JPH0545081U - 複数の経糸および緯糸の層を有する繊維布 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】布のそれぞれの層を経糸、緯糸の真直な糸の群
から形成した多層構造の、非常に強力な織成多層繊維布
を提供する。 【構成】繊維布の複数の層は真直な糸から形成されてお
り、経糸から形成された複数の層２５，３５，４５と、
経糸の層の両側に経糸と直角の方向に延びるように重畳
された緯糸から形成された複数の層２０，３０，４０，
５０とを含み、更に表層と裏層とにおける緯糸に交互に
絡む一対の協働する拘束糸６０を含み、一方の拘束糸が
表層の緯糸上を延びているとき、他方の拘束糸は前記表
層の緯糸に重畳している裏層の緯糸の下を延びるように
なっている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】 この出願は１９８７年２月６日提出の“Woven Multilayered Textile Fabrics and Attendant Method of Making ”と題する同時系属出願第４７４８９９６号 の一部継続出願である。

【０００２】 この出願は布のそれぞれの層を経糸、緯糸の真直な糸の群から形成した多層構 造の織成繊維布に関する。層のそれぞれの緯糸は緯糸の層間に位置する真直な経 糸の層に対して重畳関係に配置される。布の全層を相互接続し緯糸を重畳関係に 維持するために協働対の拘束糸が設けられる。

【０００３】 この考案は親出願（特願昭６２−１６８５０３号：特開昭６３−１９６７３７ 号）の改良であり、経糸および緯糸の両者において増加した数の層の多層布の製 造を教示する。これは層が炭素繊維から形成され布が一般にコンポジットと呼ば れる繊維補強プラスチックにおける補強布として使用されるときに取り扱われる べき個々の布の数を減少する。また、コンポジットに利用される層の数の減少に より、補布強布の剪断強度が向上する。何故ならば、互いに接続しない布の層の 数が少ないからである。

【０００４】 この考案の他の特徴は、マトリックスが無い、即ち熱可塑性材料が無いときで も、各種形状に容易に順応して、布がプラスチックマトリックス材料と共に補強 媒体として採用されるコンポジットの成形とか予形成の際に布を所望の数の層を 堆積するのを容易ならしめる多層布構造を提供することである。

【０００５】 布のこの順応性は２方向、即ち緯糸方向と経糸方向にあり、布の糸が相互に対 して本質的にシフトし移動して布に対接する物体の所望形状に容易に順応する。

【０００６】 この考案の他の特徴は、この考案の布を織る新規な方法を提供することである 。

【０００７】 簡単に述べると、この方法は真直な経糸層を形成する複数の群の経糸を織機の 杼道へ指向させる一方、これらの群の経糸の杼道を形成することを含む。織成中 、緯糸の層は経糸群の両側に位置せしめられる。緯糸の層を真直な経糸の層と相 互接続するために、拘束経糸を源から積極的に杼道へ送り、また拘束糸は織成中 に経糸杼道を形成する。拘束糸の積極的送りの結果、拘束糸は実質的に無張力と なり、緯糸の所望真直状態をそれ程乱さない。

【０００８】 この考案の目的および利点の一部を述べたが、他のものは添付図面に関して考 察すれば明らかになろう。

【０００９】 図１乃至図３はこの考案により形成された典型的な多層布１０を模式的に示す 。図示のように、布は四つの緯糸層２０，３０，４０，５０と三つの経糸層２５ ，３５，４５とを有する７層構造のものとして示されている。比較的に小さい拘 束経糸６０は図示のように全７層をこれらと交織することにより拘束する。

【００１０】 図１乃至図３に示すように、緯糸層２０，３０，４０，５０は三つの経糸層２ ５，３５，４５に対して直角にこれらと交互に配置されることに注目されよう。 更に、７層の各々は識別層番号に添字“ａ”で示した一群の糸から形成される。 しかして、四つの緯糸層２０，３０，４０，５０のための糸はそれぞれ２０ａ， ３０ａ，４０ａ，５０ａとして識別されている。同様に、三つの経糸層２５，３ ５，４５に関し、これらの層を構成する糸の群はそれぞれ２５ａ，３５ａ，４５ ａで識別されている。

【００１１】 図示のように、緯糸２０ａ，３０ａ，４０ａ，５０ａは重畳関係に配置され、 経拘束糸６０によりこの関係に保持されている。経拘束糸６０は協働対として配 置され、各対の拘束糸は密接してチエンステッチ型の平織構造（図１、図２）を 形成し、各対の一方の拘束糸がある重畳経糸２０ａ，３０ａ，４０ａ，５０ａの 上を、また或る他の重畳緯糸の下を延びている。各対の他方の拘束糸は、図２に 示すように、前記或る重畳緯糸の下および前記或る他の重畳緯糸の上に対向して 織られる。この構成により、先に述べたように、緯糸は相互に重畳関係に維持さ れ、布構造の所望緊張性と密度を与え、所望時に或る用途に好適な或る型のバラ ンス布を得るのを助成する。

