JPH05345925A - フランジ加工性に優れたdwi缶用極薄鋼板の製造法 - Google Patents

フランジ加工性に優れたdwi缶用極薄鋼板の製造法

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JPH05345925A
JPH05345925A JP13271392A JP13271392A JPH05345925A JP H05345925 A JPH05345925 A JP H05345925A JP 13271392 A JP13271392 A JP 13271392A JP 13271392 A JP13271392 A JP 13271392A JP H05345925 A JPH05345925 A JP H05345925A
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Kuniaki Maruoka
邦明 丸岡
Yoshikuni Furuno
嘉邦 古野
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康彦 山下
Masayuki Matsuda
真之 松田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 板厚が製缶業者の要求通りに薄く、なおかつ
フランジ加工性の優れたDWI缶用極薄鋼板の製造法。 【構成】 C:0.0015%以下、Mn:0.05〜
0.40%、P:0.06%以下、酸可溶Al:0.1
0%以下、N:0.0100%以下の熱鋼片を、850
℃以上の仕上温度2.2mm以上の板厚までの熱延した
後、ラン・アウト・テーブルで即冷し、冷延し、再結晶
焼鈍し、10〜50%の圧下率で2次冷延を施すことを
特徴とする、板厚が0.25mm以下でフランジ加工性の
優れたDWI缶用極薄鋼板の製造法。 【効果】 缶強度とフランジ加工性、イヤリング性、D
WI加工性を両立させ、薄手化に対応が可能。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フランジ加工性に優れ
たDWI(2ピース)缶用極薄鋼板の製造法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】鋼板に錫めっきを施したブリキあるいは
クロム処理を施したティン・フリー・スチールのような
缶用鋼板が食缶やエアゾール缶、イージーオープン缶に
多用されている。これらの鋼板で造られた缶は、従来は
蓋、胴、底の3部品からなる3ピース缶が多かったが、
近年胴と底が一体となり、蓋と合わせて2部品からなる
2ピース缶を鋼板から製缶する技術が開発された。2ピ
ース缶は製缶コストが低いため、3ピース缶に代わって
次第に2ピース缶が伸びる傾向にある。2ピース缶は多
段絞り加工あるいはDWI加工(すなわち深絞り加工後
にしごき加工が施される)など、きびしい加工が行なわ
れ、単に耐食性のみならず、優れた加工性も要求されて
いる。
【0003】DWI缶の一般的な製造工程の一例は次の
ようなものである。先ずカッピング・プレス機で、鋼帯
から円盤状のブランク板を打ち抜くと同時に、そのブラ
ンク板をポンチとダイスを用いて浅絞りしてカップに成
形する。次にDWIプレス機で、このカップの側壁の厚
さよりクリアランスが小さいポンチとダイスを用いて側
壁をしごきながら引伸ばし、側壁の厚さを減少させるこ
とにより所定深さのカップ状の缶体を成形(この成形を
DWI加工と称する)し、さらに缶体の底をボトム・フ
ォーマーに衝突させて缶底を内側に凸のドーム状に成形
する。
【0004】このDWI加工の際、材料の加工性の異方
性から、加工後の胴の高さが円周方向に沿って一定とな
らず、加工後の胴の上端が円周方向に波打つイヤリング
と呼ばれる現象が生ずる。イヤリングを生じている胴の
上端の凸部を耳またはイヤと称する。次いでトリマー機
で、この耳はトリムされ、胴の上端の高さを揃えた後に
ウォッシャー機で、缶体を洗浄および乾燥する。次にプ
リンター機で、缶外面に印刷および塗装が施され、さら
に缶底にも塗装が施されてからこれらの塗装がピンオー
ブン機で乾燥する。次に内面塗装が施され、内面塗装は
ベルトオーブン機で乾燥させる。次にネッカー・フラン
ジャー機で、缶体開口径を小さくする多段ネッキング加
工が行なわれ、さらに缶体開口端に蓋をつけるために、
開口端部に直径方向外側に向かって延出するフランジ部
を形成するフランジ加工が行われる。缶体は、この状態
で製缶業者から内容物充填業者に出荷され、内容物を充
填後、蓋が巻締められて缶詰の製品となる。
【0005】このようなDWI缶用鋼板に要求される重
要な特性としては、DWI加工性、ネック加工性、フラ
ンジ加工性、缶体となった後の耐圧強度およびパネリン
グ強度である。DWI加工性とは、DWI加工におい
て、金型の摩耗が小さく、金型かじりの発生が少なく、
加工エネルギーが小さい性能をいう。ネック加工性と
は、多段ネッキングにおいてしわが発生しない性能をい
う。フランジ加工性とは、フランジ加工の際、フランジ
部に缶の内容物が漏れる原因となる割れ、すなわちフラ
