同期発電機や同期電動機などの同期機は、励磁制御装置により界磁巻線の直流回路に直流電流を供給して励磁するようになっている。通常、界磁巻線に供給する直流電流は、交流励磁電源を例えばサイリスタ整流器で整流して供給し、界磁巻線とサイリスタ整流器との間に界磁巻線の保護のために界磁遮断器が設けられている。この界磁遮断器は直流遮断器であるため大型であることから、近年においては、直流遮断器に代えて交流遮断器をサイリスタ整流器と交流励磁電源との間に設け、励磁制御装置の小型化を図るようにしている。
交流遮断器を用いる場合には、交流遮断器の開極時に発生する界磁側過電圧から界磁巻線を保護するために直流回路に過電圧保護装置が設けられる。すなわち、交流遮断器の開極動作は機械的に行われるため、開極動作の間に交流遮断器の主極にはアークが発生し、このアークは、界磁巻線のインピーダンスがほとんどがリアクタンスであることから、同期機の界磁側のインピーダンスを著しく高めるように作用する。従って、交流遮断器の開極時には界磁側過電圧が発生するので、過電圧保護装置が設けられている。
交流遮断器を用い過電圧保護装置を備えた励磁制御装置としては、交流遮断器の開極時に、その開極に伴って発生する界磁側過電圧を適正に抑制するために、界磁側過電圧が発生する前の交流遮断器への開指令により早期に過電圧保護装置を動作させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
図18は従来の同期機の励磁制御装置の回路構成図、図19は従来の同期機の励磁制御装置における過電圧保護装置の動作説明図である。同期機の界磁巻線11に界磁電流を供給する直流回路には過電圧保護装置12が設けられている。3相の交流励磁電源13は励磁変圧器14および交流遮断器15を介してサイリスタ整流器16に入力され、サイリスタ整流器16はゲートパルス発生器17からのゲート信号で動作し3相交流を直流に変換して直流回路に供給する。
過電圧保護装置12は、直流回路の過電圧保護と同期機が停止する際の界磁電流の放電の機能を担うものである。直流回路は、通常時は正極Pがプラス電圧であり負極Nがマイナス電圧であるが、同期機が停止する際の界磁電流の放電時には、負極Nがプラス電圧となり正極Pマイナス電圧となる過電圧が発生する。また、交流遮断器14の開放時に発生するアークにより正極Pがプラス電圧で負極Nがマイナス電圧である過電圧が発生する。また、通常運転中においても何らかの異常により直流回路の正極Pおよび負極Nの間に過電圧が発生する。
過電圧保護装置12は、直流回路の正極Pおよび負極Nの間に発生した過電圧を抑制するものであり、正極Pの電圧が負極Nの電圧より高い過電圧の発生(P>N方向)時は実線矢印で示す方向で動作し、負極Nの電圧が正極Pの電圧より高い過電圧の発生(P<N方向)時は破線矢印で示す方向で動作する。
過電圧の検出は過電圧ブレーク素子18で行われ、過電圧の極性の判別はダイオードブリッジ回路19で行われる。すなわち、直流回路の正極Pとダイオードブリッジ回路19とはダイオードD1および電流抑制抵抗R1を介して接続され、ダイオードブリッジ回路19からサイリスタS1にゲート信号が与えられるように接続されている。また、直流回路の負極Nとダイオードブリッジ回路19とは放電抵抗R2およびダイオードD2を介して接続され、ダイオードブリッジ回路19から電流抑制抵抗R1を介してサイリスタS2にゲート信号が与えられるように接続されている。
いま、図19に示すように時刻t0において、直流回路の正極Pと負極Nとの間にP>N方向で電圧が上昇を始めたとする。そして、時刻t1に過電圧ブレーク素子18が有する固有のブレーク電圧VBOに達すると、ダイオードD1および電流抑制抵抗R1を介してダイオードブリッジ回路19および過電圧ブレーク素子18に実線矢印の方向の電流が流れ、さらに、サイリスタS1のゲートとカソードとの間(以下GK間と称す)および放電抵抗R2の順路で電流が流れる。サイリスタS1はゲート電流が流れるためサイリスタS1はアノードとカソードとの間(以下AK間と称す)が導通する。この導通期間は数μsec(Tw)である。その後の時刻t2にAK間電圧はほぼゼロになる。これに伴い、放電抵抗R2の電圧VR2が発生する。