【００１２】 図３に良く示すように、各経糸層２５，３５，４５を構成する経糸は対として 配置され、協働対の拘束糸は経糸２５ａ，３５ａ，４５ａの各対間を延びている 。隣接拘束糸６０間に１対の経糸２５ａ，３５ａ，４５ａを持つ代わりに、この 間により少ない、または多い数の経糸を配置できることは勿論理解されよう。

【００１３】 図４乃至図７を参照して、織成構造およびこの考案の７層布を織る態様につい て述べる。図４は図２に示したような織パターンの反復部分を示し、各対の緯糸 はこの７層織構造の４ピック反復パターンを容易に理解するために図５に示すよ うに異なる態様でハッチングされている。更に図４に関し、経糸２５，３５，４ ５の各層は１，２，３で簡単に示され、拘束糸６０は４，５でそれぞれ示されて いる。

【００１４】 図６に関し、この図は７層布の反復パターンを生ぜしめるために四つのピック を包含することに注目されよう。各ピックは二つまたは１対のピックであること に留意して、第１および第３のピックは真直な糸の層を構成する経糸の位置に関 して互いに等しく、また拘束糸４，５のみが第１ピックの位置と逆になっている 。同様に、第２ピックと第４ピックを比較すると、これらのピックは拘束糸４， ５が互いに反対になっていること以外は同じである。

【００１５】 布パターンの典型的な織成レイアウトを示す図７に関し、図７を適正に読むた めには、“ｘ”は特定の識別された経糸の持ち上げを示し、また“ｘ”がない場 合はかかる経糸は最低位置にあることを示すことを理解すべきである。四つのピ ックの各々に現われる小円は経糸の中央を示す。例えば、図７に示されたような 第１ピックを見るに、経糸番号１は図６から容易に明らかな中央位置にあり、経 糸番号１はピックの上方対と下方対との間にあることに注目されよう。図７に示 す第１対のピックに関し、経糸５のみが持ち上げられて緯糸の二重ピックの上に 延びていることに注目されよう。図７の説明を続けるに、布の第２ピックに関し 、経糸１，２，５は、持ち上げられたものとして示され、第３経糸は非持ち上げ 位置にあり、経糸４は降下位置にあることに注目されよう。布の最初の二つのピ ックについて述べたことは、図６を図７と比較すれば容易に理解されよう。

【００１６】 この点において、この布の織成では、筬打のときの布の第２ピックは第２ピッ クを構成する緯糸の対を第１対のピックと重畳関係に位置させ、即ち四つの全ピ ックは図１乃至図４に模式的に示す布に図解されたように重畳関係に配置される 。

【００１７】 図６、図７を検討すると、第３ピックは拘束糸４，５が交差しかつ反転位置に あること以外は第１ピックと同じであることに注目されよう。同様に、第２ピッ クと比べて第４ピックは拘束糸４，５の反転および交差以外は同じである。

【００１８】 第２および第４のピックに関して生起する筬打の結果、第２および第４のピッ クの緯糸が第１および第３のピックを構成する緯糸に対して重畳関係に必然的に 再位置せしめられる。これは織成パターン、即ち、特定構成の全経糸の案内作用 に起因する。図６を注意深く検討すると、これを理解する助けになる。

【００１９】 緯糸を布中に真直な状態に維持するために、本出願人の前記親出願に開示され たように、拘束経糸６０は、周知の積極的駆動装置により駆動される一連の送り ローラを通じて積極的駆動装置により実質的に無張力状態で送られる。しかして 積極的駆動装置は拘束糸を実質的に無張力状態で前方へ送り、これにより拘束糸 に張力が付与されるのを回避し、拘束糸が布の四つの緯糸層２０，３０，４０， ５０を形成する緯糸２０ａ，３０ａ，４０ａ，５０ａの直線条件を乱すことがな いようにする。しかして、拘束糸６０は重畳緯糸を図示の態様で維持する。

