JPH0533210A - 抗菌抗カビ防臭性短繊維 - Google Patents

抗菌抗カビ防臭性短繊維

Info

Publication number
JPH0533210A
JPH0533210A JP3178555A JP17855591A JPH0533210A JP H0533210 A JPH0533210 A JP H0533210A JP 3178555 A JP3178555 A JP 3178555A JP 17855591 A JP17855591 A JP 17855591A JP H0533210 A JPH0533210 A JP H0533210A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
short fibers
fiber
antibacterial
chitosan
fibers
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3178555A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Ezaki
孝二 江崎
Koji Tanaka
広司 田中
Nobuo Noguchi
信夫 野口
Shigetaka Nishimura
重孝 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP3178555A priority Critical patent/JPH0533210A/ja
Publication of JPH0533210A publication Critical patent/JPH0533210A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】人体に対する毒性がなく、安全性が極めて高
く、抗菌性、抗カビ性および防臭性を有し、一般衣料
材、医療衛生材、生活関連材、寝装材用の素材として好
適に使用することができる優れた短繊維を提供する。 【構成】単糸繊度が、5デニール以下の複合型短繊維
に、キチンの脱アセチル化物の有機酸塩が付着されてい
る。この複合型短繊維は、ポリエステル、ポリオレフィ
ン、ポリアミドなどの繊維形成性熱可塑性重合体から構
成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗菌性、抗カビ性および
防臭性を有し、肌着、靴下などの一般衣料材、病院用ベ
ッドシーツ、包帯、パップ材基布およびおむつなどの医
療衛生材、まくらカバー、手袋、タオル、エプロンなど
の生活関連材、シーツ、布団カバー、布団詰綿などの寝
装材などの原料として好適に使用できる短繊維に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、健康的で快適な生活環境作りの必
要性から、抗菌防臭加工を施した繊維製品が数多く提案
されている。
【0003】例えば、特公昭63−54013 号公報、特開昭
63−175117号公報、特開平1−250413号公報にはゼオラ
イトに担持させた抗菌性金属(Ag、Cu、Zn)のイ
オン的解離により抗菌性を付与することが提案されてい
る。また、抗菌性を付与するためにビグアナイト誘導
体、有機シリコン系第四級アンモニウム塩などの各種抗
菌剤を繊維や布帛に塗付する方法も提案されている。
【0004】しかしながら、これらの方法で得られた繊
維や布帛は、いずれも用いられている抗菌剤が人体に対
し必ずしも安全でなく、使用する用途によっては人体、
特に新生児などの皮膚の弱い者に対しカブレを生じるな
ど、衛生上問題がある。
【0005】そこで近年、人体に対する毒性がなく安全
性の極めて高いキトサンまたはキトサン誘導体を抗菌製
品に適用しようとする試みがなされている。キトサンの
抗菌性を利用した製品としては、例えば、特開昭62−83
875号公報、特開昭63−102623号公報にキトサンが付与
されたフイルムあるいは漁網が提案されている。
【0006】上記キトサンの安全性については、キトサ
ンを含むキチン質がカニ、エビあるいは茸などの農産物
として食用に供されてきた実績からも裏付けられてい
る。また、最近、ダイエット食品への添加が行なわれ、
厚生省がまとめた天然食品添加物リストにも掲載されて
いる。また、キトサンの構成単位であるD−グルコサミ
ンは、体内で生理機能を担う構成物質として存在し、代
謝機能が備わっていることが知られている。さらに、マ
ウス、ラットによる一般毒性、局所毒性の検索において
も急性毒性、変異原性は見られず、人パッチテストにお
いてもほとんど無刺激性であることが報告されている。
【0007】ところが、キトサンを付与した上記従来例
は、フイルムや漁網については記述しているが、原綿の
ままの状態や織編物、不織布などの布帛の形態にして、
肌着、靴下などの一般衣料材、病院用ベッドシーツ、包
帯、パップ剤基布およびおむつなどの医療衛生材、まく
らカバー、手袋、タオル、エプロンなどの生活関連材、
シーツ、布団カバー、布団詰綿などの寝装材といった人
体に直接触れる用途についての提案はなされていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、人体に対す
る毒性がなく、安全性が極めて高く、抗菌性、抗カビ性
および防臭性を有し、一般衣料材、医療衛生材、生活関
連材、寝装材などの原料として好適に使用することがで
きる優れた短繊維を提供しようとするものである
【0009】。
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な課題を解決すべく鋭意検討の結果、本発明に到達し
た。
【0010】すなわち本発明は、熱可塑性重合体からな
る短繊維であって、キチンの脱アセチル化物が短繊維に
付着されていることを特徴とする抗菌抗カビ防臭性短繊
維を要旨とするものである。
【0011】まず、本発明の抗菌抗カビ防臭性短繊維に
関して説明する。本発明の短繊維は、熱可塑性重合体か
