JPH05339387A - 架橋高分子薄膜の製造方法 - Google Patents

架橋高分子薄膜の製造方法

Info

Publication number
JPH05339387A
JPH05339387A JP17930192A JP17930192A JPH05339387A JP H05339387 A JPH05339387 A JP H05339387A JP 17930192 A JP17930192 A JP 17930192A JP 17930192 A JP17930192 A JP 17930192A JP H05339387 A JPH05339387 A JP H05339387A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
water
substrate
soluble
polyanion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP17930192A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3128782B2 (ja
Inventor
Hanshiyou Ri
範鍾 李
Yuuichi Arito
裕一 有戸
Toyoki Kunitake
豊喜 国武
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Research Development Corp of Japan
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Research Development Corp of Japan filed Critical Research Development Corp of Japan
Priority to JP04179301A priority Critical patent/JP3128782B2/ja
Publication of JPH05339387A publication Critical patent/JPH05339387A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3128782B2 publication Critical patent/JP3128782B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 使用可能なポリカチオン及びポリアニオンに
対する制約を緩和し、多孔質基板に対する被覆性が良好
であり、強度及び安定性に優れた架橋高分子薄膜を得
る。 【構成】 両親媒性物質,水溶性のポリアニオン及び水
溶性のポリカチオンからなるイオンコンプレックスを気
水界面で生成させ、イオンコンプレックスを基板上に移
し取った後、ポリアニオンとポリアニオンのイオンコン
プレックスとの間に共有結合による架橋を形成する。 【効果】 気水界面の薄膜は、高分子間でイオン架橋し
た安定な膜として基板上に移し取られるため、基板表面
の細孔に対する被覆性が優れ、多孔質基板であっても欠
陥のない皮膜が形成される。そして、ポリアニオンとポ
リカチオンとの間の塩決高を共有結合に変換するとき、
大きな強度をもち非常に安定した薄膜となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強度及び安定性に優れ
た架橋高分子薄膜を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】分子レベルで構造制御された有機質薄膜
を製造する方法として、LB法が知られている。LB法
においては、両親媒性物質を有機溶媒に溶解して展開液
を調製し、展開液を水等のサブフェーズ上に展開する。
両親媒性物質は、親水性基及び疎水性基をそれぞれ液相
側及び気相側に配向した分子集合体となり、気水界面に
単分子膜を形成する。この単分子膜をガラス板等の適宜
の基板上に移し取るとき、単分子膜単位で積層された薄
膜が形成される。なお、本願明細書においては、単分子
膜及び累積膜の両者を包含する意味で「薄膜」を使用し
ている。
【0003】両親媒性物質の代表的なものに、長鎖アル
キルカルボン酸がある。しかし、長鎖アルキルカルボン
酸から作製された有機質薄膜は、十分な強度をもたな
い。たとえば、有機溶媒に浸漬した場合に膜構造が乱れ
易く、薄膜の安定性に問題がある。
【0004】薄膜の強度を改善するため、重合性をもっ
た両親媒性物質として高分子化合物を使用し、気水界面
で予め重合させた後で基板に移し取る方法[R.R.M
cCaffery他 J.Polym.Phys.Ed
23 1523(1985)],単量体のままで基板
