JPH05339200A - 純度の向上した、グリセリン酸又はその塩の製造法 - Google Patents
純度の向上した、グリセリン酸又はその塩の製造法Info
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- JPH05339200A JPH05339200A JP14919592A JP14919592A JPH05339200A JP H05339200 A JPH05339200 A JP H05339200A JP 14919592 A JP14919592 A JP 14919592A JP 14919592 A JP14919592 A JP 14919592A JP H05339200 A JPH05339200 A JP H05339200A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 医薬等の有機合成中間原料として有用な、純
度の向上したグリセリン酸又はその塩の効率的な製造法
を提供する。 【効果】 不純物を含有するグリセリン酸のアルカリ土
類金属塩について、又は不純物を含有するグリセリン酸
あるいは不純物を含有するグリセリン酸塩(但し、アル
カリ土類金属塩を除く)を不純物を含有するグリセリン
酸アルカリ土類金属塩へ変換したものについて、晶析を
行うことにより該不純物を除去したのち、グリセリン酸
のアルカリ土類金属塩を回収し、必要により酸を加えて
グリセリン酸とするか又は塩交換反応を行うことによ
り、純度の向上したグリセリン酸又はその塩を得る。
度の向上したグリセリン酸又はその塩の効率的な製造法
を提供する。 【効果】 不純物を含有するグリセリン酸のアルカリ土
類金属塩について、又は不純物を含有するグリセリン酸
あるいは不純物を含有するグリセリン酸塩(但し、アル
カリ土類金属塩を除く)を不純物を含有するグリセリン
酸アルカリ土類金属塩へ変換したものについて、晶析を
行うことにより該不純物を除去したのち、グリセリン酸
のアルカリ土類金属塩を回収し、必要により酸を加えて
グリセリン酸とするか又は塩交換反応を行うことによ
り、純度の向上したグリセリン酸又はその塩を得る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬等の有機合成中間
原料として有用な、純度の向上した、グリセリン酸及び
その塩の製造法に関する。
原料として有用な、純度の向上した、グリセリン酸及び
その塩の製造法に関する。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】グリセリ
ン酸は生体内での解糖系の代謝産物であり、医薬等の中
間原料として有用である。このグリセリン酸の製造法と
して、本発明者らはグリセリンをPdやPt等の貴金属触媒
存在下に、空気酸化することによりグリセリン酸又はそ
の塩を得る方法を見い出し既に特許出願した(特願平4
−133500号)が、このようにして得られるグリセリン酸
又はその塩の純度は約50〜70重量%程度であり、これを
そのまま有機合成中間原料として使用するには問題があ
った。従って、本発明の目的は、不純物を含有するグリ
セリン酸又はその塩を原料として、純度の向上した、グ
リセリン酸又はその塩を得る方法を提供することにあ
る。
ン酸は生体内での解糖系の代謝産物であり、医薬等の中
間原料として有用である。このグリセリン酸の製造法と
して、本発明者らはグリセリンをPdやPt等の貴金属触媒
存在下に、空気酸化することによりグリセリン酸又はそ
の塩を得る方法を見い出し既に特許出願した(特願平4
−133500号)が、このようにして得られるグリセリン酸
又はその塩の純度は約50〜70重量%程度であり、これを
そのまま有機合成中間原料として使用するには問題があ
った。従って、本発明の目的は、不純物を含有するグリ
セリン酸又はその塩を原料として、純度の向上した、グ
リセリン酸又はその塩を得る方法を提供することにあ
る。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するため鋭意検討の結果、純度の向上したグリセリ
