JPH05330489A - 舶用パワーステアリング装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡易な構成によって確実な動作性を有する舶
用パワーステアリング装置を提供する。 【構成】 舶用パワーステアリング装置１は、舵角杆
２、操舵輪３、ワイヤケーブル４、油流切替え手段５お
よび油圧シリンダ６とから構成される。ワイヤケーブル
４はガイド４ａ…によって摺動自在に張架され、その円
弧状張架部４ｂにはワイヤケーブル４の軸線方向に摺動
自在で、かつ、軸線に垂直な横方向の移動に追随を可能
にする円環状をなす偏位検出部５ａと、この偏位検出部
５ａに連動して油流を制御するスプール弁５ｂとを備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、舶用パワーステアリン
グ装置に関し、特に、簡易な構成によって確実な動作性
を有する舶用パワーステアリング装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図５は従来の舶用パワーステアリング装
置の例である。この舶用パワーステアリング装置５１
は、舵機構の舵取り方向を定める舵角杆５２とその舵角
入力用の操舵輪５３との間を連結するワイヤケーブル５
４と、このワイヤケーブル５４の屈曲張架部５４ａを摺
動自在に覆い、曲げ方向の可撓性と軸線方向の剛性を備
えるフレキシブルチューブ５５と、このフレキシブルチ
ューブ５５の一端５５ａ側を固定し、フレキシブルチュ
ーブ５５の屈曲形状が変化した時の他端５５ｂ側の軸線
方向の変位量を入力として連結するスプール弁５６と、
このスプール弁５６による油流の切り替え作用により制
御され、かつ、上記舵角杆５２に連結してその舵取りを
駆動する油圧シリンダ５７とから構成される（USP49766
39）。

【０００３】このパワーステアリング装置５１の操舵輪
５３を操作するとワイヤケーブル５４が軸線方向に移動
され、ワイヤケーブル５４の張りに応じてその屈曲張架
部５４ａの屈曲形状が変化し、この変化に追従する一端
５５ａ側固定のフレキシブルチューブ５５の他端５５ｂ
側が軸線方向に偏位し、この偏位を入力とするスプール
弁５６の油流切り替え作用により、偏位が０となる中立
状態に戻るまで舵角杆５２が油圧シリンダ５７によって
駆動され、操舵輪の操作に応じた操舵力が供給される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記パ
ワーステアリング装置のフレキシブルチューブは、曲げ
方向の十分な可撓性が無い場合には、ワイヤケーブルの
屈曲形状の変化が妨げられることにより、ワイヤケーブ
ルの張りの変化に対する検出精度が低下し、また、フレ
キシブルチューブの軸線方向の剛性が低い場合にも同様
に検出精度が低下し、操舵輪の操作に対する応答性が低
下する。

【０００５】したがって、応答性を向上するためには、
高価な鋼製のフレキシブルチューブを用いざるを得ず、
コスト面の負担を強いられる。また、フレキシブルチュ
ーブの軸線方向の変位量をスプール弁の入力範囲に適切
に対応させるために、個々のフレキシブルチューブの特
性の差を含めてワイヤケーブルの屈曲張架部の組み付け
状態に対応した調整が要求される。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項１の舶用パワーステアリング装置は、舵角杆
と操舵輪とを連結するワイヤケーブルに、その張力に応
じて張架形状が変化する円弧状張架部を設け、この円弧
状張架部の張架位置の変化を偏位として入力する油流切
替え手段を連結したことを特徴とする。

【０００７】前記舶用パワーステアリング装置の油流切
替え手段は、そのワイヤケーブルの軸線方向に摺動自在
で、かつ、軸線に直角方向の移動に追随する偏位検出部
と、この偏位検出部に連動して油流を制御するスプール
弁とからなることが好ましい。

【０００８】前記舶用パワーステアリング装置のワイヤ
ケーブルの円弧状張架部には、ワイヤケーブルを摺動自
在に覆って円弧状張架部の円弧形状の変化を小さく抑え
るに足る弾性を有するフレキシブルチューブを設けるこ
とが好ましい。

【０００９】

【作用】請求項１の舶用パワーステアリング装置は、ワ
イヤケーブルが操舵輪によって操作されると、その張力
に応じてその円弧状張架部の形状が変化し、その張架位
置の偏位を入力とする油流切替え手段が、舵角杆に連結
する油圧シリンダを制御することにより舵角杆は所要の
舵角位置まで駆動される。

【００１０】請求項２の舶用パワーステアリング装置の
偏位検出部は、ワイヤケーブルの円弧状張架部の形状が
変化すると、その軸線方向動作に影響されることなく、
軸線に直角方向の移動に対して追随し、この偏位量に応
じてスプール弁が油流の切替えを行う。

【００１１】請求項３の舶用パワーステアリング装置の
フレキシブルチューブは、ワイヤケーブルの円弧状張架
部の形状が変化する時に、その軸線方向動作に影響され
ることなく、円弧形状の変化がその弾性に応じて小さく
抑えられた上で油流切替え手段に入力される。

