JPH0545897Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、配管に取り付けて、流体の順方向
（入口から出口）の流れは許すが、その逆方向
（出口から入口）の流れは止める逆止弁に関し、
特に、順方向の流れの開弁圧力を調節できるよう
にしたばね付勢逆止弁に関する。

逆止弁は流体を順方向にのみ流し、逆方向の流
れは止めるものであるが、ある種の逆止弁では、
弁体に流体圧力が作用しなくても所望のシール効
果を得るために、弁体をばねで弁座に付勢するこ
とが行なわれている。このばねは、入口側が所定
の圧力以上になつたときに初めて開弁せしめ順方
向の流れを許す働きをする。

従来の技術 このばね付勢逆止弁は実開昭60−10964号公報
に示されている。これは、入口側部材と出口側部
材で弁ケーシングを形成し、入口側部材に入口を
出口側部材に出口を形成し、ばね受けを出口側部
材の段部に当てて配置し、入口側部材に形成した
環状弁座に当てて弁体を配置し、弁体とばね受け
間にコイルばねを介在させたものである。

本考案が解決しようとする課題 この場合、出口側部材の段部と入口側部材の環
状弁座の間の距離は一定であるので、開弁圧力の
異なる逆止弁を作る場合には弾性力の異なるバネ
を組み込まなければならない不都合があつた。

従つて、本考案の技術的課題は、単一のばねを
用いて、開弁圧力の異なる逆止弁を作れるように
することである。

課題を解決するための手段 上記の技術的課題を解決するために講じた本考
案の技術的手段は、入口側部材と出口側部材で逆
ケーシングを形成し、入口側部材に入口を出口側
部材に出口を形成し、入口側部材と出口側部材の
間に弁体とばねとばね受けを配置したものに於い
て、ばね受けの外周に突起を形成し、出口側部材
に出口を囲んで環状の溝をばね受けの突起に達す
る位置まで開け、環状溝に操作部材をねじ進退可
能に取り付け、環状操作部材の先端がばね受けの
突起に当接するようにした、ものである。

作 用 上記の技術的手段の作用は下記の通りである。

操作部材をねじ操作することにより、ばね受け
を入口側にあるいは出口側に変位せしめることが
できる。ばね受けと弁体の間に配置されたばね
は、このばね受けの変位によつて弾性力が強まつ
たり弱まつたりする。従つて、操作部材をねじ込
んでばね受けを入口側に変位せしめると、ばねの
弾性力が強くなり、順方向の流れの開弁圧力を高
くすることができる。逆に、操作部材を緩めると
ばね受けが出口側に変位するので、ばねの弾性力
は弱くなり、順方向の流れの開弁圧力を低くする
ことができる。

考案の効果 本考案は下記の特有の効果を生じる。

従来のものでは、所望の開弁圧力毎に弾性力の
異なるばねを組み込んり、出口側部材の段部と入
口側部材の環状弁座の間の距離の異なる弁ケーシ
ングを作つたりしなければならず、在庫コストや
生産コストが嵩むが、本考案では、一種類の部材
のみで、開弁圧力の異なる逆止弁を作ることがで
きるので経済的である。また、配管後に於いて
も、環状操作部材をねじ進退させて開弁圧力を変
更できるので、取り外しや分解の手間が省け便利
である。

実施例 上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明
する（第１図と第２図参照）。

弁ケーシングは入口側部材１と出口側部材２を
ガスケツト３を介在してねじ結合して作る。入口
側部材１に入口４を出口側部材２に出口５を形成
し、それぞれ配管に連結するためのねじを形成す
る。

入口側部材１の内端に弁口６を囲んで環状の弁
座７を形成する。環状弁座７に離着座して弁口６
を開閉するデイスク状の弁体８を配置する。弁体
８は外周に６個の突起を有し、その外端はすべて
同心円上に位置し、その同心円の直径は下記の円
筒面９より少し小さくして円筒面９に緩く摺接す
るようにする。

出口側部材２の内面は径の大きな円筒面９と径の
小さな円筒面１０に仕上げる。円筒面９と円筒面
１０との間の環状の段部１１は弁体８の外周縁が
当つて弁体８の移動範囲を制限し、下記のコイル
ばね１２の過剰圧縮を防ぐ作用をする。

出口側部材２の環状段部１１に切り欠き部１３
を３箇所形成する。外周に３個の突起１４を形成
したばね受け１５をその突起１４が切り欠き部１
３に位置するように配置する。切り欠き部１３は
突起１４よりも大きく形成し、間に通路１６が開
いている。突起１４の外端はすべて同心円上に位
置し、その同心円の直径は円筒面９よりも少し小
さくして円筒面９に緩く摺接するようにする。ば
ね受け１５の突起１４を形成しない部分の径は外
周が円筒面１０に緩く摺接する大きさである。ば
ね受け１５中央に孔１７を開け、孔１７の縁は入
口側に向かつて曲げる。この曲がつた角と、弁体
８の背面に形成した環状溝に、両端を嵌め合わせ
てコイルばね１２を配置する。

出口側部材２の出口５を囲んで環状の溝１８を
切り欠き部１３に達する位置まで開ける。環状溝
１８に外周にねじを形成した円筒形状の操作部材
１９をねじ進退可能に取り付ける。操作部材の内
外周にはＯリングを配置して環状溝１８との気密
を保つ。

入口４の流体圧力が出口５の流体圧力とコイル
ばね１２の力よりも大きければ、弁体８はコイル
ばね１２を圧縮して出口５側に変位し、環状段部
１１に当つて止まる。入口４の流体は弁体８の６
個の突起の間の隙間を通り、ばね受け１５と切り
欠き部１３の間の通路１６を通つて出口５に流
る。出口５の流体圧力が入口４の圧力からコイル
ばね１２の力を差し引いた力よりも大きくなれ
ば、弁体８は流体圧力とコイルばね１２の作用を
受けて、入口側に変位し環状弁座７に気密的に接
する。

操作部材１９をねじ込んでばね受け１５を入口
側に変位せしめると、順方向の流れの開弁圧力を
高くすることができ、操作部材１９を緩めるとば
ね受け１５が出口側に変位するので、順方向の流
れの開弁圧力を低くすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例のばね付勢逆止弁の断
面図、第２図は第１図の−線断面図である。 １……入口側部材、２……出口側部材、４……
入口、５……出口、７……弁座、８……弁体、１
２……コイルばね、１３……切り欠き部、１４…
…突起、１５……ばね受け、１８……環状溝、１
９……操作部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 入口側部材と出口側部材で弁ケーシングを形成
   し、入口側部材に入口を出口側部材に出口を形成
   し、入口側部材と出口側部材の間に弁体とばねと
   ばね受けを配置したものに於いて、ばね受けの外
   周に突起を形成し、出口側部材に出口を囲んで環
   状の溝をばね受けの突起に達する位置まで開け、
   環状溝に操作部材をねじ進退可能に取り付け、操
   作部材の先端がばね受けの突起に当接するように
   した、ばね付勢逆止弁。