JPH0538353U - ホ−ル型ノズル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スロットル噴射とメイン噴射とを可能にする
構造をもつホ−ル型ノズルを提供する。 【構成】 弁体２を燃料の供給圧力により開弁すべく弁
体の受圧面６を包囲させてノズルボディ１内に燃料溜り
５を形成し、ノズルチップ４に開弁時に燃料溜り４の燃
料を噴射させるための噴孔を形成したホ−ル型ノズルに
おいて、上記弁体２がその受圧面６直下にこれに連設さ
せて第１スロットル軸部９を有すると共にその第１スロ
ットル軸部９に連設させてその第１スロットル軸部９よ
り細い軸径の第２スロットル軸部１０を有し、上記ノズ
ルチップ４がこれら第１及び第２スロットル軸部９，１
０を嵌合させて収容するように筒状に形成されてその弁
座１４に副噴孔１５を、その弁座１４より上部でかつ第
２スロットル軸部１０を包囲する部分（燃料溜め１１）
に主噴孔１６を有し、上記第１及び第２スロットル軸部
１０が、第２スロットル軸部１０の着座面から第１及び
第２スロットル軸部１０内を通って第２スロットル軸部
上部外周面に開口する一連の内部通路１７を有している
ことを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、内燃機関の燃焼室に燃料を霧化状態にして供給するホ−ル型ノズ ルに係り、特に、スロットル噴射（パイロット噴射）とメイン噴射とを可能にす る構造をもつホ−ル型ノズルに関する。

【０００２】

【従来の技術】

ディ−ゼル機関において、燃料噴霧の分散・分布・貫徹力を調節し、燃焼性能 を改善する種々の試みがなされている。このため近年では、スキッシュやスワ− ルを積極的に利用して燃焼室を攪拌するという手法が用いられている。しかし、 混合気の分散・分布による空燃比の調節には、根本的に燃料噴射ノズルの性能が 大きな影響を及ぼしてしまうため、性能のよい燃料噴射ノズルの開発が望まれて いる。なお、燃料噴霧の分散・分布を改善してその燃焼性能を高めるための燃料 噴射ノズルとして、従来はノズルチップに多数の噴孔を形成したホ−ル型ノズル がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、ホ−ル型ノズルによって燃料の分散・分布を改善できても、このノズ ルがスロットル噴射機能を備えていないため、機関の負荷・回転数に対応した空 燃比の調節ができないという問題をもっている。つまり、このノズルを使用して も予混合気の生成状態が好ましくなくなり着火遅れや熱発生率の高い燃焼が生じ てしまうため、異常騒音やＮＯｘを発生を否むことができない。

【０００４】 本考案の目的は、スロットル噴射（パイロット噴射）とメイン噴射とを可能と する構造のホ−ル型ノズルを提供するにある。

【０００５】 なお、従来はホ−ル型ノズルのノズルチップに上下方向に間隔をおいて噴孔を 多数形成し、これら噴孔を弁体のスロットル部で順次開閉するように構成した提 案（「ホ−ル型ノズル」（実開昭 57-142170号））が知られているが燃料の通路 抵抗（絞り）が大きいという問題がある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記目的を達成するために、弁体を燃料の供給圧力により開弁すべく 弁体の受圧面を包囲させてノズルボディ内に燃料溜りを形成し、ノズルチップに 開弁時に燃料溜りの燃料を噴射させるための噴孔を形成したホ−ル型ノズルにお いて、上記弁体がその受圧面直下にこれに連設させて第１スロットル軸部を有す ると共にその第１スロットル軸部に連設させてその第１スロットル軸部より細い 軸径の第２スロットル軸部を有し、上記ノズルチップがこれら第１及び第２スロ ットル軸部を嵌合させて収容するように筒状に形成されてその弁座に副噴孔を、 その弁座より上部でかつ第２スロットル軸部を包囲する部分に主噴孔を有し、上 記第１及び第２スロットル軸部が、第２スロットル軸部の着座面から第１及び第 ２スロットル軸部内を通って第２スロットル軸部上部外周面に開口する一連の内 部通路を有しているものである。