に移し取り、基板上で重合反応を行わせる方法[A.C
emel他 J.Polym.Sci.A−1 10
2061(1972)]等によって、薄膜をポリマー化
すると共に安定化させることが提案されている。また、
両親媒性の高分子化合物を使用することにより強度の高
い薄膜を作製する方法[R.Elbert他 J.A
m.Chem.Soc.107 4134(198
5)]や、両親媒性の3級アミンとポリアニオンとのイ
オンコンプレックスを累積する方法[Masa−aki
KAKIMOTO他 Chem.Lett.,823
(1986)]も知られている。
【0005】更には、不飽和結合を有する両親媒性ポリ
マーを水面上に展開した後、ポリマーを架橋し累積する
方法によっても、強度が高い薄膜が作製することが報告
されている[R.JIONES他 Thin Soli
d Films,186(1990)]。
【0006】本発明者等も、親水部にカチオン性又はア
ニオン性の基をもつ両親媒性高分子とアニオン性又はカ
チオン性の水溶性高分子との間でポリイオンコンプレッ
クスを形成させ、二次元的に塩架橋した高分子薄膜を作
製する方法を紹介した[国武豊喜他 Macromol
ecules 22 485(1984)]。また、親
水部にアニオン性の基をもつ両親媒性高分子とカチオン
性の水溶性高分子を使用して高分子間のポリイオンコン
プレックスを形成させ、二次元的に塩架橋し累積した後
で、ポリマー間に共有結合による架橋を形成することに
より、薄膜を安定化することも紹介した[国武豊喜他
Chem.Lett.,1927(1990)]。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】重合性の両親媒性物質
を使用して気水界面で予め重合させた後で二分子膜を基
板に移し取る方法,単量体のままで基板に移し取った二
分子膜を基板上で重合させる方法,両親媒性の高分子化
合物を累積する方法,両親媒性の3級アミンとポリアニ
オンとのイオンコンプレックスを累積する方法等では、
得られた薄膜は何れも線状高分子であり、依然として十
分な強度をもたない。そのため、数μm径の多孔質基板
に薄膜を移し取るとき、基板上の細孔を薄膜で覆うこと
ができない。或いは、細孔が薄膜で覆われたとしても、
溶媒浸漬時に膜構造の保持が十分でないため、移し取ら
れた薄膜を溶媒に浸漬すると欠陥が発生してしまう。
【0008】他方、不飽和結合を有する両親媒性ポリマ
ーを気水界面に展開した後でポリマーを架橋し累積する
方法,両親媒性高分子と水溶性高分子との間でポリイオ
ンコンプレックスを形成する方法等で作製された薄膜
や、更に共有結合で架橋された薄膜は、多孔質基板に対
する被覆性に優れ、溶媒浸漬時のバリヤ性等においても
優れた性質を呈する。しかし、ポリイオンコンプレック
スを形成する系では、ポリカチオン又はポリアニオンの
何れか一方が疎水性部位と親水性部位とを併せ持つ両親
媒性ポリマーであることが必要とされる。また、両親媒
性ポリマーを気水界面に展開した後、ポリマーを架橋し
累積する方法では、ポリマーが両親媒性であることは勿
論、更に不飽和結合を持たなければならない等の理由か
ら、薄膜を形成できるポリマーが非常に限られてしま
う。
【0009】本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、水溶性のポリカチオン及びポリア
ニオンとは別個に両親媒性物質を使用することにより、
使用可能なポリカチオン及びポリアニオンに対する制約
を緩和し、多孔質基板に対する被覆性が良好であり、強
度及び安定性に優れた架橋高分子薄膜を得ることを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の架橋高分子薄膜
製造方法は、その目的を達成するため、両親媒性物質,
水溶性のポリアニオン及び水溶性のポリカチオンからな
るイオンコンプレックスを気水界面で生成させ、前記イ
オンコンプレックスを基板上に移し取った後、イオンコ
ンプレックスを構成する前記ポリアニオンと前記ポリカ
チオンとの間に共有結合による架橋を形成することを特
徴とする。
【0011】両親媒性物質,水溶性ポリアニオン及び水
溶性ポリカチオンとして、それぞれ長鎖アルキル基を持
つ3級アミン,カルボキシル基を有するポリアニオン及
び1級又は2級アミンを有するポリカチオンを使用する
とき、ポリイオンコンプレックスを累積させた後、加熱
処理によって両親媒性物質を除去する。そして、カルボ
ン酸とアミンとの縮合反応を行わせることにより、二次
元的に架橋した高分子薄膜が得られる。
【0012】
【作 用】本発明においては、両親媒性物質,水溶性ポ
リアニオン及び水溶性ポリカチオンからなるポリイオン
コンプレックスが気水界面に形成される。このポリイオ
