JPH0540413U

JPH0540413U - 耐力壁パネルおよび耐力壁パネルユニツトを結合した木造建物

Info

Publication number: JPH0540413U
Application number: JP10803591U
Authority: JP
Inventors: 庄次松沢
Original assignee: 庄次松沢
Priority date: 1991-10-28
Filing date: 1991-10-28
Publication date: 1993-06-01

Abstract

(57)【要約】（修正有）【目的】木造建築の軸組工法において、壁体部の構成
をパネル化することによって、現場作業を省力化し、工
期の短縮を図り、工事費の節減を期することを目的とす
る。【構成】少なくとも、両側方部に両端に柄部２を延設
した縦枠部材３を配置し、該縦枠部材３と、所定の間柱
４を配置した横枠部材５とにより壁体枠６を形成し、該
壁体枠６の間柱４間に断熱材７を介装し、外側に構造用
面材８を結合し、柄部２を横架部材５に嵌装すると共
に、該構造用面材８の端縁部を、上記壁体枠６及び隣接
する横架材１０の端縁部に設けたシヤクリ面１０ａに係
合させ、該部を覆装して一体的に結合したことを特徴と
する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、木造建築の軸組工法における構造用面材としての耐力壁パネルおよび耐力壁パネルをユニットとして構成した建築物に関する。

【０００２】

【従来の技術】

木造建築において、柱、土台、桁、梁等を基本に組立てていく軸組工法における壁体部は、古来、小舞い壁、大壁小舞い、木ずり壁等種々の工法が知られ、広く実施されて来た。しかし、これらの工法は長所もあるが、何れも壁下地作業が複雑であり、塗り壁の乾燥期間もあり、建築現場において、所定の工程順に沿って作業の必要があり、季節および天候に影響を受け易く、したがって、工期の伸張を余儀なくされた。

【０００３】そこで、壁下地作業を簡素化しおよび早期乾燥性の素材を使用し、工期の短縮化を図るために、柱材間に所定の間柱、筋かい部材を配置した壁体空間部に、断熱材を充填または介装して、外側にアスファルトルーフィング、メタルラス等を張設した上、セメントモルタル仕上げを施すか、或いは、軽量コンクリートパネル（ＡＬＣ板）等を覆装する工法が提案されている。例えば（実開昭５８−６９６２４号、実開昭５９−１４６４２１号公報）しかし、これらの提案は、個々の壁体材料および関連付属材料の現場搬入、組立て、養生期間或いは跡作業等の現場作業が多く、季節、天候に影響を受け易く、さらに、気密性、断熱，遮音性について難点を免れなかった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の目的は、上記公知の技術に内在した課題を克服することのできる耐力壁パネルおよび該壁パネルユニットを構成部材とする木造建物を供することである。即ち、壁体の形成作業の大部分を工場生産とし、建築現場においては、主として壁体空間に装着作業を行うことによって、季節、天候の影響を少なくし、工期を短縮し、省力化によって工費の低減化を図ることである。さらに、構造用面材を軽量化し装着作業を省力化すると共に、耐震、断熱、遮音性に富む耐力壁パネルおよび該パネルユニットを結合した木造建物を供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案に係わる耐力壁パネルの特徴は、壁体パネルを構成する壁体枠の少なくとも両側縦部材を、柱材の一部で形成し、該両側部の縦枠部材が、直列または９０°曲設されて隣接して配置される他の壁パネルの側方の縦部材と、接合して一体的に固着され、互いに共同して一本の柱材として機能させることであり、そして、該両側の縦部材は、その上、下端部に柄部を延設してあり、該柄部が、土台、桁又は梁部材等の隣接する横架材に予め設けた柄穴にそれぞれ装嵌され結合させる。次に、上記縦枠部材と、所定の間柱を配置した横枠部材とによって壁体枠を形成し、上記間柱の間に断熱材を介して構造用面材を結合し、該構造用面材の反対側に防湿性薄膜およびまたは化粧板を壁体枠に一体的に糊着又は釘着等により結合すると共に、該構造用面材の縁辺部を、壁体枠および隣接して配置される桁、梁等の横架部材の端縁部を覆装して係合させ固着させる。

