JPH0531998Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、屋外に独立した施設として設置され
る簡易トイレに関する。

（従来の技術） 公園や工事現場等、あるいは、災害等時におい
ては、比較的簡単に設置できるとともに撤去も容
易とされる簡易トイレが使用される。斯かる簡易
トイレは、通常、便器が配された床部を備える室
部とその下方に設けられた便槽部とが一体的に形
成されたものとされる。

このような簡易トイレにあつては、その構成が
できるだけ簡単であつて安価とされ、かつ、便槽
部からの臭気を室部内に滞留させないようにされ
ることが望まれるところであり、そのため、従
来、室部を構成する側壁等に窓を設け、窓を通じ
て室部内の臭気が外部に排出されるようになすこ
と、あるいは、例えば、便槽部の内部に通じた排
気パイプとその上端に設けられた風力換気扇とか
ら成る換気装置を設け、便槽部からの臭気の室部
内への入り込みを抑制すること等が行われてい
る。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上述の如くに、端に室部を構成
する側壁等に設けられた窓を通じて室部内の臭気
が外部に排出されるようになされるだけの場合に
は、室部内の換気が充分には行われないことが多
く、従つて、室部内における臭気の滞留が防がれ
る効果は然程期待できない。また、排気パイプと
風力換気扇とから成る換気装置が設けられる場合
には、簡易トイレとしての構造が複雑化されてし
まうことになり、さらに、風力換気扇が充分に作
動しないと換気効果は得られないことになるが、
自然のもとでは、風力換気扇が常時都合よく作動
状態とされることを期待することは困難である。
そこで、風力換気扇に代えて、電動換気扇を用い
ることも考えられるが、斯かる際には、コストの
上昇をまねくとともに、電動換気扇を作動させる
ための電力源を確保することに困難が伴われ、実
用的ではない。

斯かる点に鑑み、本考案は、便器が配された床
部を備える室部とその下方に設けられた便槽部と
が一体的に形成されて成り、比較的簡単で安価に
得られる構成のもとに、便槽部からの臭気を、室
部内に滞留させることなく、外部に効率良く排出
できるようにされた簡易トイレを提供することを
目的とする。

（課題を解決するための手段） 上述の目的を達成すべく、本考案に係る簡易ト
イレは、室部を構成する、便器が配置された床
部、床部の周囲に配されてドアが設けられた側壁
部、及び、側壁部の上端部分に連なる天板部を含
む室空間形成部材と、便槽部を構成する、便器の
下方に設けられた便槽形成部材とに加えて、室空
間形成部材の側壁部の少なくとも一部の外面及び
室空間形成部材の天板部の少なくとも一部の外面
に沿つて広がり、天板部の外方において開口が設
けられ、その内部に、下端部分において便槽形成
部材の内側空間に通じ、かつ、上端部分において
開口を通じて大気に開放された通路を形成し、さ
らに、少なくともその外面部に太陽熱を吸収する
ための処理が施された換気通路形成部材と、換気
通路形成部材における開口が形成された部分の外
方に配され、その内部に、両端部が大気開放端と
された大気流通路を形成するとともに、開口に対
応する部分にベンチユリ部を形成する大気流通路
形成部材とを備えて構成される。

（作用） 上述の如くに構成される本考案に係る簡易トイ
レにおいては、便槽形成部材の内側空間に生じた
臭気が、換気通路形成部材の内部に形成され、そ
の下端部分が便槽形成部材の内側空間に通じ、ま
た、その上端部分が換気通路形成部材に設けられ
た開口を通じて大気に開放される通路を通じて、
便槽形成部材の内側空間から換気通路形成部材に
設けられた開口に導かれ、さらに、換気通路形成
部材の内部に形成される通路に開口により連通せ
しめられた、大気流通路形成部材の内部に形成さ
れる大気流通路を通じて、室空間形成部材の内側
に形成される室空間に入り込むことなく大気中に
排出される。

その際、換気通路形成部材が、室空間形成部材
の側壁部及び天板部の夫々における少なくとも一
部の外面に沿つて広がつて、太陽光線を比較的広
い面積をもつて受けることができるようにされる
とともに、その外面部が太陽熱を効率良く吸収す
るものとされているので、換気通路形成部材の内
部に形成される通路内が、太陽熱により効果的に
昇温されて上昇気流を生じさせる状態とされ、そ
れにより、便槽形成部材の内側空間からの臭気
は、上昇気流の作用を受けて通路内に効率良く導
入されて、換気通路形成部材に設けられた開口に
到達するものとされる。そして、大気流通路形成
部材における換気通路形成部材に設けられた開口
に対応する部分には、ベンチユリ部が形成される
ので、換気通路形成部材に設けられた開口に到達
した臭気は、ベンチユリ部の作用により、大気流
通路形成部材の内部に形成された大気流通路内
に、開口を通じて効率良く吸い込まれ、大気流通
路を通過する大気流により大気中に排出される。

