものに限定
されない。例えば、各カラムの集合体が部分的に分離さ
れておらず、例えば基体側においてある厚さの範囲で一
体構造をとっていても良い。金属薄膜がカラム構造の集
合体からなっていることは、金属薄膜を超薄切片に切出
し、透過型電子顕微鏡にて観察することで確認すること
ができる。
【0018】基体の熱ダメ−ジを抑制するためと低コス
ト化を図るために、金属薄膜の膜厚は薄い方が良く、一
方、静電容量を増大させるためには膜厚が厚い方が良い
ので、0.005μm〜0.5μmの範囲から選ばれる
ことが好ましく、0.02μm〜0.4μmの範囲から
選ばれることが更に好ましい。0.03μm〜0.2μ
mの範囲から選ばれることが最も好ましい。
【0019】金属薄膜は、真空蒸着、スパッタ、CVD
などのいわゆる真空薄膜析出技術により形成される。高
速に薄膜形成ができる点で、真空蒸着法の採用が好まし
い。真空蒸着においては、金属薄膜の静電容量を大きく
するために金属蒸気が基体へ入射する領域に不活性ガス
を差し向けることが好ましい。該不活性ガスとしては、
アルゴン、ネオン、クリプトン、ヘリウムなどの希ガス
のほか、窒素や水素も採用することができる。また不活
性ガスに少量の酸素を添加することは、薄膜の微細構造
を細かくして、静電容量を増加させる効果があるので好
ましい。
【0020】静電容量を大きくするために、真空蒸着に
おいて金属蒸気は特定の初期入射角と最終入射角をもっ
て基体に入射させることが好ましい。次に図2を用いて
蒸気の基体への入射角について説明する。
【0021】蒸発源の中心5とマスク3の基体走行方向
下流端10を結ぶ直線11がドラム(基体)に入射する
点12でドラム面に法線13を立てる。法線13と直線
11がなす角βが初期入射角である。マスク3、ドラム
1および蒸発源2の位置関係によって、初期入射角はド
ラム面に立てた法線に対して基体走行方向の上流側であ
る場合と下流側である場合がある。入射角の正負につい
ては、該法線13と該直線11がなす角が、基体走行方
向上流側にくる場合を負値とし、下流側にくる場合を正
値とする。蒸発源の中心5とマスク4の基体走行方向上
流端6を結ぶ直線7がドラムに入射する点8でドラム面
に法線9を立てる。法線8と直線7がなす角αが最終入
射角である。マスク4、ドラム1および蒸発源2の位置
関係によって、最終入射角も負値である場合と正値であ
る場合とがある。
【0022】本発明の電解コンデンサ用電極箔の静電容
量を大きくするためおよび生産性を上げるために、該初
期入射角と該最終入射角は特定の範囲の組み合わせであ
ることが望ましい。初期入射角が−30度〜30度であ
りかつ最終入射角が−90度〜−45度の組み合わせは
基板側より金属薄膜表面側で細いカラム構造を作るため
に効果があり、初期入射角が45度〜90度でありかつ
最終入射角が−90度〜−45度の組み合わせは金属薄
膜の厚さ方向にほぼ均一な太さのカラム構造を作るため
に効果がある。
【0023】蒸気の基体への入射領域は、差し向けられ
る不活性ガスを有効に滞留させるために、マスク3の基
体走行方向下流端6とマスク4の基体走行方向上流端1
0の間の開口部を除いて略密閉構造であることが好まし
い。すなわち蒸気の基体への入射領域は、マスク3およ
び4で下方が遮断され、ドラム1で上方が遮断され、更
に図2には示されていないマスクとドラムの間を塞ぐ隔
壁で側面が遮断されていることが好ましい。該不活性ガ
スは該略密閉構造部分へノズルで蒸気の基体への入射領
域に向けて供給される。
【0024】不活性ガスは、金属蒸気の基体への初期入
射角と最終入射角の組み合わせに対応して、特定の方向
から供給することが、静電容量を大きくすること、誘電
損失を小さくすること、静電容量の経時変化を小さくす
ることなどの点で好ましい。初期入射角が−30度〜3
