JPH05313302A - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料

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JPH05313302A
JPH05313302A JP20711591A JP20711591A JPH05313302A JP H05313302 A JPH05313302 A JP H05313302A JP 20711591 A JP20711591 A JP 20711591A JP 20711591 A JP20711591 A JP 20711591A JP H05313302 A JPH05313302 A JP H05313302A
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Narikazu Hashimoto
斉和 橋本
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】現像処理後の巻きぐせが解消し易く、同時に熱
変形温度の高い写真感光材料を提供する。 【構成】ポリエステルフィルム支持体上に、少くとも1
層の感光層を有してなる写真感光材料において、該ポリ
エステルフィルム のTgが63℃以上のポリエステル
と吸水性を有するポリマーとを少くとも1層以上積層し
て成ることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は写真感光材料に関するも
のであり、特にポリエステル系の材料を支持体として用
い、現像処理後のカール解消性の優れたハロゲン化銀写
真感光材料(以下、写真感材または感材と称する。)に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】写真感光材料は一般的に、プラスチック
フィルム支持体上に少なくとも1層の写真感光性層を塗
布することによって製造される。このプラスチックフィ
ルムとしては一般的にトリアセチルセルロース(以下
「TAC」と記す)に代表される繊維系のポリマーとポ
リエチレンテレフタレート(以下(PET)と記す)に
代表されるポリエステル系のポリマーが使用されてい
る。
【0003】従来よりPETフィルムは優れた生産性、
機械的強度、ならびに寸度安定性を有するためTACに
代替するものと考えられてきたが、写真感光材料として
広範囲に用いられているロール形態では巻きぐせカール
が強く残留するため現像処理後の取り扱い性が悪く、上
記の優れた性質がありながらその使用範囲が限定されて
きた。
【0004】一般に写真感光材料としては、Xレイ用フ
ィルム、製版用フィルム及びカットフィルムの如くシー
ト状の形態のものと、ロールフィルムの代表的なもの
は、35m/m巾又はそれ以下の巾でパトローネ内に収
められており、一般のカメラに装填して撮影に用いるカ
ラー又は黒白ネガフィルムである。
【0005】一方、ロールフィルムに主として用いられ
ているTACフィルムの写真用支持体としての最大の特
徴は、光学的に異方性が無く透明度が高いことである。
さらにもう一点優れた特徴があり、それは現像処理後の
カール解消性についても優れた性質を有している点であ
る。即ち、TACフィルムはその分子構造からくる特徴
として比較的プラスチックフィルムとしては吸水性が高
い為、ロールフィルムとして巻かれた状況で経時される
ことによって生じる巻きぐせカールが現像処理における
吸水で分子鎖が流動し、巻き経時で固定化された分子鎖
が再配列を起こす。
【0006】その結果一旦形成された巻きぐせカールが
解消するという優れた性質を有している。この様なTA
Cのごとき巻きぐせカール回復性を有さないフィルムを
用いた写真感光材料では、ロール状態で用いられた際
に、例えば現像後写真印画紙に画像を形成させる焼き付
け工程等で、スリ傷の発生、焦点ボケ、搬送時のジャミ
ング等の問題が生じてしまう。
【0007】ところで、近年写真感光材料の、用途は多
様化しており撮影時のフィルム搬送の高速化、撮影倍率
の高倍率化、ならびに撮影装置の小型化が著しく進んで
いる。その際には、写真感光材料用の支持体としては、
強度、寸度安定性、薄膜化等の性質が要求される。
【0008】しかし、上記TACでは剛直な分子構造か
らくる性質で製膜したフィルムの膜質が脆弱でこられの
用途には使用できないのが現状であり、現像処理後も巻
きぐせカールが問題になるロールフィルム分野において
は、PETフィルムはその優れた機械的性質を有するも
のの使用出来ないという問題があった。
【0009】このような巻きぐせの問題は、従来から用
いられているような、パトローネに入ったカラー又は黒
白フィルムでも、大きな問題となるが、以下に示すよう
な新規なパトローネシステムでは、さらに大きな問題と
なる。これは、このようなパトローネシステムは、カメ
ラへの装填を容易にするために、カメラ内に入れると同
時に、カメラ内のモーターによりパトローネの巻芯を回
転させて、中に入っているフィルムを自動的に送り出せ
るようにしたものであり、このためには、密にパトロー
ネ内にフィルムが巻かれて収納されていることが必要で
あり、従来型のパトローネより、一層巻きぐせが付き易
いシステムとなっているためである。
【0010】このため、特開平1−24446に記載さ
れているような手法により、PETに金属スルホネート
を有する芳香族ジカルボン酸と炭素数4−20の脂肪族
ジカルボン酸を共重合させることにおり、PETに吸水
性を付与させ、現像処理後のカール解消性を図った例が
ある。しかし、この手法では、カール解消はするもの
の、熱変形温度が低下し耐熱性が不十分であるという欠
点があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、優れた透明性および機械的性質を有する支持体から
なり、現像処理後の巻きぐせカールが解消し易く、同時
に熱変形温度の高い写真感光材料を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】これらの課題は、ポリエ
ステルフィルム支持体上に、少くとも1層の感光層を有
してなる写真感光材料において、該ポリエステルフィル
ムのTgが63℃以上のポリエステルと吸水性を有する
ポリマーとをそれぞれ少くとも1層以上積層して成るこ
とを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料によって達成
された。
【0013】従来の方法(特開平1−244446)で
は、吸水性を付与するため金属スルホネートを有する芳
香族ジカルボン酸をPETに共重合させることで、吸水
性を付与し、現像処理後のカール解消性を付与した。し
かし金属スルホネートを有する芳香族ジカルボン酸との
共重合体は耐折強度が著しく低く、その改良のために共
重合させた炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸によ
り、耐折強度の向上を図ったが、同時に、熱変形温度を
低下させてしまい耐熱性に欠ける欠点を有していた。し
かし、本発明では、吸水性を有する物質により、現像処
理中に、支持体中に吸水させカール回復を図る一方、耐
熱性を有するポリエステル上に積層させることで耐熱性
の低下をも克服させたものである。
【0014】吸水性を有するポリマーとしては、スルホ
ン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基
およびこれらの塩、ポリアルキレンオキシ基、アルコキ
シ基、アルコキシカルボニル基、スルファモイル基、カ
ルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ジ
スルホンアミド基、ウレイド基、ウレタン基、アルキル
スルホニル基、アルコキシスルホニル基のうち少くとも
1つ官能基を有するポリマーが挙げられる。また、この
吸水性を有するポリマーと積層させる耐熱性を有するポ
リマーとしては、Tgが63℃以上のポリエステルが挙
げられる。
【0015】上述の吸水性を有するポリマーの代表的な
例の1つに親水性基を持つモノマーと供重合させたポリ
エステルがある。本発明では、この吸水性ポリマーを耐
熱性を有するポリエステルと積層させるため、この吸水
性ポリマーも、ポリエステルである方が、一般に接着性
が良く、透明性の良好なフィルムを得やすい。従って、
まずこの親水性基を有するポリエステルについて詳しく
説明する。
【0016】ポリエステルは、二塩基酸とグリコールが
主要な構成成分である。従来ポリエステル材料としてよ
く知られているものとして、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)があり、本発明において、親水性基を有す
るポリエステルとはPETに対して、より含水率の高い
ポリエステルを指す。本発明のポリエステルにおける親
水性基は、構成成分である二塩基酸、あるいは、グリコ
ールのいずれに導入してもよい。
【0017】導入可能な親水性基としては、スルホン
酸、スルフィン酸、ホスホン酸、カルボン酸あるいはそ
の塩、ポリアルキレンオキシ基、アルコキシ基、アルコ
キシカルボニル基、スルファモイル基、カルバモイル
基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ジスルホンア
ミド基、ウレイド基、ウレタン基、アルキルスルホニル
基、アルコキシスルホニル基等、種々の1ないし2価の
置換基を挙げることができるが、この中で、スルホン
酸、スルフィン酸、ホスホン酸、カルボン酸あるいはそ
の塩、ポリアルキレンオキシ基、ジスルホンアミド基が
特に好ましい。
【0018】このような親水性基を有する構成成分のう
ち、好ましい二塩基酸としては5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、4−
ナトリウムスルホフタル酸、4−ナトリウムスルホ−
2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,3,5−ベンゼ
ントリカルボン酸モノナトリウム塩、
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】等を挙げることができる。これらの二塩基
酸において、ナトリウム塩を有する化合物は、水素原子
や、他の金属原子、たとえばリチウムやカリウムで置換
されたものであってもよい。また、これらの二塩基酸に
おけるカルボキシル基は、製造上の必要等に応じて、エ
ステル(アルキルまたはアリールエステル)化されてい
てもよいし、酸クロリドの形にして用いてもよい。
【0022】親水性基を有する好ましいグリコールとし
ては、HO−(CH−(OCHCH−O
(CH−OH(nは1ないし約20の整数を表
す)、HO−(CH(CH)CHO)−H(nは
2ないし約20の整数を表す)、
【0023】
【化3】
【0024】等を挙げることができる。
【0025】また、これらの他にジオール成分として、
ヒドロキシポリエステル、ヒドロキシポリアセタール、
ヒドロキシエステルアミド類も用いることができる。ヒ
ドロキシ基を有するポリエステルは、多価(主として二
価)アルコールと二塩基性カルボン酸との反応生成物で
