JPH05326743A - 半導体素子搭載用絶縁放熱基板 - Google Patents

半導体素子搭載用絶縁放熱基板

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JPH05326743A
JPH05326743A JP15142792A JP15142792A JPH05326743A JP H05326743 A JPH05326743 A JP H05326743A JP 15142792 A JP15142792 A JP 15142792A JP 15142792 A JP15142792 A JP 15142792A JP H05326743 A JPH05326743 A JP H05326743A
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JP
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heat
semiconductor element
substrate
film
heat dissipation
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JP15142792A
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Kenichiro Kawamoto
健一郎 河本
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 搭載する半導体素子や外囲器材料と熱膨張係
数が近似し、半導体素子から発生する熱を効率良く放熱
できるように熱伝導性に優れ、同時に電気絶縁性を備え
た半導体素子搭載用絶縁放熱基板を提供する。 【構成】 Cu−W、Cu−Mo又はAl−Si複合合
金の基板本体1と、基板本体1の表面に設けられた耐熱
性有機絶縁体膜3とからなり、耐熱性有機絶縁体膜3が
熱伝導性フィラーとして60〜90重量%のダイヤモン
ド、立方晶窒化ホウ素又は窒化アルミニウムの粉末を含
有し、膜厚が10〜60μmである、半導体素子9搭載
用の絶縁放熱基板4。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、搭載する半導体素子や
外囲器材料と熱膨張係数が近似しており、半導体素子か
ら発生する熱を効率良く放熱するために充分な熱伝導性
を有し、同時に必要箇所に電気絶縁性を備えた半導体素
子搭載用の絶縁放熱基板に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子搭載用の基板材料としては、
従来から半導体素子と熱膨張係数が近似した材料として
コバールや42アロイ等のニッケル合金、又はアルミナ
等のセラミック材料が使用されてきた。又、特に熱放散
性が要求される場合には、各種Cu合金が用いられてき
た。
【0003】しかしながら、近年における半導体素子の
大型化や発熱量の増大に伴って、搭載する半導体素子や
外囲器材料と熱膨張係数が近似すると同時に、半導体素
子から発生する熱を効率良く放熱できるように熱伝導性
に優れ、しかも外部放熱用のブロックやフィン等の外部
冷却部材の装着等の点から必要な電気絶縁性を備えた基
板材料が要求されるようになっている。
【0004】かかる熱膨張係数、熱放散性及び電気絶縁
性の3特性を兼ね備えた基板材料として、窒化アルミニ
ウム(AlN)やベリリア(BeO)が提案されてい
る。しかし、BeOは公害の問題から事実上使用が不可
能であり、又AlNは外囲器材料として多用されている
アルミナと熱膨張係数の差異が大きいことに加え、半導
体素子として最近その使用量が増加しつつあるガリウム
ヒ素(GaAs)とも熱膨張係数の差が大きい等の点で
問題がある。
【0005】一方、本件出願人は半導体素子との熱膨張
係数の差が近似し且つ熱放散性に優れたCu−W、Cu
−Mo又はAl−Si複合合金からなる基板材料を先に
提案した。即ち、特公平2−31863号公報に示され
るごとく、W又はMo焼結体中に溶浸法によりCuを2
〜30重量%含有させてその熱膨張係数を半導体素子及