ンジ割れと呼ばれる欠陥を生じにくい性能をいう。耐圧
強度とは、蓋が巻締められた後、内圧によって缶体の弱
い部分が外側に突き出してしまうバックリング現象が生
じる臨界の缶内圧をいう。缶内圧に弱いのは缶底および
蓋であり、耐圧強度も缶底および蓋の力学的強度に支配
されることが多い。パネリング強度とは、蓋が巻締めら
れた後、外圧によって缶体胴部が内側にへこむ臨界の外
圧をいう。缶詰の梱包、運搬、開梱、自動販売機での落
下など、取扱い中の外からの力に対する強さは、このパ
ネリング強度で代表されることが多い。
【0006】かかるDWI缶用鋼板は、従来から例えば
B添加Alキルド鋼をバッチ焼鈍したもの(特開昭53
−48913号公報参照)、Cu添加低炭素鋼バッチ焼
鈍したもの(特公昭52−16965号公報参照)のよ
うに殆どバッチ焼鈍材が適用されていた。それはバッチ
焼鈍材の方が伸び、深絞り性に優れており、一般にDW
I加工用途にも適していると考えられていたからであ
る。
【0007】特に、DWI管の成形加工ではフランジ加
工性の良いことは極めて重要視され、その不良率は数1
0ppm 以下に抑える必要がある。そのためにも鋼板とし
て伸び、r値の優れたバッチ焼鈍材が従来から適用され
ていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一方、従来のDWI缶
用鋼板の板厚は0.30ないし0.35mmが一般的であ
ったが、省資源の観点から、近年板厚が薄手化される趨
勢にある。しかし、バッチ焼鈍された従来のDWI缶用
鋼板では、薄手化に伴って耐圧強度およびパネリング強
度が低下する問題があった。歓待の耐圧強度は(板厚)
2 ×(降伏強さ)で決まるので、薄手化は耐圧強度の低
下を招く。従って、所定の耐圧強度を確保しつつ薄手化
するには、素材の降伏強さを高める必要がある。しか
し、バッチ焼鈍鋼板は一般的に軟質であるので、バッチ
焼鈍鋼板の降伏強さを高めようとすれば強化元素を添加
し、比較的高合金の成分にする必要があり、この場合に
はDWI加工性が劣化する問題がある。すなわち、バッ
チ焼鈍鋼板を高強度化すると、DWI加工時にかじりが
発生しやすくなり、金型の摩耗が大きく、また加工エネ
ルギーも増加する欠点を生ずる。さらに、その強化元素
が固溶強化元素である場合には、フランジ加工性が劣化
する問題があった。パネリング強度についても、同様の
問題があった。
【0009】また、薄手化時の耐圧強度を確保するため
に、強化元素を添加して強化されたバッチ焼鈍鋼板は、
DWI加工後の変形抵抗が大きいため、多段ネッキング
加工においてしわが発生しやすい欠点もあった。
【0010】連続焼鈍法は硬質の缶用鋼板を製造するの
に適した焼鈍法であるので、連続焼鈍鋼板は強化元素を
添加しなくても、降伏強さを高める、すなわち耐圧強度
を高めることが、バッチ焼鈍鋼板に比べて容易である。
しかし、降伏強さの高い従来の連続焼鈍鋼板は、DWI
加工時およびDWI加工後の変形抵抗が大きいため、強
化元素を添加して強化されたバッチ焼鈍鋼板と同様に、
DWI加工性およびネック加工性が劣る問題があった。
さらに、連続焼鈍孔板は多量の固溶Cを含むため、フラ
ンジ加工性が非常に劣る問題があった。
【0011】このように従来のDWI缶用鋼板には、薄
手化時に、DWI加工性・ネック加工性という加工性
と、耐圧強度・パネリング強度という缶体となった後の
強度とを両立させることができない問題があった。ま
た、従来のDWI缶用鋼板には、薄手化に対応しようと
すると、フランジ加工性が劣化せざるを得ない根本的欠
点があった。
【0012】本発明は、フランジ加工性に優れ、DWI
加工性およびネック加工性が従来のDWI用バッチ焼鈍
鋼板と同等以上であり、かつDWI加工後の耐圧強度お
よびパネリング強度の高いことによって、薄手化に対応
できるDWI缶用鋼板を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために、DWI缶用鋼板に要求される諸特
性について種々研究した結果、上記の諸特性とその支配
要因を総合すること、すなわち鋼板の成分、熱間圧延条
件および2次冷間圧延条件を調整し組合せにより、薄手
化に工業的に対応できることを知見した。
【0014】本発明はこの知見に基づいて構成されたも
のであり、その要旨は、重量%で C :0.0015%以下、 Mn:0.05〜0.40%、 P :0.06%以下、 S :0.06%以下、 酸可溶Al:0.10%以下、 N :0.0100%以下、 を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる熱鋼
片(スラブ)を、850℃以上の仕上温度で2.2mm以
上の板厚まで熱間圧延した後、熱間圧延鋼帯が熱間圧延
機の仕上最終スタンドを出てから1.5秒以内に[仕上
温度−30]℃以上の温度からラン・アウト・テーブル
上で水冷しながらこれを捲取り、酸洗し、1次冷間圧延
し、再結晶焼鈍し、10〜50%の圧下率で2次冷間圧
延を施すフランジ加工性に優れたDWI缶用極薄鋼板の
製造法である。
【0015】以下に本発明を詳細に説明する。C含有量
は本発明の最も重要な構成要件である。C含有量が0.