【０００６】次に、両側方部に、柱部材の一部からなる縦枠部材と、上、下横枠部材とにより壁体枠を形成し、該壁体枠の内郭部にサッシュ等の建具枠を適宜装着すると共に、該建具枠の外郭と壁体枠の内郭との空間部に、所定の間柱を配置し、及び、該間柱の外側に断熱材を介して構造用面材を配置し、該構造用面材の反対側に防湿性薄膜およびまたは化粧板を壁体枠に一体的に結合し、該構造用面材の縁辺部を壁体枠および隣接する横架部材の端縁部を覆装して係合させる。なお、上記構造用面材の縁辺部を両側枠部材および隣接して連結配置される横架部材の内郭角部には適宜のシヤクリ面を削設しておき、該シヤクリ面と構造用面材の縁辺部とを互いに係合させることが望ましい。

【０００７】

【作用】

耐力壁パネルを構成する壁体枠は、少なくとも両側方部に柱部材の全部又は一部を縦部材として形成され、該縦部材は、その上、下端部に設けた柄部によって、土台、桁、梁等の横架部材に予め設けた柄穴に嵌装されているため、壁パネルに対し鉛直方向からの衝撃に対し、強度を発揮できる。次に、壁体枠は、間柱の外側に断熱材を介して構造用面材を配置し、該構造用面材の反対側に、防湿性の薄膜およびまたは化粧板を、壁体枠と一体的に結合され、とくに、該構造用面材の縁辺部を壁体枠および隣接する横架部材の端縁部に、予め設けたシヤクリ面に覆装して係合させたので、該構造用面材は柱、粱等と一体的に連結され、該パネルに平行なねじれ等の応力に堪え、耐震効果を改善できる。さらに、断熱材を介装しているため、断熱、遮音、気密性効果を奏する。

【０００８】

【実施例１】本考案の好ましい実施例について図面を参照して説明する。本考案に係わる耐力壁パネル（１）は、図１〜２に示すように、少なくとも両側方部に、上、下端部に柄部（２），（２）を延設した柱部材の一部（断面柱材の半割）からなる縦枠部材（３），（３）を配置し、該縦枠部材（３），（３）と所定の間柱（４），（４）を配置した上、下の横枠部（５），（５）とにより壁体枠（６）を形成し、該壁体枠（６）の間柱（４），（４）間に、断熱材（７）を介装して外側に、例えばシージングボード（軟質繊維板ＪＩＳＡ５９０９，密度０．９ｇ／ｃｍ未満、少なくとも厚さ１２ｍ／ｍ）のような構造用面材（８）を、上記縦枠部材（３），（３）の内郭角部に設けたシヤクリ面（９），（９）並びに隣接する横架部材（１０），（１０）の内郭角部に設けたシヤクリ面（１０ａ），（１０ａ）に結合すると共に、壁体枠（６）の縦枠部材（３），（３）の柄部（２），（２）を隣接する横架部材（１０），（１０）に予め設けた柄穴（１１），（１１）に嵌装し、該構造用面材（８）の縁辺部と壁体枠の縦枠部材（３），（３）および隣接する横架部材（１０），（１０）の内郭角部を覆装して壁パネル（１）と躯体部とを一体的に結合した構成とする。

【０００９】とくに、壁体枠（６）の縦枠部材（３），（３）と隣接する横架部材（５），（５）との装着部は、かすがい（１２），（１２）により緊締すると共に、壁パネル（１）を直列に配置して壁体を構成する場合においては、隣接して直列に配置される各縦枠部材（３），（３）は、柱材の半割断面（例えば、１００ｍ／ｍ ×５０ｍ／ｍ）の縦枠部材（３），（３）の両部材により、１００ｍ／ｍ×１００ｍ／ｍの断面を形成する。

【００１０】上記、直列に配置した縦枠部材（３），（３）は、軸組工法における柱として評価することができるので、該直列した縦枠部材（３），（３）をその接合面において互いに糊着するほか、該縦枠部材（３），（３）の対応位置にボールト孔を設けボールトナットを介して締着し或いは、胴部の対応位置に切欠部を設け、適宜のコ型金具を装嵌釘着することによって、両縦枠部材（３），（３）が座屈しない構成とすることもできる。（但し、図示を省略する。）

