JPH0534776U - 偏向ヨーク装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 偏向ヨークのリンギング除去コイルを形成す
るときに被覆リード線をいちいち手巻作業で巻回するこ
となくコイル形成作業の容易化を図る。 【構成】 ボビン６の巻胴部を鍔12ｃによってＡ領域，
Ｂ領域に分ける。このＡ領域，Ｂ領域のボビン６上にそ
れぞれ捲線４を巻回し、第１のコイル層13と第２のコイ
ル層14とを分離形成する。この第１のコイル層13と第２
のコイル層14とを互いに磁界を打ち消す向きにしてＥ字
形状のコア５の中央磁脚11ａ，11ｂに嵌合装着する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はリンギング除去コイルを設けた偏向ヨーク装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

周知のように、テレビジョン受像機やディスプレイ装置の陰極線管に装着され る偏向ヨークには水平偏向コイルと垂直偏向コイルとが装着されている。最近の ように、テレビジョン受像機やディスプレイ装置の大型化および高精細化にとも ない、フライバックトランス、その他の影響により高調波が発生し、この高調波 の影響により、陰極線管の画面に例えば縞模様ができる所謂リンギング現象が発 生することがあり、このリンギング現象除去のため、図６に示すようなリンギン グ除去コイルが水平偏向コイルに接続されている。同図において、リンギング除 去コイルはドーナツ状コア３上に被覆リード線２がバイファイラ巻き（被覆リー ド線２本を一緒に巻回する捲線方式）されており、例えば片側（Ａ側）に偏向出 力電流を入力し、Ｂ側に偏向入力電流を入力させて、出力側の磁界と入力側の磁 界との打ち消しによって前記高調波の影響を除去し、前記リンギング現象の除去 が行われていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、前記リンギング除去コイル１のコア３はドーナツ状の円筒形状 に形成されているので、このコア３に被覆リード線２をバイファイラ巻きするた めには手巻きにて巻回せざるを得ない。したがって捲線の作業能率が悪く、コス トが高くつくという問題がある。

【０００４】 本考案は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、 偏向ヨークのリンギング除去コイルを形成するときに、被覆リード線をいちいち 手巻作業で巻回することなく容易にコイル形成ができる偏向ヨーク装置を提供す ることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記目的を達成するために、次のように構成されている。すなわち、 本考案は、偏向コイルにリンギング除去コイルが接続されている偏向ヨーク装置 において、前記リンギング除去コイルは偏向コイルの偏向入力電流を入力する第 １のコイル層と偏向コイルの偏向出力電流を入力する第２のコイル層に分離形成 され、これら第１のコイル層と第２のコイル層はそれぞれボビンに捲線を分離巻 回することによって形成されており、前記第１のコイル層と第２のコイル層は互 いに磁界を打ち消す向きにしてコアに嵌合装着されていることを特徴として構成 されている。

【０００６】

【作用】

ボビンにそれぞれ捲線を分離して巻回し、第１のコイル層と第２のコイル層と を分離形成する。この第１のコイル層には例えば水平偏向コイルの入力側から電 流を流し、第２のコイル層には水平偏向コイルの出力側から電流を流し、第１と 第２のコイル層を互いに磁界を打ち消す向きにしてコアに嵌合装着する。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。図１には本考案に係る偏向 ヨーク装置のリンギング除去コイルの平面図が示されている。本実施例の偏向ヨ ーク装置も従来例と同様に水平偏向コイルにリンギング除去コイルを接続したも のからなるが、本実施例において特徴的なことはリンギング除去コイルを特有な 構成としたことにある。図１に示すようにリンギング除去コイルは２個のＥ字形 状のコア５と、ボビン６と、このボビン６上に捲線４を巻回して形成した第１の コイル層13および第２のコイル層14とからなっている。ボビン６は一体成型され ており、その両端側には鍔12ａ，12ｂが設けられ、中央部には鍔12ｃが形成され ている。このボビン６は中央部の鍔12ｃによって巻胴部がＡ領域とＢ領域とに分 かれており、このＡ領域，Ｂ領域にはそれぞれ独立して捲線４が巻回され、前記 第１のコイル層13と第２のコイル層14とが分離形成されている。

【０００８】 この第１のコイル層13をＥ字形状のコア５ａの中央磁脚11ａに嵌合装着して第 ２のリンギング除去コイル10が形成されている。この第１のリンギング除去コイ ル９には例えば水平偏向コイルの偏向入力電流を入力し、第２のリンギング除去 コイル10には水平偏向コイルの偏向出力電流を入力している。前記第１のコイル 層13と第２のコイル層14とは互いに磁界を打ち消す向きにしてＥ字形状のコア５ ａ，５ｂの中央磁脚11ａ，11ｂに嵌合装着されている。

