JPH0534851Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はスポツト溶接ガンのガンアームに関す
る。

（従来の技術） 従来、スポツト溶接ガンのガンアームの軽量化
を図るために、アルミニユウムまたはステンレス
等の比較的機械強度のある薄板材を使用し、その
薄板材を略Ｕ字形またはコ字形に形成したガンア
ームの開口側に、電極への電流通電路と冷却水通
路とを兼ねた導体を組付けるか、あるいは、導体
に水冷用銅パイプを銀ロー付け等によつて接合し
たものが知られている。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、従来のものはガンアームに銅板
を直接銀ロー付けするため、ガンアームと導体が
電気的に導通し、たとえば溶接トランスの一次側
の高電圧が絶縁不良等の原因で二次側に流れるこ
とがある。このような状態でロボツトが移動し、
ガンアームが治具や被溶接物等に触れた場合、電
触による突発的損傷事故を生じる。このようなリ
ークによる事故は品質上および安全対策上絶対に
避けなければならない。

また、従来のガンアームの組付け構造は、ガン
アームに導体あるいは水冷用パイプをアームや導
体に直接ロー付けして組付けるために、熟練した
技術や組付工数が必要になるなど、コストアツプ
につながる要因となつているほか、ガンアームの
軽量化及び電極チツプの耐久性を促進する上で限
界があつた。

（課題を解決するための手段） そこで本考案は、上記のような問題を解決する
ために、次の技術的手段を講じてある。

すなわち、実用新案登録請求の範囲に記載の如
く、管状に形成したガンアームの中空間に、電極
への電流通電路と冷却水通路とを兼ね備えた水冷
用パイプを挿入し、前記水冷用パイプの先端を前
記ガンアームの電極側開口部に嵌入した電極ホル
ダと一体的に連結し、また前記水冷用パイプの後
端を、前記ガンアームの後端に締付け手段で締付
けることによつて、その附勢力が上記ホルダを引
き込む方向に得られるようにした。

また、前記ホルダの外周面に形成したテーパ面
が、前記水冷用パイプの後端をナツトで締付ける
ことによつて、ガンアームの開口部の内側に設け
たテーパ面をクサビ状に押圧して固着するように
した。また、前記ガンアームと水冷用パイプとの
間及びガンアームと電極ホルダとの間に、それぞ
れ絶縁材を介在して固着するようにした。

（作用） そして、本考案は、上記の冷却用パイプの後部
を溶接トランスの二次端子接続側にナツトで締め
つけるだけで、電極ホルダを常時ガンアームに引
き込む方向に附勢力を発生させるようにしたか
ら、ガンアームの内側テーパ面に電極ホルダの外
側テーパ面がクサビ状に押圧し確実に固着するこ
とができる。

したがつて、水冷用パイプをガンアームに取り
つける場合でも一切ロー付けせずに、これをガン
アームの中空間に非接触状態で取りつけられるか
ら、ガンアームの材質をアルミニユウムに換えて
炭素繊維入フアイバー材あるいは強化プラスチツ
ク材など最も軽量で比較的機械強度の高い材料を
有効に使用することができ、ガンアームの軽量化
をより一層促進することができ、ロボツトの高速
化に充分に対応し、生産タクトの短縮を図ること
ができる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面を参照しながら説
明する。

なお、第１図は本考案にかかるガンアームの構
造をＸタイプのスポツト溶接ガンに使用した場合
の実施例である。第２図は電極ホルダの断面図、
また第３図はその側面図である。

１はガンアームで、炭素繊維入フアイバー材か
らなる薄板パイプを使用したものである。このガ
ンアームの先端開口部の内側には外側に広がるテ
ーパ面２が形成されている。３はガンアーム１の
中空内ａに非接触状態で挿入された冷却用パイプ
で、２本の銅パイプの相互間を溶接またはロー付
けして電磁反発力の影響を受けないようにしてあ
る。４はガンアームの先端開口部に挿入される電
極ホルダで、そのホルダの外周には上記テーパ面
２に押圧するテーパ状の加圧面５が形成されてい
る。なお、本実施例ではガンアーム１と電極ホル
ダ４の相互間を有効に絶縁するために、絶縁材S₁
が介在されている。