【０００７】

【作用】

燃料溜りに燃料の噴射圧力が作用すると、その燃料の圧力が弁体の受圧面に作 用し弁体はリフトを開始する。リフト直後、内部通路内に燃料が供給され、副噴 孔のみからのスロットル噴射が行われる。弁体のリフトが進み、第２スロットル 軸部の先端が燃料溜り内に没入すると、第２スロットル軸部によって燃料の供給 を断たれていた第２スロットル軸部周りに燃料が充填され、爾後主噴孔によるメ イン噴射が支配的に行われる。つまり、副噴孔のみによる一定噴射率のスロット ル噴射を経過して主噴孔による噴射圧及び噴射率の高いメイン噴射が行われるよ うになる。このため、機関負荷・回転数が低いときに燃焼室内に着火及び火炎伝 播性のよい予混合気をつくることができ、機関負荷・回転数が高いときにその予 混合気のつくる火炎を主噴孔から噴射された燃料に伝播させることができる。し たがって従来問題となっていた着火遅れをなくし圧力上昇率の緩慢な燃焼を可能 にして、ＮＯｘを大巾に減少させることができる。

【０００８】

【実施例】

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づいて説明する。

【０００９】 図１は、本考案に係るホ−ル型ノズルの断面を示している。１は弁体２を往復 動自在に収容するように形成されたノズルボディである。ノズルボディ１は、そ の軸心に沿って弁体２を往復動自在に収容するための弁案内孔３を有し、その先 端側に、燃料溜め（後述する）を区画するノズルチップ４を有しており、弁案内 孔３は、その先端側に、弁体２の周方向に沿わせて環状溝状の燃料溜り５を有し ている。この燃料溜り５は、弁体２のテ−パ状の受圧面６を包囲してその受圧面 ６に、燃料溜り５に供給された燃料の圧力をそのまま作用させて弁体２を開弁方 向に作動させるものである。このため、ノズルボディ１には、上記燃料溜り５に 至る燃料の供給通路７が設けられている。ノズルチップ４は、一般のホ−ル型ノ ズルに採用されているノズルチップではなく、上記受圧面６より先端の第１スロ ットル軸部９を往復動自在にかつ摺動自在に係合させて、その第１スロットル軸 部９より先端に連設された細い第２スロットル軸部１０の外周面周りに燃料溜め １１を区画できるよう縦長筒状に形成されている。ノズルチップ４内の内底部に は、第２スロットル軸部１０の先端部を嵌合させ且つその第２スロットル軸部１ ０先端のコ−ン状のシ−ト面１２を着座させるように筒状に形成された弁座部１ ３が設けられている。燃料を噴射させるための噴孔は、ノズルチップ４の先端か ら斜め上方に穿孔されて上記弁座部１３の弁座１４に開口された口径の極めて細 い副噴孔１５と、その副噴孔１５より上部の部位を斜め上方に穿孔して上記燃料 溜め１１に連通された主噴孔１６とからなる。口径の比較的大きい主噴孔１６に 先行して副噴孔１５に、燃料溜り４の燃料を供給するための燃料供給系は、第２ スロットル軸部１０のシ−ト面１２の中心部から穿孔されて第２スロットル軸部 １０及び第１スロットル軸部９内を通って第１スロットル軸部９の外周面に開口 させた内部通路１７からなる。内部通路１７の外周面開口端の位置は、第２スロ ットル軸部１０のシ−ト面１２が弁座１４に着座した状態において、ノズルチッ プ４の内面上端より下側の部分にて閉塞されているように定められている。