0度でありかつ最終入射角が−90度〜−45度の組み
合わせのとき、金属蒸気の基体への入射領域へ基体走行
方向上流側および/または下流側から不活性ガスを差し
向けることが好ましい。初期入射角が45度〜90度で
ありかつ最終入射角が−90度〜−45度の組み合わせ
のとき、金属蒸気の基体への入射領域へ基体走行方向上
流側から不活性ガスを差し向けることが好ましい。
【0025】このノズルは、噴出するガスにある程度の
方向性を持たせて、蒸気の基体への入射領域に差し向け
るために、ノズル長さがノズル径の3倍以上であること
が好ましい。また該ノズルはドラム幅方向に複数個設け
られることが形成される薄膜の幅方向の均一性を向上さ
せるために好ましい。
【0026】本発明のエッチングとしては、静電容量の
増大効果が大きい点で、化学的もしくは電気化学的な反
応による湿式エッチングの採用が好ましい。
【0027】チタン薄膜の化学エッチング用エッチャン
トとしては、例えば塩酸、燐酸、硝酸、硫酸、蟻酸もし
くはシユウ酸、あるいはこれらの酸を2種類以上含む混
酸を挙げることができる。その他の混酸としては、硝酸
−弗酸水溶液、弗酸−過酸化水素水、弗酸−硝酸鉄−シ
ュウ酸水溶液、硝酸−弗酸グリセリン溶液、硝酸−弗酸
−乳酸溶液などを挙げることができる。
【0028】チタン薄膜の電気化学エッチング用エッチ
ャントとしては、塩酸あるいは塩酸に燐酸、硝酸、硫
酸、シュウ酸の少なくとも1種類以上を添加した水溶液
または塩化物水溶液などを用いることができる。また過
塩素酸−氷酢酸水溶液、過塩素酸−ブチルグリコ−ス−
メチルアルコ−ル溶液、エチレングリコ−ル−過塩素酸
−メチルアルコ−ル溶液なども採用することができる。
装置が簡便でかつ危険性が少ない点で、塩酸、塩酸を含
む水溶液または塩化物水溶液もしくは塩酸に有機溶媒を
添加した溶液をエッチャントとして使用することが好ま
しい。
【0029】電気化学エッチングには、直流電流による
方法と交流電流による方法があるが、本発明ではどちら
の方法でも良い。直流電流を用いる場合、電流密度とし
ては50mA/cm2 〜1000mA/cm2 の範囲
が、エッチング時間としては5秒〜20分の範囲が、エ
ッチャント温度は40℃〜90℃の範囲が好ましい。電
流波形としては、一定電流のほかに矩形パルス、三角パ
ルスなど任意の脈流派を採用することもできる。これら
の各条件はエッチング倍率、基体のエッチング回避など
を考慮して適宜選択される。交流電流を用いる場合、電
流密度としては50mA/cm2 〜1000mA/cm
2 の範囲が、エッチング時間としては5秒〜20分の範
囲が、エッチャント温度は15℃〜60℃の範囲が、周
波数としては10Hz〜80Hzの範囲が好ましい。電
流波形としては、正弦波、矩形波、三角波など任意の交
流波形を採用することができる。これらの条件はエッチ
ング倍率、基体のエッチング回避などを考慮して適宜選
択される。
【0030】2種類以上のエッチング方法、例えば化学
エッチングと電気化学エッチングや異なる条件の化学エ
ッチングなどを組合せることもできる。
【0031】アルミ電解コンデンサでは塩素原子の混入
はコンデンサの寿命を著しく低下させる。金属薄膜に塩
素原子が付着して電解コンデンサ内に侵入することを避
けるためには、燐酸、硝酸もしくはシュウ酸をエッチャ
ントとして使用することが好ましい。エッチャントの酸
の濃度は、過溶解に至らないことや基体がエッチングさ
れないことを考慮して適宜選択されるが、酸の濃度は高
いほうがエッチングレートが大きく生産性が優れる他、
エッチャントの粘度が高くアルミ電解コンデンサの高温
雰囲気下動作における静電容量の低下の抑制効果が大き
い。一方、濃度の低いほうがエッチング速度のコントロ
ールが容易である。さらに水に代えてエチレングリコ−
