JPH0542208A - 血液透析用中空糸膜およびその製造方法 - Google Patents

血液透析用中空糸膜およびその製造方法

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JPH0542208A
JPH0542208A JP22497691A JP22497691A JPH0542208A JP H0542208 A JPH0542208 A JP H0542208A JP 22497691 A JP22497691 A JP 22497691A JP 22497691 A JP22497691 A JP 22497691A JP H0542208 A JPH0542208 A JP H0542208A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 透水性と低分子物質の拡散透過性が高く、し
かもアルブミン領域における阻止率の高い人工腎臓用血
液透析膜を提供する。 【構成】 エチレン−ビニルアルコール系共重合体から
構成される中空糸膜の内表面に薄い緻密層、該中空糸膜
の内部および外表面に0.01μ以下の細孔の占める体
積が10%以下、空孔率が40%以上である微細多孔層
を有し、かつ牛血系における透水率が15ml/mmHg/Hr/
m2以上、尿素の総括物質移動係数が0.03cm/min以
上、アルブミンの阻止率が95%以上である血液透析用
中空糸膜である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエチレンービニルアルコ
ール系共重合体からなる血液透析用中空糸膜およびその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりエチレンービニルアルコール
(以下EVAと略称する)系共重合体からなる中空糸膜
は、抗溶血性や抗血栓性が良好であり、しかも耐久性や
化学的安定性にも優れていることから人工腎臓用の透析
膜として広く使用されている。かかる血液透析用中空糸
膜として、例えば特公昭58−36602号および同6
3−11909号には中空糸膜の外表面に薄い緻密層お
よび中空糸膜の内表面に多孔質層を有する異方性構造の
中空糸膜が提案されている。上記異方性構造の中空糸膜
はポリマー濃度と凝固浴温度を厳密に規定した条件下で
製造することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年透
析医療の高度化にともない膜に対する要求性能も高くな
ってきており、とりわけ透析現場における省力化、透析
時間の短縮化等が求められている。そして血液透析膜に
対しては透水性および低分子物質の拡散透過性が高いこ
とはいうまでもなく、更にアルブミン領域における高い
阻止率をも有する血液透析膜が要望されている。しかし
従来のEVA系重合体からなる異方性構造の血液透析用
中空糸膜は、透水性および低分子物質の拡散透過性が優
れているもののアルブミン領域における阻止率が低いと
いう問題があった。したがって本発明の目的は、透水性
と低分子物質の拡散透過性に優れ、さらにアルブミン領
域における高い阻止率を有するEVA系共重合体からな
る血液透析用中空糸膜を提供することにある。本発明の
他の目的は、上記EVA系共重合体からなる血液透析用
中空糸膜の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく従来のEVA系共重合体からなる血液透析
用中空糸膜の構造について詳細に検討した結果、異方性
構造の血液透析用中空糸膜の緻密層の細孔が厳密に制御
することによりアルブミン領域における高い阻止率を有
する血液透析膜が提供できることを見出し、更に検討し
た結果本発明に到達したものである。すなわち本発明の
請求項1記載の発明は、エチレン−ビニルアルコール系
共重合体から構成される中空糸膜の内表面に薄い緻密
層、該中空糸膜の内部および外表面に0.01μ以下の
細孔の占める体積が10%以下、空孔率が40%以上で
ある微細多孔層を有し、かつ牛血系における透水率が1
5ml/mmHg/Hr/m2以上、尿素の総括物質移動係数が0.
