JPH0541160U - 非線形素子を備えた固体装置 - Google Patents

非線形素子を備えた固体装置

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JPH0541160U
JPH0541160U JP8980191U JP8980191U JPH0541160U JP H0541160 U JPH0541160 U JP H0541160U JP 8980191 U JP8980191 U JP 8980191U JP 8980191 U JP8980191 U JP 8980191U JP H0541160 U JPH0541160 U JP H0541160U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 非線形素子における電圧−電流特性の経時的
安定性を向上可能な非線形素子を備えた固体装置を実現
すること。 【構成】 MIM型非線形素子20は、一方の回路側に
導電接続するTa電極層22と、このTa電極層22を
クエン酸水溶液中で陽極酸化してなるTa25 膜23
と、Cr電極層25とによって独立して構成されてお
り、MIM型非線形素子20はCr電極層25を介して
他方の回路側に導電接続している。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は非線形素子を備える固体装置に関し、特に、その非線形素子のスイッ チング動作の安定化技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
非線形素子を備える代表的な固体装置であるアクティブマトリクス方式の液晶 表示パネルにおいては、画素領域毎に非線形素子を設けてマトリックスアレイを 形成した一方側の基板と、カラーフィルタが形成された他方側の基板との間に液 晶を充填しておき、各画素領域毎の液晶の配向状態を制御して、所定の情報を表 示する。ここで、非線形素子として、TFTなどの3端子素子、あるいは2端子 素子を用いるが、液晶表示パネルに対する画面の大型化および低コスト化などの 要求に対応するには、2端子素子を用いた方式が有利である。しかも、2端子素 子を用いた場合には、マトリックスアレイを形成した一方側の基板に走査線を設 け、他方側の基板に信号線を設けることができるので、走査線と信号線とのクロ スオーバー短絡が発生しないというメリットもある。
【0003】 このような2端子素子を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示パネルに おいては、図2に示すように、各画素領域1aで各走査線11と各信号線12と の間に非線形素子2(図中、バリスタの符号で示す。)と液晶表示素子3(図中 、コンデンサの符号で示す。)が直列接続された構成として表され、走査線11 および信号線12に印加された信号に基づいて、液晶表示素子3を選択状態(表 示状態)および非選択状態(非表示状態)に切り換えて表示動作を制御する。す なわち、図3(a)に実線31で示すように、非線形素子2において、印加電圧 VNLと電流INLとは非線形性の関係を有しているため、非線形素子2のスレッシ ョルド電圧をVth、液晶表示素子3が非表示状態となる電位をVa 、表示状態と なる電位を(Va +ΔV)として図3(b)に示すように、所定の画素領域1a における走査線11と信号線12との間の電位差V(単位画素への印加電圧)を (Va +Vth)とすることによって、非線形素子2を遮断状態として、液晶表示 素子3を非選択状態とする一方、走査線11と信号線12との間の電位差Vを( Va +Vth+ΔV)とすることによって、非線形素子2を導通状態として、液晶 表示素子3を選択状態とする。
【0004】 ここで、非線形素子2は、従来においては、図5に示すように、透明基板51 の表面側に形成されて、走査線11を介して走査回路(駆動回路)側に導電接続 するTa電極層52と、その表面側のTa2 5 膜53と、その表面側に形成さ れたITOからなる画素電極54とから構成されたダイーオード型の非線形素子 50である。ここで、Ta2 5 膜53は、Ta電極層22の表面に膜厚さが均 一で、しかもピンホールがない状態で形成されるように、Ta電極層22に対す る陽極酸化によって形成され、その陽極酸化用の電解液としては、クエン酸の水 溶液が用いられている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、非線形素子50を用いた液晶表示パネルにおいては、従来より 、静止画像などを表示した後に残像が発生しやすく、表示性能が低いという問題 点があった。その原因はこれまで不明であったが、本願考案者は、マトリックス アレイの各構成要素と表示性能との関係を調査した結果、その原因が非線形素子 50の電流−電圧特性の経時的安定性に問題があることを確認した。