ン酸又はその塩を製造するにあたり、グリセリン酸のア
ルカリ土類金属塩の晶析を行うことにより、上記目的を
達成し得ることを見い出し、本発明を完成した。
解決するため鋭意検討の結果、純度の向上したグリセリ
ン酸又はその塩を製造するにあたり、グリセリン酸のア
ルカリ土類金属塩の晶析を行うことにより、上記目的を
達成し得ることを見い出し、本発明を完成した。
【0004】即ち、本発明は、不純物を含有するグリセ
リン酸のアルカリ土類金属塩について、晶析を行うこと
により該不純物を除去したのち、グリセリン酸のアルカ
リ土類金属塩を回収することを特徴とする、純度の向上
したグリセリン酸アルカリ土類金属塩の製造法を提供す
るものである。更に本発明は、不純物を含有するグリセ
リン酸又は不純物を含有するグリセリン酸塩(但し、ア
ルカリ土類金属塩を除く)を、不純物を含有するグリセ
リン酸アルカリ土類金属塩へ変換し、これについて晶析
を行うことにより該不純物を除去したのち、グリセリン
酸のアルカリ土類金属塩を回収し、回収されたグリセリ
ン酸のアルカリ土類金属塩について、酸を加えてグリセ
リン酸とするか又は塩交換反応を行うことを特徴とす
る、純度の向上した、グリセリン酸又はグリセリン酸塩
(但し、アルカリ土類金属塩を除く)の製造法を提供す
るものである。
リン酸のアルカリ土類金属塩について、晶析を行うこと
により該不純物を除去したのち、グリセリン酸のアルカ
リ土類金属塩を回収することを特徴とする、純度の向上
したグリセリン酸アルカリ土類金属塩の製造法を提供す
るものである。更に本発明は、不純物を含有するグリセ
リン酸又は不純物を含有するグリセリン酸塩(但し、ア
ルカリ土類金属塩を除く)を、不純物を含有するグリセ
リン酸アルカリ土類金属塩へ変換し、これについて晶析
を行うことにより該不純物を除去したのち、グリセリン
酸のアルカリ土類金属塩を回収し、回収されたグリセリ
ン酸のアルカリ土類金属塩について、酸を加えてグリセ
リン酸とするか又は塩交換反応を行うことを特徴とす
る、純度の向上した、グリセリン酸又はグリセリン酸塩
(但し、アルカリ土類金属塩を除く)の製造法を提供す
るものである。
【0005】本発明において使用される、不純物を含有
するグリセリン酸又はその塩は、例えば次のようにして
得られる。Pd触媒存在下に、グリセリンを酸素含有ガスにより酸化
する方法 5〜90重量%のグリセリン水溶液へ、Pd触媒の存在下
に、該水溶液のpHを8〜13とし、該水溶液の温度を20〜
50℃に維持しつつ、酸素含有ガスを導入し、得られたグ
リセリン酸塩について、要すれば酸を加えてグリセリン
酸とするか又は塩交換反応を行って不純物を含有するグ
リセリン酸又はその塩を得る。このようにPd触媒を使用
する場合、グリセリン水溶液のpHを8〜13、好ましくは
9〜12にすることが重要である。該水溶液のpHが8より
低い場合、酸化速度が著しく低下し、該水溶液のpHが13
より高い場合、Pd触媒の活性が低下する。
するグリセリン酸又はその塩は、例えば次のようにして
得られる。Pd触媒存在下に、グリセリンを酸素含有ガスにより酸化
する方法 5〜90重量%のグリセリン水溶液へ、Pd触媒の存在下
に、該水溶液のpHを8〜13とし、該水溶液の温度を20〜
50℃に維持しつつ、酸素含有ガスを導入し、得られたグ
リセリン酸塩について、要すれば酸を加えてグリセリン
酸とするか又は塩交換反応を行って不純物を含有するグ
リセリン酸又はその塩を得る。このようにPd触媒を使用
する場合、グリセリン水溶液のpHを8〜13、好ましくは
9〜12にすることが重要である。該水溶液のpHが8より
低い場合、酸化速度が著しく低下し、該水溶液のpHが13
より高い場合、Pd触媒の活性が低下する。
【0006】反応水溶液のpHを上記の範囲に維持する為
のpH調節剤として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等の苛性アル
カリや、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミン、トリエチルアミン等の総炭素数
1〜9のアルキル又はヒドロキシアルキルアミンが使用
され得るが、価格の点から水酸化ナトリウムが最適であ
