JPH05316000A - 配電線搬送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 送信機側では、１サイクル分に伝送すべきデ
ータを伝送信号に変換するとともに、配電線に搬送す
る。受信機側では、ＤＡコンバータ３１は加算器３４を
介して波形記憶再生手段３０より出力される再生波形デ
ータｅをＤ／Ａ変換し、減算器３２は基準波形信号ｂに
対する入力信号ａの誤差成分ｃを抽出する。一方、ＡＤ
コンバータ３３は誤差成分ｃをＡ／Ｄ変換して誤差デー
タｄを求め、加算器３４は再生波形データｅに対し誤差
データｄを加算して補正波形データｆを求め、これによ
りネガティブフィードバックループを構成する。 【効果】 商用電源周波数およびその高調波ノイズ等の
定常ノイズが除去されるとともに、そのノイズ除去処理
時に新たなノイズが発生されることがなく、ＳＮ比の極
めて高い状態でデータを復調することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、配電線を伝送路とし
て信号の搬送を行う配電線搬送装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】配電線を伝送路としてデータ伝送を行う
配電線搬送装置の一つとして、ベースバンド信号の直接
拡散方式によるスペクトラム拡散通信方式が採用されて
いる。

【０００３】このスペクトラム拡散通信方式は、送信信
号を疑似雑音符号で変調することによってスペクトラム
を拡散し、受信側で同一の疑似雑音符号を用いて復調す
るようにしたものであり、広帯域にわたってノイズの影
響を受けにくい特性を備えている。

【０００４】ところが、スペクトラム拡散を行わない通
信方式は勿論、前述のスペクトラム拡散通信方式におい
ても、配電線に重畳されている高調波ノイズ等の電源ノ
イズレベルが高ければその影響を受ける。スペクトラム
拡散通信方式の場合、同期検出前は、サンプリング周期
が非同期であるため、受信したノイズと拡散符号系列と
の間で確率的に相関がとれて、データの復調を誤ること
がある。配電線搬送装置は配電線上の様々な箇所に設置
され、そのノイズ特性も様々であるため、一律なノイズ
対策処理では通信性能が上がらない。

【０００５】電源ノイズは、基本波の整数倍のノイズ
（高調波ノイズ）が大半であり、しかもこれらは定常的
に存在し、変動はゆるやかである。したがって、これら
のノイズが除去できればＳ／Ｎ比を飛躍的に向上させる
ことができる。高調波ノイズを除去するためには、基本
波の整数倍の周波数成分を阻止するくし形フィルタが有
効である。くし形フィルタは、基本波の１サイクル分だ
け遅延させた信号を反転させて原信号に加え合わせるこ
とにより構成される。

【０００６】ここで、従来の受信機の主要部の構成を図
５に示す。図５において波形記憶再生部３０は電源周波
の１サイクル分の波形データを記憶するメモリとその内
容を商用電源周波に同期して順次出力する回路である。
１サイクル分の波形データを記憶する際、スイッチ４０
を波形記憶再生部３０側に切替え、波形記憶再生部３０
から波形データを再生する際には、スイッチ４０を加算
器４１側に切替える。

【０００７】入力信号はバンドパスフィルタ２５により
帯域制限され、ＡＤコンバータ２６によりデジタルデー
タに変換される。加算器４１はＡＤコンバータ２６から
のデジタルデータに対する波形記憶再生部３０の出力デ
ータの差成分を求める。受信処理部４２では前記差成分
の信号に対し相関処理及び復調処理を行って受信データ
を求める。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】図５に示したように、
波形記憶再生部３０は１サイクル分前の波形データをい
ったん記憶し、次のサイクルで再生を行うため、商用電
源周波およびその高調波成分を阻止するくし型フィルタ
として作用する。これにより、配電線に重畳されている
高調波ノイズ等の電源ノイズレベルは大幅に低減され
る。しかしながら、図５に示した従来のノイズ成分除去
方式では、ＡＤコンバータ２６（その入力部のサンプル
ホールド回路）のサンプリングクロック周波数の誤差お
よび量子化誤差の影響を受けて、くし型フィルタにより
得られる信号に新たなノイズが重畳されるおそれがあっ
た。入力信号のサンプリングクロック周波数は入力信号
の電源周波に同期して生成されるが、電源周波数の変動
に対する追従性の問題で多少のサンプリングクロックの
誤差およびこれに伴う量子化誤差によりノイズ（グラニ
ュラーノイズ）が生じる。

