JPH0533951U - 配湯用ラドルの傾斜機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 配湯用ラドルの傾動時における振り幅を極小
にし、集中溶解炉の小さい汲出口での溶湯汲取りを可能
にすると共に、ダイカストマシンの保持炉に対し配湯を
容易かつ確実にする。 【構成】 ガイド枠１にアクチュエ−タ−２を支持した
溶湯搬送装置本体Ａと、アクチュエ−タ−２の下端と、
その昇降自在なカバ−１１の下端に支持した昇降枠Ｂ
と、昇降枠ＢにラドルＣを傾動自在に懸垂するリンク機
構Ｄと、リンク機構Ｄを回動するシリンダＥとを具備す
る。リンク機構Ｄは、昇降枠Ｂに垂設のブラケット１
７、１７とラドルＣの各後部側を連結する一対の第１リ
ンク２５、２５と、上記ブラケット１７、１７の前端下
部とラドルＣの前部側を連結する一対の第２リンク２
６、２６と、一端を第１リンク２５、２５と固定したブ
ラケットに枢着され、他端がシリンダＥに連結された一
対の第３リンク２７、２７から構成されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、金属溶湯を集中溶解炉（反射炉或は電気炉）の溶湯取出口からラド ルにより溶湯を汲み取り、ダイカストマシンの溶湯保持炉に配湯するためのラド ルの傾斜機構に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来の配湯用ラドルの傾斜機構は、図８及び図９に示した如く、ガイド枠ａに 支持したアクチュエ−タ−ｂの下端に昇降枠ｃを支持し、該昇降枠ｃに、ラドル ｄの左右の側壁ｅ、ｅから立設した突子ｆ、ｆを回動自在に支軸ｌにより支持し て当該ラドルｄを懸垂し、上記両突子ｆ、ｆ間の架設バ−ｇの中間部からラドル ｄの後方側へ延出した作動バ−ｈの先端を、駆動部ｉにより昇降される連結杆ｊ と回動自在に枢着して構成されている。

【０００３】 而して、上記した従来のラドル傾斜機構は、図９に二点鎖線で示したように、 ラドルｄの後壁に削設した切込みｋから溶湯がラドルｄ内に流入するよう後方に 傾斜下降させ、次いでラドルｄを徐々に反転して溶湯をラドルｄに汲み取り、次 いでダイカストマシンの溶湯保持炉まで搬送した後、図９に破線で示した如く、 ラドルｄの前部に設けた吐出口ｍから溶湯が溶湯保持炉に付設の樋（図示せず） に流出するよう前方に傾斜下降させることによって配湯するものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし乍ら、上記した従来のラドル傾斜機構では、ラドルｄが、その支軸ｌを 中心として前後に傾斜するのであって、その振り幅が大きいため、給湯するため にはラドルｄの振り幅を許容する大きな汲出口が集中溶解炉に必要になり、当該 集中溶解炉の放熱損失が多くなる。

【０００５】 また、ラドルｄは、鉄板製の芯金に耐熱ファイバ−を貼着し、表面に耐熱塗料 を塗布してなるもので、前述の切込みｋから給湯する方法では、該切込みｋから 流入する溶湯がラドルｄの一定箇所にだけ当るため、耐熱塗料、耐熱ファイバ− が剥離し易くなり、当該ラドルｄの寿命が短くなる。

【０００６】 さらに、給湯時は、ラドルｄを後傾姿勢として溶湯内に押込むため、ラドルｄ に浮力によって歪や亀裂が入り易くなり、耐熱塗料、耐熱ファイバ−が剥離する ことが多い。

【０００７】 さらにまた、ダイカストマシンの保持炉に付設の樋にラドルｄから給湯する場 合、図９に破線で示した如く、支軸ｌを中心としてラドルｄの吐出口ｍ側が回転 下降するため、ラドルｄ内の残留溶湯が少なくなると樋の外へ垂れるため、これ を防止すべく吐出口ｍを樋の方へ移動する無駄な操作が必要になる。

【０００８】 本考案は、上記した従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたも ので、ラドルへの溶湯汲取時及びダイカストマシンの保持炉への給湯の際のラド ル傾斜時において、ラドル吐出口が略直線的に昇降するようにして、集中溶解炉 の必要最小限の汲出口で溶湯汲取りができると共に、ダイカストマシンにおける 保持炉の樋に溶湯が垂れることなく確実に給湯できるようにした配湯用ラドルの 傾斜機構を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案の配湯用ラドルの傾斜機構は、ガイド枠に アクチュエ−タ−を垂直に支持した溶湯搬送装置本体と、上記アクチュエ−タ− の下端に支持した昇降枠にラドルを傾動自在に支持するリンク機構と、上記アク チュエ−タ−の昇降自在なカバ−と一体化され、上記リンク機構を回動するシリ ンダとから成り、上記リンク機構を、ラドル上部の連結板上にラドルの前後方向 に所定の間隔をおいて各々一端が枢着され、上記昇降枠から垂設の一対のブラケ ットに、ラドルの前後方向及び上下方向に所定の間隔をおいて各々他端が枢着さ れた一対の第１リンク及び第２のリンクと、上記第１リンクの他端と一端が固定 され、同リンクと共に一端が上記ブラケットに枢着されてラドルの前方側へ延出 され、その他端が、上記シリンダのロッドと連結杆により回動自在に連結されて いる一対の第３のリンクとから構成したことを特徴とする。

