JPH0539364A - 芳香族ポリアミド繊維と水素化ニトリルゴム配合物との接着方法 - Google Patents

芳香族ポリアミド繊維と水素化ニトリルゴム配合物との接着方法

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JPH0539364A
JPH0539364A JP19552291A JP19552291A JPH0539364A JP H0539364 A JPH0539364 A JP H0539364A JP 19552291 A JP19552291 A JP 19552291A JP 19552291 A JP19552291 A JP 19552291A JP H0539364 A JPH0539364 A JP H0539364A
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nitrile rubber
hydrogenated nitrile
polyamide fiber
bisphenol
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JP19552291A
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Atsushi Azuma
篤 東
Akinori Fujiwara
章憲 藤原
Chikashi Tomahara
史 笘原
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Bando Chemical Industries Ltd
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Bando Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 芳香族ポリアミド繊維で補強された水素化ニ
トリルゴム製品における繊維とゴムとの接着力を向上さ
せる。 【構成】 芳香族ポリアミド繊維を、分子内に少なくと
も2個のエポキシ基を有する平均分子量2500〜5500のビ
スフェノールA系エポキシ樹脂とその硬化触媒とを含む
液(処理液イ)で処理し、処理液イに水素化ニトリルゴ
ムまたはエポキシ基と2重結合とを有する化合物を添加
した混合液(処理液ロまたはハ)にて処理した。芳香族
ポリアミド繊維を、分子内に少なくとも2個の活性水素
を有する平均分子量500 〜2000の反応性樹脂とその硬化
剤とを含む液(処理液ニ)で処理し、処理液イで処理
し、処理液ロまたはハにて処理した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は芳香族ポリアミド繊維と
水素化ニトリルゴム配合物との接着方法に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】耐油性と
耐熱性とを同時に有するゴム製品として、水素化ニトリ
ルゴム製品が知られている。水素化ニトリルゴム製品
は、従来のニトリルゴム製品の利点である耐油性を保持
しつつ、耐熱性を改良したゴム製品であり、熱老化中の
イオウの再結合反応によるゴム弾性の低下を防ぐため
に、従来のニトリルゴムが有する2重結合にあらかじめ
水素を添加して、熱老化中の再結合反応を生じにくく
し、耐熱性を改良したものである。したがって、この水
素化ニトリルゴム製品の耐熱性を保持するためには、パ
ーオキサイド架橋系にするのが最適である。
【0003】近年、水素化ニトリルゴムにエチレン性不
飽和カルボン酸金属塩を配合して、さらに強度および耐
熱性を改善した製品を与える水素化ニトリルゴム配合物
も開発されている。
【0004】このような水素化ニトリルゴム製品として
は、ホース、伝動ベルト、コンベヤベルト、タイヤ、工
業用ゴム製品など、種々のものがあげられるが、このよ
うなゴム製品の多くは繊維材料との複合体であって、ゴ
ム配合物と繊維材料との間の接着力が大きいことが製品
の耐久性および複合体の特性発現などの点から要求され
る。
【0005】従来から、ゴム組成物と繊維材料との接着
力を大きくするためにレゾルシンとホルマリンとゴムラ
テックスとの混合液(RFL 液)によりあらかじめ繊維材
料を処理し、これを未加硫のゴム配合物と密着加硫させ
る方法がよく知られている。この方法はイオウ加硫系ゴ
ム配合物との接着には有効である。しかしながら、水素
化ニトリルゴム配合物と芳香族ポリアミド繊維とを接着
させるばあい、従来法によりRFL 液で芳香族ポリアミド
繊維を処理するだけでは、水素化ニトリルゴム配合物が
パーオキサイド架橋系であるため、RFL 液による皮膜が
劣化し、ゴム破壊に至るような高接着力をうることがで
きない。
【0006】そこで、かかる問題を解決するために従来
から種々の方法が提案されている。たとえばRFL 液処理
の前処理法として、エポキシ化合物またはポリイソシア
ネート化合物により処理する方法、ウレタン変性エポキ
シ樹脂により処理する方法(特開昭58-124631 号公
報)、エポキシ化合物および液状ゴムにより処理する方
法(特開昭58-5243 号公報)、プラズマ処理する方法
(特開昭61-141738 号公報)などの方法が提案されてい
る。また、RFL 液の調製に用いるラテックス成分につい
ての提案や各種添加剤の添加についての提案もされてい
る。
【0007】しかし、いずれの方法によっても、芳香族
ポリアミド繊維とパーオキサイド架橋系水素化ニトリル
ゴム配合物との間にゴム破壊を生じさせるような接着強
度を付与することはできない。
【0008】芳香族ポリアミド繊維と水素化ニトリルゴ
ム配合物との接着強度をあげる際に問題となるのは、芳
香族ポリアミド繊維は長さ方向の力には非常に強力であ
るが、横方向からの力に対しては弱く、フィブリル破壊
がおこりやすいことである。したがって、前記のように
前処理法により、すなわち二次凝集力によりいくら接着
力を向上させようとしても芳香族ポリアミド繊維がフィ
ブリル破壊を生じやすいため、ゴム破壊が生ずるほどの
接着強度はえられない。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、パーオキサイ