ンコンプレックスを基板に移し取り、ポリアニオンとポ
リカチオンとの間に共有結合による架橋を形成する。得
られた薄膜は、基板上で共有結合によって二次元的に架
橋した構造をもっており、非常に安定したものとなる。
また、気水界面の薄膜は、高分子間でイオン架橋した安
定な膜として基板上に移し取られるため、基板表面の細
孔に対する被覆性が優れ、多孔質基板であっても欠陥の
ない皮膜が形成される。
【0013】両親媒性物質の使用は、水溶性ポリアニオ
ンと水溶性ポリカチオンからなるポリイオンコンプレッ
クスを気水界面で安定させる。そのため、両親媒性高分
子と水溶性高分子との間でポリイオンコンプレックスを
形成させる方法では使用することができなかったポリマ
ーから薄膜を作製することが可能となる。
【0014】本発明で使用される両親媒性物質は、配向
性に優れた疎水鎖とアニオン性又はカチオン性の親水部
をもつ。たとえば、疎水鎖としては炭素数10以上のア
ルキル鎖が1本又は2本以上持つものがあり、カチオン
性の親水部としては1級,2級又は3級アミン等があ
り、アニオン性の親水部としてはカルボキシル基,スル
ホン基及び燐酸基等がある。
【0015】このような両親媒性物質として、次の構造
式(1)〜(4)で示されるものがある。ただし、式中
のR1 は、アルキル鎖,フルオロカーボン鎖等の疎水性
基を含むものであり、両親媒性物質が気水界面に安定な
膜を形成する限り、エーテル結合,エステル結合,アミ
ノ結合等の結合を含んでいても良い。また、R1 は、こ
れらの結合を介して、2本以上のアルキル鎖又はフルオ
ロカーボン鎖をもつことができる。更に、両親媒性物質
は、気水界面に安定な膜を形成する限り、塩の状態であ
っても良い。なお、R2 及びR3 は、水素又はメチル基
を示す。
【化1】
【0016】また、次式の両親媒性物質も使用可能であ
る。
【化2】
【0017】水溶性ポリアニオンには、側鎖にカルボキ
シル基等のアニオン性基をもつものが使用される。たと
えば、次式(5)〜(7)に示す構造をもつ水溶性ポリ
アニオンが掲げられる。ただし、式(5)〜(7)中の
1 は、水素,フェニル基,アルコキシル基又はアルキ
ル基である。また、m及びnは個々の基の分率(%)を
示し、nはn+m=1の条件を満たす0以上の数値であ
る。
【化3】
【0018】水溶性ポリカチオンとしては、側鎖に1級
アミン,2級アミン等のカチオン性基をもち、イオンコ
ンプレックスを形成した状態で水に可溶なものが使用さ
れる。具体的には、ポリビニルアミン,ポリエチレンイ
ミン,ポリアリルアミン等がある。
【0019】両親媒性物質,水溶性ポリアニオン及び水
溶性ポリカチオンからなるポリイオンコンプレックス
は、カチオン性の両親媒性物質を使用する場合、両親媒
性物質及びアニオン性の水溶性高分子を含む有機溶媒溶
液を調製し、カチオン性の水溶性高分子を含む水溶液上
に有機溶媒溶液を展開することにより、気水界面に形成
される。また、アニオン性の両親媒性物質を使用する場
合、両親媒性物質及びカチオン性の水溶性高分子を含む
有機溶媒溶液を調製し、アニオン性の水溶性高分子を含
む水溶液上に有機溶媒溶液を展開する。
【0020】気水界面に形成されたポリイオンコンプレ
ックスの単分子膜は、適宜の方法で基板に移し取られ
る。移し取りには、LB法として知られている種々の方
法を採用することができる。これによって、基板表面に
1層又は2層以上の単分子膜が積み重ねられた累積膜が
得られる。
【0021】両親媒性物質,水溶性ポリアニオン及び水
溶性ポリカチオンとしてそれぞれ長鎖アルキル基を持つ
3級アミン,カルボキシル基を有するポリアニオン及び
1級又は2級アミンを有するポリカチオンを使用すると
き、基板に移し取った薄膜を加熱することにより両親媒
性物質を除去する。そして、カルボン酸とアミンとの縮
合反応を行わせ、アミド結合,イミド結合等によって二
次元的に架橋した高分子薄膜に変換することができる。
また、この変換は、カルボジイミド等の縮合剤を含む溶
液に薄膜を浸漬することによっても行うことができる。
【0022】
【実施例】
実施例1:次式(8)の構造をもつ両親媒性物質を使用
し、次式(9)の構造をもつ市販のポリマーを精製した
ものを水溶性ポリアニオンとして使用した。また、水溶
性ポリカチオンとしては、市販のポリアリルアミン塩酸
塩を中和した式(10)の構造をもつものを使用した。
【化4】
【0023】テトラヒドロフランとジメチルスルフォキ
シドとを7:3の割合で混合した溶媒に、両親媒性物質
(8)及び水溶性ポリアニオン(9)を溶解して展開液
を調製した。水溶性ポリアニオン(9)と両親媒性物質
(8)との比率は、水溶性ポリアニオン(9)の繰返し
単位一つに対して両親媒性物質(8)が1分子となるよ
うに設定した。展開液を、水溶性ポリカチオン(10)