【００１０】

【作用】

溶湯搬送装置本体は、天井走行トロリ−（図示せず）に結着され、該トロリ− により集中溶解炉（反射炉、電気炉）の溶湯汲出口の上方部位まで移動させ、そ の部位に停止させる。 シリンダを始動すると、そのロッドが上昇し、これに連結の連結杆が引上げら れることにより第３リンクは、その一端のブラケットとの枢着部を支点として上 方へ回動される。 これによって第３リンク一端と固定の第１リンクは、ブラケットとの枢着部を 支点として第３リンクと共に同一方向に回動されるが、該第１リンク一端はラド ル上部の連結板上に枢着されているため、ラドルは吐出口が設けてある前方側へ 押圧される。

【００１１】 ラドルの上部前方部位と、ブラケットの前方下部は第２リンクにより連結され ているため、第１リンクによって前方へ押圧されることでラドルは前方に横転さ れる。 この状態で、アクチュエ−タ−により、カバ−、シリンダ、昇降枠、リンク機 構、ラドルを降下させ、該ラドルを、集中溶解炉の溶湯汲出口から静かに降下さ せ溶湯内に浸漬する。

【００１２】 次いで、シリンダにより連結杆を降下させて元の位置に戻すと、ラドルは溶湯 を汲取って正常位に復元する。次いで、アクチュエ−タ−により、カバ−、シリ ンダ、昇降杆、リンク機構と共にラドルを炉外まで上昇させる。

【００１３】 次いで、天井走行トロリ−により所定のダイカストマシンの保持炉まで搬送し たならば、上述したと同様にシリンダにより連結杆を介して第３リンク及び第１ リンクを回動させ、ラドルを前方側へ徐々に傾斜させながら、ラドル内の溶湯を 吐出口から上記保持炉に付設の樋（図示せず）に流出させ保持炉に配湯する。

【００１４】 ラドルを正常位に戻しながら配湯して炉外に持ち出す際、その吐出口は、略直 線的に上昇すると共に、ラドル後壁も後方へ突出することはないので、吐出口及 び後壁が炉壁に当ることはない。従って、集中溶解炉の小さい汲出口でも溶湯の 汲取りが可能となる。 また、ダイカストマシンの保持炉の樋に溶湯を流出する場合もラドルの吐出口 は略直線的に降下するので、溶湯が樋外に垂れることはないから、溶湯の垂れを 阻止するためにラドルを移動する無駄な手間がかゝらない。

【００１５】

【実施例】

以下、本考案の実施例について図面を参照して説明する。 図１ないし図６に示したように、ガイド枠１にアクチュエ−タ−２が垂直に支 持されてなる溶湯搬送装置本体Ａと、上記アクチュエ−タ−２の下端に支持され た昇降枠Ｂと、該昇降枠ＢにラドルＣを傾動自在に懸垂するリンク機構Ｄと、該 リンク機構Ｄを回動するシリンダＥとから構成されている。

【００１６】 上記ガイド枠１は、平面方形の天蓋３及び保持板４間に４本のガイドロッド５ 、５、５、５が図において前後、左右方向へ所定の間隔をおいて垂直に螺着され て一体に枠組み形成され、上記天蓋３が天井走行トロリ−（図示せず）に結着さ れることで、当該ガイド枠１は後述の集中溶解炉とダイカストマシンの保持炉（ 図示せず）間を移動するよう天井走行トロリ−に懸垂される。

【００１７】 上記天蓋３の裏面中央部に螺着した軸受６には、上記したアクチュエ−タ−２ の上端のクレビス７が軸支され、該アクチュエ−タ−２の下端のクレビス８と、 前記した昇降枠Ｂにおける底板９上に溶着した軸受１０とが枢着されている。 上記アクチュエ−タ−２は、方形筒状のカバ−１１によって覆われている。

