JPH0521408Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は楽譜等を印刷した印刷物を印刷直後に
抜取り、当該印刷物と正しい校了となつた印刷見
本とを目視により比較検査するのに用いられる印
刷物検査装置に関する。

（従来の技術） 従来、楽譜等を印刷した印刷物の検査を行なう
に当たつては、印刷機のオペレータが印刷物を印
刷直後に抜取り、この印刷物と正しい校了となつ
た印刷見本とを作業台上に並べて配置し、目視に
よりそれぞれ交互に見比べながら相違点をチエツ
クすることにより、訂正不良や印刷時に起こるご
み付，しろ抜け等の印刷欠陥の検査を行なうよう
にしている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、このような従来の検査方法で
は、人間の目の注視できる範囲は非常に狭く、注
視点近傍の文字等に目がごまかされてしまい、相
違点を発見するのに多大な労力を要し、見落とし
てしまうことも多い。一方、最近では印刷物をオ
ンラインで検査する印刷品質検査装置も各社から
提案されてきているが、装置がかなり大がかりと
なつてしまい、その導入が非常に困難であるばか
りでなく高価なものとなり、さらにこの種の装置
はカメラを用いた検査であるため、その検査能力
も人間の目で注視して検査するのに比べると劣
り、特に楽譜のようにごみ付，しろ抜け，欠け等
の印刷欠陥一つでも、音楽自体が変わつてしまう
といつたような印刷物のシビアな検査には適さな
い。

本考案は上述のような問題を解決するために成
されたもので、人間の目の検査能力をフルに生か
してチエツクミスを無くしつつ印刷物の検査を少
ない労力で容易にかつシビアに行なうことが可能
な経済的にも有利な印刷物検査装置を提供するこ
とを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するために本考案では、印刷
直後に抜取つた印刷物と正しい校了となつた印刷
見本とを目視により比較検査するのに用いられる
印刷物検査装置を、 テーブル面上の基準線に対して互いに対称とな
る位置に印刷物と印刷見本とが配置された検査テ
ーブルと、この検査テーブルの基準線方向両端側
に設けた第１および第２の巻きロールに一端側が
それぞれ巻付けられ、各他端側が互いに所定の間
隔を存してかつテーブル面に沿つて基準線方向に
摺動自在に設けられた不透明な第１および第２の
摺動シートからなる第１のマスク体と、基準線と
直交方向に互いに所定の間隔を存して配置された
不透明な第１の固定シートと第３の摺動シート、
および基準線と直交方向に互いに所定の間隔を存
して配置された不透明な第２の固定シートと第４
の摺動シートからなり、かつ第１のマスク体の上
方に位置するように配置された第２のマスク体と
を備えて構成し、 第１および第２の摺動シートの各他端側の間隔
を第１の間隔調整部材により所望間隔に調整し、
また第３の摺動シートを第２の固定シートに対し
て摺動自在に設け、さらに第１の固定シートおよ
び第２の固定シートを、その第３の摺動シート側
および第４の摺動シート側の端部が印刷物と印刷
見本との対応する位置にくるようにそれぞれ配置
すると共に、第１の固定シートと第３の摺動シー
トとの間隔、および第２の固定シートと第４の摺
動シートとの間隔をそれぞれ第２および第３の間
隔調整部材により互いに所望の同一間隔に調整す
るようにしている。

（作用） 従つて、本考案は以上のような手段としている
ことにより、第１のマスク体の第１および第２の
摺動シートの間隔を第１の間隔調整部材により所
望間隔に調整した状態で基準線方向に摺動させる
ことによつて、基準線方向の窓寸法が調整され、
また第２のマスク体の第１の固定シートおよび第
３の摺動シートの間隔を第２の間隔調整部材によ
り、同じく第２の固定シートおよび第４の摺動シ
ートの間隔を第３の間隔調整部材によりそれぞれ
所望の同一間隔に調整した状態で基準線方向と直
交方向に摺動させることによつて、基準線方向と
直交方向の窓寸法が調整される。従つて、このよ
うに窓寸法が調整さた第１，第２のマスク体を、
テーブル面に配置された印刷物および印刷見本の
上方の所望位置に移動させることにより、印刷物
および印刷見本の特定の小領域のみを露出させて
当該小領域の周辺領域を覆い、狭い範囲に注視し
て印刷物と印刷見本との比較検査を行なうことが
可能となる。また、この小領域すなわち検査領域
を印刷物および印刷見本の全域にわたつて順次移
動させながら、さらに窓寸法すなわち検査領域の
大きさを任意に調整しながら、両者の比較検査を
行なうことが可能となる。