ルやγ−ブチロラクトンなどの比較的粘度の高い溶媒を
使用したり、上記のエッチング液にエチレングリコ−ル
やγ−ブチロラクトンなどの比較的粘度の高い溶媒を添
加することは、アルミ電解コンデンサの高温雰囲気下動
作における静電容量の低下を抑制できる点で好ましい。
電解コンデンサの電解液中に塩酸以外のエッチャントの
酸のナトリウム塩などを含んでいても良い。
【0032】本発明のエッチングは、金属薄膜のみに対
して行われ、スリットなどによって露出した切断面など
不可避の部分を除いて該金属薄膜の基体や下地層はエッ
チングされないことが重要である。基体や下地層がエッ
チングされると該金属薄膜の接着不良や脱離が発生する
他、かえって静電容量が低下する。
【0033】本発明の電解コンデンサ用電極箔の製造方
法の一例を以下に示すがこれに限定されるものではな
い。図3は、長尺基体走行系を備えた真空蒸着装置の概
略図である。真空槽14内に巻出し軸15、円筒状の冷
却ドラム16、巻取り軸17から成る長尺基体走行系が
設置されている。該基体走行系に所定厚みのアルミニウ
ム箔基体18を設置する。真空槽14は、巻出し軸、巻
取り軸が収められた上槽19と蒸発源21が収められた
下槽20とに隔壁22、23およびマスク24、25で
分離されており、排気口26および27よりそれぞれ真
空排気される。基体走行方向上流側のマスク24および
基体走行方向下流側のマスク25は蒸発源からの蒸気の
基体への初期入射角および最終入射角が所定の角度にな
るよう設置される。下槽内を5×10-5Torr以下に
排気し、バルブ28を開きノズル29を通して隔壁2
2、23、マスク24、25および冷却ドラム16に囲
まれた蒸気入射領域へ基体走行方向下流側からアルゴン
ガスを差し向け、下槽内圧力を1×10-4〜1×10-2
Torrの範囲の所定の圧力に調整する。蒸発源は電子
ビ−ム加熱器で、チタンのインゴット30が充填されて
いる。
【0034】基体を走行させつつ、チタンのインゴット
を溶融蒸発させて、基体上に所定の付着速度で所定の厚
さのチタン薄膜を付着させる。同様にして基体のもう一
方の面にもチタン薄膜を付着させる。
【0035】図4は長尺基体走行系を備えたエッチング
および洗浄装置の1例を示す概略図である。チタン薄膜
が被着された長尺のアルミニウム基体33を巻出軸34
から巻取軸35にわたる長尺基体走行系に装着する。ア
ルミニウム箔基体は所定濃度のエッチャントが充填され
たエッチング槽36、純水が充填された洗浄槽37、所
定濃度の脱塩素処理液が充填された洗浄槽38、純水が
充填された洗浄槽39、乾燥室40をこの順番に通過
し、エッチング、洗浄、乾燥が施される。各槽には、図
示していないが処理を均一化するための攪拌装置のほ
か、液温を一定に保つための装置、液の浄化再生装置な
どが配設されるが、勿論これに限定されない。各槽での
処理時間は、基体の走行速度の調整およびロ−ルパス選
択により所定の値に制御される。かくして電解コンデン
サ用電極箔を得る。
【0036】脱塩素処理液としては、硝酸や燐酸などが
用いられる。エッチャントが塩素を含まない場合は、脱
塩素処理が不要となるので槽38および39の工程は省
略することができる。また界面活性剤や有機溶媒による
洗浄槽を追加することができる。
【0037】金属の蒸発源としては誘導加熱器、抵抗加
熱器、レ−ザ−加熱器なども採用できるが、高速に高融
点金属を蒸発させるために電子ビ−ム加熱器を採用する
ことが好ましい。これらの蒸発源と基体の間に高周波電
力を放射するなどしてイオンプレ−ティングを行うこと
は適宜許される。またこれらの蒸発源はドラムの真下に
ある必要はなく、材料使用効率などの点から好適な位置
を適宜選んで良い。
【0038】金属薄膜の形成に先立って、基体と金属薄