を11.4mg/lの割合で含む水溶液上に展開し、気
水界面にイオンコンプレックスを形成した。
【0024】図1は、形成されたイオンコンプレックス
薄膜の表面圧−占有面積曲線(π−A曲線)を示す。図
1から明らかなように、約0.5nm2 /繰返し単位以
上の領域で表面圧が急激に立ち上がっており、気水界面
に単分子膜が形成されていることが判る。
【0025】次いで、垂直累積法によって表面圧30m
N/mでポリイオンコンプレックス薄膜をフッ化カルシ
ウム板,多孔質フルオロカーボン膜及びシリコンウエハ
ー上にそれぞれ移し取った。何れの基板を使用した場合
でも、基板が水溶液に浸漬される下降時及び水溶液から
引き上げられる上昇時の両工程で、基板表面に単分子膜
が累積され、Y型累積膜が得られた。
【0026】作製された薄膜中のカルボン酸と1級アミ
ンの塩を共有結合に変換するため、基板上に形成された
薄膜を減圧下で180℃に10時間加熱することにより
縮合反応を促進させた。フッ化カルシウム基板上に23
層累積した薄膜は、加熱処理の前後で図2に示すように
FT−IRスペクトルが異なっていた。すなわち、図2
から、加熱処理によってカルボキシル基と1級アミンと
のアンモニウム塩がイミド結合に変換され、1703c
-1に吸収が生じていることが確認される。なお、図2
の吸光度は、透過法で200回測定した結果を積算した
値である。
【0027】多孔質フルオロカーボン膜上に4層累積し
た薄膜を、加熱処理する前に走査型電子顕微鏡で薄膜を
観察したところ、図3に示す構造をもっていた。なお、
測定は、Pt−Pdスパッタリング処理を施した薄膜を
観察対象とした。図3から、基板に存在している細孔が
薄膜で完全に被覆されていることが判る。
【0028】多孔質フルオロカーボン膜上に6層累積し
た薄膜は、加熱処理後に図4に示す構造をもっていた。
図4からも、基板に存在している細孔が薄膜で完全に被
覆されていることが判る。シリコンウエハー上に累積し
た薄膜の膜厚を測定したところ、1層当りの膜厚は、加
熱処理前で44.9Å、加熱処理後で21.8Åであっ
た。
【0029】実施例2:構造式(11)の繰返し単位を
もつ水溶性ポリアニオンを使用し、水溶性ポリアニオン
(11)の繰返し単位2つに対し両親媒性物質(8)が
1分子となる割合で両親媒性物質(8)及び水溶性ポリ
アニオン(11)を含む展開液を調製した。この展開液
を、実施例1と同様に水溶性ポリカチオン(10)を含
む水溶液上に展開し、気水界面に形成されたポリイオン
コンプレックス薄膜をフルオロカーボン基板に移し取
り、基板表面に6層累積した薄膜を作製した。
【化5】 得られた薄膜は、加熱処理前の状態で図5に示す構造を
もっていた。この場合も、基板に存在している細孔は、
薄膜で完全に覆われていた。
【0030】実施例3:構造式(12)の繰返し単位を
もつ水溶性ポリアニオンを使用し、実施例1と同様に水
溶性ポリカチオン(10)を含む水溶液上に展開し、気
水界面に形成されたポリイオンコンプレックス薄膜をフ
ルオロカーボン基板に移し取り、基板表面に4層累積し
た薄膜を作製した。得られた薄膜は、加熱処理前の状態
で図6に示す構造をもっていた。この場合も、基板に存
在している細孔は、薄膜で完全に覆われていた。
【化6】
【0031】実施例4:構造式(13)の繰返し単位を
もつ水溶性ポリアニオンを使用し、実施例1と同様に水
溶性ポリカチオン(10)を含む水溶液上に展開し、気
水界面に形成されたポリイオンコンプレックス薄膜をフ
ルオロカーボン基板に移し取り、基板表面に4層累積し
た薄膜を作製した。得られた薄膜は、加熱処理前の状態
で図7に示す構造をもっていた。この場合も、基板の細
孔は、薄膜で完全に覆われていた。
【化7】
【0032】実施例5:構造式(14)の繰返し単位を
もつ水溶性ポリアニオンを使用し、実施例1と同様に気
水界面に形成されたポリイオンコンプレックス薄膜をフ
ルオロカーボン基板に移し取り、基板表面に6層累積し
た薄膜を作製した。得られた薄膜は、加熱処理前の状態
で図8に示す構造をもっていた。この場合も、基板の細
孔は、薄膜で完全に覆われていた。
【化8】
【0033】実施例6:構造式(15)の繰返し単位を
もつ水溶性ポリアニオンを使用し、実施例1と同様に気
水界面に形成されたポリイオンコンプレックス薄膜をフ
ルオロカーボン基板に移し取り、基板表面に4層累積し
た薄膜を作製した。得られた薄膜は、加熱処理前の状態
で図9に示す構造をもっていた。この場合も、基板の細
孔は、薄膜で完全に覆われていた。
【化9】
【0034】実施例7:構造式(16)をもつ両親媒性
物質を使用し、水溶性ポリカチオン(10)の繰返し単
位1つに対し両親媒性物質(16)が1分子となる割合
で、両親媒性物質(16)及び水溶性ポリカチオン(1
0)をイソプロピルアルコールとベンゼンの2:3混合
