JPH0547560Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は植立穀稈を引起し後刈取る刈取前処理
機構と、刈取前処理機構で刈取つた穀稈を、脱穀
装置の機体進行方向に沿つた横側部に設けたフイ
ードチエーンに対して横倒し状態で受渡しを行う
縦搬送装置とを、備えている刈取前処理装置を走
行機体に取付けているコンバインに関する。

〔従来の技術〕

この種のコンバインにおいて、従来のものは、
走行機体に対する刈取前処理機構の左右横方向位
置は固定されていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

したがつて、刈取前処理機構を未刈側（左側）
に寄せて回り刈りに適した形態をとると、植立穀
稈の中に分け入つて刈り取りを行う中割り作業形
態の場合に、右側の走行装置で植立穀稈を踏み付
けることがあり、又反対に、中割り作業形態に適
した左右中間位置に設置した場合には、走刈地を
左側に位置させた回り刈り作業の場合に、左走行
装置が未刈穀稈に近接し、穀稈を走行装置が押出
した泥土で押し倒すといつたこともあつた。

又、左側に畦を位置させた畦際作業の場合に、
脱穀装置左側部に位置するフイードチエーンに挾
持された横倒し姿勢の穀稈が畦に接触するという
こともあつた。

本発明の目的は刈り取り前処理機構に対する新
たな機能を追加し、従来の問題点を解消するとと
もに、刈取前処理機構からの以後の搬送を円滑に
行なえるものを提供する点にある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案による特徴構成は、 刈取前処理機構を走行機体に対して横移動調
節可能に構成する点と、 フイードチエーンに穀稈を受渡す縦搬送装置
の後端でかつフイードチエーン存在側とは反対
側に枢支点を設ける点と、 この枢支点を中心にして、縦搬送装置を左右
に揺動可能に構成してある点と、 にあり、その作用効果は次の通りである。

〔作用〕

○イ 特徴構成より、作業形態に即した刈取前処
理機構の走行機体に対する位置設定ができ、回
り刈り作業を行う場合には刈取前処理機構を未
刈側に寄せ相対的に走行装置と植立穀稈との間
隔を広げ、植立穀稈に対する泥押し作用を軽減
するとともに、フイードチエーンに挾持された
脱穀装置が長稈であつても高畦等に接触するこ
とを回避でき、かつ、中割り作業を行う場合に
は刈取前処理機構を走行機体の左右略中央に配
して、右走行装置の通過予定線近傍に刈取装置
右端を位置させて、右走行装置による植立穀稈
の踏み倒しを防止できる。

○ロ 又、特徴構成(3)より、縦搬送装置を刈取前処
理機構の横移動調節に対応して揺動できるの
で、受渡し点での両者の位置ズレがなく受渡し
も良好に行なえる。

○ハ しかも、特徴構成より、縦搬送装置の揺動
支点位置がフイードチエーン存在側と反対側に
あるので、例えば、第１図及び第２図に示すよ
うに揺動支点Ｙ位置を穂先係止搬送装置６Ａの
一端に設定したとすると、その揺動支点Ｙ位置
を前記した一端よりフイードチエーン８側の点
ｃに設定した場合に比べて、株元挾持搬送装置
６Ｂのフイードチエーン８への受渡し端ｂとの
間隔（つまり揺動半径）を大きくできるので、
刈取前処理機構９の左右横摺動によつて縦搬送
装置６が揺動しても、フイードチエーン８に対
して前記受渡し端ｂが離間する間隔ｌを小さな
ものに抑えることができる。

〔考案の効果〕

以上より、刈取作業形態に即した刈取り姿勢が
確保できるとともに、刈取前処理機構以後の搬送
系も、刈取前処理機構に対応した機構を付加さ
れ、後部脱穀装置への搬送も円滑に行え、刈取前
処理装置としてより汎用性の高いものを提供でき
るに至つた。

