JPH0547507A - チタン酸バリウム系半導体磁器の焼成方法 - Google Patents

チタン酸バリウム系半導体磁器の焼成方法

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JPH0547507A
JPH0547507A JP3202809A JP20280991A JPH0547507A JP H0547507 A JPH0547507 A JP H0547507A JP 3202809 A JP3202809 A JP 3202809A JP 20280991 A JP20280991 A JP 20280991A JP H0547507 A JPH0547507 A JP H0547507A
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吉晶 阿部
Takahiko Kawahara
隆彦 河原
Norimitsu Kito
範光 鬼頭
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 チタン酸バリウム系半導体磁器の有するF耐
圧特性、すなわち、突入電流に対する熱破壊特性の大幅
な向上を確実に図ることができる焼成方法を提供する。 【構成】 本発明にかかるチタン酸バリウム系半導体磁
器の焼成方法は、本焼成温度t1まで昇温して保持され
た後のチタン酸バリウム系半導体磁器を仮焼成温度より
も低い所定温度t2まで降温させた後、再び仮焼成温度
よりも高い所定温度t3まで昇温して保持することを特
徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はチタン酸バリウム系半導
体磁器の焼成方法にかかり、詳しくは、その焼成条件に
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
チタン酸バリウム系半導体磁器においては比抵抗を制御
することによって耐電圧特性(静耐圧特性)や抵抗温度
特性(抵抗値)、突入電流に対する熱破壊特性(F耐圧
特性)などの改善を図ることが行われており、その比抵
抗を制御するためには焼成条件を変更することが一般的
に行われている。すなわち、チタン酸バリウム系半導体
磁器を焼成する際には、図3で示すような昇降温パター
ン、例えば、1300〜1400℃程度を本焼成温度t
1 とする昇降温パターンに従う焼成方法を採用するのが
普通であるから、本焼成温度t1 に至るまでの昇温速
度及び本焼成温度t1 からの降温速度を変える、本焼
成温度t1 そのものを変える、本焼成温度t1 におけ
る保持時間T1の設定を変えるなどの手立てによって焼
成条件を変更することが行われる。
【0003】しかしながら、これらの手立てに基づく焼
成条件の変更によってチタン酸バリウム系半導体磁器の
比抵抗を制御した場合には、異常粒成長などのようなセ
ラミックにとって好ましくない挙動が現れてしまうこと
がある。そして、このような挙動が現れると、半導体磁
器が悪影響を受けてしまうことになる結果、かえって静
耐圧特性や抵抗値、F耐圧特性が低下するという不都合
が生じることになっていた。
【0004】そこで、このような不都合を解消しうるチ
タン酸バリウム系半導体磁器の第2の焼成方法として、
図4で示すような昇降温パターンに従って焼成する方法
が提案されている。すなわち、この焼成方法において
は、まず、チタン酸バリウム系半導体磁器を所定の昇温
速度v1に従って本焼成温度t1まで昇温した後、これを
所定の本焼成保持時間T1だけ保持することによって焼
成する。つぎに、この半導体磁器を800℃以上として
設定された所定温度t3まで所定の降温速度v2に従って
降温させた後、この所定温度t3下で所定時間T3だけ保
持し、さらに、所定の降温速度v4に従って室温まで降
温させるものである。しかしながら、この焼成方法を採
用して得られたチタン酸バリウム系半導体磁器に対する
判断では、その静耐圧特性や抵抗値の向上は見られるも
のの、F耐圧特性の向上がさほど見られないとの評価を
下さざるを得ない実情となっていた。
【0005】本発明は、このような不都合に鑑みて創案
されたものであって、静耐圧特性や抵抗値のみならず、
F耐圧特性の向上をも確実に図ることができるチタン酸
バリウム系半導体磁器の焼成方法を提供することを目的
としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明にかかるチタン酸
バリウム系半導体磁器の焼成方法は、このような目的を
達成するために、本焼成温度まで昇温して保持された後
のチタン酸バリウム系半導体磁器を仮焼成温度よりも低
い所定温度まで降温させた後、再び仮焼成温度よりも高
い所定温度まで昇温して保持することを特徴とするもの
である。
【0007】
【実施例】以下、本発明にかかるチタン酸バリウム系半
導体磁器の焼成方法を図面に基づいて説明する。
【0008】図1は本実施例方法におけるチタン酸バリ
ウム系半導体磁器の昇降温パターンを示す説明図であ
り、所要の組成比で配合された種々の原料からなる半導
体磁器の焼成条件を示している。すなわち、本実施例方
法によってチタン酸バリウム系半導体磁器の焼成を行う
際には、まず、この半導体磁器を予め設定された所定の
昇温速度v1に従って所要の本焼成温度t1 まで昇温さ
せたうえ、所定の本焼成保持時間T1 だけ保持すること
によって焼成する。つぎに、この焼成が終了した半導体
磁器の降温過程において、まず、チタン酸バリウム系半