びその外囲器材料の熱膨張係数に合致させると共に、溶
浸後の焼結体密度比を実質100%としたCu−W又は
Cu−Mo複合合金からなる基板材料を提案した。又、
特公平4−10223号公報には、Siを30〜60重
量%含み、残部がAlと不可避的不純物とからなり、初
晶Siの粒径が50μm以下であるAl−Si複合合金
からなる基板材料を提案した。
【0006】これらのCu−W、Cu−Mo又はAl−
Si複合合金は、その熱膨張係数を半導体素子や外囲器
材料の熱膨張係数と近似させることができ且つ熱放散性
にも優れているが、本質的に導電性である。従って、前
記のごとく熱膨張係数、熱放散性及び電気絶縁性の3特
性を兼ね備えた絶縁放熱基板とするためには、AlN等
のセラミックからなる電気絶縁膜を設ける必要がある。
ところが、AlNは電気絶縁性や熱放散性に優れている
ものの、前記のごとく外囲器材料のアルミナやGaAs
半導体素子と熱膨張係数の差が大きいという問題が存在
する。
【0007】しかも、高強度のセラミック絶縁膜を得る
ためにはCVD法又はPVD法等の気相合成法によるの
が一般的であるが、基板が高温に加熱されるためCu−
W及びCu−Mo複合合金の基板ではCuが溶出してセ
ラミック絶縁膜の絶縁性に問題が生じ、又Al−Si複
合合金の基板では加熱温度がその融点を越えるためこの
方法ではセラミック絶縁膜を得ること自体が出来ない。
別の方法として、Cu−W、Cu−Mo又はAl−Si
複合合金の表面にセラミック板を接合することも考えら
れるが、両者の熱膨張係数の差が大きいとロウ材による
接合が困難である。
【0008】尚、基板に半導体素子を搭載する手段の一
つとして、導電性を高めるためAuやAgを混合したエ
ポキシ樹脂を用いて200℃前後の比較的低い温度で接
合する方法が知られているが、エポキシ樹脂自体は熱伝
導率が非常に低いため、AgやAu等を含まない絶縁性
のエポキシ樹脂によりCu−W等の複合合金に有機絶縁
膜を形成しても、基板の熱放散性が極めて悪くなり採用
できない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来の
事情に鑑み、搭載する半導体素子や外囲器材料と熱膨張
係数が近似し、半導体素子から発生する熱を効率良く放
熱できるように熱伝導性に優れ、同時に電気絶縁性を備
えた半導体素子搭載用絶縁放熱基板を提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明における半導体素子搭載用絶縁放熱基板は、
Cu−W、Cu−Mo又はAl−Si複合合金からなる
基板本体と、基板本体の電気絶縁性を要する表面に設け
られた耐熱性有機絶縁体膜とからなり、耐熱性有機絶縁
体膜が熱伝導性フィラーとして60〜90重量%のダイ
ヤモンド、立方晶窒化ホウ素又は窒化アルミニウムの粉
末を含有し、且つその膜厚が10〜60μmであること
を特徴とする。
【0011】
【作用】基板本体となるCu−W、Cu−Mo又はAl
−Si複合合金は、搭載する半導体素子や外囲器材料と
熱膨張係数が近似し、半導体素子から発生する熱の放散
性に優れていることが既に知られている。本発明の絶縁
放熱基板は、かかる複合合金からなる基板本体の表面に
熱伝導性フィラーの混入により高い熱伝導性を付与した
耐熱性有機絶縁体膜を設けることにより、基板本体の熱
膨張係数と熱放散性を維持しながら、更に電気絶縁性を
付与したものである。
【0012】本発明の耐熱性有機絶縁体膜を構成する有
機絶縁体は、一般的に基板への半導体素子の搭載がAu
−Si(融点363℃)、Au−Ge(融点356
℃)、Au−Sn(融点280℃)等の低融点合金か、
更に低温の200℃前後で接合するエポキシ樹脂を用い
て行われるので、これらの搭載時の高温に耐え得る高い
耐熱性を備えている必要がある。従って有機絶縁体とし
ては、例えば分子中に芳香族イミド基を含有するポリイ
ミドやポリアミドイミド等のほか、ポリベンズイミダゾ
ール等の耐熱性高分子を使用でき、中でも400℃前後
の耐熱温度をもつ芳香族ポリイミド(熱伝導率約0.2
W/m・K、体積抵抗率約1016Ω・cm)が最も好まし
い。
【0013】有機絶縁体は一般に熱伝導率が非常に小さ
いので、そのまま基板本体に塗布すると熱放散性が著し