【００１１】

【実施例２】上記耐力壁パネル（１）の別の実施例として、図３，４に示すように、隅角部に配置する柱材（１３）の内角の鉛直方向に壁パネル（１）を配置結合するに当っては、該隅角部の柱材（１３）の内側鉛直面に沿って、両側方に、上、下端部に柄部（２），（２）を延設した柱部材の一部（半割角）からなる縦枠部材（３），（３）と横枠部材（５），（５）とにより壁体枠（６）を形成し、該壁体枠（６）の内郭空間部に断熱材（７）を介して外側に構造用面材（８）を壁体枠（６）に結合し、隅角部の柱材（１３）と壁体枠（６），（６）とを鉛直方向に一体的に構成し、隅角部用の壁パネル（１ａ）を形成し実施することができる。

【００１２】隅角部用の壁パネル（１）を装着に際しては、隅角部の柱材（１３）の柄部（２），（２）に対応する横架部材（１０），（１０）に設けた柄穴（１１），（１１）に隣接して、壁パネル（１）の柱材（１３）側の縦枠部材（３），（３）の柄部（２），（２）に対応する柄穴（１１），（１１）を設け、および、縦枠部材（３），（３）の他方側に設けた柄部（２），（２）に対応する横架部材（１０），（１０）に柄穴（１１），（１１）を設け、柱材（１３）と結合した隅角部用の壁パネル（１）を横架部材（１０），（１０）に、互いに鉛直方向に装着することができる。

【００１３】次に、上記実施例のさらに別の実施例として、図５，６に示すように、壁体枠（６）の内郭の適宜の空間部に、建具枠（１４）を壁体枠（６）に一体的に結合し、開口面（１５）を形成した壁パネル（１）を構成して実施することもできる。

【００１４】さらにまた上記壁体枠の外側にのみ構造用面材（８）を配置して壁パネル（１）を構成することに代え、別の実施の態様として、図１，２および３，４に示すように、壁体枠（６）の間柱（４），（４）間に、断熱材（７）を介して外側に構造用面材（８）を配置すると共に、壁体枠（６）の内側に、例えば、塩化ビニールシート（１６）その他防湿性の薄膜およびまたは、化粧板（１７）を糊着或いは釘着することによって、介装した断熱材（７）の散逸を妨げるとともに、断熱材（７）の吸湿を少なくし、結露現象を防止させることができる。

【００１５】本考案に係わる壁パネルを使用して壁体を構成する場合においては、建物の壁体空間を形成する柱および土台、梁、桁等の横架部材（１０），（１０）の屋外側の内郭角部に、予め、構造用面材（８）の厚みに対応するシヤクリ面（１０ａ），（１０ａ）を切欠し、および、壁体枠（６）の両側方部の縦枠部材（３），（３）の柄部（２），（２）に対応する隣接の横架部材（１０），（１０）に柄穴（１１），（１１）を設け、縦枠部材（３），（３）の両側柄部（２），（２）を該横架部材（１０），（１０）の柄穴（１１），（１１）に装嵌して、壁体空間部に壁パネル（１）を配置すると共に、横枠部材（５），（５）の端縁部に露出させた構造用面材（８）の縁辺部を横架部材（１０），（１０）の上記内郭角部に切欠したシヤクリ面（１０ａ），（１０ａ）に係合させながら適宜糊着するかまたは、釘着することによって、壁パネル（１）は建物の柱、桁、梁等の躯体部と密に嵌着され一体的に係合緊締される。したがって、上記構造用面材の外側には、公知のセメントモルタル仕上げ、或いは、軽量コンクリートパネルその他適宜の外壁材を覆装し一層堅固な木造建築物を得られる。