従つて、本考案に係る簡易トイレにあつては、
換気扇等の強制排気装置が必要とされない、比較
的簡単で安価に得られる構成のもとに、便槽形成
部材の内側空間からの臭気が外部に効率良く排出
されることになる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面を参照して説明す
る。

第１図〜第５図に示される如く、本考案に係る
簡易トイレの一例は、例えば、F.R.P.（フアイバ
ーグラス・レインフオースド・プラスチツク）等
の合成樹脂材料によつて成形された、床部１、そ
の周囲に配された複数の側壁部２，３，４及び
５、及び、天板部６を含む室空間形成部材７と、
側壁部２〜５の夫々からその下方に延びる側面部
８及び底面部９とを含んで形成された便槽形成部
材１０とが組み合わされて構成される。そして、
床部１には、便器１１が開口部１１ａを便槽形成
部材１０の内側空間側に突出させて設置されてい
る。側壁部４には、その上部に換気口４ａが設け
られるとともに、室空間形成部材７の内側に形成
される室空間に外光を取り入れる採光窓１２ａが
形成されたドア１２が取り付けられており、さら
に、例えば、側壁部３及び５にも、換気口３ａ及
び５ａが夫々設けられている。また、ドア１２が
取り付けられた側壁部４に対向する側壁部２は天
板部６に曲面をなして連なるものとされている。

室空間形成部材７の内側に形成される室空間に
は、側壁部３の内面に設けられたコートあるいは
携帯照明灯等を掛けるための掛具７Ａ、側壁部２
の内面に設けられた照明具７Ｂ、及び、同じく側
壁部２の内面に設けられたペーパーホルダー７Ｃ
等が配されている。

室空間形成部材７における側壁部２の外面側及
び天板部６の外面側には、側壁部２の外面及び天
板部６の外面に沿つて広がり、側壁部２の下端部
分から側壁部２の外面及び天板部６の外面に沿つ
て伸びて、天板部６における側壁部４側の端部に
迄達する、例えば、F.R.P.等の合成樹脂材料で形
成された換気通路形成部材１３が配されている。
この換気通路形成部材１３における天板部６の外
方に位置する部分の側壁部４側の端部の近傍に
は、開口１３ａが形成されており、また、換気通
路形成部材１３の対向側縁部分１３ｂの夫々が、
側壁部２の外面及び天板部６の外面に接合される
とともに、換気通路形成部材１３の側壁部４側の
端縁部分が天板部６の外面に接合されて、換気通
路形成部材１３の内部に、その内面１３ｃと側壁
部２の外面及び天板部６の外面との間に伸びる換
気用の通路１５が形成されるようになされてい
る。

そして、換気用の通路１５は、その下端部分
が、室空間形成部材７における側壁部２に続く便
槽形成部材１０における側面部８に設けられた連
通口８ａを介して、便槽形成部材１０の内側空間
に通じ、また、その上端部分が、換気通路形成部
材１３に設けられた開口１３ａにより外部に通じ
るものとされている。さらに、換気通路形成部材
１３は、例えば、その外面の略全面に亙つて黒色
塗料による塗装層１７が設けられて、太陽熱を効
率良く吸収できるようにされている。なお、換気
通路形成部材１３における内面１３ｃと側壁部２
及び天板部６の夫々の外面との間には、それらに
沿つて上下方向に伸びる補強部材１６が配されて
いる。

