JPH0541879Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は楽譜等を印刷した印刷物を印刷直後に
抜取り、当該印刷物と正しい校了となつた印刷見
本とを目視により比較検査するのに用いられる印
刷物検査装置に関する。

（従来の技術） 従来、楽譜等を印刷した印刷物の検査を行なう
に当たっては、印刷機のオペレータが印刷物を印
刷直後に抜取り、この印刷物と正しい校了となつ
た印刷見本とを作業台上に並べて配置し、目視に
よりそれぞれを交互に見比べながら相違点をチエ
ツクすることにより、訂正不良や印刷時に起こる
ごみ付、しろ抜け等の印刷欠陥の検査を行なうよ
うにしている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、このような従来の検査方法で
は、人間の目の注視できる範囲は非常に狭く、注
視点近傍の文字等に目がごまかされてしまい、相
違点を発見するのに多大な労力を要し、見落とし
てしまうことも多い。一方、最近では印刷物をオ
ンラインで検査する印刷品質検査装置も各社から
提案されてきているが、装置がかなり大がかりと
なつてしまい、その導入が非常に困難であるばか
りでなく高価なものとなり、さらにこの種の装置
はカメラを用いた検査であるため、その検査能力
も人間の目で注視して検査するのに比べると劣
り、特に楽譜のようにごみ付、しろ抜け、欠け等
の印刷欠陥一つでも、音楽自体が変わつてしまう
といつたような印刷物のシビアな検査には適さな
い。

本考案は上述のような問題を解決するために成
されたもので、人間の目の検査能力をフルに生か
してチエツクミスを無くしつつ印刷物の検査を少
ない労力で容易にかつシビアに行なうことが可能
な経済的にも有利な印刷物検査装置を提供するこ
とを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するために本考案では、印刷
直後に抜取つた印刷物と正しい校了となつた印刷
見本とを目視により比較検査するのに用いられる
印刷物検査装置を、 テーブル面上の基準線に対して互いに対称とな
る位置に印刷物と印刷見本とが配置された検査テ
ーブルと、 検査テーブルの所定部所に取付固定され、かつ
当該テーブル面に沿つて前後方向、左右方向、お
よび斜め方向に可動自在な可動アームと、 可動アームにテーブル面の上方に位置するよう
に取付固定された第１の固定部材と、この第１の
固定部材に対向して配置された第２の固定部材
と、第１および第２の固定部材の各々一端に掛け
渡されて固定された不透明な第１の固定シート
と、第１および第２の固定部材に掛け渡されて基
準線方向に摺動自在に設けられた第１の摺動シー
トとを有する第１のマスク板と、 第１のマスク板の下方に配置され、第１の固定
部材に密着固定された不透明な第２の固定シート
と、この第２の固定シートと第１のマスク板に着
脱自在に挟持され、基準線と直交方向に摺動自在
に設けられた不透明な第２の摺動シートとを有す
る第２のマスク板とを備えて構成し、 第２の固定シートには、基準線に対して互いに
対称となる位置に同一形状の第１の窓部と第２の
窓部を設け、また第２の摺動シートには、摺動に
よつて第１と第２の窓部との間で印刷物と印刷見
本の対応する特定領域を目視可能な目視窓を形成
するように第３の窓部を設け、さらに第１の摺動
シートはその摺動方向の幅寸法を、摺動によつて
目視窓を全て覆わないような寸法としている。

（作用） 従つて、本考案は以上のような手段としている
ことにより、第１のマスク板の第１の摺動シート
を第１の固定シートに対して基準線方向に摺動さ
せることによつて、第１と第２の窓部の基準線方
向の窓寸法が調整され、また第２のマスク板の第
２の摺動シートを第２の固定シートに対して基準
線方向と直交方向に摺動させることによつて、第
１と第２の窓部の基準線方向と直交方向の窓寸法
が調整される。従つて、このように窓寸法が調整
された第１、第２のマスク板を、可動アームによ
つてテーブル面に配置された印刷物および印刷見
本の上方の所望位置に移動させることにより、印
刷物および印刷見本の特定の小領域のみを露出さ
せて当該小領域の周辺領域を覆い、狭い範囲に注
視して印刷物と印刷見本との比較検査を行なうこ
とが可能となる。また、この小領域すなわち検査
領域を印刷物および印刷見本の全域にわたつて順
次移動させながら、さらに窓寸法すなわち検査領
域の大きさを任意に調整しながら、両者の比較検
査を行なうことが可能となる。