ら構成され、短繊維にキチンの脱アセチル化物が付着さ
れているものである。
【0012】本発明でいう短繊維は、繊維形成性を有す
る熱可塑性重合体からなるものであって、単一重合体か
らなるもの、または2種以上の重合体が混合されたもの
からなるもの、または2種以上の重合体が芯鞘型あるい
はサイドバイサイド型などに複合されたものなどであ
る。熱可塑性重合体としては、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステ
ルなどのポリエステル、線状低密度ポリエチレン、低密
度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン
などのポリオレフィンあるいはナイロン6、ナイロン6
6、ナイロン610 、ナイロン46などのポリアミドが挙げ
られ、複合繊維の場合には、ポリエチレンテレフタレー
トと高密度ポリエチレンの組合せやポリプロピレンと線
状低密度ポリエチレンの組合せ、ポリプロピレンのホモ
ポリマーとエチレンがランダムに共重合されたポリプロ
ピレン系共重合体との組合わせなどが挙げられる。
【0013】この短繊維の単糸繊度は特に限定されない
が、特に医療衛生材や寝装材などの用途において柔軟性
が要求される場合には、5デニール以下好ましくは2デ
ニール以下とするのがよい。なお、この単糸繊度が 0.5
デニール未満となると、例えば、カード機を用い、原綿
を開繊してウエブを作成する場合、短繊維のカード通過
性が低下するので好ましくない。
【0014】短繊維の繊維長は、この短繊維の用途に応
じて適宜決定される。例えば、この短繊維を用いて不織
布を作成する場合、この不織布が強力を必要とする際に
は、繊維長を25mm以上好ましくは35mm以上とする。ま
た、不織布作成に際しカード機を用い、短繊維を開繊し
てウエブを形成させる場合には、繊維長を25mm以上80mm
以下とするのがよく、繊維長が25mm未満であると、ある
いは80mmを超えると、短繊維のカード通過性が低下する
ので好ましくない。また、抄紙法により不織布を作成す
る場合には、繊維長を10mm以下とするのがよく、繊維長
が10mmを超えると、短繊維を液中に分散させる際、短繊
維同士が絡み合うといった問題があるので好ましくな
い。
【0015】この短繊維の断面形状としては、丸型ある
いは三角型などの異型であっても、また中空断面型であ
ってもよい。本発明の抗菌抗カビ防臭性短繊維は、前述
したように、前記短繊維にキチンの脱アセチル化物が付
着されているものである。
【0016】本発明でいう抗菌抗カビ防臭成分であるキ
チンの脱アセチル化物としては、例えば主としてカニ、
エビなどの甲殼類の外殻からカルシウム、タンパク質な
どの狭雑物を酸およびアルカリ処理で除去して得られる
キチンを酸処理あるいは酵素処理することによって脱ア
セチル化した分子量数十万のアミノ基を有する高分子量
ポリマー、いわゆるキトサンが挙げられる。またキトサ
ンを酸あるいは酵素処理で適度に分解した分子量数千か
ら数万の比較的低分子量のポリマーであってもよい。こ
のキトサンの脱アセチル化度は、有機酸、無機酸への溶
解性および抗菌性から考慮して、50%以上であることが
好ましい。
【0017】次に、本発明の抗菌抗カビ防臭性短繊維を
製造する方法に関して説明する。本発明では、まず通常
の溶融紡糸装置を用いて前記重合体からなる長繊維を紡
出し、紡出糸を一旦巻取り、得られた未延伸糸パッケー
ジを複数個集め、複数本の未延伸糸を解舒集束してトウ
とした状態で延伸する。あるいは、紡出糸を一旦巻取る
ことなく、未延伸糸を複数本集束してトウとした状態で
延伸する。紡糸に際し、引取り速度は、通常 100〜1500
m/分程度とするのがよい。集束したトウの延伸は、2
段以上の多段延伸とする。延伸に際し、延伸倍率は、繊
維を構成する重合体の種類や短繊維に要求される強力レ
ベルによるが、通常 1.5〜6.0 倍程度とするのがよい。
【0018】次いで、得られた延伸トウにスタッファー
型捲縮付与装置などを用いて機械捲縮を付与した後、所
定長に切断して短繊維とする。捲縮数は、この短繊維を
用いる用途にもよるが、通常8〜20個/インチ程度とす
るのがよい。
【0019】次に、繊維にキチンの脱アセチル化物、例
えばキトサンまたはキトサン軽度分解物の有機塩酸ある
いは無機塩酸の水溶性処理液を塗付する方法について述
べる。塗付の方法としては、ローラー法、浸漬法、噴霧
法などを用いることができる。塗付は、前記短繊維製造
工程中、繊維紡出からトウ作成間、延伸工程直前、捲縮
付与工程から乾燥処理工程間あるいは乾燥処理工程から
繊維切断工程間などのいずれにおいて行なってもよい
が、通常、捲縮付与工程から乾燥処理工程間において塗
付するのが好ましい。
【0020】前記処理液の調整は、次の方法により行な
う。まずキトサンまたはキトサン軽度分解物を水に膨潤
させた後、酸に溶解する。可溶化のために使用する酸と
しては、蟻酸、酢酸、乳酸、クエン酸、アジピン酸、グ
ルコン酸、酒石酸などの有機酸または塩酸、燐酸などの
無機酸などを用いることができる。
【0021】次いで、前記繊維に処理液を塗付した後、
乾燥、熱処理を施す。乾燥および熱処理は、通常の熱風
乾燥機で行ない、水分を蒸発させるとともにキチンの脱
アセチル化物を繊維表面上に付着させる。乾燥温度は、
通常、前記繊維を構成する熱可塑性重合体の融点より5
℃以上低い温度とするとよい。
【0022】塗付速度は、前記短繊維の生産速度でよ
く、何ら生産速度を制限するものではない。塗付方法、
塗付速度、処理液粘度などの違いによる付着量の調節
は、処理液濃度を変更することにより行なう。なお、こ
の短繊維には油剤を塗付してもよく、例えば帯電防止
剤、吸水剤、発水剤などの油剤と前記処理液とを混合
し、同時に塗付してもよい。
【0023】なお、本発明の抗菌抗カビ防臭性短繊維
は、他の短繊維と混合して用いてもよい。ここでいう他
の短繊維とは、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフ
ィンなどの合成繊維、綿、羊毛、麻などの天然繊維、ア
クリル、レーヨン、アセテートのほかアスベストやロッ
クウールなどの鉱物質繊維をいう。
【0024】本発明でいう短繊維を他の短繊維と混合す
るに際しては、本発明の短繊維と他の短繊維を例えば、
混打綿機を用いて混繊すればよい。なお、得られた混綿
は梳綿機などの手段によりカーディングし、練条機で牽
切してスライバーにした後、粗糸を作成し、精紡機を用
いて精紡することにより、あるいは両短繊維を予め別々
にカーディング、牽切して粗糸とし、両粗糸を精紡機を
用いて混合紡績することにより、紡績糸とすることがで
きる。また、他の短繊維としてアスベスト、ロックウー
ルを用いる場合は、抄紙法により、分散液中で本発明の
短繊維とアスベスト、ロックウールとを混合させた後、
抄紙することで湿式不織布を得ることができる。なお、
この抄紙法により混合不織布を得る方法は、他の繊維と
してアスベスト、ロックウール以外の繊維を用いる場合
にも用いることができる。
【0025】
【作用】本発明の抗菌抗カビ防臭性短繊維は、前述した
ように、熱可塑性重合体からなる短繊維にキチンの脱ア
セチル化物が付着されているので、抗菌、抗カビおよび
防臭性が発現される。
【0026】キトサンの抗菌作用についてはカビの増殖
抑制作用やEscherichia coli (大腸菌)、Staphyloco
ccus aureus(黄色ぶどう球菌)、Pseudomonas aerug
inosa (緑膿菌)、Bacillus subtilis(枯草菌)など
のグラム陽性、グラム陰性細菌に対する増殖抑制作用が
報告されている。これら抗菌作用の詳細は不明である
が、四級化したキトサンのカチオン性アミノ基によって
菌の細胞壁中の陰イオン構成物質が吸着され、その結
果、細胞壁の生合成が阻害あるいは壁内外の物質の能動
輸送が阻止されるため抗菌作用が発現されるものと推定
されている。
【0027】本発明の抗菌抗カビ防臭性短繊維では、優
れた抗菌性、抗カビ性および防臭性が発現する。さら
に、身の回りに存在する多くのカビや細菌が、下着やソ
ックスに吸着した汗の成分を資化して繁殖し、不快な臭
いを発生するが、本発明の短繊維によれば、これら微生
物の繁殖をキトサンまたはキトサン軽度分解物の有機酸
塩あるいは無機酸塩で抑制することで、臭いの発生を押
さえることも可能である。
【0028】したがって、本発明の抗菌抗カビ防臭性短
繊維は、単独または他の繊維と混合し、原綿のままの状
態や紡績糸あるいは織編物、不織布などの布帛の形態
で、一般衣料材、医療衛生材、生活関連材あるいは寝装
材などの原料として利用することができる。
【0029】
【実施例】次に実施例に基づいて本発明を具体的に説明
する。実施例において、キチンの脱アセチル化物とし
て、BL型粘度計を用い、試料濃度1重量%、温度20℃
で測定した粘度が9.8 センチポイズ、脱アセチル化度が
91.6%のキトサンを用い、このキトサン1重量部に対し
イオン交換水25重量部を加えてキトサンを膨潤させた
後、氷酢酸0.2 重量部と、イオン交換水23.8重量部を加
え、キトサン酢酸塩水溶液を作成した。
【0030】抗菌性は、シェイクフラスコ法(繊維製品
衛生加工協議会認定の抗菌効果試験方法)により菌減少
率(%)を測定することにより評価した。なお、前記評
価に当っては、使用菌株としてK.pneumoniae ATC
C4352を用いた。
【0031】短繊維の引張り強伸度は、東洋ボールドウ
ィン社製テンシロンUTM−4−100 を用い、試料長20
mmの試料を引張り速度20mm/分で測定した。短繊維の引
張り強力は、JIS L−1096に記載のストリップ法に
準じ、幅25mm、長さ100mm の試験片から最大引張り強力
を測定し求めた。
【0032】実施例1 融点が 128℃、メルトインデックスが80g/10分のポリ
エチレン重合体Aと、融点が 258℃、固有粘度が0.70の
ポリエステル重合体Bを、複合紡糸孔 200孔を有する紡
糸口金4錘から紡出し、重合体Aを鞘成分、重合体Bを
芯成分とする芯鞘複合型長繊維を紡出した。単孔吐出量
は、重合体A、B共に 0.3g/分(成分Aと成分Bの重
量比は1:1)とした。紡出された長繊維糸条を冷却し
た後、巻取り速度1200m/分で巻取って芯鞘複合型未延
伸糸のパッケージを得た。得られたパッケージを複数個
集め、複数本の未延伸糸を解舒集束してトウとした状態
で延伸した。延伸は2段延伸とし、延伸倍率2.15倍とし
た。次いで、得られた延伸処理トウにスタッファー型捲
縮付与装置を用いて機械捲縮を付与した後、上記複合型
繊維にキトサン酢酸水溶液を塗付した。塗付は噴霧法に
よって行ない、所定濃度に調整したキトサン酢酸塩水溶
液を上記複合型繊維に向かって噴霧した後、120℃の熱
風乾燥機を用いて乾燥し、所定長に切断して短繊維を得
た。これらの短繊維はいずれも、捲縮数が約14個/イン
チであり、繊維長は約51mm、単糸繊度は約2デニールで
あった。なお、キトサン酢酸塩水溶液を塗付するに際し
ては、前記処理原液にイオン交換水を加えて濃度を変更
し、キトサン酢酸塩の付着量の異なる短繊維(実施例1
−1から実施例1−5)を採取した。
【0033】比較例1 キトサン酢酸塩水溶液の代りに、イオン交換水を噴霧塗
付した以外は実施例1と同様な工程で短繊維を得た。
【0034】実施例1で得た短繊維(実施例1−1から
1−5)の短繊維50g当たりのキトサン酢酸塩付着量、
シェイクフラスコ菌減少率試験の結果を、また、比較例
1で得た短繊維の菌減少率試験の結果を表1に示す。
【0035】表1からも明らかなように、本発明の実施
例1−1〜1−5のキトサン酢酸塩が一定量以上付着さ
れた短繊維は、高い菌減少率を示した。
【0036】
【表1】
【0037】実施例2 実施例1で作成した短繊維(実施例1−3および1−
4)を用い、池上機械株式会社製ローラーカード機M32
型タイプ60−M32を使用してウエブを作成した。次に、
得られたウエブを温度 135℃の熱風循環型乾燥機を使用
して、処理時間60秒でウエブを熱接着して不織布(実施