一方、直流回路の正極Pと負極Nとの間にP<N方向で電圧が異常に大きくなり始める場合は、時刻t1に過電圧ブレーク素子18が有する固有のブレーク電圧VBOに達すると、放電抵抗R2およびダイオードD2を介して、ダイオードブリッジ回路19および過電圧ブレーク素子18の方向に電流が流れ、さらに電流抑制抵抗R1からサイリスタS2のGK間の順路で電流が流れる。サイリスタS2はゲート電流が注入されるとAK間が導通し、数μsec(Tw)後の時刻t2にAK間電圧はほぼゼロになる。
なお、放電抵抗R2、ダイオードD2、ダイオードブリッジ回路19、過電圧ブレーク素子18、電流抑制抵抗R1およびダイオードD1で構成されるP<N方向の過電圧保護回路は、同期機を緊急停止する場合の界磁電流の放電回路としても使用される。
同期機の緊急停止の場合は、界磁電流が流れている状態で交流遮断器15を遮断することになる。このとき、同期機の界磁巻線11は大きなリアクトルL分をもつので電流は瞬時にはゼロにはなり得ないことから、界磁巻線11の直流回路のP−N間には、L・di/dtでP<N方向の大きな電圧が発生する。従って、交流遮断器15の遮断接点の極間は瞬時には遮断できずアークでつながる。この場合、P−N間に過電圧ブレーク素子18のブレーク電圧V
BOより大きな電圧が発生すれば、過電圧保護動作により放電抵抗R2とサイリスタS2とのルートに界磁電流がバイパスすることになり交流遮断器15は遮断される。
特開2003−229398号公報
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係わる同期機の励磁制御装置の回路構成図、図2は本発明の第1の実施の形態に係わる同期機の励磁制御装置における過電圧保護装置の動作説明図である。図1において、3相の交流励磁電源13は励磁変圧器14および交流遮断器15を介してサイリスタ整流器16に入力され、サイリスタ整流器16はゲートパルス発生器17からのゲート信号で動作し3相交流を直流に変換して、同期機の界磁巻線11に界磁電流を供給する直流回路に供給する。交流遮断器15としては、気中遮断器ACBあるいは真空遮断器VCBが使用される。
過電圧保護装置12は界磁電流を供給する直流回路にサイリスタ整流器16と並列に接続され、直流回路の正極側がプラス方向に過電圧となったときに動作する正極性過電圧保護回路20と、直列回路の負極側がプラス方向に過電圧となったときに動作する負極性過電圧保護回路21とから構成される。
正極性過電圧保護回路20は、直流回路の正極Pおよび負極N間の両端電圧が過電圧となったときにオンするサイリスタS1と、このサイリスタS1への印加電圧を抑制する抵抗R3との直列回路が接続され、また、直流回路の両端に過電圧が発生したときにサイリスタS1にゲート電流を継続して供給するゲートトリッガ回路22が、サイリスタS1のゲートとカソード間の逆過電圧保護用のダイオードD2を介して直流回路の両端に接続されている。
また、負極性過電圧保護回路21も同様に、直流回路の正極Pおよび負極N間の両端電圧が過電圧となったときにオンするサイリスタS2と、このサイリスタS2への印加電圧を抑制する抵抗R2との直列回路が接続され、また、直流回路の両端に過電圧が発生したときにサイリスタS2にゲート電流を継続して供給するゲートトリッガ回路23が、サイリスタS2のゲートとカソード間の逆過電圧保護用のダイオードD1を介して直流回路の両端に接続されている。
さらに、ゲートトリッガ回路22、23は、それぞれ逆方向阻止用のダイオードD3、D4と、電流抑制抵抗R4、R5と、過電圧ブレーク素子B1、B2との直列回路で形成されている。正極性過電圧保護回路20と負極性過電圧保護回路21とは回路要素を供給しないでそれぞれ独立に形成されている。
いま、図2に示すように時刻t0において、直流回路の正極Pと負極Nとの間にP>N方向で電圧が上昇を始めとする。この場合、過電圧保護装置12の正極性過電圧保護回路20が動作することになる。すなわち、直流回路の正極Pと負極Nとの間の電圧が時刻t1にゲートトリッガ回路22の過電圧ブレーク素子B1が有する固有のブレーク電圧VBOに達すると、電流抑制抵抗R4、ダイオードD3を介してサイリスタS1のGK間にゲート電流が流れサイリスタS1のAK間が導通する。