（実施例） 以下、本考案の一実施例について図面を参照し
て詳細に説明する。

第１図および第２図は本考案の一実施例を示す
もので、第１図は印刷物検査装置の構成例を示す
全体斜視図、第２図は同印刷物検査装置の詳細を
示す分解斜視図である。

第１図および第２図において、印刷直後に抜取
つた楽譜等の印刷物１と、正しい校了となつた印
刷見本２は、検査テーブル３のテーブル面上に基
準線RLに対して互いに対称となる位置に配置さ
れ、さらにその上面はこれらを挟むための検査テ
ーブル３と同一寸法の透明シート４で覆われてい
る。一方、検査テーブル４の図示左上方部には、
テーブル面に沿つて図示前後方向Ａ、左右方向
Ｂ、および斜め方向Ｃに可動自在な“く”字形の
可動アーム５の一端側が取付固定されている。こ
こで可動アーム５としては、例えば作図機ドラフ
ター等のアームを用いる。また、可動アーム５の
他端側には、“Ｌ”字形の金具６によつて棒状の
金属部材７が取付固定され、この金属部材７の下
部には、テーブル面の上方に位置するように第１
の固定部材８が取付固定されている。さらに、こ
の第１の固定部材８に対向して、第２の固定部材
８′が配置されている。そして、この第１および
第２の固定部材８および８′の各々一端に掛け渡
されて、不透明な第１の固定シート９が固定され
ている。さらに、この第１および第２の固定部材
８および８′に掛け渡されて、第１の摺動シート
１０が基準線RL方向に摺動自在に設けられて、
第１のマスク板が構成されている。

一方、金属部材７の上部には、上記第１のマス
ク板の下方に位置するように、磁石テーブル１１
により不透明な第２の固定シート１２が密着固定
されている。また、この第２の固定シート１２と
第１のマスク板に着脱自在に挟持されるように、
不透明な第２の摺動シート１３が基準線RLと直
交方向に摺動自在に設けられて、第２のマスク板
が構成されている。

ここで第２の固定シート１２には、基準線RL
に対して互いに対称となる位置に、同一形状の第
１の窓部１２−１と第２の窓部１２−２を設けて
いる。また第２の摺動シート１３には、その摺動
によつて第１、第２の窓部１２−１，１２−２と
の間で印刷物１と印刷見本２の対応する特定領域
を目視可能な目視窓を形成するように第３の窓部
１３−１を設けている。さらに、第１の摺動シー
ト１０はその摺動方向の幅寸法を、摺動によつて
上記目視窓を全て覆わないような寸法としてい
る。

以上のように構成した印刷物検査装置において
は、第１のマスク板の第１の摺動シート１０を第
１の固定シート９に対して基準線RL方向に摺動
させることによつて、第１、第２の窓部１２−
１，１２−２の基準線RL方向の窓寸法が調整さ
れる。また、第２のマスク板の第２の摺動シート
１３を第２の固定シート１２に対して基準線RL
方向と直交方向に摺動させることによつて、第
１、第２の窓部１２−１，１２−２の基準線RL
方向と直交方向の窓寸法が調整される。従つて、
このように窓寸法が調整された第１、第２のマス
ク板を、可動アーム５によつて検査テーブル３の
テーブル面に配置された印刷物１および印刷見本
２の上方の所望位置に移動させることにより、印
刷物１および印刷見本２の対応する特定の小領域
のみを露出させて当該小領域の周辺領域を覆い、
狭い範囲に注視して印刷物１と印刷見本２との比
較検査を目視で検査を行なうことができる。ま
た、この小領域すなわち検査領域を印刷物１およ
び印刷見本２の全域にわたつて可動アーム５によ
り順次移動させながら、さらに窓寸法すなわち検
査領域の大きさを各々のマスク板により任意に調
整しながら、印刷物１と印刷見本２との比較検査
を目視で行なうことができる。