例2−1および2−2)とした。得られた不織布は目付
がいずれも50g/m2 、機械の進行方向の引張り強力が
それぞれ10.9kg/25mm、11.5kg/25mm、横方向の引張り
強力がそれぞれ1.77kg/25mm、1.68kg/25mmであった。
【0038】比較例2 実施例1の短繊維の代りに、比較例1で得た短繊維を用
いた以外は、実施例2と同様の方法で短繊維不織布(比
較例2)を得た。
【0039】実施例2および比較例2で得た短繊維不織
布(実施例2−1、2−2および比較例2)の不織布1
2 当たりのキトサン酢酸塩の付着量、および菌減少率
試験の結果を表2に示した。
【0040】表2からも明らかなように、本発明実施例
2−1および2−2のキトサン酢酸塩が付着された短繊
維からなる不織布は、菌減少率が極めて高いものであ
る。また、本発明実施例2のキトサン酢酸塩が付着され
た短繊維の抗菌性は、カーディングおよび熱処理に対し
ても優れた耐性を有するものである。
【0041】
【表2】
【0042】実施例3 実施例1で得た短繊維(実施例1−4)と、繊度 1.5デ
ニール、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート繊維
とを用い、混打綿機を用いて表3に示した混合率で混綿
し、得られた混綿を、梳綿機によりカーディングし、練
条機でスライバーにした後、粗糸を作成し、リングツイ
スターを用いて精紡することにより混合紡績糸を作成し
た。次いで、この糸を用いて、織密度(経方向:85本/
インチ、緯方向:50本/インチ)で製織し、布帛を得
た。なお、前記布帛作成に当たっては、キトサン付着短
繊維とポリエチレンテレフタレート短繊維の混合比を変
えて、3種の布帛(実施例3−1から3−3)を作成し
た。
【0043】比較例3 実施例1−3の短繊維の代りに、比較例1で得た短繊維
(比較例1)を用いた以外は実施例3と同様の方法で、
比較例1の短繊維とポリエチレンテレフタレート短繊維
の混合重量比が1:1の布帛(比較例3)を得た。
【0044】実施例3で得た布帛(実施例3−1から3
−3)を構成する2種の短繊維の混合比を、また実施例
3−1から3−3、比較例3の布帛の菌減少率試験の結
果を表3に示した。
【0045】表3からも明らかなように、実施例3のキ
トサン付着短繊維とポリエチレンテレフタレート短繊維
の混繊紡績糸からなる布帛は、高い菌減少率を有するも
のであった。
【0046】
【表3】
【0047】実施例4 ポリエチレンテレフタレート短繊維の代りに、平均繊維
長1インチ、平均繊度2デニールの綿を用いた以外は実
施例3と同様の方法で3種の布帛(実施例4−1から4
−3)を得た。
【0048】比較例4 実施例1−3の短繊維の代りに、比較例1で得た短繊維
(比較例1)を用いた以外は実施例4と同様の方法で、
比較例1の短繊維と綿との混合重量比が1:1の布帛
(比較例4)を得た。
【0049】実施例4で得た布帛(実施例4−1から4
−3)を構成する2種の短繊維の混合比および実施例4
−1から4−3、比較例4の布帛の菌減少率試験の結果
を表4に示した。
【0050】表4からも明らかなように、実施例4のキ
トサン付着短繊維と綿の混繊紡績糸からなる布帛は、高
い菌減少率を有している。
【0051】
【表4】
【0052】実施例5 捲縮工程を省いた以外は実施例1と同様の方法で、繊度
2デニール、繊維長5mm、短繊維50g当たりのキトサン
酢酸塩付着量が28×10-3g/50gの短繊維を得た。この
短繊維と、繊度2デニール、繊維長5mmのポリエチレン
テレフタレート(融点258 ℃、相対粘度が1.38)を芯成
分、高密度ポリエチレン(融点136 ℃、メルトインデッ
クスが20g/10分)を鞘成分とする複合繊維〔ユニチカ
株式会社製メルティ(登録商標)〕とを混合し、抄紙法
によって目付50g/m2 の湿式不織布を作成した。な
お、上記湿式不織布作成に当たっては、上記2種の短繊
維の混合比を変えて3種の不織布(実施例5−1から5
−3)を作成した。
【0053】比較例5 キトサン酢酸塩水溶液の代りにイオン交換水を用いた以
外は、実施例5と同様の方法で湿式不織布を得た。
【0054】実施例5で得た不織布(実施例5−1から
5−3)の短繊維混合比、菌減少率試験の結果、および
比較例5の不織布の菌減少率試験の結果を表5に示す。
表5からも明らかなように、実施例5で得た不織布(実
施例5−1から5−3)は高い菌減少率を有していた。
【0055】
【表5】
【0056】
【発明の効果】本発明の抗菌抗カビ防臭性短繊維は、前
記構成をとるものであり、優れた抗菌性、抗カビ性およ
び防臭性を有する。しかもキチンの脱アセチル化物を用
いているので無毒性であるとともに、使用に際してカブ
レなど人体への影響を生じることもなく、安全性が極め
て高い。
【手続補正書】
【提出日】平成4年1月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 抗菌抗カビ防臭性短繊維
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗菌性、抗カビ性および
防臭性を有し、肌着、靴下などの一般衣料材、病院用ベ
ッドシーツ、包帯、パップ材基布およびおむつなどの医
療衛生材、まくらカバー、手袋、タオル、エプロンなど
の生活関連材、シーツ、布団カバー、布団詰綿などの寝
装材などの原料として好適に使用できる短繊維に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、健康的で快適な生活環境作りの必
要性から、抗菌防臭加工を施した繊維製品が数多く提案
されている。
【0003】例えば、特公昭63−54013 号公報、特開昭
63−175117号公報、特開平1−250413号公報にはゼオラ
イトに担持させた抗菌性金属(Ag、Cu、Zn)のイ
オン的解離により抗菌性を付与することが提案されてい
る。また、抗菌性を付与するためにビグアナイト誘導
体、有機シリコン系第四級アンモニウム塩などの各種抗