ド架橋水素化ニトリルゴム配合物と芳香族ポリアミド繊
維との接着力が充分でないという問題を解決するために
なされたものであり、芳香族ポリアミド繊維と、有機過
酸化物または有機過酸化物およびエチレン性不飽和カル
ボン酸金属塩を含有する水素化ニトリルゴム配合物とを
接着させる際に、(a) 分子内に少なくとも2個のエポキ
シ基を有する平均分子量2500〜5500のビスフェノールA
系エポキシ樹脂とその硬化触媒とを含む液(以下、処理
液イともいう)で芳香族ポリアミド繊維を処理したの
ち、(b) さらに前記ビスフェノールA系エポキシ樹脂、
その硬化触媒および水素化ニトリルゴムを含む混合液
(以下、処理液ロともいう)にて処理し、(c) えられた
芳香族ポリアミド繊維と未加硫の前記水素化ニトリルゴ
ム配合物とを密着加硫させることを特徴とする芳香族ポ
リアミド繊維と水素化ニトリルゴム配合物との接着方
法、芳香族ポリアミド繊維と前記水素化ニトリルゴム配
合物とを接着させる際に、(a) 処理液イで芳香族ポリア
ミド繊維を処理したのち、(b) さらに前記ビスフェノー
ルA系エポキシ樹脂、その硬化触媒およびエポキシ基と
2重結合とを有する化合物を含む混合液(以下、処理液
ハともいう)にて処理し、(c) えられた芳香族ポリアミ
ド繊維を未加硫の前記水素化ニトリルゴム配合物とを密
着加硫させることを特徴とする芳香族ポリアミド繊維と
水素化ニトリルゴム配合物との接着方法、芳香族ポリア
ミド繊維と前記水素化ニトリルゴム配合物とを接着させ
る際に、(a) 芳香族ポリアミド繊維を分子内に少なくと
も2個の活性水素を有する平均分子量500 〜2000の反応
性樹脂とその硬化剤とを含む液(以下、処理液ニともい
う)にて処理する第1工程、(b) 第1工程の処理がなさ
れた芳香族ポリアミド繊維を処理液イにて処理する第2
工程、(c) 第2工程の処理がなされた芳香族ポリアミド
繊維を処理液ロにて処理する第3工程および(d) 第3工
程の処理がなされた芳香族ポリアミド繊維を未加硫の前
記水素化ニトリルゴム配合物と密着加硫させる第4工程
を含むことを特徴とする芳香族ポリアミド繊維と水素化
ニトリルゴム配合物との接着方法ならびに芳香族ポリア
ミド繊維と前記水素化ニトリルゴム配合物とを接着させ
る際に、(a) 芳香族ポリアミド繊維を処理液ニにて処理
する第1工程、(b) 第1工程の処理がなされた芳香族ポ
リアミド繊維を処理液イにて処理する第2工程、(c) 第
2工程の処理がなされた芳香族ポリアミド繊維を処理液
ハにて処理する第3工程および(d) 第3工程の処理がな
された芳香族ポリアミド繊維を未加硫の前記水素化ニト
リルゴム配合物と密着加硫させる第4工程を含むことを
特徴とする芳香族ポリアミド繊維と水素化ニトリルゴム
配合物との接着方法に関する。
【0010】
【実施例】本発明に用いる水素化ニトリルゴム配合物
は、水素化ニトリルゴムに有機過酸化物または有機過酸
化物とエチレン性不飽和カルボン酸金属塩とを含有させ
たものである。
【0011】前記水素化ニトリルゴムとしては一般に水
素化ニトリルゴムと称されているものが使用され、なか
でも水素添加率が80〜99%、さらには90〜95%の範囲の
ものが耐熱性、耐寒性および力学特性のバランスの点か
ら好ましい。
【0012】前記エチレン性不飽和カルボン酸金属塩は
ゴム製品の強度および耐熱性をさらに改善するための成
分である。その具体例としては、たとえばアクリル酸、
メタクリル酸、クロトン酸、3-ブテン酸などの不飽和モ
ノカルボン酸や、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸な
どの不飽和ジカルボン酸、これらのモノエステルなどの
金属塩があげられる。金属塩としては、たとえば亜鉛
塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩な
どが好ましい。
【0013】このようなエチレン性不飽和カルボン酸金
属塩を配合するばあい、水素化ニトリルゴム100 部(重
量部、以下同様)に対して通常3〜100 部、好ましくは
5〜60部の範囲で配合される。エチレン性不飽和カルボ
ン酸金属塩の配合量が3部未満では水素化ニトリルゴム
製品の強度を改善する効果に乏しく、他方、100 部をこ
えると強度を低下させる傾向が生じる。
【0014】エチレン性不飽和カルボン酸金属塩を水素
化ニトリルゴムに前記割合で配合した配合物は、たとえ
ば日本ゼオン(株)から水素化ニトリルゴムZSC として
市販されており、本発明の方法においては、このような
市販品を好適に用いることができる。
【0015】エチレン性不飽和カルボン酸金属塩は、そ
れ自体として水素化ニトリルゴムと配合してもよいが、
水素化ニトリルゴムとエチレン性不飽和カルボン酸およ
び金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩などとをその他の要
すれば使用される成分とともに配合し、混練させること
により水素化ニトリルゴム配合物中でエチレン性不飽和
カルボン酸金属塩を生成させてもよい。
【0016】前記有機過酸化物にもとくに限定はなく、
一般にゴムの過酸化物架橋に用いられるものが使用され
る。そのような有機過酸化物の具体例としては、たとえ
ばジクミルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキサイ
ド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオ
キサイド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルパーオキ
シ)- ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5- ジ(ベンゾイル
パーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- (t-ブチル
パーオキシ)ヘキサンなどがあげられる。
【0017】これら有機過酸化物は、水素化ニトリルゴ
ム100 部に対して通常0.2 〜10部、好ましくは1.0 〜5.
