JPH0535841U - 高炉出銑口の耐火物補修装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】高炉出銑口の耐火物補修時間を短縮する手段を
提供する。 【構成】出銑口金物２１固定される台板１１の前面に両
サイドアーム付き中間台座１２を、背面に両サイド支持
板付き中間台座１５をそれぞれ上下動可能に取付ける。
前記両サイドアーム付き中間台座１２に圧入機用台座１
３を前後動および傾動可能に取付ける。前記両サイド支
持板付き中間台座１５に穿孔機用台座１６を傾動可能に
取付ける。不定形耐火物圧入機１４は前記圧入機用台座
１３に左右に可動に取付ける。穿孔機は前記穿孔機用台
座１６に固定する。 【効果】出銑口周囲の防熱板や冷却配管を取外さずに補
修できる。高炉休風時間を短縮できる。開孔位置および
開孔角度を簡単に設定できる。不定形耐火物の圧入位置
および圧入角度を容易に設定できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、高炉出銑口の耐火物を補修する装置に係り、特に出銑口およびそ の周囲の耐火煉瓦の損傷間隙を不定形耐火物の圧入によって補修する装置に関す る。

【０００２】

【従来の技術】

高炉底部に設けられている出銑口部は、図４に示すごとく、耐火物２が直接外 部に露出しており、該出銑口１の周囲にはフランジ状の鉄皮３が形成されている 。このように、出銑口１が鉄皮３で覆われていないため、経時的な使用により出 銑口周りの耐火煉瓦４に亀裂や煉瓦目地の緩み等の損傷問題が生じた場合に、か かる問題を放置すると、出銑口の露出煉瓦表面から炉内ガスが吹き出し出銑作業 に支障をきたすとともに、炉体鉄皮溶損等を惹起する。特に出銑口の湯道５は出 銑に伴って開口と閉塞が適当な間隔で繰返され、この作業に伴って出銑口周りの 耐火煉瓦に好ましくない衝撃が加わるため、該耐火煉瓦には前記亀裂や煉瓦目地 の緩み等が生じ易い。

【０００３】 かかる対策として、従来は例えば出銑口周辺の鉄皮または出銑口金物６に圧入 ノズル７を接続し、該ノズルから不定形耐火物（一般にはモルタル）を圧入した り、あるいは穿孔機を利用して出銑口耐火物を穿孔し、マッドガンを利用した不 定形耐火物圧入機８にて不定形耐火物を圧入する方法により亀裂、煉瓦目地の緩 みを補修している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、前記した従来の補修方法では、次に記載する問題があった。すなわち 、出銑口周辺の鉄皮または出銑口金物に圧入ノズルを接続して不定形耐火物を圧 入する方法では、出銑口金物周囲の防熱板９や炉体冷却配管１０を取外して作業 しなければならず、補修に十数時間の休風を要するという問題がある。また、マ ッドガンを利用して出銑口露出耐火物表面から不定形耐火物を圧入する方法では 、穿孔する部分が特定されてしまうため補修できる範囲が限られてしまい、時と して適切に補修できないという問題がある。