菌剤を繊維や布帛に塗付する方法も提案されている。
【0004】しかしながら、これらの方法で得られた繊
維や布帛は、いずれも用いられている抗菌剤が人体に対
し必ずしも安全でなく、使用する用途によっては人体、
特に新生児などの皮膚の弱い者に対しカブレを生じるな
ど、衛生上問題がある。
【0005】そこで近年、人体に対する毒性がなく安全
性の極めて高いキトサンまたはキトサン誘導体を抗菌製
品に適用しようとする試みがなされている。キトサンの
抗菌性を利用した製品としては、例えば、特開昭62−83
875号公報、特開昭63−102623号公報にキトサンが付与
されたフイルムあるいは漁網が提案されている。
【0006】上記キトサンの安全性については、キトサ
ンを含むキチン質がカニ、エビあるいは茸などの農産物
として食用に供されてきた実積からも裏付けられてい
る。また、最近、ダイエット食品への添加が行なわれ、
厚生省がまとめた天然食品添加物リストにも掲載されて
いる。また、キトサンの構成単位であるD−グルコサミ
ンは、体内で生理機能を担う構成物質として存在し、代
謝機能が備わっていることが知られている。さらに、マ
ウス、ラットによる一般毒性、局所毒性の検索において
も急性毒性、変異原牲は見られず、人パッチテストにお
いてもほとんど無刺激性であることが報告されている。
【0007】ところが、キトサンを付与した上記従来例
は、フイルムや漁網については記述しているが、原綿の
ままの状態や織編物、不織布などの布帛の形態にして、
肌着、靴下などの一般衣料材、病院用ベッドシーツ、包
帯、パップ剤基布およびおむつなどの医療衛生材、まく
らカバー、手袋、タオル、エプロンなどの生活関連材、
シーツ、布団カバー、布団詰綿などの寝装材といった人
体に直接触れる用途についての提案はなされていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、人体に対す
る毒性がなく、安全性が極めて高く、抗菌性、抗カビ性
および防臭性を有し、一般衣料材、医療衛生材、生活関
連材、寝装材などの原料として好適に使用することがで
きる優れた短繊維を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な課題を解決すべく鋭意検討の結果、本発明に到達し
た。
【0010】すなわち本発明は、熱可塑性重合体からな
る短繊維であって、キチンの脱アセチル化物の有機酸塩
が短繊維に付着されていることを特徴とする抗菌抗カビ
防臭性短繊維を要旨とするものである。
【0011】まず、本発明の抗菌抗カビ防臭性短繊維に
関して説明する。本発明の短繊維は、熱可塑性重合体か
ら構成され、短繊維にキチンの脱アセチル化物の有機塩
酸が付着されているものである。
【0012】本発明でいう短繊維は、繊維形成性を有す
る熱可塑性重合体からなるものであって、単一重合体か
らなるもの、または2種以上の重合体が混合されたもの
からなるもの、または2種以上の重合体が芯鞘型あるい
はサイドバイサイド型などに複合されたものなどであ
る。熱可塑性重合体としては、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステ
ルなどのポリエステル、線状低密度ポリエチレン、低密
度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン
などのポリオレフィンあるいはナイロン6、ナイロン6
6、ナイロン610 、ナイロン46などのポリアミドが挙げ
られ、複合繊維の場合には、ポリエチレンテレフタレー
トと高密度ポリエチレンの組み合わせやポリプロピレン
と線状低密度ポリエチレンの組み合わせ、ポリプロピレ
ンのホモポリマーとエチレンがランダムに共重合された
ポリプロピレン系共重合体との組み合わせなどが挙げら
れる。
【0013】この短繊維の単糸繊度は特に限定されない
が、特に医療衛生材や寝装材などの用途において柔軟性
が要求される場合には、5デニール以下好ましくは2デ
ニール以下とするのがよい。なお、この単糸繊度が 0.5
デニール未満となると、例えば、カード機を用い、原綿
を開繊してウエブを作成する場合、短繊維のカード通過
性が低下するので好ましくない。
【0014】短繊維の繊維長は、この短繊維の用途に応
じて適宜決定される。例えば、この短繊維を用いて不織
布を作成する場合、この不織布が強力を必要とする際に
は、繊維長を25mm以上好ましくは35mm以上とする。ま
た、不織布作成に際しカード機を用い、短繊維を開繊し
てウエブを形成させる場合には、繊維長を25mm以上80mm
以下とするのがよく、繊維長が25mm未満であると、ある
いは80mmを超えると、短繊維のカード通過性が低下する
ので好ましくない。また、抄紙法により不織布を作成す
る場合には、繊維長を10mm以下とするのがよく、繊維長
が10mmを超えると、短繊維を液中に分散させる際、短繊
維同士が絡み合うといった問題があるので好ましくな
い。
【0015】この短繊維の断面形状としては、丸型ある
いは三角型などの異型であっても、また中空断面型であ
ってもよい。本発明の抗菌抗カビ防臭性短繊維は、前述
したように、前記短繊維にキチンの脱アセチル化物の有
機酸塩が付着されているものである。
【0016】本発明でいう抗菌抗カビ防臭成分であるキ
チンの脱アセチル化物としては、例えば主としてカニ、
エビなどの甲殼類の外殻からカルシウム、タンパク質な
どの狭雑物を酸およびアルカリ処理で除去して得られる
キチンを酸処理あるいは酵素処理することによって脱ア
セチル化した分子量数十万のアミノ基を有する高分子量
ポリマー、いわゆるキトサンが挙げられる。またキトサ
ンを酸あるいは酵素処理で適度に分解した分子量数千か
ら数万の比較的低分子量のポリマーであってもよい。こ
のキトサンの脱アセチル化度は、有機酸への溶解性およ
び抗菌性から考慮して、50%以上であることが好まし
い。
【0017】次に、本発明の抗菌抗カビ防臭性短繊維を
製造する方法に関して説明する。本発明では、まず通常
