JPH0538294A - 標識されたポルフイリン化合物の製造方法 - Google Patents

標識されたポルフイリン化合物の製造方法

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JPH0538294A
JPH0538294A JP19800291A JP19800291A JPH0538294A JP H0538294 A JPH0538294 A JP H0538294A JP 19800291 A JP19800291 A JP 19800291A JP 19800291 A JP19800291 A JP 19800291A JP H0538294 A JPH0538294 A JP H0538294A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 特定の位置の炭素原子として13Cを有する5
−アミノレブリン酸を含有する培地で、ポルフィリン類
を生産する能力を有するアースロバクター属微生物を培
養し、培養物から目的とするポルフィリン化合物を採取
することを特徴とする、特定の部位が13Cにより標識さ
れたウロポルフィリンI、ウロポルフィリンIII 、コプ
ロポルフィリンIもしくはコプロポルフィリンIII 、又
はこれらの低級アルキルエステルの製造方法。 【効果】 特定の部位が特異的に13Cにより標識された
ポルフィリン類が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、所定の部位に炭素原子
13Cが導入されたポルフィリン類の製造方法に関する。
13Cによりラベルされたポルフィリン類は生体内におけ
るポルフィリン及びポルフィリノーゲンの代謝の研究並
びにポルフィリン症、鉛中毒、肝機能障害等の診断のた
めに有用であり、特定の部位のみが13Cによりラベルさ
れたポルフィリン類は特に、ポルフィリン類の代謝経路
を研究するために有用である。
【0002】
【従来の技術】ポルフィリン類を生産する微生物として
ロドシュードモナス(Phodopseudomonas)属微生物及び
プロピオニバクテリウム(Propionibacterium )属微生
物〔U.Ya.Bykhouskii ら、Biokhim.Mikrobiol., 23(6),
725-736, 1987〕が知られている。また、特公昭62−
21520、及び特公昭63−19156にはアースロ
バクター属微生物を用いるウロポルフィリンIII 及びコ
プロポルフィリンIIIの製造方法が知られている。
【0003】しかしながら、ポルフィリン類の各炭素が
その製造のための原料又は前駆体のどの炭素原子に由来
するか明らかでなく、従って特定の部位が13Cにより標
識されたポルフィリン化合物の製造方法は知られていな
かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、特定
の部位が13Cにより標識されたポルフィリン類の新規な
製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため種々検討した結果、アースロバクター
属微生物によりポルフィリン類を発酵生産するに際して
ポルフィリン類の前駆体として5−アミノレブリン酸を
培地に添加した場合、該5−アミノレブリン酸分子の特
定の部位の炭素原子がポルフィリン分子の特定の部位に
導入されること、すなわち特定の炭素原子のみが13Cに
より標識された5−アミノレブリン酸を用いることによ
り、特定の部位のみが13Cにより標識されたポルフィリ
ンが合成されることを見出し、この知見に基いて本発明
を完成した。
【0006】従って本発明は、次の式(I),(II),(II
I)又は(IV):
【0007】
【化6】
【0008】
【化7】
【0009】
【化8】
【0010】
【化9】
【0011】〔式中、記号×,*,▲,■,及び●はそ
れぞれ炭素原子13C又は天然に存在する炭素原子を表わ
し、これらの記号のいずれか1つにより表わされる炭素
原子が13Cである場合に他の記号により表わされる炭素
原子は天然に存在する炭素原子であり、そしてRは水素
もしくは低級アルキル基又は塩形成性陽イオンを表わ
す〕により表わされるポルフィリン化合物を含むポルフ
ィリン化合物の製造方法であって、アースロバクター
Arthrobacter)属に属しポルフィリン化合物を生産す
る能力を有する微生物を、次の式(V):
【0012】
【化10】
【0013】〔式中、記号×,*,▲,■及び●は炭素
原子13C又は天然に存在する炭素原子を表わし、これら
の記号のいずれか1つにより表わされる炭素原子が13