ある。ヒドロキシアセタールはグリコール(例えば、ジ
エチレングリコール)とホルムアルデヒドから得ること
ができる。ヒドロキシエステルアミドは、例えば二塩基
性カルボン酸とアミノアルコール単独あるいはジアミ
ン、ポリアミン類との混合物から得られる縮合物であ
る。
【0026】本発明のポリエステルの構成成分として
は、上記に挙げたもの以外に種々の化合物を用いること
ができる。使用可能な二塩基酸としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、無水コハク
酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン
酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ジ
フェニレン−P,P′−ジカルボン酸、テトラクロロ無
水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水
フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】
【0029】等を挙げることができる。
【0030】使用可能なジオールとしては、エチレング
リコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパ
ンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプ
タンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−
デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4
−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,1
−シクロヘキサンジメタノール、カテコール、レゾルミ
ン、ハイドロキノン、1,4−ベンゼンジメタノール、
【0031】
【化6】
【0032】
【化7】
【0033】等を挙げることができる。
【0034】また、必要に応じて、単官能または、3以
上の多官能の水酸基含有化合物あるいは、酸含有化合物
が共重合されていても構わない。また本発明のポリエス
テルには、分子内に水酸基とカルボキシル基(あるいは
そのエステル)を同時に有する化合物が共重合されてい
ても構わない。このような化合物の例としては、
【0035】
【化8】
【0036】本発明のポリエステルは、その主成分がエ
チレングリコールとテレフタル酸からなる共重合ポリエ
ステルが特に好ましい。このような共重合ポリエステル
中に導入する、前記親水性、構成成分の量は、構成成分
自身の親水性や生成するポリエステルの物理的性質(屈
折率、機械的強度、等)により種々変わりうるが、好ま
しくは、ポリエステルの全重量に対し1ないし50重量
%、特に好ましくは、2ないし40重量%である。
【0037】また、エチレングリコール、テレフタル
酸、及び前記親水性構成成分以外の共重合可能な構成成
分も、生成するポリエステルの親水性や、屈折率、透明
性、ガラス転移温度、融点、耐折性等の物理的・機械的
性質を勘案して、任意に導入することが可能であるが、
その量は、ポリエステルの全重量に対し、好ましくは0
ないし50重量%、特に好ましくは、0ないし40重量
%である。
【0038】本発明のポリエステルの合成は、従来公知
のポリエステルの製造法に従って行うことができる。例
えば、酸成分をグリコール成分と直接エステル化する
か、または酸成分をジアルキルエステルとして用いる場
合はグリコール成分とのエステル交換反応を用いること
ができる。あるいは、酸成分を酸ハライドとしておき、
グリコールと反応させてもよい。この際、必要に応じて
エステル交換反応触媒あるいは重合反応触媒を用いた
り、耐熱安定剤を添加してもよい。以上述べた、ポリエ
ステル構成成分及び合成法については、例えば高分子実
験学第5巻「重縮合と重付加」(共立出版、1980
年)第103頁〜第136頁、「合成高分子V」(朝倉
書店、1971年)第187頁〜第286頁の記載を参
考に行うことができる。
【0039】本発明で用いるポリエステルの好ましい平
均分子量の範囲は、約3,000ないし約100,00
0である。次に本発明に用いるポリエステルの好ましい
具体的化合物例を示すが、本発明がこれに限定されるも
のではない。 ポリエステル化合物例 ( )内の数字は各成分のモル比を表す。
【0040】 P−1 TPA/AA/SSIA/EG (88/5.
3/6.7/100) P−2 TPA/AA/SSIA/EG (90/7.
2/2.8/100) P−3 TPA/AA/SSIA/EG (88/7.
2/4.8/100) P−4 TPA/SSIA/EG/DEG(92/5/
85/15) P−5 TPA/SSIA/EG/TEG(93/7/
80/20) P−6 TPA/AA/SPIA/EG (90/4/
6/100) P−7 TPA/PEG(4000)/EG(100/
0.5/99.5) P−8 TPA/IPA/SSIA/PEG(400
0)/EG(95/4/1/0.3/99.7) P−9 TPA/SSIA/SA/TEEG/EG(9
5/3/2/5/95) P−10 TPA/SCPP/AA/EG(90/5/
5/100)
【0041】 P−11 TPA/AA/SSIA/EG/DEG(8
8/5/7/90/10) P−12 TPA/PISB/AA/EG(94/3/
3/100) P−13 TPA/PISB/EG/DEG(97/3
/95/5) P−14 TPA/EG/DMPS (100/9
5/5) P−15 TPA/SSIA/SA/EG/BHPP
(90/2/8/95/5) 略称説明
【0042】
【化9】
【0043】
【化10】
【0044】上記の共重合比は、二塩基酸成分はいずれ
も仕込みモル比を表す。グリコール成分のうち、EG以
外の成分は、全酸成分に対する仕込みモル百分率を表
す。EGは、通常のエステル交換法を用いた合成に従
い、酸成分に対して過剰に用いているが本具体例におい
ては、最終生成物における二塩基酸とグリコールの量が
各々100となる様に計算して表記した
【0045】このような親水性基を有するポリエステル
共重合体以外にも、種々の吸水性を有するポリマーを用
いることができる。例えば、ポリアクリル酸やポリメタ
クリル酸およびその誘導体、ポリアクリルアミドおよび
その誘導体、ポリエチレングリコールおよびその誘導
体、ポリスチレンスルホン酸塩およびその誘導体、ポリ
エチレンオキサイドおよびその誘導体等が挙げられる。
これらのポリマーは多くの種類のものが市販されており
容易に入手、利用できる。
【0046】このような、吸水性を有するポリマーは、
本発明の積層フィルムの表面から20μm以内に少なく
とも1層存在することが必須である。これは、本発明の
巻きぐせカール回復のメカニズムが、現像処理中に支持
体中に取り込まれた水により、ポリマー分子を可塑化さ
せ、巻きぐせ回復させているため、支持体表面から20
μm以上の深い所にこの吸水性を有するポリマー層が存
在する場合、現像処理の間に十分な吸水量を得ることが
できるいため、巻きぐせカール回復を行うことはできな
いためである。
【0047】また、この吸水性を有するポリマーの層
は、Tgが63℃以上のポリエステルフィルムの両面に
積層させることが望ましい。即ち、耐熱性を付与させる
Tgが63℃以上のポリエステルを芯とし、その両側
に、吸水性を有するポリマーを付与させるのが望まし
い。これは、巻きぐせが付いた時、最っとも歪みを受け
易いのが、フィルムの表面近くであるため、吸水性を有
するポリマーをこの付近に設けることにより、有効にこ
の歪みを解消することができるためである。
【0048】次に本発明のTgが63℃以上の耐熱性を
有するポリエステルについて説明する。写真感光材料
は、写真撮影した後現像処理を行うが、この最後のプロ
セスで温風により、写真フィルムを乾燥させる。この時
の温度が一般に50〜60℃の間であるため、Tgが、
この乾燥温度よりも低いと、現像処理後得られた写真フ
ィルムは熱変形したものとなる可能性がある。従って、
支持体を構成する1つの積層体のフィルムのTgがこの
乾燥温度を上回っている必要があるが、実際にいくつか
のTgのを持つポリエステルから成る単一層のフィルム
を作り、Tgが摂氏何度から変形するかを調べた。この
結果を、表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】このように、現像処理後熱変形しないため
には、Tgが63℃以上であることが必要であった。
【0051】本発明で云うTgとは、次のような方法で
測定した値をさす。まず、サンプルを、約10mg走査
型熱量計にセットし、窒素気流下で20℃/分の昇温速
度で昇温してゆき、ベースラインが偏奇しはじめる温度
と、新たなベースラインに戻る温度との算述平均値をT
gとした。
【0052】このようなTgを有するポリエステルの代
表的なものとしては、次のようなものが挙げられるが、
本発明は、これらに限定されるものではない。
【0053】
【化11】
【0054】
【化12】
【0055】
【化13】
【0056】
【化14】
【0057】
【化15】
【0058】
【化16】
【0059】本発明のポリエステルの合成は、従来公知
のポリエステルの製造法に従って行うことができる。例
えば、酸成分をグリコール成分と直接エステル化する
か、または酸成分をジアルキルエステルとして用いる場
合はグリコール成分とのエステル交換反応を用いること
ができる。あるいは、酸成分を酸ハライドとしておき、
グリコールと反応させてもよい。この際、必要に応じて
エステル交換反応触媒あるいは重合反応触媒を用いた
り、耐熱安定剤を添加してもよい。以上述べた、ポリエ
ステル構成成分及び合成法については、例えば高分子実
験学第5巻「重縮合と重付加」(共立出版、1980
年)第103頁〜第136頁、「合成高分子V」(朝倉
書店、1971年)第187頁〜第286頁の記載を参
考に行うことができる。
【0060】本発明で用いるポリエステルの好ましい平
均分子量の範囲は、約3,000ないし約100,00
0である。このようなポリエステルの中で、工業的に用
いるには、価格、供給性の面からポリエチレンテレフタ
レート(以下PETと称する。)、ポリエチレンナフタ
レート(以下PENと称るる)および、これらの誘導体
を用いるのが好ましい。
【0061】さらに、本発明のポリエチレンテレフタレ
ートフィルム中には種々の添加剤を含有せしめることが
できる。たとえば、ポリエステルフィルムを写真感光材
料用支持体として使用する際に問題となる性質の一つに
支持体が高屈折率であるために発生するふちかぶりの問
題があげられる。写真用支持体としてはトリアセチルセ
ルロース(TAC)ならびにポリエチレンテレフタレー
ト(PET)に代表されるポリエステル系のポリマーが
一般的に用いられているが、このTACとPETとの光
学的性質の大きな差の一つは、屈折率である。この屈折
率はPETが1.6程度に対してTACは1.5と小さ
い。一方、下びき層ならびに写真乳剤層にもっぱら用い
られるゼラチンの屈折率は1.50〜1.55であり、
ゼラチンの屈折率の比をとるとPETでは1.5/1.