0 部の範囲で配合されるが、最適量は要求される物性値
などを考慮して決定される。
【0018】前記水素化ニトリルゴム配合物には、必要
に応じてカーボンブラック、シリカなどの補強剤、炭酸
カルシウム、タルクなどの充填剤、トリアリルイソシア
ヌレート、トリメチロールプロパンなどの架橋助剤、老
化防止剤、着色剤などの通常のゴム薬品などを含有させ
てもよい。
【0019】本発明に用いる芳香族ポリアミド繊維に
は、水素化ニトリルゴム配合物に強力に接着させるため
の皮膜を形成し、また前記皮膜を形成するとともに耐屈
曲疲労性を与えるために、下記の処理がなされる。
【0020】前記芳香族ポリアミド繊維としては、たと
えばポリ-p- ベンズアミド、ポリ-m- ベンズアミド、ポ
リ-p- フェニレンテレフタルアミド、ポリ-m- フェニレ
ンイソフタルアミド、1,4-フェニレンテレフタルアミド
-3′,4′- ジアミノジフェニルエーテル共重合体などか
らなる繊維があげられる。
【0021】芳香族ポリアミド繊維は線状ポリアミドで
あればとくに限定はなく、形態についてもとくに限定は
なく、通常、糸、コード、連続フィラメントなどの形態
で使用され、一般にゴム材料の強化用として用いられて
いるものが使用される。
【0022】前記目的で行なわれる処理法の1つとし
て、まず分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有する
平均分子量2500〜5500のビスフェノールA系エポキシ樹
脂とその硬化触媒とを含む液(処理液イ)で芳香族ポリ
アミド繊維を処理したのち、さらに前記ビスフェノール
A系エポキシ樹脂、その硬化触媒および水素化ニトリル
ゴムを含む混合液(処理液ロ)にて処理する方法があげ
られる。
【0023】芳香族ポリアミド繊維を処理液イで処理す
ることにより、繊維に剥離強度が高く、強力かつ強靭な
皮膜が形成される。
【0024】前記処理液イに用いるビスフェノールA系
エポキシ樹脂は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基
を含む平均分子量2500〜5500、好ましくはエポキシ当量
1250〜2750のビスフェノールA系エポキシ樹脂である。
本明細書にいうビスフェノールA系エポキシ樹脂とは、
ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重縮合化合
物であって、分子末端にエポキシ基を有する化合物であ
る。
【0025】本発明においては、処理液イのエポキシ樹
脂としてこのようなビスフェノールA系エポキシ樹脂を
用いるため、芳香族ポリアミド繊維との親和性がよく、
かつ強力な皮膜がえられる。
【0026】前記ビスフェノールA系エポキシ樹脂のう
ち、本発明では平均分子量が2500〜5500と通常よりも大
きいものを用いるため、内部歪が小さくなって力がかか
ったばあいにもフィブリル化がおこりにくくなる。ま
た、繊維を被覆する効率が高くなり、剥離強度が大きく
なり、強力かつ強靭な皮膜を芳香族ポリアミド繊維上に
形成しうる。平均分子量が2500未満では架橋密度が高く
なりすぎるためフィブリル化をおさえる働きが充分でな
くなり、その結果接着力が低下し、一方5500をこえると
高粘度になるため浸透性、被覆性などが低下し、また架
橋密度が低くなりすぎ強力が出ずに、接着力が低下す
る。
【0027】前記ビスフェノールA系エポキシ樹脂の化
学構造は、分子内に2個のエポキシ基を含むもののばあ
い、たとえば式:
【0028】
【化1】
【0029】で示される。
【0030】前記ビスフェノールA系エポキシ樹脂とし
ては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとを反応
させるか、低分子量の液状ビスフェノールA型エポキシ
樹脂(たとえば油化シェルエポキシ(株)製のエピコー
ト828 )を出発原料として重合させることによってえら
れる反応生成物が好ましく用いられる。
【0031】前記硬化触媒としてはエポキシ基の開環重
合を生じさせるものであればとくに限定はなく、たとえ
ば三級アミン、イミダゾール系三級アミン化合物、ジシ
アンジアミドなどが用いられる。
【0032】処理液イには、通常の硬化剤であるポリア
ミン、ポリアミド、酸無水物などを用いずにエポキシ基
を重合させて硬化させる硬化触媒を用いるため、通常の
硬化剤を用いるばあいと比べ架橋密度が高くなり、剥離
強度の大きいエポキシ樹脂硬化物が生成する。しかも、
処理液の安定性がよくなるという利点もある。
【0033】以上のように、前記方法では分子内に少な
くとも2個のエポキシ基を含むビスフェノールA系エポ
キシ樹脂の平均分子量を2500〜5500に限定し、硬化触媒
で硬化させることにより、芳香族ポリアミド繊維との架
橋密度が高くなり、かつ、フィブリル化が押さえられ、
接着力が向上する。
【0034】処理液イの調製に用いる溶剤にはとくに限
定はなく、通常、ベンゼン、キシレン、トルエンなどの
芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトンなどの脂肪族ケトン、酢酸エチル、酢酸アミル
などのエステルなどが好適に用いられる。
【0035】処理液イは繊維材料の処理の作業上、ビス
フェノールA系エポキシ樹脂を5〜30%(重量%、以下
同様)、硬化触媒をビスフェノールA系エポキシ樹脂に
対し3〜20%含み、ビスフェノールA系エポキシ樹脂と
硬化触媒とを合計で5.15〜36%、さらに好ましくは10〜
30%含むのが有利である。
【0036】前記処理液イによる処理は、芳香族ポリア
ミド繊維に処理液イを浸漬などの方法により供給し、繊
維に対する樹脂付着量を好ましくは1〜10%程度にした
のち、加熱乾燥すればよい。繊維に対する樹脂付着量が
1%未満では接着力が低下し、10%をこえると芳香族ポ
リアミド繊維コード表面に形成する皮膜が厚くなり、耐