る。
のpH調節剤として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等の苛性アル
カリや、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミン、トリエチルアミン等の総炭素数
1〜9のアルキル又はヒドロキシアルキルアミンが使用
され得るが、価格の点から水酸化ナトリウムが最適であ
る。
【0007】この反応における反応水溶液の温度は20〜
50℃、好ましくは30〜50℃に維持する。反応温度が20℃
より低い場合には反応の進行が遅く好ましくなく、反応
温度が50℃より高い場合にはヒドロキシマロン酸 (ター
トロン酸) 並びにグリコール酸及び炭酸などの分解物が
生成しグリセリン酸生成の選択率が低下する。
50℃、好ましくは30〜50℃に維持する。反応温度が20℃
より低い場合には反応の進行が遅く好ましくなく、反応
温度が50℃より高い場合にはヒドロキシマロン酸 (ター
トロン酸) 並びにグリコール酸及び炭酸などの分解物が
生成しグリセリン酸生成の選択率が低下する。
【0008】グリセリン酸又はその塩の製造に当っては
酸素による爆発の危険を避けるため、グリセリンを水溶
液として使用することが望ましい。その濃度は経済的に
は爆発の危険のない限り高い方が望ましいが、余りに濃
度が高ければ液の粘度が増大し、酸素の拡散がさまたげ
られ好ましくない。実験の結果、この上限は90重量%、
好ましくは60重量%にすべきことが判明した。また、下
限は任意であるが、経済的観点から5重量%、好ましく
は10重量%である。
酸素による爆発の危険を避けるため、グリセリンを水溶
液として使用することが望ましい。その濃度は経済的に
は爆発の危険のない限り高い方が望ましいが、余りに濃
度が高ければ液の粘度が増大し、酸素の拡散がさまたげ
られ好ましくない。実験の結果、この上限は90重量%、
好ましくは60重量%にすべきことが判明した。また、下
限は任意であるが、経済的観点から5重量%、好ましく
は10重量%である。
【0009】Pd触媒としては、市販のもの、例えば5重
量%Pd/カーボン(カーボンにPdを担持させたもの)が
使用され得る。助触媒として、Ru、Rh、Osのような第VI
II族元素、Sn、Pbのような第IVb 族元素、Sb、Biのよう
な第Vb 族元素及びSe、Teのような第VIb 族元素からな
る群より選ばれる少なくとも一種を併用することができ
る。この場合において使用される助触媒の量はPdに対し
5〜100 重量%である。助触媒を使用する場合も、使用
しない場合も触媒の使用量はグリセリンに対してPdとし
て0.005 〜5重量%の範囲が好ましい。
量%Pd/カーボン(カーボンにPdを担持させたもの)が
使用され得る。助触媒として、Ru、Rh、Osのような第VI
II族元素、Sn、Pbのような第IVb 族元素、Sb、Biのよう
な第Vb 族元素及びSe、Teのような第VIb 族元素からな
る群より選ばれる少なくとも一種を併用することができ
る。この場合において使用される助触媒の量はPdに対し
5〜100 重量%である。助触媒を使用する場合も、使用
しない場合も触媒の使用量はグリセリンに対してPdとし
て0.005 〜5重量%の範囲が好ましい。
【0010】このPd触媒を用いる方法における実施態様
の例において、グリセリン水溶液へpH調節剤の水溶液を
滴下しつつ、酸素含有ガスを流すバッチ方式を用いても
よいし、触媒をカラムに充填し、そこにグリセリン水溶
液及びpH調節剤水溶液を滴下しつつ、酸素含有ガスを流
す固定床方式を用いてもよい。後者の方法において、グ
リセリン水溶液の1時間あたりの流速すなわちLHSV〔Li
quid Hourly Space Velocity, (流速)/(触媒体
積)〕は0.05〜1 h-1が適当である。
の例において、グリセリン水溶液へpH調節剤の水溶液を
滴下しつつ、酸素含有ガスを流すバッチ方式を用いても
よいし、触媒をカラムに充填し、そこにグリセリン水溶
液及びpH調節剤水溶液を滴下しつつ、酸素含有ガスを流
す固定床方式を用いてもよい。後者の方法において、グ
