JPH0537051A

JPH0537051A - 固体レーザ装置

Info

Publication number: JPH0537051A
Application number: JP18735691A
Authority: JP
Inventors: Taiji Narita; 太治成田
Original assignee: Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Current assignee: Panasonic Holdings Corp
Priority date: 1991-07-26
Filing date: 1991-07-26
Publication date: 1993-02-12

Abstract

(57)【要約】【目的】固体レーザ装置において、レーザ媒質への不
均一な励起光の入射によって発生する、レーザ媒質の不
均一な変質や不均一な温度分布を防止し、均一な強度分
布を有するレーザ光を得る。【構成】レーザ媒質保護管６の外壁にランプ４から発
せられる励起光を反射するための外壁反射面３を、また
はレーザ媒質保護管６の外壁に外壁反射面３をレーザ媒
質保護管６の内壁に内壁反射面７を形成し、ランプ４か
ら発せられる励起光をレーザ媒質５の表面に均一に入射
し、レーザ媒質５の不均一な変質を防止し、均一な強度
分布を有するレーザ光を得る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、産業機器や医療機器に
使用される、フラッシュランプやアークランプ等の光に
よって励起される固体レーザ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、固体レーザ装置は産業機械として
半導体分野のトリミング，スクライビング，半田付け，
溶接および切断等にその利用分野が年々拡大し、また医
療分野においても内科や外科の治療機械として利用拡大
が著しい。

【０００３】以下、従来の固体レーザ装置について図面
を用いて説明する。図６および図７に従来から用いられ
ている固体レーザ装置の構成を示す。図６は従来の固体
レーザ装置の横断面図であり、図６において、１は内側
にランプ光を反射する平滑な反射面２を有する反射体
（以下リフレクターという）、４はフラッシュランプ，
アークランプ（キセノンランプ，クリプトンランプ，ハ
ロゲンランプ等）の光源となるランプ、５はレーザ媒
質、６はレーザ媒質保護管、８はランプ光による発熱を
除去するための冷却媒質であり、前述のランプ４、レー
ザ媒質５およびレーザ媒質保護管６はこの冷却媒質８の
中にある。また、図７は従来の固体レーザ装置の縦断面
図であり、図７において、レーザ媒質５の一端の近くに
全反射鏡９が、レーザ媒質５の他端の近くに部分反射鏡
１０がそれぞれ配置され光共振器を形成している。

【０００４】以上のように構成された固体レーザ装置に
ついて、その動作を説明する。図６において、ランプ４
より発せられた励起光（ランプ光）の一部（光路Ｄ）は
直接レーザ媒質５に入射しレーザ媒質５に吸収され、励
起光の他の部分（光路ＥおよびＦ）はスネルの法則に従
い、反射面２で１回以上反射してレーザ媒質５に入射し
レーザ媒質５に吸収される。吸収された励起光のエネル
ギーは、図７に示す全反射鏡９と部分反射鏡１０がレー
ザ媒質５を間に向かい合って形成している光共振器によ
って発振状態となり、部分反射鏡１０から外部に放出さ
れる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記のような構成にお
いて、ランプ４から発せられ直接レーザ媒質５に入射す
る光と反射面２で反射されてレーザ媒質５に入射する光
とでは、反射面２において反射される光が反射面２で吸
収され減衰するため、レーザ媒質５に入射する励起光の
経路により励起光の強度が不均一で、レーザ媒質５の各
部位に入射する励起光強度が不均一となり、レーザ媒質
５が均一に励起されないという問題があった。レーザ光
の強度分布はレーザ媒質５の励起分布状態に依存すると
ころが大きく、均一な強度分布を得るには、レーザ媒質
５全体がランプ４から発せられる励起光によって均一に
励起されることが必要である。また、レーザ媒質５の表
面に到達する励起光の不均一性が、レーザ媒質５の不均
一な変質や不均一な温度分布を招く原因になっていた。
さらに、励起光に含まれる紫外領域または近紫外領域の
光がレーザ媒質５を劣化させ寿命を短くするという問題
も有していた。

【０００６】本発明はこのような問題を解決し、均一に
レーザ媒質を励起させるとともに、励起の不均一に起因
するレーザ媒質の不均一な劣化と、励起光に含まれる紫
外領域または近紫外領域の光によるレーザ媒質の劣化を
防止することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の第１の手段は、ランプから発せられる励起光
の内、直接レーザ媒質に入射する励起光の強度を低減す
るため、レーザ媒質に直接入射する励起光を遮るように
レーザ媒質保護管の外壁の一部に帯状の外壁反射面を設
けるようにしたもので、さらに、レーザ媒質保護管の外
壁の一部に設けた帯状の外壁反射面は波長が５５０ｎｍ
〜９００ｎｍの光だけを反射するようにしたものであ
る。

