JPH0545662A - 液晶表示パネルの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は液晶表示パネルの製造方法に関し、
表示不良の原因となる液晶パネル内の汚染物を除去し得
る液晶表示パネルの製造方法を実現することを目的とす
る。 【構成】 液晶パネル５に液晶注入口７と排気口８を設
け、排気口８から排気しながら液晶注入口７より液晶６
を液晶パネル５内に注入する液晶表示パネルの製造方法
において、液晶６が液晶パネル５内に充満した後、少な
くとも、液晶注入開始から液晶パネル５内に充満する迄
に要した時間と同一時間排気・注入を続行するように構
成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は液晶表示パネルの製造方
法に関する。液晶表示パネルは既に多くの分野に応用さ
れており、特に各画素の電圧を能動素子で制御する能動
素子型液晶表示パネルはＣＲＴ並みの表示特性が得られ
るため、携帯テレビに使用される他、大画面表示パネル
としての開発が進められている。

【０００２】

【従来の技術】従来の液晶表示パネルは図３に示すよう
に、それぞれストライプ状の透明電極１，１′及び配向
膜２，２′が形成された１対のガラス基板３，３′を微
小間隔で対向させ、周囲をシール材４でシールして液晶
パネル５を形成し、該液晶パネル内に液晶６を注入した
ものである。

【０００３】このような液晶表示パネルにおいて、液晶
パネル５内に液晶６を注入する方法としては、従来は、
図４（ａ）に示すようにパネル５に液晶注入口７と排気
口８を設けておき、排気口８から真空ポンプ９で排気し
ながら注入口７より液晶６をパネル５内に注入する方法
と、図４（ｂ）に示すようにパネル５に注入口７を設け
ておき、ベルジャー１０内で真空減圧した後、液晶溜め
１１の液晶６中に注入口７を浸し、ベルジャー１０を大
気圧に戻して、液晶６をパネル５内に注入する方法とが
あった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の液晶注入方
法では、配向膜表面などのパネル内面に存在する汚染物
（不純物）が液晶中に溶け込む結果、表示不良が発生す
ることがある。特に、能動素子型液晶表示パネルにおい
ては、汚染物の溶け込みによる液晶抵抗の低下が発生す
ると極めて敏感に表示不良に結びつくため、大きな問題
であった。これは液晶抵抗が低下すると各画素に書き込
んだ電荷が液晶層を通じてリークしてしまうためであ
る。

【０００５】本来、このようなパネル内面の汚染物はパ
ネル化前の洗浄により除去するのが理想であるが、パネ
ル内のごく微量の液晶の抵抗を低下させるごく微量の汚
染物を完全に除去するのは極めて困難であり、また、洗
浄工程後の汚染に関しては除去する手段がなかった。

【０００６】本発明は、表示不良の原因とする液晶パネ
ル内の汚染物を除去し得る液晶表示パネルの製造方法を
実現しようとする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示パネル
の製造方法に於いては、液晶パネル５に液晶注入口７と
排気口８を設け、排気口８から排気しながら液晶注入口
７より液晶６を液晶パネル５内に注入する液晶表示パネ
ルの製造方法において、液晶６が液晶パネル５内に充満
した後、少なくとも、液晶注入開始から液晶パネル５内
に充満する迄に要した時間と同一時間排気・注入を続行
することを特徴とする。

【０００８】また、それに加えて、上記液晶パネル５の
液晶注入口７に、液晶注入方向を左右に分流させる壁１
３を設けたことを特徴とする。この構成を採ることによ
り、液晶パネル内の汚染物を除去し得る液晶表示パネル
の製造方法が得られる。

【０００９】

【作用】図１は本発明の原理説明図であり、（ａ）は平
面図、（ｂ）は一部拡大断面図である。同図において、
５は液晶パネルであり、それぞれ透明電極１，１′、配
向膜２，２′が形成された１対のガラス基板３，３′を
対向させ、シール材４でシールされている。また該シー
ル材４には液晶注入口７と排気口８とが形成されてい
る。

【００１０】本発明は、この液晶パネル５に液晶６を注
入するとき、液晶注入口７を液晶中に挿入し、排気口８
より排気することにより、注入口７から進入した液晶６
が液晶パネル内に満ちていく。この時、液晶パネル５の
内面の汚染物は図１（ｂ）に矢印１２で示すように徐々
に液晶６の中に溶け出していく。