リセリン水溶液の1時間あたりの流速すなわちLHSV〔Li
quid Hourly Space Velocity, (流速)/(触媒体
積)〕は0.05〜1 h-1が適当である。
【0011】酸素含有ガスとしては、純酸素、空気等が
使用され得る。空気を使用する場合は純酸素を使用する
場合に比し反応速度がほぼ1/5 となるので流速を上げる
必要がある。酸素含有ガスの圧力は特に限定されない
が、装置、運転費、危険性の点から常圧ないし数気圧程
度を用いることが好ましい。
使用され得る。空気を使用する場合は純酸素を使用する
場合に比し反応速度がほぼ1/5 となるので流速を上げる
必要がある。酸素含有ガスの圧力は特に限定されない
が、装置、運転費、危険性の点から常圧ないし数気圧程
度を用いることが好ましい。
【0012】このようにして得られるグリセリン酸又は
その塩の純度は約50〜70重量%程度であり、不純物とし
て、未反応のグリセリン、及び副生するヒドロキシマロ
ン酸(タートロン酸)又はその塩、グリコール酸又はそ
の塩、炭酸又はその塩などの低級酸又はその塩、グリセ
ルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等を含有する。
その塩の純度は約50〜70重量%程度であり、不純物とし
て、未反応のグリセリン、及び副生するヒドロキシマロ
ン酸(タートロン酸)又はその塩、グリコール酸又はそ
の塩、炭酸又はその塩などの低級酸又はその塩、グリセ
ルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等を含有する。
【0013】Pt触媒存在下に、グリセリンを酸素含有ガ
スにより酸化する方法 5〜90重量%のグリセリン水溶液へ、Pt触媒の存在下
に、該水溶液のpHを7以下とし、該水溶液の温度を20〜
80℃に維持しつつ、酸素含有ガスを導入し、得られたグ
リセリン酸について、要すれば中和反応を行いグリセリ
ン酸塩とし、更に要すれば塩交換反応を行って不純物を
含有するグリセリン酸又はその塩を得る。このようにPt
触媒を使用する場合、グリセリン水溶液のpHを7以下、
好ましくは1.5〜7にすることが重要である。該水溶液
のpHが7より高い場合には、ヒドロキシマロン酸 (ター
トロン酸) 、グリコール酸、炭酸が生成し、グリセリン
酸生成の選択率が低下する。
スにより酸化する方法 5〜90重量%のグリセリン水溶液へ、Pt触媒の存在下
に、該水溶液のpHを7以下とし、該水溶液の温度を20〜
80℃に維持しつつ、酸素含有ガスを導入し、得られたグ
リセリン酸について、要すれば中和反応を行いグリセリ
ン酸塩とし、更に要すれば塩交換反応を行って不純物を
含有するグリセリン酸又はその塩を得る。このようにPt
触媒を使用する場合、グリセリン水溶液のpHを7以下、
好ましくは1.5〜7にすることが重要である。該水溶液
のpHが7より高い場合には、ヒドロキシマロン酸 (ター
トロン酸) 、グリコール酸、炭酸が生成し、グリセリン
酸生成の選択率が低下する。
【0014】この反応における反応水溶液の温度は20〜
80℃、好ましくは30〜70℃に維持する。反応水溶液の温
度が20℃未満では反応の進行が遅く好ましくなく、反応
温度が80℃より高い場合にはヒドロキシマロン酸 (ター
トロン酸) 並びにグリコール酸及び炭酸などの分解物が
生成しグリセリン酸生成の選択率が低下する。
80℃、好ましくは30〜70℃に維持する。反応水溶液の温
度が20℃未満では反応の進行が遅く好ましくなく、反応
温度が80℃より高い場合にはヒドロキシマロン酸 (ター
トロン酸) 並びにグリコール酸及び炭酸などの分解物が
生成しグリセリン酸生成の選択率が低下する。
【0015】Pt触媒としては、市販のもの、例えば5重
量%Pt/カーボン(カーボンにPtを担持させたもの)が
使用される。これ以外の反応条件については、Pd触媒の
場合に記載した反応条件で行なわれる。
量%Pt/カーボン(カーボンにPtを担持させたもの)が
使用される。これ以外の反応条件については、Pd触媒の
場合に記載した反応条件で行なわれる。
【0016】このようにして得られるグリセリン酸又は
その塩の純度は約50〜70重量%程度であり、不純物とし