03cm/min以上、アルブミンの阻止率が95%以上であ
る血液透析用中空糸膜である。
【0005】本発明の請求項2記載の発明は、重合度8
00以上、ケン化度95モル%以上、エチレン含量10
〜60モル%のエチレンービニルアルコール系共重合体
を溶媒に溶解し、円環状ノズルの内部から酸、塩基およ
びそれらの塩化合物の少なくとも一種類を5重量%以上
含有する水溶液を注入しつつ、水を一成分とする凝固液
中で凝固させることを特徴とする血液透析用中空糸膜の
製造方法である。
【0006】本発明のEVA系共重合体からなる血液透
析用中空糸膜は、内表面に薄い緻密層を有する異方性構
造である。かかる緻密層は尿素、無機物などの低分子物
質などの溶質の通過と、アルブミン領域の物質の通過の
阻止に多大の影響を与えるものである。その表面は電子
顕微鏡(10000倍)で観察しても細孔が明確に確認
できないが、アルブミン領域の物質の通過を阻止するた
めに30A以下の厳密に制御された微細孔を設ける必要
がある。緻密層の厚さは30〜100A程度である。
【0007】中空糸膜の内部および外表面の微細多孔層
は比較的大きな空胞を有しており、空孔率が40%以
上、0.01ミクロン以下の細孔の占める体積が10%
以下である。通常空孔率は50%以上、0.01ミクロ
ン以下の細孔の占める体積は5%以下が適当である。ま
た微細多孔層中の孔形状は網目構造、微細多隙構造、ハ
ニカム構造、粒子構造などである。この中空糸膜の内部
および外表面ともに微細多孔構造となっていることが透
水性に多大の影響を与えるものである。なお、本発明で
いう空孔率(P)は下記式より求めた値である。 P=(1ーρa/ρb)×100 ただし、ρa;中空糸膜を構成するEVA系共重合体の
比重、 ρb;中空糸膜の見かけの比重、 細孔分布は水銀ポロシメーターによって測定された値よ
り求めた。本発明のEVA系共重合体からなる血液透析
用中空糸膜は通常外径が100〜1000μ、膜厚が5
〜100μのものが好適に使用される。
【0008】本発明の血液透析用中空糸膜は水系の透水
性が30〜200ml/mmHg/Hr/m2でも牛血系の透水性は
15〜30ml/mmHg/Hr/m2へ変化し、アルブミン阻止率
も水系では60〜90%であるものが牛血系では95%
以上と高くなる。しかし低分子物質である尿素の総括物
質移動係数は牛血系に変わっても変化は小さく0.03
cm/min以上を保持している。かかる血液透析用中
空糸膜は人工腎臓用の透析膜としての用途のみでなく、
例えば濾過型人工腎臓用の濾過膜、腹水の濾過膜または
濃縮膜、血漿分画膜などに使用することができる。
【0009】次に本発明の血液透析用中空糸膜の製造方
法について説明する。本発明において用いられるEVA
系共重合体はランダム、ブロック、グラフトいずれの共
重合体でもよいが、重合度800未満のものは製膜時の
機械的強度が十分でないため重合度800以上のものを
使用することが好ましい。通常重合度1000以上のも
のが用いられる。。エチレン含有量としては10モル%
以下のものでは湿潤時の機械的性質が不十分で、溶出物
も多いという問題がある。また60モル%以上では溶質
の拡散透過性が低下する。したがってエチレン含有量が
10〜60モル%、通常20〜45モル%のものが好ま
しく用いられる。EVA系共重合体のケン化度としては
湿潤時の機械的強度の点から95モル%以上が必要であ
り、通常ケン化度99モル%以上の実質的に完全ケン化
のものが用いられる。
【0010】本発明に使用されるEVA系共重合体には
例えば、メタクリル酸、ビニルクロライド、メチルメタ
クリレート、アクリロニトリル、ビニルピロリドンなど
の共重合可能な重合性単量体が15モル%以下の範囲で
共重合されていても良く、また紡糸前もしくは紡糸後に
おいてEVA系共重合体をほう素等の無機架橋剤、ある
いはジイソシアナート、ジアルデヒドなどの有機架橋剤
などにより処理することにより架橋が導入されたもの、
あるいはビニルアルコール単位の官能性水酸基が30モ
ル%以内の範囲でホルムアルデヒド、アセトアルデヒ
ド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒ
ドでアセタール化されているものも含まれる。多価アル
デヒド化合物により架橋処理を行うと膜の耐熱性と強度