この場合、数μsec(Tw)後の時刻t2にサイリスタS1のAK間電圧はほぼゼロになるが、抵抗R3によりサイリスタS1と抵抗R3との直列回路の電圧は直流回路の正極Pと負極NとのPN間の電圧VPNに維持される。また、過電圧ブレーク素子B1、電流抑制抵抗R4、ダイオードD3およびサイリスタS1のGK間から構成されるゲート電流供給回路には、直流回路の正極Pと負極NとのPN間の電圧VPNが継続して印加され、サイリスタS1には継続して充分のゲート電流が注入される。従って、サイリスタS1は充分に電荷が拡散されて、電流は接合面全体に平均して流れ、部分過熱による損傷の可能性は払拭される。
一方、直流回路の正極Pと負極Nとの間にP<N方向で電圧が異常に大きくなった場合も同様の動作であり、サイリスタS2も部分過熱による損傷の可能性はなくなる。
以上の説明では、励磁変圧器14とサイリスタ整流器16との間に交流遮断器15を設けた場合について説明したが、3相の交流励磁電源13と励磁変圧器14との間に交流遮断器15を設けるようにしてもよい。好ましくは、励磁変圧器14とサイリスタ整流器16との間に設ける交流遮断器15は気中遮断器ACBとし、3相の交流励磁電源13と励磁変圧器14との間に設ける交流遮断器15は真空遮断器VCBとする。
第1の実施の形態によれば、過電圧保護装置12の正極性過電圧保護回路20と負極性過電圧保護回路21とを回路要素を供給しないでそれぞれ独立に形成し、同期機の界磁巻線の直流回路の両端に過電圧が発生したときに過電圧保護装置12の正極性過電圧保護回路20と負極性過電圧保護回路21とは、それぞれ独立して、サイリスタS1、S2にゲート電流を継続して供給するので、過電圧保護装置12のサイリスタS1、S2での電荷の拡散が適正に行われ、過電圧保護装置12のサイリスタS1、S2の破壊を防止できる。
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図3は本発明の第2の実施の形態に係わる同期機の励磁制御装置の回路構成図である。この第2の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、過電圧保護装置12の負極性過電圧保護回路21に連続パルス発生器24を追加して設けたものである。図1に示した第1の実施の形態と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
連続パルス発生器24は、交流遮断器15の遮断指令があったときは、交流励磁電源13の周波数より数倍大きい周波数の連続パルスをサイリスタS2のゲートに供給しサイリスタS2を断続的に導通させる。すなわち、連続パルス発生器24は、図4に示すように同期機を停止するために交流遮断器15に出力される遮断指令があったときは、サイリスタS2のゲートとカソードとの間へ連続パルスを印加する。これにより、直流回路の正極Pと負極Nとの間に発生する電圧がゲートトリッガ回路23の過電圧ブレーク素子B2のブレーク電圧VBOになる以前にサイリスタS2を導通させることができ、直流回路の正極Pと負極Nとの間に発生する過電圧を防止する。
図5は連続パルス発生器24を有していない場合のサイリスタ整流器16の入出力電圧の特性図、図6は連続パルス発生器24を設けた本発明の第2の実施の形態の場合のサイリスタ整流器16の入出力電圧の特性図である。
同期機を停止する場合には、交流遮断器15に遮断指令が出力されるとともにサイリスタ整流器16にゲートパルス停止指令が出力される。交流遮断器15への遮断指令が出力されてから、実際に交流遮断器15が遮断を開始するまでには時間遅れがあり、同様に、サイリスタ整流器16へのゲートパルス停止指令が出力されてから、実際にサイリスタ整流器16がゲートパルスの発生を停止するまでには時間遅れがある。
連続パルス発生器24を具備せずに交流遮断器を遮断した場合は、図5に示す特性となる。図5において、時点t0で実際にゲートパルスの発生停止が行われ、時点t1で実際に交流遮断器15が遮断を開始したとする。この場合、ゲートパルスの発生が停止したことに伴いサイリスタ整流器16の出力である直流電圧は、ゲートパルスの停止前に導通していたサイリスタ整流器16の2アームを介して単相交流電圧になり数msec以内に負電圧となる。そして、時点t1で交流遮断器15が遮断を開始しても負荷が大きなリアクトルを所持する同期機の界磁巻線11であるので簡単には遮断できない。