6と1より小さく、光がフィルムエッジから入射した
時、ベースと乳剤層の界面で反射しやすい。従って、ポ
リエステル系のフィルムはいわゆるライトパイピング現
象(ふちかぶり)を起こす。
【0062】この様なライトパイピング現象を回避する
方法としては染料を添加する方法等が知られている。フ
ィルム染色に使用する染料については特に限定を加える
ものでは無いが色調は感光材料の一般的な性質上グレー
染色が好ましく、また染料はポリエステルフィルムの製
膜温度域での耐熱性に優れ、かつポリエステルとの相溶
性に優れたものが好ましい。染料としては、上記観点か
ら三菱化成製のDiaresin、日本化薬製のKay
aset等ポリエステル用として市販されている染料を
混合することにより目的を達成することが可能である。
【0063】染色濃度に関しては、マクベス社製の色濃
度計にて可視光域での色濃度を測定し少なくとも0.0
1以上であることが必要である。更に好ましくは0.0
3以上である。
【0064】以上述べてきたような、Tgが63℃以上
のポリエステル、吸水性を有するポリマーおよび色素等
の添加剤を、乾燥した後これらを共押出し法や溶液キャ
ストすることで積層構造を有するフィルムを形成させ
る。
【0065】以下に共押出し法を用いた積層フィルムの
形成法について述べる。上記吸水性を有するポリマー、
Tg63℃以上のポリエステルを共押出しダイを用いて
積層フィルムを形成させる。この時、これらのポリマー
の融点よりも少なくとも10℃高温で溶融させる。ま
た、色素等の添加物を用いる場合は、二軸又は一軸混練
機などにより、均一に分散させると良い。
【0066】このようにしてダイから押出したポリマー
は、冷却ドラム、冷却浴などに導かれて冷却固化され
る。冷却ドラムの場合はロールコーターを使用して冷却
ドラム表面に薄い塗液(水や界面活性剤含有液体など)
を塗布してシートが冷却ドラム表面に密着するようにす
ると良い。もちろん、冷却ドラムに直接シートを接触さ
せることもできる。シートを冷却ドラムのような急冷面
に密着させる手法として、エアナイフも利用できる。3
層以上の積層フィルムを作る時には、共押し出しのダイ
の押し出し口を、必要な数だけ増やしても良いし、上
記、押し出し操作をくり返すことで積層数を増やしても
良い。
【0067】このようにして積層構造を形成させた後、
2軸延伸を行い、必要な写真用積層フィルムを得る。2
軸延伸は、縦、横の遂次延伸あるいは2軸同時延伸のい
ずれでもよく、延伸倍率は特に限定されるものではない
が通常は2.0〜5.0倍が適当である。また縦、横延
伸後、縦、横方面のいずれかに再延伸してもかまわな
い。延伸温度は用いたポリマーのガラス転移点から融点
の間の温度で選択する。例えばPETの場合、縦延伸は
70〜100℃、横延伸の場合80〜160℃で行うの
が好ましい。
【0068】また、このような本発明の積層構造を得る
には、上述の共押出し法以外にも、キャスト法によって
も形成することができる。これは、 一方のポリマーの無軸延伸フィルムを形成しておき、
その上に所定量のもう一方のポリマーを適当な溶媒を用
いて塗布し、遂次あるいは2軸延伸する方法。 一方のポリマーの無軸延伸フィルムをあらかじめ一方
向に延伸しておき、この後所定の量のもう一方のポリマ
ーを適当な溶剤で塗布又はホットメルトエクストルジョ
ン塗布する方法。 一方のポリマーの無軸延伸フィルムをあらかじめ2軸
延伸しておき、この後所定の量のもう一方のポリマーを
適当な溶剤で塗布又はホットメルトエクストルジョン塗
布する方法。 のいづれの方法で行っても構わない。延伸は、共押出し
法の所で述べた条件で同様にして行うと良い。
【0069】本発明のフィルムの厚みは写真フィルムの
用途分野により適宜設定できるが、25〜250μが望
ましく、更に望ましくは40〜150μの厚みが採用さ
れる。
【0070】このようにして得られた本発明の積層フィ
ルムは、従来写真用フィルムとして用いられていたPE
Tとほぼ同等または、それに勝る優れた透明性及び機械
的強度は損なわれておらず、フィルムヘイズが3%以下
で破断強度が8〜25kg/mm、初期弾性率が20
0〜500kg/mm、膜厚50μでの引き裂き強度
が厚さ120μmで30g以上である。
【0071】本発明において透明性、破断強度、初期弾
性率及び引き裂き強度は以下の如く測定する。 〔透明性〕フイルムのヘイズをASTM−D1003−
52に従って測定した。 〔破断強度および初期弾性率〕JIS−Z1702−1
976に準じて、幅10mm、長さ100mmの短冊片
で、引張り速度は破断強度の測定の際には300mm/
分、初期弾性率は20mm/分で測定した。 〔引き裂き強度の測定〕軽荷重式引き裂き強度試験機
(東洋精機(株)製)を用いサンプルサイズ51×64
mmで13mmの切れ込みを入れ残り51mmを引き裂
いた時の指示値を読み取った。
【0072】本発明で得られたフィルム支持体は現像処
理後のカール解消性(以下、カール回復率と記す)が優
れることに特徴がある。本発明に於ては以下の方法で測
定に於てカール回復率が50%以上、特に80%以上で
あることが好ましい。 〔カール回復率の測定〕サンプルサイズ12cm×35
mmのフィルムを直径10mmの巻芯に巻き、60℃×
30%RH×72hrの処理を行い、その後、巻芯から
解放し40℃の蒸留水に15分間浸漬後、50gの荷重
をかけ55℃の空気恒温槽で3分間乾燥しサンプルを垂
直に吊し、サンプル長さを測定し元の12cmのサンプ
ル長にどれだけ回復したかを評価した。本発明で得られ
たフィルム支持体は、また、耐熱性が高いことにも特徴
がある。本発明においては、以下の方法により、フィル
ム支持体の熱収縮、熱変形から、耐熱性を評価した。
【0073】〔熱収縮の測定〕サンプルサイズ35mm
×12cmに裁断後、25℃×60%RH×24hr調
湿した後150℃×30min、空気恒温槽中で熱処理
を行う。これを25℃×60%RH×24hr調湿した
後、長手方向の長さを測り、熱収縮を評価する。
【0074】〔熱変形の測定〕サンプルサイズ35mm
×12cmに裁断後、直径25mmの巻き芯に巻き付
け、マイラーテープで止める。これを80℃×7hr熱
処理し、目視でフィルムの凹凸を評価する。
【0075】熱収縮は、好ましくは、2.0%以下であ
り、より好ましくは1.5%以下である。また熱変形
は、好ましくは、厚み122μmのトリアセチルセルロ
ース並みのわずかな熱変形であることであり、さらに好
ましくは、厚み100μmのPETフィルム並みに熱変
形していることである。
【0076】本発明のポリエステルフィルムは接着性向
上およびコーティング液のぬれ特性を改良するため、予
めコロナ放電処理、薬液処理、火災処理などの各種表面
処理を必要に応じて施すことができる。これらの表面処
理の中で、本発明に最も好ましく用いられるのは、フィ
ルム表面への低重合物の析出が少なコロナ放電処理であ
る。本発明のポリエステル支持体は、その上に塗設され
る感光性層等の写真層との接着力を増す為に下びき層を
有することが好ましい。下びき層としては、スチレン−
ブタジエン系共重合体又は塩化ビニリデン系共重合体か
らなるポリマーラテックスを用いる下びき層、ゼラチン
の如き親水性バインダーを用いる下びき層がある。本発
明に好ましく用いられる下びき層は親水性バインダーを
用いる下びき層である。本発明に使用する親水性バイン
ダーとしては水溶性ポリマー、セルロースエステル、ラ
テックスポリマー、水溶性ポリエステルなどが例示され
る。水溶性ポリマーとしては、ゼラチン、ゼラチン誘導
体、ガゼイン、寒天、アルギン酸ソーダ、でんぷん、ポ
リビニールアルコール、ポリアクリル酸共重合体、無水
マレイン酸共重合体などであり、セルロースエステルと
してはカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチル
セルロースなどである。ラテックスポリマーとしては塩
化ビニル含有共重合体、塩化ビニリデン含有共重合体、
アクリル酸エステル含有共重合体、酢酸ビニル含有共重
合体、ブタジエン含有共重合体などである。この中でも
最も好ましのはゼラチンである。
【0077】本発明に使用される支持体を膨潤させる化
合物として、レゾルシン、クロルレゾルシン、メチルレ
ゾルシン、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレ
ゾール、フェノール、o−クロルフェノール、p−クロ
ルフェノール、ジクロルフェノール、トリクロルフェノ
ール、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸、トリフルオロ酢
酸、抱水クロラールなどがあげられる。この中で好まし
いのは、レゾルシンとp−クロルフェノールである。
【0078】本発明の下びき層には種々のゼラチン硬化
剤を用いることができる。ゼラチン硬化剤としてはクロ
ム塩(クロム明ばんなど)、アルデヒド類(ホルムアル
デヒド,グルタールアルデヒドなど)、イソシアネート
類、活性ハロゲン化合物(2.4−ジクロロ−6−ヒド