また、換気通路形成部材１３における開口１３
ａが形成された部分の外方には、大気流通路形成
部材１９が配されている。大気流通路形成部材１
９は、換気通路形成部材１３の対向側縁部分１３
ｂの対向方向における対向端部が換気通路形成部
材１３に接合されるとともに、それらに直行する
方向の対向端部１９ａ及び１９ｂの夫々が大気開
放端とされており、また、開口１３ａに対応する
部分１９ｃが、換気通路形成部材１３における開
口１３ａの周囲部分との間でベンチユリ部２０を
形成するものとされている。それにより、大気流
通路形成部材１９の内部には、換気通路形成部材
１３における側壁部４側の端部から側壁部２に対
向する部分側に向かう方向、もしくは、その逆方
向の大気流が生じる大気流通路が形成されるので
あり、斯かる大気流通路は、ベンチユリ部２０に
おいて、開口１３ａにより換気通路形成部材１３
の内部に形成された換気用の通路１５に連通せし
められている。斯かる大気流通路形成部材１９の
外面にも、換気通路形成部材１３の外面と同様
に、黒色塗料による塗装層１７が設けられてい
る。

上述の如くの構成のもとにおいて、換気通路形
成部材１３は、室空間形成部材７における側壁部
２の外面及び天板部６の外面に沿つて広がるもの
とされているので、太陽光線を比較的広い面積を
もつて受けることができ、しかも、その外面に黒
色塗料による塗装層１７が設けられているので、
太陽熱を効率良く吸収できるものとされている。
従つて、換気通路形成部材１３の内部に形成され
た換気用の通路１５は、太陽熱によつて効率良く
昇温せしめられて上昇気流を生じさせるものとさ
れる。そして、換気用の通路１５内に上昇気流が
生じることにより、便槽形成部材１０の内側空間
で発生した臭気が、その上昇気流の作用を受け
て、連通口８ａを通じて換気用の通路１５にその
下端部から効率良く導入され、換気通路形成部材
１３に設けられた開口１３ａに到達せしめられ
る。

そして、大気流通路形成部材１９における開口
１３ａに対応する部分にはベンチユリ部２０が形
成されているので、開口１３ａに到達した臭気
は、ベンチユリ部２０の作用により、開口１３を
通じて大気流通路形成部材１９の内部に形成され
る大気流通路内に効率良く吸い込まれ、大気流通
路を通過する大気流によつて大気中に排出され
る。従つて、便槽形成部材１０の内側空間で発生
した臭気が、便器１１に形成された開口部１１ａ
を通じて、室空間形成部材１７により形成される
室空間に入り込むことが、効果的に抑制されるこ
とになる。

上述の如くの本考案に係る簡易トイレの一例に
あつては、第２図〜第５図に示される如く、搬送
時の便宜を図るべく、室空間形成部材７における
側壁部３及び５の外面に係止部２１ａが設けられ
るとともに、側壁部３及び５の夫々の下方におけ
る便槽形成部材１０における側面部８の外面に一
対の係止部２１ｂが設けられ、また、室空間形成
部材７における側壁部２に対向するものとされた
換気通路形成部材１３の部分の外面に止め具２１
ｄが設けられており、さらに、中央部にばね部材
２２ａが取り付けられたワイヤ２２が備えられて
いる。ワイヤ２２は、その両端が側壁部３及び５
の外面に設けられた係止部２１ａに係合せしめら
れて吊り上げ搬送に供され、また、その両端が側
面部８の外面に設けられた係止部２１ｂに係合せ
しめられて索引搬送に供されるようにされ、運搬
時以外のときにおいては、その両端部が係止部２
１ａに係合されるとともに、ばね部材２２ａの端
部が換気通路形成部材１３に設けられた止め具２
１ｄに係合せしめられて保持される。なお、搬送
が人で行われる場合に備え、ワイヤ２２には手を
保護するための握りパイプ２３が取り付けられて
おり、また、側面部８の外面に把手２５が取り付
けられている。

便器１１には把手１１ｂが取り付けられてお
り、便器１１の持上げが容易に行われるようにさ
れている。

第６図に示される如く、室空間形成部材７にお
ける側壁部４には、それに設けられたドア１２側
の可動金具が係合せしめられる受け金具２７の外
方に突出する案内突起２７ａよりさらに外方に突
出する隆起部４ｂが形成されている。それによ
り、受け金具２７の案内突起２７ａが、衣類や人
体等に当接してそれらに損傷を与える虞が無くさ
れている。

また、第５図に示される如く、室空間形成部材
７における側壁部４の下方部分には、側壁部２の
内面に設けられた照明具７Ｂに外部電源からの電
力を供給するためのソケツト部３１が設けられて
おり、さらに、換気通路形成部材１３の外面側に
は、照明具７Ｂにソケツト部３１を通じて外部電
源からの電力が供給される状態とされるとき、外
部の明るさに応じて、照明具７Ｂの点灯制御を行
うための光センサ３０が設けられている。

