JPH05328594A - サイリスタ変換装置の保護方法及びその装置 - Google Patents

サイリスタ変換装置の保護方法及びその装置

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JPH05328594A
JPH05328594A JP4148375A JP14837592A JPH05328594A JP H05328594 A JPH05328594 A JP H05328594A JP 4148375 A JP4148375 A JP 4148375A JP 14837592 A JP14837592 A JP 14837592A JP H05328594 A JPH05328594 A JP H05328594A
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  • Supply And Distribution Of Alternating Current (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大容量の誘導性負荷を有したサイリスタ変換
装置を交流側または直流側の事故発生時、バイパスペア
運転の成否にかかわらず、交流側を短時間で確実に遮断
して、保護することができるようにしたものを提供す
る。 【構成】 交流側または直流側の事故発生時、バイパス
ペア運転への移行指令と交流遮断器にトリップ指令とを
送出し、上記交流遮断器の開極後、サイリスタ変換器の
すべてのサイリスタを一斉に点弧して、バイパスペア運
転の成功・失敗にかかわらず、安全に、かつ確実に交流
側を遮断すると共に、直流側の電流を上記すべてのサイ
リスタに分流させてサイリスタ変換器を保護するよう構
成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は大容量の誘導性負荷を有
するサイリスタ変換装置の保護方法及びその装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、強磁場を発生させるコイルに
直流大電流を供給するため、サイリスタ変換装置が多く
用いられている。特に、近時においては超電導コイルが
実用化され、強力な磁場が長時間発生できるようになっ
た。このような大容量の誘導性負荷においては、負荷時
定数が大きいため、直流電流の減衰時間が長くなり、特
に超電導コイルでは、減衰時間が数時間にも達する場合
がある。
【0003】このため、従来より、誘導性負荷を有する
サイリスタ変換装置の保護には特別な方法が用いられて
いる。これを例示する図5によって説明すると、1は交
流電源、2は上記交流電源1に接続された交流遮断器、
3は上記交流遮断器2に、星形結線の1次側をそれぞれ
接続した変圧器である。4は、上記変圧器3の星形結線
の2次側に、6個のサイリスタThu,Thv,Th
w,Thx,Thy,Thzをブリッジ結線してその交
流入力端を、それぞれ接続したサイリスタ変換器であ
る。5は上記サイリスタ変換器4の直流出力端に直流遮
断器6を介して接続された超電導コイル等からなる大容
量の誘導性負荷(以下単に負荷という)である。そし
て、交流電源1を交流遮断器2及び変圧器3を介して受
電したサイリスタ変換器4は整流した直流電力を負荷5
に供給するようになっている。7は上記直流遮断器6と
並列に接続されて、直流遮断器6が開極したとき、負荷
5のエネルギーを消費するための抵抗である。
【0004】負荷5にサイリスタ変換器4の整流した直
流電力が供給されている状態で、交流側または直流側に
事故が発生すると、図示しない制御装置によりサイリス
タ変換器4のサイリスタアームをバイパス運転に移行さ
せて直流電流idcを、図6に示すように、上下ペア
(本例ではThwとThz)のサイリスタアームに移し
てから交流遮断器2をトリップさせて交流を遮断し、そ
の後、直流遮断器6により直流電流を遮断してサイリス
タ変換器4を保護する方法が用いられている。
【0005】このような保護方法が用いられているの
は、例えばゲートブロック運転にして(サイリスタTh