【０００９】 本実施例によれば、第１のコイル層13と第２のコイル層14とをそれぞれ分離独 立して形成し、この両者13，14を互いに磁界を打ち消す向きにしてＥ字形状のコ ア５ａ，５ｂに嵌合装着したので、高調波の影響は除去され、所謂リンギング現 象の発生を防止することができる。

【００１０】 また、第１のコイル層13と第２のコイル層14とは２つの領域Ａ，Ｂに分離され たボビン６にそれぞれ独立して捲線４を巻回して分離形成するので、従来のバイ ファイラ巻き作業のようにいちいち手巻きによる非常に面倒な作業が解消され、 自動捲線が可能となるので巻回作業が容易となり、作業効率の向上と生産性の大 幅アップが図れる。

【００１１】 さらに、磁性材としてのコアを従来のようなドーナツ状のコア３から本実施例 ではＥ字形状のコア５ａ，５ｂにして中央磁脚11ａ，11ｂにコイル層13，14を嵌 合装着したので、コイル層13，14の周りにＥ字形状のコア５ａ，５ｂの外側磁脚 16ａ，16ｂによる磁路が形成されることとなり、漏れ磁界を大幅に低減すること ができる。

【００１２】 なお、本考案は上記実施例に限定されることはなく、様々な実施の態様を採り 得る。例えば、上記実施例では２個のＥ字形状のコア５ａ，５ｂを互いに向かい 合わせに用いたが、これを図２に示すようにＥ字形状コア５とＩ字形状コア７と の組み合わせとしてもよい。また、図３のように、２個のＵ字形状コア８の組み 合わせや、図４のようにＵ字形状コア８とＩ字形状コア７との組み合わせとして もよく、あるいは図５のようにＩ字形状コア７の単独使用態様としてもよい。

【００１３】 また、上記実施例では、ボビン６は一体成型品を用いたが、これを２個に分離 独立したボビンとし、それぞれのボビンに捲線を巻回し、第１のコイル層と第２ のコイル層を形成してもよい。

【００１４】 さらに、コイルの捲線は従来例のように被覆リード線を用いてもよく、また、 エナメル線等を用いてもよい。

【００１５】

【考案の効果】

第１のコイル層と第２のコイル層とをそれぞれ独立してボビンに捲線を巻回し て分離形成したので、従来のように被覆リード線をいちいち手巻きによってバイ ファイラ巻きするような非常に面倒な捲線作業が解消され、捲線作業の自動化対 応が可能となるので、巻回作業が極めて容易となり、作業効率の向上と生産性の 大幅アップが図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例に係る偏向ヨーク装置のリンギング除
去コイルの要部説明図である。

【図２】同偏向ヨーク装置のリンギング除去コイルに用
いるＥ字形状コアとＩ字形状コアの組み合わせ説明図で
ある。

【図３】同偏向ヨーク装置のリンギング除去コイルに用
いるＵ字形状コアの組み合わせ説明図である。

【図４】同偏向ヨーク装置のリンギング除去コイルに用
いるＵ字形状コアとＩ字形状コアの組み合わせ説明図で
ある。

【図５】同偏向ヨーク装置のリンギング除去コイルに用
いるＩ字形状コアの説明図である。

【図６】従来の偏向ヨーク装置のリンギング除去コイル
の説明図である。

【符号の説明】

４ 捲線 ５，５ａ，５ｂ Ｅ字形状コア ６ ボビン ９ 第１のリンギング除去コイル 10 第２のリンギング除去コイル 12ａ，12ｂ，12ｃ 鍔 13 第１のコイル層 14 第２のコイル層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 村上 政宏 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 偏向コイルにリンギング除去コイルが接
   続されている偏向ヨーク装置において、前記リンギング
   除去コイルは偏向コイルの偏向入力電流を入力する第１
   のコイル層と偏向コイルの偏向出力電流を入力する第２
   のコイル層に分離形成され、これら第１のコイル層と第
   ２のコイル層はそれぞれボビンに捲線を分離巻回するこ
   とによって形成されており、前記第１のコイル層と第２
   のコイル層は互いに磁界を打ち消す向きにしてコアに嵌
   合装着されていることを特徴とする偏向ヨーク装置。