【0006】 すなわち、非線形素子50において、印加電圧VNLと電流INLとの関係が、初 期状態において図3(a)に実線31で示す関係であったものが、経時的に、破 線32または一点鎖線33で示すようにシフトしてしまうためである。ここで、 印加電圧VNLと電流INLとの関係がシフトした場合には、たとえば、表示状態か ら非表示状態に切り換えるため、走査線11と信号線12との電位差Vを(Va +Vth+ΔV)から(Va +Vth)に切り換えても、非線形素子50を導通状態 から遮断状態に切換、制御することができなくなって、残像などを発生させてし まう。また、逆の表示動作の場合も同様である。
【0007】 このような問題点を解消するために、本願考案者は、従来の陽極酸化条件のう ち、陽極酸化における電流密度や液温度を変えて、さらには他の有機酸を用いて Ta2 5 膜を形成し、各非線形素子における印加電圧VNLと電流INLとの関係 の経時的安定性を検討したが、いずれのTa2 5 膜においても、その安定性を 向上させるには至らなかった。
【0008】 以上の問題点に鑑みて、本考案の課題は、非線形素子を用いたコストメリット を確保しながら、その印加電圧と電流特性との関係を経時的にも安定化可能な非 線形素子を備えた固体装置を実現することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本考案に係る固体装置において講じた手段は、基 板の表面側に形成された非線形素子が、その一方の回路側に導電接続する第1の 金属電極層と、この金属電極層表面に形成された陽極酸化膜と、この陽極酸化膜 の表面側に形成された第2の金属電極層とによって構成されており、この第2の 金属電極層を介して、非線形素子は他方の回路側に導電接続していることを特徴 とする。
【0010】
【作用】
本考案において、非線形素子は、第2の金属電極層を介して他方の回路側に導 電接続しており、第1の金属電極層,陽極酸化膜および第2の金属電極層によっ て回路側から独立した構成になっている。従って、他方の回路側の配線層や画素 電極などが非線形素子の構成要素になっていないので、非線形素子の動作特性に 適するように第2の金属電極層の材質などを選択することができる。
【0011】
【実施例】
つぎに、添付図面に基づいて、本考案の実施例に係る非線形素子を備える固体 装置について説明する。
【0012】 〔実施例1〕 図1は、本考案の実施例1に係る固体装置の非線形素子の構成を示す断面図で ある。なお、本例の非線形素子の動作は、従来の非線形素子の動作と同様である ため、その動作特性などについては図2および図3を参照して説明する。
【0013】 図1に示すように、本例のMIM型の非線形素子2(以下、MIM型非線形素 子20と称す。)は、走査線11を介して走査回路(駆動回路)側に導電接続す るTa電極層22(第1の金属電極層)と、このTa電極層22の表面にクエン 酸水溶液中での陽極酸化により形成されたTa2 5 膜23(陽極酸化膜)と、 この陽極酸化膜23の表面側に形成されたCr電極層25(第2の金属電極層) とによって構成されており、このCr電極層25を介して、MIM型非線形素子 20は、その信号供給回路側たるITOからなる画素電極24に導電接続してい る。すなわち、非線形素子2は、その構成要素として画素電極24を含むのでは なく、Ta電極層22,Ta2 5 膜23,およびCr電極層25によって独立 して構成されている。
【0014】 このため、第2の金属電極層として、固体装置の構成上の制約を受けず、非線 形素子としての動作特性を優先してCr層などを選択できるので、そのスイッチ ング特性なども良好である。たとえば、本例のMIM型非線形素子20において は、印加電圧VNLと電流INLとの関係が、初期状態において図3(a)に実線3 1で示す関係であったものが、たとえば、長時間、電位が印加された後でも、実 線31の関係を保持し、図3(a)に破線32または一点鎖線33で示す関係に シフトすることがない。それ故、たとえば、図2に示すような回路構成であって も、走査線11および信号線12に対してそれぞれ印加された信号に基づいて、 MIM型非線形素子20は、確実に導通状態または遮断状態に切換、制御される 。それ故、このMIM型非線形素子20を用いた固体装置においては、その動作 の信頼性が高い。