溶媒に溶解することにより展開液を調製した。水溶性ポ
リアニオン(9)を34.8mg/l含む水溶液に30
℃で展開液を展開し、気水界面にイオンコンプレックス
を形成した。
【化10】
【0035】気水界面に形成されたイオンコンプレック
ス薄膜を実施例1と同様にフルオロカーボン基板に移し
取り、基板上に6層累積した薄膜を作製した。得られた
薄膜は、加熱処理前の状態を走査型電子顕微鏡で観察し
たところ、図10に示す構造をもっていた。図10か
ら、基板表面の細孔が薄膜で完全に被覆されていること
が判る。
【0036】実施例8:構造式(17)をもつ両親媒性
物質を使用し、実施例7と同様に気水界面に形成された
イオンコンプレックス薄膜をフルオロカーボン基板に移
し取り、基板上に6層累積した薄膜を作製した。得られ
た薄膜は、加熱処理前の状態で図11に示す構造をもっ
ていた。図11から、基板表面の細孔が薄膜で完全に被
覆されていることが判る。また、この薄膜を減圧下で1
80℃に10時間加熱した後、クロロホルムに6時間浸
漬したとき、図12に示す構造をもつものとなった。こ
の加熱処理後の薄膜も、基板表面の細孔を完全に覆って
いた。
【化11】
【0037】実施例9:構造式(18)をもつ両親媒性
物質を使用し、水溶性ポリカチオン(10)の繰返し単
位15個に対し両親媒性物質(18)が1分子となる割
合で、両親媒性物質(16)及び水溶性ポリカチオン
(10)をイソプロピルアルコールとベンゼンの2:3
混合溶媒に溶解することにより展開液を調製した。
【化12】
【0038】展開液を実施例7と同様に水溶性ポリアニ
オン(9)を含む水溶液に30℃で展開し、気水界面に
形成されたイオンコンプレックス薄膜をフルオロカーボ
ン基板に移し取り、基板上に2層累積した薄膜を作製し
た。得られた薄膜を加熱処理した後、クロロホルムに6
時間浸漬した。加熱処理された薄膜は、図13に示す構
造をもっていた。図13から、基板表面の細孔が薄膜で
完全に被覆されていることが判る。
【0039】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、両親媒性物質の分子集合体が形成する反応場を利用
して水溶性ポリアニオンと水溶性ポリカチオンとのイオ
ンコンプレックスを気水界面に形成し、このイオンコン
プレックスを基板上に移し取った後で共有結合による架
橋を形成することにより、強度及び安定性に優れた架橋
高分子薄膜を製造している。この方法によるとき、使用
可能な水溶性ポリアニオンと水溶性ポリカチオンに対す
る制約が緩和され、種々の要求に応じた機能を備えた薄
膜を作製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で気水界面に形成されたイオンコン
プレックス薄膜の表面圧−分子占有面積曲線
【図2】 実施例1で作製された薄膜の加熱処理前後の
FT−IRスペクトル
【図3】 実施例1で作製された加熱処理前の薄膜の構
【図4】 実施例1で作製された加熱処理後の薄膜の構
【図5】 実施例2で作製された加熱処理前の薄膜の構
【図6】 実施例3で作製された加熱処理前の薄膜の構
【図7】 実施例4で作製された加熱処理前の薄膜の構
【図8】 実施例5で作製された加熱処理前の薄膜の構
【図9】 実施例6で作製された加熱処理前の薄膜の構
【図10】 実施例7で作製された加熱処理前の薄膜の
構造
【図11】 実施例8で作製された加熱処理前の薄膜の
構造
【図12】 実施例8で作製された加熱処理後の薄膜の
構造
【図13】 実施例9で作製された加熱処理後の薄膜の
構造
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 有戸 裕一 福岡県久留米市国分町568−1 ロックフ ィル国分307号 (72)発明者 国武 豊喜 福岡県粕屋郡志免町桜丘一丁目19−3

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両親媒性物質,水溶性のポリアニオン及
    び水溶性のポリカチオンからなるイオンコンプレックス
    を気水界面で生成させ、前記イオンコンプレックスを基
    板上に移し取った後、前記ポリアニオンと前記ポリカチ
    オンとの間に共有結合による架橋を形成することを特徴
    とする架橋高分子薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリアニオンのイオン性
    基がカルボキシル基であり、ポリカチオンのイオン性基
    が1級又は2級アミンであることを特徴とする架橋高分
    子薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の共有結合は、カルボン酸
