JPH07316719A - フランジ加工性に優れた2ピースdi缶用極薄鋼板 - Google Patents

フランジ加工性に優れた2ピースdi缶用極薄鋼板

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JPH07316719A
JPH07316719A JP11009394A JP11009394A JPH07316719A JP H07316719 A JPH07316719 A JP H07316719A JP 11009394 A JP11009394 A JP 11009394A JP 11009394 A JP11009394 A JP 11009394A JP H07316719 A JPH07316719 A JP H07316719A
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steel sheet
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steel
flange
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Seiichi Tanaka
聖市 田中
Senkichi Tsujimura
銑吉 辻村
Yasuhiko Yamashita
康彦 山下
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は従来のバッチ焼鈍鋼板と同等以上の
製缶加工性を有し、且つ加工後缶強度が高いことによっ
て薄手化に対応できるDI缶用鋼板を提供するものであ
る。 【構成】 C量が5〜20ppm 、B量が2〜10ppm の
極低炭素鋼で、その固溶C量が5〜20ppm にあって、
ロックウェル硬さが53以上であり、引張り強さが平方
mm当り320N以上であり、再結晶粒度番号が8.5以
上11.5以下であり板厚が0.24mm以下であること
を特徴とするDI缶用極薄鋼板。 【効果】 DI缶用鋼板の薄手化に当って、従来の技術
では両立できなかった缶強度とフランジ加工性、ネック
加工性およびDI加工性を両立させることに成功し、フ
ランジ加工性の優れた板厚0.24mm以下のDI缶用極
薄鋼板の提供を可能とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はDI缶(Draw and Irone
d 缶)用鋼板に関し、DI加工後のフランジ加工性に優
れ、DI加工やネック加工が容易であり、ビールおよび
炭酸飲料などの内圧を有する内容物に適用可能な缶体耐
圧強度を有するDI缶用鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼板に錫メッキを施したブリキあるいは
クロム酸処理を施したTFS(Tin Free Steel)のよう
な缶用鋼板が食缶やエアゾール缶、イージオープン缶に
多用されている。これらの鋼板で作られた缶は、従来か
ら蓋、胴、底の3部品からなる3ピース缶が多かった
が、近年、胴と底が一体となり、蓋と合わせて2部品か
らなる2ピース缶を鋼板から製缶する技術が開発され
た。
【0003】2ピース缶は製缶コストが安い利点から、
3ピース缶に代わって2ピース缶比率が伸びる傾向にあ
る。2ピース缶は、多段絞り加工あるいは深絞り加工後
にしごき加工が施されるDI加工など、成形にあたって
厳しい加工が行われ、単に耐食性のみならず優れた加工
性も素材に要求されている。
【0004】DI缶は、一般に次のような製缶工程を経
て製造される。まずカッピングプレス機で、鋼帯から円
盤状のブランク打ち抜きとポンチとダイスを用いた浅絞
りのカップ成形を連続的に行う。次にDIプレス機で、
このカップの壁厚より薄いクリアランスのポンチとダイ
スを用いて側壁をしごきながら引き延ばし、側壁の厚さ
を減少させることにより所定深さのカップ状の缶体を成