【００１８】 上記カバ−１１は、上記ガイド枠Ａの保持板４の中央部に穿設した貫通孔（図 示せず）に上下方向へ摺動自在に挿通され、その上端は、上記した各ガイドロッ ド５・・・に摺動自在に外装した４個のスリ−ブ１２・・・を連結する２枚の側 板１３、１３に固定され、その下端は、昇降枠Ｂの底板９に固定され、これによ って、アクチュエ−タ−２の伸縮動作により、昇降枠Ｂ、カバ−１１、スリ−ブ １２・・・、側板１３、１３がガイド枠１に沿って一体に昇降される。

【００１９】 上記昇降枠Ｂは、底板９と隔板１４を上下方向に所定の間隔をおいてボルト１ ５・・・、ナット１６・・・により固定して一体に枠組み形成されている。 上記隔板１４の裏面には、二枚で一対のブラケット１７、１７が、左右方向（ 図２において左右方向）に所定の間隔をおいて、かつラドルＣの前後方向（図１ において左右方向）に長く前方へ傾斜下降して垂設させてある。

【００２０】 上記シリンダＥの外筒１８の略中央部はトラニオン１９に固着され、該トラニ オン１９が、上記した側板１３、１３に溶着の当板２０に揺動自在に軸支され、 これによって、当該シリンダＥは、上記ラドルＣの吐出口２１の上方部位におい てラドルＣの前後方向（図１において左右方向）に揺動自在に吊持されている。

【００２１】 上記シリンダＥのロッド（図示せず）の先端のクレビス２２には締着金具２３ が回動自在に枢着され、該締着金具２３には、リンク機構Ｄを回動自在に連結す るための連結杆２４が軸方向（図１、図２において上下方向）へ調節自在に締着 されている。

【００２２】 上記リンク機構Ｄは、図２、図３に明示したように、各々二個で一対の第１リ ンク２５、２５と、第２リンク２６、２６と、第３リンク２７、２７とから構成 されている。 即ち、上記一対の第１リンク２５、２５及び第２リンク２６、２６は各々２本 のステ−ボルト２８、２８、２９、２９によって所定の間隔に固定一体化されて いる。

【００２３】 上記第１リンク２５、２５と第２リンク２６、２６の両端には各々ボス３０、 ３０、３１、３１が固着され、該第１リンク２５、２５及び第２リンク２６、２ ６の両端のボス３０、３０、３１、３１には各々軸３２、３２、３３、３３が貫 通した状態でピン３４・・・にて固定一体化され、その一端の軸３２、３３によ り、第１リンク２５、２５及び第２リンク２６、２６の一端は、ラドルＣ上部の 連結板３５上にあって、ラドルＣの前後方向に所定の間隔をおいて突設したブラ ケット３６、３７に回動自在に枢着され、カラ−３８によりリンク２５、２５、 ２６、２６の移動や離脱が防止されている。

【００２４】 また、第１リンク２５、２５及び第２リンク２６、２６の他端は、その他端の 軸３２、３３により、前記したブラケット１７、１７に、ラドルＣの前後方向及 び上下方向に所定の間隔をおいて回動自在に枢着され、カラ−３９・・・により リンク２５、２５、２６、２６の移動、離脱が阻止されている。 即ち、図３に明示されている如く、ブラケット１７、１７に対する第１、第２ 両リンク２５、２５、２６、２６の他端の枢着点間の間隔は、これらリンク２５ 、２５、２６、２６の上記した連結板３５に対する枢着点間の間隔よりも広く設 定してあると共に、連結板３５との枢着点よりもブラケット１７、１７との枢着 点がラドルＣの前方側に位置するように設定してある。

【００２５】 一対の第３リンク２７、２７の一端にはボス４０、４０が固着させてあり、そ の軸孔（図示せず）に上記した軸３２、３２を貫通してピン（図示せず）にて固 定され、これによって、第１リンク２５、２５の他端と、第３リンク２７、２７ の一端とが固定されて上記ブラケット１７、１７に一体的に回動自在に枢着され ている。

【００２６】 第３リンク２７、２７の他端は、ラドルＣの上方部位にあって、当該ラドルＣ の前方側へ延出されている。 このリンク２７、２７の他端にもボス４１、４１が各々固着され、それらの軸 孔４１ａ、４１ａにロッド４２が回動自在に挿通され、該ロッド４２に固定した カラ−４３・・・により、リンク２７、２７の移動が阻止されている。

【００２７】 上記ロッド４２の中間部にはセットピ−ス４４が止めねじ４５・・・にて固定 して外装され、該セットピ−ス４４に前記した連結杆２４が螺着され、これによ って、当該リンク機構Ｂは前記したシリンダＥに連結される。