て、未反応のグリセリン、及び副生するヒドロキシマロ
ン酸(タートロン酸)又はその塩、グリコール酸又はそ
の塩、炭酸又はその塩などの低級酸又はその塩、グリセ
ルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等を含有する。
その塩の純度は約50〜70重量%程度であり、不純物とし
て、未反応のグリセリン、及び副生するヒドロキシマロ
ン酸(タートロン酸)又はその塩、グリコール酸又はそ
の塩、炭酸又はその塩などの低級酸又はその塩、グリセ
ルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等を含有する。
【0017】純度の向上した、グリセリン酸アルカリ土
類金属塩の製造法 純度の向上した、グリセリン酸アルカリ土類金属塩は次
のような方法で得ることができる。不純物を含有するグ
リセリン酸アルカリ土類金属塩を水に溶解し、5〜20重
量%、好ましくは5〜15重量%の水溶液とする。つい
で、この水溶液に、水と混合し得る溶媒を加え、室温付
近で混合し、グリセリン酸のアルカリ土類金属塩を晶析
させ、濾過・乾燥により純度の向上したグリセリン酸ア
ルカリ土類金属塩を回収する。
類金属塩の製造法 純度の向上した、グリセリン酸アルカリ土類金属塩は次
のような方法で得ることができる。不純物を含有するグ
リセリン酸アルカリ土類金属塩を水に溶解し、5〜20重
量%、好ましくは5〜15重量%の水溶液とする。つい
で、この水溶液に、水と混合し得る溶媒を加え、室温付
近で混合し、グリセリン酸のアルカリ土類金属塩を晶析
させ、濾過・乾燥により純度の向上したグリセリン酸ア
ルカリ土類金属塩を回収する。
【0018】この場合におけるアルカリ土類金属塩とし
ては、例えばマグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ム、バリウム等の塩が挙げられる。また水と混合し得る
溶媒の添加量は、水に対し1〜10倍容量が好ましく、更
に好ましくは2〜6倍容量である。水と混合し得る溶媒
としては、メタノール、エタノール及びプロパノールか
ら選ばれる炭素数1〜3のアルコール又はジオキサン等
が挙げられる。純度の向上した、グリセリン酸又はその塩(アルカリ土
類金属塩を除く)の製造法 純度の向上した、グリセリン酸又はその塩(アルカリ土
類金属塩を除く)は次のような方法で得ることができ
る。まず、不純物を含有するグリセリン酸については、
アルカリ土類金属の水酸化物等により中和反応を行い不
純物を含有するグリセリン酸アルカリ土類金属塩とし、
また不純物を含有するグリセリン酸塩(アルカリ土類金
属塩を除く)については常法により塩交換反応を行い不
純物を含有するグリセリン酸アルカリ土類金属塩とす
る。即ち、不純物を含有するグリセリン酸又はその塩
(アルカリ土類金属塩を除く)を水溶液とし、この水溶
液とアルカリ土類金属(例えばマグネシウム、カルシウ
ム、ストロンチウム、バリウム等)の水酸化物、酸化
物、塩化物(以下アルカリ土類金属化合物という)と
を、室温ないし80℃で混合する。アルカリ土類金属化合
物の量は、グリセリン酸又はその塩に対し、ほぼ1/2
モルが適当である。グリセリン酸又はその塩(アルカリ
土類金属塩を除く)の水溶液と、アルカリ土類金属化合
物とを混合した場合、液は最初は不透明であるが、直ち
に、グリセリン酸アルカリ土類金属塩となり溶解し、液
は透明となる。
ては、例えばマグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ム、バリウム等の塩が挙げられる。また水と混合し得る
溶媒の添加量は、水に対し1〜10倍容量が好ましく、更
に好ましくは2〜6倍容量である。水と混合し得る溶媒
としては、メタノール、エタノール及びプロパノールか
ら選ばれる炭素数1〜3のアルコール又はジオキサン等
が挙げられる。純度の向上した、グリセリン酸又はその塩(アルカリ土
類金属塩を除く)の製造法 純度の向上した、グリセリン酸又はその塩(アルカリ土
類金属塩を除く)は次のような方法で得ることができ
る。まず、不純物を含有するグリセリン酸については、