なお、上述の例においては、換気通路形成部材
１３が、室空間形成部材７における天板部６の外
面側及び天板部６に連なる複数の側壁部２〜５の
うちの側壁部２の外面側に配されているが、換気
通路形成部材１３は、天板部６の外面側及び側壁
部２〜５のうちの側壁部２以外のものの外面に配
されるものとされてもよく、また、臭気排出効率
をより向上させるべく、天板部６の外面側及び側
壁部２〜５のうちの複数のものの外面側に配され
るものとされてもよい。また、換気通路形成部材
１３が，その外面に黒色塗料による塗料層１７が
設けられて、太陽熱を効率良く吸収できるように
されているが、換気通路形成部材１３は、黒色塗
料による塗装層１７が設けられること以外の、太
陽熱を効率良く吸収できるようにするための処理
が施されたものとされてもよい。

さらに、上述の例においては、換気通路形成部
材１３が室空間形成部材７及び便槽形成部材１０
とは別体のものとされているが、本考案に係る簡
易トイレは、換気通路形成部材１３と室空間形成
部材７及び便槽形成部材１０とが一体形成されて
構成され得るものである。

（考案の効果） 以上の説明から明らかな如く、本考案に係る簡
易トイレにあつては便槽形成部材の内側空間に生
じた臭気が、換気通路形成部材の内部に形成され
る通路を通じて便槽形成部材の内側空間から換気
通路形成部材に形成された開口に導かれ、さら
に、その開口を通じて大気流通路形成部材の内部
に達するものとされ、大気流通路形成部材の内部
に形成される大気流通路を通じて、室空間形成部
材により形成される室空間に入り込むことなく大
気中に排出される。

その際、換気通路形成部材が、室空間形成部材
における側壁部及び天板部の夫々における少なく
とも一部の外面に沿つて広がつて、太陽光線を比
較的広い面積をもつて受けることができるととも
に、外面部が太陽熱を効率良く吸収するものとさ
れているので、換気通路形成部材の内部に形成さ
れる通路内が、太陽熱により効果的に昇温されて
上昇気流を生じさせる状態とされ、それにより、
便槽形成部材の内側空間からの臭気は、上昇気流
の作用を受けて通路内に効率良く導入されて、換
気通路形成部材に設けられた開口に到達するもの
とされる。そして、大気流通路形成部材における
換気通路形成部材に設けられた開口に対応する部
分にはベンチユリ部が形成されるので、換気通路
形成部材に設けられた開口に到達した臭気は、ベ
ンチユリ部の作用により、開口を通じて効率良く
大気流通路内に吸い込まれ、大気流通路を通過す
る大気流により大気中に排出される。

従つて、本考案に係る簡易トイレによれば、換
気扇等の強制排気装置を必要とせず、電力が供給
されることを要さない比較的簡単で安価に得られ
る構成をもつて、便槽形成部材の内側空間からの
臭気を極めて効率良く外部に排出できることにな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る簡易トイレの一例を示す
縦断面図、第２図、第３図、第４図及び第５図は
夫々第１図に示される例の平面図、側面図、背面
図及び正面図、第６図は第１図に示される例の部
分拡大図である。 図中、１は床部、２〜５は側壁部、６は天板
部、７は室空間形成部材、１０は便槽形成部材、
１１は便器、１３は換気通路形成部材、１３ａは
開口、１５は換気用の通路、１７は塗装層、１９
は大気流通路形成部材、２０はベンチユリ部であ
る。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 便器が配置された床部、該床部の周囲に配され
   てドアが設けられた側壁部、及び、該側壁部の上
   端部分に連なる天板部を含む室空間形成部材と、 上記便器の下方に設けられた便槽形成部材と、 上記側壁部の少なくとも一部の外面及び上記天
   板部の少なくとも一部の外面に沿つて広がり、上
   記天板部の外方において開口が設けられ、その内
   部に、下端部分において上記便槽形成部材の内側
   空間に通じ、かつ、上端部分において上記開口を
   通じて大気に開放された通路を形成し、さらに、
   少なくともその外面部に太陽熱を吸収するための
   処理が施された換気通路形成部材と、 該換気通路形成部材における上記開口が形成さ
   れた部分の外方に配され、その内部に、両端部が
   大気開放端とされた大気流通路を形成するととも
   に、上記開口に対応する部分にベンチユリ部を形
   成する大気流通路形成部材と、 を備えて構成される簡易トイレ。