JPH0542830A - 作業車の原動部 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 エンジンボンネット２内部に、ラジエータ
３、エンジン４、前方吹出し型の冷却ファン５をこの順
に後から前に向けて配置するとともに、エンジン４の左
右及び上側を覆うインナーカバー２０をエンジンボンネ
ット２に内装し、このインナーカバー２０の内部空間が
冷却ファン５によって生起される冷却風の通路Ｓとなる
状態に、インナーカバー２０の形状を設定する。 【効果】 エンジンボンネットの大型化とかエンジンに
対する空冷作用の悪化を招来することなく、冷却効率の
向上と冷却騒音の低減化とを実現できる利点大なトラク
タの原動部を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、トラクタや芝刈機とい
った作業車に係り、詳しくは、エンジンボンネット内部
の原動部構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、実開平３−１１９５９号公報に
示されたもののように、エンジンボンネット内に、後か
ら前に向けてラジエータ、エンジン、冷却ファンをこの
順に配置し、冷却排風を前方に向けて排出するようにし
た冷却構造を持ったトラクタが知られている。この型式
では、熱い冷却排風を操縦部から離れた機体前方に排出
できるとともに、冷却ファンに吸い込まれる風によって
エンジンに空冷作用を付与できる利点がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、この技術で
は、ラジエータと冷却ファンの間における冷却風の通路
の断面積は、エンジンボンネットの内部空間における横
断面積に等しい大なるものとなるため、冷却ファンのフ
ァン径が大きくなるとか、大出力ファンになる、あるい
は、高回転型にする必要があって、冷却に要する馬力が
多くなり、しかもそれによる騒音が大になる不利面があ
った。本発明は、前記冷却構造を採りながらも冷却ファ
ンに起因する上記不利面を解消して、冷却ファンの効率
化とファン騒音の低減とを実現させる点に目的を有する
ものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的の達成のために
本発明は、エンジンボンネット内部に、ラジエータ、エ
ンジン、冷却ファンをこの順に配置するとともに、エン
ジンを可及的に覆うインナーカバーをエンジンボンネッ
トに内装し、このインナーカバーの内部空間が冷却ファ
ンによって生起される冷却風の通路となる状態に、イン
ナーカバーの形状を設定してあることを特徴とするもの
である。

【０００５】

【作用】前記特徴構成によれば、インナーカバーの新設
によってエンジンの周囲を通過する冷却風通路の断面積
をエンジンボンネット内空間の断面積に比べて小にする
ことができるので、それによって、冷却風の流速を従来
に比べて同じあるいは若干速めるようにしながらも冷却
ファンの吸引力を従来よりも小に、すなわち冷却ファン
を小出力化することが可能になる。つまり、エンジン周
りの冷却風経路の縮小化を図ることによって、エンジン
に対する空冷作用を無くすことなく冷却効率の向上と冷
却騒音の低減化とを一挙に実現させることが可能にな
る。

【０００６】

【発明の効果】従って、エンジンボンネット内にさらに
エンジンカバーを設けるという考えにより、エンジンボ
ンネットの大型化とかエンジンに対する空冷作用の悪化
を招来することなく、冷却効率の向上と冷却騒音の低減
化とを実現できる利点大な作業車の原動部を提供し得
た。

【０００７】

【実施例】以下に、本発明の実施例を作業車の一例であ
るトラクタの場合について図面に基づいて説明する。図
１にトラクタが示され、１は前輪、２は開閉自在なエン
ジンボンネット、３はラジエータ、４はエンジン、５は
前方吹き出し型の冷却ファン、６はマフラー、７はクラ
ッチハウジング、８は後輪、９は操縦部である。冷却フ
ァン５や図示しないＰＴＯ軸をベルト駆動するダブルプ
ーリ１０，１０がクランク軸１１に取付けてあり、図４
に示すように両プーリ１０，１０間の隙間を塞ぐゴムリ
ング１９とプーリ外面に貼着するゴムシート１２とを設
けて、ダブルプーリ１０，１０の回転に伴う騒音を軽減
してある。また、図１、図３に示すように、防塵カバー
を兼ねるラジエータ取付板１３は、その支点Ｐが推進軸
１４の上側に設けられた回動軸１５を軸支する受台１６
に取付けてあり、回動軸１５にクラッチシフタ１７およ
びクラッチ操作アーム１８を取付けてある。

【０００８】図１、図２に示すように、エンジン４を覆
うインナーカバー２０をエンジンボンネット２に内装
し、このインナーカバー２０の内部空間が前記冷却ファ
ン５によって生起される冷却風の通路Ｓとなる状態に、
インナーカバー２０の形状を設定してある。すなわち、
左右側壁２０ａ、上壁２０ｂ、冷却ファン５に接続す
る、前壁２０ｃ、ラジエータ３の周囲に接続する後壁２
０ｄからインナーカバー２０を構成するとともに、ラジ
エータ３後部のボンネット左右の側部に設けた吸気グリ
ル２１の内側位置に、前記後壁２０ｄに接続するパンチ
ングメタル製のガイドカバー２２，２２を取付けてあ
る。また、エンジンボンネット２の上面２ａには、ラジ
エータ３後部の吸気側空間２３にエアダクト２４を有し
た凹入部２５が形成してあるとともに、エンジンボンネ
ット２の前面には排気グリル２６が形成してある。前記
上壁２０ｂは内部の点検整備が行えるように開閉可能に
構成してあり、マフラー６もインナーカバー２０の内部
に配設してある。以上の構造により、冷却風の通路Ｓの
通路面積が絞られて冷却効率が向上するとともに、エン
ジン４に対する防塵性も向上するようになる。

【０００９】〔別実施例〕図５に示すように、エンジン
４とエンジンボンネット２との上下間隔が少ない場合
に、上壁２０ｂを省略したインナーカバー２０を設け、
閉じ状態におけるエンジンボンネット２の凹入部２５の
裏面がインナーカバー２０の上壁の役割を行うようにし
たものでも良い。また、エンジンボンネット２の左右内
幅が狭い場合には、エンジン４の左右一方だけに側壁２
０ａを設けたインナーカバー２０でも良く、これら及び
前述した実施例のインナーカバー２０を総称して「エン
ジン４を可及的に覆うインナーカバー２０」と定義する
ものである。

【００１０】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】エンジンボンネットの内部構造を示す側面図

【図２】エンジンボンネットの内部構造を示す平面図

【図３】ラジエータの支持構造を示す要部の断面背面図

【図４】ダブルプーリの構造を示す一部切欠き側面図

【図５】インナーカバーの別構造を示すエンジンボンネ
ット内部の側面図

【符号の説明】

２ エンジンボンネット ３ ラジエータ ４ エンジン ５ 冷却ファン ２０ インナーカバー

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンボンネット（２）内部に、ラジ
   エータ（３）、エンジン（４）、冷却ファン（５）をこ
   の順に配置するとともに、前記エンジン（４）を可及的
   に覆うインナーカバー（２０）を前記エンジンボンネッ
   ト（２）に内装し、このインナーカバー（２０）の内部
   空間が前記冷却ファン（５）によって生起される冷却風
   の通路となる状態に、前記インナーカバー（２０）の形
   状を設定してある作業車の原動部。