疲労性が低下する。また加熱乾燥は、繊維に付着させた
処理液イを反応定着させるに足る温度で行なえばよく、
通常、180 〜250 ℃で数分間処理すればよい。
【0037】処理液イで処理された芳香族ポリアミド繊
維を、ついで分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有
する平均分子量2500〜5500のビスフェノールA系エポキ
シ樹脂、その硬化触媒および水素化ニトリルゴムを含む
混合液(処理液ロ)にて処理することにより、パーオキ
サイド架橋水素化ニトリルゴム配合物と反応して高接着
力を発現する層が形成される。
【0038】処理液ロに使用されるビスフェノールA系
エポキシ樹脂、その硬化触媒としては、それぞれ処理液
イに用いられるビスフェノールA系エポキシ樹脂、硬化
触媒と同様のものがあげられる。
【0039】処理液ロに使用される水素化ニトリルゴム
としては、通常の水素化ニトリルゴムがあげられ、なか
でも接着剤層の耐熱性の点から好ましいものとしては、
アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのエチレ
ン性不飽和ニトリルと1,3-ブタジエン、イソプレン、1,
3-ペンタジエンなどの共役ジエンとの共重合体や、前記
の2種の単量体と共重合可能な単量体、たとえばビニル
芳香族化合物、(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)
アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレー
ト、シアノアルキル(メタ)アクリレートなどとの多元
共重合体があげられ、具体的にはアクリロニトリル- ブ
タジエン共重合ゴム、アクリロニトリル- イソプレン共
重合ゴム、アクリロニトリル- ブタジエン- イソプレン
共重合ゴム、アクリロニトリル- ブタジエン- アクリレ
ート共重合ゴム、アクリロニトリル- ブタジエン- アク
リレート- メタクリル酸共重合ゴムなどがあげられる。
【0040】前記水素化ニトリルゴムはエチレン性不飽
和ニトリル単位を10〜60%、さらには25〜40%含むもの
が被着ゴムとの相溶性の点から好ましく、共役ジエン単
位が30%以下、さらには5〜20%のものが耐熱性と反応
性の点から好ましい。前記水素化ニトリルゴムは液状ゴ
ムであってもよい。
【0041】処理液ロの調製に用いる溶剤にはとくに限
定はなく、通常、ベンゼン、キシレン、トルエンなどの
芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、イソブチルケト
ンなどの脂肪族ケトン、酢酸エチル、酢酸アミルなどの
エステルなどが好適に用いられる。
【0042】処理液ロは繊維材料の処理の作業上、ビス
フェノールA系エポキシ樹脂を5〜30%、硬化触媒をビ
スフェノールA系エポキシ樹脂に対し3〜20%、水素化
ニトリルゴムをビスフェノールA系エポキシ樹脂に対し
5〜50%、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、硬化触媒
および水素化ニトリルゴムを合計で5.4 〜51%、さらに
好ましくは10〜30%含むのが有利である。
【0043】処理液ロによる処理は、芳香族ポリアミド
繊維に処理液ロを浸漬などの方法により供給し、繊維に
対する処理液ロ(固形分)の付着量を好ましくは1〜10
%程度にしたのち、加熱乾燥すればよい。繊維に対する
処理液ロ(固形分)の付着量が1%未満では接着力が低
下し、10%をこえると皮膜が厚くなり、耐疲労性が低下
する。また加熱乾燥は、繊維に付着させた処理液ロを反
応定着させるに足る温度で行なえばよく、通常180 〜25
0 ℃の範囲の温度で数分間処理すればよい。
【0044】以上のように、芳香族ポリアミド繊維を、
処理液イで処理し、ついで処理液ロで処理することによ
り、芳香族ポリアミド繊維と水素化ニトリルゴム配合物
とを強力に接着させる充分な厚さの皮膜が形成される。
なお、繊維を処理液イにより処理するだけでは皮膜厚さ
が充分でなく、処理液ロによる処理だけでも皮膜厚さが
充分でなく、高接着力もえられず、また処理液ロによる
処理を2度行なっても高接着力はえられない。
【0045】前記処理法において、処理液ロのかわり
に、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有する平均
分子量2500〜5500のビスフェノールA系エポキシ樹脂、
その硬化触媒およびエポキシ基と2重結合とを有する化
合物を含む混合液(処理液ハ)を用いてもよい。
【0046】処理液ハで処理することにより、処理液ロ
で処理したばあいと同様に、パーオキサイド架橋水素化
ニトリルゴム配合物と反応して高接着力を発現する層が
形成される。なお繊維を処理液ハにより処理するだけで
は皮膜の厚さが充分でなく、処理液ニによる処理を2度
行なっても高度な接着力はえられない。
【0047】処理液ハに使用されるビスフェノールA系
エポキシ樹脂、その硬化触媒としては、それぞれ処理液
イに用いられるビスフェノールA系エポキシ樹脂、硬化
触媒と同様のものがあげられる。
【0048】エポキシ基と2重結合とを含有する化合物
とは、分子内にエポキシ基と2重結合をそれぞれ少なく
とも一つ有する化合物のことであり、処理液に使用する
溶剤に溶解するものであればいずれの化合物も使用しう
る。前記化合物におけるエポキシ基はビスフェノールA
系エポキシ樹脂と化学結合し、また2重結合は被着体で
ある水素化ニトリルゴムと化学結合を生じる。その具体
例としては、たとえばアリルグリシジルエーテル、メタ
クリル酸グリシジル、2,3-エポキシプロピルメタクリレ
ート、エポキシオレイン酸、ダイマー酸ジグリシジルエ
ステルなどがあげられる。
【0049】処理液ハの調製に用いる溶剤にとくに限定
