JPH0534843Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、低圧鋳造機の保持炉内にアルミニウ
ム溶湯を補給する溶湯補給口その他の開口部の開
閉装置に関する。

（従来技術及び考案が解決しようとする問題点） 低圧鋳造機における保持炉の溶湯補給口、炉内
点検口、炉内酸化物（ノロ）のかき出し口等（以
下、開口部と言う）は、金型への注湯時に保持炉
内を加圧するため気密に閉鎖する必要がある。従
来上記開口部は、保持炉の高熱に耐えるようアス
ベスト系のシール部材を内面周縁部に装着した蓋
により閉鎖されるようになつている。しかし、こ
のシール部材は弾力性に乏しく、蓋を強い力で押
圧しても、なお完全な気密状態を得ることができ
ない。また、アスベストの使用は近年環境衛生上
の見地から問題になつている。このような場合
に、上記開口部における蓋との当接部分を水冷し
て、耐熱性ではアスベストに劣るが弾力性ではこ
れに勝る材質のシール部材を使用することも考え
られるが、この方法は冷却水が保持炉内のアルミ
溶湯と接触して爆発する危険性をはらんでおり、
実施が困難であつた。

本考案は上記のような事情に鑑みてなされたも
のであり、低圧鋳造機における開口部の蓋との当
接部分を水冷すると共に、冷却水が保持炉内に流
入することがない開閉装置を提供することを目的
としている。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記の目的を達成するため、低圧鋳造
機における保持炉の開口部の上端面に、上下両端
にフランジを形成した筒状の蓋受け座を気密に固
定し、該蓋受け座の外周壁に、内部に中空室を形
成した水冷ジヤケツトをその上面を該蓋受け座の
上部フランジ下面に密着させて取付け、該水冷ジ
ヤケツトの外周面に内部の中空室に連通する給水
口及び排水口を設け、前記蓋受け座の下部フラン
ジ上面に該蓋受け座の外周壁に沿う凹部を形成す
ると共に該下部フランジの低位置側外周面に該凹
部に貫通する排水孔を設け、前記蓋受け座の上端
部に該蓋受け座の上端開口を開閉可能にした蓋を
設け、該蓋の下面周縁部に弾力性に富み、かつ所
定の耐熱性を有するシール部材を取付けたことを
特徴としている。

以下、本考案を実施例に基づいて詳細に説明す
る。

（第１実施例の構成） 第１図は本考案の第１実施例を示す断面図、第
２図は低圧鋳造機の概略断面図である。

図において１は保持炉、２は保持炉１内に保持
されたアルミニウム溶湯、３は保持炉１内にアル
ミニウム溶湯を補給する溶湯補給口、４は該補給
口の蓋、５は空気又はガスの入口管、６はダイプ
レート、７は給湯管、８は金型を示す。なお該金
型８は図示しない昇降手段によりダイプレート６
から切離して昇降可能にされている。また前記給
湯管７の上端はダイプレート６の中央を貫通して
金型８に連通している。そして鋳造の際には、溶
湯補給口３から保持炉１内に供給されたアルミニ
ウム溶湯２の面上に入口管５から空気又はガスの
圧力を加えることにより、該溶湯２を給湯管７の
中に押上げ、金型８内に注入するように成してあ
る。

前記溶湯補給口３の上端面には、上下両端にフ
ランジ９，１１を形成した円筒状の蓋受け座１２
がその軸線を溶湯補給口３の軸線と一致させて取
付けられており、両者の合せ面はリング状のシー
ル部材１３により気密に保たれている。該蓋受け
座１２の中間部外周壁には、内部に中空室１４を
形成した角パイプ状の水冷ジヤケツト１５が、そ
の上面を該蓋受け座１２の上部フランジ９下面に
密着させて取付けられている。

該水冷ジヤケツト１５の外周面には内部の中空
室１４に連通する給水口１６と排水口（図示せ
ず）が設けられており、給水口１６はホース１７
を介して図示しない水源と連通接続している。前
記蓋受け座１２の下部フランジ１１の上面には、
該蓋受け座１２の外周壁に沿つて凹部１８が形成
されており、また該下部フランジ１１の低位置側
外周面には該凹部１８に貫通する排水孔１９が設
けられている。なお前記中空室１４の排水口及び
下部フランジ１１の排水孔１９にはそれぞれ図示
しないホースが接続され、排水が保持炉１内に流
入しないように配慮されている。