（実施例） 以下、本考案の一実施例について図面を参照し
て詳細に説明する。

第１図は、本考案による印刷物検査装置の構成
例を示す分解斜視図である。

第１図において、印刷直後に抜取つた楽譜等の
印刷物１と、正しい校了となつた印刷見本２は、
四角形の検査テーブル３のテーブル面上に、基準
線RLに対して互いに対称となる位置に配置され
ている。この場合、印刷物１および印刷見本２の
１コーナー部は図示のように、検査テーブル３の
テーブル面上に取付けたＬ字形の位置決め当て部
材４により一義的に位置決めされている。また、
検査テーブル３には、基準線RLと直交するテー
ブル面両端部に、互いに平行に凹状のロール収納
部５，５′が一体に設けられている。さらに、こ
の一対のロール収納部５，５′内には、図示のよ
うに円筒状の第１および第２の巻きロール６，
６′がそれぞれ収納されている。

一方、第１および第２の巻きロール６，６′に
は、不透明な第１，第２の摺動シート（例えば布
等）７，７′の一端側がそれぞれ巻付けられ、
夫々の他端側が互いに所定の間隔を存して、かつ
テーブル面３に沿つて基準線RL方向に摺動自在
に設けられて、第１，第２の摺動シート７，７′
は、その各他端側の間隔を第１の間隔調整部材
８，８′により所望間隔に調整できるようになつ
ている。ここで、第１の間隔調整部材８，８′は、
長手方向に一定間隔で複数個のピン貫通穴を有
し、かつ図示の如く各摺動シート７および７′の
幅方向端部に夫々固着された棒状の固着部材８
ａ，８a′と、２個のピン貫通穴を夫々有し、かつ
各固着部材８ａ，８a′相互間を渡るように設けら
れた棒状の連結部材８ｂ，８b′と、連結部材８
ｂ，８b′のピン貫通穴を通して固着部材８ａ，８
a′の所定のピン貫通穴に立てられたピン８ｃ，８
c′とから成つている。

一方、上記基準線RLと直交方向に互いに所定
の間隔を存して、不透明な第１の固定シート９と
第３の摺動シート１０が配置されると共に、同じ
く基準線RLと直交方向に互いに所定の間隔を存
して、不透明な第２の固定シート１１と第４の摺
動シート１２が配置され、第１のマスク体の上方
に位置するように配置して第２のマスク体が構成
されている。また、第３の摺動シート１０の基準
線RL方向両端部の上面側に凹部（溝部）１０ａ
を設けると共に、第２の固定シート１１の基準線
RL方向両端部の下面側に凸部１１ａを設け、第
２図の断面図に示すように当該凸部１１ａを凹部
（溝部）１０ａに嵌合させて、第３の摺動シート
１０を第２の固定シート１１に対して図示左右方
向に摺動自在としている。さらに、第１の固定シ
ート９，第２の固定シート１１を、その第３の摺
動シート１０側、第４の摺動シート１２側の端部
が、印刷物１、印刷見本２の対応する位置にくる
ようにそれぞれ配置している。さらにまた、第１
の固定シート９と第３の摺動シート１０，および
第２の固定シート１１と第４の摺動シート１２
は、その間隔をそれぞれ第２および第３の間隔調
整部材１３，１３′および１４，１４′により互い
に所望の同一間隔に調整できるようになつてい
る。なお、第１の固定シート９，第２の固定シー
ト１１の第３の摺動シート１０側，第４の摺動シ
ート１２側端部の両側には、ピン貫通用穴が夫々
設けられている。