導体磁器をその仮焼成温度(1130〜1150℃程
度)よりも低い所定温度t2まで所定の降温速度v2に従
って降温させた後、再び仮焼成温度よりも高い所定温度
3まで所定の昇温速度v3に従って昇温させる。そし
て、この所定温度t3下で所定時間T3だけ保持した後、
所定の降温速度v4に従って室温まで降温させる。
【0009】本実施例方法では、このように、本焼成温
度t1まで昇温して保持された後のチタン酸バリウム系
半導体磁器を仮焼成温度よりも低い所定温度t2まで降
温させた後、再び仮焼成温度よりも高い所定温度t3
で昇温して保持することによって比抵抗の制御が行われ
る。
【0010】つぎに、本発明の発明者らが本実施例方法
に基づいて行った実験及び実験結果について説明する。
【0011】まず、チタン酸バリウム系半導体磁器の出
発原料であるBaCO3 ,TiO2,SrCO3 と、半
導体化剤であるY23 と、添加物であるMnCO3
SiO2 とを用意した後、これらを(Ba0・72Sr0・23
0・05)Ti3の配合添加量比となるように配合する。
なお、このとき、MnCO3 はMn換算で0.1mol
%、SiO2 は1.0mol%となるようにしている。
そして、この配合材料を混合・粉砕して仮焼成し、バイ
ンダとしてのPVAを加えた後、さらに、混合・粉砕し
て造粒したうえで成形することにより、直径が21mm
で厚みが6mmの円板状となった多数個の試料1〜20
を得た。
【0012】さらに、このようにして得られた試料1〜
20のそれぞれを表1で示すような種々の異なる焼成条
件に従って焼成した後、焼成された試料1〜20それぞ
れの主表面にIn−Ga合金からなる電極を形成したう
えで諸特性を測定したところ、表2で示すような実験結
果が得られた。なお、これらの表における試料1〜10
は第2の従来例方法によって焼成されたものを、また、
試料11〜20は本実施例方法によって焼成されたもの
を示している。ところで、試料1〜20それぞれにおけ
る焼成条件のうち、昇温速度v1は5℃/min、本焼
成保持時間T1は1.5hr、所定時間T3は1hrとし
て共通に設定されている。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】すなわち、この表2で示す実験結果におい
ては、第2の従来例方法によって焼成された試料1〜1
0の有するF耐圧特性が280〜355Vであるのに比
べ、本実施例方法によって焼成された試料11〜20の
有するF耐圧特性が450〜500Vとなっているので
あるから、試料11〜20の有するF耐圧特性が大きく
向上していることは明らかである。なお、この表2にお
いては、試料1〜10及び試料11〜20それぞれの有
する抵抗値がほぼ一致することから、第2の従来例方法
によって焼成された試料1〜10と同様、本実施例方法
による試料11〜20の有する抵抗値が第1の従来例方
法による場合よりも向上していることが分かる。そし
て、本実施例方法によって焼成されたチタン酸バリウム
系半導体磁器におけるF耐圧特性が向上するのは、焼成
体に対するX線回折の結果から、本実施例方法による試
料におけるBa2TiSi28 / BaTiO3 比の方
が従来例方法による試料よりも低下していることに起因
するものと考えられる。
【0016】ところで、以上の説明においては、図1で
示したように、本焼成温度t1まで昇温して保持された
後のチタン酸バリウム系半導体磁器を仮焼成温度(11
30〜1150℃程度)よりも低い所定温度t2まで降
温させた後、すぐさま仮焼成温度よりも高い所定温度t
3まで昇温して保持するとしているが、これに限定され
るものではない。すなわち、図2で示すように、仮焼成
温度よりも低い所定温度t2まで降温させられた半導体
磁器を、この所定温度t2下でそのまま所定時間T2だけ
保持するようにしても同様の結果が得られる。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかるチ
タン酸バリウム系半導体磁器の焼成方法によれば、本焼
成温度まで昇温された後の半導体磁器を仮焼成温度より
も低い所定温度まで降温させた後、再び仮焼成温度より
も高い所定温度まで昇温することによって半導体磁器の
比抵抗を制御しているので、このチタン酸バリウム系半
導体磁器の有する静耐圧特性や抵抗値とともに、F耐圧
特性の大幅な向上を確実に図ることができるという効果
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例方法におけるチタン酸バリウム系半導
体磁器の昇降温パターンを示す説明図である。
【図2】昇降温パターンの変形例を示す説明図である。
【図3】第1の従来例方法におけるチタン酸バリウム系
半導体磁器の昇降温パターンを示す説明図である。
【図4】第2の従来例方法における昇降温パターンを示
す説明図である。
【符号の説明】
1 本焼成温度 t2 仮焼成温度よりも低い所定温度 t3 仮焼成温度よりも高い所定温度

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 本焼成温度(t1)まで昇温して保持さ
    れた後のチタン酸バリウム系半導体磁器を仮焼成温度よ
    りも低い所定温度(t2)まで降温させた後、再び仮焼
    成温度よりも高い所定温度(t3)まで昇温して保持す
    ることを特徴とするチタン酸バリウム系半導体磁器の焼
    成方法。
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