が大きく改善されるので好ましい。
【0011】EVA系共重合体を溶解する溶媒として
は、メタノール、エタノールなどの1価アルコール、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン
などの多価アルコール、フェノール、メタクレゾール、
Nーメチルピロリドン、ぎ酸およびこれらの含水物など
が知られているが、本発明の目的とする透水性と低分子
物質の拡散透過性が高く、かつアルブミン領域における
高い阻止率を備えた血液透析用中空糸膜を得るためには
ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ピロリ
ドン、Nーメチルピロリドンまたはこれらの混合物を溶
媒として用いるのが好ましい。EVA系共重合体を前述
の溶媒、特にジメチルスルホキシドに溶解する際に水ま
たはメタノール、イソプロピルアルコールまたはジメチ
ルホルムアミド等の他の溶媒または溶媒と混合性の良い
他の液体及び無機塩を含んでいても良い。
【0012】EVA系共重合体を前述の溶媒に溶解する
に当り、その濃度は任意に選択できるが、通常3〜30
重量%、好ましくは5〜20重量%の範囲で実施され
る。またポリマー溶液の温度は通常0〜120℃、好ま
しくは5〜80℃が良い。120℃を越えると重合体が
変質する恐れがあり、また0℃以下では原液粘度が高く
なりすぎ、紡糸が難しくなる傾向にある。
【0013】本発明の血液透析用中空糸膜を製造するた
めには、二重円環ノズルを用いて、該ノズルの中心部に
酸、塩基およびそれらの塩化合物の少なくとも一種類を
5重量%以上、通常10重量%以上含有する水溶液を注
入しつつ、ポリマー溶液を水を一成分とする凝固液中に
押しだし凝固させる。ここで用いられる酸、塩基、及び
それらの塩化合物の種類としては任意に選択することが
できる。
【0014】酸、塩基、及びそれらの塩化合物として
は、例えばHCl、HBr、NaOH、LiOH等の
酸、塩基、LiCl、NaCl、NaBr、NaI、N
Hl、KBr、MgCl2 、CaCl2 、MgBr2
AlCl3 、ZnCl2 、CuCl2 等の1価、2価、
3価のハロゲン化塩化合物、HNO3 、NaNO3 、C
a(NO32 、LiClO3 、KClO3 、Mg(C
lO32 、Na2 SO4、H2 SO4 、(NH42
SO4 、H3 PO4 、KAl(SO42 、Na3PO4
等の硝酸、塩素酸、硫酸、燐酸、及びその塩化合物、
NaCH3 COO、Ca(CH3 COO)2 等の酢酸塩
化合物等をあげることができる。中でもCaCl2 、M
gCl2 、CaBr2 、MgBr2 、ZnCl2 、Cu
Cl2 等の2価のハロゲン化塩化合物が好ましく用いら
れる。さらに安全性、経済性の点でCaCl2 が好まし
い。またこれらの塩の濃度としては5重量%以上、通常
10重量%以上が好ましい。5重量%未満であると塩の
効果が十分発揮されず、アルブミン阻止率が悪くなる。
また、注入液の温度としては10〜50℃が適当であ
る。通常20〜40℃が好ましい。上記温度範囲を外れ
ると低分子物質の拡散透過性が低下してしまうので好ま
しくない。
【0015】凝固液に用いる凝固剤としては水性媒体が
用いられる。通常水とジメチルスルホキシド、ジメチル
アセトアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、ア
ルコール等の水に可溶性の有機溶剤との混合溶媒、さら
には注入液に用いた酸、塩基、及びそれらの塩等を含有
する水等が用いられる。なかでもジメチルスルホキシド
と水の混合溶媒を凝固剤に用いるのが好ましい。
【0016】本発明の血液透析用中空糸膜を製造する方
法としては、溶媒に溶解したEVA系共重合体の溶液を
円環状ノズルより直接凝固液中に押しだし凝固させる湿
式法、EVA系共重合体の溶液を円環状ノズルから押し
だし、気体雰囲気中を通過させて凝固液中で凝固させる
乾湿式法のいずれの方法を用いてもよい。
【0017】凝固液の温度は通常0〜50℃、好ましく
は5〜30℃である。これより低いと膜構造全体が緻密
化してしまい、透水性と低分子物質の拡散透過性が低下
する恐れがある。一方これより高いとアルブミン阻止率
が低下したり、紡糸が不安定になったりするので好まし
くない。また凝固液として水と上記有機溶媒を混合して