膜との接着力を向上させたり、基体のエッチャントへの
耐久性を高めるために、熱処理などの前処理を行うこと
は適宜許される。
【0039】本発明の作用の詳細は明らかでないが次の
ように推測される。金属薄膜は、一般的に多結晶質であ
ったり、カラム構造などの微細構造を持ったりして、微
視的には不均質である。粒界やカラム構造の間隙はエッ
チングされやすいので、選択的なエッチングによって電
解コンデンサに好適な構造で金属薄膜の表面積が増大す
るものと考えられる。
【0040】[特性の測定方法、評価方法] (1)静電容量の測定方法 基体の両面に金属薄膜が形成された試料を切り出し、2
0mm×20mmの開口部を持つホルダ−2枚で試料を
挟み込み固定する。該ホルダ−に固定された2枚の試料
を用意し、10重量%ホウ酸アンモニウム水溶液の電解
液中で平行になるよう固定する。2枚の試料を電極とし
て、LCRメ−タ−(安藤電気(株)製AG−431
1)にて100Hzのときの静電容量を測定した。測定
された値の2分の1を単位面積当たりの静電容量とし
た。
【0041】(2)金属薄膜断面の観察 試料を超薄切片に切出し、透過型電子顕微鏡(日本電子
(株)製JEM−1200EX)にて金属薄膜の断面を
40万倍にて観察した。
【0042】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】実施例1 図3の長尺基体走行系を備えた真空蒸着装置に厚さ22
μmの長尺のアルミニウム箔基体を装着した。マスク2
4および25を調節して、初期入射角が50度、最終入
射角が−50度になるようにした。電子ビ−ム加熱器2
1にチタンのインゴット30を充填した後、真空槽14
内を排気口26および27より真空排気して隔壁22、
23、マスク24、25および冷却ドラム16でしきら
れた下槽20内圧力を5×10-5Torr以下にした。
次にバルブ31およびノズル32を通して蒸気の基体へ
の入射領域に向けて窒素ガスを0.2リットル/分供給
し、下槽内圧力を3×10-4Torrに調整した。基体
を走行させながらチタンのインゴットを溶融蒸発させて
アルミニウム箔上に2.5μm/分の蒸着速度で厚さ
0.05μmのチタン薄膜を形成した。チタン薄膜を形
成する際、冷却ドラム16は−20℃に冷却した。同様
にして該アルミニウム箔基体の他の一方の面にもチタン
薄膜を形成した。得られたチタン薄膜の断面を観察した
ところ、チタン薄膜はカラム構造の集合体であった。
【0044】チタン薄膜を形成したアルミニウム箔基体
を図4の長尺基体走行系を備えたエッチングおよび洗浄
装置に装着した。エッチング槽36には、6規定の塩酸
を充填した。洗浄槽38には2規定の硝酸を充填した。
槽36〜39の温度を40℃に保持した。ロ−ルパスお
よび走行速度を調節してエッチング処理時間を10秒間
とし、洗浄槽38における脱塩素処理時間を20秒とし
た。
【0045】得られた電解コンデンサ用電極箔には、熱
による変形はほとんどなく平坦性は良好であった。静電
容量は700μF/cm2 とエッチングを行わなかった
比較例1に比べて大幅に増大した。
【0046】実施例2 実施例1と同様にしてアルミニウム箔基体上にチタン薄
膜を形成した。エッチング槽36に2規定の塩酸を充填
したことおよびエッチング処理時間を30秒としたこと
以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサ用電極
箔を作製した。得られた電解コンデンサ用電極箔には、
熱による変形はほとんどなく平坦性は良好であった。静
電容量は500μF/cm2 とエッチングを行わなかっ
た比較例1に比べて増大した。
【0047】実施例3 実施例1と同様にしてアルミニウム箔基体上にチタン薄
膜を形成した。エッチング槽36に重量濃度で44%の