【０００５】 この考案は前記した従来の補修方法の問題を解決するためになされたもので、 出銑口金物内耐火物の補修に際して、補修の必要な任意の箇所に的確にしかも短 時間で不定形耐火物を圧入できる補修装置を提供しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案は、出銑口を穿孔して不定形耐火物を圧入する補修方法において、穿 孔機および圧入機を出銑口部に傾動、上下動および前後動可能に設けることによ って、出銑口金物周囲の防熱板や冷却配管等を取り外すことなく穿孔および圧入 作業が行え、しかも簡単な作業で任意の位置に的確に不定形耐火物を圧入できる ように構成したもので、その要旨は、中央部に窓孔を有しかつ上部に吊金具を有 する台板と、該台板の出銑口対向面に配した中央部に窓孔を有する両サイドアー ム付き中間台座と、該中間台座のアームに前後位置調整可能にかつ前後方向に傾 動可能に装着した圧入機用台座と、前記台板の背面に配した中央部に窓孔を有す る両サイド支持板付き中間台座と、該中間台座に前後方向に傾動可能に装着した 穿孔機用台座とからなり、前記両サイドアーム付き台座および両サイド支持板付 き中間台座は、前記台板に上下位置調整可能に重合締結して一体とし、前記圧入 機用台座にシール用パッキン付き不定形耐火物圧入機を横方向位置調整可能に装 着し、かつ前記穿孔機用台座に出銑口穿孔機を装着し、前記台板と出銑口金物と の間に渡した締結ボルトにて出銑口に着脱可能となすとともに、同台板に設けた 吊金具を炉体鉄皮に突設した穿孔機用ハンガーに引っ掛ける構造となしたもので ある。

【０００７】

【作用】

出銑口金物に対して固定された台板の両側に一体的に配された両サイドアーム 付き中間台座と両サイド支持板付き中間台座の上下位置調整手段としては、例え ば台板に穿設する締結用ボルト孔を縦向長孔とし、この長孔に締結用ボルトを貫 通させて台板と両中間台座をサンドイッチ状に相重ねてボルト締めする方式を採 用することができる。この方式の場合は、締結ボルトを緩め両中間台座を上下に 移動させることによって上下方向位置を調整できる。

【０００８】 両サイドアーム付き台座に取り付く圧入機用台座の前後位置調整手段および上 下方向傾動手段としては、例えば両サイドアーム付き台座の両サイドアームに前 後方向の長孔を穿設し、圧入機用台座の両端部に両サイドアームにスライド可能 に相重なるように突設したフランジ部に前記長孔と一致するボルト孔を穿設し、 前記長孔とボルト孔に締結ボルトを貫通させて締結する方式を採用することがで きる。この方式によれば、圧入機用台座は締結用ボルトを緩めることによって両 サイドアームに沿って前後にスライドさせることができるとともに、この締結用 ボルトを軸にして上下方向に傾動させることができる。また、シール用パッキン 付き圧入機の横方向調整手段としては、例えばこの圧入機用台座に水平方向の長 孔を穿設し、この長孔に圧入機の配管を貫通して圧入機を当該台座に固定する方 式を採用することができる。

【０００９】 一方、台板の背面に配した両サイド支持板付き中間台座に取り付く穿孔機用台 座の上下方向傾動手段としては、例えば該台座の上部両サイドに突設したフラン ジ部を中間台座の支持板下部に相重ねてこの部分に締結ボルトを緩貫通し、該ボ ルトを軸にして前後方向に傾動せしめる方式を採用することができる。穿孔機は この台座に固定される。

【００１０】 この考案は上記のごとく、穿孔機の上下方向位置および傾斜角度を可変となす ため、出銑口の任意の位置にかつ任意の方向に穿孔することができる。また、不 定形耐火物圧入機の上下方向位置、前後方向位置および傾斜角度を可変となすた め、穿孔機により穿設した圧入孔に対して容易に位置決めできるとともに、圧入 機の先端に設けるパッキンにより任意の圧入孔に対して十分なシール性を確保し て不定形耐火物を圧入することができる。

【００１１】

【実施例】

図１はこの考案に係る高炉出銑口耐火物補修装置の一例を示す展開斜視図、図 ２は同上補修装置を出銑口に取付けた状態を示す側面図、図３は同上補修装置の 平面図であり、１１は台板、１２は両サイドアーム付き中間台座、１３は圧入機 用台座、１４は不定形耐火物圧入機、１５は両サイド支持板付き中間台座、１６ は穿孔機用台座、１７は穿孔機である。