アルカリ土類金属の水酸化物等により中和反応を行い不
純物を含有するグリセリン酸アルカリ土類金属塩とし、
また不純物を含有するグリセリン酸塩(アルカリ土類金
属塩を除く)については常法により塩交換反応を行い不
純物を含有するグリセリン酸アルカリ土類金属塩とす
る。即ち、不純物を含有するグリセリン酸又はその塩
(アルカリ土類金属塩を除く)を水溶液とし、この水溶
液とアルカリ土類金属(例えばマグネシウム、カルシウ
ム、ストロンチウム、バリウム等)の水酸化物、酸化
物、塩化物(以下アルカリ土類金属化合物という)と
を、室温ないし80℃で混合する。アルカリ土類金属化合
物の量は、グリセリン酸又はその塩に対し、ほぼ1/2
モルが適当である。グリセリン酸又はその塩(アルカリ
土類金属塩を除く)の水溶液と、アルカリ土類金属化合
物とを混合した場合、液は最初は不透明であるが、直ち
に、グリセリン酸アルカリ土類金属塩となり溶解し、液
は透明となる。
【0019】次に、上記のようにして得られた不純物を
含むグリセリン酸アルカリ土類金属塩を含有する水溶液
に、水と混合し得る溶媒を加えて、室温でグリセリン酸
アルカリ土類金属塩を晶析させ、濾過・乾燥により、純
度の向上したグリセリン酸アルカリ土類金属塩を得る。
水と混合し得る溶媒の種類、使用量は前記の通りであ
る。更に得られた純度の向上したグリセリン酸アルカリ
土類金属塩に、必要に応じ、硫酸等の酸を加え、沈殿と
して生成する硫酸アルカリ土類金属塩等を除いたあと、
濃縮して純度の向上したグリセリン酸を得ることができ
る。また、純度の向上したグリセリン酸アルカリ土類金
属塩に、ナトリウム、カリウム等の所望の金属の硫酸塩
又は炭酸塩を加え、沈殿として生成する硫酸アルカリ土
類金属塩又は炭酸アルカリ土類金属塩を除いたあと、濃
縮して、純度の向上した所望のグリセリン酸金属塩を得
ることができる。この場合における所望の金属の塩(ア
ルカリ土類金属塩を除く)の種類は特に限定されない
が、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩
などがある。また更に常法により塩交換して純度の向上
したグリセリン酸塩を得ることができる。この場合にお
ける塩の種類は特に限定されないが、例えばアンモニウ
ム塩、総炭素数2〜9のアルカノールアンモニウム塩、
総炭素数1〜36のアルキルアンモニウム塩又は塩基性ア
ミノ酸塩等を挙げることができる。
含むグリセリン酸アルカリ土類金属塩を含有する水溶液
に、水と混合し得る溶媒を加えて、室温でグリセリン酸
アルカリ土類金属塩を晶析させ、濾過・乾燥により、純
度の向上したグリセリン酸アルカリ土類金属塩を得る。
水と混合し得る溶媒の種類、使用量は前記の通りであ
る。更に得られた純度の向上したグリセリン酸アルカリ
土類金属塩に、必要に応じ、硫酸等の酸を加え、沈殿と
して生成する硫酸アルカリ土類金属塩等を除いたあと、
濃縮して純度の向上したグリセリン酸を得ることができ
る。また、純度の向上したグリセリン酸アルカリ土類金
属塩に、ナトリウム、カリウム等の所望の金属の硫酸塩
又は炭酸塩を加え、沈殿として生成する硫酸アルカリ土
類金属塩又は炭酸アルカリ土類金属塩を除いたあと、濃
縮して、純度の向上した所望のグリセリン酸金属塩を得
ることができる。この場合における所望の金属の塩(ア
ルカリ土類金属塩を除く)の種類は特に限定されない
が、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩
などがある。また更に常法により塩交換して純度の向上
したグリセリン酸塩を得ることができる。この場合にお
ける塩の種類は特に限定されないが、例えばアンモニウ
ム塩、総炭素数2〜9のアルカノールアンモニウム塩、
総炭素数1〜36のアルキルアンモニウム塩又は塩基性ア
ミノ酸塩等を挙げることができる。
【0020】本発明が提供する、純度の向上した、グリ
セリン酸又はその塩の製造法は、上記の方法により得ら
れた不純物を含有するグリセリン酸又はその塩の純度を
向上させる場合のみではなく、次の方法で得られた、不
純物を含有するグリセリン酸又はその塩の純度を向上さ
せる場合にも適用し得る。 (a) 単糖を原料とし、微生物を用いた発酵でグリセリン