の溶融紡糸装置を用いて前記重合体からなる長繊維を紡
出し、紡出糸を一旦巻取り、得られた未延伸糸パッケー
ジを複数個集め、複数本の未延伸糸を解舒集束してトウ
とした状態で延伸する。あるいは、紡出糸を一旦巻取る
ことなく、未延伸糸を複数本集束してトウとした状態で
延伸する。紡糸に際し、引取り速度は、通常 100〜1500
m/分程度とするのがよい。集束したトウの延伸は、2
段以上の多段延伸とする。延伸に際し、延伸倍率は、繊
維を構成する重合体の種類や短繊維に要求される強力レ
ベルによるが、通常 1.5〜6.0 倍程度とするのがよい。
【0018】次いで、得られた延伸トウにスタッファー
型捲縮付与装置などを用いて機械捲縮を付与した後、所
定長に切断して短繊維とする。捲縮数は、この短繊維を
用いる用途にもよるが、通常8〜20個/インチ程度とす
るのがよい。
【0019】次に、繊維にキチンの脱アセチル化物、例
えばキトサンまたはキトサン軽度分解物の有機塩酸の水
溶性処理液を塗付する方法について述べる。塗付の方法
としては、ローラー法、浸漬法、噴霧法などを用いるこ
とができる。塗付は、前記短繊維製造工程中、繊維紡出
からトウ作成間、延伸工程直前、捲縮付与工程から乾燥
処理工程間あるいは乾燥処理工程から繊維切断工程間な
どのいずれにおいて行なってもよいが、通常、捲縮付与
工程から乾燥処理工程間において塗付するのが好まし
い。
【0020】前記処理液の調整は、次の方法により行な
う。まずキトサンまたはキトサン軽度分解物を水に膨潤
させた後、酸に溶解する。可溶化のために使用する酸と
しては、蟻酸、酢酸、乳酸、クエン酸、アジピン酸、グ
ルコン酸、酒石酸などの有機酸を用いることができる。
【0021】次いで、前記繊維に処理液を塗付した後、
乾燥、熱処理を施す。乾燥および熱処理は、通常の熱風
乾燥機で行ない、水分を蒸発させるとともにキチンの脱
アセチル化物の有機酸塩を繊維表面上に付着させる。乾
燥温度は、通常、前記繊維を構成する熱可塑性重合体の
融点より5℃以上低い温度とするとよい。
【0022】塗付速度は、前記短繊維の生産速度でよ
く、何ら生産速度を制限するものではない。塗付方法、
塗付速度、処理液粘度などの違いによる付着量の調節
は、処理液濃度を変更することにより行なう。なお、こ
の短繊維には油剤を塗付してもよく、例えば帯電防止
剤、吸水剤、発水剤などの油剤と前記処理液とを混合
し、同時に塗付してもよい。
【0023】なお、本発明の抗菌抗カビ防臭性短繊維
は、他の短繊維と混合して用いてもよい。ここでいう他
の短繊維とは、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフ
ィンなどの合成繊維、綿、羊毛、麻などの天然繊維、ア
クリル、レーヨン、アセテートのほかアスベストやロッ
クウールなどの鉱物質繊維をいう。
【0024】本発明でいう短繊維を他の短繊維と混合す
るに際しては、本発明の短繊維と他の短繊維を例えば、
混打綿機を用いて混繊すればよい。なお、得られた混綿
は梳綿機などの手段によりカーディングし、練条機で牽
切してスライバーにした後、粗糸を作成し、精紡機を用
いて精紡することにより、あるいは両短繊維を予め別々
にカーディング、牽切して粗糸とし、両粗糸を精紡機を
用いて混合紡績することにより、紡績糸とすることがで
きる。また、他の短繊維としてアスベスト、ロックウー
ルを用いる場合は、抄紙法により、分散液中で本発明の
短繊維とアスベスト、ロックウールとを混合させた後、
抄紙することで湿式不織布を得ることができる。なお、
この抄紙法により混合不織布を得る方法は、他の繊維と
してアスベスト、ロックウール以外の繊維を用いる場合
にも用いることができる。
【0025】
【作用】本発明の抗菌抗カビ防臭性短繊維は、前述した
ように、熱可塑性重合体からなる短繊維にキチンの脱ア
セチル化物の有機酸塩が付着されているので、抗菌、抗
カビおよび防臭性が発現される。
【0026】キトサンの抗菌作用についてはカビの増殖
抑制作用やEscherichia coli (大腸菌)、Staphyloco
ccus aureus(黄色ぶどう球菌)、Pseudomonas aerug
inosa (緑膿菌)、Bacillus subtilis(枯草菌)など
のグラム陽性、グラム陰性細菌に対する増殖抑制作用が
報告されている。これら抗菌作用の詳細は不明である
が、四級化したキトサンのカチオン性アミノ基によって
菌の細胞壁中の陰イオン構成物質が吸着され、その結
果、細胞壁の生合成が阻害あるいは壁内外の物質の能動
輸送が阻止されるため抗菌作用が発現されるものと推定
されている。
【0027】本発明の抗菌抗カビ防臭性短繊維では、優
れた抗菌性、抗カビ性および防臭性が発現する。さら
に、身の回りに存在する多くのカビや細菌が、下着やソ
ックスに吸着した汗の成分を資化して繁殖し、不快な臭
いを発生するが、本発明の短繊維によれば、これら微生
物の繁殖をキトサンまたはキトサン軽度分解物の有機酸
塩で抑制することで、臭いの発生を押さえることも可能
である。
【0028】したがって、本発明の抗菌抗カビ防臭性短
繊維は、単独または他の繊維と混合し、原綿のままの状
態や紡績糸あるいは織編物、不織布などの布帛の形態
で、一般衣料材、医療衛生材、生活関連材あるいは寝装
材などの原料として利用することができる。
【0029】
【実施例】次に実施例に基づいて本発明を具体的に説明
する。実施例において、キチンの脱アセチル化物とし
て、BL型粘度計を用い、試料濃度1重量%、温度20℃
で測定した粘度が9.8 センチポイズ、脱アセチル化度が
91.6%のキトサンを用い、このキトサン1重量部に対し
イオン交換水25重量部を加えてキトサンを膨潤させた
後、氷酢酸0.2 重量部と、イオン交換水23.8重量部を加
え、キトサン酢酸塩水溶液を作成した。
【0030】抗菌性は、シェイクフラスコ法(繊維製品
衛生加工協議会認定の抗菌効果試験方法)により菌減少
率(%)を測定することにより評価した。なお、前記評
価に当っては、使用菌株としてK.pneumoniae ATC
C4352を用いた。