形(DI加工)し、さらに缶底をボトムフォーマーに衝
突させて缶底をドーム状に成形する。
【0005】DI加工後、胴の高さが円周方向に沿って
波打つ、いわゆるイヤリングを生じる。このイヤリング
は次のトリマーによって切り取られ、胴の上端の高さを
揃える。さらにウォッシャー機で缶体は洗浄および乾燥
される。その後、塗装機で缶内外面を施し乾燥後、ネッ
カーフランジャー機で缶体開口径を小さくする多段ネッ
キング加工を行い、さらに缶体開口端に蓋をつけるため
に開口端部に直径方向外側に向かって伸出するフランジ
加工を行う。缶体はこの状態で製缶業者から内容物充填
業者に出荷され、内容物充填後、蓋が捲締められて缶詰
となる。
【0006】DI缶用鋼板に要求される重要な特性とし
ては、フランジ加工性を筆頭に、DI加工性、ネック加
工性および缶体となった後の耐圧強度とパネリング強度
である。フランジ加工性とは、フランジ加工の際、フラ
ンジ部に缶の内容物が漏れる原因となる割れ、すなわち
フランジ割れとよばれる欠陥を生じにくい性能をいう。
DI加工性とは、DI加工において金型の磨耗が小さ
く、金型カジリの発生が少なく加工エネルギーが小さい
性能をいう。ネック加工性とは、多段ネッキング加工に
おいてシワが発生しない性能をいう。耐圧強度とは、蓋
が捲締められた後、内圧によって缶体強度の小さい部分
が外側に突き出てしまうバックリング現象が生じる臨界
の缶内圧を指し、缶内圧に弱い缶部は缶底および蓋であ
る。パネリング強度とは、蓋が捲締められた後、外圧に
よって缶体胴部が内側にへこむ臨界外圧をいい、缶詰の
梱包、運搬、開梱、自動販売機での落下など、缶の取扱
い中の外からの力に対する強さは、このパネリング強度
で代表されることが多い。
【0007】かかるDI缶用鋼板としては、従来は例え
ばB添加アルミキルド鋼をバッチ焼鈍したもの(特開昭
53−48913号公報)、Cu添加低炭素鋼をバッチ
焼鈍したもの(特公昭52−16965号公報)のよう
にほとんどバッチ焼鈍材が適用されていた。それはバッ
チ焼鈍材の方が、伸び、深絞り性に優れており、一般に
DI加工用途に適していると考えられたからである。特
に、DI缶の成形加工ではフランジ加工性の良いことが
極めて重要視され、その不良率は数10ppm 以下に抑え
る必要がある。そのためにも、鋼板として、伸び、r値
の優れたバッチ焼鈍材が従来から適用されてきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一方、従来からのDI
缶用鋼板は板厚が0.30〜0.35mmが一般的であっ
たが、省資源の観点から近年、板厚の薄手化が進展する
趨勢にある。しかし、バッチ焼鈍された従来のDI缶用
鋼板では、薄手化にともなって耐圧強度およびパネリン
グ強度が低下する問題があった。缶体の耐圧強度は(板
厚)2×(降伏強さ)で決まるので、薄手化は耐圧強度
の低下に直結する。従って、所定の耐圧強度を確保しつ
つ薄手化するには、素材の降伏強さを高める必要があ
る。
【0009】しかし、バッチ焼鈍鋼板は、一般に軟質で
あるので、降伏強さを高めようとすれば強化元素を添加
し、比較的高合金の成分にする必要があり、その反対に
はDI加工性を劣化する問題がある。すなわちバッチ焼
鈍鋼板を高強度化すると、DI加工時にカジリが発生し
やすくなり、金型の磨耗が大きく、加工エネルギーも増
加する欠点が生ずる。さらに、その強化元素が固溶強化
元素である場合には、フランジ加工性を劣化する問題も
ある。また、強化元素を添加して強化したバッチ焼鈍鋼
板は、DI加工後の変形抵抗が大きいため、多段ネッキ
ング加工においてシワが発生しやすい欠点もあった。
【0010】連続焼鈍法は、硬質の缶用鋼板を製造する
のに適した焼鈍法である。従って、連続焼鈍鋼板は強化
元素を添加しなくても、降伏強さを高め、耐圧強度を高
めることも、従来のバッチ焼鈍鋼板に比べて容易であ
る。しかし、降伏強さの高い連続焼鈍鋼板は、DI加工
時およびDI加工後の変形抵抗が大きいため、強化元素