ここで特に次のような構成をとれば更によい。
つまり、第１図及び第２図に示すように、縦搬送
装置６の揺動枢支点Ｙからフイードチエーン８に
対して垂直Ｐを下し、この垂線Ｐ上に縦搬送装置
（特に株元挾持搬送装置）のフイードチエーン８
への受渡し端ｂを位置させて、この位置を中心と
して前記枢支点Ｙ周りに縦搬送装置６を左右に揺
動させれば、左右揺動端においても、前記受渡し
端ｂとフイードチエーン８との左右間隔ｌを同一
のものでかつ小さくできる。したがつて、フイー
ドチエーン８への縦搬送装置６からの受渡しを良
好に行え、縦搬送装置６の左右揺動による影響を
最小限のものに抑えることができる。

〔実施例〕

第４図に示すように、コンバインは、分草具１
によつて分草された植立穀稈を引起す引起し装置
２、引起し後の穀稈を刈取る刈取装置３、刈取穀
稈を刈幅の中央に集束するパツカー４、集束穀稈
を後部脱穀装置５に向けて搬送する縦搬送装置
６、縦搬送装置６の横側方に配設された運転席７
とを備えて構成されている。

前記縦搬送装置６は、穂先側を係止する穂先係
止搬送装置６Ａと株元を挾持する株元挾持搬送装
置６Ｂとを備え、縦姿勢で送られる搬送穀稈を、
脱穀入口前方で、穂先側をフイードチエーン８の
存在側とは反対に倒伏させる横倒し搬送経路ａを
有している。図中３５は縦搬送装置６の後端と脱
穀装置５との橋渡し部分に設けられた挾持用補助
レールであり、フイードチエーン８とともに搬送
穀稈を挾持する。

次に、分草具１、引起し装置２、刈取装置３、
パツカー４等を刈取前処理機構９と称し、この刈
取前処理機構９を脱穀装置５及び運転席７が搭載
された走行機体１１に対して左右横摺動可能に構
成してある。つまり、左右分草具１を支持する分
草具支持杆を兼用する左右一対の前後向きフレー
ム１３，１３に亘つて刈取装置３を架設するとと
もに、その後方にこの前後向きフレーム１３，１
３を左右に摺動させて刈取前処理機構９全体を一
体的に摺動駆動する機構１４を設けてある。この
摺動駆動機構１４は前後向きフレーム１３，１３
内側に１本の螺旋軸１５と伝動軸１６とを架設枢
支する左右伝動ケース１７，１８と、この左右伝
動ケース１７，１８の中間部に位置する中間伝動
ケース１９とを備えるとともに、走行機体１１前
端から延出された伝動ケース兼用の前後向き主フ
レーム２０の前端に中間伝動ケース１９を固着す
ることによつてエンジン（図示せず）からの動力
を受けている。中間伝動ケース１９には、伝動軸
１６にスプライン外嵌された筒軸２１がベアリン
グ支承されるとともに、この筒軸２１と主フレー
ム２０内出力軸２２との間にベベルギア伝動機構
２３が装着されている。伝動軸１６と螺旋軸１５
との右伝動ケース１８内に位置する端部には、
夫々、出力スプロケツト２４と入力スプロケツト
２５とが装着され、チエーン伝動機構２６が形成
されている。前記螺旋軸１５には外周面にエンド
レスに螺旋溝１５Ａが形成されるとともに、この
螺旋溝１５Ａに咬合する突起を形成したコマ部材
３１が中間伝動ケース１９に固定されている。そ
こで、螺旋軸１５をその軸心Ｘ周りで回転させる
と、螺旋軸１５は軸心Ｘ方向に往復移動して、中
間伝動ケース１９に対して左右に移動する。

したがつて、エンジン動力はベベルギア伝動機
構２３、伝動軸１６、及び、チエーン伝動機構２
６を介して螺旋軸１５に伝達され、刈取前処理機
構９を左右移動調節可能である。又、前記螺旋軸
１５の端部にクラツチスリーブ２７がスプライン
外嵌され（この場合に入力スプロケツト２５は螺
旋軸１５に遊嵌されている。）、このクラツチスリ
ーブ２７に入力スプロケツト２５の係合孔に挿入
されてこのクラツチスリーブ２７と入力スプロケ
ツト２５とを一体化する係合突起を設け、クラツ
チスリーブ２７の入力スプロケツト２５に対する
一体化離脱作用によつて入切クラツチ構造２８を
構成する。つまり、クラツチスリーブ２７に対す
るシフター３２を図外の電磁弁で押引操作して、
刈取前処理機構９の左右位置を調節する際には、
クラツチスリーブ２７を入力スプロケツト２５に
一体化させて螺旋軸１５を回転させる。位置調節
が終ればクラツチスリーブ２７を離脱させる操作
をすればよい。

