JPH0539953Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は車両のシートサスペンシヨン装置に関
し、特に悪路走行時等にサスペンシヨン機能を停
止せしめるロツク機能を有するシートサスペンシ
ヨン装置に関する。

［従来の技術］ シートサスペンシヨン装置は、車両フロアに固
定したロアフレームの上方に、バネ付勢されたリ
ンク機構によりアツパフレームを支持せしめ、ア
ツパフレーム上に車両シートを載置した構造を有
し、リンク機構に支持力を付与するバネ部材のバ
ネ力を容易に調整することができるとともに、必
要に応じてシヨツクアブソーバを設ける等により
良好なクツシヨン性を得ることができる。

かかるシートサスペンシヨン装置において、悪
路走行時の入力振動の振動数が、上記装置の固有
振動数付近になることがあり、この場合にはシヨ
ツクアブソーバを設けていても共振によりシート
が比較的大きく揺れて乗り心地が悪化する。

［考案が解決しようとする課題］ そこで、ロツク部材を設けて、悪路走行時等に
ロアフレームとアツパフレームの相対変位を規制
することが行われるが、上記両フレームの相対変
位を一端部でのみ規制しても効果は少なく、他端
部にもロツク部材を設けて両端部で規制する必要
がある。

ロツク部材としては、アツパフレームやリンク
アームに当接してその移動を規制するものが構造
簡単な点で良いが、この場合、シートの一端と他
端では振動位相が異なり、一端側でロツク部材が
ロツクあるいはロツク解除状態になつても他端側
ではロツクあるいはロツク解除状態とならないこ
とが往々にしてあるため、操作に手間を要し、ま
た、二つのロツク部材を同時に操作するため大き
な操作力を要する。

本考案はかかる課題を解決するためになされた
もので、大きな操作力を要することなく、かつ一
回の操作でスムーズにロツク作動がなされる車両
のシートサスペンシヨン装置を提供することを目
的とする。

［課題を解決するための手段］ 本考案の構成を説明すると、車両フロアＦに固
定されたロアフレーム１と、該ロアフレーム１の
上方に配設され車両シートを載置するアツパフレ
ーム２と、上記アツパフレーム２を水平姿勢を保
つて上下動するように上記ロアフレーム１に連結
するリンク機構３Ａ，３Ｂと、該リンク機構３
Ａ，３Ｂにアツパフレーム支持力を付与する支持
用バネ部材４Ａ，４Ｂとを具備する車両のシート
サスペンシヨン装置は、アツパフレーム２および
ロアフレーム１のいずれか、ないしリンク機構３
Ｂを構成するリンクアーム３１にロツク位置にて
当接し、それぞれ上記アツパフレーム２およびロ
アフレーム１の一端部および他端部の相対移動を
規制する第１ロツク部材５および第２ロツク部材
６と、上記第１ロツク部材５に設けられ、その操
作途中で付勢方向が反転して、第１ロツク部材を
ロツク位置方向およびロツク解除位置方向へ付勢
する第１バネ部材７と、上記第２ロツク部材６を
ロツク位置方向ないしロツク解除位置方向へ付勢
する第２バネ部材８と、上記第１ロツク部材５と
第２ロツク部材６を連結し、上記第１バネ部材７
よりもバネ力が小さく、かつ第２バネ部材８より
もバネ力が大きい第３バネ部材９とを具備してい
る。

「作用」 上記構成のシートサスペンシヨン装置におい
て、第１ロツク部材５をロツク位置方向へ操作す
ると、これは第１バネ部材７のバネ力によりロツ
ク位置方向へ付勢され、適当タイミングでロツク
位置に至つてアツパフレーム１に当接し、その一
端部における相対移動を規制する。

上記第１ロツク部材５が第１バネ部材７により
上記ロツク位置方向へ付勢されると、第３バネ部
材９が弛緩し、第２ロツク部材６は第２バネ部材
８のバネ力により適当タイミングでロツク位置に
至つてリンクアーム３１に当接して、アツパフレ
ーム１の他端部における相対移動を規制する。

第１ロツク部材５をロツク解除方向へ操作する
と、これは第１バネ部材７のバネ力によりロツク
解除位置へ戻る。第３バネ部材９は伸張し、その
バネ力により適当タイミングで第２ロツク部材６
はロツク解除位置へ戻る。

かくして、第１バネ部材７を設けたことによ
り、ロツクないしロツク解除操作時の操作力は小
さくて良く、また、第３バネ部材９を介在せしめ
たことにより、第１ロツク部材５を操作すれば、
第２ロツク部材６は独自のタイミングでロツク位
置ないしロツク解除位置へ至る。したがつて、両
ロツク部材５，６のタイミングを合せなくて良い
ため、大きな操作力を要することなく、一回の操
作でスムーズに上記両ロツク部材５，６のロツク
ないしロツク解除がなされる。