を添加して強化されたバッチ焼鈍鋼板と同様に、DI加
工性およびネック加工性が劣る問題があった。さらに連
続焼鈍鋼板には多量の固溶Cが含まれるため、フランジ
加工性が非常に劣る欠点がある。
【0011】このように、従来のDI缶用鋼板には、薄
手化時に、DI加工性、ネック加工性などの加工性と、
耐圧強度パネリング強度などの缶体強度を両立させるこ
とができない問題があり、薄手化に対応しようとする
と、フランジ加工性が劣化せざるを得ない根本的欠点が
あった。
【0012】本発明は、このような問題点を解消するも
のであり、フランジ加工性に優れ、DI加工性およびネ
ック加工性が従来のDI缶用バッチ焼鈍鋼板と同等以上
であり、かつDI加工後の耐圧強度およびパネリング強
度が高いことによって、薄手化に対応できるDI缶用鋼
板を提供することを目的にするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために、DI缶用鋼板に要求される諸特性
について種々研究した結果、上記の諸特性と、その支配
要因を総合すると、鋼板の成分、特に固溶CおよびBの
含有量とTi添加による固溶Nの固定により、降伏強
さ、硬さ、組織を制御したDI缶用鋼板が、薄手化に工
業的に対応できることを知見した。
【0014】本発明はこの知見にもとづいて構成された
ものであり、その要旨は重量%で、C :0.0005
〜0.002%、 Mn:0.15〜0.40%、P
:0.020%以下、 S :0.020
%以下、酸可溶Al:0.02〜0.08%、 N :
0.008%以下、B :0.0002〜0.0010
%、Ti:3.4×(〔Nの重量%〕+0.0005)
%以上、0.04%以下を含有し、残部が鉄および不可
避的不純物からなる成分で、ロックウェル(HR30T)硬さ
が53以上かつ圧延方向引張り強さが320N/mm2 以上
かつ再結晶粒度No.が8.5以上11.5以下であり、
板厚が0.24mm以下であることを特徴とする、フラン
ジ加工性に優れたDI缶用極薄鋼板である。
【0015】以下に本発明を詳細に説明する。固溶Cお
よびBの含有量は、本発明の最も重要な構成要件であ
る。またDI缶は、冶金学的にみると、DI加工後の塗
装乾燥工程で200℃前後の高温時効を受けるところに
他の種類の缶と異なる特徴を持つ。
【0016】そこで、本発明者らはこの点に着目し、鋼
板に適量の固溶Cを含有させることにより、DI加工の
際にはDI用バッチ焼鈍鋼板と同等以上に加工しやす
く、DI加工後の塗装乾燥工程で固溶Cの時効硬化作用
により降伏強さを高めることができないかについて詳細
に検討を行った。その結果、固溶Cを本発明鋼の範囲に
制御することによって、この目的を達成できることを見
出し、同時に固溶Nの時効性が極めて不安定で時効硬化
作用に利用できないことも知見した。
【0017】鋼の時効硬化作用は、耐圧強度やパネリン
グ強度を支配する降伏強さは高めるが、ネック加工時の
変形抵抗となる引張り強さは上昇させない。ネック加工
される部分の引張り強さは、塗装乾燥工程でむしろ回復
軟化を起こし、ネック加工性に優れている。このような
観点から、本発明鋼は、従来不可能であった薄手化時の
DI加工性、ネック加工性という加工性と耐圧強度、パ
ネリング強度という缶体となった後の強度との両立が初
めて可能になった。
【0018】C,NおよびBのような侵入型固溶元素は
フランジ加工性に有害と従来から考えられてきた。本発
明者らはフランジ加工性に及ぼす固溶元素量とフランジ
加工速度の影響を詳細に調査した結果では、フランジ加
工速度が遅い場合は確かに、従来知見どおりアルミキル
ド鋼バッチ焼鈍鋼なみの極めて低い固溶Cおよび固溶N
であることが必須であり、B添加はフランジ加工性を若
干向上させる。しかしフランジ加工速度が今日のDI製
缶ラインなみの高速の場合には、極めて低い固溶N条件
で、固溶Cの総量が0.0005〜0.0020%かつ
B量が0.0002〜0.0010%の範囲内で共存す