使う場合、前記条件に加えて、有機溶媒の濃度が10重
量%を越える場合は、特に有機溶媒の濃度(C)重量%
と混合溶媒の温度(T)℃との間にC<Tの関係が成り
立つような条件で紡糸を行うのが好ましい。これより濃
度が高くなると溶質の拡散透過性が悪くなる。また有機
混合溶媒の濃度が40重量%を越えるとC<Tの条件を
満たさなくても溶質の拡散透過性は良好であるが、膜強
度が弱くなる傾向にある。
【0018】紡糸を行う時のノズルドラフト(ノズル口
よりの原液吐出の線速度と凝固浴よりの捲き取り速度の
比)は通常1.0〜5.0である。好ましくは2.0〜
3.5である。この範囲より低くても高くても低分子物
質の拡散透過性が低下するので好ましくない。またこの
時得られる乾燥中空糸膜の膜厚は30〜60ミクロンの
範囲が良い。これより厚いと低分子物質の拡散透過性が
徐々に悪くなる傾向にある。これより薄いと膜強度が弱
くなる。好ましくは35〜50ミクロンである。
【0019】凝固完了後、延伸、湿熱処理を行うが、該
湿熱処理温度は、40〜80℃、好ましくは55〜70
℃である。湿熱処理が不十分な場合、後工程における工
程通過性が損なわれ、乾燥後の寸法及び性能の保存安定
性が低下する。また湿熱処理が過剰であった場合、膜構
造に変化が生じ本発明の目的とする十分な性能が得られ
ない。湿熱処理は、通常、水洗を兼ねて水中に中空糸を
通過させるという方法により行われるが湿熱処理と水洗
は必ずしも同時に行われる必要はなく、湿熱処理下の飽
和水蒸気雰囲気中に中空糸を通過させ、湿熱処理を行っ
た後、必要な水洗を行うこともできる。また逆に水洗後
湿熱処理を行ってもよい。しかしながら、連続工程にお
いては工程簡略化という点から、湿熱処理と水洗は同時
に行うのが好ましい。
【0020】湿潤状態の膜は水混和揮発性有機溶媒に浸
漬し、膜の表面あるいは内部に存在する水を置換後、常
圧ないし減圧にて乾燥させる。この場合の有機溶媒とし
ては炭素数1〜5の低級脂肪族アルコールまたはケトン
が好ましく、例えばメタノール、エタノール、アミルア
ルコール、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン等が用いられる。なかでもアセトンが特に好まし
い。乾燥は、常圧ないし減圧下で行われるが、その温
度、及び水蒸気圧は、55℃以下、好ましくは50℃以
下で、水蒸気圧は20mmHg以下、好ましくは10mmHg以
下である。このような条件下で溶媒置換及び乾燥を行う
ことにより、湿潤時の性能を維持したまま乾燥を行うこ
とが出来る。
【0021】乾燥された中空糸膜は、主に寸法及び性能
の保存安定性の向上を目的として、乾熱処理を行う。乾
熱処理温度は、40〜70℃、好ましくは55〜65℃
である。これ以上では定長熱処理時において中空糸膜が
偏平化する恐れがある。また、膜構造にも変化が生じ性
能が低下する。これ以下では充分な熱固定が出来ず、経
時的に収縮が進行し、膜の性能に変化をきたす。乾熱処
理雰囲気下の水蒸気圧は60mmHg以下である必要があ
り、これ以上ではEVA系共重合体への水分子の吸着が
起こり、乾熱処理後室温雰囲気下へ放出した際に、この
水分子の脱離にともなって膜構造に変化が生じ性能が低
下する。乾熱処理後、EVA系共重合体中空糸膜は一定
長に切断後一定本数を束ねて中空糸束に成形される。
【0022】かくして得られた中空糸膜は乾燥状態にお
ける寸法安定性に優れ、中空糸束の状態においても経時
変化が起こらないため保存に有利である。また、乾燥さ
せているため輸送等にも便利である。乾燥中空糸膜は使
用前に水または生理食塩水で再湿潤させることにより乾
燥前の性能を再現することができる。
【0023】
【作用】本発明の血液透析用中空糸膜が透水性と低分子
物質の拡散透過性に優れ、さらにアルブミン領域におけ
る高い阻止率を有する理由は明かでないが、円環状ノズ
ルの内部から酸、塩基およびそれらの塩化合物の水溶液
を注入すると、塩析効果によりEVA系共重合体が速く
凝固するため、中空糸膜の内面にしっかりとした緻密層
が形成され、また2価の陽イオンではEVA系共重合体
の水酸基へのキレート効果によっても凝固が促進され
て、さらに強固な緻密層が形成されるものと推測され
る。
【0024】
【実施例】
実施例1 エチレン含量33モル%、重合度1300、ケン化度9