である場合に他の記号により表わされる炭素原子は天然
に存在する炭素原子であり、そして前記式(I),(II),
(III)又は(IV)における記号の内13Cを表わす記号と
同一の記号により表わされる式(V)中の炭素は13Cで
ある〕により表わされる5−アミノレブリン酸を含有す
る培地において培養し、その培養物から目的とするポル
フィリン化合物を採取するか、又はそれを低級アルキル
エステルとして分離することを特徴とする方法を提供す
るものである。
【0014】
【具体的な説明】本発明によれば、前記式(V)で示さ
れる5−アミノレブリン酸の記号×,*,▲,■又は●
で表わされる炭素原子のいずれかとして13Cを有する該
5−アミノレブリン酸を含む培地中で後に記載するポル
フィリン生産性微生物を培養すると、レブリン酸を表わ
す式(V)中の前記の記号の内13Cを表わす記号と同じ
記号により表わされる式(I),(II),(III)又は(IV)
中の部位に13Cを有するポルフィリン類が生産される。
従って、特定の部位のみが13Cにより標識された5−ア
ミノレブリン酸を用いることにより対応する特定の部位
13Cにより標識されたポルフィリン類を得ることがで
きる。
【0015】前記式において、式(I)はウロポルフィ
リンI又はそのエステルを表わし、式(II)はウロポル
フィリンIII 又はそのエステルを表わし、式(III)はコ
プロポルフィリンI又はそのエステルを表わし、そして
式(IV)はコプロポルフィリンIII 又はそのエステルを
表わす。アースロバクター属微生物はポルフィリン類を
遊離化合物又はその塩の形で生産するから、Rが低級ア
ルキル基であるポルフィリン類のエステルを製造する場
合、遊離化合物の微生物的生産の後のいずれかの段階に
より常法に従ってエステル化する。エステル形成アルキ
ル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、
直鎖又は分枝鎖のペンチル基等が挙げられる。また、塩
形成性陽イオンRとしてはナトリウムイオン、カリウム
イオン、アンモニウムイオン等が挙げられる。
【0016】本発明において使用する微生物はアースロ
バクターに属し、且つウロポルフィリンを生産する能力
を有するものであればなんでもよく、その種(species)
は限定されない。また、天然から単離した株、すでに保
有されている株、これらの株に基いて得られた突然変異
株等いずれも使用することができる。本発明において使
用できるポルフィリン類生産株の具体例として、アース
ロバクター・ヒアリナス(Arthrobacter hyalinus)、
アースロバクター・グロミホルミス(Arthrobacter gl
obiformis )及びアースロバクター・パセンス(Arthro
bacter pascens)、並びにこれらの変異株を挙げること
ができる。
【0017】該アースロバクター・ヒアリナスは、工業
技術院微生物工業技術研究所(FRI)に微工研菌寄第
3125号として、又、アメリカン・タイプ・カルチャ
ー・コレクションATCC31263として寄託された
公知自由分譲菌株である。その菌学的性質の詳細は例え
ば、特公昭52−94498号に記載されている。又、
該アースロバクター・ヒアリナスの変異株5メチル−D
L−トリプトフアン抵抗株は、工業技術院微生物工業技
術研究所(FRI)に寄託されている(微工研菌寄受理
第5256号)。又、アースロバクター・ヒアリナスの
変異株コプロポルフィリンIII 抵抗株は工業技術院微生
物工業技術研究所(FRI)に寄託されている(微工研
菌寄第5259号)。
【0018】該アースロバクター・グロビホルミスは、
(財)発酵研究所にIFO12137号として、又、ア
メリカン・タイプ・カルチャー・コレクションにATC
C8010号として寄託された自由分譲可能な公知菌株
であって、その菌学的性質は例えば、Bergey's Manual
of Determinative Bacteriology 8版に記載されてい
る。
【0019】更に、上記アースロバクター・パセンス
は、(財)発酵研究所にIFO12139号として、
又、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに
ATCC13346号として寄託された自由分譲可能な
公知菌株であって、その菌学的性質の詳細は例えば、Be
rgey's Manual of Determinative Bacteriology8版に記
載されている。又、該アースロバクター・パセンスの変
異株L−トリプトフアン抵抗株は、FRI,Japan
に寄託されている(微工研菌寄第5257号)。
【0020】上記変異もしくは変種株は、親株から例え