【０００９】この発明の目的は、前述の問題を解消し、
商用電源周波数およびその高調波ノイズ等の電源ノイズ
のレベルを抑制するとともに、サンプリングクロック周
波数の誤差および量子化誤差によるノイズの発生を防止
して、確実なデータ伝送を行えるようにした配電線搬送
装置を提供する事にある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】この発明は、配電線に伝
送信号を重畳してデータを伝送する送信機と、配電線の
重畳信号を抽出するとともにデータを復調する受信機と
からなる配電線搬送装置において、商用電源周波の１サ
イクル分に伝送すべきデータを伝送信号に変換するとと
もに配電線に重畳する伝送手段を送信機に設け、商用電
源周波の１サイクル分の波形を記憶し、商用電源周波に
同期して再生波形データを出力する波形記憶再生手段
と、基準波形信号に対する入力信号の誤差成分を抽出す
る誤差成分抽出手段と、前記誤差成分をＡ／Ｄ変換して
誤差デ タを求めるＡ／Ｄ変換手段と、前記再生波形デ
ータに前記誤差データを加算して補正波形データを求め
る加算手段と、前記補正波形データをＤ／Ａ変換して、
これを前記基準波形信号として発生するＤ／Ａ変換手段
と、前記補正波形データにより前記波形記憶再生手段の
記憶内容を更新する波形データ更新制御手段とを受信機
に設けたことを特徴とする。

【００１１】

【作用】この発明の配電線搬送装置では、送信機側に設
けられている伝送手段は、商用電源周波の１サイクル分
に伝送すべきデータを伝送信号に変換するとともに配電
線に重畳させる。一方、受信機において、波形記憶再生
手段は、商用電源周波の１サイクル分の波形を記憶し、
商用電源周波に同期して再生波形データを出力する。誤
差成分抽出手段は基準波形信号に対する入力信号の誤差
成分を抽出し、Ａ／Ｄ変換手段は前記誤差成分をＡ／Ｄ
変換して誤差データを求める。加算手段は再生波形デー
タに前記誤差データを加算して補正波形データを求め
る。Ｄ／Ａ変換手段は前記補正波形データをＤ／Ａ変換
してこれを前記基準波形信号として発生する。そして、
波形データ更新制御手段は前記補正波形データにより波
形記憶再生装置の記憶内容を更新する。

【００１２】次に、本願発明に係る受信機に設けられる
主要部の構成例を図１に示す。図１において３０はこの
発明に係る波形記憶再生手段および波形データ更新制御
手段に相当する。ＤＡコンバータ３１はこの発明に係る
Ｄ／Ａ変換手段に相当し、減算器３２はこの発明に係る
誤差成分抽出手段に相当する。ＡＤコンバータ３３はこ
の発明に係るＡ／Ｄ変換手段に相当し、加算器３４はこ
の発明に係る加算手段に相当する。減算器３２は、ＤＡ
コンバータ３１より出力される基準波形信号ｂを基準と
して入力信号ａとの誤差成分ｃを求める。ＡＤコンバー
タ３３は誤差成分ｃをデジタルデータに変換して誤差デ
ータｄを求める。加算器３４は波形記憶再生部３０より
出力される再生波形データｅに対し誤差データｄを加算
して補正波形データｆを求める。ＤＡコンバータ３１は
補正波形データｆをＤ／Ａ変換して基準波形信号ｂを発
生する。波形記憶再生部３０は記憶内容の更新時に、補
正波形データｆに基づき記憶内容を更新する。以上の構
成により、減算器３２、ＤＡコンバータ３１、加算器３
４および波形記憶再生部３０の作用によってくし型フィ
ルタとして作用し、商用電源周波数およびその高調波成
分が有効に除去される。また、減算器３２、ＡＤコンバ
ータ３３、加算器３４およびＤＡコンバータ３１による
ネガティブフィードバックループにより、この系内で生
じるノイズ成分が抑制される。さらに、波形記憶再生部
３０の記憶内容が補正波形データｆにより更新されるた
め、入力信号に含まれる定常的なノイズ成分が変動した
場合でも、その変動に追従することができる。

【００１３】

【実施例】この発明の実施例である配電線搬送装置の構
成を図２および図３に示す。

【００１４】図２は送信機側のブロック図である。図２
において１は伝送すべきデータを一時記憶するレジスタ
である。変調回路２はレジスタ１からシリアルに出力さ
れるデータをＰＮ符号発生回路３から出力される疑似雑
音符号により変調する。出力回路５は送信用信号を増幅
する。結合回路６は、例えば重畳信号の周波数帯域を通
過させるＬＣ回路からなる。電源周波クロック発生回路
８は計器用変圧器７より取り出した信号から商用電源周
波に同期したクロック信号を発生する。ＰＬＬ回路１０
は電源周波クロック信号をてい倍して一定周期のクロッ
ク信号をレジスタ１へ与える。

【００１５】図３は受信機のブロック図である。図３に
おいて、入力回路２１は配電線から電流信号を検出す
る。２４は後述するノイズ除去用のフィルタである。バ
ンドパスフィルタ２５は受信信号を帯域制限する。Ａ／
Ｄ変換器２６は、帯域制限された信号を、商用電源周波
数のてい倍されたサンプリングクロックでサンプリング
を行うとともにディジタルデータに変換する。相関器２
７はＰＮ符号発生回路２８が発生する疑似雑音符号との
相関をとり、相関値がピークとなるタイミングに同期す
る。復調回路２９は相関値出力からデータの復調を行
う。