ロキシ−S−トリアジンなど)、エピクロルヒドリン樹
脂などを挙げることができる。本発明の下びき層にはS
iO、TiO、の如き無機物微粒子又はポリメチル
メタクリレート共重合体微粒子(1〜10μm)をマッ
ト剤として含有することができる。本発明に係る下びき
層は一般によく知られた塗布方法、例えばデップコート
法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤ
ーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョ
ンコート法等により塗布することが可能である。本発明
の感光材料には感光性屠の他に、ハーレーション防止
層、中間層、バック層、表面保護層の如き非感光性層を
有することができる。バック層のバインダーとしては、
疎水性ポリマーでもよく、下びき層に用いる如き親水性
ポリマーであってもよい。
【0079】本発明の感光材料のバック層には、帯電防
止剤、易滑剤、マット剤、界面活性剤、染料等を含有す
ることができる。本発明のバック層で用いられる帯電防
止剤としては、特に制限はなく、たとえばアニオン性高
分子電解質としてはカルボン酸及びカルボン酸塩、スル
ホン酸塩を含む高分子で例えば特開昭48−22017
号、特公昭46−24159号、特開昭51−3072
5号、特開昭51−129216号、特開昭55−95
942号に記載されているような高分子である。カチオ
ン性高分子としては例えば特開昭49−121523
号、特開昭48−91165号、特公昭49−2458
2号に記載されているようなものがある。またイオン性
界面活性剤もアニオン性とカチオン性とがあり、例えば
特開昭49−85826号、特開昭49−33630
号、US2,992,108、US3,206,31
2、特開昭48−87826号、特公昭49−1156
7号、特公昭49−11568号、特開昭55−708
37号などに記載されているような化合物を挙げること
ができる。
【0080】本発明のバック層の帯電防止剤として最も
好ましいものは、ZnO、TiO3、SnO2、Al
、In、SiO、MgO、BaO、MoO
の中から選ばれた少くとも1種の結晶性の金属酸化物
あるいはこれらの複合酸化物の微粒子である。本発明に
使用される導電性の結晶性酸化物又はその複合酸化物の
微粒子はその体積抵抗率が10Ωcm以下、より好ま
しくは10Ωcm以下である。またその粒子サイズは
0.01〜0.7μ、特に0.02〜0.5μでするこ
とが望ましい。本発明に使用される導電性の結品性金属
酸化物あるいは複合酸化物の微粒子の製造方法について
は特開昭56−143430号及び同60−25854
1号の明細書に詳細に記載されている。第1に金属酸化
物微粒子を焼成により作製し、導電性を向上させる異種
原子の存在下で熱処理する方法、第2に焼成により金属
酸化物微粒子を製造するときに導電性を向上せる為の異
種原子を共存させる方法、第3に焼成により金属微粒子
を製造する際に雰囲気中の酸素濃度を下げて、酸素欠陥
を導入する方法等が容易である。異種原子を含む例とし
てはZnOに対してAl、In等、TiOに対しては
Nb、Ta等、SnOに対してはSb、Nb、ハロゲ
ン元素等が挙げられる。異種原子の添加量は0.01〜
30mol%の範囲が好ましいが0.1〜10mol%
であれば特に好ましい。
【0081】次に本発明の写真感材について詳細に述べ
る。本発明の感材はハロゲン化銀乳剤層、バック層、保
護層、中間層、アンチハレーション層などで、構成され
ているが、これらは主に親水性コロイド層で用いられ
る。その場合の親水性コロイド層のバインダーとして
は、例えばゼラチン、コロイド状アルブミン、カゼイン
などの蛋白質;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース等のセルロース化合物;寒天、アル
ギン酸ソーダ、でんぷん誘導体等の糖誘導体;合成親水
性コロイド例えばポリビニルアルコール、ポリ−N−ビ
ニルピロリドン、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリ
ルアミドまたはこれらの誘導体および部分加水分散物、
デキストラン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステ
ル、ロジン等が挙げられる、必要に応じてこれらのコロ
イドの二つ以上の混合物を使用してもよい。この中で最
も用いられるのはゼラチンあるいはその誘導体であるが
ここに言うゼラチンはいわゆる石灰処理ゼラチン、酸処
理ゼラチンおよび酵素処理ゼラチンを指す。
【0082】本発明に於いては又アニオン、ノニオン、
カチオン、ベタイン性含フッ素界面活性剤を併用するこ
とができる。これらの含弗素界面活性剤は特開昭49−
10722号、英国特許第1,330,356号、特開
昭53−84712号、同54−14224号、同50
−113221号、米国特許第4,335,201号、
同4,347,308号、英国特許第1,417,91
5号、特公昭52−26687号、同57−26719
号、同59−38573号、特開昭55−149938
号、同54−48520号、同54−14224号、同
58−200235号、同57−146248号、同5
8−196544号、英国特許第1,439,402
号、などに記載されている。これらの好ましい具体例を
以下に記す。
【0083】
【化17】
【0084】
【化18】
【0085】
【化19】
【0086】
【化20】
【0087】
【化21】
【0088】
【化22】
【0089】
【化23】
【0090】
【化24】
【0091】
【化25】
【0092】
【化26】
【0093】
【化27】
【0094】本発明においてはノニオン性界面活性剤を
用いてもよい。以下に本発明に好ましく用いられるノニ
オン界面活性剤の具体例を示す。
【0095】
【化28】
【0096】
【化29】
【0097】
【化30】
【0098】
【化31】
【0099】
【化32】
【0100】本発明で使用される含弗素界面活性剤及び
ノニオン界面活性剤の添加する層は写真感光材料の少な
くとも1層であれば特に限定されず、例えば表面保護
層、乳剤層、中間層、下塗層、バック層などを挙げるこ
とができる。本発明で使用される及び含弗素界面活性
剤、ノニオン界面活性剤の使用量は写真感光材料の1平
方メートルあたり0.0001g〜1gであればよい
が、より好ましくは0.0005〜0.5g、特に好ま
しいのは0.0005g〜0.2gである。又、本発明
のこれらの界面活性剤は2種類以上混合してもよい。
【0101】又、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、1,1,1−トリメチロールプロパン等特開昭
54−89626号に示されようなポリオマール化合物
を本発明の保護層あるいは他の層に添加することができ
る。本発明の写真構成層には他の公知の界面活性剤を単
独または混合して添加してもよい。それらは塗布助剤と
して用いられるものであるが、時としてその他の目的、
例えば乳化分散、増感その他の写真特性の改良等のため
にも適用される。又、本発明に於ては、滑性化組成物、
例えば米国特許第3,079,837号、同第3,08
0,317号、同第3,545,970号、同第3,2
94,537号及び特開昭52−129520号に示さ
れるような変性シリコーン等を写真構成層中に含むこと
ができる。
【0102】本発明の写真感光材料は写真構成層中に米
国特許第3,411,911号、同3,411,912
号、特公昭45−5331号等に記載のポリマーラテッ
クスを含むことができる。本発明の写真感光材料におけ
るハロゲン化銀乳剤層およびその他の親水性コロイド層
は各種の有機または無機の硬化剤(単独または組合せ
て)により硬化されうる。特に本発明で好ましいハロゲ
ン化銀カラー写真感光材料の代表例としてカラーリバー
サルフィルムとカラーネガフィルムをあげることができ
る。特に一般用カラーネガフィルムが好ましいカラー写
真感光材料である。以下一般用カラーネガフィルムを用
いて説明する。
【0103】本発明の感光材料は、支持体上に青感色性
層、緑感色性層、赤感色性層のハロゲン化銀乳剤層の少
なくとも1層が設けられていればよく、ハロゲン化銀乳
剤層および非感光性層の層数および層順に特に制限はな
い。典型的な例としては、支持体上に、実質的に感色性
は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤
層から成る感光性層を少なくとも1つ有するハロゲン化
銀写真感光材料であり、該感光性層は青色光、緑色光、
および赤色光の何れかに感色性を有する単位感光性層で
あり、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料において
は、一般に単位感光性層の配列が、支持体側から順に赤
感色性層、緑感色性層、青感色性の順に設置される。し
かし、目的に応じて上記設置順が逆であっても、また同