酸を得る方法。 (b) グリセルアルデヒドをハロゲンで酸化し、グリセリ
ン酸を得る方法。 (c) グリセリンを硝酸、硫酸、クロム酸等で酸化し、グ
リセリン酸を得る方法。
セリン酸又はその塩の製造法は、上記の方法により得ら
れた不純物を含有するグリセリン酸又はその塩の純度を
向上させる場合のみではなく、次の方法で得られた、不
純物を含有するグリセリン酸又はその塩の純度を向上さ
せる場合にも適用し得る。 (a) 単糖を原料とし、微生物を用いた発酵でグリセリン
酸を得る方法。 (b) グリセルアルデヒドをハロゲンで酸化し、グリセリ
ン酸を得る方法。 (c) グリセリンを硝酸、硫酸、クロム酸等で酸化し、グ
リセリン酸を得る方法。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0022】合成例1 不純物を含有するグリセリン酸
の合成 1リットルジャーファーメンターに、グリセリン 100g
(1.09モル)、脱イオン水450 g及び5重量%Pt/カー
ボン(50重量%含水品)30.0g(グリセリンに対し15重
量%)を仕込み、酸素ガスを4.9 リットル/Hrで流し
た。50℃まで昇温した後、同温度で13.5時間反応した。
反応水溶液のpHは2.3 〜3.2 に維持した。反応終了後、
冷却し、触媒を濾過によって除き、表1に示す組成を有
する濾液(水溶液)を得た。
の合成 1リットルジャーファーメンターに、グリセリン 100g
(1.09モル)、脱イオン水450 g及び5重量%Pt/カー
ボン(50重量%含水品)30.0g(グリセリンに対し15重
量%)を仕込み、酸素ガスを4.9 リットル/Hrで流し
た。50℃まで昇温した後、同温度で13.5時間反応した。
反応水溶液のpHは2.3 〜3.2 に維持した。反応終了後、
冷却し、触媒を濾過によって除き、表1に示す組成を有
する濾液(水溶液)を得た。
【0023】
【表1】
【0024】注) *:ヒドロキシマロン酸 実施例1 純度の向上したグリセリン酸カルシウム塩及
びナトリウム塩の製造 合成例1で得られた触媒濾過後の濾液80gに、水酸化カ
ルシウム1.62g(0.0219 モル) を加え、室温で2時間攪
拌した。その後、不溶物を濾過により除いた。濾液に 4
00mlのエタノールを加え30分攪拌後、更に30分放置し
た。析出したDL−グリセリン酸カルシウム塩を濾過・洗
浄後、50℃で一夜真空乾燥し、5.28gの粉末を得た。収
率は加えた水酸化カルシウムに換算して、96.4%であっ
た。なお、ガスクロマトグラフィーによる組成、カルシ
ウムの元素分析値及び水分は表2のとおりであり、理論
値とよく一致した。
びナトリウム塩の製造 合成例1で得られた触媒濾過後の濾液80gに、水酸化カ
ルシウム1.62g(0.0219 モル) を加え、室温で2時間攪
拌した。その後、不溶物を濾過により除いた。濾液に 4
00mlのエタノールを加え30分攪拌後、更に30分放置し
た。析出したDL−グリセリン酸カルシウム塩を濾過・洗
浄後、50℃で一夜真空乾燥し、5.28gの粉末を得た。収
率は加えた水酸化カルシウムに換算して、96.4%であっ
た。なお、ガスクロマトグラフィーによる組成、カルシ
ウムの元素分析値及び水分は表2のとおりであり、理論
値とよく一致した。
【0025】
【表2】
【0026】注) *:カッコ内は理論値 上記で得られたグリセリン酸カルシウム塩5.00g(0.02
mol)、炭酸ナトリウム2.12g(0.02mol)、及び脱イオン
水45gを混合し、室温で2時間攪拌した。生成した炭酸
カルシウムを濾過によって除いたあと、濾液を70℃でロ
ータリーエバポレーターで濃縮した。50℃で一夜乾燥し
て、5.05gのグリセリン酸ナトリウム塩の粉末を得た。
収率は98%であった。なお、ガスクロマトグラフィーに
よる組成、カルシウム、ナトリウムの元素分析値及び水
分は表3のとおりであり、理論値とよく一致した。
mol)、炭酸ナトリウム2.12g(0.02mol)、及び脱イオン
水45gを混合し、室温で2時間攪拌した。生成した炭酸
カルシウムを濾過によって除いたあと、濾液を70℃でロ
ータリーエバポレーターで濃縮した。50℃で一夜乾燥し
