JPH05339355A - ポリカーボネート系樹脂のフィルムまたはシート - Google Patents

ポリカーボネート系樹脂のフィルムまたはシート

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JPH05339355A
JPH05339355A JP4174924A JP17492492A JPH05339355A JP H05339355 A JPH05339355 A JP H05339355A JP 4174924 A JP4174924 A JP 4174924A JP 17492492 A JP17492492 A JP 17492492A JP H05339355 A JPH05339355 A JP H05339355A
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sheet
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和彦 間
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 特定の繰返し単位から構成され、数平均分子
量が20000以上200000以下である脂環式ポリ
カーボネート系樹脂からなり、かつアルカリ金属、アル
カリ土類金属、チタン、亜鉛、鉛、マンガン、アンチモ
ン、ゲルマニウムまたはこれら金属の化合物を実質的に
含まないポリカーボネート系樹脂のフィルムまたはシー
トである。 【効果】 透湿性および吸湿寸法変化が小さく、透明
性、耐候(光)性、複屈折性などの光学特性および耐熱
性に優れ、かつ着色が少なく、例えば偏光板支持板、光
ディスクなどの光記録媒体の保護フィルムまたはシート
あるいは反射鏡基板などの光学用途に好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、偏光板支持板、光デス
クなどの光記録媒体の保護フィルムまたはシートあるい
は反射鏡基板などの光学用途に好適なフィルムまたはシ
−トに関する。
【0002】
【従来の技術】LCD(液晶デスプレイ)に使用される
偏光板は、偏光フィルム単独では耐久性等実用に耐えな
いため、片面あるいは両面に透明な合成樹脂のフィルム
またはシートが保護用に貼着された構造になっている。
偏光板支持板と呼称されているこの保護用のフィルムま
たはシートとして、従来、セルローストリアセテート樹
脂(以下TACと略記する)の透明フィルムまたはシー
トが使用されてきた。
【0003】しかしながら、TACのフィルムまたはシ
ートの透湿性が高いため、透過した水分による偏光フィ
ルムの劣化の防御が満足できるものでなく、高温高湿条
件で偏光板が脱色するなどの問題があり、LCDの車載
化などLCDの使用環境の拡大に伴い、透湿性の低い偏
光板支持板が望まれていた。
【0004】偏光板支持板として、透明性に優れたアク
リル樹脂の延伸フィルムまたはシート、またエチレン−
酢酸ビニル共重合体ケン化物を流延製膜して得られるフ
ィルムも提案されているが、アクリル樹脂の延伸フィル
ムまたはシートはそれ自体が耐熱性に劣る欠点があり、
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物のフィルムは透
明性に劣り、また製法が流延法に限られ、溶剤回収など
環境上問題があるなどの欠点があり、いずれも満足でき
るものではない(特開昭55−155307号、特公平
3−23881号)。
【0005】また、透明フィルムまたはシートを、光デ
ィスクなどの光記録媒体の記録面の傷つき防止に用いる
試みも行われているが、TACでは吸湿によりしわが生
じるため適用できなく、他のフィルムまたはシートにも
適当なものがないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の問題点を解決することにあり、すなわち透湿性お
よび吸湿寸法変化が小さく、透明性、耐候(光)性、複
屈折性などの光学特性および耐熱性に優れ、かつ着色が
