JPH0543022Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は複数ワイヤロープで荷又は吊り具を吊
り下げる際にワイヤロープの長さの違いにより荷
又は吊り具が傾斜するのを調整して安全性と作業
の合理化を図るために用いるワイヤロープ接続装
置に関するものである。

［従来の技術］ 製鉄所、製紙工場等においては、比較的長尺物
で大重量の荷を取り扱う場合が多く、かかる場
合、たとえば、第７図に示す如く吊ビームａを介
して荷ｂを吊るという吊ビーム型荷役装置が採用
され、複数のワイヤロープｃ，ｄで吊ビームａを
吊り下げ支持するようにしている。ｅは建屋ｆ側
のレール、ｇはクレーンガーダ、ｈはトロリであ
る。

上記複数のワイヤロープｃ，ｄで吊ビームａを
吊り下げ支持する場合、あるいは複数のワイヤロ
ープｃ，ｄで直接荷を吊り下げるようにした場合
において、ワイヤロープｃとｄの長さの違いによ
り吊ビームａ又は荷ｂが傾斜した場合は、安全性
確保のためにその傾斜を調整する必要がある。

従来、上記複数のワイヤロープｃ，ｄの長さの
違いによる荷又は吊り具の傾斜を補正するため
に、ワイヤロープｃ，ｄで吊ビームａを支持する
方式では第７図に示す如くワイヤロープｃ，ｄと
吊ビームａとの間に、吊ビームａの傾斜を補正す
るためのワイヤロープ接続装置Ａを装着してい
る。

従来のワイヤロープ接続装置Ａは、第８図に示
す如く、上部にワイヤロープｃ又はｄの結着用ピ
ンｉを支持し且つ下部にクロスヘツドｊを支持し
た本体ｋの上記クロスヘツドｊに、上下方向に貫
通する孔を形成し、且つ下端部に吊ビームａ側の
リンクプレートｌを支持させたロツドｍの上部に
ねじｎを刻設し、該ロツドｍの上端部のねじｎ部
をクロスヘツドｊに貫通させて上方へ突出させ、
クロスヘツドｊの上面より上方へ突出したロツド
ｍの上端部にナツトｏを螺合させ、該ナツトｏを
回わすことによつて本体ｋとロツドｍとの相対位
置を変えてワイヤロープｃ又はｄの長さを調整さ
せるようにしてある。

［考案が解決しようとする課題］ ところが、上記従来のワイヤロープ接続装置で
は、本体ｋのクロスヘツドｊに通したロツドｍの
上端にナツトｏを螺合させ、荷重をロツドｍとナ
ツトｏのねじ部を介してクロスヘツドｊで受ける
ようにし、ナツトｏを回わすことによつてロツド
ｍを上下移動させてワイヤロープｃ又はｄの長さ
を調整するようにしたものであるため、ねじ部に
亀裂が発生し易い問題があると共に、ロツドｍと
クロスヘツドｊとの間には回転止めがなく両者は
互いに自由に回転できるため、ワイヤロープｃ又
はｄの自転を抑えることができず、ワイヤロープ
の自転によるワイヤロープの伸びが出る、という
問題があり、更に、構造上、ナツトｏが緩み易
い、という問題もある。

そこで、本考案は、ねじ部による亀裂発生の問
題をなくし且つワイヤロープが自転するおそれの
ないワイヤロープ接続装置を提供しようとするも
のである。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、上記目的を達成するために、上部に
ワイヤロープの結着部を有し且つ下部にクロスヘ
ツドを有する本体の上記クロスヘツドに、頭付き
のロツドを貫通させ、上記クロスヘツドとロツド
との間に、ロツドとは軸心方向へのみ相対移動で
きるようにブツシユを介在させると共に、該ブツ
シユの上面とロツドの頭部下面との間に高さ調整
用部材を着脱自在に介在させ、更に、上記ブツシ
ユとクロスヘツドとの間に回転止めを施こし、上
記ロツドの下端部に吊り具又は荷を支持させるよ
うにした構成とする。