はなく、通常ベンゼン、キシレン、トルエンなどの芳香
族炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トンなどの脂肪族ケトン、酢酸エチル、酢酸アミルなど
のエステルなどが好適に用いられる。
【0050】処理液ハは繊維材料の処理の作業上、ビス
フェノールA系エポキシ樹脂を5〜30%、硬化触媒をビ
スフェノールA系エポキシ樹脂に対し3〜20%、2重結
合とエポキシ基とを含有する化合物をビスフェノールA
系エポキシ樹脂に対し5〜50%、ビスフェノールA系エ
ポキシ樹脂、硬化触媒およびエポキシ基と2重結合とを
含有する化合物を合計で5.4 〜51%、さらに好ましくは
10〜30%含むのが有利である。
【0051】処理液ハによる処理は、芳香族ポリアミド
繊維を処理液ハに浸漬などの方法により供給し、繊維に
対する樹脂付着量を好ましくは1〜10%程度にしたのち
熱処理すればよい。繊維に対する樹脂の付着量が1%未
満では接着力が低下し、10%をこえると皮膜が厚くな
り、耐疲労性が低下する。また、熱処理は処理液ハを反
応定着させるに足る温度で行なえばよく、通常、180 〜
250 ℃の範囲の温度で数分間処理すればよい。
【0052】芳香族ポリアミド繊維と水素化ニトリルゴ
ム配合物との接着性を改善するための繊維の処理法とし
ては、前記2種の処理法の他に、前記2種の処理法にお
ける処理液イによる処理の前に、分子内に少なくとも2
個の活性水素を有する平均分子量500 〜2000、好ましく
は活性水素当量125〜1000の反応性樹脂とその硬化剤と
を含む液(処理液ニ)で処理する方法を採用してもよ
い。すなわち、繊維を処理液ニ、処理液イ、処理液ロで
処理する方法、または処理液ニ、処理液イ、処理液ハで
処理する方法を採用してもよい。
【0053】前記処理液ニにおける反応性樹脂は比較的
低分子量であり、柔軟であることが好ましく、芳香族ポ
リアミド繊維に浸透しやすい樹脂である。したがって、
処理液ハで芳香族ポリアミド繊維を処理すると繊維に含
浸する。その結果、つぎに用いる処理液イのビスフェノ
ールA系エポキシ樹脂の繊維内部への浸透をしにくくし
て繊維の柔軟性を保持し、繊維に優れた耐屈曲疲労性を
与える。一方、処理液イのビスフェノールA系エポキシ
樹脂は強靭な皮膜を形成し、つぎに用いる処理液ロまた
は処理液ハによる処理によって形成される皮膜とともに
芳香族ポリアミド繊維と水素化ニトリルゴム配合物とを
強力に接着させる皮膜を形成する。
【0054】しかも、処理液ニによる処理により、処理
液イのビスフェノールA系エポキシ樹脂が繊維内部にま
で浸透しにくいため、ゴム製品の変形時の繊維の追従性
が良好になり界面への応力集中が緩和され、高接着力が
発現するとともに優れた耐疲労性がえられる。
【0055】反応性樹脂は、その平均分子量が前記のよ
うに500 〜2000の範囲にあることが必要である。反応性
樹脂の数平均分子量が500よりも小さいばあいは、処理
液イで処理された繊維の柔軟性が充分でなくなり、他
方、2000をこえると反応性樹脂の繊維への浸透性がわる
くなったり、また反応性樹脂が結晶化しやすくなる。反
応性樹脂が結晶化したばあい、繊維の剛性が高くなっ
て、ゴム製品としたとき繊維の耐屈曲疲労性がおとるよ
うになる。
【0056】前記反応性樹脂に含まれる活性水素として
は、たとえば水酸基、アミノ基、チオール基などの水素
原子があげられる。そのような活性水素を有する反応性
樹脂としては、たとえば分子末端に水酸基を有するポリ
オールが好ましく用いられる。かかるポリオールの好ま
しい具体例としては、たとえばポリエチレンアジペー
ト、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンブチレンア
ジペート、ポリカプロラクトン、ポリカーボネートなど
のポリエステルポリオールや、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロ
ピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど
のポリエーテルポリオールなどがあげられるが、これら
に限定されるものではない。
【0057】反応性樹脂の硬化剤にもとくに限定はない
が、たとえばポリイソシアネート化合物やエポキシ化合
物が好ましい。
【0058】前記ポリイソシアネート化合物の好ましい
具体例としては、たとえばトリレンジイソシアネート、
メタフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジ
イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポ
リメチレンポリフェニルジイソシアネートなどのポリイ
ソシアネートがあげられるがこれらに限定されるもので
はない。
【0059】前記ポリイソシアネート化合物として、ブ
ロック化ポリイソシアネート化合物を用いてもよい。こ
のようなブロック化ポリイソシアネート化合物は、たと
えばポリイソシアネート化合物にトリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトールなどのような分子内に活性水
素を2個以上有する化合物を反応させたり、ポリイソシ
アネートにフェノール類やアミン類などを反応させるこ
とによってうることができる。
【0060】硬化剤として用いるエポキシ化合物は分子
内に少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合
物であって、その好ましい具体例としては、たとえばエ
チレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ペンタ
エリスリトールなどの多価アルコールやポリエチレング
リコールなどのポリアルキレングリコールと、エピクロ