［第１実施例］ 第１図ないし第３図において、上下に間隔をお
いて平行に四角形状のロアフレーム１とアツパフ
レーム２が配設され、ロアフレーム１は車両フロ
アＦに固定されている。上記アツパフレーム２は
前後の平行リンク機構３Ａ，３Ｂによりロアフレ
ーム１上に支持されており、各リンク機構３Ａ，
３Ｂは、枠体よりなる傾斜リンクアーム３１と、
該リンクアーム３１の一方の側面に連結されたサ
ブアーム３２とを有し、上記各サブアーム３２に
は、ロアフレーム１上に位置して両端が捩じられ
たトーシヨンバー４Ａ，４Ｂの一端が連結され
て、上記リンクアーム３１に支持力を付与してい
る。

なお、リンク機構３Ａのリンクアーム３１とア
ツパフレーム２の連結点と、ロアフレーム１間に
はシヨツクアブソーバ３３が配設してある。

ロアフレーム１の前端にはロツクプレート５が
設けてあり、該ロツクプレート５は長板状で、そ
の下端が回動自在にロアフレーム１に軸着され、
板面の中間位置には前方へ突出する操作レバー５
１が設けてある。

その詳細を第４図で説明すると、ロツクプレー
ト５の上端部には側方へ切欠き５２が形成してあ
り、ロツク位置たるプレート直立状態で、図示の
如く、上記切欠き５２がアツパフレーム２設けた
係止ロツド２１と係合して上記アツパフレーム２
の移動を規制する。上記ロツクプレート５の中間
位置とロアフレーム１の間にはコイルバネ７が配
設され、該コイルバネ７は、ロツク位置にある上
記ロツクプレート５を付勢保持するとともに、ロ
ツクプレート５をロツク解除位置たる横倒状態
（図中鎖線）に操作する途中で付勢方向が反転し
て、上記プレート５をロツク解除位置に付勢保持
する。

第１図、第３図において、リンク機構３Ｂのリ
ンクアーム３１に近いロアフレーム１後端部上に
は、左右位置にロツクプレート６が設けてあり、
これらロツクプレート６は同形で、同時作動す
る。その詳細を第５図で説明すると、ロツクプレ
ート６は、下端がロアフレーム１に回動自在に軸
着され、軸回りに配設したコイルバネ８によりロ
ツク位置たる起立位置に付勢されて、起立状態で
その先端面がリンクアーム３１の下側面に当接
し、リンクアーム３１の下方への移動を規制す
る。

上記ロツクプレート６には中間位置に設けたピ
ン６１にコイルバネ９の一端が係止してあり、該
コイルバネ９の他端には、上記ロツクプレート５
より至るケーブル９１が連結してある。

上記各コイルバネ７，８，９のバネ力は、コイ
ルバネ７を最も大きくなし、コイルバネ９、コイ
ルバネ８の順に小さくしてある。

上記構造のシートサスペンシヨン装置におい
て、悪路走行時の入力振動の振動数が上記装置の
固定振動数付近になり共振によりシートが比較的
大きく揺れて乗心地が悪化した場合にはロツクプ
レート５を直立のロツク位置方向へ回動操作す
る。ロツクプレート５から手を離しても、ロツク
プレート５はコイルバネ７のバネ力によりロツク
位置へ付勢され、上下動するアツパフレーム２の
前端部が所定位置へ至つた時に、ロツクプレート
５の切欠き５２と係止ロツド２１が係合してアツ
パフレーム２の上下動が規制される。

この状態でケーブル９１に連結されているコイ
ルバネ９は収縮弛緩し、ロツクプレート６はコイ
ルバネ８のバネ力により起立状態に付勢され、ア
ツパフレーム２後端部の上下動とともに揺動する
リンクアーム３１が所定位置に至つた時にその下
側面に当接して、下方への揺動を阻止する。

かくして、悪路走行時には、アツパフレーム２
の移動がその前後の端部で規制され、この結果、
シートの揺れが良好に抑えられて乗り心地の悪化
が防止される。

悪路通過後は、ロツクプレート５をロツク解除
位置へ横倒する。このロツク解除位置への操作
は、途中でコイルバネ７の付勢力が反転して解除
位置方向へロツクプレート５を付勢するから、小
さい操作力で可能である。

上記操作に伴いケーブル９１が引かれ、コイル
バネ９が伸張する。しかして、リンクアーム３１
が振動等により僅かでも上方へ揺動すると、ロツ
クプレート６はコイルバネ９のバネ力で、第５図
の鎖線で示す如くロツク解除位置へ横倒する。