    とアミンとの間の縮合反応であることを特徴とする架橋
    高分子薄膜の製造方法。
JP04179301A 1992-06-12 1992-06-12 架橋高分子薄膜の製造方法 Expired - Fee Related JP3128782B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04179301A JP3128782B2 (ja) 1992-06-12 1992-06-12 架橋高分子薄膜の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04179301A JP3128782B2 (ja) 1992-06-12 1992-06-12 架橋高分子薄膜の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05339387A true JPH05339387A (ja) 1993-12-21
JP3128782B2 JP3128782B2 (ja) 2001-01-29

Family

ID=16063436

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04179301A Expired - Fee Related JP3128782B2 (ja) 1992-06-12 1992-06-12 架橋高分子薄膜の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3128782B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002347107A (ja) * 2001-05-22 2002-12-04 Inst Of Physical & Chemical Res 延伸フィルムおよびそれを用いた細胞培養基材
JP2006342322A (ja) * 2006-02-14 2006-12-21 Shiseido Co Ltd カチオン性ポリマー吸着粉体、薄膜被覆粉体及びそれを含む皮膚外用剤
JP2012507577A (ja) * 2008-11-06 2012-03-29 ヴァスキュラー バイオジェニックス リミテッド 酸化脂質化合物およびその使用
US8999960B2 (en) 2008-10-08 2015-04-07 Vascular Biogenics Ltd. Oxidized thiophospholipid compounds and uses thereof
US9771385B2 (en) 2014-11-26 2017-09-26 Vascular Biogenics Ltd. Oxidized lipids
US10022388B2 (en) 2014-11-26 2018-07-17 Vascular Biogenics Ltd. Oxidized lipids and treatment or prevention of fibrosis

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002347107A (ja) * 2001-05-22 2002-12-04 Inst Of Physical & Chemical Res 延伸フィルムおよびそれを用いた細胞培養基材
JP2006342322A (ja) * 2006-02-14 2006-12-21 Shiseido Co Ltd カチオン性ポリマー吸着粉体、薄膜被覆粉体及びそれを含む皮膚外用剤
US8999960B2 (en) 2008-10-08 2015-04-07 Vascular Biogenics Ltd. Oxidized thiophospholipid compounds and uses thereof
JP2012507577A (ja) * 2008-11-06 2012-03-29 ヴァスキュラー バイオジェニックス リミテッド 酸化脂質化合物およびその使用
JP2015129157A (ja) * 2008-11-06 2015-07-16 ヴァスキュラー バイオジェニックス リミテッド 酸化脂質化合物およびその使用
US9206206B2 (en) 2008-11-06 2015-12-08 Vascular Biogenics Ltd. Oxidized lipid compounds and uses thereof
US9771385B2 (en) 2014-11-26 2017-09-26 Vascular Biogenics Ltd. Oxidized lipids
US10022388B2 (en) 2014-11-26 2018-07-17 Vascular Biogenics Ltd. Oxidized lipids and treatment or prevention of fibrosis