【0015】 〔実施例2〕 つぎに、本考案の実施例2に係る液晶表示パネル(固体装置)およびその製造 方法について説明する。ここで、そのマトリッスクスアレイの構造および動作は 、実施例1のMIM型非線形素子20と同様であるため、同じく図1を用いて説 明するが、対応する部分には同符号を付してある。また、その動作などは、従来 の非線形素子と同様であるため、同じく図2および図3を参照して説明する。
【0016】 本例に係るアクティブマトリックス方式の液晶表示パネル(固体装置)におい ては、図1および図2に示すように、マトリックスアレイの画素領域1a毎に、 走査線11を介して走査回路(駆動回路)側に導電接続するTa電極層22(第 1の金属電極層)と、このTa電極層22の表面に陽極酸化により形成されたT a2 5 膜23(陽極酸化膜)と、この陽極酸化膜23の表面側に形成されて、 ITOからなる画素電極24に導電接続するCr電極層25(第2の金属電極層 )とによってMIM型の非線形素子2(以下、MIM型非線形素子20と称す。
【0017】 )が構成されている。すなわち、MIM型非線形素子20は、その構成要素とし て画素電極24を含むのではなく、Ta電極層22,Ta2 5 膜23およびC r電極層25(第2の金属電極層)によって独立して構成されている。
【0018】 ここで、Ta2 5 膜23の内部には、V属元素を組成に含むドーピング材と してリン酸アニオンがドーピングされている。このため、本例のMIM型非線形 素子20においては、詳しくは実験結果に基づいて後述するが、印加電圧VNLと 電流INLとの関係が、初期状態において図3(a)に実線31で示す関係であっ たものが、たとえば、静止画を表示するために長時間、電位が印加された後でも 、実線31の関係を保持し、図3(a)に破線32または一点鎖線33で示す関 係にシフトすることがない。そして、その安定性は、実施例1のMIM型非線形 素子と比較しても、極めて高い。それ故、走査線11および信号線12に対して それぞれ印加された信号に基づいて発生する走査線11と信号線12との間に生 じた電位差によって、液晶表示素子3を選択状態と非選択遮断状態との間で確実 に切り換えて表示動作を制御することができる。すなわち、図3(b)に示すよ うに、走査線11と信号線12との間の電位差Vを(Vb +Vth)とすることに よって、MIM型非線形素子20を遮断状態として、液晶表示素子3を非表示状 態(非選択状態)とする一方、走査線11と信号線12との間の電位差Vを(Vb +Vth+ΔV)とすることによって、MIM型非線形素子20を導通状態とし て、液晶表示素子3を表示状態(選択状態)とするときに、MIM型非線形素子 20の印加電圧VNLと電流INLとの関係が使用履歴によって極めてシフトしにく いので、走査線11および信号線12からの信号の変化に追従して、液晶表示パ ネルの液晶の配向状態が変化する。それ故、液晶表示パネルに残像などの発生が なく、その表示品質が高い。
【0019】 このような構成の液晶表示パネルの製造方法を、以下に説明する。
【0020】 まず、予めTa酸化物層21aなどを形成した透明基板21の表面側にTa層 をスパッタ形成した後、Ta層をパターニングしてTa電極層22を形成する。
【0021】 このTa電極層22は、走査回路まで延長されて走査線11も構成している。
【0022】 つぎに、Ta電極層22に陽極酸化を施して、その表面層をTa2 5 膜23 とする。ここで、陽極酸化用電解液として、オルトリン酸の水溶液を用いる。ま ず、陽極酸化用電解液の中に、Ta電極層22を形成した透明基板21を浸漬し 、定電流定電圧電源の電流値を、初期電流密度が0.1mA/cm2 となるよう に設定して、定電流条件下で陽極酸化を行う。このときの定電流定電圧電源の設 定電圧は、所定の膜厚さに対応した電圧値、通常は30〜40vに設定してある 。ここで、定電流条件下で約15分間、陽極酸化を行うと、Ta2 5 膜の成長 にともなって電源電圧が上昇していき、電源電圧が設定電圧に達した後は、定電 圧陽極酸化過程となって、漏れ電流が減衰していく。この状態で、約2時間保持 して、Ta電極層22の表面上に厚さが500ÅのTa2 5 膜23を形成する 。なお、陽極酸化用電解液の液温度は常温である。
【0023】 しかる後に、Ta2 5 膜23の表面上にCrをスパッタ形成、およびパター ニングしてCr電極層25を形成し、Ta電極層22,Ta2 5 膜23および Cr電極層25からなるMIM型非線形素子20を構成する。ここで、画素電極 24については、図1に示すように、Cr電極層25の下層側に形成する場合は 、Cr電極層25の形成工程の前に形成しておくが、画素電極24を形成する工 程の工程順序は、各電極材料と、それをエッチングするエッチャント種との関係 などによって任意に設定される。
