JPH05339424A - ゴム組成物 - Google Patents

ゴム組成物

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JPH05339424A
JPH05339424A JP4147278A JP14727892A JPH05339424A JP H05339424 A JPH05339424 A JP H05339424A JP 4147278 A JP4147278 A JP 4147278A JP 14727892 A JP14727892 A JP 14727892A JP H05339424 A JPH05339424 A JP H05339424A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ゴム組成物において、グリップ力に加えて、
発熱性および耐摩耗性を改善する。 【構成】 (i)スチレン量20〜40重量%およびブ
タジエン部分のビニル量30〜60重量%を有する溶液
重合により得られたスチレンブタジエン共重合体ゴム
(A)70〜90重量%およびポリブタジエンゴム(B)1
0〜30重量%からなるゴム成分および(ii)該ゴム成分
100重量部に対し0.75〜1.75重量部の加硫剤を
含有し、アセトン溶媒下ソックスレー抽出器によって2
4時間抽出した場合のアセトン抽出量が、全ゴム組成物
の20〜26重量%であるゴム組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はゴム組成物、さらに詳し
くはタイヤトレッド用ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年乗用車が高性能化され、エンジン出
力の向上、車体重量の軽減により、発進加速、旋回性等
についてめざましい進歩が成し遂げられている。
【0003】このような車の運動性能の向上に伴い、車
の出力を路面に伝えるタイヤにおいても高い操縦安定性
が要求されている。さらに、最近の環境保護や省エネル
ギー化に伴い、タイヤの転がり抵抗の低減(低発熱化)、
高い耐摩耗性についても要求されている。
【0004】操縦安定性を確保するため、高いエネルギ
ーロス特性を示すトレッド部分のグリップ力を高めるこ
とが必要であり、これまで種々の改良検討が行なわれて
いる。
【0005】トレッド素材としてのゴムのグリップ力を
高めるため、従来から行なわれている方法としては、高
補強性カーボンブラック等を高充填し、可塑剤によって
硬度、モジュラス調整する方法が挙げられるが、自己発
熱性が高くなって転がり抵抗や走行中の硬度変化によっ
て剛性が低下し、また、過度の可塑剤の添加は耐摩耗性
を極端に低下させる。
【0006】発熱性および耐摩耗性の改良のため、トレ
ッド素材としてのゴムの分子量を大きくする方法がある
が、加工性が悪化するという問題を生じ、自ずから限界
がある。
【0007】このように、タイヤトレッド素材のグリッ
プ力と発熱性および耐摩耗性は、これまでに知られてい
るゴム素材を用いても、一方が改良されれば他方が損な
われるという二律背反の関係にあり、両者を共に改良す
ることは困難と考えられていた。
【0008】
【本発明が解決しようとする課題】本発明者らは、これ
らの問題点を解消するために、鋭意研究を重ねた。その
結果、スチレンブタジエン共重合体ゴム(A)およびポリ
ブタジエンゴム(B)を特定の割合で配合し、かつアセト
ン抽出量を限定することにより、その目的が達成できる
ことを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、(i)スチレン
量20〜40重量%およびブタジエン部分のビニル量3
0〜60重量%を有する溶液重合により得られたスチレ
ンブタジエン共重合体ゴム(A)70〜90重量%および
ポリブタジエンゴム(B)10〜30重量%からなるゴム
成分および(ii)該ゴム成分100重量部に対し0.75
〜1.75重量部の加硫剤を含有し、アセトン溶媒下ソ
ックスレー抽出器によって24時間抽出した場合のアセ
トン抽出量が、全ゴム組成物の20〜26重量%である
ゴム組成物を提供するものである。
【0010】本発明によれば、前記成分を組み合わせる
ことにより、適度な硬度、モジュラス等の物性値を保持
すると共に、高いグリップ力、低発熱性および耐摩耗性
を有するゴム組成物が得られる。
【0011】本発明に用いる共重合体ゴム(A)は、スチ
レンとブタジエンを溶液重合することによって製造さ
れ、結合スチレン量が15〜40重量%、好ましくは2
5〜40重量%、ブタジエンのビニル量が30〜60重
量%、好ましくは40〜60重量%であるような組成を
有するスチレンブタジエン共重合体である。
【0012】結合スチレン量が15重量%未満では、高
ヒステリシスロス性(グリップ力)および実用的な強度が
不十分となり、40重量%を超えると、ガラス転移点が
上がりすぎて温度依存性が強くなり、また、発熱性およ
び転がり抵抗が増加するため好ましくない。
