JPH0540658U - 耐圧用オイルシール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 着脱が容易で密封性、耐圧性の良好な耐圧用
オイルシールの実現。 【構成】 ハウジング１５のオイルシール取付穴１７に
嵌合するゴム様嵌合部１３ａの外周面を三角形状に向き
合う斜面に形成するとともに、その斜面の角度をハウジ
ング外側の角度αよりもハウジング内側の角度βの方を
大きくし、かつ金属補強環１２の外周円筒部１２ａから
半径方向内側に向かう部分を、外周円筒部１２ａからハ
ウジング内径側に垂直に延びるストッパー部１２ｂとす
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、油圧ポンプの軸端部に使用されるような耐圧用オイルシールに関す る。

【０００２】

【従来の技術】

図３は従来のこの種の耐圧用オイルシールの一例を示している。ボールベアリ ング１を介装されたハウジング２と軸３との間には、耐圧用オイルシール４がハ ウジング２の外側から嵌め込まれている。耐圧用オイルシール４は、外周に円筒 部を有する円板状の金属補強環５と、その外周面に固着されたゴム様材料（ゴム または樹脂。以下同じ）からなる嵌合部６と、その内周端に固着されたゴム様材 料からなるシールリップ７とを有する。シールリップ７にはばね８が装着されて 、シールリップ７を軸３の表面に圧接させている。ボールベアリング１が装着さ れたハウジング２の内部には、オイルポンプの場合はオイルが充満しており、そ のオイルがハウジング２の外側に漏れ出ないように、オイルシール４が働いてい る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、このようなオイルシール４は、ハウジング２内部の高い油圧に耐え る耐圧性と十分な密封性を備えなければならないと同時に、ハウジング２内部の メンテナンス時には、ハウジング２に対する脱着が容易でなければならない。こ れらの要素は両立させることが難しく、上記したオイルシール４の場合は、耐圧 性および密封性を確保するために、嵌合部６のハウジング２の取付穴９に対する 締め代を大きく取っているため、脱着が容易でないという問題があった。また、 金属補強環５の全体で油圧を受けるため耐圧性も劣るという問題があった。

【０００４】 本考案は、このような従来の問題を解決するものであり、耐圧性、密封性およ び脱着性に優れた耐圧用オイルシールを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記目的を達成するために、ハウジングのオイルシール取付穴に嵌 合するゴム様嵌合部の外周面を三角形状に向き合う斜面に形成するとともに、そ の斜面のオイルシール取付穴に対する角度を、ハウジング外側よりもハウジング 内側の方を大きくし、かつ金属補強環の外周円筒部から半径方向内側に向かう部 分を、外周円筒部からハウジング内径側に垂直に延びるストッパー部としたもの である。

【０００６】

【作用】

したがって本考案によれば、ゴム様嵌合部の外周面の三角形状に向き合う斜面 形状により、脱着が容易であるとともに、シールリップと同様の形状なので密封 性が良く、しかも金属補強環のハウジング内径側の部分がストッパー部になって いるので、ハウジングに取り付けたときにはハウジング側の部材に当たって油圧 を直接受けることがなく、受圧面積が小さくなるので耐圧性を向上させることが できる。

【０００７】

【実施例】

図１は本考案の一実施例を示している。耐圧性のオイルシール１１は、金属補 強環１２とゴム様材料からなるゴム部１３とからなり、ボールベアリング１４を 介装したハウジング１５と軸１６との間に装着されている。金属補強環１２は、 外周円筒部１２ａと、この外周円筒部１２ａから半径方向内側に垂直に延びるス トッパー部１２ｂと、このストッパー部１２ｂから半径方向内側かつハウジング 外側に向かって屈曲する基部１２ｃとからなり、ストッパー部１２ｂのハウジン グ内側に露出する表面は、ボールベアリング１４の外輪１４ａのハウジング外側 の側面に当たっている。ゴム部１３は、金属補強環１２の外周円筒部１２ａの周 囲に嵌合部１３ａを有し、その外周面は三角形状に向き合う斜面に形成されてい る。斜面のハウジング１５のオイルシール取付穴１７に対する角度は、ハウジン グ外側の角度αよりもハウジング内側の角度βの方が大きく設定されている。ゴ ム部１３はまた、金属補強環１２の基部１２ｃの外側に引掛穴１３ｂを有する引 掛リング１３ｃを有し、また基部１２ｃの内周端部にシールリップ１３ｄを有す る。さらに嵌合部１３ａのハウジング内側の側面には環状突起１３ｅが形成され て、ボールベアリング１４の外輪１４ａの側面に当たっている。１８はボールベ アリング１４の抜け防止のためのストップリングである。１９はオイルシール１ １の抜け防止のためのストップリングである。なお、図２は引掛リング１３ｃの 全体形状を示している。

【０００８】 次に上記実施例の作用について説明する。オイルシール１１のオイルシール取 付穴１７への装着は、ゴム部１３の嵌合部１３ａを圧入することにより行なわれ る。このとき、その外周面が三角形状の斜面に形成されているため、装着が極め て容易になる。この作用は脱着時も同じである。また、嵌合が三角形状の頂点部 分で線接触に近くなるため、接触圧が高くなり、嵌合幅が小さいことによる密封 性の低下を補うことができる。さらに、三角形状の角度α，βの関係をα＜βと したので、通常のシールリップと同様な楔効果により、密封性が向上する。さら にまた、ゴム部１３の環状突起１３ｅがボールベアリング１４の外輪１４ａの側 面に圧接しているため、ボールベアリング１４のがたつきを抑えるとともに密封 性が良くなる。また、金属補強環１２のストッパー部１２ｂがボールベアリング １４の外輪１４ａの側面に当たってハウジング１５内部の油圧の影響を直接受け ないので、金属補強環１２における受圧面積が小さくなって耐圧性が向上する。 さらに、ゴム部１３に引掛リング１３ｃが形成されているので、その引掛穴１３ ｂに工具を引掛けて引張ることにより、オイルシール１１のオイルシール取付穴 １７からの引き抜きを容易に行なうことができる。

【０００９】

【考案の効果】

以上のように、本考案による耐圧用オイルシールは、ハウジングのオイルシー ル取付穴に嵌合するゴム様嵌合部の外周面を三角形状に向き合う斜面に形成する とともに、その斜面のオイルシール取付穴に対する角度をハウジング外側よりも ハウジング内側の方を大きくし、かつ金属補強環の外周円筒部から半径方向内側 に向かう部分を、外周円筒部からハウジング内径側に垂直に延びるストッパー部 としたので、オイルシールの着脱を容易に行なうことができ、かつ密封性および 耐圧性の良好な耐圧用オイルシールを実現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す耐圧用オイルシールの
断面図。

【図２】図１のオイルシールにおける引掛けリングの全
体形状を示す図。

【図３】従来の耐圧用オイルシールの断面図。

【符号の説明】

１１ オイルシール １２ 金属補強環 １２ａ 外周円筒部 １２ｂ ストッパー部 １３ ゴム部 １３ａ 嵌合部 １４ ボールベアリング １５ ハウジング １６ 軸 １７ オイルシール取付穴

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属補強環の外周円筒部にゴム様材料か
   らなる嵌合部を備え、そのハウジングのオイルシール取
   付穴に嵌合する外周面を三角形状に向き合う斜面に形成
   するとともに、その斜面のオイルシール取付穴に対する
   角度をハウジング外側よりもハウジング内側の方を大き
   くし、かつ金属補強環の外周円筒部から半径方向に向か
   う部分を、外周円筒部からハウジング内径側に垂直に延
   びるストッパー部とした耐圧用オイルシール。