負荷側である直流回路側では、電流が減少しようとするためにL・di/dtで大きな負電圧を発生する。従って、交流遮断器15の遮断極間はアークでつながったまま大きな電圧がかかる状態が続く。そして、時点t2になって直流回路の両端電圧がゲートトリッガ回路21のブレーク電圧VBO以上となったときに、ようやくサイリスタS2が導通し界磁電流の放電バイパス路ができ、サイリスタ整流器16の出力電圧が小さくなったときに交流遮断器15は遮断される。
なお、ゲートトリッガ回路21のブレーク電圧VBOは、実効値と瞬時値との違い、アーム転流時の転流サージ、同期機の短時間許容過電圧、過電圧ブレーク素子B2のバラツキ等を考慮し、交流電圧実効値に比較してかなり大きな電圧に設定されている。従って、直流回路の両端電圧がゲートトリッガ回路21のブレーク電圧VBO以上となる間に、交流遮断器15の遮断極接点は激しく損耗することになる。
そこで、第2の実施の形態では連続パルス発生器24を設け、交流遮断器15に出力される遮断指令があったときは、サイリスタS2のゲートとカソードとの間へ連続パルスを印加し、サイリスタS2を断続的に導通させ、直流回路の正極Pと負極Nとの間に発生する電圧がゲートトリッガ回路23の過電圧ブレーク素子B2のブレーク電圧VBOになる以前にサイリスタS2を導通させる。
図6において、時点t0で交流遮断器15への遮断指令があると、連続パルス発生器24はパルスを発生しサイリスタS2のゲートとカソードとの間へ連続パルスを印加する。これにより、サイリスタS2は断続的に導通する。
そして、時点t1でサイリスタ整流器16のゲートパルスが停止して直流回路が負電圧に移行すると、連続パルスがサイリスタS2に印加されているので、すぐにサイリスタS2は導通し界磁電流の放電バイパス路ができる。従って、時点t2で交流遮断器15が遮断を開始したときには、直流回路の両端電圧は小さい値となっており、そのため交流遮断器15は容易に遮断され、遮断極の接点には接点の寿命を大きく消耗するような負担は掛からない。
以上の説明では、励磁変圧器14とサイリスタ整流器16との間に交流遮断器15を設けた場合について説明したが、3相の交流励磁電源13と励磁変圧器14との間に交流遮断器15を設けるようにしてもよい。好ましくは、励磁変圧器14とサイリスタ整流器16との間に設ける交流遮断器15は気中遮断器ACBとし、3相の交流励磁電源13と励磁変圧器14との間に設ける交流遮断器15は真空遮断器VCBとする。
第2の実施の形態によれば、交流遮断器の遮断指令があったとき過電圧防止装置のパルス発生器は、交流励磁電源の周波数より数倍大きい周波数の連続パルスをサイリスタのゲートに供給しサイリスタを断続的に導通させているので、直流回路が負電圧に移行すると、すぐにサイリスタS2は導通し、交流遮断器の遮断時には遮断極間に発生する電圧を低くすることができ遮断極間がアークでつながることを防止できる。
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。図7は本発明の第3の実施の形態に係わる同期機の励磁制御装置における過電圧保護装置12の負極性過電圧保護回路21の回路構成図である。この第3の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、ゲートトリッガ回路23の過電圧ブレーク素子B2に代えて、複数個の過電圧ブレーク素子B21〜B2nを直列に接続した過電圧ブレーク回路25を設けたものである。図1のゲートトリッガ回路23と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
図7において、ゲートトリッガ回路23に組み込まれた過電圧ブレーク回路25は、複数個の過電圧ブレーク素子B21〜B2nを直列に接続して構成されている。各々の過電圧ブレーク素子B21〜B2nは固有のブレーク電圧VBO21〜VBO2nを有しており、これら複数個の過電圧ブレーク素子B21〜B2nのブレーク電圧VBO21〜VBO2nの合計が過電圧ブレーク回路25全体のブレーク電圧VBOとなる。
図8は、過電圧ブレーク素子B21〜B2nの電圧電流の特性図である。過電圧ブレーク素子B21〜B2nに印加される電圧がブレーク電圧VBOを越すと短絡動作が開始し、電流が保持電流IH以上であればその短絡状態を継続する。このような電流電圧特性を有する過電圧ブレーク素子B21〜B2nを直列に接続するので、過電圧ブレーク回路25全体のブレーク電圧VBOは、これら複数個の過電圧ブレーク素子B21〜B2nのブレーク電圧VBO21〜VBO2nの合計となる。過電圧ブレーク素子B21〜B2nとしては、例えば、双方向2端子のサイリスタ構造で構成される新電元工業株式会社製のサイダック(登録商標)を使用する。
第3の実施の形態によれば、同期機の励磁制御装置の過電圧保護装置12に要求されるブレーク電圧VBOに見合った過電圧ブレーク素子B21〜B2nの直列数を選択することで、ブレーク電圧値を設定することが可能となる。
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。図9は本発明の第4の実施の形態に係わる同期機の励磁制御装置の回路構成図である。この第4の実施の形態は、図7に示した第3の実施の形態に対し、ゲートトリッガ回路23の過電圧ブレーク回路25は、複数個の過電圧ブレーク素子B21〜B2nのうちの1個または複数個を短絡する接点26を有し、交流遮断器15の遮断指令があったときは、その接点26をオンして、過電圧ブレーク回路23のブレーク電圧値を小さくするようにしたものである。図1および図7と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
負極性過電圧保護回路21の過電圧ブレーク回路23は、複数の過電圧ブレーク素子B21〜B2nの直列回路および接点26で構成され、接点26は界磁遮断時の放電動作のときに複数の過電圧ブレーク素子B21〜B2nの中の1つまたはいくつかの複数の過電圧ブレーク素子Bを橋絡して、過電圧ブレーク回路23全体のブレーク電圧値を小さくする動作を行う。
図10は過電圧ブレーク回路23の動作説明図である。交流遮断器15への遮断指令が出力される時点t0の以前においては、交流遮断器15の遮断による界磁電流のバイパス放電に起因しない過電圧保護動作の場合であるので、過電圧ブレーク回路23全体のブレーク電圧VBOを大きく設定しておく。これにより、通常運転時の過電圧に対する保護動作を行う。一方、交流遮断器15への遮断指令が出力された時点t0以降においては、交流遮断器15のアーク放電を速やかに解消するために過電圧ブレーク回路23全体のブレーク電圧VBOを小さく設定する。つまり、接点26をオンして複数の過電圧ブレーク素子B21〜B2nの1つまたはいくつかの複数の過電圧ブレーク素子Bを橋絡して、過電圧ブレーク回路23全体のブレーク電圧VBOを小さくする。
以上の説明では、励磁変圧器14とサイリスタ整流器16との間に交流遮断器15を設けた場合について説明したが、3相の交流励磁電源13と励磁変圧器14との間に交流遮断器15を設けるようにしてもよい。好ましくは、励磁変圧器14とサイリスタ整流器16との間に設ける交流遮断器15は気中遮断器ACBとし、3相の交流励磁電源13と励磁変圧器14との間に設ける交流遮断器15は真空遮断器VCBとする。
第4の実施の形態によれば、交流遮断器15の遮断による界磁電流のバイパス放電に起因しない過電圧保護動作の場合と、交流遮断器15の遮断による界磁電流のバイパス放電に起因する過電圧保護とにより、過電圧保護装置12の負極性過電圧保護回路21のブレーク電圧の切り替えを行うので、通常運転時の過電圧を適正に保護できるとともに、交流遮断器15の遮断時には交流遮断器15のアーク放電を速やかに解消できる。
次に、本発明の第5の実施の形態を説明する。図11は本発明の第5の実施の形態に係わる同期機の励磁制御装置の回路構成図である。この第5の実施の形態は、図3に示した第2の実施の形態に対し、連続パルス発生器24は外部からのパルス発生開始指令aから時間カウントするタイマー回路27を有し、交流遮断器15の遮断指令があったとき、タイマー回路27に設定された時間遅れで連続パルスをサイリスタS2のゲートに供給開始するようにしたものである。図3と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
連続パルス発生器24はタイマー27とパルス発生器28とから構成され、外部からパルス発生開始指令aを受けるとタイマー27で設定される時間だけ遅れて連続パルスを発生する。
図12は連続パルス発生器24にタイマー27を有していない場合の特性図であり、サイリスタ整流器16へのゲートパルス停止より連続パルスの発生が早い場合を示す。図12中、時点t0は交流遮断器15への遮断指令およびサイリスタ整流器16へのゲートパルス停止指令の時点、時点t1はサイリスタ整流器16がゲートパルスの発生を停止した時点、時点t2は界磁電流のバイパスが完了した時点、時点t3は交流遮断器15が遮断開始した時点である。