0015%を超えると、10〜50%という高い圧下率
で2次冷間圧延を施されたDWI缶用極薄鋼板のフラン
ジ加工性・DWI加工性・イヤリング性が劣化するの
で、0.0015%以下に限定した。
【0016】それらのメカニズムは明かではないが、優
れたフランジ加工性を示す理由としては、本発明鋼はC
量が極端に低く延性に有害な炭化物が存在しないためか
10〜50%という高い圧下率で2次冷間圧延を施して
も高い局部延性を示すことから、フランジ加工における
素材の潜在的変形能が高いことが考えられる。優れたイ
ヤリング性を示す理由としては、本発明鋼のC量が低く
成分の高純度化が著しいため、イヤリング性を支配する
集合組織が改善されたことが考えられる。また、優れた
DWI加工性を示す理由としては、本発明鋼はC量が極
端に低くフェライトより硬質の炭化物が存在しないた
め、同じ圧下率の2次冷間圧延を施しても、C量の比較
的多い本発明外の鋼は炭化物の周囲に高い歪が蓄積され
るが本発明鋼は内部蓄積歪量が小さく、DWI加工時の
変形抵抗が小さいことが考えられる。より薄い板厚でフ
ランジ加工性の優れたDWI缶用極薄鋼板を製造するた
めには、C含有量を0.0010%以下にすることが望
ましい。
【0017】Mnは、その量が0.05%を下回ると熱
間脆性を生じ、缶用鋼板を製造することができないの
で、0.05%以上含有させる必要がある。一方、その
量が0.40%を超えると鋼板が過度に硬質化してフラ
ンジ加工性およびDWI加工性が劣化し、さらにC量の
低減で得られた成分の高純度化効果を減殺してイヤリン
グ性を劣化すると共に、コスト高となるので、0.05
〜0.40%に限定した。
【0018】Pは敢えて添加する必要はないが、鋼を著
しく硬化する不可避的不純物元素であり、0.06%を
超えると鋼板が過度に硬質化してフランジ加工性および
DWI加工性が劣化し、またC量の低減で得られた成分
の高純度化効果を減殺してイヤリング性を劣化すると共
に、耐食性が劣化するので、上限を0.06%とする。
より優れたフランジ加工性、DWI加工性、イヤリング
性および耐食性を得るためには、0.02%以下とする
ことが望ましい。
【0019】Sも敢えて添加する必要はないが、熱間脆
性を昂進させる不可避的不純物元素であり、この量が
0.06%を超えると、熱間脆性のため缶用鋼板を製造
できないので、その上限を0.06%に限定した。より
好ましい範囲は0.02%以下である。
【0020】酸可溶Alも敢えて添加する必要はない
が、他の品種との鋼成分集約の観点から、0.100%
以下であれば、添加しても本発明の効果は失われない。
ただしこの量が0.100%を超えると、Al2 3
介在物が増えて製缶加工時にフランジ割れやDWI加工
性の劣化などの原因となり、またコスト高ともなるの
で、その上限を0.100%に限定した。
【0021】Nも敢えて添加する必要はないが、鋼を硬
化させる不可避的不純物元素であり、この量が0.01
00%を超えると、鋼板が過度に硬質化してフランジ加
工性およびDWI加工性が劣化し、またC量の低減で得
られた成分の高純度化効果を減殺してイヤリング性を劣
化するので、その上限を0.0100%に限定した。
【0022】上記のような成分組成の鋼は、次に述べる
製造工程と相俟って本発明の目的が達成できる。以下に
製造工程条件について述べる。上記のような成分組成の
鋼は、転炉、電気炉などの通常の溶解炉を用い、連続鋳
造法または造塊分塊法で熱鋼片(スラブ)とし、熱間圧
延に供する。
【0023】該熱鋼片の熱間圧延前の熱履歴は問わな
い。すなわち、連続鋳造後冷却することなくそのまま加
熱炉に挿入して熱間圧延を開始してもよいし、加熱炉で
の均熱をも省略して直ちに熱間圧延を開始するいわゆる
直送圧延も可能である。もちろん一旦冷却した後、加熱
炉で再加熱してもよい。
【0024】鋼片を再加熱する場合、その再加熱温度は
問わない。ただし、本発明においては熱間圧延仕上温度
を850℃以上に確保することが必須であるので、熱間
圧延作業仕上温度が確保できないような過度に低い再加
熱温度をとることはできない。通常の熱間圧延設備の場
合、再加熱温度が1000℃を下回ると、仕上温度を8
50℃以上に確保することが困難となるので、再加熱温