燐酸を充填したこと、エッチング処理時間を20秒とし
たことおよび処理層38、39を省略したこと以外は、
実施例1と同様にして、電解コンデンサ用電極箔を作製
した。
【0048】得られた電解コンデンサ用電極箔には、熱
による変形はほとんどなく平坦性は良好であった。静電
容量は570μF/cm2 とエッチングを行わなかった
比較例1に比べて増大した。またエッチング処理後の電
解コンデンサ用電極箔の断面を観察したところ、チタン
薄膜は平均径が0.015μmのカラム構造の集合体で
あった。
【0049】実施例4 実施例1と同様にしてアルミニウム箔基体上にチタン薄
膜を形成した。チタン薄膜を形成したアルミニウム箔基
体をシート状試料に切り出した。該試料を40℃、1規
定の塩酸中に浸漬し、電流密度200mA/cm2 の一
定の直流電流で5秒間電気化学エッチングを施した。次
いで、該試料に水洗、脱塩素処理、水洗、および乾燥を
この順序で施した。該脱塩素処理は、40℃、重量濃度
で8%の燐酸中に10秒間浸漬することで行なった。
【0050】得られた電解コンデンサ用電極箔には、熱
による変形はほとんどなく平坦性は良好であった。静電
容量は820μF/cm2 とエッチングを行わなかった
比較例1に比べて増大した。エッチング処理後の電解コ
ンデンサ用電極箔の断面を観察したところ、チタン薄膜
は平均径が0.015μmのカラム構造の集合体であっ
た。
【0051】比較例1 実施例1と同様にしてアルミニウム箔基体上にチタン薄
膜を形成したが、エッチングは行わなかった。
【0052】得られた電解コンデンサ用電極箔には、熱
による変形はほとんどなく平坦性は良好であったが、静
電容量は実施例のものに比べて小さく200μF/cm
2 であった。
【0053】
【発明の効果】本発明は、基体の少なくとも片面に金属
薄膜を形成し、該金属薄膜をエッチングして電解コンデ
ンサ用電極箔とする製造方法であるので、より薄い金属
薄膜で静電容量の増大が図れ、生産性の向上や基体の熱
ダメ−ジ防止に著しい効果があった。また本発明の製造
方法で作った電極箔を陰極として使用した電解コンデン
サは、高温雰囲気下使用での静電容量の低下が小さくな
る効果があった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法において基体上に形成される
金属薄膜の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の製造方法において基体上に金属薄膜を
形成する際の金属蒸気の入射角を説明する概略断面図で
ある。
【図3】本発明の電解コンデンサ用電極箔を製造するた
めの真空蒸着装置の一例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の電解コンデンサ用電極箔の製造に使用
されるエッチングおよび洗浄装置の一例を示す概略説明
図である。
【符号の説明】
a:基体 b:金属薄膜を構成するカラムの一つ α:最終入射角 β:初期入射角 2:蒸発源 3および4:金属蒸気を遮蔽するためのマスク 18:基体 21:蒸発源 28および31:ガス供給用バルブ 29および32:ノズル 36:エッチング槽 37および39:洗浄槽 38:脱塩素処理用洗浄槽

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体の少なくとも片面に金属薄膜を形成
    し、該金属薄膜をエッチングすることを特徴とする電解
    コンデンサ用電極箔の製造方法。
  2. 【請求項2】該金属薄膜がカラム構造の集合体からなる
    を特徴とする請求項1記載の電解コンデンサ用電極箔の
    製造方法。
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