【0024】 このような陽極酸化工程により形成されたMIM型非線形素子20においては 、陽極酸化用電解液中にオルトリン酸がアニオン種として配合されているため、 陽極酸化過程において、Ta2 5 の成長と共に、オルトリン酸アニオンはTa2 5 膜23の内部に侵入していく。この侵入過程は、オルトリン酸アニオンの イオン半径がクエン酸アニオンなどに比較して小さいことに因るものと想定でき る。また、その侵入は、Ta2 5 膜23の粒界の安定化、または結晶性などに 影響を及ぼしているものと推定できる。このため、Ta2 5 膜23を改質する ために、イオン注入などのプロセスを用いなくとも、Ta2 5 膜23の形成工 程を援用して、リン酸アニオンのドープを行なえる。従って、工程数が増えるこ とがないので、液晶表示パネルのマトリックスアレイにMIM型非線形素子20 を用いたコストメリットが犠牲になることがない。
【0025】 ここで、陽極酸化条件のうち、陽極酸化用電解液の液組成(オルトリン酸濃度 )と、MIM型非線形素子20のVthとの関係を検討した結果を説明する。
【0026】 本例においては、H3 PO4 ・H2 Oで表される85wt%のオルトリン酸に 対して、所定量の水を添加して、種々の陽極酸化用電解液を調製し、そのオルト リン酸濃度と、MIM型非線形素子20のVthの安定性との関係を検討した。こ こで、MIM型非線形素子における印加電圧と電流との関係は、一般に下式で表 される。
【0027】 I=αVexp(β・V1/2 ) 但し、式中、αは導電係数、βは非線形係数であり、下式で表される。
【0028】 α=(nμq/d)exp(−φ/kT) β=(1/kT)(q3 /πε1 ε0 d)1/2 但し、式中、n:キャリア密度,μ:キャリヤの移動度,q:電子の電荷量 d:膜厚さ,φ:トラップ深さ,k:ボルツマン定数,T:周囲温度 ε1 ,ε0 :誘電率 従って、log(I/V)をV1/2 に対してプロットすると、図4(a)に実 線41で示すように略直線で表される。本例における検討においては、スレッシ ョルド電圧Vthとして、10mA/cm2 の電流値が流れるときの印加電圧値を Vth1 、10μA/cm2 の電流値が流れるときの印加電圧値をVth2 とし、そ れらの値によって、MIM型非線形素子20のVthの安定性を評価した。すなわ ち、所定の電流値に対応する印加電圧値Vth1 またはVth2 は、従来のMIM型 非線形素子においては、電位を印加した時間と、Vth1 またはVth2 がシフトす る電圧ΔVthとの間に、図4(b)に実線42で示すような関係があり、表示の 安定性を低下させる原因となることが確認されているので、ここでは、実施例1 および本例のMIM型非線形素子に対して、同一の電位を印加し、所定時間が経 過した後のΔVthを比較した。従って、ΔVthの値が小さな方が好ましい。
【0029】 (陽極酸化用電解液組成と初期のVthとの関係) まず、陽極用電解液の組成として〔H3 PO4 ・H2 O〕/〔H3 PO4 ・H2 O+H2 O〕vol%の値を変えて、MIM型非線形素子20を形成し、陽極 酸化用電解液の組成と、各MIM型非線形素子20の初期におけるVth1 または Vth2 との関係を表1に示す。なお、表1には、Ta電極層22をCr電極層2 5に対して正の電位とした場合と、Ta電極層22をTa電極層22に対して負 の電位とした場合のそれぞれについて、陽極酸化用電解液の組成と、Vth1 ,Vth2 との関係を示す。
【0030】
【表1】
【0031】 表1に示すように、陽極用電解液中のH3 PO4 濃度を高めていくと、それに つれて、Vth1 およびVth2 はいずれも低下していく傾向を示す。この傾向は、 電位をいずれの方向から印加しても同様である。従って、本例のMIM型非線形 素子20においては、同じ電流を流すのに低電圧で充分であることを利用して、 以下のように表示動作を向上することもできる。たとえば、本例のTa2 5 膜 23においては、その膜厚さを従来のクエン酸水溶液中で形成したTa2 5 膜 の膜厚さと同じにしても、Vth1 およびVth2 の値が小さいので、駆動電圧の低 電圧化が図られることを示す。逆に、本例のMIM型非線形素子20のVth1 お よびVth2 の値を、従来のMIM型非線形素子のVth1 およびVth2 の値と同じ にした場合には、Ta2 5 膜23の膜厚さを例えば1000Å位まで厚くでき る。従って、ミクロ的なピンホールの発生を防止できると共に、このTa2 5 膜23の容量成分を小さくすることができるので、表示の点欠陥やクロストーク などを防止でき、初期的な表示の品質を向上させることができる。