ば紫外線照射、コバルト60放射線照射の如き公知の手
段で得ることができる。例えば、照射処理株を、ポルフ
ィリン類生産阻害剤含有ミネラル−寒天培地に培養し、
必要に応じ、照射処理及び培養をくり返して、ポルフィ
リン類生産能の増大した菌株を採取することにより得る
ことができる。培養は親菌株に公知の培養条件で行うこ
とができる。得られる変異もしくは変種株の菌学的性質
は親菌株のそれと実質的に同じであり、ウロポルフィリ
ンIII 生産能が親菌株より向上している点で異なる。
【0021】本発明によれば、上述の如きアースロバク
ター属に属するポルフィリン生産菌を培地に培養して、
得られた培養物からポルフィリンを直接もしくは間接的
に、例えばエステル中間体を介して、採取することによ
りポルフィリン類を製造することができる。更に又、L
−シスチン含有培地もしくはMg++含有培地の利用によ
り、さらにポルフィリン類生産量を更に向上させること
ができる。
【0022】本発明方法の実施に際して、上記培地とし
ては、炭素源、窒素源、無機塩類などを含有する培地が
使用できる。該培地はまた、L−シスチン、Mg++、消
泡剤その他の成分を含有することができる。斯かる炭素
源の例としては、たとえば、糖質、アルコール類、炭化
水素類、ふすまなどの如き炭素源をあげることができ
る。また、窒素源としては、たとえば、コーンスチープ
・リカー、酵母エキス、肉エキス、ペプトン、フィッシ
ュミール、アンモニウム塩類、硝酸塩類、尿素など窒素
源をあげることができ、更に、無機塩類としては、例え
ば、燐酸塩類、マグネシウム塩類、亜鉛塩類、カルシウ
ム塩類、マンガン塩類、モリブデン塩類、銅塩類などを
挙げることができる。
【0023】培地組成は適宜に変更でき、また培養中に
適宜に追加添加することもできる。例えば、炭素源とし
てのアルコール類を利用するに際して、アルコールの残
存濃度が少なくなったとき、あるいはポルフィリン類の
生産開始の時期またはその前後でアルコールを追加する
ことによってポルフィリン類の生産を増加できる。培養
に際しては、培地中に鉄塩類が実質的に存在しないこと
が好ましい。
【0024】本発明においては、ポルフィリン生産菌の
日常の保存にはスラント培地が適し、そして生産培養の
ためには液体培地が好ましい。これらの好ましい、グル
コースやイソプロパノール等の炭素源を除く培地組成の
例を表1に示す。
【0025】 表1 スラント培地及び生産培地の組成(200mL当り) ─────────────────────────────────── 成 分 スラント培地 生産培地 ─────────────────────────────────── NH4NO3 0.6g 0.6g Na2HPO4 ・12H2O 0.3g 0.3g KH2PO4 0.08g 0.08g MgSO4 ・7H2O 0.1g 1.0g FeSO4 ・7H2O 2.0mg ZnSO4 ・7H2O 2.0mg 2.0mg CaCl2 ・6H2O 2.0mg CuSO4 ・5H2O 10μg 10μg MoO3 2μg 2μg 酵母エキス 0.2g 0.2g ペプトン 0.6g L−シスチン 0.12g CaCO3 1.0g 寒天 3g ───────────────────────────────────
【0026】本発明の方法においては、特定の部位が13
Cにより標識された5−アミノレブリン酸を含有する培
地中でポルフィリン生産菌を培養することを特徴とする
が、この場合、13Cにより標識された5−アミノレブリ
ン酸はそれ自体として使用することもでき、またラベル
されていない5−アミノレブリン酸との混合物として使
用することもできる。いずれの場合も、5−アミノレブ
リン酸という場合、遊離の5−アミノレブリン酸のみな
らず、その塩のごとき誘導体をも意味する。
【0027】5−アミノレブリン酸の添加量は、使用す
る菌株、培養条件、培地組成等により異るが、一般に
0.01g/L〜3g/Lの範囲であり、好ましくは
0.03g/L〜0.6g/Lの範囲であり、さらに好
ましくは0.05g/L〜0.2g/Lの範囲であり、
そして例えば0.1g/Lである。5−アミノレブリン
酸の添加量は、種々の条件においてその条件に最も適す
るように実験的に容易に決定することができる。
【0028】5−アミノレブリン酸は、生産培養の最初
から培地に添加しておくことが好ましいが、培養開始後
の適当な時期、例えば生産菌がある程度増殖した時点で
添加することもできる。また5−アミノレブリン酸は、
培地に一時に加えることもでき、あるいは培養中に連続
的又は間欠的に添加することもできる。本発明において
は、式(V)により示される記号のいずれかの部位が13