少なく、例えば偏光板支持板、光ディスクなどの光記録
媒体の保護フィルムまたはシートあるいは反射鏡基板な
どの光学用途に好適なフィルムまたはシートを開発する
ことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記問題の
解決に関し鋭意検討した結果、ある種の脂環式ポリカー
ボネート系樹脂のフィルムまたはシートが、驚くべきこ
とに、透湿性および吸湿寸法変化が小さく、透明性、耐
候(光)性、複屈折性などの光学特性および耐熱性に優
れ、かつ着色が少ないことを見出し本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明の目的は、下記一般式
[1]〜[3]で表される繰返し単位から構成され、単
位[1]のモル分率(x)は単位[2]のモル分率
(y)と単位[3]のモル分率(z)の合計モル分率
(y+z)に実質的に等しく、単位[2]のモル分率
(y)は20モル%以上50モル%以下の範囲である数
平均分子量が20000以上200000以下の脂環式
ポリカーボネート系樹脂からなり、かつアルカリ金属、
アルカリ土類金属、チタン、亜鉛、鉛、マンガン、アン
チモン、ゲルマニウムまたはこれら金属の化合物を実質
的に含まないことを特徴とするポリカーボネート系樹脂
のフィルムまたはシートによって達成される。
【0009】
【化2】 ただし、式[1]において、nは0、1または2であ
り、式[3]において、Aは炭素数が20以下の2価の
飽和脂肪族炭化水素基、飽和脂環式炭化水素基または芳
香族炭化水素基である。
【0010】一般式[1]の構造単位の含有量(x)は
実質的に50モル%である。一般式[2]の構造単位の
含有量(y)は20〜50モル%であり、好ましくは3
0〜50モル%である。含有量が20モル%未満では透
湿性および吸湿寸法変化が大きくなる傾向があり好まし
くない。一般式[3]の構造単位の含有量(z)は基本
的に50−yモル%である。
【0011】一般式[1]の構造単位は具体的には、以
下のものであり、特にnが1または2である繰返し単位
である場合、フィルムまたはシートの耐熱性が高く好ま
しい。
【0012】n=0の場合
【0013】
【化3】 n=1の場合
【0014】
【化4】 n=2の場合
【0015】
【化5】 また、一般式[3]の構造単位は具体的には、例えば以
下のものが挙げられる。
【0016】Aが飽和脂肪族炭化水素の場合
【0017】
【化6】 Aが飽和脂環式炭化水素の場合
【0018】
【化7】 Aが芳香族炭化水素の場合
【0019】
【化8】 偏光板支持板など、特に低複屈折性であることが要求さ
れる用途においては、成形する際多少の配向が生じても
複屈折性の少ないフィルムまたはシートが得られる配向
複屈折性の少ない飽和脂肪族炭化水素または飽和脂環式
炭化水素構造が好ましく選択される。特にAが飽和脂環
式炭化水素の場合耐熱性が高く、また吸湿寸法変化が小
さく好ましい。配向が生じない方法でフィルムまたはシ
ートが成形される場合、あるいは複屈折性が特に問題と
ならない用途においては、配向複屈折性が大きいが芳香
族炭化水素構造を選択することができ、この場合、例え
ば耐熱性が高くなるなど有利となる点がある。
【0020】一般式[1]および一般式[3]で表され
る構造単位はそれぞれ1種類だけであっても2種類以上
が混合されていてもよい。また本発明の効果を損わない
範囲で他の構造単位を含んでいてもよい。その置換量は
通常10モル%以下である。
【0021】脂環式ポリカーボネート樹脂の分子量は数
平均分子量で20000〜200000(ポリスチレン
換算)であることがよく、好ましくは30000〜15
0000がよい。分子量が低いと本発明のフィルムまた
はシートの機械的強度が不十分となり、大きすぎると製
膜が困難となる。
【0022】本発明のフィルムまたはシートは、アルカ
リ金属、アルカリ土類金属、チタン、亜鉛、鉛、マンガ
ン、アンチモン、ゲルマニウムまたはこれら金属の化合
物を実質的に含まないことを必須とする。一般に本発明
のフィルムまたはシートの基体樹脂であるポリカーボネ