【0031】短繊維の引張り強伸度は、東洋ボールドウ
ィン社製テンシロンUTM−4−100 を用い、試料長20
mmの試料を引張り速度20mm/分で測定した。短繊維の引
張り強力は、JIS L−1096に記載のストリップ法に
準じ、幅25mm、長さ100mm の試験片から最大引張り強力
を測定し求めた。 実施例1 融点が 128℃、メルトインデックスが80g/10分のポリ
エチレン重合体Aと、融点が 258℃、固有粘度が0.70の
ポリエステル重合体Bを、複合紡糸孔 200孔を有する紡
糸口金4錘から紡出し、重合体Aを鞘成分、重合体Bを
芯成分とする芯鞘複合型長繊維を紡出した。単孔吐出量
は、重合体A、B共に 0.3g/分(成分Aと成分Bの重
量比は1:1)とした。紡出された長繊維糸条を冷却し
た後、巻取り速度1200m/分で巻取って芯鞘複合型未延
伸糸のパッケージを得た。得られたパッケージを複数個
集め、複数本の未延伸糸を解舒集束してトウとした状態
で延伸した。延伸は2段延伸とし、延伸倍率2.15倍とし
た。次いで、得られた延伸処理トウにスタッファー型捲
縮付与装置を用いて機械捲縮を付与した後、上記複合型
繊維にキトサン酢酸塩水溶液を塗付した。塗付は噴霧法
によって行ない、所定濃度に調整したキトサン酢酸塩水
溶液を上記複合型繊維に向かって噴霧した後、 120℃の
熱風乾燥機を用いて乾燥し、所定長に切断して短繊維を
得た。これらの短繊維はいずれも、捲縮数が約14個/イ
ンチであり、繊維長は約51mm、単糸繊度は約2デニール
であった。
【0032】なお、キトサン酢酸塩水溶液を塗付するに
際しては、前記処理原液にイオン交換水を加えて濃度を
変更し、キトサン酢酸塩の付着量の異なる短繊維(実施
例1−1から実施例1−5)を採取した。 比較例1 キトサン酢酸塩水溶液の代りに、イオン交換水を噴霧塗
付した以外は実施例1と同様な工程で短繊維を得た。
【0033】実施例1で得た短繊維(実施例1−1から
1−5)の短繊維50g当たりのキトサン酢酸塩付着量、
シェイクフラスコ菌減少率試験の結果を、また、比較例
1で得た短繊維の菌減少率試験の結果を表1に示す。
【0034】表1からも明らかなように、本発明の実施
例1−1〜1−5のキトサン酢酸塩が一定量以上付着さ
れた短繊維は、高い菌減少率を示した。
【0035】
【表1】
【0036】実施例2 実施例1で作成した短繊維(実施例1−3および1−
4)を用い、池上機械株式会社製ローラーカード機M32
型タイプ60−M32を使用してウエブを作成した。次に、
得られたウエブを温度 135℃の熱風循環型乾燥機を使用
して、処理時間60秒でウエブを熱接着して不織布(実施
例2−1および2−2)とした。得られた不織布は目付
がいずれも50g/m2 、機械の進行方向の引張り強力が
それぞれ10.9kg/25mm、11.5kg/25mm、横方向の引張り
強力がそれぞれ1.77kg/25mm、1.68kg/25mmであった。
比較例2 実施例1の短繊維の代りに、比較例1で得た短繊維を用
いた以外は、実施例2と同様の方法で短繊維不織布(比
較例2)を得た。
【0037】実施例2および比較例2で得た短繊維不織
布(実施例2−1、2−2および比較例2)の不織布1
2 当たりのキトサン酢酸塩の付着量、および菌減少率
試験の結果を表2に示した。
【0038】表2からも明らかなように、本発明実施例
2−1および2−2のキトサン酢酸塩が付着された短繊
維からなる不織布は、菌減少率が極めて高いものであ
る。また、本発明実施例2のキトサン酢酸塩が付着され
た短繊維の抗菌性は、カーディングおよび熱処理に対し
ても優れた耐性を有するものである。
【0039】
【表2】
【0040】実施例3 実施例1で得た短繊維(実施例1−4)と、繊度 1.5デ
ニール、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート繊維
とを用い、混打綿機を用いて表3に示した混合率で混綿
し、得られた混綿を、梳綿機によりカーディングし、練
条機でスライバーにした後、粗糸を作成し、リングツイ
スターを用いて精紡することにより混合紡績糸を作成し
た。次いで、この糸を用いて、織密度(経方向:85本/
インチ、緯方向:50本/インチ)で製織し、布帛を得
た。なお、前記布帛作成に当たっては、キトサン酢酸塩
付着短繊維とポリエチレンテレフタレート短繊維の混合
比を変えて、3種の布帛(実施例3−1から3−3)を
作成した。 比較例3 実施例1−3の短繊維の代りに、比較例1で得た短繊維
(比較例1)を用いた以外は実施例3と同様の方法で、
比較例1の短繊維とポリエチレンテレフタレート短繊維
の混合重量比が1:1の布帛(比較例3)を得た。
【0041】実施例3で得た布帛(実施例3−1から3
−3)を構成する2種の短繊維の混合比を、また実施例
3−1から3−3、比較例3の布帛の菌減少率試験の結
果を表3に示した。
【0042】表3からも明らかなように、実施例3のキ
トサン酢酸塩付着短繊維とポリエチレンテレフタレート
短繊維の混繊紡績糸からなる布帛は、高い菌減少率を有
するものであった。
【0043】
【表3】
【0044】実施例4 ポリエチレンテレフタレート短繊維の代りに、平均繊維
長1インチ、平均繊度2デニールの綿を用いた以外は実
施例3と同様の方法で3種の布帛(実施例4−1から4
−3)を得た。 比較例4 実施例1−3の短繊維の代りに、比較例1で得た短繊維
(比較例1)を用いた以外は実施例4と同様の方法で、
比較例1の短繊維と綿との混合重量比が1:1の布帛
(比較例4)を得た。
【0045】実施例4で得た布帛(実施例4−1から4
−3)を構成する2種の短繊維の混合比および実施例4
−1から4−3、比較例4の布帛の菌減少率試験の結果
を表4に示した。
【0046】表4からも明らかなように、実施例4のキ
トサン酢酸塩付着短繊維と綿の混繊紡績糸からなる布帛
は、高い菌減少率を有している。
【0047】
【表4】
【0048】実施例5 捲縮工程を省いた以外は実施例1と同様の方法で、繊度
2デニール、繊維長5mm、短繊維50g当たりのキトサン