【００１１】そのまましばらく排気を続行すると、この
汚染物が溶け込んだ液晶６は排気口８より液晶パネル外
に出て、その分、新品の液晶６が注入口７より液晶パネ
ル５内に入る。以上のことをしばらく続行すると液晶パ
ネル５内の汚染物は液晶に溶け込んだ形で液晶パネル外
に排除され、液晶パネル５内は汚染のない液晶６で満た
されることになる。

【００１２】

【実施例】図２は本発明の実施例で使用した液晶パネル
を示す図で、（ａ）は平面図、（ｂ）は一部拡大断面図
である。同図において、３，３′はガラス基板（大きさ
約４×７cm）であり、各基板にはＩＴＯ（酸化インジウ
ム錫）によるストライプ状の透明電極（厚さ〜８００
Å）１，１′と、ポリイミドによる配向膜２，２′（厚
さ〜１０００Å）が設けられている。この配向膜２，
２′は表面をラビング処理後、特に洗浄を行なわず、そ
のままシール材４でシールし（配向膜２，２′の間隔は
〜５μｍ）パネル化を行なった。なお７はシール材４に
設けられた液晶注入口、８は排気口で、液晶注入口近傍
には、液晶を左右に分流する壁１３を設けてある。この
ような空の液晶パネル５を４枚作製した。

【００１３】次に液晶注入を行った。まず、空パネル５
の排気口８側に通常のロータリー型真空ポンプを接続し
た。この時ロータリーポンプからの油がパネル側に逆流
するのを防ぐためポンプとパネル間にはオイルトラップ
を挿入した。次いで、ロータリー型真空ポンプでパネル
５内を１時間排気した後、液晶注入口７を液晶溜め中の
液晶の中に挿入し、液晶６をパネル５内に導入した。約
４０分でほぼパネル５内に充満した。その後２枚のパネ
ルＡ，Ｂは本発明方法を実施するため、引続き排気及び
液晶注入を４時間続行し、その後排気及び液晶注入を止
め、液晶注入口７及び排気口８を封止した。他の２枚の
パネルＣ，Ｄは比較のため従来と同様に液晶６がパネル
５内に充満した時点で排気及び液晶注入を止め液晶注入
口７及び排気口８を封止した。

【００１４】次に、上記の如く作製したパネルの電圧保
持率を測定した。電圧保持率は上下両透明電極１，１′
間に５Ｖの電圧を印加し、１６．７ms（６０Hzの１フレ
ーム時間）後にｄｅｃａｙした割合（１６．７ms後の電
圧をＶｏとすると、Ｖｏ／５×１００）で定義した。測
定結果は表１の通りとなった。

【００１５】

【表１】

【００１６】表１より、本発明方法は、従来方法に比べ
て電圧保持率が高く、且つ再現性が良いことがわかる。
これは液晶パネルに液晶が充満した後、引続き排気及び
液晶注入を続行することにより、汚染物を溶解した液晶
がパネル外に除去され、パネル内に残った液晶は汚染物
を含まないため、抵抗低下が抑えられるためである。な
お液晶注入口近傍に設けた壁１３はパネル隅部の汚染除
去に有効である。

【００１７】

【発明の効果】本発明に依れば、液晶パネルに液晶を注
入する際、パネル内に液晶が充満した後も注入を続行
し、汚染物をパネル外に除去することにより、高電圧保
持率が再現性良く達成でき、液晶表示パネルの表示品質
を向上させることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の原理説明図で、（ａ）は平面図、
（ｂ）は一部拡大断面図である。

【図２】本発明の実施例で使用した液晶表示パネルを示
す図で、（ａ）は平面図、（ｂ）は一部拡大断面図であ
る。

【図３】従来の液晶表示パネルを示す断面図である。

【図４】液晶パネルへの従来の液晶注入方法を説明する
ための図である。

【符号の説明】

１，１′…透明電極 ２，２′…配向膜 ３，３′…ガラス基板 ４…シール材 ５…液晶パネル ６…液晶 ７…液晶注入口 ８…排気口 １３…壁

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液晶パネル（５）に液晶注入口（７）と
   排気口（８）を設け、排気口（８）から排気しながら液
   晶注入口（７）より液晶（６）を液晶パネル（５）内に
   注入する液晶表示パネルの製造方法において、 液晶（６）が液晶パネル（５）内に充満した後、少なく
   とも、液晶注入開始から液晶パネル（５）内に充満する
   迄に要した時間と同一時間排気・注入を続行することを
   特徴とする液晶表示パネルの製造方法。
2. 【請求項２】 上記液晶パネル（５）の液晶注入口
   （７）に、液晶注入方向を左右に分流させる壁（１３）
   を設けたことを特徴とする請求項１の液晶表示パネルの
   製造方法。