て、5.05gのグリセリン酸ナトリウム塩の粉末を得た。
収率は98%であった。なお、ガスクロマトグラフィーに
よる組成、カルシウム、ナトリウムの元素分析値及び水
分は表3のとおりであり、理論値とよく一致した。
【0027】
【表3】
【0028】注) *:カッコ内は理論値
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、純度の向上した、グリ
セリン酸又はその塩の効率的な製造法を提供することが
できる。
セリン酸又はその塩の効率的な製造法を提供することが
できる。
Claims (2)
- 【請求項1】 不純物を含有するグリセリン酸のアルカ
リ土類金属塩について、晶析を行うことにより該不純物
を除去したのち、グリセリン酸のアルカリ土類金属塩を
回収することを特徴とする、純度の向上したグリセリン
酸アルカリ土類金属塩の製造法。 - 【請求項2】 不純物を含有するグリセリン酸又は不純
物を含有するグリセリン酸塩(但し、アルカリ土類金属
塩を除く)を、不純物を含有するグリセリン酸アルカリ
土類金属塩へ変換し、これについて晶析を行うことによ
り該不純物を除去したのち、グリセリン酸のアルカリ土
類金属塩を回収し、回収されたグリセリン酸のアルカリ
土類金属塩について、酸を加えてグリセリン酸とするか
又は塩交換反応を行うことを特徴とする、純度の向上し
た、グリセリン酸又はグリセリン酸塩(但し、アルカリ
土類金属塩を除く)の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14919592A JP3235869B2 (ja) | 1992-06-09 | 1992-06-09 | 純度の向上した、グリセリン酸又はその塩の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14919592A JP3235869B2 (ja) | 1992-06-09 | 1992-06-09 | 純度の向上した、グリセリン酸又はその塩の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05339200A true JPH05339200A (ja) | 1993-12-21 |
JP3235869B2 JP3235869B2 (ja) | 2001-12-04 |
Family
ID=15469899
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14919592A Expired - Fee Related JP3235869B2 (ja) | 1992-06-09 | 1992-06-09 | 純度の向上した、グリセリン酸又はその塩の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3235869B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010130908A (ja) * | 2008-12-02 | 2010-06-17 | National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology | グリセリン酸塩の製造方法 |
-
1992
- 1992-06-09 JP JP14919592A patent/JP3235869B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010130908A (ja) * | 2008-12-02 | 2010-06-17 | National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology | グリセリン酸塩の製造方法 |
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---|---|
JP3235869B2 (ja) | 2001-12-04 |
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