一感色性層中に異なる感光性層が挟まれたような設置順
をもとりえる。上記、ハロゲン化銀感光性層の間および
最上層、最下層には各層の中間層等の非感光性層を設け
てもよい。該中間層には、特開昭61−43748号、
同59−113438号、同59−113440号、同
61−20037号、同61−20038号明細書に記
載されているようなカプラー、DIR化合物等が含まれ
ていてもよく、通常用いられるように混色防止剤を含ん
でいてもよい。各単位感光性層を構成する複数のハロゲ
ン化銀乳剤層は、西独特許第1,121,470号ある
いは英国特許第923,045号、特開昭57−112
751号、同62−200350号、同62−2065
41号、同62−206543号、同56−25738
号、同62−63936号、同59−202464号、
特公昭55−34932号、同49−15495号明細
書に記載されている。
【0104】ハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十
四面体のような規則的な結晶を有するもの、球状、板状
のような変則的な結晶形を有するもの、双晶面などの結
晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの複合形でもよ
い。ハロゲン化銀の粒径は、約0.2ミクロン以下の微
粒子でも投影面積直径が約10ミクロンに至るまでの大
サイズ粒子でもよく、多分散乳剤でも単分散乳剤でもよ
い。本発明に使用できるハロゲン化銀写真乳剤は、例え
ばリサーチ・ディスクロージャー(RD)No.176
43(1978年12月)、22〜23頁、“I.乳剤
製造(Emulsion preparation a
nd types)”、および同No.18716(1
979年11月)、648頁、グラフキデ著「写真の物
理と化学」、ポールモンテル社刊(P.Glafkid
es,Chemie et Phi−sique Ph
otographique,PaulMontel,1
967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプ
レス社刊(G.F.Duffin,Photograp
hic EmulsionChem−istry(Fo
cal Press,1966))、ゼリクマンら著
「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊
(V.L.Zelikman et al.,Maki
ng and Coat−ing Photograp
hic Emulsion,Focal Press,
1964)などに記載された方法を用いて調製すること
ができる。
【0105】米国特許第3,574,628号、同3,
655,394号および英国特許第1,413,748
号などに記載された単分散乳剤も好ましい。また、アス
ペクト比が約5以上であるような平板状粒子も本発明に
使用できる。平板状粒子は、ガトフ著、フォトグラフィ
ック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Gut
off,Photographic Science
and Engineering)、第14巻、248
〜257頁(1970年);米国特許第4,434,2
26号、同4,414,310号、同4,433,04
8号、同4,439,520号および英国特許第2,1
12,157号などに記載の方法により簡単に調製する
ことができる。
【0106】結晶構造は一様なものでも、内部と外部と
が異質なハロゲン組成からなるものでもよく、層状構造
をなしていてもよい、また、エピタキシャル接合によっ
て組成の異なるハロゲン化銀が接合されていてもよく、
また例えばロダン銀、酸化鉛などのハロゲン化銀以外の
化合物と接合されていてもよい。また種々の結晶形の粒
子の混合物を用いてもよい。ハロゲン化銀乳剤は、通
常、物理熟成、化学熟成および分光増感を行ったものを
使用する。本発明の効率は、金化合物と含イオウ化合物
で増感した乳剤を使用したときに特に顕著に認められ
る。このような工程で使用される添加剤はリサーチ・デ
ィスクロージャーNo.17643および同No.18
716に記載されており、その該当箇所を後掲の表にま
とめた。
【0107】本発明に使用できる公知の写真用添加剤も
上記の2つのリサーチ・ディスクロージャーに記載され
ており、下記の表に関連する記載箇所を示した。
【0108】また、ホルムアルデヒドガスによる写真性
能の劣化を防止するために、米国特許4,411,98
7号や同第4,435,503号に記載されたホルムア
ルデヒドと反応して、固定化できる化合物を感光材料に
添加することが好ましい。本発明には種々のカラーカプ
ラーを使用することができ、その具体例は前出のリサー
チ・ディスクロージャー(RD)No.17643、V
II−C〜Gに記載された特許に記載されている。
【0109】水中油滴分散法に用いられる高沸点溶媒の
例は米国特許第2,322,027号などに記載されて
いる。水注油滴分散法に用いられる常圧での沸点が17
5℃以上の高沸点有機溶剤の具体例としては、フタル酸
エステル類、リン酸またはホスホン酸のエステル類、安
息香酸エステル類、アミド類、アルコール類またはフェ
ノール類、脂肪族カルボン酸エステル類、アニリン誘導
体、炭化水素類などが挙げられる。また補助溶剤として
は、沸点が約30℃以上、好ましくは50℃以上約16
0℃以下の有機溶剤などが使用でき、典型例としては酢
酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノン、2−エトキシエチルア
セテート、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。ラ
テックス分散法の工程、効果および含浸用のラテックス
の具体例は、米国特許第4,199,363号、西独特
許出願(OLS)第2,541,274号および同第
2,541,230号などに記載されている。
【0110】本発明の感光材料は乳剤層を有する側の全
親水性コロイド層の膜厚の総和が28μm以下であり、
かつ、膜膨潤速度T1/2が30秒以下が好ましい。膜
厚は、25℃相対湿度55%調湿下(2日)で測定した
膜厚を意味し、膜膨潤速度T1/2は、当該技術分野に
おいて公知の手法に従って測定することができる。例え
ばエー・グリーン(A.Green)らによりフォトグ
ラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング
(Photogr.Sci.Eng.)、19巻、2
号、124〜129頁に記載の型のスエロメーター(膨
潤計)を使用することにより測定でき、T1/2は発色
現像液で30℃、3分15秒処理した時に到達する最大
膨潤膜厚の90%を飽和膜厚とし、このT1/2の膜厚
に到達するまでの時間と定義する。膜膨潤速度T1/2
は、バインダーとしてのゼラチンに硬膜剤を加えるこ
と、あるいは塗布後の経時条件を変えることによって調
整することができる。また、膨潤率は150〜400%
が好ましい。膨潤率とは、さきに述べた条件下での最大
膨潤膜厚から、式:(最大膨潤膜厚−膜厚)/膜厚に従
って計算できる。
【0111】このようにして調製した写真感材は、所定
の幅に裁断した後(例えば、135であれば、35mm
幅、110であれば10mm幅)、パーフォレーション
加工を行い、所定のパトローネ等に収納し、カメラ撮影
に供する。
【0112】本発明に従ったカラー写真感光材料は、前
述のRD.No.17643の28〜29頁、および同
No.18716の615左欄〜右欄に記載された通常
の方法によって現像処理することができる。本発明のハ
ロゲン化銀カラー感光材料には処理の簡略化及び迅速化
の目的で発色現像主薬を内蔵しても良い。内蔵するため
には、発色現像主薬の各種プレカーサーを用いるのが好
ましい。例えば米国特許第3,342,597号のイン
ドアニリン系化合物、同第3,342,599号、リサ
ーチ・ディスクロージャー14,850号及び同15,
159号記載のシッフ塩基型化合物、同第13,924
号記載されている。
【0113】次に、本発明の支持体を全く新規な写真シ
ステムへの応用について説明する。このシステムの第一
の特徴は、フィルムのカメラへの装填が容易であること
である。従来の写真フィルムパトローネは写真フィルム
がパトローネ内部でスプールに密に巻かれてはいず、巻
きゆるんだ状態で収納されていたためスプールをフィル
ム巻き方向と逆の方向に回転させても写真フィルムをパ
トローネ外部に送り出すことはできなかった。このた
め、パトローネ外部に写真フィルム先端部を予め適当な
長さだけ引き出しておき、撮影者がこの写真フィルム先
端部をカメラ内のフィルム送り機構に装填するという操
作を必要としていた。
【0114】しかし、この操作は手間がかかるものであ
るとともに、ある程度の熟練を要するので装填ミスを生
じることも多く、装填ミスを生じた場合には未撮影の写
真フィルムを露光してしまうという問題があった。この
ため、このような操作を必要としないカメラシステムが