【０００８】また、本発明の第２の手段は、レーザ媒質
保護管の内壁の一部にレーザ媒質保護管の管壁を挟んで
帯状の外壁反射面に対向するように、レーザ媒質保護管
の内面の一部に帯状の内壁反射面を設けるようにしたも
ので、さらに、レーザ媒質保護管の内壁に設けた帯状の
内壁反射面は波長５５０ｎｍ以下の光を吸収するように
したものである。

【０００９】

【作用】上記の本発明の第１の手段によれば、ランプよ
り発せられた励起光のうち、レーザ媒質方向に出射され
た光はレーザ媒質保護管に設けられた帯状の外壁反射面
により遮断され、レーザ媒質に悪影響を及ぼす強度の大
きい励起光が直接レーザ媒質に到達することがなくな
り、レーザ媒質の表面における励起光の強度分布が均一
化され、レーザ媒質の不均一な変質と不均一な温度分布
を防ぎ、レーザ光の強度分布を均一化することができ
る。また、外壁反射面はレーザ媒質を励起するのに寄与
する波長が５５０ｎｍ〜９００ｎｍの光だけを反射し、
他の波長の光は吸収するのでレーザ媒質の不均一な変質
と不均一な温度分布を防ぐのにより効果を発揮する。

【００１０】また、本発明の第２の手段によれば、レー
ザ媒質保護管の内面に設けた帯状の内壁反射面が外壁反
射面が作る蔭の影響を低減するのでレーザ媒質の表面に
おける励起光の強度分布がより一層均一化され、レーザ
光の強度分布をより均一化する。さらに、帯状の内壁反
射面が波長が５５０ｎｍ以下の紫外領域または紫外領域
に近い光を吸収するため、レーザ媒質に有害な光が少な
くなり、レーザ媒質の寿命を長くすることができる。

【００１１】

【実施例】（実施例１）以下、本発明の固体レーザ装置
の第１の実施例について、図面を参照しながら説明す
る。

【００１２】図１および図２は本発明の固体レーザ装置
の第１の実施例の構成を示す図で、図１は固体レーザ装
置の横断面図であり、図２（ａ）はその正面図、図２
（ｂ）はその断面図である。図１および図２（ａ），
（ｂ）において、従来例を示す図６および図７と同一部
分については同一の符号を付して詳細な説明は省略し、
従来例と異なる部分について説明する。

【００１３】図１および図２（ａ），（ｂ）において、
３が本発明によるランプ光の一部を反射するための帯状
の外壁反射面で、この帯状の外壁反射面３はレーザ媒質
保護管６の外壁の一部に重ねて、レーザ媒質保護管６の
軸と平行に一定の幅で形成されており、他の構成は従来
例と同様である。以上のような構成の固体レーザ装置に
ついて、以下その動作および機能を説明する。

【００１４】従来例の構成の固体レーザ装置であれば、
ランプ４から発せられた励起光は、ランプ４の外壁から
周囲の全方向（３６０度）に放射され、直接または間接
的にレーザ媒質５に入射する。このときの、レーザ媒質
５に入射する励起光の総エネルギー量ΣＥは、 ΣＥ＝ΣＡ＋Σ｛Ａ×（Ｒ₁×Ｒ₂×……×Ｒ_n)}……（１）で表される。この数式（１）においてＡはランプ４から
放射された励起光の一単位（光子）を表す値であり、Ｒ
_nは励起光の波長と反射面２への入射角に依存する励起
光の反射率を表す値である。数式（１）において第度１
項のΣＡはレーザ媒質５のランプ４側の表面に入射する
励起光の値であり、第２項の Σ｛Ａ×（Ｒ₁×Ｒ₂×……×Ｒ_n)} はレーザ媒質５表面全体に入射する励起光の値である。
数式（１）およびＡ＞｛Ａ×（Ｒ₁×Ｒ₂×……×Ｒ_n)}……（２）から明らかなように、レーザ媒質５のランプ４側表面に
入射する励起光強度が他の部位に入射する励起光強度よ
り強くなるため、レーザ媒質５が均一に励起されず、数
式（１）の第１項ΣＡの影響を低減することにより、
レーザ媒質５は均一に励起されるようになる。

【００１５】そのため、本発明の第１の実施例では、レ
ーザ媒質保護管６のランプ４側の面にレーザ媒質保護管
６の軸に平行に一定の幅の帯状の外壁反射面３を形成す
ることにより、レーザ媒質５への励起光の直接入射分を
低減し、レーザ媒質５のランプ４側に入射する励起光強
度が抑制され、レーザ媒質５の表面に入射する励起光強
度が均一化され、均一な強度分布を有するレーザ光を得
ることができる。さらに、レーザ媒質５の不均一な変質
と不均一な温度分布が緩和されて、より安定なレーザ出
力を維持することができる。