４は前記蓋受け座１２の上部フランジ９の外径
とほぼ同径にされた円盤状の蓋であり、該蓋受け
座１２の上端部に配設され、慣用の開閉機構によ
り蓋受け座１２の上端開口を開閉可能にされてい
る。該蓋４の下面周縁部には、耐熱性ではアスベ
スト系シール部材に劣るが、弾力性ではこれに勝
るシール部材２１、例えばシリコン又は弗素系ゴ
ムから成るものが取付けられており、蓋４を閉鎖
した時、該シール部材２１が蓋受け座１２の上部
フランジ９上面に当接するようにされている。な
お２２は断熱部材である。なお前記蓋受け座１２
は角ダクト状でもよく、その場合は前記蓋４も方
形になる。

（第１実施例の作用及び効果） 上記のように構成されたものにおいて、蓋受け
座１２の外周壁に設けられた水冷ジヤケツト１５
の中空室１４内へ給水口１６から冷水を導入し、
これを循環させると蓋受け座１２が冷却される。

このような状態で蓋４を閉じると、該蓋４の下
面周縁部に装着されたシール部材２１が蓋受け座
１２の上部フランジ９上面に当接するが、この部
分が冷却されているため、耐熱性では従来のアス
ベスト系シール部材に劣るシール部材２１であつ
ても熱のため損傷することはない。また上記シー
ル部材２１は弾力性に富んでいるため、蓋４を強
い力で押圧しなくても完全な気密状態が得られ
る。更にアスベスト系の材料を使用しないため環
境衛生上の問題も生じない。

なお、前記水冷ジヤケツト１５の給水口１６又
は排水口（図示せず）の配管接続部から水洩れし
たり、水冷ジヤケツト１５の腐食や亀裂による水
洩れが生じた場合、その水は蓋受け座１２の下部
フランジ１１凹部１８にて受けられ、排水孔１９
からホース（図示せず）を経て機外へ排出される
ため、水が保持炉１内に流入して内部のアルミニ
ウム溶湯に接触し、爆発を起こす危険性が回避さ
れる。

（第２実施例） 第３図は本考案の第２実施例を示す断面図であ
る。

第２実施例は、第１実施例における蓋受け座１
２の下部フランジ１１下面に、溶湯補給口３内に
遊嵌挿入される注湯管２３を一体的に連結した構
成になつており、蓋受け座１２を冷却すると共
に、補給溶湯がシール部材１３に直接接触してこ
れに損傷を与えることがないように成してある。

なお、実施例は保持炉の溶湯補給口の開閉装置
に関するが、本考案は保持炉の点検蓋ノロかき蓋
等にも適用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例を示す断面図、第
２図は低圧鋳造機の概略断面図、第３図は本考案
の第２実施例を示す断面図である。 １……保持炉、３……溶湯補給口、４……蓋、
９……上部フランジ、１１……下部フランジ、１
２……蓋受け座、１４……中空室、１５……水冷
ジヤケツト、１６……給水口、１８……凹部、１
９……排水孔、２１……シール部材、２３……注
湯管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 低圧鋳造機における保持炉１の開口部の上端面
   に、上下両端にフランジ９，１１を形成した筒状
   の蓋受け座１２を気密に固定し、該蓋受け座１２
   の外周壁に、内部に中空室１４を形成した水冷ジ
   ヤケツト１５をその上面を該蓋受け座１２の上部
   フランジ９下面に密着させて取付け、該水冷ジヤ
   ケツト１５の外周面に内部の中空室１４に連通す
   る給水口１６及び排水口を設け、前記蓋受け座１
   ２の下部フランジ１１上面に該蓋受け座１２の外
   周壁に沿う凹部１８を形成すると共に該下部フラ
   ンジ１１の低位置側外周面に該凹部１８に貫通す
   る排水孔１９を設け、前記蓋受け座１２の上端部
   に該蓋受け座１２の上端開口を開閉可能にした蓋
   ４を設け、該蓋４の下面周縁部に弾力性に富み、
   かつ所定の耐熱性を有するシール部材２１を取付
   けたことを特徴とする低圧鋳造機における保持炉
   の開口部の開閉装置。