ルヒドリンのようなハロゲン含有エポキシ化合物との反
応生成物や、レゾルシン、ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)ジメチルエタン、フェノール・ホルムアミド樹脂、
レゾルシン・ホルムアミド樹脂などの多価フェノール類
やフェノール樹脂と、エピクロルヒドリンのようなハロ
ゲン含有エポキシ化合物との反応生成物があげられる。
脂肪族化合物または脂環族不飽和化合物に含まれる2重
結合を過酢酸などにて酸化してえられるエポキシ化合物
も好ましい。また、エポキシ基を有する種々のシランカ
ップリング剤も好ましい。これらのうちでも脂肪族エポ
キシ化合物は繊維に優れた耐屈曲疲労性を与えるのでと
くに好ましい。
【0061】硬化剤としてポリイソシアネート化合物を
用いるばあい、活性水素を有する反応性樹脂とポリイソ
シアネート化合物との割合は、反応性樹脂の分子量や水
酸基価、またポリイソシアネート化合物のイソシアネー
ト基含量にもよるが、通常、活性水素/イソシアネート
基当量比が3〜0.4 、さらには2.5 〜1.0 の範囲にある
のが好ましい。前記当量比が3をこえると繊維とゴム配
合物との接着力が低下し、他方、0.4 未満では前記接着
力が低下するとともに、繊維の耐屈曲疲労性が低下す
る。
【0062】また、硬化剤としてはエポキシ化合物を用
いるばあい、活性水素を有する反応性樹脂とエポキシ化
合物との割合は、反応性樹脂の分子量や水酸基価、また
エポキシ化合物のエポキシ基含量にもよるが、通常、活
性水素/エポキシ基当量比が3〜0.4 、さらには2.5 〜
1.0 の範囲にあるのが好ましい。前記当量比が0.4 未満
ではゴム製品中の繊維の耐屈曲疲労性が低下し、他方、
3をこえると繊維とゴム配合物との接着力が低下する。
【0063】処理液ニには、通常、エポキシ樹脂の硬化
に用いられる硬化剤や触媒が併用される。このような硬
化剤としては、たとえばアミン化合物、酸無水物など、
触媒としては種々の第3級アミン化合物があげられる。
【0064】処理液ニの調製に用いる溶剤にはとくに限
定はなく、通常、ベンゼン、キシレン、トルエンなどの
芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトンなどの脂肪族ケトン、酢酸エチル、酢酸アミル
などのエステルなどが好適に用いられる。溶剤の使用量
にもとくに限定はないが、通常固形分濃度を5〜50%、
さらには5〜20%の範囲にするのが好ましい。
【0065】処理液ニによる処理は、芳香族ポリアミド
繊維に処理液ニを浸漬などの方法により供給し、繊維に
対する樹脂付着量を好ましくは1〜10%程度にしたの
ち、熱処理すればよい。繊維に対する樹脂付着量が1%
未満では接着力が低下し、10%をこえると皮膜が厚くな
り、耐疲労性が低下する。また熱処理は、繊維に付着さ
せた処理液ハを反応定着させるに足る温度にて行なえば
よく、通常、180 〜250℃にて数分間処理すればよい。
【0066】前記のごとき4種の処理方法のいずれかに
よって処理された芳香族ポリアミド繊維を未加硫の水素
化ニトリルゴム配合物と密着加硫させることにより、ゴ
ム配合物と芳香族ポリアミド繊維とが強力に接着せしめ
られる。その接着力は、RFL液を用いる方法では達成し
えないゴム破壊に至る強力な接着力である。とくに芳香
族ポリアミド繊維をあらかじめ処理液ニで処理する方法
によれば、さらに繊維に耐屈曲疲労性を与えることがで
きる。
【0067】架橋の条件は、水素化ニトリルゴム配合物
に行なわれている通常の条件でよく、用いる有機過酸化
物の分解温度に応じて適宜選定すればよい。
【0068】以上詳述したように、芳香族ポリアミド繊
維と水素化ニトリルゴム配合物とを強力に接着させうる
本発明の方法は、たとえば動力伝動用ベルトやコンベヤ
ベルト、タイヤなどの製品の製造における、水素化ニト
リルゴム配合物とその補強体として用いる芳香族ポリア
ミド繊維との接着に好適である。
【0069】以下に実施例をあげて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定
されるものではない。
【0070】実施例1 芳香族ポリアミド繊維コード(デュポン社製ケブラー繊
維からなる1500d/2×3の繊維コード)を、表1に示す
組成のF液に浸漬したのち、250℃で1分間熱処理し
た。
【0071】つぎに表2に示す組成のG液に浸漬したの
ち、235 ℃で1分間熱処理した。
【0072】以上のように処理された繊維コードを、表
4に示す組成のパーオキサイド架橋水素化ニトリルゴム
配合物Jからなる厚さ4mmのシート上に0.1g/dの張力
を加えながら3mm間隔で平行に配列したのち、160 ℃で
35分間加硫を行なって接着物試料をえた。
【0073】この接着物試料から繊維コードを100 mm/
分にて剥離するときの180 °剥離接着力を測定した。結
果を表5に示す。
【0074】実施例2 ゴム配合物として表4に示すエチレン性不飽和カルボン
酸金属塩を含むパーオキサイド架橋水素化ニトリルゴム
配合物Kを用いたほかは実施例1と同様にして接着物試
料を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0075】比較例1〜11 第1処理液として表1に示すA液〜F液、第2処理液と
して表2に示すH液または表3に示すI液(RFL 液)、
ゴム配合物として表4に示す配合物Jまたは配合物Kを
表5に示すように用いたほかは、実施例1と同様にして
接着物試料を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0076】実施例1〜2および比較例1〜11の結果よ
り、RFL 液を用いない本発明の方法により、ゴム破壊を
生じる強力な接着力のえられることがわかる。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