く損なわれる。そこで、有機絶縁体の熱伝導率を改善す
るため電気絶縁性で熱伝導率の高いダイヤモンド(熱伝
導率約2000W/m・K、体積抵抗率約1016Ω・c
m)、立方晶窒化ホウ素cBN(熱伝導率約600W/
m・K、体積抵抗率約1011〜12Ω・cm)、又は窒化ア
ルミニウムAlN(熱伝導率約180W/m・K、体積
抵抗率約1013Ω・cm)の粉末を熱伝導性フィラーと
して含有させる。
【0014】これら熱伝導性フィラーを含んだ有機絶縁
体からなる耐熱性有機絶縁体膜は、基板本体の優れた熱
放散性を維持しながら基板本体に電気絶縁性を付与で
き、しかも有機絶縁体のヤング率が極めて小さいことや
その膜厚等を考慮すると基板本体の熱膨張係数には全く
と影響を与えない。即ち、本発明の絶縁放熱基板は、従
来要望されていたところの、半導体素子等と近似した熱
膨張係数、優れた熱放散性、及び電気絶縁性の3要素を
兼ね備えたものとなる。
【0015】かかる熱伝導性フィラーの含有量が60重
量%未満では有機絶縁体の熱放散性の改善効果が少な
く、この熱伝導性フィラーを含んだ耐熱性有機絶縁体膜
を有する基板全体の熱伝導率が基板本体固有の熱伝導率
に対し20%以上低下し、所望の熱放散性を得ることが
困難である。又、熱伝導性フィラーの含有量が90重量
%を越えると、有機絶縁体をペースト状にしたときの粘
度が高くなり過ぎ、スクリーン印刷等による塗布が難し
くなる。従って、有機絶縁体膜中における熱伝導性フィ
ラーの含有量は、60〜90重量%の範囲が好ましい。
【0016】又、熱伝導性フィラーを含む耐熱性有機絶
縁体膜の膜厚は10〜60μmの範囲が好ましい。この
膜厚が60μmを越えると、耐熱性有機絶縁体膜を有す
る絶縁放熱基板全体の熱伝導率が基板本体固有の熱伝導
率に対し20%以上低下するので、所望の熱放散性を備
えた基板を得ることが困難になるからである。一方、熱
伝導性フィラーを含んだ有機絶縁体等のペーストをスク
リーン印刷等の塗布方法により塗布する場合、塗布条件
を厳密に制御しても膜厚が10μm未満になると均一な
耐熱性有機絶縁体膜を得ることが困難となり、電気絶縁
性に問題が発生する。
【0017】本発明による耐熱性有機絶縁体膜の形成
は、熱伝導性フィラーとしてダイヤモンド、立方晶窒化
ホウ素又は窒化アルミニウムの粉末を含有する有機絶縁
体又はそのモノマー等の前駆物質のペーストを、Cu−
W、Cu−Mo又はAl−Si複合合金からなる基板本
体の電気絶縁性を要する表面に塗布し、焼成する方法に
よる。上記ペーストの塗布方法としては、スクリーン印
刷やスピニング塗布等の各種の公知塗布方法を使用でき
る。又、焼成温度及び焼成時間は、強固な耐熱性有機絶
縁体膜が得られるように、使用する有機絶縁体に応じて
調整する。
【0018】この場合、有機絶縁体等のペーストに熱伝
導性フィラーとして含有されるダイヤモンド、cBN又
はAlNの粉末の粒径が0.5μm未満になると、粉末
の凝集によりペースト粘度が高くなってスクリーン印刷
が困難になるうえ、粉末とポリイミドが分離するブリー
ドアウト現象が発生するので好ましくない。又、粉末の
粒径が20μmを越えると、スクリーン印刷の版の目詰
まりが発生するほか、得られる耐熱性有機絶縁体膜の面
粗度が低下し、且つ膜厚を厚くせざるを得なくなるので
基板全体で所望の熱伝導率を達成することが困難にな
る。
【0019】尚、基板本体となるCu−W、Cu−Mo
又はAl−Si複合合金としては、Cu含有量2〜30
重量%のCu−W又はCu−Mo複合合金か、又はSi
含有量30〜60重量%のAl−Si複合合金が好まし
く、なかでも特公平2−31863号公報に記載された
W又はMo焼結体中に、溶浸法によりCuを2〜30重
量%含有させ且つ溶浸後の焼結体密度比を実質100%
としたCu−W又はCu−Mo複合合金か、又は特公平
4−10223号公報に開示された30〜60重量%の
Siと残部のAl及び不可避的不純物とからなり、初晶
Siの粒径が50μm以下であるAl−Si複合合金が
特に好ましい。
【0020】上記Cu−W又はCu−Mo複合合金にお
いて、Cu含有量を2〜30重量%とする理由は、30
重量%を越えると熱膨張係数がCu−W複合合金で9.