【0013】ブタジエン部分のビニル量が30重量%未
満では、高ヒステリシスロス性が不十分である。また、
結合スチレン量に比べてブタジエン部分のビニル量は多
い方が発熱性においては有利であるが、60重量%を超
えると、強度的に不十分であり、耐摩耗性や耐トレッド
グルーブクラッキング性に劣る。
【0014】本発明においては、耐摩耗性および低温時
の特性改善のため、前記スチレンブタジエン共重合体ゴ
ム(A)70〜90重量%に対して、ポリブタジエンゴム
(B)を10〜30重量%混合してゴム成分とする。
【0015】成分(B)の混合比率が10重量%未満で
は、耐摩耗性および低温特性の改善が不十分であり、3
0重量%を越えると高ヒステリシスロス性が不十分とな
り、特に塗れた路面でのグリップ力が低下し、好ましく
ない。
【0016】本発明のゴム組成物には、加工性および加
硫ゴムの硬度を適性化するために可塑剤を配合する。
【0017】可塑剤は、アセトンの溶媒下でゴム組成物
をソクスレー抽出器で24時間抽出したアセトン抽出量
が全ゴム組成物の20〜26重量%となるように配合す
る。可塑剤は従来、ポリマー用の可塑剤として公知のも
のが使用できる。
【0018】前記アセトン抽出量が20重量%未満で
は、適性な硬度を得るためには充填材料の量を少なくす
る必要があり、その結果、高ヒステリシスロス性が不十
分となる。一方、アセトン抽出量が26重量%を超える
と、充填剤の配合に伴う高ヒステリシスロス性の増加に
比べて耐摩耗性が急激に低下し、実用性に劣る。
【0019】本発明のゴム組成物には、さらに硫黄等の
加硫剤および必要に応じて加硫促進剤を配合する。加硫
剤の配合量は、ゴム成分100重量部に対して、0.7
5重量部〜1.75重量部であり、この範囲で高ヒステ
リシスロス性および耐摩耗性のバランスが最も良いこと
が判明した。
【0020】加硫剤の配合量が0.75重量部未満では
十分な硬度が得られず、また、高ビニルのSBRを主成
分とするため主鎖の二重結合が少なく、加硫速度が極端
に遅くなるため実用性に劣る。配合量が1.75重量部
を超えると、耐摩耗性および耐機械的疲労性が低下す
る。
【0021】加硫促進剤の例としては、促進剤M等チア
ゾール系、促進剤CZ、促進剤NS等のスルフェンアミ
ド系の促進剤が例示される。加硫促進剤はゴム成分10
0重量部に対し、1.00〜4.00重量部、好ましくは
1.00〜3.00重量部配合される。1.00重量部よ
り少ないと、加硫速度が遅く、十分な硬度が得られず実
用的でない欠点を有し、4.00重量部を超えると架橋
密度が高くなり、屈折疲労性が劣り、耐摩耗性も悪くな
る欠点を有する。
【0022】本発明のゴム組成物には、通常充填剤とし
てカーボンブラックや亜鉛華、ステアリン酸を配合し更
に添加剤としてオイル、老化防止剤、ワックス等を配合
してもよい。
【0023】カーボンブラックは、例えば昭和キャボッ
ト社、三菱化成社、東海カーボン社から市販のHAF、
ISAF、SAFなどヨウ素吸着量で80mg/g以上の
ものが使用できる。ヨウ素吸着量が80mg/gより小さ
いカーボンでは補強性不足で耐摩耗性がなく、また実用
上十分なグリップ性能が得られない。このカーボンの添
加量としては50〜150重量部(ゴム100重量部に
対する重量部)である。50重量部より少ないと補強性
不足となり、耐摩耗性、グリップ性能が不十分であり、
150重量部を超えるとゴムの発熱が大となり、転がり
抵抗も大きくなるため好ましくは、70〜120重量部
である。
【0024】オイルはアロマチックオイルが好適であ
り、ゴム成分100重量部に対し20〜100重量部、
好ましくは40〜70重量部である。20重量部より少
ない場合は加硫ゴムの硬度が高くなりすぎ、トレッドと
して実用的でなくなり、100重量部を超えると加硫前
のゴムの粘度が低くなりすぎるため加工上の問題が生じ
る。
【0025】得られたゴム組成物を押出機等により混練
した後、所定形状にし、タイヤの他の構成ゴム成分と共
に型内で加硫成形することによりタイヤが得られる。加
硫条件は公知である。
【0026】つぎに、実施例および比較例を挙げて本発
明をさらに詳しく説明する。 実施例1〜3および比較例1〜8 表1に示すスチレンブタジエン共重合体ゴムを用い、表
2に示す処方に従って、常法によりゴム組成物を調製
し、これを押出、成形してタイヤ(タイヤサイズ:225
/50R16)を得た。これらを用いてつぎの項目につ
いて評価した。すべてのテストは内圧2.5Kgf/cm2
行った。結果を表3に示す。
【0027】(評価方法)試験サンプルの評価はつぎの方
法で行った。 (1)旋回性能テスト:半径50メートルのアスファルト
路面を3000cc級乗用車で旋回走行した時のフーリン
グを5段階で表した。なお、数字は大きいほど良好であ
る。 (2)ブレーキ制動性能テスト:アスファルト路面を30
00cc級乗用車で時速40Km/hから20Km/hに減速
する際の時間から減速度を算出し、実施例2のタイヤを
100とした時の指数に換算した。指数は大きい方が良