【００１６】この効果は、レーザ媒質保護管６に形成す
る帯状の外壁反射面３を、外壁反射面３の縦の中心線か
ら管壁円周に沿って反射率が次第に減少するように形成
することにより、上記の効果がより大きなものとなる。

【００１７】なお、図５はレーザ媒質５の励起スペクト
ルを表しているが、図５から明らかなように、レーザ媒
質５の吸収励起レベルは主として波長５５０ｎｍ〜９０
０ｎｍの領域にあり、レーザ媒質保護管６の外面に形成
する外壁反射面３は波長が５５０ｎｍ〜９００ｎｍの領
域の励起光だけを反射するように構成すると上記の効果
はより一層顕著なものとなる。

【００１８】（実施例２）次に、本発明の固体レーザ装
置の第２の実施例について、図面を参照しながら説明す
る。

【００１９】図３および図４（ａ），（ｂ）は本発明の
固体レーザ装置の第２の実施例の構成を示す図面で、図
３は固体レーザの横断面図であり、図４（ａ）はその正
面図、図４（ｂ）はその断面図である。図３および図４
（ａ），（ｂ）において従来例および第１の実施例と同
じ部分については同じ符号を付して詳しい説明は省略
し、従来例および第１の実施例と異なる部分について説
明する。

【００２０】図３および図４（ｂ）において、７が本発
明の第２の実施例によるレーザ媒質保護管６の内面に設
けた帯状の内壁反射面である。この内壁反射面７は本発
明の実施例１で説明したレーザ媒質保護管６の外面に設
けた外壁反射面３と、レーザ媒質保護管６の壁を間に挟
んで同一部分に設けられている。このレーザ媒質保護管
６の内面に設けた帯状の内壁反射面７はレーザ媒質５の
ランプ４側表面に反射光として励起光（光路Ｃ）を導
き、レーザ媒質保護管６の外面に設けた外壁反射面３に
よる陰の影響が除去され、レーザ媒質５により均一に励
起光が入射するようになり、均一な強度分布を有するレ
ーザ光を得ることができる。また、レーザ媒質５の不均
一な変質や不均一な温度分布をより一層解消し、安定な
レーザ出力を確保することができるようになる。

【００２１】また、波長が５５０ｎｍ以下の紫外領域ま
たは近紫外領域の光を吸収するように内壁反射面７を形
成することにより、レーザ媒質への紫外線または近紫外
線による悪影響を低減することができる。

【００２２】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よれば、レーザ媒質の外壁一部または外壁と内壁の一部
に帯状反射面を形成することにより、レーザ媒質を均一
に励起し、均一な強度分布を有する安定性の高いレーザ
光を得ることができ、高品質のレーザ加工を可能にす
る。また、紫外領域および近紫外領域の光を反射面で吸
収させることにより、紫外線および近紫外線によるレー
ザ媒質の劣化を低減させることができ、レーザ媒質の長
寿命化が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の固体レーザ装置の一実施例の構成を示
す横断面図

【図２】（ａ）同装置の正面図（ｂ）同装置の断面図

【図３】本発明の固体レーザ装置の他の実施例の構成を
示す横断面図

【図４】（ａ）同装置の正面図（ｂ）同装置の断面図

【図５】レーザ媒質の励起スペクトル図

【図６】従来の固体レーザ装置の構成を示す横断面図

【図７】同装置の縦断面図

【符号の説明】

１リフレクター（反射体）２リフレクターの反射面（反射面）３外壁反射面４ランプ５レーザ媒質（固体レーザ媒質）６レーザ媒質保護管７内壁反射面

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】フラッシュランプ，アークランプ等のラ
ンプの光を固定レーザ媒質に照射することによって励起
する固体レーザ装置において、レーザ媒質保護管を外筒
とした内部に配設されたレーザ媒質とランプを互いに平
行に配置し、その外側にランプから発せられた光を反射
する反射面を有する反射体を備え、ランプから発せられ
た光の一部を反射する帯状の外壁反射面をレーザ媒質保
護管の外壁にランプと平行に形成した固体レーザ装置。
【請求項２】レーザ媒質保護管の帯状の外壁反射面
を、その反射面の中心線から管壁円周に沿って反射率が
次第に減少するように形成した請求項１記載の固体レー
ザ装置。
【請求項３】レーザ媒質保護管の帯状の外壁反射面
が、波長５５０ｎｍ〜９０ｎｍの光だけを反射し他の波
長の光を吸収する請求項１また請求項２記載の固体レー
ザ装置。
【請求項４】レーザ媒質保護管の帯状の外壁反射面が
設けられた部分に相当するレーザ媒質保護管の内壁部の
位置に、帯状の内壁反射面を設けた請求項１または請求
項２記載の固体レーザ装置。
【請求項５】レーザ媒質保護管の帯状の内壁反射面
が、波長５５０ｎｍ以下の光を吸収する請求項４記載の
固体レーザ装置。