7×10-6deg-1及びCu−Mo複合合金で9.1×
10-6deg-1を越え、半導体素子のSi(4.2×1
-6deg-1)やGaAs(6.5×10-6deg-1
及び外囲器材料のアルミナ(6.7×10-6deg-1
と熱膨張係数の不整合が大きくなり、又2重量%未満で
は熱伝導係数がCu−W複合合金で167W/m・K以
下、Cu−Mo複合合金で145W/m・K以下と小さ
くなり、本発明の基板全体として所望の熱伝導性を得る
ことが難しくなるからである。
【0021】同じくAl−Si複合合金において、Si
含有量を30〜60重量%とする理由は、30重量%未
満では熱膨張係数が17×10-6deg-1以上となり、
半導体素子や外囲器材料と熱膨張係数の差が大きくなっ
て実装が困難となり、逆に60重量%を越えると熱伝導
係数が105W/m・K以下と小さくなり、本発明の基
板全体として所望の熱伝導性を得ることが難しくなるか
らである。尚、初晶Siの粒径が50μm以下であれ
ば、機械加工性に優れると共に、メッキ等の表面処理に
おいてピンホールやむら等が発生し難いという利点があ
る。
【0022】
【実施例1】W粉末の型押体を水素雰囲気中1100〜
1300℃で焼結し、気孔率20、28、35%の焼結
体を得た。これらの焼結体中に、水素雰囲気中1200
℃でCuを溶浸させ、Cu含有量が10、15、20重
量%の3種のCu−W複合合金を製造した。又、同様の
方法で、Cu含有量が10、15、20重量%の3種の
Cu−Mo複合合金を製造した。更に、急冷凝固法によ
り得られたSi含有量の異なるAl−Si合金粉末を用
いて、熱間塑性加工によりSi含有量30、40、50
重量%の3種のAl−Si複合合金を製造した。
【0023】一方、有機絶縁体として米国、エポキシテ
クノロジー社製の芳香族ポリイミド(グレード600)
を使用し、その硬化前のモノマー混合物に熱伝導性フィ
ラーとして粒径が共に5〜10μmのダイヤモンド、立
方晶窒化ホウ素(cBN)及び窒化アルミニウム(Al
N)の粉末をそれぞれ混合することにより、熱伝導性フ
ィラーの異なる3種の有機絶縁体ペーストを作製した。
尚、熱伝導性フィラーの含有量は、フィラー粉末/(フ
ィラー粉末+ポリイミド)の百分率で、全て75重量%
とした。
【0024】前記各3種のCu−W、Cu−Mo、Al
−Si複合合金に機械加工を施し、直径10mm×厚さ
1.5mmの基板本体を得た。これらの基板本体の濡れ
性を改善し且つ耐食性を確保するため全体に厚さ2〜3
μmのNiメッキを施し、その片側表面上に上記3種の
有機絶縁体ペーストをスクリーン印刷により塗布し、大
気中にて150℃で1時間乾燥して溶剤を除去した後、
水素雰囲気中にて260℃で30分加熱してポリイミド
を生成させることにより、各基板本体の片側表面に膜厚
約27μmの耐熱性有機絶縁体膜を備えた本発明例の絶
縁放熱基板を製造した。
【0025】得られた各絶縁放熱基板について、レーザ
ーフラッシュ法により熱伝導率を測定した結果を表1に
示した。又、比較例として、上記熱伝導性フィラーの代
わりにSiO2フィラー入りの有機絶縁ペースト及びフ
ィラーを含まない有機絶縁ペーストを用いて同様に製造
した、ポリイミドの耐熱性有機絶縁体膜を備えた絶縁放
熱基板の熱伝導率、並びに耐熱性有機絶縁体膜を有しな
い基板本体自体の熱伝導率について、表1に併せて示し
た。
【0026】
【表1】 熱 伝 導 率 (W/m・K) 基板本体 耐熱性有機絶縁体膜中のフィラー 合金組成 基板本体 タ゛イヤモント゛ cBN AlN SiO2 フィラー無し 10Cu-W 180 175 180 172 134 115 15Cu-W 190 185 189 182 140 120 20Cu-W 200 194 198 190 145 122 10Cu-Mo 170 167 170 164 125 105 15Cu-Mo 180 177 179 174 130 112 20Cu-Mo 195 190 192 186 140 122 30Si-Al 147 145 147 142 110 96 40Si-Al 126 124 125 120 85 80 50Si-Al 113 110 113 109 83 75
【0027】上記表1によれば、熱伝導性フィラーを含
む耐熱性有機絶縁体膜を備えた本発明例の絶縁放熱基板
については、その熱伝導率が基板本体の熱伝導率に対し
5%以内でしか低下しておらず、極めて望ましい熱放散
性を備えた絶縁放熱基板が得られることが判る。
【0028】