US10206936B2 (en) 2014-11-26 2019-02-19 Vascular Biogenics Ltd. Oxidized lipids and treatment or prevention of fibrosis
US10464957B2 (en) 2014-11-26 2019-11-05 Vascular Biogenics Ltd. Oxidized lipids and methods of use thereof

Also Published As

Publication number Publication date
JP3128782B2 (ja) 2001-01-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101378645B1 (ko) 신규한 나노입자
JP6120591B2 (ja) ブロックコポリマーおよびそれに関連する方法
US6380270B1 (en) Photogenerated nanoporous materials
US7875315B2 (en) Porous inorganic solids for use as low dielectric constant materials
JP5775052B2 (ja) コーティングエンハンサーを含むスピンオン誘電体組成物
TW201533122A (zh) 用於促進自組裝之底層組合物及製造與使用方法
TW201335287A (zh) 熱退火過程
JP2002544331A (ja) 溶解性試薬を使用して二次加工された微小多孔質材料
US7883742B2 (en) Porous materials derived from polymer composites
JP3128782B2 (ja) 架橋高分子薄膜の製造方法
JP2024509082A (ja) 頂部反射防止膜製造用組成物、頂部反射防止膜及び含フッ素組成物
KR20220107217A (ko) 비-티올 질소 기반 소수성 중합체 브러시 재료 및 기판 표면 개질을 위한 이의 용도
Cho et al. Swelling-induced pore generation in fluorinated polynorbornene block copolymer films
Muñoz‐Bonilla et al. Engineering polymer surfaces with variable chemistry and topography
EP3150668A1 (en) Void forming composition, semiconductor device provided with voids formed using composition, and method for manufacturing semiconductor device using composition
JP2890369B2 (ja) 架橋高分子薄膜の製造方法
JPH05339215A (ja) 薄膜作製用両親媒性アミン及びイオンコンプレックス薄膜
US20040198922A1 (en) Insulating-film forming material and insulating film using the same
US20200369819A1 (en) Resin composition for forming phase-separated structure, method for producing structure including phase-separated structure, and block copolymer
DE60114792T2 (de) Verfahern zur herstellung molekularer schichten mit hoher dichte an primären amingruppen auf festen trägern
TWI846162B (zh) 導電性高分子組成物、被覆品,及圖型形成方法
JP3013934B2 (ja) 表面活性の低い薄膜
Zhao et al. Construction of micro/macro‐scale Janus polypeptoid‐based two‐dimensional structures at the air–water interface
JP2004300314A (ja) 多孔質絶縁膜形成材料及びそれを用いた多孔質絶縁膜
JPH05329346A (ja) 複合半透膜

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees