JP2005067385A - 油圧式操舵装置 - Google Patents

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清一 岸
Katsuhiko Arakawa
勝彦 荒川
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Abstract

【課題】 2機の船外機や舵をそれぞれ独立の油圧駆動装置を介して操舵でき、両者を同調して同一方向へ同一角度だけ水平旋回させることができるほか、弁の位置を切り換えるだけの簡単な操作で、サイドスラスターを使用せずに横移動や定位置での一方向旋回などの操向を、油圧式操舵装置により可能にする。
【解決手段】 操舵ハンドル8により操作されるヘルンポンプ7のBポート7bが油圧配管9bにより電磁切換弁2の一面のポート2aに接続され、他方のAポート7aが油圧配管9aにより電磁切換弁2を介さずに一方の油圧シリンダ5Lにおける本体5dの一端のAポート5aに接続され、また同油圧シリンダ本体5dの他端のBポート5bと他方の油圧シリンダ5Rにおける本体5dの一端のAポート5aとが油圧配管9cにより接続されている。さらに電磁切換弁2の反対面における2つのポート2b・2cのうち一方のポート2bと右側の油圧シリンダ本体5dの右端Bポート5bとが油圧配管9dにより接続され、他方のポート2cと前記油圧配管9cの中間位置とが油圧配管9eにより接続されている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、モーターボート、ヨット、漁船などの主に小型船舶の操舵装置であって、船尾側に間隔をあけて配置される左右一対の船外機又は左右一対の舵を遠隔位置にある共通の操舵ハンドル(ステアリングホイール)によりそれぞれ操舵用油圧シリンダを介して操舵するための油圧式操舵装置に関するものである。
上記のように船尾に2機の船外機を並列に備えた船舶の場合、各船外機は船体に対しブラケットを介してチルトアップ自在に装着されている。オペレータは各船外機から前方へ延設される操舵レバー(ティラー)を個々に操作することにより操縦している。また2機の船外機は、通常、連動させて同一方向に同一の角度だけ水平に旋回させるので、2機の船外機の操舵レバーをリンクにより接続し、一方の操舵レバーを操作することで両方の船外機を連動させることも行われている。
これらはオペレータが手動操作する場合であるが、 油圧シリンダを用いて2機の船外機を操舵する装置として、たとえば油圧シリンダを船外機のチルトチューブに固定し、そのピストンロッドをチルトチュ−ブに貫通させてピストンロッドの先端部を2機の船外機間に位置させ、左右の船外機の操舵レバーと前記ピストンロッドの先端部とをそれぞれステアリングアームを介して接続し、船首側など遠隔位置に設置した操舵ハンドルを回転させることにより油圧発生源からの油圧力で左右の船外機を連動させて操舵したり、あるいは一方の船外機をチルトアップした状態で他方の船外機だけを操舵したりする構造のものが提案されている(たとえば、特許文献1)。
ところで、比較的大型の船舶では、船舶等を岸壁等に接岸する際に船体を横移動させるためのサイドスラスターを装備するものがある。一方、サイドスラスターを装備していない船舶の場合においても、ベテランのオペレータは、2機の船外機を上方より見て「ハ」の字形あるいは「逆ハ」の字形に配置し、船外機の一方(横移動させる方向と反対側)を正転させ、船外機の他方を逆回転させることによって横移動させたり、あるいは2機の船外機を同様の配置した状態で2機の船外機の回転速度を調節することによって定位置で一方向に旋回させたりしている。
特開平8−276896号公報
しかしながら、上記した従来の各種操舵装置では、次のような点で改良の余地がある。すなわち、
(1)2機の船外機あるいは舵を操舵レバーを介して個々に手動で操作して操舵するのは、操作性が悪く、熟練を要する。
(2)2機の船外機あるいは舵の操舵レバーをリンク機構等によりそれぞれが同一方向に同一角度だけ旋回するように機械的に接続した構造では、通常の航行時には一方の船外機あるいは舵の操舵レバーを操作するだけで、2機の船外機あるいは2機の舵を同時に操作することができる。しかし、「ハ」の字形あるいは「逆ハ」の字形に2機の船外機あるいは2機の舵を配置して横移動などの特殊な航行を行う場合には、リンク機構等による接続を解除する必要があり、そのための作業が大変な上に、通常航行に戻す場合にリンク機構等による接続を再び行う必要があり、手間がかかる。
(3) 上記の特許公報に記載の操舵装置は、油圧シリンダで2機の船外機を連動して操舵する構造であり、基本的には上記(2)の機械的に接続した構造に共通しているから、上記(2)の記載した事項と同様の不都合をもつ。しかも、同操舵装置は2機の船外機の操舵レバーを1つの油圧シリンダのピストンロッド先端部にそれぞれステアリングアームを介して接続しているため、機械的な構造が複雑な上に油圧回路も必要である。
(4) 船底の中央部などにサイドスラスターなどの横移動や旋回専用の装置を装備した船舶は装備が大がかりで製造費用が高く、また構造上から水深の深い水域にしか係留できないなどの不便さがある。
本発明に係る船尾側に間隔をあけて配置される左右一対の船外機又は左右一対の舵を、遠隔位置にある共通の操舵ハンドルによりそれぞれ油圧シリンダなどの操舵用油圧駆動装置を介して操舵するための油圧式操舵装置は、前記操舵ハンドルにより操作されるヘルンポンプなどのポンプ装置と前記船外機又は前記舵を旋回操作する前記各油圧駆動装置とを接続する油圧配管の途中に、左右一対の前記船外機又は左右一対の前記舵を同調して同一方向に同一角度旋回可能で、かつ方向制御弁の位置を切り換えることにより左右の前記油圧駆動装置のうちの一方だけが動作可能になって左右一対の前記船外機又は左右一対の前記舵を相互に逆向きに配置できるように方向制御弁を介設したことを特徴としている。
本発明の油圧式操舵装置によれば、2機の船外機あるいは舵を備えた船舶であれば、油圧回路中に方向制御弁を設けるだけで、通常航行用の操舵(通常操舵)とともに、従来はサイドスラスターによって行われるような特殊な操舵、すなわち定位置で旋回したり横方向へ滑るように移動したりする操舵を、通常操舵の状態で両方の船外機または舵をそれぞれ同一方向に旋回させてから、前記方向制御弁の位置を切り換えて一方の船外機または舵だけを前記油圧シリンダにより他方の船外機または舵とは相反対方向に旋回させ、相互に逆向きに配置することができる。これにより、2機の船外機または舵は「ハ」の字形あるいは「逆ハ」の字形に配置されるから、左右の船外機あるいは舵の前方の推進装置を相互に逆方向に推進力が発生するように回転させることにより、船舶は横移動したり定位置で旋回したりする。さらに、方向制御弁を特殊操舵の位置に切り換えて、2機の船外機のうち一方だけを操舵して航行することもできる。
請求項2に記載のように、前記方向制御弁に3ポート2位置切換弁を用い、前記ポンプ装置の一方のポートを一方の前記油圧駆動装置(たとえば油圧シリンダ)の一方のポートに油圧配管で接続し、前記ポンプ装置の他方のポートを前記切換弁のポンプ装置側のポートに別の油圧配管で接続し、両側の前記油圧駆動装置(たとえば油圧シリンダ)の両端ポートのうち異なる側の一端ポート同士を油圧配管で接続してこの油圧配管と前記切換弁の2つのポートのうち一方のポートとを別の油圧配管で接続し、一方の油圧駆動装置(たとえば油圧シリンダ)の他端ポートと前記ポンプ装置の他方のポートとを油圧配管で接続するとともに、他方の油圧駆動装置(たとえば油圧シリンダ)の他端ポートと前記ポンプ装置の他方のポートとを油圧配管および前記切換弁を介して接続し、かつこの切換弁の位置を切り換えることにより左右の前記油圧駆動装置のうちの一方だけを動作可能にして左右の前記船外機又は舵を相互に逆向きに配置できるようにすることができる。
請求項2記載の油圧式操舵装置によれば、切換弁が小型・簡略化されるので、低コスト化が図られる。
請求項3に記載のように、前記方向制御弁に5ポート2位置切換弁を用い、前記ポンプ装置の一方のポートを前記切換弁のポンプ装置側の一方のポートに第1油圧配管で接続し、ポンプ装置の他方のポートを第2油圧配管により前記切換弁のポンプ装置側の他方のポートに接続し、左右一方の油圧駆動装置の一方のポートと他方の油圧駆動装置の一方のポートとを第3油圧配管により接続し、この第3油圧配管と前記切換弁の反対面における3つのポートのうち一のポートとを第4油圧配管により接続するとともに、前記切換弁の残りの2つのポートうち一のポートと他方の油圧駆動装置の一方のポートを第5油圧配管により、前記切換弁の残ったポートと他方の油圧駆動装置の一方のポートを第6油圧配管によりそれぞれ接続し、かつこの切換弁の位置を切り換えることにより左右の前記油圧駆動装置のうちの一方だけを動作可能にして左右の前記船外機又は舵を相互に逆向きに配置できるようにすることもできる。
請求項3記載の油圧式操舵装置によれば、切換弁は請求項2の切換弁に比べてやや複雑な構造になるが、ポンプ装置と左右の油圧駆動装置とを接続する複数の油圧配管に跨って切換弁を介設することにより、油圧回路は簡単になる。
なお、前記各船外機がそれぞれブラケットを介して水平旋回可能にかつチルトアップ可能に取り付けられ、前記各船外機にチルトアップ可能に基端部が接続された左右一対の支持フレームの先端部間に油圧シリンダのピストンロッドの両端が支持され、各油圧シリンダの本体は前記ピストンロッドの軸方向に沿って移動可能で、本体の一端と前記船外機の操舵レバーの先端部とがリンクを介して接続されていてもよい。
このようによれば、油圧駆動装置に油圧シリンダが用いられ、左右の船外機を個々にチルトアップすることができ、また装置全体が比較的簡単に構成される。
本発明の油圧式操舵装置によれば、2機の船外機や舵をそれぞれ独立の油圧駆動装置を介して操舵でき、両者を同調させて同一方向へ同一角度だけ水平旋回させ、いわゆる通常操舵ができるほか、切換弁の位置を切り換えるだけの簡単な操作で両者を相互に逆方向へ同一角度だけ水平旋回させた、いわゆる特殊操舵をすることもでき、油圧回路も簡単で、故障がしにくく、比較的低コストで、高価なサイドスラスターを装備しなくても横移動や定位置での一方向旋回などの操向が可能になる。
本発明は上記のような従来技術のもつ不都合にかんがみなされたもので、2機の船外機や舵をそれぞれ独立の油圧駆動装置を介して操舵でき、両者を連動して同一方向へ同一角度だけ水平旋回させることができるほか、切換弁の位置を切り換えるだけの簡単な操作で両者を相互に逆方向へ同一角度だけ水平旋回させた配置にすることもでき、油圧回路も簡単で、故障がしにくく、比較的低コストで、サイドスラスターによる横移動や定位置での一方向旋回などの操向を、油圧式操舵装置により可能にすることを目的としている。この目的を達成するために、本発明の油圧式操舵装置では油圧回路中に切換弁などの方向制御弁を設けている。
以下に、本発明の最良の実施形態を実施例を挙げて図面に基づいて説明するが、本発明の油圧式操舵装置は、船尾に2機の船外機か、船底の船尾側で2機の推進用スクリューまたはウォータジェット推進器の後方にそれぞれ舵を備えた船舶に適用される。
図1は船尾に2機の船外機を備えた小型船舶に適用した油圧式操舵装置の実施例1を示す平面図である。この図1に示すように、本例の油圧式操舵装置1は油圧回路に方向制御弁としての3ポート2位置電磁切換弁2を備えている。船体10(図2・図3参照)の船尾には、2機の船外機3L・3Rがそれぞれブラケット(図示せず)を介して水平旋回可能にかつチルトアップ可能に取り付けられている。各船外機3は操舵レバー3aを前方(船首)に向け、スクリュー3sを後方へ向けている。
油圧駆動装置としての油圧シリンダ5のピストンロッド5cの両端が左右一対の支持フレーム4・4の先端部間に支持され、両支持フレーム4・4が船外機3を両側から挟むように配置され、前記ブラケット(図示せず)のガイドチューブの両端に支持フレーム4・4の基端部が垂直方向(上下方向)に旋回自在に枢着されている。油圧シリンダ本体5dはピストンロッド5cの軸方向に沿って移動可能で、本体5dの一端(図の右端)と操舵レバー3の先端部とがリンク板6により枢支接続されている。各本体5dの両端の一方に給排油用Aポート5aが、他方に給排油用Bポート5bがそれぞれ設けられている。
船体10の船首寄りにダッシュボード(図示せず)が設置され、このダッシュボードに操舵ハンドル8を備えたヘルンポンプ7が取り付けられている。このヘルンポンプ7内には作動油が所定量注入されており、2つの給排油用Aポート・Bポートの一方であるBポート7bが油圧配管9bにより電磁切換弁2の一面のポート2aに接続され、他方のAポート7aが油圧配管9aにより電磁切換弁2を介さずに一方(図の左側)の油圧シリンダ5Lにおける本体5dの一端のAポート5aに接続されている。また、同(図の左側)油圧シリンダ本体5dの他端(右端)Bポート5bと他方(図の右側)の油圧シリンダ5Rにおける本体5dの一端のAポート5aとが油圧配管9cにより接続されている。
さらに、電磁切換弁2の反対面における2つのポート2b・2cのうち一方(図の右側)のポート2bと右側の油圧シリンダ本体5dの右端Bポート5bとが油圧配管9dにより接続されている。また、他方(図の左側)のポート2cと前記油圧配管9cの中間位置とが油圧配管9eにより接続されている。
上記のようにして本実施例に係る油圧操舵装置1が構成されるが、この油圧式操舵装置1では、左右一対の船外機3L・3Rを同期して同一方向に同一角度ずつ水平旋回させる通常操舵と、左右一対の船外機3L・3Rを同期して相互に逆方向に同一角度ずつ水平旋回させる特殊操舵とを、電磁切換弁5を切り換えるだけで簡単に行える。つまり、図1において、図2に示す通常操舵状態では、たとえば、オペレータが操舵ハンドル8を時計方向へ所定角度回転させることにより、作動油がヘルンポンプ7のBポート7bから油圧配管9b・切換弁2・油圧配管9dを経て右側油圧シリンダ本体5dの右端Bポート5b内に流入し、本体5dが左側へ移動して右側船外機3Rが右方向(時計方向)へ所定角度だけ旋回する。同時に右側の油圧シリンダ本体5dにおける左端のAポート5cから流出した作動油が油圧配管9cから左側の油圧シリンダ本体5dのBポート5bに流入し、左端のAポート5aから油圧配管9aを経てヘルンポンプ7のAポート7aに戻されることにより、左側船外機3Lも右方向(時計方向)へ所定角度だけ旋回する。
また、操舵ハンドル8を反時計方向へ所定角度回転させることにより、Aポート7aから作動油が上記と全く逆方向へ流れることによって左右の船外機3L・3Rが左方向(反時計方向)へ所定角度だけ旋回する。なお、上記のようにして操舵しつつ船外機3のスクリュー3sの回転数を調節することで航行速度も変更できる。
一方、桟橋等に係留する場合など特殊な操舵、たとえば特殊操舵が必要な場合は、上記通常操舵の状態で右側船外機3Rを左側船外機3Lとともにたとえば左方向へ旋回させてスクリュー3sの回転を停止する。それから電磁切換弁2の位置を特殊操舵位置に切り換える。この状態で、操舵ハンドル8を時計方向へ回転させる。これにより作動油がヘルンポンプ7のAポート7aから油圧配管9aを通って油圧シリンダ本体5bの左端のAポート5a内に流入し、本体5dが右側へ移動して右側船外機3Lだけが右方向へ所定角度旋回する。右側船外機3Rについては作動油の流通が遮断されているので、元の状態つまり左方向へ旋回した状態にあるので、図5(b)のように左右の船外機3が上方より見て「逆ハ」の字形になる。あるいは通常操舵の状態で右側船外機3Rを左側船外機3Lとともに右方向へ旋回させたのち、電磁切換弁2の位置を特殊操舵位置に切り換えた状態で、操舵ハンドル8を時計方向へ回転させる。これにより作動油がヘルンポンプ7のBポート7bから油圧配管9b・切換弁2・油圧配管9dを経て油圧シリンダ本体5dが右側へ移動し、右側船外機3Lだけが左方向へ所定角度旋回し、図3のように左右の船外機3を上方より見て「ハ」の字形にすることもできる。
これらの状態、たとえば後者の状態(図3)で、左右の船外機3のスクリュー3sの回転方向を相互に逆向き、たとえば右側船外機3Rのスクリュー3sを逆回転させるとともに左側船外機3Lのスクリュー3sを正回転させることで船体10は左側方へ横移動し、また前者の状態(図5(b)参照)でたとえば右側船外機3Rのスクリュー3sを正回転させるとともに、左側船外機3Lのスクリュー3sを逆転させることで船体10は定位置で反時計方向(左方向)へ旋回する。
このように、本例の油圧式操舵装置1によれば、従来はサイドスラスターによって行われている横移動や一方向旋回などの特殊な操向を3ポート2位置切換弁2のような方向制御弁を設けるだけの簡単な構成部材の追加によって達成することができた。
図4は本発明に係る油圧式操舵装置の実施例2を示す平面図で、図1と同様に船体の外形線等は省略して表している。本実施例が上記実施例1と相違するところは、次の点である。本例の油圧式操舵装置11はヘルンポンプ7のAポート7aと左側の油圧シリンダ5Lにおける左端のAポート5aとを直接接続する油圧配管9aを省いて、代わりに5ポート2位置手動切換弁12を設けている。つまり、手動切換弁12のポンプ側における2つのポートのうち一方のポートとヘルンポンプ7のAポート7aとを油圧配管19aで接続し、手動切換弁12の船外機側における3つのポートのうち一端のポート12cと左側の油圧シリンダ5Lにおける左端のAポート5aとを油圧配管19cで接続している。その他の構成および操作方法等については、上記実施例1の油圧式操舵装置1に共通するので説明を省略し、共通する構成部材を同一の符号を用いて図4に示している。
なお本例の油圧式操舵装置11においても、実施例1の油圧式操舵装置11と同様に、たとえば、左右の船外機3のスクリュー3sの回転方向を相互に逆向き、たとえば右側船外機3Rのスクリュー3sを逆回転させるとともに左側船外機3Lのスクリュー3sを正回転させること(図5(a))により、船体10は左側方へ横移動する。またたとえば右側船外機3Rのスクリュー3sを正回転させるとともに、左側船外機3Lのスクリュー3sを逆転させること(図5(b))により、船体10は定位置で反時計方向(左方向)へ旋回する。
図6は本発明に係る油圧式操舵装置の実施例3を示す小型船舶の底面図である。本実施例の油圧式操舵装置21は、2機の舵23・23を幅方向に間隔をあけてそれぞれ回転軸24を中心に旋回自在に備えており、左右の舵23の前方に推進用スクリュー25を設けている。各舵23の本体部分と回転軸24とは一体回転可能で、回転軸24を減速機構(図示せず)を介して油圧駆動装置としての油圧モータ26により回転する構造からなる。油圧モータ26は船体10内に設けられるが、左右の油圧モータ26・26の2つのポート26a・26bと操舵ハンドル8を備えたヘルンポンプ7のAポート・Bポートとを5ポート2位置手動切換弁12を介して接続し、基本的には実施例2の油圧回路に共通の構造にしている。その他の構成および操作方法等については、上記実施例1の油圧式操舵装置1に共通するので説明を省略し、共通する構成部材を同一の符号を用いて図5に示している。なお、油圧モータ26に代えて油圧シリンダを用い、回転軸24をレバーを介して回転させるようにすることができ、また推進用スクリュー25に代えてウォータジェット方式の推進装置を用いることもできる。
以上に本発明の油圧式操舵装置に関して3つの実施例を挙げたが、上記実施例に限定されるものではなく、小型船舶だけでなく大型船舶にも適用できることは言うまでもない。