Cにより標識された5−アミノレブリン酸を用いるが、
これらの1,2,3,4又は5位が13Cで標識された5
−アミノレブリン酸は例えば、13Cで標識されたブロム
酢酸、メルドラム酸、またはグリシンから製造(または
入手)することができる。すなわち〔1−13C〕5−ア
ミノレブリン酸と〔2−13C〕5−アミノレブリン酸は
13C−ブロム酢酸から、〔3−13C〕5−アミノレブリ
ン酸は13C−メルドラム酸から、〔4−13C〕5−アミ
ノレブリン酸と〔5−13C〕5−アミノレブリン酸は13
C−グリシンから製造(または入手)されることができ
る。〔引用文献;Katsuyuki Kurumaya, Takao Okazaki,
NobuoSeido, Yuzuru Akasaka, Yoshiki Kawajiri, and
Masahiro Kajiwara, Journal of Labelled Compounds
andRadiopharmaceuticals, XXVII, No.2, 217-235(198
9) 〕
【0029】本発明の方法において、培養は振盪もしく
は通気攪拌などの好気条件下に行われるが、比較的低通
気条件を採用するのがよい。培養温度としては一般に約
20℃〜約40℃程度の温度が利用され、pH約4〜約
9.5程度のpH条件が採用できる。培養時間は、通
常、約2〜20日程度がよく、他の培養条件の選択に応
じて適当に変更可能である。
【0030】本発明方法の実施に際しては、培地中にL
−シスチン及び/又はMg++を含有させることによっ
て、ポルフィリン類生産量を一層増大せしめることがで
きる。上記Mg++を与える化合物としては、各種の水可
溶性マグネシウム化合物を利用でき、例えば、硫酸マグ
ネシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸
マグネシウムの如きマグネシウム化合物を例示できる。
L−シスチン及び/又はMg++の量は適宜に選択できる
が、例えば、1Lの培地に0.1gから5gの如きL−
シスチンの使用量、例えば、0.1gから10gの如き
Mg++の使用量を例示することができる。
【0031】得られた培養物、たとえば培養液中にポル
フィリン類が蓄積する。培養物から生成したポルフィリ
ンの採取は、種々の手段で行うことができる。例えば、
酢酸酸性酢酸エチルその他適当な有機溶媒を用いて、好
収率でポルフィリン類を培養物から抽出採取することが
できる。抽出に際しては、菌体その他の固形分を分離除
去した培養液から抽出するのが普通である。又、例え
ば、菌体その他の固形分と分離された培養液のpHを、
1.6〜3.6程度に調節してポルフィリン類を等電点
沈殿させ、適宜な固−液分離手段たとえば濾過、遠心分
離などの手段でポルフィリン類濃縮物を得ることができ
る。
【0032】上記例示の如くして得られる濃縮物や抽出
液を、例えば、硫酸メタノールを用いて含有されるポル
フィリン類をメチルエステル化し、必要に応じ、アルミ
ナを用いてカラムクロマト方式により精製して、メチル
エステルの形でポルフィリン類を採取することができ
る。或は又、該濃縮物や抽出液を、液体クロマト処理た
とえばスチレン−ジビニルベンゼン系ゲルのカラムを用
いる高速液体クロマトグラフィーにより処理して、ポル
フィリン類を採取することができる。又、上記ポルフィ
リン類のエステルの形で採取した場合には、所望によ
り、加水分解処理して塩類に変えることができる。例え
ば、ウロポルフィリンIII のエステルを、例えば、トル
エン、ピリジン、ジクロルエタン、トリクロロエタン、
テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドなどの有機
溶媒に溶解し、少量のアルカリを加えて加熱するとウロ
ポルフィリンIII のアルカリ塩が析出してくるので、こ
の析出物を例えば濾別して塩の形で回収することができ
る。更に又、鉱酸類を用いてエステルを加水分解したの
ち、適当なアルカリで中和して、析出するウロポルフィ
リンIII のアルカリ塩を回収することもできる。
【0033】本発明において使用する、具体的に例示し
た生産菌株はコプロポルフィリンIII 及びウロポルフィ
リンIII を高い比率で生産するが、他のポルフィリン類
すなわちウロポルフィリンI及びコプロポルフィリンI
も生産する。従って、発酵生産の後精製の過程で目的と
するポルフィリン化合物を得ることができる。
【0034】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。実施例1 イソプロパノールを1滴加えたスラント上に培養したア
ースロバクター・ヒアリナス(微工研菌寄第5259
号)を、イオン交換純水1Lあたり、イソプロパノール
