JPH0542700Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、車両のブレーキシステムに採用され
る荷重応答型制動液圧制御装置に係り、特に、ピ
ストンとして表面をアルマイト処理されたアルミ
製のピストンを採用し、また同ピストンが組付け
られる本体として導電性材料からなる本体を採用
してなり、更に前記ピストンと係合し両端をバネ
上部材とバネ下部材にそれぞれ電気絶縁材料から
なる支持部材を介して連結されて橋架される導電
性ばね手段が採用されてなる荷重応答型制動液圧
制御装置に関する。

〔従来技術〕

この種の装置においては、従来、第２図にて示
したように、アルミ製のピストン１の棒ばね側端
部１ａに鉄製のピン２が一体的に取付けられ、ま
た他端部１ｂにも鉄製のピン３が一体的に取付け
られていて、バネ鋼からなる棒ばね４からピン
２、ピストン１、ピン３を介して鉄製の本体５に
通電可能としてあり、当該装置の車両への装着時
における調整（所定の性能が得られるようにする
調整）がピストン１と棒ばね４の当接（ピン２を
介して当接）を棒ばね４と本体５間を通電して電
気的に検出（通電・非通電を検出）することによ
り、行われている。なお、両ピン２，３が無い
と、ピストン１の表面に施されたアルマイト処理
層によつて通電が阻止されて、ピストン１と棒ば
ね４の当接を電気的に検出することができない。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記した従来技術においては、ピストンと棒ば
ね４の当接を電気的に検出するためにピン２，３
が設けられており、部品点数の増加に伴うコスト
アツプが生じることは勿論のこと、ピストン１及
び両ピン２，３の加工精度と組付精度が当該装置
の調整精度に影響を与え、当該装置の性能にバラ
ツキが生じる。

本考案はかかる問題に着目してなされたもので
あり、その目的は部品点数の減少を図つてコスト
ダウンを図るとともに、当該装置の調整精度を高
めて性能のバラツキを抑えることにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、上記した目的を達成するために、上
記した形式の荷重応答型制動液圧制御装置におい
て、前記ピストンのばね手段側端部に導電性材料
からなるピンを一体的に取付けて同ピンと前記ば
ね手段を接触させ、また前記ピンと前記本体間に
形成される開口を塞ぐ既存のブーツとして導電性
ゴムからなり前記ピンと前記本体を通電可能なブ
ーツを採用したことに特徴がある。

〔考案の作用〕

本考案による荷重応答型制動液圧制御装置にお
いては、導電性ばね手段から導電性材料からなる
ピン及び導電性ゴムからなるブーツを介して導電
性材料からなる本体に通電可能であり、ピストン
とばね手段の当接（ピンを介した当接）を、ばね
手段と本体間の通電・非通電により検出すること
ができ、これに基づいて当該装置の車両への装着
時における調整を行うことができる。

〔実施例〕

以下に、本考案の一実施例を第１図に基づいて
説明する。

第１図に示した荷重応答型制動液圧制御装置に
おいて、図示しないバネ上部材にブラケツト１０
を介して組付けられる本体１１は、鉄製のボデー
１１Ａとこれの下端に螺着した鉄製のスリーブ１
１Ｂによつて構成されており、内部にはピストン
１２、圧縮コイルスプリング１３、ガイドスリー
ブ１４が組付けられるとともにピストン１２のバ
ルブ部１２ａが着座可能なバルブシート１５が組
付けられている。

ピストン１２は、アルミ製であつて表面がアル
マイト処理されており、下端１２ｂにて鉄製のピ
ン１６を介して棒ばね１７に当接している。ピン
１６は、ピストン１２の下端１２ｂに予め圧入固
定されていて、ピストン１２と一体化されてお
り、同ピン１６とスリーブ１１Ｂ間にはこれらに
よつて形成される開口を塞ぐブーツ１８が設けら
れている。ブーツ１８は、導電性ゴムからなり、
内周部にてピン１６に嵌着されまた外周部にてリ
テーナ２１及びクリツプ２２を用いてスリーブ１
１Ｂに固定されており、ピン１６とスリーブ１１
Ｂを通電可能としている。なお、ピン１６の下端
外周に設けられているものは、棒ばね１７の紙面
上下方向への動きを規制するためのガイド２３で
あり、同ガイド２３は電気絶縁材料（樹脂）によ
つて形成されている。

棒ばね１７は、バネ鋼からなり、一端１７ａに
てブラケツト１０にボルト２４、カラー２５及び
電気絶縁材料によつて形成された支持部材２６を
介して回動可能に連結されるとともに、図示を省
略した他端にて図示しないバネ下部材に一端１７
ａと同様に連結されていて、バネ上部材とバネ下
部材間に橋架されており、当該車両の積載荷重に
応じてピストン１２に上方へのばね力を付与する
ようになつている。なお、棒ばね１７の一端１７
ａ連結部及び棒ばね１７とピン１６の当接部分等
は、電気絶縁性ゴムからなるダストカバー２７に
より保護されている。

上記のように構成した荷重応答型制動液圧制御
装置は、ピストン１２の上端にピンが設けられて
いないこと、及びブーツ１８の材質として導電性
ゴムが使用されていることを除いて、第２図に示
した従来の装置と同じ（従来装置においてブーツ
の材質は電気絶縁性ゴムである）であり、バネ鋼
からなる棒ばね１７から導電性材料からなるピン
１６及び導電性ゴムからなるブーツ１８を介して
鉄製のスリーブ１１Ｂ及びボデー１１Ａ（本体１
１）に通電可能であり、ピストン１２と棒ばね１
７の当接（ピン１６を介した当接）を、棒ばね１
７と本体１１間の通電・非通電により検出するこ
とができ、これに基づいて当該装置の車両への装
着時における調整を行うことができる。

〔考案の効果〕 本考案による荷重応答型制動液圧制御装置にお
いては、従来装置のピン３が不要であるため、構
成部品数を減少することができて、コストダウン
を図ることができるとともに、ピン３による加工
誤差及び組付誤差が無くなつてピストンの実質的
な寸法精度が向上し、当該装置の調整精度を高め
て性能のバラツキを抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による荷重応答型制動液圧制御
装置の一実施例を示す断面図、第２図は従来の荷
重応答型制動液圧制御装置を示す断面図である。 符号の説明、１１……本体、１２……ピスト
ン、１２ｂ……下端（ばね手段側端部）、１６…
…ピン、１７……棒ばね（ばね手段）、１８……
ブーツ、２６……支持部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ピストンとして表面をアルマイト処理されたア
   ルミ製のピストンを採用し、また同ピストンが組
   付けられる本体として導電性材料からなる本体を
   採用してなり、更に前記ピストンと係合し両端を
   バネ上部材とバネ下部材にそれぞれ電気絶縁材料
   からなる支持部材を介して連結されて橋架される
   導電性ばね手段が採用されてなる荷重応答型制動
   液圧制御装置において、前記ピストンのばね手段
   側端部に導電性材料からなるピンを一体的に取付
   けて同ピンと前記ばね手段を接触させ、また前記
   ピンと前記本体間に形成される開口を塞ぐ既存の
   ブーツとして導電性ゴムからなり前記ピンと前記
   本体を通電可能なブーツを採用したことを特徴と
   する荷重応答型制動液圧制御装置。