ここで、第２の間隔調整部材１３，１３′は、
長手方向に一定間隔で複数個のピン貫通穴を有
し、かつ一端が第３の摺動シート１０に夫々固着
された棒状の固着部材１３ａ，１３a′と、固着部
材１３ａ，１３a′の所定のピン貫通穴を通して第
１の固定シート９のピン貫通穴に立てられたピン
１３ｂ，１３b′とから成つている。また同様に、
第３の間隔調整部材１４，１４′は、長手方向に
一定間隔で複数個のピン貫通穴を有し、かつ一端
が第４の摺動シート１２に夫々固着された棒状の
固着部材１４ａ，１４a′と、固着部材１４ａ，１
４a′の所定のピン貫通穴を通して第２の固定シー
ト１１のピン貫通穴に立てられたピン１４ｂ，１
４b′とから成つている。

以上のように構成した印刷物検査装置において
は、第１のマスク体の第１と第２の摺動シート７
と７′の間隔を、第１の間隔調整部材８，８′によ
り所望間隔に調整した状態で基準線RL方向に摺
動させることによつて、基準線RL方向つまり図
示上下方向の窓寸法が調整される。すなわち、連
結部材８ｂ，８b′のピン貫通穴を通して固着部材
８ａ，８a′の任意のピン貫通穴にピン８ｃ，８
c′を立てて、第１，第２の摺動シート７，７′の
位置を決めることにより、上下方向の窓寸法が調
整される。また、第２のマスク体の第１の固定シ
ート９と第３の摺動シート１０の間隔を第２の間
隔調整部材１３，１３′により、同じく第２の固
定シート１１と第４の摺動シート１２の間隔を第
３の間隔調整部材１４，１４′により、それぞれ
所望の同一間隔に調整した状態で基準線方向と直
交方向に摺動させることによつて、基準線方向と
直交方向つまり図示左右方向の窓寸法が調整され
る。すなわち、固着部材１３ａ，１３a′の任意の
ピン貫通穴を通して第１の固定シート９のピン貫
通穴にピン１３ｂ，１３b′を立てると共に、固着
部材１４ａ，１４a′の任意のピン貫通穴を通して
第２の固定シート１１のピン貫通穴にピン１４
ｂ，１４b′を立てて、第１の固定シート９に対す
る第３の摺動シート１０の位置，および第２の固
定シート１１に対する第４の摺動シート１２の位
置を決めることにより、左右方向の窓寸法が調整
される。

従つて、このように窓寸法が調整された第１，
第２のマスク体を、検査テーブル３のテーブル面
に配置された印刷物１および印刷見本２の上方の
所望位置に移動させることにより、印刷物１およ
び印刷見本２の特定の小領域のみ、すなわちこれ
に描かれた楽譜の１小節部分のみを露出させて当
該小領域の周辺領域を覆い、狭い範囲に注視して
印刷物１と印刷見本２との比較検査を行なうこと
が可能となる。また、この小領域すなわち検査領
域を印刷物１および印刷見本２の全域にわたつて
順次移動させながら、全ての小節部分について両
者の比較検査を行なうことが可能となる。さら
に、窓寸法すなわち検査領域の大きさを各々のマ
スク体により任意に調整することにより、印刷文
字サイズの大きさ等による検査領域の適宜サイズ
に十分対処することが可能である。

上述したように、本実施例の印刷物検査装置に
おいては、印刷物１および印刷見本２の対応する
特定の小領域のみを露出させ、当該小領域の周辺
領域である不要部分を覆つて検査を行なうように
しているので、狭い範囲に注視して印刷物１と印
刷見本２との比較検査を目視で検査を行なうこと
が可能となる。これにより、検査の際に従来のよ
うに、検査領域である注視点近傍の文字等に目が
ごまかされてしまうということがなくなり、両者
の相違点を多大な労力を要することなく容易に発
見することができ、見落としするようなことも無
くなる。また、本実施例の印刷品質検査装置はそ
の導入が従来工程上にあるので実施し易く、かつ
専用の検版具を用意するのみでよいので、コスト
的にも極めて安価である。さらに、特に楽譜のよ
うに点一つでその音符の長さの意味が変わるとい
つたような印刷物を検査する際には、楽譜の一小
節毎といつたように不要部分はマスクして検査領
域のみを露出させることができるので、人間の目
の検査能力をフルに生かしてチエツクミスを無く
することが可能である。