ート樹脂は、構造単位に対応する酸塩化物(一般式
[2]であらわされる構造単位に対してはホスゲン)と
ジオールを原料とした溶剤法や、構造単位に対応する
酸、エステル、ジオールもしくはアルコキシドを原料と
した溶融法により製造されるが、前者においては脱塩酸
にアルカリ金属の水酸化物を使用し、後者においては重
合を実用的な速度で進ませまた20000〜20000
0の重合度の樹脂を得るために、テトラアルキルオルソ
チタネート、酢酸亜鉛、酸化アンチモン、酸化ゲルマニ
ウム、カリウム−t−ブトキシドやナトリウムメトキシ
ド等の種々のアルコキシド、リチウムやナトリウム等の
アルカリ金属、水素化リチウムや水素化ナトリウム等の
アルカリ金属の水素化物、金属ハロゲン化物等の、金属
またはこれら金属の化合物を触媒として添加する必要が
あった。
【0023】このようにして得られた樹脂より製造され
たフィルムまたはシートは、透明性、透湿性、吸湿寸法
安定性、耐熱性などの特性において優れていたが、薄く
黄色に着色しており、光学用のフィルムまたはシートと
しては問題があるものであった。本発明者等は、薄い黄
色が樹脂の本質に由来するものでなく、従来の方法によ
り作製されたフィルムまたはシートには、触媒等より混
入したアルカリ金属、アルカリ土類金属またはチタンな
どの金属またはそれらの化合物が含まれており、これが
着色の原因となっていることを見出し、これらの金属ま
たは金属化合物を実質的に含まないフィルムまたはシー
トにより、着色が防止され本発明の目的とする光学用の
フィルムまたはシートが達成できることを見出した。
【0024】ここで金属または金属化合物を実質的に含
まないとは、重合触媒として実用的に機能する量以下で
あることを指し、具体的には含有量が金属元素濃度で5
ppm以下、好ましくは1ppm以下であることを指
す。これらの金属または金属化合物を実質的に含まない
本発明のフィルムまたはシートは、例えば、一般式
[1]に対応するジヒドロキシ化合物と一般式[2]に
対応するジフェニルカーボネート及び一般式[3]に対
応するエステルより、テトラフェニルホウ素酸テトラ−
n−ブチルアンモニウム等のホウ素酸エステルを触媒と
する新規な重合方法により樹脂を製造し、ついで、これ
らの金属化合物が混入しないようにフィルムまたはシー
トの形状に成形することで製造できる。
【0025】フィルムまたはシート形状に成形する方法
としては公知の方法が採用できるが、押出成形法が好ま
しい方法として挙げられる。押出成形における溶融温度
としては、通常180〜350℃の範囲の温度が使用さ
れ、特に200〜300℃が好ましく使用される。なお
本発明のフィルムまたはシートにおいては、その分子配
向の少ない方が、複屈折性が少なく、かつ加熱寸法安定
性に優れ、好ましい。
【0026】本発明のフィルムまたはシートに本発明の
効果を損わない範囲で、可塑剤、染顔料、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、および滑剤などの樹脂改質剤を添加、
あるいは他の樹脂をブレンドすることができる。
【0027】本発明のフィルムまたはシートの厚みは、
本質的に制限されるものではないが、一般に10μ〜2
0mmが製造しやすい。
【0028】
【作用】本発明のフィルムまたはシートは、着色が少な
く、透明性、耐候(光)性、複屈折性などの光学特性及
び耐熱性に優れており、吸湿寸法変化及び透湿性が小さ
いことに特長がある。
【0029】水蒸気透過率は、汎用のビスフェノールA
系のポリカーボネート樹脂のフィルムまたはシートが、
35g/m2 /24hr/0.1mmと高いにもかかわ
らず、例えば式[1]のnが1で、式[2]のモル分率
が50%であるものは、意外にも、5g/m2 /24h
r/0.1mmと低い。
【0030】水蒸気透過率が低いことは、通過してくる
水分によって起こる性能劣化が問題であるヨウ素を偏光
素子とするポリビニルアルコール偏光板の支持板として
非常に望ましい性質である。本発明のフィルムまたはシ
ートの水蒸気透過率は従来使用されているTACの約1