時点t0で交流遮断器15への遮断指令およびサイリスタ整流器16へのゲートパルス停止指令があると、連続パルス発生器24はパルスを発生しサイリスタS2のゲートとカソードとの間へ連続パルスを印加する。この場合には、この間わずかであるがサイリスタS2のアノードカソードへの印加電圧が負の状態でゲートパルスが印加される可能性がある。あるいは順方向でゲートパルスが印加され一旦導通した後にサイリスタ整流器16からの逆電圧で再びオフする状態もあり得る。励磁変圧器14の2次側電圧が非常に大きい場合は、このような状態の発生はサイリスタS2にとって好ましくない場合もある。
そこで、連続パルス発生器24のタイマー27で連続パルスの発生開始をサイリスタ整流器16のゲートパルス停止直後とする。図13は連続パルス発生器24にタイマー27を有している場合の特性図である。図13中、時点t1はサイリスタ整流器16がゲートパルスの発生を停止した時点、時点t2はタイマー回路27が連続パルス信号の出力を許可した時点、時点t3は交流遮断器15が遮断開始した時点である。連続パルス発生器24のタイマー27で連続パルスの発生開始をサイリスタ整流器16のゲートパルス停止直後にすることで、サイリスタS2が確実に順方向の時に導通して界磁電流のバイパス回路を形成させ、その直後には交流遮断器15を容易に遮断させることができる。
以上の説明では、励磁変圧器14とサイリスタ整流器16との間に交流遮断器15を設けた場合について説明したが、3相の交流励磁電源13と励磁変圧器14との間に交流遮断器15を設けるようにしてもよい。好ましくは、励磁変圧器14とサイリスタ整流器16との間に設ける交流遮断器15は気中遮断器ACBとし、3相の交流励磁電源13と励磁変圧器14との間に設ける交流遮断器15は真空遮断器VCBとする。
第5の実施の形態によれば、放電方向のサイリスタS2を連続パルスで点弧させるにあたり、連続パルス発生器24のタイマー回路27で連続パルスの発生時点をサイリスタ整流器16に対してより良いタイミングとするので、サイリスタS2のアノードカソードへの印加電圧が負の状態でゲートパルスが印加されることを防止できる。また、順方向でゲートパルスが印加され一旦導通した後にサイリスタ整流器16からの逆電圧で再びオフする状態も防止できる。
次に、本発明の第6の実施の形態を説明する。図14は本発明の第6の実施の形態に係わる同期機の励磁制御装置の回路構成図である。第6の実施の形態は、交直変換用のサイリスタ整流器16を界磁遮断時には界磁電流の放電バイパス回路として使用するものである。
交流励磁電源13の3相電圧は、励磁変圧器14および交流遮断器15を介して、UVWおよびXYZの6アームのグレッツ接続で構成されたサイリスタ整流器16に入力される。サイリスタ整流器16は、ゲートパルス発生器17からのゲート信号により、UVWおよびXYZの6アームのうち順次2アームを導通させて交流励磁電源13の3相を整流する。
また、ゲートパルス発生器17は、外部からのゲートパルス停止信号GRにより、サイリスタ整流器16に印加される交流励磁電源13の3相のうちのいずれか2相に接続される2組の4アームへのゲートパルスを停止し、残りの1相に接続される2アームの導通を維持する。
すなわち、ゲートパルス発生器17はUアームパルス発生器17U、Xアームパルス発生器17X、Vアームパルス発生器17V、Yアームパルス発生器17Y、Wアームパルス発生器17W、Zアームパルス発生器17Zで構成され、外部からのゲートパルス停止信号GRにより、いずれか2相に接続される2組のアーム(例えばVY、WZのアーム)のゲートパルス発生を停止できる機能を有している。
図15は、本発明の第6の実施の形態におけるサイリスタ整流器16の電圧波形の特性図である。時刻t0に交流遮断器15の遮断指令があったとすると、その遮断指令と同時にゲートパルス停止信号GRが出力され、サイリスタ整流器16の交流入力のうちV相とW相とに接続されるV、Y、WおよびZアームのサイリスタへのゲートパルスが停止される。これにより、時刻t1にはUアームとXアームとが導通し、界磁電流の放電回路となる。この時点で交流遮断器15の遮断極は遮断できる。