このように、ロツクプレート５，６の間にコイ
ルバネ９を設けたことにより、両ロツクプレート
５，６の作動タイミングが異なつても、一回の操
作で確実にアツパフレーム２の前後端部をロツク
ないしロツク解除することができる。また、作動
タイミングが異なるために大きな操作力は要さな
い。

本実施例によれば、コイルバネ９のバネ力以上
の力がケーブル９１に加わることがないから、ケ
ーブル強度は比較的小さくて良い。

［第２実施例］ アツパフレーム後端部に設けるロツクプレート
６の形状を、ロツクプレート５と同一としても良
く、これを第６図に示す。図において、ロツクプ
レート６は切欠き６２によりアツパフレーム２の
係止ロツド２２と係合し、ロツク状態となる。

かかる構造によつても上記実施例と同様の効果
がある。

［第３実施例］ 第７図、第８図に示す構造としても良く、かか
る構造ではロツクプレート５をロツク位置方向へ
操作した時にコイルバネ９が伸張して、そのバネ
力により適当タイミングでロツクプレート６がロ
ツク位置に至り、一方、上記ロツクプレート５を
ロツク解除位置方向へ操作したときはコイルバネ
９が弛緩し、ロツクプレート６はコイルバネ８の
バネ力により適当タイミングでロツク解除位置へ
戻る。

この実施例においても上記各実施例と同様の効
果がある。

なお、ロツクプレート６は第９図に示す構造と
することもできる。

上記第１ないし第３の各実施例の構造は、第１
０図、第１１図にその概略を示す如く、アツパフ
レーム２とロアフレーム１をＸリンク機構１０で
支持する形式のサスペンシヨン装置にも適用でき
ることはもちろんである。

なお、ロツクプレート５，６をアツパフレーム
２に設ける構造とすることができる。

［考案の効果］ 以上の如く、本考案の車両のシートサスペンシ
ヨン装置は、装置の両端部にそれぞれ設けたロツ
ク部材を、軽い操作力で、かつワンタツチの操作
で作動せしめることができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は本考案の第１実施例を示
し、第１図はサスペンシヨン装置の全体側面図、
第２図はその全体正面図、第３図はその全体平面
図、第４図はサスペンシヨン装置前端部の概略拡
大正面図、第５図は装置後端部の概略拡大側面
図、第６図は本考案の第２実施例を示すサスペン
シヨン装置後端部の概略拡大側面図、第７図およ
び第８図は本考案の第３実施例を示し、第７図は
装置前端部の概略拡大正面図、第８図は装置後端
部の概略拡大側面図、第９図はロツクプレートの
他の構造を示す装置後端部の概略拡大正面図、第
１０図および第１１図は上記各実施例をさらに他
の構造のサスペンシヨン装置に適用したそれぞれ
概略側面図である。 １……ロアフレーム、２……アツパフレーム、
３Ａ，３Ｂ……リンク機構、３１……リンクアー
ム、４Ａ，４Ｂ……トーシヨンバー（支持用バネ
部材）、５……ロツクプレート（第１ロツク部
材）、６……ロツクプレート（第２ロツク部材）、
７……コイルバネ（第１バネ部材）、８……コイ
ルバネ（第２バネ部材）、９……コイルバネ（第
３バネ部材）、Ｆ……車両フロア。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車両フロアに固定されたロアフレームと、該ロ
   アフレームの上方に配設され車両シートを載置す
   るアツパフレームと、上記アツパフレームを水平
   姿勢を保つて上下動するように上記ロアフレーム
   に連結するリンク機構と、該リンク機構にアツパ
   フレーム支持力を付与する支持用バネ部材とを具
   備する車両のシートサスペンシヨン装置におい
   て、アツパフレームおよびロアフレームのいずれ
   か、ないしリンク機構を構成するリンクアームに
   ロツク位置にて当接し、それぞれ上記アツパフレ
   ームおよびロアフレームの一端部および他端部の
   相対移動を規制する第１ロツク部材および第２ロ
   ツク部材と、上記第１ロツク部材に設けられ、そ
   の操作途中で付勢方向が反転して、第１ロツク部
   材をロツク位置方向およびロツク解除位置方向へ
   付勢する第１バネ部材と、上記第２ロツク部材を
   ロツク位置方向ないしロツク解除位置方向へ付勢
   する第２バネ部材と、上記第１ロツク部材と第２
   ロツク部材を連結し、上記第１バネ部材よりもバ
   ネ力が小さく、かつ第２バネ部材よりもバネ力が
   大きい第３バネ部材とを具備する車両のシートサ
   スペンシヨン装置。