望まれていた。
【0115】かかるカメラシステムは写真フィルムをパ
トローネ内部から送り出し可能とすることにより実現す
ることができる。写真フィルムをパトローネ内部から送
り出し可能とすれば、フィルム先端を送り出すことによ
りフィルムをカメラ内のフィルム送り機構に係合させる
ことができるので、フィルム端部をカメラ内のフィルム
送り機構に装填する操作は不要となる。
【0116】このような目的には、従来から用いられて
いるパトローネを用いることはできず、新たな様式のも
のを用いる必要がある。以下にこのパトローネについて
説明する。このパトローネは、合成プラスチックを主成
分とする。このプラスチックスの成形には、必要に応じ
て可塑剤をプラスチックスに混合する。可塑剤として
は、例えば、トリオクチルホスフェート、トリブチルホ
スフェート、ジブチルフタレート、ジエチルセバゲー
ト、メチルアミルケトン、ニトロベンゼン、γ−バレロ
ラクトン、ジ−n−オクチルサクシネート、ブロモナフ
タレン、ブチルパルミテートなどが代表的なものであ
る。
【0117】本発明に用いるプラスチックス材料の具体
例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではな
い。具体例にはポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリモノクロロトリフルオロエチレン、塩化ビ
ニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン共重合樹脂、メチルメタクリル樹脂、ビニルホルマー
ル樹脂、ビニルブチラール樹脂、ポリエチレンテレフタ
レート、テフロン、ナイロン、フェノール樹脂、メラミ
ン樹脂等がある。
【0118】本発明に特に好ましいプラスチック材料は
ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどであ
る。更に本発明のパトローネは、各種の帯電防止剤を含
有してもよい。帯電防止剤は特に限定されないが、カー
ボンブラック、金属酸化物粒子、ノニオン、アニオン、
カチオン及びベタイン系界面活性剤又はポリマー等を好
ましく用いることができる。これらの帯電防止されたパ
トローネとして特開平1−312537号、同1−31
2538号、に記載されている。
【0119】特に25℃、25%RHでの抵抗が10
12Ω以下が好ましい。通常パトローネは、遮光性を付
与するためにカーボンブラックや顔料などを練り込んだ
プラスチックを使って製作される。パトローネのサイズ
は現在のままでもよいし現在の25m/mのカートリッ
ジの径を22m/m以下、好ましくは20m/m以下、
14m/m以上とするとカメラの小型化に有効である。
【0120】パトローネのケースの容積は、30cm
以下好ましくは25cm以下さらに好ましくは20c
以下とすることが好ましい。パトローネおよびパト
ローネケースに使用されるプラスチックの重量は1g以
上25g以下好ましくは5g以上15g以下である。
【0121】パトローネケースの内容積とパトローネお
よびパトローネケースに使用されるプラスチックの比率
は4〜0.7好ましくは3〜1である。
【0122】本発明における好ましい135カラー感材
を内蔵したパトローネの場合、パトローネおよびパトロ
ーネケースに使用されるプラスチックの総重量は通常1
g以上25g以下、好ましくは5g以上15g以下であ
る。本発明のパトローネは、その形態について特に限定
されない。
【0123】本発明の感材を内蔵したパトローネに適合
する新たなカメラに用いる事が好ましくこれらの具体的
なパトローネを図1に、更に内部構造については図2〜
図4へ、後述する磁気記録トラックは図5に挙げる。ま
た、このフィルムの断面図を図6に挙げた。さらに本発
明で用いられるスプールを回転してフィルムを送り出す
パトローネについて記す。そのパトローネの例として特
願平1−21862号に記載のパトローネが挙げられる
【0124】図7および図8に本発明に使用するパトロ
ーネを示す。写真フィルムパトローネ120はスプール
101、スプール101に一端を係止してスプール10
1にロール状に巻かれた写真フィルム102及びパトロ
ーネ本体103からなる。スプール101はパトローネ
本体103内部に軸線回りに回転可能に取り付けられ、
パトローネ本体103外部から回転させることができ
る。パトローネ本体103には写真フィルム102を引
き出すための写真フィルム引き出し口104が設けられ
ており、この写真フィルム引き出し口104の内面には
パトローネ本体103内部を遮光状態に保つ遮光部材1
04aが取り付けられている。
【0125】この写真フィルムパトローネ120におい
てはパトローネ本体103の内面に沿って円周方向に延
び、フイルム幅の15〜20%程度の幅を有する一対の
リブ108がフィルム102の幅方向の両端部に設けら
れている。リブ108は写真フィルム102をフィルム
引き出し口104から引き出すことができるようにフィ
ルム引き出し口104の方向に開口している。また、フ
ィルム102の先端106は写真フィルム引き出し口1
04の先端107に合わせて配置されている。
【0126】リブ108はフィルム102の最外周面に
当接してロール状に巻かれたフィルム102を最外周面
から押圧してフィルム102がスプール101に密に巻
かれた状態を維持する。
【0127】スプール101の外径は次のように決定さ
れる。フィルム最内周面102aをスプール101外周
に接触させたまま、フィルム102をスプール101に
ロール状に密に巻くことは前述の通り困難である。この
ため、フィルム最内周面102aとスプール101との
間に隙間ができることを避けることができない。前述の
ように、フィルム最内周面102aとスプール101と
の間隔hが大きすぎると、図9に示したようなフィルム
102の反転現象を生じる。このため、スプール101
の外径はフィルム最内周面102aとスプール101と
の間に隙間ができたときの両者の間隔hが2mm以下と
なるように設定する。すなわち、スプールの外径aは、
パトローネ本体内径をb、リブの厚さををt、フィルム
の厚さをc、フィルム長さによって変わるロールの巻き
数をdとすれば、 b/2=a/2+h+c・d÷t であるので、 a/2=b/2−t−h−c・d となる。間隔hは h=b/2−a/2−c・d−t であるので、h≦2mmとする場合のスプールの外径a
は b/2−t−c・d−2≦a/2 となる。
【0128】間隔hを2mm以下とすることにより、ス
プール回転トルクを0.8kgf・cm以下に設定すれ
ば、写真フィルム2の反転現象を防止することができ
る。リブ108はパトローネ本体103の内面に沿って
円周方向全体に設けることは必要ではなく、パトローネ
本体103の内面の円周方向の一部にのみ設けてもよ
い。また、本実施例のようにフィルム102の幅方向の
両端部においてのみ設けることの他、フィルム102の
幅方向全体にわたって設けてもよい。
【0129】リブ108の材質は、例えばプラスチック
等のようなフィルム102を傷つけにくいものを選ぶ
(但し完壁ではない)。この場合、例えばウレタンのよ
うにある程度の弾性を有する部材を選んでもよい。フィ
ルム102をスプール101に密に巻いた状態でパトロ
ーネ本体103に装填するときに、ウレタンからなるリ
ブ108が収縮するようにリブ108の厚さを決定すれ
ば、収縮したリブ108の弾性力によってフィルム10
2のロールの外周が押圧されるので、フィルム102を
相当程度の長さ引き出してフィルム102のロールの外
径が小さくなってもフィルム102を密に巻いた状態を
維持することができる。
【0130】なおフィルム引き出し口の遮光方法は任意
である。従来のように「テレンプ」とよばれるフェルト
状の遮光部材を設けてもよく、またフィルム引き出し口
を開閉可能に形成して必要時以外は閉じた状態に保って
おくようにしてもよい。また、フィルム102の先端1
06は必ずしもフィルム引き出し口104の先端107
に合わせて配置する必要はなく、パトローネ本体103
内部に収納されていれぼよいが、フィルム引き出し口1
04内に収納されていることが望ましい。
【0131】更に又、特願平1−172594号記載の
パトローネも挙げることができる。これらはスプールフ
ランジを変形させてフィルムロール最外周部の端面も押
圧しながらスプールを回転させることによりフィルムを
送り出す形式である。この写真フィルムパトローネを分
解した状態を示す図10において、写真フィルムパトロ
ーネ201は、写真フィルム205をロール状に巻き回
したスプール206と、これを収納するパトローネ本体
207と、スプール206を回動自在に支持するととも
に、パトローネ本体207を側方から光密に閉じる側板
208,209とから構成される。
【0132】前記スプール206は、可撓性を有するよ
うに厚みを薄く形成したフランジ206aと、厚く形成
した可撓性のないフランジ206bとを備え、プラスチ
ックで一体に成形されている。写真フィルム205は、