u〜Thzに対する点弧指令を停止して)から交流を遮
断しようとした場合、図7に示すように、直流電流id
cは5→4のThz→3のw→3のu→4のThu→5
の経路で変圧器3の2次巻線に流れつづける(負荷5の
負荷時定数が大きいため、直流電流の減衰時間が長いの
で)。この時、変圧器3の1次巻線にも図示矢印のよう
に電流が流れ続ける(交流電圧が反転しても電流は一定
方向)。このため、交流遮断器2は接点が開極しても電
流の零点が生じないので遮断不能となり、交流遮断器2
の接点間にはアークが持続してついには破壊に至ってし
まうからである。
【0006】一方、負荷5の負荷時定数が小さい場合に
は、ゲートシフト運転(インバータ運転)を行い、出力
電圧を反転させることにより負荷電流を短時間に零にし
て、その後交流遮断器2で交流側を遮断する保護方法も
用いられている。しかし、この方法も負荷時定数が大き
い場合には適用できない。即ち、電流idcが零になら
ない限り変圧器3の2次巻線のいずれかの相に電流id
cが流れるため、上記バイパスペア運転に移行して変圧
器3の2次電流を零にした後でなければ交流遮断はでき
ない。
【0007】また、交流側の事故時にはバイパスペア運
転への移行が失敗する可能性が高いことから、これを改
善するため、サイリスタ変換器よりも交流側の回路に短
絡用投入器を挿入して、交流側事故時の保護動作中バイ
パスペア運転への移行が失敗したとき、上記短絡用投入
器を投入し、その後交流遮断器を開放してサイリスタ変
換器を保護する方法も提案されている(特公昭63−3
6206号)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし乍ら、上記バイ
パスペア運転へ移行させて交流遮断器を開放してサイリ
スタ変換器を保護する方法にあっては、サイリスタ変換
器のバイパスペアとなった1組のアームに電流が流れつ
づけることになり、インバータ運転する場合にあっては
整流方式によって定まる期間(例えば電気角120°)
のみしか電流が流れないので、上記バイパスペアとなっ
たアームは過電流状態(3倍の電流(平均値))にな
る。特に超電導コイル負荷で、かつ、直流遮断しない場
合は長時間に亘って電流が流れつづける。このため、バ
イパスペア運転するサイリスタ変換器においては、全て
のサイリスタの電流定格を大きくしたり、特定相のサイ
リスタのみ電流定格を大きくしてバイパスペア運転は必
ずその相で運転するよう制御したりすることが必要とな
って、高価となり不経済である。しかも、特定相による
バイパスペア運転を行うものにあっては、バイパスペア
運転への移行失敗の可能性が高くなり、移行が失敗する
と他のアームに電流が流れつづけてサイリスタの過熱破
壊を惹起するという問題を有している。
【0009】また、交流遮断器の制御は、バイパスペア
運転の移行を確認してからしか指令を出さないという複
雑な制御が必要となって、保護動作に大幅な時間遅れが
生じ、確実な保護ができなくなるという問題を有してい
る。
【0010】また、交流側事故時、バイパスペア運転へ
の移行が失敗したとき、短絡用投入器を投入した後、交
流遮断器を開放して交流を遮断し、サイリスタ変換器を
保護する方法にあっては、保護動作中とは云え、交流遮
断器の開放前に短絡用投入器を投入させるため、電源短
絡事故を惹起するおそれを有するという安全性の問題を
内在しており、かつ、上記投入器も高速度投入が要求さ
れるため、高精度な構造・制御が必要となって装置を高
価なものにするという問題を有している。
【0011】本発明は、上述した点にかんがみてなされ
たもので、その目的とするところは、サイリスタの電流
定格を大きくしたり、バイパスペア運転への移行に際
し、特定の相を選択制御する必要もなく、バイパスペア
運転への移行を確認することなく、かつ特別な短絡手段
を設けて移行失敗に対処することなく、短時間、かつ的
確にサイリスタ変換装置を保護することができる方法及
びその装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、保護装置に、事故時バイパスペア運転への移
行指令と交流遮断器にトリップ指令を送出する制御手段
と、交流遮断器の開極後すべてのサイリスタに一斉に連
続の点弧指令を送出する制御手段とを具備してバイパス
ペア運転の成功・失敗の如何にかかわらず安全に交流側
を遮断すると共に、直流側の電流をすべてのサイリスタ
に分流させてサイリスタ変換器を保護することを特徴と
する。
【0013】
【作用】交流側または直流側の事故時に、サイリスタ変
換器にバイパスペア運転への移行指令を送出すると共に
交流遮断器にトリップ指令を送出する。上記移行指令に
よってバイパスペアとなるサイリスタがサイリスタ変換
器の出力電圧の反転によって導通してバイパスペア運転
に移行する。移行後、上記トリップ指令により交流遮断
器が開極される。この時の交流電流は零になっているの
で、接点間のアークを持続させることなく、交流側の電
流は遮断される。次いで、サイリスタ変換器のすべての
サイリスタが一斉に連続した点弧指令をうけて点弧し、
直流側の電流をすべてのサイリスタに分流させる。この
分流によって直流側の電流は、各サイリスタアームに負
担されサイリスタ変換器を保護する。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1によって説明す
る。なお、図5と同一部材は同一符号を付して説明する
こととする。図1において、8は交流側あるいは直流側
の事故の検出信号を入力させて、バイパスペア運転への
移行指令と交流遮断器2にトリップ指令を送出するよう
にした故障検出回路である。これは例えば交流側回路に
設けた図示しない不足電圧検出手段により交流側事故の
検出信号を、また直流側回路に設けた図示しない過電圧
検出手段により直流側の事故検出信号をそれぞれ入力さ
せ、これら検出信号が入力したとき、交流遮断器2の図
示しないトリップコイルの励磁回路を閉成すると共に、
“H”レベルの出力信号を移行指令としてサイリスタ変
換器4の各サイリスタThu〜Thzにパルス信号を点
弧指令として送出するようにした点弧制御回路9に送出
するようになっている。そして、上記点弧制御回路9
は、例えば上記移行指令と送出している点弧指令との論
理積によりバイパスペアを判別する判別回路と、この判
別回路の出力信号によりバイパスペアアームを選択する
ペア選択回路とを備え、この選択回路の出力信号によ
り、バイパスペアアームのサイリスタ(例えばThw)
にゲート駆動回路を介してバイパスペア運転への点弧指
令を送出するように構成されておる。また、この点弧制
御回路9は、後述のアンド回路11から送出する一斉点
弧指令をうけたとき、上記サイリスタThu〜Yhzに
対応して設けた上記ゲート駆動回路のゲートシフト制御
を解除せしめて該ゲート駆動回路をすべて応動せしめ、
上記すべてのサイリスタThu〜Yhzのゲートに一斉
に連続した点弧信号を送出するようになっている。ま
た、上記アンド回路11の入力端の一方に上記故障検出
回路8の移行指令を送出する出力端を接続し、入力端の
他方には、上記交流遮断器の主接点と連動して開閉する
補助接点により、主接点の開極を検出して“H”レベル
の出力信号を開極検出信号として送出するようにした、
遮断器開極検出回路10の出力端を接続して、両信号が
入力したとき、該アンド回路11の出力端から一斉点弧
指令を送出するようになっている。12は、上記故障検
出回路8に接続されて、“H”レベルの入力信号により
応動して所定時限後に“H”レベルの出力信号をDCト
リップ指令として直流遮断器6に送出するようにした遅
延回路である。
【0015】次に、その動作を図2乃至図4と共に説明
する。今、交流遮断器2、直流遮断器6が閉路されて、
交流電源1を、交流遮断器2、変圧器3を介して、サイ
リスタ変換器4で受電し、これを整流した直流電力を、
直流遮断器6を介して、負荷5に供給して、正常運転を
行われている。
【0016】この正常運転中に、例えば交流電源1側に
事故が発生し、交流電源1の電圧が大幅に低下したとす
ると、この事故を不足電圧継電器等により検出し、この
検出信号が故障検出回路8に出力される。これをうけた