【００２８】 前記した連結板３５は、ラドルＣの左右の側壁の上部略中間部にねじ４６・・ ・にて固定した取付金具４７、４７に固着されている。

【００２９】 而して、溶湯搬送装置本体Ａを天井走行トロリ−（図示せず）に結着して吊持 した状態で、シリンダＥを始動すると、ねじ部（図示せず）に螺着のロッド（図 示せず）が上昇し、先端のクレビス２２及び連結杆２４は引き上げられ、図５及 び図６に示すリンクモ−ションにより、ラドルＣは前方に横転する。 この状態で、アクチュエ−タ−２を伸長させ、ラドルＣを図５に示した如く、 集中溶解炉Ｆの汲出口４８から静かに降下させ、溶湯４９内に浸漬した後、シリ ンダＥにより連結杆２４を押下げて元に戻すと、ラドルＣは溶湯４９を汲取って 正常位（図３に実線で示す状態）に復帰し、アクチュエ−タ−２の縮小により、 ラドルＣは炉外に持出される。

【００３０】 天井走行トロリ−によってダイカストマシンの保持炉まで搬送した後は、シリ ンダＥによってラドルＣを図７に示したように前方へ徐々に傾斜させ、溶湯４９ を保持炉の樋５０に流出させ、保持炉に給湯する。

【００３１】

【考案の効果】

本考案は、以上説明したように構成されているので、シリンダＥにより連結杆 ２４を介して第３リンク２７、２７の他端を上方または下方へ回動することによ り、該第３リンク２７、２７の一端と他端を固定してブラケット１７、１７の後 部側へ枢着した第１リンク２５、２５と、ブラケット１７、１７の前端部とラド ルＣの中央前方部位を枢着により連結した第２リンク２６、２６とから成るリン ク機構Ｄ特有のリンクモ−ションによって、ラドルＣは、その吐出口２１が直線 的に昇降し、また後壁も外側へ突出することなく傾動されることゝなって、当該 ラドルＣの傾動時における振り幅を極めて小さくすることができるので、集中溶 解炉Ｆの小さい汲出口から溶湯の汲取りが可能となり、その汲出口からの放熱損 失が少なく、省エネルギ−効果が大きい。 また、ダイカストマシンの保持炉に付設の樋５０に溶湯を流出する際、ラドル Ｃを傾斜させても吐出口２１は直線的に降下するため、溶湯が樋５０外に垂れる ことなく流出できるため、ラドルＣの傾斜角度に応じて、当該ラドルを移動させ るといった無駄な手間を省くことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る配湯用ラドルの傾斜機構の実施例
を示した一部断面した状態の側面図である。

【図２】図１に示した実施例の一部切欠した状態の正面
図である。

【図３】図１に示した実施例のリンク機構を示した拡大
側面図である。

【図４】図１に示した実施例の一部断面した拡大正面図
である。

【図５】図１に示した実施例の集中溶解炉の溶湯汲出口
からラドルにて溶湯を汲取る状態を一部断面して示した
側面図である。

【図６】図１に示した実施例のラドルを前方へ横転した
状態を示した側面図である。

【図７】図１に示した実施例のラドルからダイカストマ
シンの保持炉に付設の樋に溶湯を流出する状態を示す説
明図である。

【図８】従来の配湯用ラドルの傾斜機構を示した斜視図
である。

【図９】図８に示したラドル傾斜機構のラドル傾斜状態
を示す説明図である。

【符号の説明】

Ａ 溶湯搬送装置本体 Ｂ 昇降枠 Ｃ ラドル Ｄ リンク機構 Ｅ シリンダ １ ガイド枠 ２ アクチュエ−タ− １１ カバ− １７、１７ ブラケット ２４ 連結杆 ２５、２５ 一対の第１リンク ２６、２６ 一対の第２リンク ２７、２７ 一対の第３リンク ３５ 連結板

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ガイド枠にアクチュエ−タ−を垂直に支
   持した溶湯搬送装置本体と、上記アクチュエ−タ−の下
   端に支持した昇降枠にラドルを傾動自在に支持するリン
   ク機構と、上記アクチュエ−タ−の昇降自在なカバ−と
   一体化され、上記リンク機構を回動するシリンダとから
   成り、上記リンク機構を、ラドル上部の連結板上にラド
   ルの前後方向に所定の間隔をおいて各々一端が枢着さ
   れ、上記昇降枠から垂設の一対のブラケットに、ラドル
   の前後方向及び上下方向に所定の間隔をおいて各々他端
   が枢着された一対の第１リンク及び第２のリンクと、上
   記第１リンクの他端と一端が固定され、同リンクと共に
   一端が上記ブラケットに枢着されてラドルの前方側へ延
   出され、その他端が、上記シリンダのロッドと連結杆に
   より回動自在に連結されている一対の第３のリンクとか
   ら構成したことを特徴とする配湯用ラドルの傾斜機構。