/100であり、これを偏光板支持板として使用するこ
とで耐久性の改善された偏光板が可能となった。
【0031】本発明のフィルムまたはシートはまた吸湿
寸法安定性に優れており、式[1]のnが1で、式
[2]のモル分率が50%であるフィルムを、乾燥後2
3℃、95%の湿度の環境に7日間放置したが寸法変化
は0.01%にすぎなかった。湿度変化による寸法の変
化は光学フィルム用途においても多くの問題を引起こ
し、吸湿寸法安定性向上が求められている。例えば、C
DやLD等光デスクの記録面の保護フィルムまたはシー
トとしてTAC製の保護フィルムが提案されたが、環境
湿度の変化により吸湿し、しわが発生するため実用化に
は致らなかった。本発明のフィルムまたはシートの吸湿
寸法変化は、TACのフィルムの約1/50であり、か
つ複屈折性も少なく、本発明のフィルムまたはシートに
よってはじめて、CDやLD等の光記録媒体の保護フィ
ルムまたはシートが可能となった。
【0032】保護フィルムまたはシートとしては、本発
明の脂環式ポリカーボネート系樹脂フィルムまたはシー
トに接着材が積層された形態で使用するのが便利であ
り、接着剤としては、透明な接着剤が用途に応じ選択で
き、例えば、ポリウレタン系、エポキシ系、アクリル系
のものが使用できる。保護される面に接着剤を積層し、
これに保護フィルムまたはシートを貼着する方法も可能
である。
【0033】本発明のフィルムまたはシートは、また変
形、変質することなく、105℃以上の温度に耐え、ま
た耐候(光)に優れ、フィルムまたはシート上に金属膜
を形成することで照明器具の効率向上に照明の裏側に使
用される反射鏡として好適である。
【0034】また耐熱性、吸湿寸法安定性、透明性に優
れ、着色の少ない本発明のフィルムまたはシートは、光
学用途以外の透明フィルムまたはシートの用途、例えば
銘板用途にも好ましいものである。
【0035】尚、本発明においては254μ未満の厚み
のものをフィルム、254μ以上のものをシートと区別
した。
【0036】以下に特性値の測定方法を示す。 ・透明性:全光線透過率、ヘイズ(ASTM D100
3)により評価した。 ・測色:JIS K7105に従い測定した(C光源、
10゜視野、透過法)。 ・金属分析:原子吸光法により分析した。 ・複屈折性:東芝硝子(株)製歪検査器SVP−10型
により観察した。 ・吸湿寸法安定性:オーブンで80℃、48時間乾燥
後、23℃、95%の湿度の環境に7日間放置後の寸法
変化で評価した。 ・水蒸気透過率:JIS Z0208に従い測定した。 ・数平均分子量:GPC測定により、ポリスチレンの分
子量標準品と比較し求めた(ポリスチレン換算)。
【0037】
【実施例】本発明を実施例により具体的に説明する。
【0038】実施例1 トランス−2、3−ジ(ヒドロキシメチル)−ペルヒド
ロ−1、4:5、8−ジメタノナフタレン13.4Kg
とジフェニルカーボネート12.9Kgおよびテトラフ
ェニルホウ素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム0.7
gを仕込み、反応槽内を窒素で置換した。窒素を100
リットル/時間の速度で流通させながら180℃まで昇
温したのち、撹拌を開始し、その後30分を要して25
0℃まで昇温し、同温度で2時間保持した。この間に理
論留出量の71%のフェノールが留出した。ついで同温
度のままで系内を徐々に減圧にし、1時間かけて0.2
mmHgとした。更に同条件下で45分間撹拌を続けた
のち、撹拌を停止し、系内に窒素を導入することにより
常圧にもどした。ついで、反応槽に付帯したギヤポンプ
により生成したポリマーをストランド状に排出し、カッ
ターで切断して次の式[4]で表される繰返し構造から
なる脂環式ポリカーボネート樹脂を得た。得られた樹脂
の数平均分子量は38000であった。
【0039】
【化9】 これを、250℃の押出温度で押出成形し、100μの
フィルムを作製した。
【0040】このフィルムを原子吸光法で金属分析した