故障検出回路8は“H”レベルの出力信号を点弧制御回
路9にバイパスペア運転への移行指令として送出すると
共に、アンド回路11及び遅延回路12に送出し、か
つ、交流遮断器2にトリップ指令を送出する。上記事故
発生時におけるサイリスタ変換器4の通電アームが図7
に示すようにサイリスタThuとThzであったとする
と、バイパスペアアームは、サイリスタThu−Thx
またはThw−Thzが可能となる。そこで上記移行指
令をうけた点弧制御回路9は判別回路で上記2組のバイ
パスペア(即ち、Thu−ThxとThw−Thz)を
判別し、この判別信号をうけたペア選択回路より例えば
サイリスタThw−Thzを選択した出力信号をゲート
駆動回路を介して点弧指令としてサイリスタThwのゲ
ートに送出すると共に、他のサイリスタThu,Th
v,Thx,Thyへの点弧指令を停止する(即ち、ゲ
ートブロック運転に入る。)上記点弧指令をうけたサイ
リスタThwはサイリスタ変換器4の出力電圧が負に反
転した時点で導通する。その時点で出力電圧が負であっ
たから交流の電圧極性は、変圧器3の2次巻線のu相が
負、w相が正である。このため、サイリスタThuの電
流は減少し、サイリスタThwの電流は増大して(Th
u−Thw間の転流)、サイリスタThuはターンオフ
し、負荷電流idcは図6に示すように、サイリスタT
hw,Thzのバイパスペアアームのみに流れる(即
ち、バイパスペア運転に入る。)このバイパスペア運転
によって交流側電流は零になるので、交流遮断器2はア
ークを生ずることなく開極し、交流を遮断してサイリス
タ変換器4を保護する。
【0017】この際、上記交流遮断器2の動作時間は一
般に50〜100ms程度要するので、事故発生時、バ
イパスペア運転への移行指令とトリップ指令を同時に送
出しても、バイパスペア運転への移行の方が早いので、
バイパスペア移行後に交流遮断器2が開極することにな
って、問題を生ずることなく交流の遮断が行われること
になる。
【0018】上記バイパスペア運転状態のままでは、負
荷電流idcが特定アーム(本例ではThw−Thz)
に流れつづけることなり、通常のインバータ運転では1
/3周期(120°)しか流れないという条件でサイリ
スタが選定されているため、過熱破壊される恐れがあ
る。
【0019】そこで、本発明は、交流遮断器2の開極
後、サイリスタ変換器4のすべてのサイリスタThu〜
Thzのゲートに一斉に連続の点弧指令を送出する。図
6に示すバイパスペア運転時には、出力電圧V0 はサイ
リスタの降下電圧や図示しない、ヒューズ、リアクトル
や配線の電圧降下が現れ、数V〜10数Vの負電圧が発
生する。この電圧は他のアーム(サイリスタThu,T
hv,Thx,Thy)を点弧するに十分な電圧である
ため、他のサイリスタに一斉に点弧指令が与えれば一斉
に導通状態になり、各回路間の電位差、配線等のインダ
クタンス等によって決まる電流立上り率(di/dt=
V/L)により、負荷電流idcは各サイリスタアーム
に分流する。この結果、各サイリスタアームには1/3
づつの電流が流れることになって、このままの状態が長
時間続いてもサイリスタThu〜Thzは過熱すること
なく上記負荷電流idcの減衰に対応することができ
る。
【0020】次にバイパスペア運転への移行が失敗した
場合について説明する。図7に示す通電状態において、
出力電圧V0 が正の時に、サイリスタThwに点弧指令
が送出されると、サイリスタThwの印加電圧が逆であ
るため、サイリスタThwは導通しない。このようなと
きにはバイパスペア運転への移行が失敗することにな
る。従って、バイパスペア運転への移行を成功させるた
めには、実際の通電アームのサイリスタ(本例ではTh
u,Thz)の検知と、バイパスペアとなるアームのサ
イリスタ(本例ではThu−ThxあるいはThw−T
hz)の印加電圧の検出が必要となる。しかし、事故時
には交流側の電圧及びその波形も正常でない場合が多
く、相当みだれた波形となり、バイパスペア運転への移
行条件の的確な検出が困難となって、いきおい、バイパ
スペア運転への移行の失敗する可能性が高くなる。
【0021】バイパスペア運転への移行が失敗すると、