酢酸塩付着量が28×10-3g/50gの短繊維を得た。この
短繊維と、繊度2デニール、繊維長5mmのポリエチレン
テレフタレート(融点258 ℃、相対粘度が1.38)を芯成
分、高密度ポリエチレン(融点136 ℃、メルトインデッ
クスが20g/10分)を鞘成分とする複合繊維〔ユニチカ
株式会社製メルティ(登録商標)〕とを混合し、抄紙法
によって目付50g/m2 の湿式不織布を作成した。な
お、上記湿式不織布作成に当たっては、上記2種の短繊
維の混合比を変えて3種の不織布(実施例5−1から5
−3)を作成した。 比較例5 キトサン酢酸塩水溶液の代りにイオン交換水を用いた以
外は、実施例5と同様の方法で湿式不織布を得た。
【0049】実施例5で得た不織布(実施例5−1から
5−3)の短繊維混合比、菌減少率試験の結果、および
比較例5の不織布の菌減少率試験の結果を表5に示す。
表5からも明らかなように、実施例5で得た不織布(実
施例5−1から5−3)は高い菌減少率を有していた。
【0050】
【表5】
【0051】
【発明の効果】本発明の抗菌抗カビ防臭性短繊維は、前
記構成をとるものであり、優れた抗菌性、抗カビ性およ
び防臭性を有する。しかもキチンの脱アセチル化物の有
機酸塩を用いているので無毒性であるとともに、使用に
際してカブレなど人体への影響を生じることもなく、安
全性が極めて高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 重孝 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 熱可塑性重合体からなる短繊維であっ
    て、キチンの脱アセチル化物が短繊維に付着されている
    ことを特徴とする抗菌抗カビ防臭性短繊維。
JP3178555A 1991-07-19 1991-07-19 抗菌抗カビ防臭性短繊維 Pending JPH0533210A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3178555A JPH0533210A (ja) 1991-07-19 1991-07-19 抗菌抗カビ防臭性短繊維

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3178555A JPH0533210A (ja) 1991-07-19 1991-07-19 抗菌抗カビ防臭性短繊維

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0533210A true JPH0533210A (ja) 1993-02-09

Family

ID=16050536

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3178555A Pending JPH0533210A (ja) 1991-07-19 1991-07-19 抗菌抗カビ防臭性短繊維

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0533210A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008266812A (ja) * 2007-04-17 2008-11-06 Negoro Sangyo Co 機能性異型再生ポリエチレンテレフタレート繊維およびその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008266812A (ja) * 2007-04-17 2008-11-06 Negoro Sangyo Co 機能性異型再生ポリエチレンテレフタレート繊維およびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI766029B (zh) 菌對策用電荷產生紗、菌對策用電荷產生紗的製造方法以及抗菌性布帛
US5728461A (en) Functional fiber products and process for producing the same
EP0616650A1 (en) Cellulosic fibres
JP3687219B2 (ja) 抗菌性繊維及びそれを用いた繊維製品
JP2006225785A (ja) 混紡糸及びそれを用いてなる抗菌性織編物
JP2006225786A (ja) 二層構造紡績糸及び織編物
KR100864802B1 (ko) 폴리사카라이드 항균소취성 혼방사의 제조방법 및 그혼방사 및 그로 제조된 원단 및 섬유제품
JPH11124729A (ja) 抗菌性繊維及びその製造方法
JP2944236B2 (ja) 親水性を有する抗菌抗カビ防臭性不織布
JPH0533265A (ja) 親水性を有する抗菌抗カビ防臭性短繊維
JP3392554B2 (ja) 抗菌性繊維状物
JPH0913225A (ja) 芯鞘型消臭抗菌性複合繊維
JP3247293B2 (ja) 抗菌性セルロースアセテート繊維及び抗菌性繊維製品
JPH0533210A (ja) 抗菌抗カビ防臭性短繊維
JP3048431B2 (ja) 抗菌抗カビ防臭性長繊維の製造方法および抗菌抗カビ防臭性長繊維不織布の製造方法
JP2945264B2 (ja) 抗菌性繊維およびその製造方法
JP4189893B2 (ja) 抗菌性混合糸
JPH10310935A (ja) 抗菌性繊維
KR200425683Y1 (ko) 폴리사카라이드 항균소취성 혼방사 및 그로 제조된 원단 및섬유제품
JPH04194079A (ja) 親水性を有する抗菌抗カビ防臭性不織布
JPH07229063A (ja) 抗菌性繊維製品及びその製造法
JPH0299606A (ja) 消臭性能と抗菌性能を有する繊維及びその製造方法
JP2905629B2 (ja) 消臭防臭繊維
JP2003239174A (ja) 機能性繊維製品
JPH05148758A (ja) 抗菌抗カビ防臭性繊維および布帛