度は1000℃以上とすることが望ましい。
【0025】熱間圧延仕上温度もC含有量とならんで本
発明の最も重要な構成要件の一つである。熱間圧延仕上
温度が850℃を下回ると、以下に述べる理由で本発明
の目的を達することができない。まず、オーステナイト
組織とフェライト組織が混在して圧延され、熱間圧延鋼
帯の板厚制御が困難となる結果、冷間圧延での板厚制御
が困難となり、製品鋼板の板厚精度が劣化すると共に、
しばしば冷間圧延作業中に板破断を起こす。板厚0.2
5mm以下のDWI缶用極薄鋼板を製造するにあたって、
これは致命的欠点である。また、仕上温度が850℃を
下回ると、熱間圧延鋼帯にイヤリング性に有害な集合組
織が形成される結果、製品鋼板のDWI加工時における
イヤリングが大きくなって、製缶業者における歩留まり
を劣化させる。したがって熱間圧延仕上温度は、850
℃以上に限定する必要がある。
【0026】本発明者らの研究によると、熱間圧延鋼帯
が仕上最終スタンドを出てからラン・アウト・テーブル
上での冷却が開始されるまでの時間および該冷却が開始
される温度は、製品鋼板のフランジ加工性に大きな影響
を持つことがわかった。まず、熱間圧延鋼帯が仕上最終
スタンドを出てからラン・アウト・テーブル上での冷却
が開始されるまでの時間は、これが1.5秒を超える
と、製品鋼板のフランジ加工性を劣化するので、1.5
秒以下に限定する必要がある。また、該冷却が開始され
る温度は、これが[仕上温度−30]℃を下回ると、や
はり製品鋼板のフランジ加工性を劣化するので、[仕上
温度−30]℃以上に限定する必要がある。これらの現
象の理由は必ずしも明らかでないが、これらの限定によ
って熱間圧延鋼帯の結晶粒が小さくなることが関係して
いると思われる。
【0027】熱間圧延の捲取温度は、これを問わない。
ただし、これが720℃を超えると熱間圧延鋼帯のスケ
ール生成量が過度に多くなり、酸洗工程の生産量を阻害
するので、捲取温度は720℃以下にすることが望まし
い。熱間圧延の仕上板厚、これが2.2mmを下回ると、
製品鋼板のイヤリング性を劣化するので、2.2mm以上
に限定する必要がある。熱間圧延の終了した鋼帯は、常
法により、酸洗し、冷間圧延し、再結晶焼鈍を施され
る。
【0028】再結晶焼鈍の後、2次冷間圧延を行う。2
次冷間圧延の圧下率は、これが10%を下回ると、缶強
度が不足するので、その下限を10%に限定した。ま
た、その圧下率が50%を超えると鋼板が過度に硬質化
してフランジ加工性およびDWI加工性が劣化するの
で、その上限を50%に限定した。特に、イヤリング性
のさらに優れたDWI缶用極薄鋼板を製造するには、1
次冷間圧延と2次冷間圧延を合わせた総合冷間圧延圧下
率(すなわち熱間圧延鋼帯板厚に対する最終製品板厚の
圧下率)が88%以上になるように、1次冷間圧延圧下
率および2次冷間圧延圧下率を選択することが望まし
い。
【0029】本発明の製造方法による鋼板に施される表
面被覆は、その方法を問わない。すなわち、錫めっき、
ニッケルめっき、特殊な下地処理後に極薄目付けの錫め
っきを行う方法、あるいは高分子有機フィルムを張り付
けたものなど、DWI缶用鋼板に用いられるいかなる表
面被覆であっても、本発明の作用効果は発揮される。ま
た製缶方法は、DWI加工法だけでなく、多段絞り加工
法でも本発明の効果は発揮される。
【0030】
【実施例】表1記載の成分を有する鋼を転炉で溶製し、
スラブを室温まで冷却した後、熱間圧延に先だって表2
記載のスラブ再加熱温度に加熱し、表2記載の仕上温
度、熱間圧延鋼帯が仕上最終スタンドを出てからラン・
アウト・テーブル上での冷却が開始されるまでの時間、
該冷却の開始時間、および捲取温度で板厚3.0mmまで
熱間圧延し、酸洗し、冷間圧延し、連続焼鈍し、同表記
載の2次冷間圧延圧下率で板厚0.20mmまで2次冷間
圧延し、錫めっきを行った。このようにして得られた錫
めっき鋼板のフランジ加工性、イヤリング性および耐圧
強度を表2に示す。
【0031】フランジ加工性の評価は、本発明者らの実
験室のDWI加工試験機でDWI缶体を成形し、開口端
をトリム後、フランジ加工性試験機にて円錐状のパンチ
を開口端に挿入しながら開口端の径を広げる試験を行っ
た場合の破断発生までの加工率で行った。この加工率