【0032】 (陽極酸化用電解液組成とVthがシフトした値との関係) つぎに、上記の検討に用いたMIM型非線形素子20について、Vth2 の経時 変化について調査した。この検討においては、まず、Vth2 を計測した後、6v DCを300秒間印加し、印加後のVth2 を計測して、そのシフトした値ΔVth 2 を求め、その大小を比較する。本例の検討において得られた陽極用電解液にお けるH3 PO4 濃度としての〔H3 PO4 ・H2 O〕/〔H3 PO4 ・H2 O+ H2 O〕vol%と、ΔVth2 との関係を表2に示す。なお、表2においても、 Ta電極層22をCr電極層25に対して正の電位とした場合、Ta電極層22 をCr電極層25に対して負の電位を印加した場合のそれぞれについて示す。
【0033】
【表2】
【0034】 表2に示すように、陽極用電解液中のH3 PO4 濃度を高めていくと、それに つれて、ΔVth2 は低下していく。この傾向は、電位をいずれの方向から印加し ても同様である。
【0035】 このように、本例の液晶表示パネルにおいては、マトリクスアレイを構成する MIM型非線形素子20のTa2 5 膜23の形成にあたって、その陽極酸化用 電解液にオルトリン酸の水溶液を用いることによって、MIM型非線形素子20 のVthの経時的なシフトを抑制して、そのスイッチング動作の安定化を図ってい る。従って、走査線11と信号線12との間に生じる電位差Vの変化に対し、液 晶表示パネルに用いた液晶の配向状態の変化が追従する。その結果、液晶表示パ ネルにおいて、固定パターンを長期間表示させても、残像、フリッカーなどの発 生がなく、品質の高い表示が可能である。
【0036】 ここで、オルトリン酸アニオンがTa2 5 膜23の内部に侵入していくプロ セスについては、クエン酸アニオンに比較して、オルトリン酸アニオンのイオン 半径が小さいことに起因して、電位勾配に従って酸化膜内部に侵入していくと想 定できる。また、侵入したリンまたはオルトリン酸アニオンの効果についても、 繰り返し行った実験の結果から導き出されたものであるため、そのメカニズムは 解明されるに至っていないが、たとえばTa2 5 膜23の粒界の安定化との関 係、またはTa2 5 膜23の結晶化との関係に影響しているものとも考えられ る。従って、ドーピング材、すなわち陽極酸化用電解液に配合して効果を得られ るアニオンとしては、オルトリン酸アニオンに限らず、砒素酸アニオン,アンチ モン酸アニオンまたはビスマス酸アニオンなどであってもよいと想定できる。ま た、これらのアニオン種を単独で用いてもよいが、他の成分と共に陽極酸化用電 解液に配合しておいてもよい。
【0037】 なお、本例において、リン酸系陽極酸化用電解液の組成と、MIM型非線形素 子20のVthの経時的なシフトを抑制する効果との関係は、表2に示した関係に 限らず、そのときの電流密度や液温度などによってシフトする。従って、表2で は、〔H3 PO4 ・H2 O〕/〔H3 PO4 ・H2 O+H2 O〕vol%が約0 .215vol%以上、とくに約1.0vol%以上で顕著な効果が得られてい るが、さらに陽極酸化時の電流密度を高めた場合などにおいては、さらにその効 果を発揮する領域が拡大される傾向がある。従って、組成の濃度的な条件につい ては、その電流密度や液温度などによって最適な条件に設定される。
【0038】 また、本例において、第2の金属電極層にはクロム層を利用したが、これに限 らず、チタン層やアルミニウム層なども利用でき、限定のないものである。
【0039】 さらに、第1の金属電極層にはタンタル層を利用したが、これに限らず、陽極 酸化処理を利用して絶縁層を形成でき、しかも、非線型素子を形成可能な金属で あれば他の金属層であってもよい。
【0040】
【考案の効果】
以上のとおり、本考案においては、基板の表面側に形成された非線形素子が、 一方の回路側に導電接続する第1の金属電極層と、この金属電極層表面に形成さ れた陽極酸化膜と、この陽極酸化膜の表面側に形成された第2の金属電極層と、 によって構成されており、この第2の金属電極層を介して、非線形素子は他方の 回路側に導電接続していることに特徴を有する。従って、本考案によれば、非線 形素子は、固体装置の配線層などを構成要素とせず、独立して構成されているた め、非線形素子に適した金属層を第2金属電極層として用いることができる。そ れ故、その電流−電流特性の経時的安定性などを向上させることができるという 効果を奏する。