以上の説明では、励磁変圧器14とサイリスタ整流器16との間に交流遮断器15を設けた場合について説明したが、3相の交流励磁電源13と励磁変圧器14との間に交流遮断器15を設けるようにしてもよい。好ましくは、励磁変圧器14とサイリスタ整流器16との間に設ける交流遮断器15は気中遮断器ACBとし、3相の交流励磁電源13と励磁変圧器14との間に設ける交流遮断器15は真空遮断器VCBとする。
第6の実施の形態によれば、交流遮断器の遮断指令があったときサイリスタ整流器の2相に接続されるアームを非導通とし、残りの1相に接続される2アームの導通を維持するので、交流遮断器の遮断時に遮断極間に発生する電圧を低くすることができ遮断極間がアークでつながることを防止できる。
次に、本発明の第7の実施の形態を説明する。図16は本発明の第7の実施の形態に係わる同期機の励磁制御装置の回路構成図である。第7の実施の形態は、図14に示した第6の実施の形態に対し、ゲートパルス発生器17は、外部からのゲートパルス停止信号GRが入力されたとき、サイリスタ整流回路16のUVWおよびXYZの6アームのうち導通状態にある2アームの次に導通する2アームの導通を維持し、他の4アームへのゲートパルスを停止するようにしたものである。
図16に示すように、ゲートパルス発生器17はUアームパルス発生器17U、Xアームパルス発生器17X、Vアームパルス発生器17V、Yアームパルス発生器17Y、Wアームパルス発生器17WおよびZアームパルス発生器17Zを有するともに、3個のゲートパルス停止回路GR1、GR2、GR3を有する。
ゲートパルス停止回路GR1は、OR回路29UXおよびAND回路30UXを有し、UアームあるいはXアームのパルス発生と外部からのゲートパルス停止信号GRとのAND条件により、Uアーム、Xアーム、WアームおよびZアームのゲートパルス発生を停止させる。
同様に、ゲートパルス停止回路GR2は、OR回路29VYおよびAND回路30VYを有し、VアームあるいはYアームのパルス発生と外部からのゲートパルス停止信号GRとのAND条件により、Vアーム、Yアーム、UアームおよびXアームのゲートパルス発生を停止させる。
また、ゲートパルス停止回路GR3は、OR回路29WZおよびAND回路30WZを有し、WアームあるいはZアームのパルス発生と外部からのゲートパルス停止信号GRとのAND条件により、Wアーム、Zアーム、VアームおよびYアームのゲートパルス発生を停止させる。ここで、ゲートパルス停止回路GR1、GR2、GR3におけるUX、VYおよびWZの出力パルスのOR回路は、次のパルスは発生されるまで継続する時限機能を所持する。
図17は、本発明の第7の実施の形態におけるサイリスタ整流器16の電圧波形の特性図である。時刻t0に交流遮断器15の遮断指令があったとすると、その遮断指令と同時にゲートパルス停止信号GRが発生し、そのタイミングがVアームパルス発生直後であるので、正極P側がVからWに転流した時点でWZのペアが導通し界磁電流の放電回路となる。この時点で交流遮断器15の遮断極は容易に遮断可能となる。
以上の説明では、励磁変圧器14とサイリスタ整流器16との間に交流遮断器15を設けた場合について説明したが、3相の交流励磁電源13と励磁変圧器14との間に交流遮断器15を設けるようにしてもよい。好ましくは、励磁変圧器14とサイリスタ整流器16との間に設ける交流遮断器15は気中遮断器ACBとし、3相の交流励磁電源13と励磁変圧器14との間に設ける交流遮断器15は真空遮断器VCBとする。
第7の実施の形態によれば、外部からのゲートパルス停止信号GRが入力されたとき、サイリスタ整流回路16のUVWおよびXYZの6アームのうち導通状態にある2アームの次に導通する2アームの導通を維持し、他の4アームへのゲートパルスを停止するようにしたので、交流遮断器の遮断時に遮断極間に発生する電圧を低くすることができ遮断極間がアークでつながることを防止できる。
11…界磁巻線、12…過電圧保護装置、13…交流励磁電源、14…励磁変圧器、15…交流遮断器、16…サイリスタ整流器、17…ゲートパルス発生器、18…過電圧ブレーク素子、19…ダイオードブリッジ回路、20…正極性過電圧保護回路、21…負極性過電圧保護回路、22…ゲートトリッガ回路、23…ゲートトリッガ回路、24…連続パルス発生器、25…過電圧ブレーク回路、26…接点、27…タイマー回路、28…パルス発生器、29…OR回路、30…AND回路