【実施例2】実施例1と同じ3種の有機絶縁体ペースト
を用いて耐熱性有機絶縁体膜を形成するに際し、これら
をCu含有量15重量%のCu−W複合合金からなり実
施例1と同様に処理した基板本体の片側表面にスクリー
ン印刷により塗布し、印圧や背圧及びスクリーンの線径
やメッシュ等を変更することにより、実施例1と同様に
乾燥及び加熱硬化した後に得られる膜厚を10〜70μ
mの範囲で変更した。得られた各耐熱性有機絶縁体膜を
備えた絶縁放熱基板について、実施例1と同様の方法に
より熱伝導率を測定し、表2に示した。
【0029】
【表2】
【0030】上記表2から判るように、耐熱性有機絶縁
体膜の膜厚が厚くなるに従って絶縁放熱基板の熱伝導率
が低下し、膜厚が60μmを越えると基板本体の15%
Cu−W複合合金の固有の熱伝導率190W/m・Kに
対してその低下率が20%以上となるので、絶縁放熱基
板として所望の熱放散性が得られない。尚、スクリーン
印刷の現状では膜厚の下限は10μm程度であり、膜厚
が10μm未満になると均一な膜形成が困難である。
【0031】
【実施例3】実施例1と同じ3種の有機絶縁体ペースト
を用いて得られた耐熱性有機絶縁体膜について、AST
M D1002−72に準拠した方法により剪断強度を
測定した。即ち、縦横101.6×25.4mmで厚さ
1.6mmのAl平板に厚さ2〜5μmのNiメッキを
施した後、このAl平板の端から12.7mmまでの片
側表面部分に上記有機絶縁体ペーストをスクリーン印刷
により塗布し、実施例1と同様に乾燥及び加熱硬化させ
て耐熱性有機絶縁体膜を形成した。
【0032】得られた2枚のAl平板の耐熱性有機絶縁
体膜同士を対向させ、この部分を剪断強度180kg/
cm2以上の高強度エポキシ樹脂により接合した。この
ようにして得られた試験片20個について、引張荷重を
加えて剪断強度を測定した結果を表3に示した。
【0033】
【表3】 絶縁体膜中 剪断強度(kg/cm2) のフィラー 最 大 最 小 平 均 剪 断 面 の 状 況 タ゛イヤモント゛ 253 224 233 全てエポキシ樹脂接合面で破断 cBN 255 218 235 同上 AlN 261 213 232 同上
【0034】表3の試験結果から、熱伝導性フィラーを
含むポリイミドからなる耐熱性有機絶縁体膜の剪断強度
は、一般的に放熱基板と半導体素子及び外部冷却部材等
との接合に使用されているエポキシ樹脂よりも強く、半
導体素子の実装において要求される接合強度信頼性に十
分対応できることが判る。
【0035】
【実施例4】本実施例では、図1から図5に基づいて本
発明の絶縁放熱基板に半導体素子を実装する例を示す。
まず、実施例1と同様にしてCu含有量15重量%のC
u−W複合合金を製造し、これを機械加工して図1のご
とく縦横17×17mmで厚さ1.5mmの基板本体1
を作製した。この基板本体1に、濡れ性の改善のために
厚さ0.5〜1.5μmのNiメッキを施した。
【0036】別に、図2に示すように外形寸法20×2
0mm及び高さ1mmであって、肉厚0.13mmの四
角枠状のコバール枠2をプレス成形により作製した。こ
の外囲器としてのコバール枠2に上記基板本体1をロウ
付けし、図3に示すようにヒートシンクキャップ5を作
製した後、耐食性向上のため全体に厚さ2〜8μmのN
iメッキを施した。
【0037】一方、芳香族ポリイミド中にAlN粉末を
熱伝導性フィラーとして含有させた有機絶縁体ペースト
を実施例1と同様に調整し、この有機絶縁体ペーストを
図3に示す基板本体1のコバール枠2と反対側の表面に
スクリーン印刷により塗布し、次に実施例1と同じ条件
で乾燥及び加熱硬化させることにより厚さ30μmの耐
熱性有機絶縁体膜3を形成した。得られたヒートシンク
キャップ5は、図4に示すごとく基板本体1の一表面上
に耐熱性有機絶縁体膜3を有する絶縁放熱基板4が、耐
熱性有機絶縁体膜3と反対側でコバール枠2と接合した
構造になっている。
【0038】その後、図5に示すように、ヒートシンク
キャップ5を構成する絶縁放熱基板4の耐熱性有機絶縁
体膜3上に、縦横16×16mmで高さ30mmのCu
からなる外部冷却ブロック6を、Ag粒子を混合した厚
さ80μmのエポキシ樹脂7により接合した。又、絶縁
放熱基板4の耐熱性有機絶縁体膜3と反対側表面でコバ
ール枠2の内側には、縦横15×15mmで厚さ1mm
の半導体素子9を厚さ30μmの上記と同じエポキシ樹
脂8により接合した。
【0039】半導体素子9を接合しているエポキシ樹脂
8から外部冷却ブロック6の上面までの熱抵抗は、0.