【００１６】

【考案の効果】

本願の考案は、上記の構成を有するので、下記の効果を奏する。所望の壁体空間に、間柱、筋かい、断熱材等を建築現場で取付ける壁下地作業を省き、予め工場生産によって壁パネルを生産し、該壁パネルを建築現場に移送しこれを、所定の壁体空間に嵌装係止するので、作業が省力的で、工期の短縮に寄与することができる。

【００１７】壁パネルの両側方の縦枠部材の端部柄部が、隣接の横架材に設けた柄穴に装嵌され躯体部と一体的に結合され、かつ、壁パネルの構造用面材の縁辺部が、縦枠部材の内郭角部および隣接する横架部材の内郭角部に設けたシヤクリ面に係合嵌着されているため、壁面に鉛直方向の応力に強く、また、軸方向に対するねじれ現象に対して耐力を具えているので、筋かいを施工せずとも耐震上効果的である。

【００１８】壁パネルの構造用面材の縁辺部が、縦枠部材の内郭角部および、隣接する横架材の内郭角部に設けたシヤクリ面部に装嵌係止し、よって構造用面材の外表面が柱材、横架材等の外面に平行し、外壁作業において、メタルラス等の下地作業が容易であり、又モルタル作業も容易で、塗装作業後において亀裂等の発生を防止できる。

【００１９】さらに、本考案に係わる壁パネルは、断熱材の外側に構造用面材を配置し、内側に防湿性のシートを配置して、断熱材との間に空間部を気密に設けたので、断熱材の散逸または吸湿による結露現象を妨げ、また上記空間部と床下空間および屋根裏空間との連通が容易で、これらを互いに連通させることによって、季節に応じて、寒暖の空気を循環させ、居住空間の包温の調節を改善することもできる等種々の工業的効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】壁パネルの一部欠截正面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線における断面図である。

【図３】隅角部用の壁パネルの一部欠截正面図である。

【図４】図３のＢ−Ｂ線における断面図である。

【図５】開口部を具える壁パネルの正面図である。

【図６】図５のＣ−Ｃ線における断面図である。

【符号の説明】

１：壁パネル１ａ：隅角部用壁パネル２，
２：柄部３，３：縦枠部材４，４：間柱
５，５：横枠部材６：壁体枠７：断熱材
８：構造用面材９，９：シヤクリ面１０，１０：横架部材１０
ａ，１０ａ：シヤクリ面１１，１１：柄穴１２，１２：かすがい１３：柱材１４：建具枠１５：開口面１
６：シート１７：化粧板

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】少なくとも両側方部に、上、下端部に柄
部を延設した柱部材の一部からなる縦枠部材を配置し、
該縦枠部材と所定の間柱を配置した上、下の横枠部材と
により壁体枠を形成し、該壁体枠の間柱間に断熱材を介
して外側に構造用面材を、上記壁体枠に結合し、壁体枠
の柄部を隣接する横架部材に嵌装すると共に、該構造用
面材の縁辺部を壁体枠および隣接する横架部材の端縁部
を覆装して、一体的に係合するようにしたことを特徴と
する耐力壁パネル。
【請求項２】隅角部の柱材の鉛直面に沿って互いに
「状に耐力壁パネルを配置した請求項１記載の隅角部用
の耐力壁パネル。
【請求項３】壁体枠の内郭の適宜の空間部に、建具枠
を装着して開口面を形成すると共に、該開口面を除く壁
体枠の内郭の空間部に所要の間柱を配置し、および該間
柱間に、断熱材を介して外側に、構造用面材を結合し、
該構造用面材の縁辺部を壁体枠および隣接する横架材の
端縁部を覆装して係合するようにした請求項１記載の開
口面を具える耐力壁パネル。
【請求項４】壁体枠の間柱間に断熱材を介して外側に
構造用面材を配置すると共に、該構造用面材の反対側に
防湿性薄膜およびまたは化粧板を配置し、上記壁体枠に
結合した請求項１乃至３記載の耐力壁パネル。
【請求項５】隅角部の柱材内角の鉛直面に沿って互い
に「状に配置した隅角部の壁パネルと、開口部を具えな
い壁パネルおよび開口部を具える壁パネルをユニットと
して結合し壁体部を構成した請求項４記載の木造建物。