【００１２】

【実施例】本発明の実施例を添付図面に基づいて以下に
説明する。

【００１３】図１は発明の第１実施例に係る構成説明
図、図２は同実施例の油圧系の構成説明図である。

【００１４】実施例に係る舶用パワーステアリング装置
１は、方向舵、舵取り推進機等の舶用舵機構の舵取り方
向を定める舵角杆２とその舵角入力用の操舵輪３との間
を連結するワイヤケーブル４と、このワイヤケーブル４
の軸線方向動作に基づいて油流を切り替える油流切替え
手段５と、この油流切替え手段５によって制御され、か
つ、上記舵角杆２に連結してワイヤケーブル４の動作と
同方向に舵取り駆動する油圧シリンダ６とから構成され
る。７は油圧源である。

【００１５】操舵輪３はラックピニオン機構３ａによっ
てワイヤケーブル４に連結され、操舵輪３の回動運動を
ワイヤケーブル４の軸線運動に変換する。舵角杆２は、
船体後部１ａの回動軸２ａ回りに回動自在に取り付けら
れ、推進機２ｂを備えて舶用舵機構をなす。

【００１６】ワイヤケーブル４は、船体側に固定された
円環状をなすガイド４ａ…によって摺動自在に張架され
る。舵角杆２の近傍には、操舵輪３を操作した時のワイ
ヤケーブル４の張力に応じて張架形状が変化する円弧状
張架部４ｂを備える。この円弧状張架部４ｂにその張架
位置の変化を偏位として入力する油流切替え手段５を連
結する。

【００１７】油流切替え手段５は、図２のワイヤケーブ
ル４の軸線方向に摺動自在で、かつ、軸線に垂直な横方
向の移動に追随を可能にする円環状をなす偏位検出部５
ａと、この偏位検出部５ａに連動して油流を制御するス
プール弁５ｂとからなる。

【００１８】ワイヤケーブル４の円弧状張架部４ｂが基
準形状の時に、スプール弁５ｂが中立状態となるよう
に、その偏位検出部５ａを配設する。このスプール弁５
ｂは、油圧源７から高圧の作動油を受ける高圧側ポート
５ｃ、作動油を戻す低圧側ポート５ｄ，５ｄ、および油
圧シリンダ６を作動させる２の作動用ポート５ｅ，５ｆ
を備え、軸線方向動作を行う弁体５ｇによって高圧側ポ
ート５ｃ、低圧側ポート５ｄ，５ｄと作動用ポート５
ｅ，５ｆとのそれぞれの連通の切り替えを行う。

【００１９】油圧シリンダ６は、作用杆６ａを軸線方向
動作させる給排ポート６ｂ，６ｃを備え、この給排ポー
ト６ｂ，６ｃに上記スプール弁５ｂの作動用ポート５
ｅ，５ｆを連通し、スプール弁５ｂの弁体５ｃの動作に
伴って作用杆６ａが伸縮動作される。

【００２０】上記構成からなる舶用パワーステアリング
装置の作用を以下に説明する。

【００２１】図３はワイヤケーブルの作用説明図であ
る。舶用パワーステアリング装置１の操舵輪３が右旋回
（以下の括弧書きは左旋回時の対応動作を示す。）操作
された時は、ワイヤケーブル４はガイド４ａ…によって
その軸線方向に摺動自在に案内され、操舵杆２との間で
ワイヤケーブル４の張りが増加（減少）し、その張力に
応じて円弧状張架部４ｂは、その基準となる張架位置Ａ
から張り位置Ｂ（弛み位置Ｃ）に変化する。

【００２２】この変化に伴い、図２の油流切替え手段５
の偏位検出部５ａを介してスプール弁５ｂに偏位が入力
され、スプール弁５ｂの弁体５ｇがその軸線の伸張（短
縮）方向に動作する。

【００２３】スプール弁５ｂは、高圧側ポート５ｃが作
動用ポート５ｅ（作動用ポート５ｆ）に、および図中右
側（左側）の低圧側ポート５ｄが作動用ポート５ｆ（作
動用ポート５ｅ）にそれぞれ連通され、油圧源７から油
圧シリンダ６までの給排路を構成する。

【００２４】このスプール弁５ｂを介して作動油が給排
され、油圧シリンダ６が短縮（伸張）されると、この油
圧シリンダ６はワイヤケーブル４の軸線方向の動作を助
ける方向に舵角杆２を舵取り駆動し、円弧状張架部４ｂ
の偏位が元に戻されることによりスプール弁５ｂが上記
給排路を遮断し、操舵輪３の操作に応じた所要の舵角に
保持される。

【００２５】このように、操舵輪と舵角杆との間を連結
するワイヤケーブルに円弧状張架部を設け、その張架形
状の変化を油流切替え手段に入力することにより、操舵
輪３の操作に応じ、操舵力を補いつつ、所要の舵角まで
舵取りが行われ、簡易な構成によって確実な動作性を有
する舶用パワーステアリング装置を得ることができる。