10mL、酵母エキス1.0g、ペプトン3.0g、硝酸
アンモニウム3.0g、燐酸一カリウム0.4g、燐酸
二ナトリウム1.5g、硫酸マグネシウム5.0g、硫
酸マンガン10mg、硫酸亜鉛10mg、硫酸銅200μ
g、三酸化モリブデン10μg、炭酸カルシウム5.0
g、L−シスチン0.6gおよび〔1−13C〕5−アミ
ノレブリン酸〔式(V)の×により示される位置に13
を有する化合物〕0.1gを含有する殺菌された培地2
00mLを収容した500mLの三角フラスコに接種し、3
0℃で1週間振とう培養を行なった。このときの培養液
に蓄積した位置選択的に13Cで標識されたコプロポルフ
ィリンIII 〔式(IV)の×により示される位置に13Cを
有する化合物;IV×として示す〕の濃度は105mg/Lで
あり、位置選択的に13Cで標識されたウロポルフィリン
III 〔式(II)の×で示される位置に13Cを有する化合
物;II×として示す〕の濃度は318mg/Lであった。
【0035】培養液1Lを遠心分離(10,000Gで
10分)し上澄みを回収した。上澄みにイオン交換樹脂
(DEAE-Sephadex A25)を2g加えてポルフィリンを
吸着させた。これを濾過しイオン交換樹脂を回収して凍
結乾燥した。これを氷浴中のメタノール95mLに漬けて
濃硫酸を5mL加え、約12時間暗所に保存しポルフィリ
ン類のメチル化を行なった。これを濾過し、濾液中にポ
ルフィリンメチルエステルを確認し、氷浴中アンモニア
水を加えてpHを7.0に調整した。これを分液漏斗に
移し、塩化メチレン100mLを加えて有機層を分離し
た。
【0036】この分液漏斗を用いる抽出を3回繰返して
行なった。次に有機層を無水マグネシウムで乾燥させて
塩化メチレンを減圧留去した。抽出物をシリカゲル(メ
ッシュ300)を用いるカラムクロマトにより精製し、
クロロホルムとメタノールを用いて再結晶法により位置
選択的に13Cで標識されたウロポルフィリンIII (II
*)オクタメチルエステルの結晶を303mg得た。
【0037】この際に得られた位置選択的に13Cで標識
されたウロポルフィリンIII (II×)オクタメチルエス
テルの13C−NMRの分析結果を図2に示した。またF
AB−MASSのスペクトルを図3に示した。一方、13
Cで標識しない5−アミノレブリン酸を用いて合成され
たウロポルフィリンIII オクタメチルエステルの13CN
MRの分析結果を図1に示す。この結果、13Cがウロポ
ルフィリンIII 分子の所定部位に導入されていることが
確認された。
【0038】他方、前記シリカゲルを用いるカラムクロ
マトグラフィーの段階で、位置選択的に13Cで標識され
たコプロポルフィリンIII (IV*)テトラメチルエステ
ルを単離し、前記ウロポルフィリンIII(II×)と同様に
して、コプロポルフィリンIII(IV×)テトラメチルエス
テル102mgを得た。また前記と同様にして13Cがコプ
ロポルフィリン分子中の所定部位に導入されていること
が確認された。
【0039】実施例2 〔1−13C〕5−アミノレブリン酸の代りに〔2−
13C〕5−アミノレブリン酸〔式(V)の*により示さ
れる位置に13Cを有する化合物〕を使う他は実施例1と
全く同じようにして培養及び精製を行なった。その結
果、位置選択的に13Cで標識されたウロポルフィリンII
I オクタメチルエステルを304mg得た。位置選択的に
13Cで標識されたウロポルフィリンIII 〔式(II)の*
により示される位置に13Cを有する化合物;II*として
示す〕オクタメチルエステルの13C−NMRの分析結果
を図4に示す。
【0040】また、実施例1と同様にして、位置選択的
13Cで標識されたコプロポルフィリンIII 〔式(IV)
により示される*の位置に13Cを有する化合物;IV*〕
のテトラメチルエステル109mgを得た。化合物VI*テ
トラメチルエステルの13C−NMRスペクトルを図5に
示す。
【0041】実施例3 〔1−13C〕5−アミノレブリン酸の代りに〔3−
13C〕5−アミノレブリン酸〔式(V)の▲で示される
位置に13Cを有する化合物〕を使う他は実施例1と全く
同様に培養及び精製を行なった。その結果、位置選択的
13Cで標識されたウロポルフィリンIII 〔式(II)の
▲で示される位置に13Cを有する化合物;II▲で示す〕
のオクタメチルエステルを309mg得た。位置選択的に
13Cで標識されたウロポルフィリンIII (II▲)オクタ
メチルエステルの13C−NMRの分析結果を図6に示
す。
【0042】また、実施例1と同様にして、位置選択的
13Cで標識されたコプロポルフィリンIII 〔式(IV)