【００１２】 台板１１は、中央部に窓孔１１−１を有し、上部に既設の穿孔機用ハンガー１ ８に引っ掛ける吊金具１１−２を有している。１１−３は両サイドアーム付き中 間台座１２と両サイド支持板付き中間台座１５を取付けるための縦向長孔からな る締結用ボルト孔、１１−４は当該補修装置を出銑口金物に６に固定するための 締結用ボルト孔である。台板１１の出銑口対向面に配する両サイドアーム付き中 間台座１２は、前記台板１１と同様、中央部に窓孔１２−１と、台板の締結用ボ ルト孔１１−３と合致するボルト孔１２−２を有し、両サイドに突設したアーム １２−３に前後方向に長い締結用ボルト孔１２−４を有する。圧入機用台座１３ は、前記中間台座１２の両サイドアーム１２−３間に嵌まる長さを有する平板の 中央部に水平方向に穿設した圧入パイプ挿入用長孔１３−１を有し、両端部にア ーム１２−３との締結用フランジ１３−２を突設している。１３−３はボルト孔 である。一方、台板１１の背面側に配する両サイド支持板付き中間台座１５は、 中央部に窓孔１５−１を有し、背面両サイドに支持板１５−２を垂直に取付けて いる。１５−３は台板と１１との締結用ボルト孔、１５−４は穿孔機用台座取付 用ボルト孔である。穿孔機用台座１６は、上端部に突設した締結用フランジ１６ −１にボルト孔１６−２を有している。１６−３は穿孔機装着用孔である。

【００１３】 上記構成部材からなる補修装置は、台板１１の前面および背面に両サイドアー ム付き中間台座１２と両サイド支持板付き中間台座１５をサンドイッチ状に相重 ねるとともに、各ボルト孔１１−３、１２−２、１５−３に締結用ボルト１８を 貫通して上下動可能に一体化し、両サイドアーム付き中間台座１２には、圧入機 用台座１３を両サイドアーム１２−３間に嵌合するとともに、双方の締結用ボル ト孔１２−４、１３−３に締結用ボルト１９を貫通して傾動可能に取付ける。不 定形耐火物圧入機１４は、該圧入機用台座１３に圧入機本体１４−１を取付ける とともに、圧入パイプ挿入用長孔１３−１に当該圧入機１４の圧入パイプ１４− ２を通して接続する。圧入パイプ１４−２は台板１１の背面側より、両サイド支 持板付き中間台座１５、台板１１および両サイドアーム付き中間台座１２の各窓 孔１５−１、１１−１および１２−１内を通して圧入機本体に接続する。この不 定形耐火物圧入機の圧入パイプ先端には出銑口露出耐火物表面とのシール性を確 保するためのパッキン１４−３を備えている。一方、台板１１の背面に取付けら れた両サイド支持板付き中間台座５には、その支持板１５−２の下部に形成した ボルト孔１５−３に穿孔機用台座１６を締結用ボルト２０にて傾動可能に取付け 、この台座１６に穿孔機１７を装着する。このように構成された補修装置は、台 板１１に取付けた吊金具１１−２を既設の穿孔機用ハンガー１８に引っ掛けると ともに、あらかじめ台板１１に形成した締結用ボルト孔１１−４と出銑口金物６ のフランジ部３に穿設した締結用ボルト孔に締結用ボルト２１を螺着して出銑口 １に固定する。なお、穿孔機１７および不定形耐火物圧入機１４はいずれも既存 のものである。