［作用］ クロスヘツドに嵌入して回り止めしてあるブツ
シユに、頭付ロツドの頭部側が回転できないよう
に且つ上下動自在に貫通してあるので、本体のク
ロスヘツドに対してロツドが回転することはな
く、ワイヤロープの自転は防止できる。又、ロツ
ドと本体との間にねじ部はなく、ブツシユとロツ
ドの頭部との間に介在させた高さ調整用部材を、
厚さの異なるものに取り換えることにより全体の
長さが調整できるようにしてあるため、亀裂が発
生することもなくなる。

［実施例］ 以下、図面に基づき本考案の実施例を説明す
る。

第１図乃至第４図は本考案の一実施例を示すも
ので、上部にワイヤロープ２の結着部３を有し且
つ下部にクロスヘツド４を有する本体１の上記ク
ロスヘツド４に、後述する頭付きの断面丸形のロ
ツド５の該頭６の径よりも大きい貫通孔７を上下
方向に形成し、該貫通孔７の内面と該貫通孔７に
挿通する上記ロツド５の外面との間に、上端部に
フランジ部を有する二つ割型のブツシユ８ａ，８
ｂを介在させ、いずれか一方のブツシユ８ｂとロ
ツド５との間に軸心方向へ延びるキー９を挿入
し、ブツシユ８ｂとロツド５とが軸心方向にはス
ライドできるが回転方向には一体的となるように
する。又、上記ブツシユ８ａ，８ｂの各フランジ
部の下面とクロスヘツド４との間には、ブツシユ
８ａ，８ｂの回転を止めるためのノツクピン１０
を配して、ブツシユ８ａ，８ｂとクロスヘツド４
とを係合させるようにすると共に、クロスヘツド
４の下側にてブツシユ止めナツト１１をブツシユ
８ａ，８ｂの下端部に螺合できるようにし、ブツ
シユ止めナツト１１でブツシユ８ａ，８ｂを引き
下げてクロスヘツド４に上方より押し付けている
ようにし、更に、上記ブツシユ８ａ，８ｂの各フ
ランジ部上面と挿入されたロツド５の頭部６との
間に、第４図の如く二つ割型にしてかみ合わせボ
ルト１３にて一体化できるようにしてある高さ調
整用部材１２ａ，１２ｂを介在させ、上記キー９
で回り止めを図るようにする。上記高さ調整用部
材１２ａ，１２ｂは、たとえば、厚さが20mmから
150mm位までのものをいくつか用意しおき、調整
代に合わせて最適厚さのものを取り換えて使用す
るようにする。

なお、ロツド５の一端部は、吊ビーム上のリン
クプレート１４に連結させるか、あるいは直接荷
に連結させるようにする。

今、第７図に示してあるように複数のワイヤロ
ープで荷を吊る場合には、本考案の装置を従来の
装置Ａに代えて用いる。この場合に、互にワイヤ
ロープの長が異なるために吊荷が傾斜するような
ときは、短かい方のワイヤロープ側の本考案の装
置により該ワイヤロープの長さを長くするように
するか、あるいは、長い方のワイヤロープ側の本
考案の装置により該長い方のワイヤロープの長さ
を短かくなるように調整させる。ワイヤロープの
長さを長くしたいときは、第１図に示す二つ割型
の高さ調整用部材１２ａ，１２ｂを、厚さの薄い
高さ調整用部材１２ａ，１２ｂに置き換えるよう
にする。これにより本体１とロツド５とからなる
本考案の全体の長さが長くなるので、ワイヤロー
プの長さを補正することができる。又、ワイヤロ
ープの長さを短かくしたいときは、厚さの厚い高
さ調整用部材１２ａ，１２ｂをロツド５の頭部と
ブツシユ８ａ，８ｂのフランジ部上面との間に装
着することにより本考案の全長を短かくすること
ができて、ワイヤロープ長さを調整できる。かか
るワイヤロープ長さ調整作業は、ロツド５を持ち
上げるだけでよいため、作業が非常に簡単であ
る。この際、ブツシユ８ａ，８ｂは、ブツシユナ
ツト１１でクロスヘツド４に係止されているた
め、上記ロツド５が上方へ移動させられるときに
クロスヘツド４から外れるようなことはない。