ることで、実用上充分なフランジ加工性を持つことを新
規に見出した。
【0019】以上のような経過から、固溶CおよびB量
を次のように限定した。すなわち、まず固溶C量は、こ
れが0.0005%を下回ると充分な時効硬化作用が得
られずに、薄手化時の耐圧強度が不足するので、固溶C
量の下限は0.0005%とする必要がある。また、固
溶Cの総量が0.0020%を上回ると、B量が次に規
定するように0.0002〜0.0010%の範囲内に
あっても前述のようにフランジ加工性が劣化し、塗装乾
燥前の固溶硬化も進むため、DI加工性およびネック加
工性も劣化するので、その上限を0.0020%に限定
した。
【0020】Bは、結晶粒界に偏析し、粒界を強化する
作用を有する。本発明においてはフランジ加工において
割れ抑制が特に必要であり、この効果が顕著となるのは
0.0002%以上の添加からである。また0.001
0%以上を超えて添加しても効果は飽和してしまい、添
加コストの上昇やスラブ割れの原因となるため上限を
0.0010%に限定する必要がある。
【0021】以上のような固溶CおよびBを含有する鋼
板は、次に述べる成分と相まって、本発明の目的を達成
する。Cの含有量が、0.0005%より少ないと充分
な時効硬化作用を得る固溶Cを確保できないので、Cの
下限を0.0005%とする。また、0.002%を超
えると固溶C量が過度に多くなり、DI加工によって鋼
板の加工硬化が著しく進むため、DI加工時にカジリが
生じやすくなり、金型の磨耗が大きく、加工エネルギー
も増加するほか、フランジ加工性が劣化し、多段ネッキ
ング加工においてシワが発生しやすくなる。従って、C
の上限を0.002%に限定する必要がある。
【0022】Mnは、0.05%を下回ると熱間脆性を
生じ、DI缶用鋼板を製造することができないので、
0.15%以上添加する必要がある。一方この量が0.
40%を超えると、鋼板が過度に硬質化してDI加工性
およびネック加工性が劣化するので、上限を0.40%
に限定する必要がある。
【0023】Pはあえて添加する必要はないが、鋼板を
著しく硬質化する不可避的不純物であり、その量が0.
020%を超えると鋼板が過度に硬質化してDI加工性
およびネック加工性が劣化するので、上限を0.020
%に限定する必要がある。Sもあえて添加する必要はな
いが、熱間脆性を生じる不可避的不純物であり、その量
が0.020%を超えると、熱間脆性のためDI缶用鋼
板を製造できないので、上限を0.020%に限定する
必要がある。
【0024】酸可溶Alは、DI加工性に有害な酸化物
系介在物を低減するため脱酸材として、また、TiO2
の生成を抑制しTiによるN固定化を効率的に行うため
少なくとも0.02%含有させる必要がある。しかし、
0.08%を超えると、鋼板が硬質化し、またアルミナ
系介在物の増加で表面疵の増加やフランジ加工性の劣化
を生じるので、上限を0.08%に限定する必要があ
る。Nもあえて添加する必要はない。Nは鋼板を著しく
硬質化する不可避的不純物であり、DI加工性、ネック
加工性、およびフランジ加工性の劣化を生じるので、工
業的な製法で低減可能な限界である0.008%を上限
とする。
【0025】Tiの添加量は、Nの含有量に応じて調整
する。NをTiNとして固定するために、3.4×
(〔Nの重量%〕+0.0005)%以上必要である。
また、その量が0.04%を超えると微細なTiCの生
成により、焼鈍再結晶温度を高めて焼鈍作業性を悪くす
るとともに、固溶C量が減少して耐圧強度確保に必要な
時効硬化が得られなくなるため、上限を0.04%に限
定する必要がある。
【0026】これらの成分を持ったDWI缶用鋼板は、
次に述べる機械的性質および結晶組織と相まって本発明
の目的を達成することができる。鋼板のHR30T硬さ
は、鋼板製造業者が鋼板を製缶業者に出荷する時点にお
いて、53以上の値を有していなければならない。これ
は53未満であると、薄手化時のDI缶の耐圧強度およ