【００１０】 次に作用を説明する。

【００１１】 燃料供給通路７を介して燃料溜り４に燃料の噴射圧力が作用すると、その燃料 の圧力が弁体２の受圧面６に作用して弁体２のリフトが開始される。リフト直後 、内部通路１７と燃料溜り４とが連通する。内部通路１７内に供給された燃料は 、副噴孔１５のみから噴射されていく。副噴孔１５の口径は、主噴孔１６に対し てきわめて小さく、したがってこれより噴射された燃料噴霧は、微細化され蒸発 性はきわめて高くなる。弁体２のリフトが進み、シ−ト面１２が燃料溜め１１内 に没入されると、第１スロットル軸部９によって燃料の供給を断たれていた第２ スロットル軸部１０周りの燃料溜め１１内に燃料が充填され、今度は、口径の大 きい主噴孔１６から支配的に燃料が噴射されるメイン噴射が行われる。図２は、 副噴孔１５と主噴孔１６の燃料噴射率の変化を具体的に表している。最初は副噴 孔１５のみによる噴射率一定のスロットル噴射（パイロット噴射）がなされ、そ の後、燃料噴射ポンプの回転数が増し送油率が増加すると噴射率、噴射圧の高い メイン噴射が行われる。このメイン噴射では、噴霧の噴射エネルギが大きいため に、噴霧中には空気が多量に取込まれるようになり、予混合気が多く生成される 。したがって本考案に係るホ−ル型ノズルをディ−ゼル機関に使用すると、スロ ットル噴射によって機関負荷・回転数が低いときにも燃焼室内に着火及び火炎伝 播性の高い予混合気をつくることができ、その予混合気のつくる火炎を主噴孔１ ６から噴射された燃料に伝播させることができるため、着火遅れがきわめて少な く圧力上昇率が緩慢な燃焼が達成されるようになる。このため、従来のホ−ル型 燃料噴射ノズルを使用した場合と比べると、熱発生率及び圧力上昇率が緩慢とな って、ＮＯｘは大巾に減少する。

【００１２】 なお、副噴孔１５及び主噴孔１６の数及び口径、第１スロットル軸部９及び第 ２スロットル軸部１０の長さとノズルチップ４の長さは、使用する機関によって 最適に調節することは勿論である。

【００１３】

【考案の効果】

以上説明したことから明らかなようにこの考案によれば次の如き優れた効果を 発揮できる。

【００１４】 (1) メイン噴射に先立ってスロットル噴射を可能にしたので、着火遅れをなく し緩慢で圧力上昇率、熱発生率の低い燃焼を行わせることができ、ＮＯｘを大巾 に減少させることができる。

【００１５】 (2) 絞り損失を少なくして安定したメイン噴射とスロットル噴射とを行わせる ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の好適一実施例を示す要部詳細図であ
る。

【図２】本考案に係るホ−ル型ノズルの燃料噴射特性を
示す図である。

【符号の説明】

１ ノズルボディ ２ 弁体 ４ ノズルチップ ５ 燃料溜り ６ 受圧面 ９ 第１スロットル軸部 １０ 第２スロットル軸部 １４ 弁座 １５ 副噴孔 １６ 主噴孔 １７ 内部通路

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 弁体を燃料の供給圧力により開弁すべく
   弁体の受圧面を包囲させてノズルボディ内に燃料溜りを
   形成し、ノズルチップに開弁時に燃料溜りの燃料を噴射
   させるための噴孔を形成したホ−ル型ノズルにおいて、
   上記弁体がその受圧面直下にこれに連設させて第１スロ
   ットル軸部を有すると共にその第１スロットル軸部に連
   設させてその第１スロットル軸部より細い軸径の第２ス
   ロットル軸部を有し、上記ノズルチップがこれら第１及
   び第２スロットル軸部を嵌合させて収容するように筒状
   に形成されてその弁座に副噴孔を、その弁座より上部で
   かつ第２スロットル軸部を包囲する部分に主噴孔を有
   し、上記第１及び第２スロットル軸部が、第２スロット
   ル軸部の着座面から第１及び第２スロットル軸部内を通
   って第２スロットル軸部上部外周面に開口する一連の内
   部通路を有していることを特徴とするホ−ル型ノズル。