【００２６】図４は発明の第２実施例に係る要部構成説
明図である。舶用パワーステアリング装置１１のワイヤ
ケーブル４の円弧状張架部４ｂには、ワイヤケーブル４
を摺動自在に覆って円弧状張架部４ｂの円弧形状の変化
を小さく抑える弾性を有するフレキシブルチューブ１４
ｃを設ける。

【００２７】フレキシブルチューブ１４ｃは軸線方向お
よびその曲げ方向に弾性を有し、その両端の固定部１４
ｄ，１４ｄを船体側に固定し、このフレキシブルチュー
ブ１４ｃの張設位置の変化を検出すべく、偏位検出部５
ａの中心にフレキシブルチューブ１４ｃを配してスプー
ル弁５ｂを設ける。

【００２８】この舶用パワーステアリング装置１１は、
ワイヤケーブル４の張りが変化した時には、フレキシブ
ルチューブ１４ｃの弾性に応じてその円弧状張架部４ｂ
の円弧形状の変化が小さく抑えられ、その偏位量がスプ
ール弁５ｂに入力されて舵角杆２の駆動が行われる。

【００２９】したがって、フレキシブルチューブの弾性
を適切に選択することにより、偏位幅を所定の範囲内に
設定することができるので、ワイヤケーブル側に手を加
えることなく、油流切替え手段の入力範囲に適合させる
ことが可能となる。

【００３０】なお、フレキシブルチューブ１４ｃの一端
側を軸線方向に摺動自在に支持することにより、前記フ
レキシブルチューブのみならず、軸線方向の剛性が大き
いフレキシブルチューブについても同様に対応すること
ができる。

【００３１】

【発明の効果】以上に説明したごとく、請求項１の舶用
パワーステアリング装置は、ワイヤケーブルの円弧状張
架部にその偏位を入力する油流切替え手段を設けたの
で、高価な鋼製のフレキシブルチューブを用いることな
く簡易な構成によって操舵輪の操作を確実に検出するこ
とができるので、製造コストの低減と信頼性の向上とを
図ることができる。

【００３２】請求項２の舶用パワーステアリング装置
は、油流切替え手段としてワイヤケーブルに対して摺動
自在な偏位検出部に連動するスプール弁を設けたので、
確実な動作性を有する油流切替え手段を簡易に組み付け
ることができ、製造コストの低減と信頼性の向上とを図
ることができる。

【００３３】請求項３の舶用パワーステアリング装置
は、ワイヤケーブルの円弧状張架部にその形状変化を小
さく抑えるフレキシブルチューブを設けることにより、
偏位幅を所定の範囲内に設定することができるので、ワ
イヤケーブル側に手を加えることなく、油流切替え手段
の入力範囲に適合した組み付け調整が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】発明の第１実施例に係る構成説明図

【図２】同実施例の油圧系の構成説明図

【図３】ワイヤケーブルの作用説明図

【図４】発明の第２実施例に係る要部構成説明図

【図５】従来技術に係る舶用パワーステアリング装置の
構成説明図

【符号の説明】

１…舶用パワーステアリング装置、２…舵角杆、３…操
舵輪、４…ワイヤケーブル、４ａ…ガイド、４ｂ…円弧
状張架部、５…油流切替え手段、５ａ…偏位検出部、５
ｂ…スプール弁、６…油圧シリンダ、１１…舶用パワー
ステアリング装置、１４ｃ…フレキシブルチューブ、１
４ｄ…固定部。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 舶用舵機構の舵取り方向を定める舵角杆
   とその舵角入力用の操舵輪との間を連結するワイヤケー
   ブルと、このワイヤケーブルの軸線方向動作に基づいて
   油流を切り替える油流切替え手段とこの油流切替え手段
   によって制御され、かつ、上記舵角杆に連結してワイヤ
   ケーブルの動作と同方向に舵取り駆動する油圧シリンダ
   とから構成した舶用パワーステアリング装置において、 前記ワイヤケーブルには、その張力に応じて張架形状が
   変化する円弧状張架部を設け、この円弧状張架部の張架
   位置の変化を偏位として入力する油流切替え手段を連結
   したことを特徴とする舶用パワーステアリング装置。
2. 【請求項２】 前記油流切替え手段は、ワイヤケーブル
   の軸線方向に摺動自在で、かつ、軸線に直角方向の移動
   に追随する偏位検出部と、この偏位検出部に連動して油
   流を制御するスプール弁とからなることを特徴とする請
   求項１記載の舶用パワーステアリング装置。
3. 【請求項３】 前記ワイヤケーブルの円弧状張架部に
   は、ワイヤケーブルを摺動自在に覆ってその円弧状張架
   部の円弧形状の変化を小さく抑える弾性を有するフレキ
   シブルチューブを設けたことを特徴とする請求項１記載
   の舶用パワーステアリング装置。