図7で示すサイリスタThu,Thzが通電状態を続け
るため、交流遮断器2が開極しても変圧器3の1次巻線
のU−W相は遮断不能となる。この際、V相は電流が零
であるので、遮断でき、図2に示すようにU−W相の2
相通電となり、交流電圧Vinが反転しても電流iac
は反転しない。このためこの状態が長時間続けば、交流
遮断器2の接点がアークの持続によって破壊することに
なる。そこで、本発明は上述したように、交流遮断器2
の開極後、バイパスペア運転の成功・失敗にかかわらず
サイリスタ変換器4のすべてのサイリスタThu〜Th
zに一斉に連続の点弧指令を送出する。即ち、バイパス
ペア運転失敗→2相通電→全サイリスタの一斉点弧とな
る。
【0022】上記すべてのサイリスタThu〜Thzに
一斉点弧の連続した点弧指令が送出されることによっ
て、サイリスタ変換器4はダイオード変換器と等価にな
り、交流電圧が反転した時点から、サイリスタThwが
導通しはじめる。
【0023】これを図3によってさらに説明すると、サ
イリスタThwに対するバイパスペア運転への移行が失
敗すると、U相とW相の交流遮断器2は開極してもアー
クが持続しているので、図3の破線で示すように転流が
行われることになるが、上述したように交流遮断器2の
開極後、すべてのサイリスタThu〜Thzに一斉に連
続した点弧指令が点弧制御回路9から送出されているた
め、交流電圧Vinが反転した時点(図3t1 時点)
で、サイリスタThwが導通して電流が増加しはじめ、
サイリスタThuの電流が減少しはじめる。そして交流
電流(図3変圧器の2次電流)がt2 時点で零になるの
で、交流遮断器2の接点間に生じたアークは減少し、交
流側が遮断される。このため、変圧器3は電圧がなくな
り、転流は、サイリスタThuとThw及びThxとT
hzがそれぞれ負荷電流idcの1/2を分担した点で
終了する(図3サイリスタ電流)。この際、交流側は交
流電流の零点で遮断されるので、変圧器3の巻線にはエ
ネルギー(1/2LI2 )が残っておらず、特に遮断に
よる過電圧は発生しない。
【0024】次いで、出力電圧V0 は2相通電によっ
て、サイリスタThuとThx及びThwとThzの降
下電圧等により数V〜10数Vの負電圧を発生するので
(図3出力電圧V0 )、残りのアーム、サイリスタTh
v,Thyが導通して電流が流れ、すべてのアームで1
/3づつ負荷電流idcを分担する(図3サイリスタ電
流)。
【0025】上述の動作は、直流側の事故に対しても同
様に行われるので説明を省略し、出力電圧V0 の全体の
波形を示す図4によって補足すれば、交流側または直流
側で事故が発生し、T1 時点でサイリスタ変換器4のサ
イリスタ(例えばThw)にバイパスペア運転への移行
指令を送出すると共に、交流遮断器2にトリップ指令を
送出する。上記移行指令により、バイパスペア運転が成
功した場合、出力電圧V0 は瞬時に零になってAで示す
ようにサイリスタの降下電圧等による負電圧が生じ、交
流電流も零になってT2 時点で交流遮断器2が開極し交
流も遮断され、交流遮断器2の開極後の一斉点弧指令に
よりすべてのサイリスタThu〜Thzが導通し、負荷
電流が各サイリスタに分流する。また、上記移行指令に
よりバイパスペア運転が失敗した場合、出力電圧V0
交流電圧がそのまま出力されることによりBで示す波形
となる。一方、上述同様、交流遮断器2の開極(図4T
2時点)後には一斉の連続した点弧指令をT3 時点で送
出される。この一斉の点弧指令送出後、出力電圧V0
零点で交流が遮断される(図4T4 時点)。この交流の
遮断後、上述したように、サイリスタ変換器4は2相通
電(即ち、2つのバイパスペア運転)に移行し、この
後、出力電圧V0 が負電圧になって(図4C)残りのア
ームのサイリスタも導通して、すべてのアームで負荷電
流idcを1/3づつ分担してサイリスタ変換器4を保
護することになる。
【0026】この際、出力電圧V0 は上記交流が遮断さ
れるまで、図4に示すように交流電圧がそのまま出力さ
れることになるが、負荷時定数が大きいので出力電流は
増加しない。また、点弧制御回路9からすべてのサイリ
スタThu〜Thzに一斉に送出する連続した点弧指令
は交流遮断器2の開極を該遮断器2の主接点と連動して
開閉する補助接点の開路の検出信号によりアンド回路1
1を介して送出するようになっているから、交流遮断器
2の開極後直ちに送出することができ、バイパスペア運
転が失敗しても交流遮断器2のアーク時間を半サイクル
以下に抑制することができ、交流遮断器のアーク時間
(例えば1〜3サイクル)に比してきわめて短時間とな
って接点を破壊に至らせるようなことは全くなく、交流
を遮断することができる。
【0027】そして、故障検出回路8の出力信号をうけ
て応動する遅延回路12が所望時限後に遮断指令を送出
し、これをうけた直流遮断器6が負荷電流idcを遮断
する。なお、運転状況や故障の重・軽の程度により、負
荷電流idcを直流遮断器6で遮断することなく、その
まま保持させることがあっても、負荷電流idcはすべ
てのサイリスタThu〜Thzに分流しているので、過
熱破壊等の問題は全く生じない。
【0028】このように、交流側または直流側の事故発
生時、バイパスペア運転の成功・失敗にかかわらず、サ
イリスタ変換装置を的確に保護することができる。
【0029】図8は本発明の他の実施例を示したもの
で、図1、図5と対応する部材は同一符号を付して重複
する説明を省略して説明する。図8において、変圧器3
は2次側が2重星形結線となっており、その中性点相互
にリアクトル13が挿入されている。そして、一方の2
次巻線u,v,w相の各端子にはサイリスタThu,T
hv,Thwのアノードを、また他方を2次巻線x,
y,z相の各端子にはサイリスタThx,Thy,Th
zのアノードをそれぞれ接続すると共に、これらサイリ
スタThu〜Thzのカソードを共通接続してサイリス
タ変換器4を形成し、上記共通接続端子とリアクトル1
3の出力端との間に負荷5を挿入されている。また、上
記2次巻線は、鉄心の各同一脚にwとz相、vとy相、
uとx相が位相が同じで極性が互いに逆極性となるよう
それぞれ巻装されている。
【0030】このように構成されたサイリスタ変換装置
において、交流側または直流側に事故が発生し、バイパ
ス運転を行う場合は、図5におけるブリッジ結線と同
様、例えばサイリスタThwとThzを導通させれば、
(即ち、点弧制御回路9から上記ペアとするサイリスタ
ThwとThzに点弧信号を送出して導通させれば)変
圧器3の2次巻線wとz相に電流が流れることになる。
ところが上記2次巻線wとz相は鉄心の同一脚に位相が
同じで逆極性となるよう巻装されておるので、w相に流
れる電流idとz相に流れる電流idは互いに磁束を打
ち消し合って変圧器3の1次側電流は零になる。従っ
て、2次巻線に電流が流れ続けても変圧器3の1次側で
交流遮断が可能になる。
【0031】バイパスペア運転が失敗した後も上述した
ブリッジ結線の場合と同様動作し、各2次巻線が2相通
電、たとえば、変圧器2次巻線のu,w相に電流が1/
2づつ流れれば、x,z相にも1/2づつ流れて互いに
磁束を打ち消すため、変圧器3の1次電流が零となって
交流遮断が可能となる。また残りのアームにも順方向の
電圧が印加されるため、一斉の連続した点弧指令がすべ
てのサイリスタThu〜Thzに送出されれば、すべて
のサイリスタが導通して、上述同様、負荷電流を1/3
づつ分担してサイリスタ変換器4を保護することにな
る。
【0032】なお、この場合、変圧器の磁束を互いに打
消し合うように電流が増加するため、残りのアーム電流
増加に対しては変圧器3の励磁インダクタンスは打消さ
れ、他アームの電位差とリーケージインダクタンスによ
って立上り率が決まり、短時間に分流が完了する。例え
ば、出力30kA(=2id)の装置で、インダクタン
ス10μH,電位差が2Vとすれば、転流完了時間tは
1/3id=5kAから t=LI/V=10×10-6×5×103 /2=25ms という時間になる。負荷5が超電導コイル等では数10
分から数時間負荷電流が流れつづけるため、この時間は
ほんの一瞬と考えられ、サイリスタを過熱することなく
短時間で負荷電流をすべてのアームで分担してサイリス
タ変換装置を保護することができる。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、交流側または直流側の
事故発生時には、交流遮断器の開極後、サイリスタ変換
器のすべてのサイリスタに一斉の連続した点弧指令を送
出して、すべてのサイリスタを導通せしめて大容量の誘
導性負荷の負荷電流をすべてのアームのサイリスタで分
担せしめて保護するようにしてあるから、バイパスペア
運転を行うために、サイリスタの電流定格を上げたり、
特定バイパスペアアームのサイリスタのみ特別電流定格
の素子を設けたりする必要は全くなく、サイリスタを過
電流破壊させることなくサイリスタ変換器を構成するこ
とができる。しかも、負荷電流をすべてのアームで分担
するため、バイパスペア運転が失敗しても交流側に短絡
投入器を設けたり、この短絡投入器を開閉する複雑な制
御手段を設けたりする必要は全くなく、交流遮断器のア
ーク時間を短時間に抑制して交流遮断を行うことができ
る。
【0034】また、交流側に短絡用投入器を設けること
なく構成できるので、バイパスペア運転の成否に関係な
く、単純なシーケンス制御による保護を行うことがで
き、保護装置を簡略化し、安価で、かつ安全性、信頼性
を一段と向上せしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すブロック図。
【図2】バイパスペア運転失敗時における2相通電の動
作説明図。
【図3】一斉点弧時における電圧・電流波形図。
【図4】出力電圧波形による保護動作の説明図。
【図5】従来のサイリスタ変換装置を示す回路図。
【図6】図5におけるバイパスペア運転状態を示す図。
【図7】図5におけるゲートブロック運転状態を示す
図。
【図8】本発明の他の実施例を示すブロック図。
【符号の説明】
1 交流電源 2 交流遮断器 3 変圧器 4 サイリスタ変換器 5 誘導性負荷 6 直流遮断器 8 故障検出回路 9 点弧制御回路 10 遮断器開極検出回路

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 交流電源を交流遮断器及び変圧器を介し
    て受電し、複数のサイリスタで整流して誘導性負荷に直
    流電力を供給すると共に、交流側または直流側の事故時
    には、上記複数のサイリスタをバイパスペア運転させて
    から交流遮断器を開極する保護装置を備えたサイリスタ
    変換装置において、上記交流遮断器の開極後に、上記複
    数のサイリスタを一斉に点弧せしめることを特徴とする
    サイリスタ変換装置の保護方法。
  2. 【請求項2】 交流電源に、交流遮断器及び変圧器を介
    して、接続された複数のサイリスタからなるサイリスタ
    変換器と、このサイリスタ変換器に接続されて直流電力
    が供給される誘導性負荷と、交流側または直流側の事故
    時、上記サイリスタ変換器にバイパスペア運転指令を、
    上記交流遮断器にトリップ指令を送出するようにした保
    護装置とを備えたサイリスタ変換装置において、上記保
    護装置は、交流側または直流側の事故を検出する事故検
    出手段と、上記交流遮断器の開極を検出するトリップ検
    出手段と、上記両検出手段の出力信号により、一斉に連
    続した点弧指令を送出するようにした点弧手段とを具備
    してなることを特徴とするサイリスタ変換装置の保護装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JPS564099A (en) * 1979-06-25 1981-01-16 Tokyo Shibaura Electric Co Device for removing radioactive nuclide
JPS6336206A (ja) * 1986-07-28 1988-02-16 テクトロニクス・インコ−ポレイテツド 光フアイバ・パツケ−ジの製造方法

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