の▲で示される位置に13Cを有する化合物;IV▲〕のテ
トラメチルエステル107mgを得た。
【0043】実施例4 〔1−13C〕5−アミノレブリン酸の代りに〔4−
13C〕5−アミノレブリン酸〔式(V)の■で示される
位置に13Cを有する化合物〕を使う他は実施例1と全く
同様に培養及び精製を行なった。その結果、位置選択的
13Cで標識されたウロポルフィリンIII 〔式(II)の
■で示される位置に13Cを有する化合物;II■で示す〕
のオクタメチルエステルを315mg得た。位置選択的に
13Cで標識されたウロポルフィリンIII (II■)オクタ
メチルエステルの13C−NMRの分析結果を図7に示し
た。
【0044】また、実施例1と同様にして、位置選択的
13Cで標識されたコプロポルフィリンIII 〔式(IV)
の■の位置に13Cを有する化合物;IV■により示す〕の
テトラメチルエステル108mgを得た。
【0045】実施例5 〔1−13C〕5−アミノレブリン酸の代りに〔5−
13C〕5−アミノレブリン酸〔式(V)の●の位置に13
Cを有する化合物〕を使う他は実施例1と全く同様に培
養及び精製を行なった。その結果、位置選択的に13Cで
標識されたウロポルフィリンIII 〔式(II)の●の位置
13Cを有する化合物;II●で示す〕のオクタメチルエ
ステルを308mg得た。位置選択的に13Cで標識された
ウロポルフィリンIII (II●)オクタメチルエステルの
13C−NMRの分析結果を図8に示した。
【0046】実施例1と同様にして、位置選択的に13
で標識されたコプロポルフィリンIII 〔式(IV)の●の
位置に13Cを有する化合物;IV●で示す〕のテトラメチ
ルエステル104mgを得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は標識されていないウロポルフィリンIII
オクタメチルエステルの13C−NMRスペクトルを示
す。
【図2】図2は標識されたウロポルフィリンIII (II
×)オクタメチルエステルの13C−NMRスペクトルを
示す。
【図3】図3は標識されたウロポルフィリンIII (II
×)オクタメチルエステルのFAB−MASSスペクト
ルを示す。
【図4】図4は標識されたウロポルフィリンIII (II
*)オクタメチルエステルの13C−NMRスペクトルを
示す。
【図5】図5は標識されたコプロポルフィリンIII (IV
*)テトラメチルエステルの13C−NMRスペクトルを
示す。
【図6】図6は標識されたウロポルフィリンIII (II
▲)オクタメチルエステルの13C−NMRスペクトルを
示す。
【図7】図7は標識されたウロポルフィリンIII (II
■)オクタメチルエステルの13C−NMRスペクトルを
示す。
【図8】図8は標識されたウロポルフィリンIII(II●)
オクタメチルエステルの13C−NMRスペクトルを示
す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の式(I),(II),(III)又は(I
    V): 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 〔式中、記号×,*,▲,■,及び●はそれぞれ炭素原
    13C又は天然に存在する炭素原子を表わし、これらの
    記号のいずれか1つにより表わされる炭素原子が13Cで
    ある場合に他の記号により表わされる炭素原子は天然に
    存在する炭素原子であり、そしてRは水素もしくは低級
    アルキル基又は塩形成性陽イオンを表わす〕により表わ
    されるポルフィリン化合物を含むポルフィリン化合物の
    製造方法であって、アースロバクター(Arthrobacter
    属に属しポルフィリン化合物を生産する能力を有する微
    生物を、次の式(V): 【化5】 〔式中、記号×,*,▲,■及び●は炭素原子13C又は
    天然に存在する炭素原子を表わし、これらの記号のいず
    れか1つにより表わされる炭素原子が13Cである場合に
    他の記号により表わされる炭素原子は天然に存在する炭
    素原子であり、そして前記式(I),(II),(III)又は
    (IV)における記号の内13Cを表わす記号と同一の記号
    により表わされる式(V)中の炭素は13Cである〕によ
    り表わされる5−アミノレブリン酸を含有する培地にお
    いて培養し、その培養物から目的とするポルフィリン化
    合物を採取するか、又はそれを低級アルキルエステルと
    して分離することを特徴とする方法。
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