【提出日】平成5年1月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】 α=(nμq/d)exp(−φ/kT) β=(1/kT)(q3 /πε1 ε0 d)1/2 但し、式中、n:キャリア密度,μ:キャリヤの移動度,q:電子の電荷量 d:膜厚さ,φ:トラップ深さ,k:ボルツマン定数,T:周囲温度 ε1 ,ε0 :誘電率 従って、log(I/V)をV1/2 に対してプロットすると、図4(a)に実 線41で示すように略直線で表される。本例における検討においては、スレッシ ョルド電圧Vthとして、100mA/cm 2 の電流値が流れるときの印加電圧値 をVth1 、10μA/cm2 の電流値が流れるときの印加電圧値をVth2 とし、 それらの値によって、MIM型非線形素子20のVthの安定性を評価した。すな わち、所定の電流値に対応する印加電圧値Vth1 またはVth2 は、従来のMIM 型非線形素子においては、電位を印加した時間と、Vth1 またはVth2 がシフト する電圧ΔVthとの間に、図4(b)に実線42で示すような関係があり、表示 の安定性を低下させる原因となることが確認されているので、ここでは、実施例 1および本例のMIM型非線形素子に対して、同一の電位を印加し、所定時間が 経過した後のΔVthを比較した。従って、ΔVthの値が小さな方が好ましい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】 ここで、オルトリン酸アニオンがTa2 5 膜23の内部に侵入していくプロ セスについては、クエン酸アニオンに比較して、オルトリン酸アニオンのイオン 半径が小さいことに起因して、電位勾配に従って酸化膜内部に侵入していくと想 定できる。また、侵入したリンまたはオルトリン酸アニオンの効果についても、 繰り返し行った実験の結果から導き出されたものであるため、そのメカニズムは 解明されるに至っていないが、たとえばTa2 5 膜23の粒界の安定化との関 係、またはTa2 5 膜23の結晶化との関係に影響しているものとも考えられ る。従って、ドーピング材、すなわち陽極酸化用電解液に配合して効果を得られ るアニオンとしては、オルトリン酸アニオンに限らず、砒素酸アニオン,アンチ モン酸アニオンまたはビスマス酸アニオンなどであってもよいと想定できる。ま た、これらのアニオン種を単独で用いてもよいが、複数のアニオン種を同時に用 いてもよいし、アンモニウムなど、 他の成分と共に陽極酸化用電解液に配合して おいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例1ないし実施例2に係るMIM
型非線形素子の構造を示す断面図である。
【図2】アクティブマトリックス方式の液晶表示パネル
の等価回路図である。
【図3】(a)は液晶表示パネルのマトリックスアレイ
を構成する非線形素子の印加電圧と電流との関係を示す
グラフ図、(b)は単位画素への印加電圧と表示の明る
さとの関係を示すグラフ図である。
【図4】(a)は液晶表示パネルのマトリックスアレイ
を構成するMIM型非線形素子の印加電圧と電流との関
係として、V1/2 に対してlog(I/V)をプロット
したグラフ図、(b)はMIM型非線形素子に対して電
位を印加した時間と、そのVthがシフトした値との関係
を示すグラフ図である。
【図5】従来のダイオード型の非線形素子の断面図であ
る。
【符号の説明】
1・・・液晶表示パネル 1a・・・画素領域 2・・・非線形素子 3・・・液晶表示素子 11・・・走査線 12・・・信号線 20・・・MIM型非線形素子 21,51・・・透明基板 22,52・・・Ta電極層(第1の金属電極層) 23,53・・・Ta2 5 膜(陽極酸化膜) 24,54・・・画素電極 25・・・Cr電極層(第2の金属電極層) 50・・・ダイオード型の非線形素子
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年1月8日
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の表面側に形成された非線形素子
    が、一方の回路側に導電接続する第1の金属電極層と、
    この金属電極層表面に形成された陽極酸化膜と、この陽
    極酸化膜の表面側に形成された第2の金属電極層と、に
    よって構成されており、この第2の金属電極層を介し
    て、前記非線形素子は他方の回路側に導電接続している
    ことを特徴とする非線形素子を備えた固体装置。
JP8980191U 1991-10-31 1991-10-31 非線形素子を備えた固体装置 Pending JPH0541160U (ja)

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