9.9モル%のEVA系共重合体をDMSOに17重量
%に溶解し、紡糸原液とした。二重環ノズルを用い、内
部注入液としてCaCl2 、20重量%水溶液を20℃
で注入しつつ、ノズルドラフト2.5で、20℃、10
重量%のDMSOを含む水中へ原液を押しだし、凝固さ
せ、湿熱延伸、乾燥、乾熱処理を行い、乾燥中空糸膜を
得た。図1にこの膜の断面構造を示す電子顕微鏡写真
(2000倍)を示す。この膜は緻密層の厚さ0.3
μ、空孔率62%、0.01μ以下の細孔の占める体積
の比率5%および膜厚45μであった。またこの中空糸
を中空糸束として有効面積1m2のモジュールに組み立
て、ダイアライザー性能評価基準に従い水系の透水性、
尿素クリアランス、及びアルブミン阻止率、ならびにヘ
マトクリット値30%、総プロテイン6g/dlの牛血液を
用い、水系の操作手順に準じて透水性、尿素クリアラン
スおよびアルブミン阻止率を測定した。また尿素の総括
物質移動係数(K)は尿素クリアランスのデータを基に
下記式より求めた。その結果を表1に示す。
【0025】 K=〔QB /A×(1ーZ)〕×LN(1ーEZ)/(1ーE) E=CL /QB Z=QB /QDB :血液側入口の流量 (ml/min) QD :透析液側入口の流量 (ml/min) A :膜面積(cm2 ) CL:尿素クリアランス(ml/min)
【0026】実施例2 エチレン含量33モル%、重合度1300、ケン化度9
9.9モル%のEVA系共重合体をDMSOに17重量
%に溶解し、紡糸原液とした。二重環ノズルを用い、内
部注入液としてNaCl、20重量%水溶液を20℃で
注入しつつ、ノズルドラフト2.5で、20℃、10重
量%のDMSOを含む水中へ原液を押しだし、凝固さ
せ、以下実施例1と同様な処理を行って乾燥中空糸膜を
得た。膜は緻密層の厚さ0.2μ、空孔率60%、0.
01ミクロン以下の細孔の占める体積の比率7%および
膜厚46μであった。この中空糸膜の性能を表1に示
す。
【0027】実施例3 エチレン含量25モル%、重合度1400、ケン化度9
9.9モル%のEVA系共重合体をDMSOに15重量
%に溶解し、紡糸原液とした。二重環ノズルを用い、内
部注入液としてCaCl2 10重量%水溶液を30℃で
注入しつつ、ノズルドラフト3.2で、15℃、7重量
%DMSOを含む水中へ原液を押しだし、凝固させ、以
下実施例1と同様な処理を行って乾燥中空糸膜を得た。
膜は緻密層の厚さ0.05μ、空孔率68%、0.01
ミクロン以下の細孔の占める体積の比率3%および膜厚
42μであった。この中空糸膜の性能を表1に示す。
【0028】実施例4 エチレン含量33モル%、重合度1300、ケン化度9
9.9モル%のEVA系共重合体をDMSOに17重量
%に溶解し、紡糸原液とした。二重環ノズルを用い、内
部注入液としてH2 SO4 、20重量%水溶液を20℃
で注入しつつ、ノズルドラフト2.5で、20℃、10
量%のDMSOを含む水中へ原液を押しだし、凝固さ
せ、以下実施例1と同様な処理を行って乾燥中空糸膜を
得た。膜は緻密層の厚さ0.1μ、空孔率63%、0.
01ミクロン以下の細孔の占める体積の比率4%および
膜厚44μであった。この中空糸膜の性能を表1に示
す。
【0029】実施例5 エチレン含量33モル%、重合度1300、ケン化度9
9.9モル%のEVA系共重合体をDMSOに17重量
%に溶解し、紡糸原液とした。二重環ノズルを用い、内
部注入液としてNaOH、20重量%水溶液を20℃で
注入しつつ、ノズルドラフト2.5で、20℃、10量
%のDMSOを含む水中へ原液を押しだし、凝固させ、
以下実施例1と同様な処理を行って乾燥中空糸膜を得
た。膜は緻密層の厚さ0.2μ、空孔率60%、0.0
1ミクロン以下の細孔の占める体積の比率5%および膜
厚40μであった。この中空糸膜の性能を表1に示す。
【0030】実施例6 エチレン含量33モル%、重合度1300、ケン化度9
9.9モル%のEVA系共重合体をDMSOに17重量
%に溶解し、紡糸原液とした。二重環ノズルを用い、内
部注入液としてCaCl2 、7重量%水溶液を20℃で
注入しつつ、ノズルドラフト2.5で、20℃、10量
%のDMSOを含む水中へ原液を押しだし、凝固させ、
以下実施例1と同様な処理を行って乾燥中空糸膜を得
た。膜は緻密層の厚さ0.04μ、空孔率64%、0.