尚、上記実施例では第２の固定シート１１の両
端部に凸部１１ａを設け、この凸部１１ａを第３
の摺動シート１０の凹部（溝部）１０ａに嵌合さ
せて摺動自在としたが、第２の固定シート１１の
両端部に凹部（溝部）を設けると共に、第３の摺
動シート１０に凸部を設け、当該凸部を第２の固
定シート１１の凹部（溝部）に嵌合させて摺動自
在としてもよい。

また、上記実施例では第２の固定シート１１の
下面に凸部１１ａを設け、また第３の摺動シート
１０の上面に凹部（溝部）１０ａを設けたが、逆
に第２の固定シート１１の上面に凹部（溝部）を
設け、また第３の摺動シート１０の下面に凸部を
設けて摺動自在としてもよい。

さらに、上記実施例において検査テーブル３上
に配置した印刷物１および印刷見本２が浮上らな
いようにするため、これらの上面を検査テーブル
３と同一寸法の透明シートで覆うようにしてもよ
い。

（考案の効果） 以上説明したように本考案によれば、人間の目
の検査能力をフルに生かしてチエツクミスを無く
しつつ印刷物の検査を少ない労力で容易にかつシ
ビアに行なうことが可能な経済的にも有利な印刷
物検査装置が提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による印刷物検査装置の一実施
例を示す分解斜視図、第２図は同実施例における
第３の摺動シートと第２の固定シートとの結合関
係を示す部分図である。 １……印刷物、２……印刷見本、３……検査テ
ーブル、４……位置決め当て部材、５，５′……
ロール収納部、６，６′……第１，第２の巻きロ
ール、７，７′……第１，第２の摺動シート、８，
８′……第１の間隔調整部材、８ａ，８a′……固
着部材、８ｂ，８b′……連結部材、８ｃ，８c′…
…ピン、９……第１の固定シート、１０……第３
の摺動シート、１１……第２の固定シート、１２
……第４の摺動シート、１３，１３′……第２の
間隔調整部材、１３ａ，１３a′……固着部材、１
３ｂ，１３b′……ピン、１４，１４′……第３の
間隔調整部材、１４ａ，１４a′……固着部材、１
４ｂ，１４b′……ピン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 印刷直後に抜取つた印刷物と正しい校了となつ
   た印刷見本とを目視により比較検査するのに用い
   られる印刷物検査装置において、 テーブル面上の基準線に対して互いに対称とな
   る位置に前記印刷物と印刷見本とが配置された検
   査テーブルと、この検査テーブルの基準線方向両
   端側に設けた第１および第２の巻きロールに一端
   側がそれぞれ巻付けられ、各他端側が互いに所定
   の間隔を存してかつ前記テーブル面に沿つて基準
   線方向に摺動自在に設けられた不透明な第１およ
   び第２の摺動シートからなる第１のマスク体と、
   前記基準線と直交方向に互いに所定の間隔を存し
   て配置された不透明な第１の固定シートと第３の
   摺動シート、および前記基準線と直交方向に互い
   に所定の間隔を存して配置された不透明な第２の
   固定シートと第４の摺動シートからなり、かつ前
   記第１のマスク体の上方に位置するように配置さ
   れた第２のマスク体とを備え、 前記第１および第２の摺動シートの各他端側の
   間隔を第１の間隔調整部材により所望間隔に調整
   し、また前記第３の摺動シートを第２の固定シー
   トに対して摺動自在に設け、さらに前記第１の固
   定シートおよび第２の固定シートを、その第３の
   摺動シート側および第４の摺動シート側の端部が
   前記印刷物と印刷見本との対応する位置にくるよ
   うにそれぞれ配置すると共に、第１の固定シート
   と第３の摺動シートとの間隔、および第２の固定
   シートと第４の摺動シートとの間隔をそれぞれ第
   ２および第３の間隔調整部材により互いに所望の
   同一間隔に調整するようにしたことを特徴とする
   印刷物検査装置。