びパネリング強度が不足するためである。鋼板の圧延方
向引張り強さも同様の理由から、320N/mm2 以上の値
を有していなければならない。鋼板のJIS結晶粒度番
号は、これが8.5を下回ると、フランジ加工性が劣化
するので、下限を8.5とし、11.5を超えるとDI
加工性、ネック加工性およびフランジ加工性が劣化する
ので上限を11.5とした。
【0027】さらに本発明鋼の製造方法について述べ
る。前記の成分の溶鋼を、通常の方法で溶製し、連続鋳
造法または造塊乃至分塊圧延で鋼片とし、熱間圧延に供
する。熱間圧延前の鋼片の熱履歴は、一旦Ar3 変態点
未満に冷却された後、再加熱される通常の工程、および
Ar3 変態点未満に冷却されることなく高温鋼片のまま
熱間圧延に供される、いわゆる直送圧延工程のいずれも
取り得る。熱間圧延は、仕上げ温度がAr3 変態点を下
回ると混粒組織となり、均一な材質が得られにくいので
850℃以上を確保するのが望ましい。
【0028】熱間圧延の終了した鋼帯は、常法により、
酸洗し、冷間圧延し、連続焼鈍にて再結晶焼鈍を施され
る。連続焼鈍条件は、製品鋼板の固溶C、硬さ、結晶粒
度、および引張り強さを満たす限り、いかなる値をも取
り得る。再結晶焼鈍の後、2次冷間圧延を行う。2次冷
間圧延の圧下率は、前記連続焼鈍条件との組合せで種々
の条件を取り得るがロックウェル硬さ(HR30T)53以上
および圧延方向引張り強さ320N/mm2 以上を確保し、
鋼板板厚が0.24mm以下でも特に優れた缶強度を確保
するためには、2次冷間圧下率は6%以上とすることが
望ましい。また、その圧下率が40%を超えると、材質
が硬質化するため、DI加工性、ネック加工性およびフ
ランジ加工性が劣化する傾向にある。この観点から圧下
率は40%以下が望ましい。2次冷間圧延後の鋼板板厚
は、0.24mm以下とするが、これは缶素材を特に薄手
化し、缶の軽量化と省資源化を図るためである。好まし
い範囲は0.22mm以下である。
【0029】本発明鋼の表面に施されるメッキは、その
種類を問わない。すなわち、錫メッキ、アルミメッキ、
クロムメッキ、ニッケルメッキ、およびこれらの合金メ
ッキ、多層メッキあるいは高分子有機フィルムを張りつ
けたものなど、DI缶用鋼板に用い得るどのような被覆
であっても、本発明の効果は発揮される。
【0030】
【実施例】表1記載の成分を有する鋼を転炉で溶製し、
連続鋳造で熱鋼片とした後、これを常温まで冷却し、1
250℃に再加熱し、仕上げ温度900℃で厚さ2.3
mmまで熱間圧延し、630〜780℃で捲取り、この熱
間圧延鋼帯を酸洗し、冷間圧延し、この冷間圧延鋼帯を
700℃で再結晶焼鈍した後、2次冷間圧延鋼帯を酸洗
し、冷間圧延し、この冷間圧延鋼帯を700℃で再結晶
焼鈍した後、2次冷間圧延を圧下率6〜40%で、板厚
0.18〜0.24mmとし、これに錫メッキを施してD
I缶用鋼板とした。比較バッチ処理材は、現状の商品と
して製造中の低炭素アルミキルド鋼のT−1錫メッキ鋼
板で板厚0.32mmのものを使用した。
【0031】こうして得られたDI缶用鋼板の固溶C量
および硬さ、引張り強さ、結晶粒度番号を表1に示す。
ここで固溶C量は、調質圧延前の焼鈍鋼帯から試料を採
取し、内部摩擦法により測定した。硬さは、錫メッキ後
のDI缶用鋼板から試料を採取し、JISに準拠して測
定した。引張り強さは、錫メッキ後のDI缶用鋼板から
試料を採取し、JISに準拠して測定した。結晶粒度番
号は、錫メッキ後のDI缶用鋼板から試料を採取し、J
ISに準拠して測定した。
【0032】こうして得られたDI缶用鋼板のDI加工
性、ネック成形性、フランジ加工性および耐圧強度の評
価結果を表2に示す。ここで、DI加工性の評価は、本
発明者らの実験室のDI加工試験機を用いて、実際にD
I加工を行い、3段目のしごき成形力を測定することで
行った。比較鋼として、同じ板厚のバッチ焼鈍鋼板のし
ごき成形力も同時に測定し、実施例の鋼板のしごき成形
力の平均値が、バッチ鋼板のそれ以下のものを「合格」