上述したように、本実施例の印刷物検査装置に
おいては、印刷物１および印刷見本２の対応する
特定の小領域のみを露出させ、当該小領域の周辺
領域である不要部分を覆つて検査を行なうように
しているので、狭い範囲に注視して印刷物１と印
刷見本２との比較検査を目視で検査を行なうこと
が可能となる。これにより、検査の際に従来のよ
うに、検査領域である注視点近傍の文字等に目が
ごまかされてしまうということがなくなり、両者
の相違点を多大な労力を要することなく容易に発
見することができ、見落としするようなことも無
くなる。また、本実施例の印刷品質検査装置はそ
の導入が従来工程上にあるので実施し易く、かつ
専用の検版具を用意するのみでよいので、コスト
的にも極めて安価である。さらに、特に楽譜のよ
うに点一つでその音符の長さの意味が変わるとい
つたような印刷物を検査する際には、楽譜の一小
節毎といつたように不要部分はマスクして検査領
域のみを露出させることができるので、人間の目
の検査能力をフルに生かしてチエツクミスを無く
することが可能である。

尚、上記実施例では第２の固定シート１２と第
２の摺動シート１３からなる第２のマスク板を、
第１の固定シート９と第１の摺動シート１０から
なる第１のマスク板の上方に位置するように配置
したが、第２のマスク板を第１のマスク板の下方
に位置するように配置してもよいものである。

また、上記実施例において透明シート４は省略
してもよいものである。

（考案の効果） 以上説明したように本考案によれば、人間の目
の検査能力をフルに生かしてチエツクミスを無く
しつつ印刷物の検査を少ない労力で容易にかつシ
ビアに行なうことが可能な経済的にも有利な印刷
物検査装置が提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による印刷物検査装置の一実施
例を示す全体斜視図、第２図は同印刷物検査装置
の詳細を示す分解斜視図である。 １……印刷物、２……印刷見本、３……検査テ
ーブル、４……透明シート、５……可動アーム、
６……金具、７……金属部材、８……第１の固定
部材、８′……第２の固定部材、９……第１の固
定シート、１０……第１の摺動シート、１１……
磁石テープ、１２……第２の固定シート、１２−
１……第１の窓部、１２−２……第２の窓部、１
３……第２の摺動シート、１３−１……第３の窓
部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 印刷直後に抜取つた印刷物と正しい校了となつ
   た印刷見本とを目視により比較検査するのに用い
   られる印刷物検査装置において、 テーブル面上の基準線に対して互いに対称とな
   る位置に前記印刷物と印刷見本とが配置された検
   査テーブルと、 前記検査テーブルの所定部所に取付固定され、
   かつ当該テーブル面に沿つて前後方向、左右方
   向、および斜め方向に可動自在な可動アームと、 前記可動アームに前記テーブル面の上方に位置
   するように取付固定された第１の固定部材と、こ
   の第１の固定部材に対向して配置された第２の固
   定部材と、前記第１および第２の固定部材の各々
   一端に掛け渡されて固定された不透明な第１の固
   定シートと、前記第１および第２の固定部材に掛
   け渡されて前記基準線方向に摺動自在に設けられ
   た第１の摺動シートとを有する第１のマスク板
   と、 前記第１のマスク板の下方に配置され、前記第
   １の固定部材に密着固定された不透明な第２の固
   定シートと、この第２の固定シートと前記第１の
   マスク板に着脱自在に挟持され、前記基準線と直
   交方向に摺動自在に設けられた不透明な第２の摺
   動シートとを有する第２のマスク板とを備え、 前記第２の固定シートには、前記基準線に対し
   て互いに対称となる位置に同一形状の第１の窓部
   と第２の窓部を設け、また前記第２の摺動シート
   には、摺動によつて前記第１と第２の窓部との間
   で前記印刷物と印刷見本の対応する特定領域を目
   視可能な目視窓を形成するように第３の窓部を設
   け、さらに前記第１の摺動シートはその摺動方向
   の幅寸法を、摺動によつて前記目視窓を全て覆わ
   ないような寸法としたことを特徴とする印刷物検
   査装置。