【表4】
【0081】
【表5】
【0082】実施例3〜5、比較例12〜14 F液(第1処理液)またはG液(第2処理液)を調製す
る際に用いたビスフェノールA系エポキシ樹脂を、いず
れも表6に示す平均分子量を有するものに変え、ゴム配
合物を配合物Kに変えたほかは実施例1と同様にして接
着物試料を作製し、評価した。結果を表6および図1に
示す。
【0083】図1より、ビスフェノールA系エポキシ樹
脂の平均分子量が2500〜5500の範囲で優れた接着力
のえられることがわかる。
【0084】
【表6】
【0085】実施例6〜7 芳香族ポリアミド繊維コード(デュポン社製ケブラー繊
維からなる1500d/2×3の繊維コード)を、表1に示
す組成のF液に浸漬したのち、235℃で1分間熱処理し
た。
【0086】つぎに表7に示すL液に浸漬したのち、23
5 ℃で1分間熱処理した。
【0087】以上のように処理された繊維コードを、表
4に示す組成のゴム配合物Jまたはゴム配合物Kからな
る厚さ4mmのシート上に0.1g/dの張力を加えながら3
mm間隔で平行に配列したのち、160 ℃で35分間加硫を行
なって接着物試料をえた。
【0088】えられた接着物試料の繊維コードとゴムと
の接着力(初期接着力)を実施例1と同様にして測定
し、疲労後の接着力の保持率および疲労後の繊維コード
強力の保持率を下記のようにして求めた。結果を表8に
示す。
【0089】(疲労後の接着力の保持率)スコット屈曲
試験機を用い、張力0.6g/Dを加え、2×104 回屈曲さ
せたのち、前記と同様にして180 °剥離力を測定し、初
期接着力に対する割合を求めた。
【0090】(疲労後の繊維コード強力の保持率)前記
と同様にして屈曲疲労させたのちの繊維コードの強力を
測定し、初期強力に対する割合を求めた。
【0091】
【表7】
【0092】
【表8】
【0093】実施例8〜9 芳香族ポリアミド繊維コード(デュポン社製ケブラー繊
維からなる1500d/2×3の繊維コード)を、表9に示
す組成のM液に浸漬したのち、235℃で1分間熱処理し
た。
【0094】つぎにF液に浸漬したのち、235 ℃で1分
間熱処理した。
【0095】つぎにG液に浸漬したのち、235 ℃で1分
間熱処理した。
【0096】以上のように処理された繊維コードを、表
4に示す組成のゴム配合物Jまたはゴム配合物Kからな
る厚さ4mmのシート上に0.1g/dの張力を加えながら3
mm間隔で平行に配列したのち、160 ℃で35分間加硫を行
なって接着物試料をえた。
【0097】えられた接着物試料の物性を実施例6と同
様にして求めた。結果を表10に示す。
【0098】比較例15〜16 第1処理液として表1に示すA液、C液または表9に示
すN液、第2処理液として表3に示すI液(RFL 液)、
ゴム配合物として表4に示す配合物Jまたは配合物Kを
表10に示すように用いたほかは、実施例8と同様にして
接着物試料を作製し、評価した。比較例2〜3および6
〜7の接着物試料についても同様に評価した。結果を表
10に示す。
【0099】
【表9】
【0100】
【表10】
【0101】実施例10〜13、比較例17〜19 第1処理液としてポリオール成分を表11に示す平均分子
量を有するものに変えた処理液を用いたほかは実施例9
と同様にして接着物試料を作製し、評価した。結果を表
11に示す。
【0102】表11に示される結果より、ポリオールの平
均分子量を500 〜2000にすることにより接着力、接着力
保持率およびコード強力保持率のいずれにも優れること
がわかる。
【0103】
【表11】
【0104】実施例14〜15、比較例20〜22 F液(第2処理液)またはG液(第3処理液)を調製す
る際に用いたビスフェノールA系エポキシ樹脂を、いず
れも表12に示す平均分子量を有するものに変えたほか
は実施例9と同様にして接着物試料を作製し、評価し
た。結果を表12および図2に示す。
【0105】図2より、エポキシ樹脂の平均分子量が25
00〜5500の範囲でとくに優れた接着力のえられることが
わかる。
【0106】
【表12】
【0107】実施例16〜17 第3処理液としてL液を用いたほかは実施例8または9
と同様にして接着物試料を作製し、評価した。結果を前
記比較例2〜3、6〜7および15〜16の結果とともに表
13に示す。
【0108】
【表13】
【0109】実施例18〜21、比較例23〜25 第1処理液としてポリオール成分を表14に示す平均分子
量を有するものに変えた処理液を用いたほかは実施例17
と同様にして接着物試料を作製し、評価した。結果を表
14に示す。
【0110】表14に示される結果より、ポリオールの平
均分子量を500 〜2000にすることにより接着力、接着力
保持率およびコード強力保持率のいずれにも優れること
がわかる。
【0111】
【表14】
【0112】実施例22〜23、比較例26〜28 F液(第2処理液)またはL液(第3処理液)を調製す
る際に用いたビスフェノールA系エポキシ樹脂を、いず
れも表15に示す平均分子量を有するものに変えたほか
は実施例17と同様にして接着物試料を作製し、評価し
た。結果を表15および図3に示す。
【0113】図3より、エポキシ樹脂の平均分子量が25
00〜5500の範囲でとくに優れた接着力のえられることが
わかる。
【0114】
【表15】
【0115】
【発明の効果】以上のように、水素化ニトリルゴム配合
物と芳香族ポリアミド繊維とを接着する際に、芳香族ポ
リアミド繊維を処理液イで処理したのち、処理液ロまた
は処理液ハにて処理し、ついでえられた芳香族ポリアミ
ド繊維と未加硫の水素化ニトリルゴム配合物とを密着加
硫させることにより、従来のRFL 液を用いる方法では達
成しえない強力な接着を達成することができる。また、
芳香族ポリアミド繊維を処理液ニで処理し、処理液イで
処理し、処理液ロまたは処理液ハで処理し、ついで未加