【００２０】 この考案の方法によれば、７層布１０は四つの緯糸層と三つの経糸層とから形 成された４ピック布であり、緯糸の１対のピックを同時に挿入して真直緯糸層の 二つを形成する一方、この間に経糸の層を位置させ、またこの一方、両緯糸の下 に経糸の残り二つの層を位置させるステップを含む。このピックの間に、１対の 拘束糸６０は織成中の布の７層の上下に延びるように位置し、布は拘束糸の位置 を変化することなく筬打される。続く対のピックは経糸の異なる層、即ちその間 で第１ピックと比べられる経糸の異なる層の両側に位置する。経糸の残り二つの 層は両緯糸の上に延び、筬打は緯糸の最後の対のピックをその下に、先に挿入さ れた緯糸の対のピックと垂直方法に実質的に整合して位置させるのに役立つ。こ の点においてこれら二つのピック後で、拘束糸６０は拘束糸が互いに交差するよ うに反転し、また次の二つのピック、即ち緯糸の第３および第４のピックのため の先に述べた織成ステップが最初の二つのピックと同様の態様で進行する。

【００２１】 先に示したように、図１乃至図３に示すように、布の全７層を形成するのに強 力糸が利用され、また比較的に強力な糸が拘束糸に利用されるとき、取引上一般 にコンポジットと呼ばれる繊維補強プラスチックにおける補強糸として使用する のに理想的な非常に強力な布が得られる。今日までに作られた布には、布の７層 を形成する糸の全部が炭素であるような構造のものが含まれ、炭素経糸は１２Ｋ サイズであり、６ｋ糸で形成された緯糸の寸法の２倍である。拘束糸は典型的に はピークヤーン（ Peek Yarn ）３Ｋ炭素糸のような耐高温、熱可塑性糸の０． ００５モノフィラメントである。

【００２２】 先に示したように、形状保持は予形成を行った親出願におけるようにこの考案 の重要な特徴であるが、この考案の更に重要な特徴は、例えば所望形状の成形型 における布の層の堆積において布を載置場所に留まらせるよう所望形状に順応す る布の能力である。

【００２３】 しかして、この考案により多種多様な布を作ることができ、複数の経糸層の総 ておよび複数の緯糸層の総てを同じ型の繊維の糸から作るか、または特定の最終 用途のために布の両面を異なる糸から形成するために選択された型の繊維を利用 できる。複数の経糸および複数の緯糸を示された態様で配列することにより、即 ち緯糸を重畳堆積関係にすることにより、非常に強力な独特の布をこの考案によ り得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案により形成された７層織成布の模式
図。

【図２】図１の２−２線に沿って布の経方向にとった模
式断面図。

【図３】図１の３−３線に沿って布の緯方向にとった模
式断面図。

【図４】布の経方向にとったもので布の一反復を示す図
２と同様の模式断面図。

【図５】布の反復パターンを理解する助けになる識別ピ
ック図。

【図６】布の反復パターンの四つの二重ピックの各々の
期間の経糸および緯糸の位置を示す図。

【図７】布の反復パターンの四つのピックの各々におけ
る経糸の位置を従来の態様で示す織成図。

【符号の説明】

２０ 緯糸層 ３０ 緯糸層 ４０ 緯糸層 ５０ 緯糸層 ２５ 経糸層 ３５ 経糸層 ４５ 経糸層 ６０ 拘束糸

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 // Ｃ０８Ｊ 5/04 7188−4Ｆ

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 真直な経糸から形成された複数の糸層お
   よび前記真直な経糸の層と交互に配置された真直な緯糸
   から形成された複数の糸層を有する織られた多層の容易
   に成形可能な繊維布であって、前記緯糸層の一部は布の
   両面を規定し、前記複数の層の緯糸は重畳関係にありか
   つ経糸に対して直角に延び、比較的に小さい拘束経糸は
   前記層の真直な経糸と緯糸を相互接続し、各層の真直な
   経糸は互いに非常に接近しかつ前記比較的に小さい拘束
   糸のみにより分離、離間され、前記拘束糸はまた前記緯
   糸を前記重畳関係に維持するのに役立ちかつ協働対とし
   て配置され、各対の一方の拘束糸は各対の他方の拘束糸
   に対して対向関係に織られ而して一方の拘束糸が或る重
   畳緯糸の全部の上および或る他の重畳緯糸の全部の下を
   延び、各対の他方の拘束糸は前記或る重畳緯糸の下およ
   び前記或る他の重畳緯糸の上を延びるようにした、織成
   繊維布。
2. 【請求項２】 布の両面を規定する前記緯糸の層は布の
   両面に同じ特性を与えるために同じ材料から形成される
   請求項１記載の織成繊維布。
3. 【請求項３】 前記緯糸の全層は炭素繊維から形成さ
   れ、前記経糸の全層も炭素繊維から形成され、而して布
   は繊維補強プラスチックにおける補強布として使用する
   のに適した請求項１記載の織成繊維布。
4. 【請求項４】 前記経糸の全層および前記緯糸の全層は
   炭素繊維から形成され、前記拘束糸は非炭素繊維から形
   成されかつその横断面積が前記炭素繊維から形成された
   糸よりも非常に小さいものである請求項１記載の織成繊
   維布。