が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、チタン、亜鉛、
鉛、マンガン、アンチモン、ゲルマニウム元素の含有量
はいずれも1ppm以下であった。
【0041】全光線透過率が93%、ヘイズが0.3%
であり、また、測色値は、L* が96.39、a* が−
0.01、b* が0.19と着色のほとんど認められな
い透明性に優れた無色のフィルムであった。水蒸気透過
率は5g/m2 /24hr/0.1mmと低いものであ
った。乾燥後、23℃、95%の湿度の環境に7日間放
置したが寸法変化は0.01%にすぎなかった。
【0042】歪検査器を用い、互いに直交する一対の偏
光板の間にフィルムをおいて回転しても直交する偏光板
の明るさおよび色相に変化はなく、複屈折性は認められ
なかった。また、120℃に加熱したが変形は認められ
なかった。
【0043】このフィルムを厚さ30μのヨウ素を偏光
素子としたポリビニルアルコール偏光フィルムの両面に
ウレタン系接着剤で接着して偏光板を作製した。偏光板
は2枚平行透過率が40%、偏光度が99.9%以上と
偏光性能が優れていた。80℃、90%の条件で耐久テ
ストを行ったが350時間経過後も2枚平行透過率が4
5%、偏光度が98.8%と変化は軽微であった。
【0044】一方、偏光板の支持板として使用されてい
る80μのトリアセテートフィルム(富士写真フィルム
(株)製、FT−80)の水蒸気透過率は380g/m
2 /24hr/0.1mmであった。これを支持板とし
て偏光板を作製し、80℃、90%の条件で耐久テスト
を行った。初期偏光性能は2枚平行透過率が41%、偏
光度が99.9%以上であったが、100時間経過後、
2枚平行透過率が51%、偏光度が75.3%となり偏
光板としての使用に耐えないものとなった。
【0045】また本発明のフィルムにレーザーディスク
の内周部と外周部のみ貼着されるように部分的に接着剤
をつけ、レーザーディスクに貼りつけた。25℃におい
て湿度を10%から95%に変化させたが、しわは発生
しなかった。保護フィルムをつけた状態でレーザーディ
スクを再生したが、異常は認められなかった。
【0046】一方、80μのトリアセテートフィルム
(富士写真フィルム(株)製、FT−80)を同様にし
てレーザーディスクに貼りつけ、25℃において湿度を
10%から95%に変化させたところ、しわが発生し、
再生が不能となった。
【0047】比較例1 実施例1において、触媒であるテトラフェニルホウ素酸
テトラ−n−ブチルアンモニウム0.7gのかわりに、
水素化リチウム0.4gを使用する以外同様にして樹脂
を製造し、製膜して100μのフィルムを作製した。
【0048】このフィルムを原子吸光法で金属分析した
が、リチウム元素が30ppm検出された。
【0049】全光線透過率が92%、ヘイズが0.4%
と、透明性は良好であったが、測色値は、L* が96.
12、a* が−0.04、b* が1.32と黄色味のあ
るフィルムであった。
【0050】実施例2 実施例1において、トランス−2、3−ジ(ヒドロキシ
メチル)−ペルヒドロ−1、4:5、8−ジメタノナフ
タレン13.4Kgの代りにトランス−2、3−ジ(ヒ
ドロキシメチル)−ペルヒドロ−1、4:5、10:
6、9−トリメタノアントラセン17.4Kgを使用し
た以外同様の方法により数平均分子量が62000の式
[5]で表される繰返し構造からなる脂環式ポリカーボ
ネート樹脂を製造し、押出成形により80μのフィルム
を作製した。
【0051】
【化10】 このフィルムを原子吸光法で金属分析したが、アルカリ
金属、アルカリ土類金属、チタン、亜鉛、鉛、マンガ
ン、アンチモン、ゲルマニウム元素の含有量はいずれも
1ppm以下であった。
【0052】全光線透過率が93%、ヘイズが0.3%
であり、また、測色値は、L* が96.31、a* が−
0.02、b* が0.28と着色のほとんど認められな
い透明性に優れた無色のフィルムであった。水蒸気透過
率は5g/m2 /24hr/0.1 mmと低いものであっ
た。乾燥後、23℃、95%の湿度の環境に7日間放置
したが寸法変化は0.01%にすぎなかった。