好である。なお、旋回性能テストおよびブレーキ制動性
能テストに使用した路面はスキッドNo.が約50のアス
ファルト路面(湿潤状態)を用いた。 (3)転がり抵抗テスト:転がり抵抗試験機を用い、時速
80Km/h、荷重350Kgfで転がり抵抗を測定し、実
施例2のタイヤを100とした時の指数で換算した。指
数は小さい方が良好である。 (4)摩耗テスト:3000cc級乗用車を用い、摩耗試験
コースにおいて、10000Km走行後の摩耗量を測定
し、実施例2のタイヤを100とした時の指数に換算し
た。指数は大きい方が良好である。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】表3から明らかなように、実施例1〜3は
比較例1〜8に比べてグリップ性、転がり抵抗、耐摩耗
性についてバランスが優れている。
【0032】結合スチレン量が多く、ブタジエン部のビ
ニル量の少ない乳化重合SBRを用いた比較例1のタイ
ヤは転がり抵抗に劣っている。また、結合スチレン量の
多い比較例2は転がり抵抗と耐摩耗性に劣り、ビニル量
の多い比較例3は耐摩耗性に劣る。
【0033】結合スチレン量の少ない比較例4やビニル
量の少ない比較例5はグリップ性に劣る。ポリブタジエ
ンゴム(PBR)の配合量の少ない比較例6および7は、
耐摩耗性が実施例2より劣っており、PBRの配合量を
多くした比較例8は耐摩耗性が良好であるが湿潤路での
グリップが極端に低下している。
【0034】実施例4〜6および比較例9および10 表1スチレンブタジエン共重合体ゴム(g)を用い、表4
に示す処方に従って表5のサンプルを調製し、アセトン
抽出量を変更した場合のタイヤ性能をテストした。表5
に示したアセトン抽出量は、アセトンの溶媒下でゴム組
成物をソックスレー抽出器で24時間抽出した抽出量の
全ゴム組成物に占める割合である。得られたゴム組成物
を用いて前記実施例と同様のタイヤを製作し、前記テス
ト(1)〜(4)に加えて以下のテストを行った。 限界Gテスト:3000cc級乗用車を用い、半径50メ
ートルの乾燥アスファルト路面を旋回走行した時の最大
旋回横Gを計測した。
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】表5から明らかなように、アセトン抽出量
が20重量%より少ない比較例9は旋回性能および制動
性能共に劣っており、絶対的なグリップが不足してい
る。実施例4〜6では、アセトン抽出量が増加するにつ
れてグリップ性能が増加し、転がり抵抗および耐摩耗性
が低下する傾向にあるが、比較例10のようにアセトン
抽出量が26%を越える量を配合してもグリップの大幅
な向上は見られず、逆に耐摩耗性の低下が大きく、好ま
しくない。
【0038】実施例7および8並びに比較例11〜13 表1のスチレンブタジエン共重合体ゴム(g)を用い、表
6に示す処方に従って表7のサンプルを調製し、配合硫
黄量を変更した場合のタイヤ性能をテストした。表7に
示した硬度Hsは、JIS-Aの硬度計を用いて室温で測
定した加硫ゴム硬度である。得られたゴム組成物を用い
て前記実施例と同様のタイヤを製作し、前記テスト(1)
〜(4)を行った。
【0039】
【表6】
【0040】
【表7】
【0041】配合硫黄量が0.75phrより少ない比較例
11は適性な硬度が得られず、結果としてグリップ性能
および耐摩耗性共に劣っている。硫黄配合量を1.75p
hrより多くした比較例12および13は耐摩耗性が悪化
しており、さらに、比較例13はグリップ性能も悪化し
ている。実施例7および8は、グリップ性、転がり抵
抗、耐摩耗性についてバランスが優れていた。
【0042】
【発明の効果】以上述べたごとく、本発明によれば、適
度な硬度、モジュラス等の物性値を保持すると共に、高
いグリップ力、低発熱性および耐摩耗性を有するゴム組
成物が得られる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)スチレン量20〜40重量%および
    ブタジエン部分のビニル量30〜60重量%を有する溶
    液重合により得られたスチレンブタジエン共重合体ゴム
    (A)70〜90重量%およびポリブタジエンゴム(B)1
    0〜30重量%からなるゴム成分および(ii)該ゴム成分
    100重量部に対し0.75〜1.75重量部の加硫剤を
    含有し、アセトン溶媒下ソックスレー抽出器によって2
    4時間抽出した場合のアセトン抽出量が、全ゴム組成物
    の20〜26重量%であるゴム組成物。
  2. 【請求項2】 ヨウ素吸着量80mg/g以上のカーボン
    ブラックを50〜150重量部配合した請求項1のゴム
    組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載のゴム組成
    物を成形して得られたタイヤトレッド。
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