JPH0542783Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は自動車のリヤシートに取付けられる
アームレストが、急制動などで前向きの衝撃を受
けたとき、シートバツクに設けられた格納凹部か
ら飛び出さないようにする機構に関するものであ
る。

「従来の技術」 リヤシートのアームレストが前向きの衝撃によ
り、格納凹部から飛び出すのを防止するため次の
ような手段が採用されている。

その一は、アームレストのシヤフトにブラケツ
トを取付けるとともに、シートバツクフレーム側
に板ばねを取付ける。そしてアームレストを引き
出すときにはブラケツトが板ばねを乗り越えるよ
うにし、衝撃時には板ばねへブラケツトが衝突し
てブラケツトの移動を阻止する。

その二は、アームレストを２点ヒンジでシート
バツクフレームに取付ける。アームレストを引き
出すときには、一度アームレストを持ち上げたの
ち前へ回動させる。衝撃を受けるとアームレスト
は前方へ飛び出そうとするが、上向きの荷重がか
からないため、アームレストは飛び出さない。

その三は、アームレスト及びリヤシート本体に
機械的なロツク機構を取付けてアームレストをロ
ツクし、飛び出しを防止する。アームレストを引
き出すときには、ロツク機構に連結したストラツ
プベルトを引つ張つてロツクを解除する。

「考案が解決しようとする問題点」 ところで衝撃を受けたときには、アームレスト
のシヤフトへ大きな荷重がかかるため、前記いず
れの手段も強度を持たせる必要があり、コスト高
の原因となつていた。

「問題点を解決するための手段」 そこでこの考案は、衝撃時に格納したアームレ
ストの上部にかかる荷重は、シヤフトに比べては
るかに小さいことに着目してなされたものであつ
て、アームレストの飛び出し防止機構のコスト低
減を図ることを目的とする。その要旨は以下のと
おりである。

リヤシートのシートバツクに形成されたアーム
レスト格納凹部の上部のシートバツクには、格納
凹部の内側へ突出するストツパを取付ける。

アームレストには、アームレストを格納した状
態に於いて、ヒンジを軸としてくの字状に形成さ
れた係止片の下片が、ヒンジを格納凹部の内側へ
向けて取付けられる。又、ヒンジにより起伏自在
で前記ストツパへ係止可能な上片に、ストツパの
下から格納凹部外へ延出する引出し部材が取付け
られる。

「作用」 アームレストが前向きの衝撃を受けると、シヤ
フトを軸としてアームレストは前方へ回動し、従
つて係止片も前方へ移動する。移動した係止片の
上片の端部はストツパへ当接して、ヒンジを軸と
して立ち上がるのでストツパにより上片は係止さ
れてアームレストは飛び出さない。

アームレストを使用するときには、引出し部材
を引き出すと、上片はヒンジを軸として倒れてス
トツパの下になる。従つて上片はストツパに係止
されないので、アームレストを引き出すことがで
きる。

又アームレストを格納するときには、上片がス
トツパへ当接するとヒンジを軸として倒れるの
で、アームレストを格納凹部へ格納できる。

「実施例」 以下図示する実施例に基づいて、この考案を詳
細に説明する。

１はリヤシートのシートバツク、２は表皮、３
はアームレストの格納凹部である。

４はストツパであつて、実施例ではトリムの一
種である塩化ビニルなどの合成樹脂製の玉ぶちを
用いており、表皮２にくるまれた状態で格納凹部
３の上部前側に基部５を縫い付けられ、格納凹部
３の内側へ向かつて突出する。

この玉ぶちは、自動車用シートに装飾用縁どり
として多用されるものであり、シートメーカーに
とつては容易に入手できるうえ安価である。

６は係止片であつて、第２図に示すように長方
形のポリプロピレンなどの合成樹脂板に溝６′が
凹設されている。係止片６はこの溝６′で「く」
の字状に折り曲げられて、屈曲部はヒンジ７を形
成する。８は係止片の上片、９は下片である。そ
してアームレスト１０を格納凹部３へ格納した状
態に於いて、係止片６は、ヒンジ７を格納凹部３
の内側へ向けて、アームレスト１０の表皮１１と
同じ表皮材を用いた、引出し部材１２にくるまれ
ており、下片９はアームレスト１０に縫い付けら
れている。そして上片８はヒンジ７により起伏自
在であり、その端部はストツパ４に当接ないし当
接可能な位置にある。

１２は引出し部材で、袋状の表皮材を二重折り
にされた状態のストラツプベルトが用いられてい
る。その上側１３は、ストツパ４の下を通つて係
止片６をくるみ、上片８の前端部に縫い付けられ
ている。さらに上側１３は下片９とともに、アー
ムレスト１０の表皮１１に縫い付けられている。
又下側１４の端部は、上側１３の裏側に縫い付け
られている。この引出し部材１２は、アームレス
ト１０を格納凹部３へ格納したとき、格納凹部３
から外方へ延出して、指で摘んで容易にアームレ
スト１０を引き出せる。

ここで、第３図に示す如く衝撃により飛び出す
アームレスト１０を阻止するため、上片８はスト
ツパ４へ当接して立ち上がればよい。又第４図に
示すように引出し部材１２は、アームレスト１０
を格納凹部３から引き出すとき、係止片６の上片
８を倒してストツパ４の下を通過できればよい。

そこで、ヒンジ７を係止片６と一体に形成する
ことなく、上下片８，９を別のヒンジで連結する
ことも可能である。

さらに、係止片６及び引出し部材１２がこのよ
うに作動するのであれば、例えば係止片６を表皮
材でくるみ、引出し部材１２を上片８に直接取付
けてもよい。又引出し部材１２として、実施例の
ストラツプベルトに替えて紐を用いることも可能
である。

同様にストツパ４として玉ぶちに替えて、スト
ツパとして機能する他のトリム、又は成形合成樹
脂体等を用いてもよい。

「効果」 アームレスト飛び出し防止機構を、シヤフトか
ら最も離れた位置に設けたことにより、強度を要
しないシート材料を用いて縫製作業で構成できる
ため、低コストで提供できる。

構成が簡単であり故障の生ずるおそれがない。

【図面の簡単な説明】

第１図はアームレスト格納時の断面図、第２図
は係止片の斜視図である。又、第３図はアームレ
ストが衝撃を受けたときの側面略図、第４図はア
ームレストを引き出すときの側面略図である。第
５図はリヤシートの斜視図である。 １……シートバツク、３……格納凹部、４……
ストツパ、６……係止片、７……ヒンジ、１０…
…アームレスト、１２……引出し部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ リヤシートのシートバツクに形成されたアー
   ムレスト格納凹部の上部のシートバツクには、
   格納凹部の内側へ突出するストツパを取付け、
   アームレストには、アームレストを格納した状
   態に於いて、ヒンジを軸にくの字状に形成され
   た係止片の下片が、ヒンジを格納凹部の内側へ
   向けて取付けられ、ヒンジにより起伏自在でス
   トツパへ係止可能な上片に、ストツパの下から
   格納凹部外へ延出する引出し部材が取付けられ
   ているリヤシートのアームレスト飛び出し防止
   機構。 ２ ストツパが、基部をシートバツクに取付けら
   れたトリムである請求項１記載のリヤシートの
   アームレスト飛び出し防止機構。