【００１４】 上記のごとく構成された補修装置により出銑口耐火物を補修する場合は、穿孔 機１７により出銑口１に圧入孔を形成し、この圧入孔の部分に不定形耐火物圧入 機１４の圧入パイプ先端部をパッキン１４−３を介して圧着せしめて不定形耐火 物を圧入する。この耐火物補修において、圧入孔の開孔角度および開孔位置を変 える場合は、台板との締結用ボルト１８および穿孔機用台座１６の締結用ボルト ２０を緩めて両サイド支持板付き中間 座１５を上下に移動させるとともに、該 穿孔機用台座２０を該ボルトを支点に前後に傾動させることによって容易に開孔 角度および開孔位置を設定できる。また、不定形耐火物圧入機１４を上記開孔角 度および開孔位置に合わせる場合は、台板との締結用ボルト１８および圧入機用 台座１３の締結用ボルト１９を緩め、両サイドアーム付き中間台座１２を上下に 移動させるとともに、該圧入機用台座を前後方向に移動させて出銑口露出耐火物 表面との距離を調整し、さらに該台座を該ボルトを支点に上下に傾動させて傾斜 角度を調整することによって容易に圧入位置および圧入角度を設定できる。また 、不定形耐火物の水平方向位置を調整する場合は、圧入機本体を圧入機台座の圧 入パイプ挿入用長孔１３−１に沿って横方向に移動させることによって位置決め できる。

【００１５】

【考案の効果】

この考案は上記のごとく、穿孔機および不定形耐火物圧入機を出銑口に取付け た状態で穿孔および不定形耐火物圧入作業を行なうことができるので、出銑口金 物周囲の防熱板や炉体冷却配管等を取外す必要がなくなり、高炉休風時間を大幅 に短縮できる。また、穿孔機はその上下方向位置および傾斜角度を可変となして いるので、開孔位置および開孔角度を任意にかつ容易に設定できるとともに、不 定形耐火物圧入機は出銑口露出耐火物表面との距離、傾斜角度および横方向位置 を可変となしているので、不定形耐火物の圧入角度および圧入位置を任意にかつ 容易に設定でき、耐火物補修範囲を従来より拡大できると上、的確に補修できる という効果を有する。さらに、圧入パイプ先端にパッキンを備えているので不定 形耐火物圧入時におけるシール性を十分に確保することができる効果を有する。 したがって、この考案によれば、高炉出銑口周りの耐火煉瓦の亀裂、煉瓦目地の 緩みの補修作業を短時間にかつ適切に行うことができ、耐火煉瓦の寿命延長およ び炉況の安定化に大なる効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る高炉出銑口耐火物補修装置の一
例を示す展開斜視図である。

【図２】同上補修装置を出銑口に取付けた状態を示す側
面図である。

【図３】同上補修装置を出銑口に取付けた状態を示す平
面図である。

【図４】従来の高炉出銑口補修方法の一例を示す縦断側
面図である。

【符号の説明】

１ 出銑口 ２ 耐火煉瓦 ３ 鉄皮 １１ 台板 １２ 両サイドアーム付き中間台座 １３ 圧入機用台座 １４ 不定形耐火物圧入機 １５ 両サイド支持板付き中間台座 １６ 穿孔機用台座 １７ 穿孔機

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 高炉出銑口穿孔機および不定形耐火物圧
   入機を備えた出銑口耐火物の補修装置であって、中央部
   に窓孔を有しかつ上端部に吊金具を有する台板と、該台
   板の出銑口対向面に配した中央部に窓孔を有する両サイ
   ドアーム付き中間台座と、該台座のアームに前後位置調
   整可能にかつ上下方向に傾動可能に装着した圧入機用台
   座と、前記台板の背面に配した中央部に窓孔を有する両
   サイド支持板付き中間台座と、該中間台座に上下方向に
   傾動可能に装着した穿孔機用台座とからなり、前記両サ
   イドアーム付き台座および両サイド支持板付き中間台座
   は、前記台板に上下位置調整可能に重合締結して一体と
   し、前記圧入機用台座にシール用パッキン付き不定形耐
   火物圧入機を横方向位置調整可能に装着し、かつ前記穿
   孔機用台座に出銑口穿孔機を装着し、前記台板と出銑口
   金物と間に渡した締結ボルトにて出銑口に着脱可能とな
   すとともに、同台板に設けた吊金具を炉体鉄皮に突設し
   た穿孔機用ハンガーに引っ掛ける構造となした高炉出銑
   口の耐火物補修装置。