【００１６】次に、図３に示したフィルタ２４の構成を
ブロック図として図４に示す。図４において波形記憶再
生部３０はこの発明に係る波形記憶再生手段および波形
データ更新制御手段に相当し、メモリおよびその制御回
路からなる。ＤＡコンバータ３１はこの発明に係るＤ／
Ａ変換手段に相当し、誤差増幅回路３２はこの発明に係
る誤差成分抽出手段に相当する。ＡＤコンバータ３３は
この発明に係るＡ／Ｄ変換手段に相当し、加算器３４は
この発明に係る加算手段に相当する。誤差増幅回路３２
はＤＡコンバータ３１より出力される基準波形信号ｂを
基準として入力信号ａとの誤差成分ｃを求める。ＡＤコ
ンバータ３３は誤差成分ｃをデジタルデータに変換して
誤差データｄを求める。加算器３４は波形記憶再生部３
０より出力される再生波形データｅに対し誤差データｄ
を加算して補正波形データｆを求める。ＤＡコンバータ
３１は補正波形データｆをＤ／Ａ変換して基準波形信号
ｂを発生する。波形記憶再生部３０は更新指示信号が与
えられた時、補正波形データｆに基づき記憶内容を更新
する。整流回路３５は誤差成分ｃの信号を整流し、平滑
回路３６はこれを平滑する。更新指示手段３７は平滑回
路３６の出力信号レベルが一定値を超えたとき波形記憶
再生部３０に対し更新指示信号を与える。従って誤差成
分ｃの信号が、平滑回路３６により定まる時定数分だけ
所定値を上回れば、その時の補正波形データｆによって
波形記憶再生部３０の記憶内容が更新される。波形記憶
再生部３０は更新指示信号を受ければ、すでに記憶して
いる波形データと補正波形データｆとを一定の比率でた
とえば加重平均することによって指数平滑化し、その結
果を波形データとして記憶する。

【００１７】以上の構成により、減算器３２、ＤＡコン
バータ３１、加算器３４および波形記憶再生部３０によ
るくし型フィルタによって、商用電源周波数およびその
高調波成分が有効に除去される。また、減算器３２、Ａ
Ｄコンバータ３３、加算器３４およびＤＡコンバータ３
１によるネガティブフィードバックループにより、補正
波形データｃの平均レベルが最も低くなるように定常ノ
イズの変動に追従し、この系内で生じるノイズ成分が抑
制される。さらに、誤差成分ｃの平均レベルが所定値を
超えた時点で波形記憶再生部３０の記憶内容が更新され
るため、入力信号に含まれるノイズ成分が大きく変化し
た場合に対応して、波形記憶再生手段の記憶内容が更新
されていくことになる。なお、Ａ／Ｄ変換手段３３のサ
ンプリングクロック周波数の誤差および量子化誤差が生
じても、入力信号ａに比較して信号レベルの低い誤差成
分ｃについてのＡ／Ｄ変換であるため、その影響は殆ど
ない。

【００１８】なお、実施例では誤差成分ｃのレベルをア
ナログ回路により検出して波形記憶再生部の記憶データ
の更新タイミングを検出する例を示したが、デジタルデ
ータとして求められた誤差データｄをもとにして、デジ
タル回路によって波形記憶再生部３０の更新タイミング
を決定するようにしてもよい。

【００１９】

【発明の効果】この発明によれば、配電線に重畳されて
いる高調波ノイズ等の定常的な電源ノイズが有効に除去
され、しかもノイズ除去処理の際、新たなノイズが発生
しないため、ＳＮ比の極めて高い状態でデータの復調を
行うことができ、確実なデータ伝送が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の配電線搬送装置における受信機の一
部構成例を示すブロック図である。

【図２】この発明の実施例である配電線搬送装置の送信
機側のブロック図である。

【図３】この発明の実施例である配電線搬送装置の受信
機側のブロック図である。

【図４】図３におけるフィルタ２４の構成を示すブロッ
ク図である。

【図５】従来の配電線搬送装置における受信機の主要部
の構成を示すブロック図である。

【符号の説明】

３２． 減算器 ａ． 入力信号 ｂ． 基準波形信号 ｃ． 誤差成分 ｄ． 誤差データ ｅ． 再生波形データ ｆ． 補正波形データ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】配電線に伝送信号を重畳してデータを伝送
   する送信機と、配電線の重畳信号を抽出するとともにデ
   ータを復調する受信機とからなる配電線搬送装置におい
   て、 商用電源周波の１サイクル分に伝送すべきデータを伝送
   信号に変換するとともに配電線に重畳する伝送手段を送
   信機に設け、 商用電源周波の１サイクル分の波形を記憶し、商用電源
   周波に同期して再生波形データを出力する波形記憶再生
   手段と、 基準波形信号に対する入力信号の誤差成分を抽出する誤
   差成分抽出手段と、 前記誤差成分をＡ／Ｄ変換して誤差デ タを求めるＡ／
   Ｄ変換手段と、 前記再生波形データに前記誤差データを加算して補正波
   形データを求める加算手段と、 前記補正波形データをＤ／Ａ変換して、これを前記基準
   波形信号として発生するＤ／Ａ変換手段と、 前記補正波形データにより前記波形記憶再生手段の記憶
   内容を更新する波形データ更新制御手段とを受信機に設
   けたことを特徴とする配電線搬送装置。