【0053】複屈折性は認められず、また、150℃に
加熱したが変形は認められなかった。
【0054】実施例3 実施例1において、トランス−2、3−ジ(ヒドロキシ
メチル)−ペルヒドロ−1、4:5、8−ジメタノナフ
タレン13.4Kgの代りにトランス−2、3−ジ(ヒ
ドロキシメチル)−ペルヒドロ−1、4:5、8−ジメ
タノナフタレン6.7Kgおよびトランス−2、3−ジ
(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン
4.7Kgを使用した以外同様の方法により式[6]で
表される構造単位からなる数平均分子量が48000の
脂環式ポリカーボネート樹脂を製造し、押出成形により
300μのシートを作製した。
【0055】
【化11】 このシートを原子吸光法で金属分析したが、アルカリ金
属、アルカリ土類金属、チタン、亜鉛、鉛、マンガン、
アンチモン、ゲルマニウム元素の含有量はいずれも1p
pm以下であった。
【0056】全光線透過率が93%、ヘイズが0.4%
であり、また、測色値は、L* が96.36、a* が−
0.02、b* が0.22と着色のほとんど認められな
い透明性に優れた無色のシートであった。乾燥後、23
℃、95%の湿度の環境に7日間放置したが寸法変化は
0.02%にすぎなかった。
【0057】複屈折性は認められず、また105℃に加
熱したが変形は認められなかった。
【0058】実施例4 トランス−2、3−ジ(ヒドロキシメチル)−ペルヒド
ロ−1、4:5、8−ジメタノナフタレン13.4K
g、ジフェニルカーボネート9.0Kg、ジフェニルテ
レフタレート3.5Kgおよび触媒としてテトラフェニ
ルホウ素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム0.7gを
用いて、実施例1と同様の方法により式[7]で表され
る構造単位からなる数平均分子量が35000の脂環式
ポリカーボネート樹脂を製造し、押出成形により80μ
のフィルムを作製した。
【0059】
【化12】 このフィルムを原子吸光法で金属分析したが、アルカリ
金属、アルカリ土類金属、チタン、亜鉛、鉛、マンガ
ン、アンチモン、ゲルマニウム元素の含有量はいずれも
1ppm以下であった。
【0060】全光線透過率が92%、ヘイズが0.3
%、測色値は、L* が96.25、a* が−0.02、
b* が0.31と透明性の良好な着色の少ないフィルム
であった。
【0061】
【発明の効果】脂環式構造単位を有するポリカーボネー
ト樹脂のフィルムまたはシートにより、透湿性および吸
湿寸法変化が小さく、透明性、耐候(光)性および耐熱
性に優れ、かつ着色の少ない光学用途に好適なフィルム
またはシ−トが達成された。このフィルムまたはシ−ト
は、偏光板支持板、光ディスクなどの光記録媒体の保護
フィルムまたはシート、反射鏡用基板の用途等に好適で
ある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式[1]〜[3]で表される繰返
    し単位から構成され、単位[1]のモル分率(x)は単
    位[2]のモル分率(y)と単位[3]のモル分率
    (z)の合計モル分率(y+z)に実質的に等しく、単
    位[2]のモル分率(y)は20モル%以上50モル%
    以下の範囲である数平均分子量が20000以上200
    000以下の脂環式ポリカーボネート系樹脂からなり、
    アルカリ金属、アルカリ土類金属、チタン、亜鉛、鉛、
    マンガン、アンチモン、ゲルマニウムまたはこれら金属
    の化合物を実質的に含まないことを特徴とするポリカー
    ボネート系樹脂のフィルムまたはシート。 【化1】 ただし、式[1]において、nは0、1または2であ
    り、式[3]において、Aは炭素数が20以下の2価の
    飽和脂肪族炭化水素基、飽和脂環式炭化水素基または芳
    香族炭化水素基である。
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