荷役作業中は、荷重はロツド５、ロツドの頭部
６、高さ調整用部材１２ａ，１２ｂ、ブツシユ８
ａ，８ｂの順に伝えられ、ブツシユ８ａ，８ｂか
らクロスヘツド４に伝えられるが、ロツド５の頭
部６は高さ調整用部材１２ａ，１２ｂ上に乗せら
れているだけであり、従来の如きねじ構造を用い
ていないので、荷重伝達部に亀裂を発生させるお
それがない。又、ロツド５と高さ調整用部材１２
ａ，１２ｂ及びブツシユ８ａ，８ｂとは、キー９
により回転が止められ、更に、ブツシユ８ａ，８
ｂとクロスヘツド４とはノツクピン１０で回転が
止められているので、荷役中にロツド５と本体１
が相対的に回転するようなことがなく、したがつ
て、ワイヤロープの自転を防止することができ
る。

なお、上記実施例では、ロツド５を断面形状が
丸形のものを用い、これに伴ない高さ調整用部材
１２ａ，１２ｂやブツシユ８ａ，８ｂは互に合わ
せたときに丸孔が形成されるようなものを使用し
た場合を示したが、第５図及び第６図に示す如く
断面が角形のロツド５ａを用いると共に、これに
対応する高さ調整用部材１２ｃ，１２ｄ、ブツシ
ユ８ｃ，８ｄを用いるようにしてもよい。この角
形断面のロツド５ａを用いる場合は、回転止めの
ためのキー９を省略することができる。又、二つ
割型とした高さ調整用部材１２ａ，１２ｂ又は１
２ｃ，１２ｄは上下方向からかみ合わせることに
よつて互に引張つても離れないように係合できる
ものであれば、図示の如き鈎型以外の形状にして
もよい。

［考案の効果］ 以上述べた如く、本考案のワイヤロープ接続装
置によれば、上部にワイヤロープを結着できるよ
うにした本体の下部にクロスヘツドを有し、該ク
ロスヘツドに上下方向に貫通した孔に、頭付のロ
ツドを挿通させ、該ロツドと貫通孔との間に挿入
したブツシユとクロスヘツドとの間に回り止めを
施こし、更に、ロツドの頭部と上記ブツシユの上
端との間に着脱自在に高さ調整用部材を介在さ
せ、該高さ調整用部材の厚さを変えることにより
全体の長さを変えてワイヤロープ長さを調整する
ようにしてあるので、ねじにより長さの調整を行
う従来方式における如き亀裂発生を防止でき、且
つワイヤロープの自転を防止してワイヤロープの
自転によるロープ長さの変動のおそれもなくすこ
とができ、更に、ねじ構造に比して緩みの問題も
ない、等の優れた効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す切断側面図、
第２図は第１図の方向矢視図、第３図は第１図
の−断面図、第４図は第１図の−断面
図、第５図は本考案の他の実施例を示すもので第
３図に対応する図、第６図は本考案の他の実施例
を示すもので第４図に対応する図、第７図は吊ビ
ーム型荷役装置の一例を示す概略図、第８図は従
来例を示す断面図である。 １……本体、２……ワイヤロープ、４……クロ
スヘツド、５，５ａ……ロツド、６……頭部、７
……貫通孔、８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄ……ブツシ
ユ、９……キー、１０……ノツクピン、１２ａ，
１２ｂ，１２ｃ，１２ｄ……高さ調整用部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上部にワイヤロープの結着部を有し且つ下部に
   クロスヘツドを有する本体の上記クロスヘツド
   に、上下方向に貫通する孔を設けて、該貫通孔に
   頭付のロツドを貫通させ、上記クロスヘツドの貫
   通孔内面と上記ロツドの外面との間に挿入したブ
   ツシユに、上記ロツドが軸心方向にのみ移動でき
   るようにすると共に、上記ブツシユとクロスヘツ
   ドとの間に回り止めを施こし、更に、上記ブツシ
   ユとロツドの頭部との間に、高さ調整用部材を着
   脱自在に介在させ、上記ロツドの下端部に吊り具
   又は荷を支持させるようにしたことを特徴とする
   ワイヤロープ接続装置。