01ミクロン以下の細孔の占める体積の比率6%および
膜厚42μであった。この中空糸膜の性能を表1に示
す。
【0031】実施例7 エチレン含量33モル%、重合度1300、ケン化度9
9.9モル%のEVA系共重合体をDMSOに17重量
%に溶解し、紡糸原液とした。二重環ノズルを用い、内
部注入液としてCaCl2 、10重量%、NaNO3
10重量%の混合水溶液を20℃で注入しつつ、ノズル
ドラフト2.5で、20℃、10量%のDMSOを含む
水中へ原液を押しだし、凝固させ、以下実施例1と同様
な処理を行って乾燥中空糸膜を得た。膜は緻密層の厚さ
0.2μ、空孔率61%、0.01ミクロン以下の細孔
の占める体積の比率5%および膜厚42μであった。こ
の中空糸膜の性能を表1に示す。
【0032】比較例1 エチレン含量33モル%、重合度1300、ケン化度9
9.9モル%のEVA系共重合体をDMSOに17重量
%に溶解し、紡糸原液とした。二重環ノズルを用い、内
部注入液として水を20℃で注入しつつ、ノズルドラフ
ト2.5で、20℃、10重量%のDMSOを含む水中
へ原液を押しだし、凝固させ、以下実施例1と同様な処
理を行って乾燥中空糸膜を得た。膜は緻密層の厚さ0.
01μ、空孔率68%、0.01ミクロン以下の細孔の
占める体積の比率4%および膜厚43μであった。この
中空糸膜の性能を表1に示す。
【0033】比較例2 エチレン含量33モル%、重合度1300、ケン化度9
9.9モル%のEVA系共重合体をDMSOに17重量
%に溶解し、紡糸原液とした。二重環ノズルを用い、内
部注入液としてCaCl2 、3重量%水溶液を20℃で
注入しつつ、ノズルドラフト2.5で、20℃、10重
量%のDMSOを含む水中へ原液を押しだし、凝固さ
せ、以下実施例1と同様な処理を行って乾燥中空糸膜を
得た。膜は緻密層の厚さ0.02μ、空孔率67%、
0.01ミクロン以下の細孔の占める体積の比率4%お
よび膜厚42μであった。この中空糸膜の性能を表1に
示す。
【0034】比較例3 エチレン含量33モル%、重合度1300、ケン化度9
9.9モル%のEVA系共重合体をDMSOに17重量
%に溶解し、紡糸原液とした。二重環ノズルを用い、窒
素ガスを20℃で注入しつつ、ノズルドラフト2.0
で、10℃、6重量%のDMSOを含む水中へ原液を押
しだし、凝固させ、以下実施例1と同様な処理を行って
乾燥中空糸膜を得た。膜は緻密層の厚さ0μ、空孔率4
3%、0.01ミクロン以下の細孔の占める体積の比率
5%および膜厚34μであった。この中空糸膜の性能を
表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明の人工腎臓用血液透析膜は二重環
ノズルの内部に注入する溶液に酸、塩基およびそれらの
塩化合物の水溶液を使用することにより強固な緻密層が
形成されて、透水性と低分子物質の拡散透過性も高く、
しかもアルブミン領域における高い阻止率を有するため
高性能の人工腎臓用血液透析膜が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の人工腎臓用血液透析膜の断面構造を示
す2000倍の電子顕微鏡写真である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン−ビニルアルコール系共重合体
    から構成される中空糸膜の内表面に薄い緻密層、該中空
    糸膜の内部および外表面に0.01μ以下の細孔の占め
    る体積が10%以下、空孔率が40%以上である微細多
    孔層を有し、かつ牛血系における透水率が15ml/mmHg/
    Hr/m2以上、尿素の総括物質移動係数が0.03cm/min
    以上、アルブミンの阻止率が95%以上である血液透析
    用中空糸膜。
  2. 【請求項2】 重合度800以上、ケン化度95モル%
    以上、エチレン含量10〜60モル%のエチレンービニ
    ルアルコール系共重合体を溶媒に溶解し、円環状ノズル
    の内部から酸、塩基およびそれらの塩化合物の少なくと
    も一種類を5重量%以上含有する水溶液を注入しつつ、
    水を一成分とする凝固液中で凝固させることを特徴とす
    る血液透析用中空糸膜の製造方法。
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