以上の構成から、未刈地側を左側にして回り刈
りを行う場合には、刈取前処理機構９を走行機体
１１に対してより左側に位置すべく未刈地側に寄
せて左走行装置（図外）と未刈穀稈との間隔を大
きくとつて、走行装置の押出す泥土によつて未刈
穀稈が押し倒されないような構成になる。この場
合に、運転席７前方に位置する右端分草具１も左
側斜前方に偏位しているので、運転席７から分草
具１の穀稈分草状態を目視することが容易にな
る。したがつて、この右端分草具１を未刈側最外
端列に沿わせることによつて操向操作を行う運転
形態を採る為に、操向操作がより容易になる。

縦搬送装置６の横倒し搬送経路ａにおけるフイ
ードチエーン８の存在側とは反対側端に、穂先係
止搬送装置６Ａに動力供給する縦向き伝動ケース
３０を設置するとともに、前記主フレーム２０を
走行機体１１前端で支持する横向き伝動ケース２
９を設け、この横向き伝動ケース２９に対して縦
向き伝動ケース３０を支持する。よつて、この縦
向き伝動ケース３０に伝動された動力は穂先係止
搬送装置６Ａに伝達されるとともに、穂先係止搬
送装置６Ａと株元挾持搬送装置６Ｂとを専用に連
結する伝動ケースを介して株元挾持搬送装置６Ｂ
に伝達される。又、縦搬送装置６と引起し装置２
用伝動ケースとを連結杆で連結し、縦向き伝動ケ
ース３０の軸心Ｙを枢支点としてこの枢支点を中
心に縦搬送装置６を左右に揺動可能に構成してあ
る。

フイードチエーン８と縦搬送装置６との受渡し
構造は〔作用〕・〔考案の効果〕で述べた通りであ
る。

〔別実施例〕

○イ 刈取装置３だけを横移動させる構成でもよ
い。

○ロ 刈取前処理機構９の横摺動駆動機構としては
油圧シリンダでもよく、螺旋軸以外のものでも
よい。

○ハ 縦搬送装置６の左右揺動軸心Ｙ位置として
は、図示するものに限られるものではなく、フ
イードチエーン８側に多少寄つたものでもよ
い。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るコンバインの実施例を示
し、第１図は刈取前処理機構を中割り作業形態に
切換えた状態を示す平面図、第２図は刈取前処理
機構を回り刈り作業形態に切換えた状態を示す平
面図、第３図は刈取前処理機構への伝動構造を示
す構成図、第４図は刈取前処理機構を示す側面図
である。 ５……脱穀装置、６……縦搬送装置、９……刈
取前処理機構、８……フイードチエーン、１１…
…走行機体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 植立穀稈を引起し後刈取る刈取前処理機構９
   と、刈取前処理機構９で刈取つた穀稈を、脱穀
   装置５の機体進行方向に沿つた横側部に設けた
   フイードチエーン８に対して横倒し状態で受渡
   しを行う縦搬送装置６とを、備えている刈取前
   処理装置を走行機体１１に取付けているコンバ
   インであつて、刈取前処理機構９を走行機体１
   １に対して横移動調節可能に構成するととも
   に、フイードチエーン８に穀稈を受渡す縦搬送
   装置６の後端でかつフイードチエーン存在側と
   は反対側に枢支点Ｙを設け、この枢支点Ｙを中
   心にして、縦搬送装置６を左右に揺動可能に構
   成してあるコンバイン。 ２ 前記枢支点Ｙがフイードチエーン８に対して
   横倒し搬送経路ａ幅略中央より遠い側に設定し
   てある実用新案登録請求の範囲第１項に記載の
   コンバイン。