54℃/Wと求められた。計算に使用した各部材の熱伝
導率データは、絶縁放熱基板4が180W/m・K、外
部冷却ブロック6が390W/m・K、及びAg粒子入
りエポキシ樹脂7、8が1.5W/m・Kである。この熱
抵抗値は、スーパーコンピューターレベルの半導体素子
の発熱量7.9W/cm2程度においても、十分に対応で
きるものである(但し、外部冷却ブロック6の上面は水
冷により室温に冷却される)。
【0040】又、半導体素子9を接合しているエポキシ
樹脂8から外部冷却ブロック6までの電気絶縁抵抗を測
定したところ、試験電圧100Vで3.34×1012Ω
であって、外部冷却ブロック6を水冷してもリーク電流
による金属腐食等の問題が発生しないレベルであること
が判った。尚、絶縁放熱基板4の全体としての熱膨張係
数は7.9×10-6deg-1であり、基板本体1を構成
するCu−W複合合金の熱膨張係数と同一で差異は検出
できなかった。
【0041】この様にして絶縁放熱基板4に接合された
半導体素子9は、実装例として図5に示すごとく、コバ
ール枠2の下端面をセラミック基板10にロウ付けされ
たコバールリング11にシーム溶接することにより気密
封止される。尚、図5において、12はTAB(Tape A
utomated bonding)のリードであり、13は外部接続用
のピンである。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、搭載する半導体素子や
外囲器材料と近似した熱膨張係数を有するので実装時の
熱応力に基づく歪みを低減でき、優れた熱伝導性をもつ
ことにより半導体素子から発生する熱を効率良く放熱で
き、同時に電気絶縁性を備えた半導体素子搭載用絶縁放
熱基板を提供することが出来る。従って、本発明の絶縁
放熱基板は、冷却フィンや冷却ブロック等の外部冷却部
材を必要とするような、集積回路装置等の半導体素子の
大型化や発熱量増加に対して十分に対応することが出来
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】Cu−W複合合金からなる平板状の基板本体の
斜視図である。
【図2】外囲器としての四角枠状のコバール枠の斜視図
である。
【図3】基板本体を外囲器に接合した状態を示す斜視図
である。
【図4】本発明の絶縁放熱基板を外囲器に接合してなる
ヒートシンクキャップの断面図である。
【図5】本発明の絶縁放熱基板を備えたヒートシンクキ
ャップに半導体素子を気密封止した状態を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
1 基板本体 2 コバール枠 3 耐熱性有機絶縁体膜 4 絶縁放熱基板 5 ヒートシンクキャップ 6 外部冷却ブロック 7 エポキシ樹脂 8 エポキシ樹脂 9 半導体素子 10 セラミック基板 11 コバールリング 12 リード 13 ピン

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cu−W、Cu−Mo又はAl−Si複
    合合金からなる基板本体と、基板本体の電気絶縁性を要
    する表面に設けられた耐熱性有機絶縁体膜とからなり、
    耐熱性有機絶縁体膜が熱伝導性フィラーとして60〜9
    0重量%のダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素又は窒化ア
    ルミニウムの粉末を含有し、且つその膜厚が10〜60
    μmである半導体素子搭載用絶縁放熱基板。
  2. 【請求項2】 耐熱性有機絶縁体膜が、粒径0.5〜2
    0μmのダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素又は窒化アル
    ミニウムの粉末を含有した芳香族ポリイミドからなるこ
    とを特徴とする、請求項1記載の半導体素子搭載用絶縁
    放熱基板。
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