JPH0543935Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は曲板機（プレスブレーキ等）に取り付
け、Ｖ曲げ２工程では不可能な僅かな寸法の段曲
げ（Ｚ曲げ）を、１工程で行うことの出来るプレ
ス用段曲げ金型装置に関するものである。

〔従来の技術と問題点〕

従来、段曲げ金型は得ようとする段差の寸法に
基いてその都度製作された固定金型（ブロツク或
はブレード）を組合せて使用する面倒があり、ま
た段差の寸法に応じ多種類のブロツクやスペーサ
ーを備えておかない限り、迅速な作業をすること
は困難であつた。

第５図は上記に係る従来装置の使用状態を示し
ており、上記問題点の外にブロツクT₁，T₂は専
らホルダーＦとの関係でθ＝45°の傾斜角を有す
るように取付けられていることから、加工板Ｇの
加工作業に於いてプレス機構造体への非干渉長１
を曲げ加工部位長ｈとの比で１：１以上に大きく
とることは絶対に不可能な問題であつて作業上の
不便がある。

（課題を解決するための手段） 本考案は上記問題点を解決して飛躍的な作業効
率の向上を図らんとするものであり、その特徴と
するところは上型及び下型の母体（ホルダー）に
正方形で且つ角面が異なるＲに形成したブレード
が入るに充分な深さの角溝を垂直線に対し15°の
傾斜角を有する状態に穿設し、且つ各角溝底に適
宜得ようとする段差に等しい厚さのスペーサーを
挿入可能とする構成となしたことにある。

（実施例） 第１図は本考案装置の縦断面図であつて、１は
上部プレス本体Ａに対し着脱自在となされる上型
母体（ホルダー）、２は下部プレス本体１３に着
脱自在となされる下型母体（ホルダー）であつて
前者は下向きに、後者は上向きに次述する正方形
のブレードが入るに充分な深さの角溝３，４が穿
設されてなる。こゝに各角溝３，４は共通の垂直
線Ｏに対して共にθ＝15°の傾斜角を有する状態
に穿設される。

第２図は上記各角溝３，４に嵌入させる正方形
のブレード５であつて、４面のコーナーm₁，
m₂，m₃，m₄は後述するプレス作業時の折り曲げ
角面を形成するものとなることから、夫々れ異な
るＲに形成されており、これにより加工板厚並び
に段差寸法に最も条件の良いＲを４面の各コーナ
ーの中から簡便に選択することができる。

第３図は使用状態図であつて使用に当つては各
角溝３，４の底に適当肉厚ｔのスペーサー６を挿
入し、次にブレード５を嵌入させるのであり、上
型母体１に対してはその落下防止のために外部よ
り押しネジ８を使用して止着させるようになして
ある。

７は加工板であつて図示しない駆動手段の作動
で上部プレス本体Ａを上昇させ、上記構成のブレ
ード５，５間に置いて上部プレス本体１を下降さ
せることにより加工板７を加圧する。第４図は製
品図であつてスペーサー６の肉厚ｔに相当する段
差Ｐの形成されたものとなる。

（考案の効果） 本考案に於いてブレード５を嵌入させるための
各角溝３，４を垂直線に対しθ＝15°の傾斜角を
有する状態に穿設することは第３図及び第５図に
見られる通り、従来のθ＝45°のものに比べてプ
レス機構造体への非干渉長1¹を!?か大となすこと
のできるものであり、即ち図面で従来（θ＝45°）
に於ける曲げ加工部位ｈとの比で非干渉長１はｈ
と同等の１以上にはならないが、本考案（θ＝
15°）に於けるそれはｈ：1¹＝１：3.7であるから、
即ち3.7倍に拡大された広い範囲のものとなる。

また、従来例ではブレード５を上下プレス本体
に対し、共にネジボルトなどで移動不能の状態に
止着固定することを必要とするが、本考案に於い
ては上部プレス本体１のみの止着で良く、しかも
１つのブレード５で適宜４面の異なる折り曲げ角
面が形成されること、及びスペーサー６は各角溝
底へ入れるだけで良いこと、相俟つて、従来例の
如き繁雑性が全く無くて省力化と作業性能の向上
に寄与すること極めて大ならしめるものである。
また簡単な構成のため製作費が大きく軽減し且つ
精度上も極めて優れて品質向上にも貢献する上で
著効を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の縦断面図、第２図は本考
案で使用するブレードの拡大正面図、第３図は使
用状態図、第４図は製品図、第５図は従来装置を
示すものである。 １……上部プレス本体、２……下部プレス本
体、３，４……角溝、５……ブレード、６……ス
ペーサー、７……加工板。