前記ホルダ４の軸芯線Ａ−Ａ方向には電極アー
ム６を嵌入するための挿入孔７と、冷却用パイプ
３の先端を挿入して溶着するための挿入孔８とが
形成されている。またこのホルダ４には挿入孔７
と連通した縦て割り溝９が形成されていて、この
割り溝９に対し直角方向にボルト孔１０が設けら
れ、このボルト孔１０にボルトを挿入して割り溝
９を締めつけることによつて挿入孔７に挿入され
た電極アーム６をクランプしている。前記パイプ
３の後端は、ガンアームの後部開口縁に配置した
絶縁板S₂と端子板１２から突出し、ナツトＮで締
付けられている。端子板１２は溶接トランスの二
次側導体（図省略）に接続され、しかも前記パイ
プ３と電気的に接続されている。したがつて、溶
接トランスからの二次電流は前記パイプ３を電流
通電路として以下の電極部品へ流れる。

１３は電極アーム６に嵌入したアダプタ、１４
はアダプタに挿入されたシヤンクである。

１５はシヤンクに嵌着した電極チツプである。
１６は下側ガンアームに支持された電極チツプ、
１７はガンアーム１の回転軸を示す。

（考案の効果） 以上で説明したように、上記の冷却用パイプの
後部をナツトで締付けることで、電極ホルダがガ
ンアームの後方、したがつてガンアームに引き込
む方向（矢印Ｂ方向）に附勢力が得られるように
したから、ガンアームの内側テーパ面に電極ホル
ダの外側テーパ面がクサビ状に押圧し確実に固着
することができ、水冷用パイプにＢ方向への附勢
力がいつもかかつているため、加圧、開放時のシ
ヨツクでも水冷用パイプは波打ちするようなこと
はない。また水冷用パイプを一切ロー付けしな
で、ガンアームの中空間に非接触状態で取りつけ
ることができるから、ガンアームの材質として従
来公知のアルミニユウームに替わつて炭素繊維入
フアイバー材あるいは強化プラスチツク材など最
も軽量で比較的機械強度の高い材料を利用するこ
とができ、ガンアームの軽量化をより一層促進す
ることができ、ロボツトの高速化に伴つて生産タ
クトの短縮を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかるガンアームの構造例を
示す要部断面図。第２図は電極ホルダの要部断面
図。第３図は電極ホルダの側面図。 符号の説明、１……ガンアーム、２……内側テ
ーパ面、３……水冷用パイプ、４……電極ホル
ダ、５……外側テーパ面、Ｎ……締付け手段（ナ
ツト）、S₁，S₂……絶縁材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 管状に形成したガンアームの中空間に、電極
   への電流通電路と冷却水通路とを兼ね備えた水
   冷用パイプを挿入し、前記水冷用パイプの先端
   を前記ガンアームの電極側開口部に嵌入した電
   極ホルダと一体的に連結し、また前記水冷用パ
   イプの後端を、前記ガンアームの後端に締付け
   手段で締付けることによつて、その附勢力が上
   記ホルダを引き込む方向に得られるようにした
   ことを特徴とするスポツト溶接ガンのガンアー
   ム。 ２ 前記ホルダの外周面に形成したテーパ面が、
   前記水冷用パイプの後端をナツトで締付けるこ
   とによつて、ガンアームの開口部の内側に設け
   たテーパ面をクサビ状に押圧して固着するよう
   にしたことを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第１項に記載のスポツト溶接ガンのガンアー
   ム。 ３ 前記ガンアームと水冷用パイプとの間及びガ
   ンアームと電極ホルダとの間に、それぞれ絶縁
   材を介在して固着するようにしたことを特徴と
   する実用新案登録請求の範囲第１項〜第２項に
   記載のスポツト溶接ガンのガンアーム。