硫の水素化ニトリルゴム配合物と密着加硫させることに
より、従来のRFL液を用いる方法では達成しえない強力
な接着を達成するとともに、繊維に耐屈曲疲労性を与え
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3〜5、比較例12〜14におけるビスフェ
ノールA系エポキシ樹脂の平均分子量と接着力との関係
を示すグラフである。
【図2】実施例14〜15、比較例20〜22におけるビスフェ
ノールA系エポキシ樹脂の平均分子量と接着力との関係
を示すグラフである。
【図3】実施例22〜23、比較例26〜28におけるビスフェ
ノールA系エポキシ樹脂の平均分子量と接着力との関係
を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 101:36

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリアミド繊維と、有機過酸化物
    または有機過酸化物およびエチレン性不飽和カルボン酸
    金属塩を含有する水素化ニトリルゴム配合物とを接着さ
    せる際に、(a) 分子内に少なくとも2個のエポキシ基を
    有する平均分子量2500〜5500のビスフェノールA系エポ
    キシ樹脂とその硬化触媒とを含む液で芳香族ポリアミド
    繊維を処理したのち、(b) さらに前記ビスフェノールA
    系エポキシ樹脂、その硬化触媒および水素化ニトリルゴ
    ムを含む混合液にて処理し、(c) えられた芳香族ポリア
    ミド繊維と未加硫の前記水素化ニトリルゴム配合物とを
    密着加硫させることを特徴とする芳香族ポリアミド繊維
    と水素化ニトリルゴム配合物との接着方法。
  2. 【請求項2】 芳香族ポリアミド繊維と、有機過酸化物
    または有機過酸化物およびエチレン性不飽和カルボン酸
    金属塩を含有する水素化ニトリルゴム配合物とを接着さ
    せる際に、(a) 分子内に少なくとも2個のエポキシ基を
    有する平均分子量2500〜5500のビスフェノールA系エポ
    キシ樹脂とその硬化触媒とを含む液で芳香族ポリアミド
    繊維を処理したのち、(b) さらに前記ビスフェノールA
    系エポキシ樹脂、その硬化触媒およびエポキシ基と2重
    結合とを有する化合物を含む混合液にて処理し、(c) え
    られた芳香族ポリアミド繊維と未加硫の前記水素化ニト
    リルゴム配合物とを密着加硫させることを特徴とする芳
    香族ポリアミド繊維と水素化ニトリルゴム配合物との接
    着方法。
  3. 【請求項3】 芳香族ポリアミド繊維と、有機過酸化物
    または有機過酸化物およびエチレン性不飽和カルボン酸
    金属塩を含有する水素化ニトリルゴム配合物とを接着さ
    せる際に、(a) 芳香族ポリアミド繊維を分子内に少なく
    とも2個の活性水素を有する平均分子量500 〜2000の反
    応性樹脂とその硬化剤とを含む液にて処理する第1工
    程、(b) 第1工程の処理がなされた芳香族ポリアミド繊
    維を分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有する平均
    分子量2500〜5500のビスフェノールA系エポキシ樹脂と
    その硬化触媒とを含む液にて処理する第2工程、(c) 第
    2工程の処理がなされた芳香族ポリアミド繊維を前記ビ
    スフェノールA系エポキシ樹脂、その硬化触媒および水
    素化ニトリルゴムを含む混合液にて処理する第3工程お
    よび(d) 第3工程の処理がなされた芳香族ポリアミド繊
    維を未加硫の前記水素化ニトリルゴム配合物と密着加硫
    させる第4工程を含むことを特徴とする芳香族ポリアミ
    ド繊維と水素化ニトリルゴム配合物との接着方法。
  4. 【請求項4】 芳香族ポリアミド繊維と、有機過酸化物
    または有機過酸化物およびエチレン性不飽和カルボン酸
    金属塩を含有する水素化ニトリルゴム配合物とを接着さ
    せる際に、(a) 芳香族ポリアミド繊維を分子内に少なく
    とも2個の活性水素を有する平均分子量500 〜2000の反
    応性樹脂とその硬化剤とを含む液にて処理する第1工
    程、(b) 第1工程の処理がなされた芳香族ポリアミド繊
    維を分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有する平均
    分子量2500〜5500のビスフェノールA系エポキシ樹脂と
    その硬化触媒とを含む液にて処理する第2工程、(c) 第
    2工程の処理がなされた芳香族ポリアミド繊維を前記ビ
    スフェノールA系エポキシ樹脂、その硬化触媒およびエ
    ポキシ基と2重結合とを有する化合物を含む混合液にて
    処理する第3工程および(d) 第3工程の処理がなされた
    芳香族ポリアミド繊維を未加硫の前記水素化ニトリルゴ
    ム配合物と密着加硫させる第4工程を含むことを特徴と
    する芳香族ポリアミド繊維と水素化ニトリルゴム配合物
    との接着方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014034698A1 (ja) * 2012-08-31 2014-03-06 日本ゼオン株式会社 接着剤組成物
JPWO2014034698A1 (ja) * 2012-08-31 2016-08-08 日本ゼオン株式会社 接着剤組成物
US10336918B2 (en) 2012-08-31 2019-07-02 Zeon Corporation Adhesive composition

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