は、本発明者らの実験室における測定法の場合、9.0
%以上が需要家においても合格と評価されることがわか
っているので、9.0%以上を「合格」、9.0未満を
「不合格」と判定した。
【0032】イヤリング性の評価は、実験室の絞り加工
機でカップ成形を行い、イヤリングの山の平均高さと谷
の平均高さの差を谷の平均高さで除した値を百分率で表
して求めた。本発明者らの実験室の絞り加工機の場合、
イヤリング率が3.5%以下であれば、2ピース缶を製
造する需要家においても問題がないことがわかっている
ので、イヤリング率3.5%以下を「合格」、3.5%
超を「不合格」と判定した。
【0033】耐圧強度の評価は、実験室のDWI加工試
験機を用いて、実際にこれらDWI缶用鋼板の缶体を作
り、雰囲気乾燥炉で塗装乾燥工程相当の熱処理を与えた
後、缶体開口部をラバー製ライナーで密閉して、缶体内
部に圧縮空気を徐々に導入し、缶底がバックリングを生
じる臨界の圧力を求めることで行った。本発明者らの実
験室におけるこのような測定法の場合、臨海圧力が7.
5kgf/cm2 以上であれば需要家においても実用となるこ
とがわかっているので、臨界圧力の成績が7.5kgf/cm
2 以上のものを「合格」、それ未満のものを「不合格」
と評価した。これらの表において、本発明の請求範囲か
ら外れた数値は下線をつけて示してある。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】表1ないし表3からわかるように、本発明
鋼は板厚の薄手化に伴う缶強度の低下を十分補償するこ
とができ、しかもイヤリング性およびフランジ加工性に
優れている。一方、本発明外の鋼は、イヤリング性およ
びフランジ加工性と、耐圧強度とを両立させることがで
きず、鋼板の薄手化に対応することができない。
【0038】
【発明の効果】本発明は、DWI缶用鋼板を薄手化する
にあたって、従来の技術では両立できなかった缶強度と
フランジ加工性・イヤリング性・DWI加工性を両立さ
せるものであり、その工業的価値は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 真之 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で C :0.0015%以下、 Mn:0.05〜0.40%、 P :0.06%以下、 S :0.06%以下、 酸可溶Al:0.10%以下、 N :0.0100%以下、 を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる熱鋼
    片(スラブ)を、850℃以上の仕上温度で2.2mm以
    上の板厚まで熱間圧延した後、熱間圧延鋼帯が熱間圧延
    機の仕上最終スタンドを出てから1.5秒以内に[仕上
    温度−30]℃以上の温度からラン・アウト・テーブル
    上で水冷しながらこれを捲取り、酸洗し、1次冷間圧延
    し、再結晶焼鈍し、10〜50%の圧下率で2次冷間圧
    延を施すことを特徴とするフランジ加工性に優れたDW
    I缶用極薄鋼板の製造法。
JP13271392A 1992-05-25 1992-05-25 フランジ加工性に優れたdwi缶用極薄鋼板の製造法 Withdrawn JPH05345925A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0892641A (ja) * 1994-09-29 1996-04-09 Nippon Steel Corp 溶接缶用鋼板の製造方法
JPH0892642A (ja) * 1994-09-29 1996-04-09 Nippon Steel Corp 耐イヤリング性の優れた容器用鋼板の製造方法
US6056832A (en) * 1995-02-24 2000-05-02 Sollac Method for producing a steel sheet or strip for making a can, and steel sheet or strip obtained by said process

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