本発明を船尾に2機の船外機を備えた小型船舶に適用した油圧式操舵装置の実施例1を示す平面図で、船体の外形線の一部を省略している。 船外機2連同調通常航行(通常操舵)時の右旋回状態を示す平面図である。 特殊操舵時の逆ハの字定位置旋回状態を示す平面図である。 本発明に係る油圧式操舵装置の実施例2を示す平面図で、図1と同様に船体の外形線等は省略して表している。 図5(a)は特殊操舵時のハの字横滑り操船状態を示す平面図、図5(b)は特殊操舵時の逆ハの字定位置旋回状態を示す平面図である。 本発明に係る油圧式操舵装置の実施例3を示す小型船舶の底面図である。
符号の説明
1・11・21 油圧式操舵装置
2 3ポート2位置電磁切換弁(方向制御弁)
10 船体
3・3L・3R 船外機
3a 操舵レバー
3s スクリュー
4 支持フレーム
5・5L・5R 油圧シリンダ(油圧駆動装置)
5a ピストンロッド
6 リンク板
7 ヘルンポンプ
8 操舵ハンドル
9・9a〜9d 油圧配管
12 5ポート2位置手動切換弁
23 舵
24 回転軸
25 推進用スクリュー
26 油圧モータ(油圧駆動装置)

Claims (3)

  1. 船尾側に間隔をあけて配置される左右一対の船外機又は左右一対の舵を、遠隔位置にある共通の操舵ハンドルによりそれぞれ油圧シリンダなどの操舵用油圧駆動装置を介して操舵するための油圧式操舵装置において、
    前記操舵ハンドルにより操作されるヘルンポンプなどのポンプ装置と前記船外機又は前記舵を旋回操作する前記各油圧駆動装置とを接続する油圧配管の途中に、左右一対の前記船外機又は左右一対の前記舵を同調して同一方向に同一角度旋回可能で、かつ方向制御弁の位置を切り換えることにより左右の前記油圧駆動装置のうちの一方だけが動作可能にな
    って左右一対の前記船外機又は左右一対の前記舵を相互に逆向きに配置できるように方向制御弁を介設したことを特徴とする油圧式操舵装置。
  2. 前記方向制御弁に3ポート2位置切換弁を用い、前記ポンプ装置の一方のポートを一方の前記油圧駆動装置の一方のポートに油圧配管で接続し、前記ポンプ装置の他方のポートを前記切換弁のポンプ装置側のポートに別の油圧配管で接続し、両側の前記油圧駆動装置の両端ポートのうち異なる側の一端ポート同士を油圧配管で接続してこの油圧配管と前記切換弁の2つのポートのうち一方のポートとを別の油圧配管で接続し、一方の油圧駆動装置の他端ポートと前記ポンプ装置の他方のポートとを油圧配管で接続するとともに、他方の油圧駆動装置の他端ポートと前記ポンプ装置の他方のポートとを油圧配管および前記切換弁を介して接続し、かつこの切換弁の位置を切り換えることにより左右の前記油圧駆動装置のうちの一方だけを動作可能にして左右の前記船外機又は舵を相互に逆向きに配置できるようにした請求項1記載の油圧式操舵装置。
  3. 前記方向制御弁に5ポート2位置切換弁を用い、前記ポンプ装置の一方のポートを前記切換弁のポンプ装置側の一方のポートに第1油圧配管で接続し、ポンプ装置の他方のポートを第2油圧配管により前記切換弁のポンプ装置側の他方のポートに接続し、左右一対のうちの一方の前記油圧駆動装置の一方のポートと他方の油圧駆動装置の一方のポートとを第3油圧配管により接続し、この第3油圧配管と前記切換弁の反対面における3つのポートのうち一のポートとを第4油圧配管により接続するとともに、前記切換弁の残りの2つのポートうち一のポートと他方の油圧駆動装置の一方のポートを第5油圧配管により、前記切換弁の残ったポートと他方の油圧駆動装置の一方のポートを第6油圧配管によりそれぞれ接続し、かつこの切換弁の位置を切り換えることにより左右の前記油圧駆動装置のうちの一方だけを動作可能にして左右の前記船外機又は舵を相互に逆向きに配置できるようにした請求項1記載の油圧式操舵装置。
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