と評価しバッチ鋼板のそれを超えるものを「不合格」と
評価した。ネック加工性の評価は、本発明者らの実験室
のDI加工試験機を用いて、実際にこれらDI缶用鋼板
の缶体を作り、電気炉で塗装乾燥工程相当の熱処理を与
えた後、同じく実験室のネック加工試験機で実際に3段
ネック加工を行って、シワの発生を観察することで行っ
た。そして、試験したすべての缶体のどの部分にもシワ
の見られないものを「合格」と評価し、シワの出たもの
を「不合格」と評価した。
【0033】フランジ加工性の評価は、DI加工後にイ
ヤリング部をトリマーにて切り取った缶体をコーンテス
トにて評価を行い、その結果を図1に示す。コーンテス
ト法は図2に示すように、DI缶の開口部に円錐型のコ
ーンを500mpm の速さで押しつけて割れが生じるまで
のストローク長を測定するもので、実機フランジ加工に
おける耐フランジ割れ性能を推定するものである。スト
ローク長が7mm以上であれば、素材起因によるフランジ
割れは発生せず、2次加工性に優れる素材と判定でき
る。
【0034】耐圧強度の評価は、実験室のDI加工試験
機を用いて、実際にこれらDI缶用鋼板の缶体を作り、
電気炉で塗装乾燥工程相当の熱処理を与えた後、缶体開
口部をラバー製ライナーで密閉して、缶体内部に圧縮空
気を徐々に導入して、缶底がバックリングを生じる臨界
の圧力を求めることで行った。本発明者らの実験室にお
けるこのような測定法の場合、臨界圧力が7.5kg/cm
2 以上であれば、需要家においても実用となることが分
かっているので、臨界圧力の成績が7.5kg/cm2 以上
のものを「合格」、それ未満のものを「不合格」と評価
した。
【0035】表1において、1〜8は本発明の範囲、9
〜20は本発明範囲を逸脱したものである。表2から分
かるように、本発明範囲内の製品番号1〜8は、優れた
DI加工性、ネック加工性およびフランジ加工性を有し
ながら、充分な耐圧強度をも合わせ持っており、板厚
0.24mmまでの薄手化に成功している。一方、本発明
範囲外の製品番号9〜16は、加工性と耐圧強度を両立
させることができず、薄手化に対応できない。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【発明の効果】本発明は、DI缶用鋼板を薄手化するに
あたって、従来の技術では両立できなかった、缶強度と
フランジ加工性、ネック加工性およびDI加工性を両立
させることに成功し、フランジ加工性の優れたDI缶用
鋼板を提供するものであり、その工業的価値は極めて大
きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における固溶C量とコーンストローク長
さの関係を示す図である。
【図2】コーンテスト条件を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.0005〜0.002%、 Mn:0.15〜0.40%、 P :0.020%以下、 S :0.020%以下、 酸可溶Al:0.02〜0.08%、 N :0.008%以下、 B :0.0002〜0.0010%、 Ti:3.4×(〔Nの重量%〕+0.0005)%以
    上、0.04%以下、残部が鉄および不可避的不純物か
    らなる成分で、固溶C量が0.0005〜0.0020
    %であり、ロックウェル(HR30T)硬さが53以上であ
    り、圧延方向引張り強さが320N/mm2 以上であり、再
    結晶粒度No.が8.5以上11.5以下であり、板厚が
    0.24mm以下であることを特徴とするフランジ加工性
    に優れた2ピースDI缶用極薄鋼板。
JP11009394A 1994-05-24 1994-05-24 フランジ加工性に優れた2ピースdi缶用極薄鋼板 Withdrawn JPH07316719A (ja)

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