その終端部がフランジ206a,206b間のスプール
206に固定され、それぞれの端面をフランジ206
a,206bの内側に沿わせるようにスプール206に
ロール状に巻かれており、先端まで完全にパトローネ本
体207内に巻き込まれている。前記パトローネ本体2
07には、遮光用のテレンプ211が接合されたフィル
ム出入り口212が設けられている。
【0133】前記側板208の中央部には、スプール2
06の端部206c(図11参照)を回動自在に支持す
る軸受け開口208aが設けられ、また内壁面にはフラ
ンジ206aの一部を押圧する突条部208bが設けら
れている。前記側板209の中央部には、スプール20
6の端部206dを回動自在に支持する軸受け開口20
9aが設けられ、その近傍には、側板209の内壁面と
フランジ206bとの摩擦を軽減するための突起209
b(図11参照)が設けられている。
【0134】写真フィルムパトローネ201の縦断面を
示す図9において、突条部208bと突起209bとの
内側寸法はフランジ206a,206bの外側寸法より
小さくなるように設定されており、突条部208bはフ
ランジ206aを押圧して変形させる。これによって、
内側よりも、外側の写真フィルム205の端面がより強
くフィルム206a,206bに挟持される。したがっ
て、スプール206を図10に示す矢印A方向に回転さ
せれば、フランジ206a,206bと写真フィルム2
05端面との摩擦係合によって、写真フィルム205の
先端部205aはフィルム出入り口212からパトロー
ネ本体207の外部へ送り出される。
【0135】また、以上の構成においても、突条部20
8bと突起209bとの内側寸法をフランジ206a,
206bの外側寸法より大きくすることができる。その
場合は、カメラの部品にてスプール206をフランジ2
06bからフランジ206aの方向に押すことにより、
フランジ206a,206bの内側寸法が写真フィルム
205より小さくなって写真フィルム205の端面を押
圧可能となり、写真フィルム205をスプール206の
回転によってパトローネ本体207の外部に送り出すこ
とができる。
【0136】更に又、US4834306号、同484
6418号、同4832,275号記載のパトローネを
好ましく使用される。(図12,13,14) それらの例として図12に示すように、スプール75に
ロール状に密に巻かれた写真フィルム76はその両端部
において一対のリング77a、77bによりスプール7
5に密に巻かれた状態に保持される。カートリッジ本体
78内部にはリング77a、77bが嵌合する溝79
a、79bがカートリッジ本体78の軸方向に対して傾
いた角度をなすように形成されている。このため、図1
3,図14に示すように、リング77a、77bはカー
トリッジ本体78内部では、スプール75の軸に対して
傾いた角度で写真フィルム76のロールの外周に当接
し、写真フィルム76の巻きゆるみを防止している。リ
ング77a、77bは溝79a、79b内を摺動しなが
ら、溝79a、79bに沿って回転可能である。
【0137】写真フィルム76はリング77a、77b
によってスプール75にロール状に密に巻かれた状態を
保っているため、スプール75をフィルム巻き方向と逆
の方向に回転させると、写真フィルム76は写真フィル
ム引き出し口(図示せず)から送り出される。次にこの
システムの第2の特徴について述べる。これは、写真フ
ィルム中に磁気記録層を有していることであり、ここに
種々の情報を記入できることである。
【0138】従来写真感材はカメラ撮影時の各種の情報
(例えば、撮影日、天候、拡大比、プリント枚数など)
を入力することはほとんど不可能であり、わずかに光学
的に撮影日を入力できるのみであった。又、プリント時
においても感材自身への情報入力は全く不可能であり、
高速かつコストダウンへの大きな障害となっている。感
材へ各種の情報を入力することは、今後のカメラの操作
性アップ及びより簡便化を進める上で非常に重要な手段
である。その情報入力手段として磁気記録方法は任意に
入・出力ができること又安価であることから重要であり
従来も研究されてきた。
【0139】例えば、磁気記録層に含有される磁化性粒
子の量、サイズなどの適切な選択によって、撮影時感材
に必要な透明性を有し、さらに粒状度への悪影響を与え
ない磁気記録層を透明な支持体を有する感材のバック面
に設けることは、米国特許第3782947号、同42
79945号、同4302523号などに記載されてい
る。又、この磁気記記録層への信号入力方式が世界公開
90−4205号、同90−04212号などに開示さ
れている。
【0140】これらの磁気記録層の付与及び入出力法に
よって従来困難であった各種の情報を感材中に組み込む
ことが可能となり、例えば撮影の日時、天候、照明条
件、縮小/拡大比等の撮影時の条件、再プリント枚数、
ズームしたい箇所、メツセツジ等の現像、プリント時の
条件等を感材の磁気層に入出力できるようになった。更
に又、テレビ/ビデオ映像へ感材から直接出力して画像
とする場合の信号入出力手段としでも応用できるという
将来性を有するものである。
【0141】このような磁気記録層を有する写真感材
は、次のようにして作ることができる。まず、前述の方
法に従って、共押出し法または、キャスト法により、一
軸あるいは二軸延伸とを組合せて、Tgが63℃以上の
ポリエステルと吸水性を有するポリマーの積層フィルム
を形成させる。このようにして得られた支持体上に磁気
記録層を塗設する。塗設は全面に透明に行っても良く、
またストライプ状に透明又は不透明に行ってもよい。
【0142】この磁気記録用磁性体層に用いられる強磁
性体としては、強磁性体酸化鉄、Co含有強磁性酸化
鉄、強磁性二酸化クロム、強磁性金属、強磁性合金、バ
リウムフェライトなどが使用できる。強磁性合金の例と
しては、金属分が75wt%以上であり、金属分の80
wt%以上が少なくとも一種類の強磁性金属あるいは合
金(Fe、Co、Ni、Fe−Co、Fe−Ni、Co
−Ni、Co−Fe−Niなど)であり、該金属分の2
0wt%以下で他の成分(Al、Si、S、 Sc、T
i、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Y、Mo、Rh、P
d、Ag、Sn、Sb、B、Ba、Ta、W、Re、A
u、Hg、Pb、P、La、Ce、Pr、Nd、Te、
Biなど)を含むものをあげることができる。また、上
記強磁性金属分が少量の水、水酸化物、または酸化物を
含むものであってもよい。
【0143】これらの強磁性体の製法は既知であり、本
発明で用いられる強磁性体についても公知の方法にした
がって製造することができる。強磁性体の形状・サイズ
は特に制限なく広く用いることができる。形状としては
粉末の場合は針状、米粒状、球状、立方体状、板状等い
ずれでもよいが針状、板状が電磁変換特性上好ましい。
結晶子サイズ、比表面積もとくに制限はないが、結晶子
サイズ400Å以下、SBETで20m/g以上が好
ましく、30m/g以上がとくに好ましい。強磁性粉
末のpH、表面処理はとくに制限なく用いる事ができる
(チタン、珪素、アルミニウム等の元素を含む物質で表
面処理されていてもよいし、カルボン酸、スルホン酸、
硫酸エステル、ホスホン酸、燐酸エステル、ベンゾトリ
アゾール等の含チッ素複素環をもつ吸着性化合物の様な
有機化合物で処理されていてもよい)。好ましいpHの
範囲は5〜10である。強磁性体酸化鉄微粉末の場合、
2価の鉄/3価の鉄の比に特に制限されることなく用い
ることができる。
【0144】透明支持体1mあたりの強磁性微粉末の
含有量は、4×10−4〜3g、好ましくは10−3
2g、より好ましくは4×10−3〜1gである。本発
明に用いられる磁気記録層の結合剤(バインダー)は従
来、磁気記録媒体用の結合剤として使用されている公知
の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、反
応型樹脂およびこれらの混合物使用することができる。
但し蒸着の場合は不用である。
【0145】上記樹脂のTgは−40℃〜150℃、重
量平均分子量は1万〜30万、好ましくは1万〜10万
である。上記熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル・酢酸
ビニル共重合体、塩化ビニル、酢酸ビニルとビニルアル
コール、マレイン酸および/またはアクリル酸との共重
合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニ
ル・アクリロニトリル共重合体、エチレン・酢酸ビニル
共重合体などのビニル系共重合体、ニトロセルロース、
セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセ
テートブチレート樹脂などのセルロース誘導体、アクリ
ル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラ
ール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテ
ルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹
脂、アミノ樹脂、スチレンブタジエン樹脂、ブタジエン
アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹
脂、フッ素系樹脂、あるいは生分解性を有するバインダ
ーを挙げることができる。
【0146】又放射線硬化型樹脂としては上記熱可塑性
樹脂に放射線硬化官能基として炭素−炭素不飽和結合を
有する基を結合させたものが用いられる。好ましい官能
基としてはアクリロイル基、メタクリロイル基などがあ
る。以上列挙の結合剤分子中に、極性基(エポキシ基、
COM、OH、NR、NRX、SOM、OSO
M、PO、OPO、ただしMは水素、ア
ルカリ金属またはアンモニウムであり、一つの基の中に
複数のMがあるときは互いに異なっていてもよい、Rは
水素またはアルキル基である)を導入してもよい。
【0147】以上列挙の高分子結合剤は単独または数種
混合で使用され、イソシアネート系の公知の架橋剤、お
よび/あるいは放射線硬化型ビニル系モノマーを添加し
て硬化処理することができる。また、本発明の磁気記録
層に親水性バインダーを使用できる。使用する親水性バ
インダーとしては、リサーチ・ディスクロージャーN
o.17643、26頁、および同No.18716、
651頁に記載されており、水溶性ポリマー、セルロー
スエステル、ラテックスポリマー、水溶性ポリエステル
などが例示されている。水溶性ポリマーとしては、ゼラ
チン、ゼラチン誘導体、カゼイン、寒天、アルギン酸ソ
ーダ、でんぷん、ポリビニールアルコール、ポリアクリ
ル酸共重合体、無水マレイン酸共重合体などであり、セ
ルロースエステルとしてはカルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロースなどである。ラテック
スポリマーとしては塩化ビニル含有共重合体、塩化ビニ
リデン含有共重合体、アクリル酸エステル含有共重合
体、酢酸ビニル含有共重合体、ブタジエン含有共重合体
などである。この中でも最も好ましいのはゼラチンであ
る。
【0148】ゼラチンは、その製造過程において、ゼラ
チン抽出前、アルカリ浴に浸漬される所謂アルカリ処理
(石灰処理)ゼラチン、酸浴に浸漬される酸処理ゼラチ
ンおよびその両方の処理を経た二重浸漬ゼラチン、酵素
処理ゼラチンのいずれでもよい。必要に応じて一部分を
コロイド状アルブミン、カゼイン、カルボキシメチルセ
ルローズ、ヒドロキシエチルセルローズなどのセルロー
ス誘導体、寒天、アルギン酸ソーダ、デンプン誘導体、
デキストランなどの糖誘導体、合成親水性コロイド、た
とえばポリビニルアルコール、ポリN−ビニルピロリド
ン、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリルアミドまた
はこれらの誘導体、部分加水分解物、ゼラチン誘導体な
どをゼラチンと併用してもよい。
【0149】ゼラチンを含む磁気記録層を硬膜するのは
好ましく、磁気記録層に使用できる硬膜剤としては、た
とえば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如き
アルデヒド系化合物類、ジアセチル、シクロペンタンジ
オンの如きケトン化合物類、ビス(2−クロロエチル尿
素)、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5
−トリアジン、そのほか米国特許第3,288,775
号、同2,732,303号、英国特許第974,72
3号、同1,167,207号などに記載されている反
応性のハロゲンを有する化合物類、ジビニルスルホン、
5−アセチル−1,3−ジアクリロイルヘキサヒドロ−
1,3,5−トリアジン、そのほか米国特許第3,63
5,718号、同3,232,763号、英国特許第9
94,869号などに記載されている反応性のオレフィ
ンを持つ化合物類、N−ヒドロキシメチルフタルイミ
ド、その他米国特許第2,732,316号、同2,5
86,168号などに記載されているN−メチロール化
合物、米国特許第3,103,437号等に記載されて
いるイソシアナート類、米国特許第3,017,280
号、同2,983,611号等に記載されているアジリ
ジン化合物類、米国特許第2,725,294号、同
2,725,295号等に記載されている酸誘導体類、
米国特許第3,091,537号等に記載されているエ
ポキシ化合物類、ムコクロル酸のようなハロゲンカルボ
キシアルデヒド類をあげることができる。あるいは無機
化合物の硬膜剤としてクロム明バン、硫酸ジルコニウ
ム、特公昭56−12853号、同58−32699
号、ベルギー特許825,726号、特開昭60−22
5148号、特開昭51−126125号、特公昭58
−50699号、特開昭52−54427号、米国特許
3,321,313号などに記載されているカルボキシ
ル基活性型硬膜剤などを例示できる。硬膜剤の使用量
は、通常乾燥ゼラチンに対して0.01〜30重量%、
好ましくは0.05〜20重量%である。
【0150】次に磁性体層に用いられる酸、アルカリ分
解性バインダーあるいは生分解性バインダーについて記
す。まず酸、又はアルカリ分解性バインダーとしては、
酸性、又はアルカリ性条件下(一般に水溶液又は水混和
性有機溶媒)で長時間(1時間以上)処理でその溶解性
が急激に向上し支持体から遊離するもの、あるいは酸
性、又はアルカリ性条件下で化学的に分解して支持体か
ら遊離するものであれば特に限定されない。これらのバ
インダーで好ましいのは、セルロース誘導体類(モノア
セチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセ
ルロースなど)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類
(例えば、エステル残基としてヒドロキシアルキル−又
はアリル基(例えばヒドロキシエチル、ヒドロキシエチ
ルフェニル)、カルボキシアルキル−又はアリル基(例
えばカルボキシエチル、カルボキシフェニルなど)、ア
ミノアルキル−又はアリル基(例えばアミノエチル、ア
ミノエチルフェニルなど)など)、ポリ(メタ)アクリ
ルアミド類(例えば、ポリ(N,N−ジヒドロキシエチ
ルアクリルアミド)など)を挙げることができる。
【0151】次に生分解性バインダーとして好ましいの
は、ポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)、ポリカプ
ロラクトン、スターチ、スターチ含有ポリマー(ポリエ
チレン、ポリプロピレン)などを挙げることができ、よ
り好ましいのはポリ(3−ヒドロキシバレート)、ポリ
(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシ
ブチレート)を主体とするポリマー、スターチ含有ポリ
エチレン、スターチ含有ポリプロピレンである。これら
は生分解性プラスチックス−海外動向調査報告書−(財
団法人バイオインダストリー協会発行1989年6月)
に詳細に記載されている。
【0152】本発明の酸・アルカリあるいは生分解性を
有するバインダーからなる磁性体層あるいは支持体側の
一層を形成するバインダー層を写真感材から除去して支
持体を回収する際に、バインダーの溶解性や分解性を促
進するために、写真感材を予め微細に裁断することが、
好ましく、更に分解するための処理浴を適度に加熱した
り攪拌したりあるいは空気を吹き込んだりすることは好
ましい。この時酸、アルカリあるいは生分解性バインダ
ーを有する写真感材を処理する場合は処理液を使用する
ことが一般的であるが、使用する溶媒は特に限定されな
く例えば水、アルコール(メタノール、エタノール、プ
ロパノールなど)、ケトン(アセトン、メチルエチルケ
トン、アセトフェノンなど)が好ましくこれらの混合溶
媒であっても良い。
【0153】又本発明で用いられる酸・アルカリ性を与
える化合物としては、好ましくは、塩酸、硫酸、硝酸、
リン酸、酢酸などの酸性化合物、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、ア
ンモニアなどのアルカリ化合物を挙げることができ、こ
の中でも特に塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウムが好ましい。更に生分解性バインダーを用いた場
合の感材の分解処理方法について記す。
【0154】本発明においては、回収された感材をまず
細かく裁断し、ゼラチン乳剤がある場合はゼラチン分解
酵素(例えばアミラーゼ)で処理してゼラチン乳剤層を
除去し、その後磁気記録層を除くために活性汚泥中で分
解するのが好ましい。この時用いられる活性汚泥は特に
限定されないが、例えば財団法人化学品検査協会化学品
安全センター(CBC)の標準活性汚泥を利用すること
ができる。これらは空気を吹き込んでかつ温度を20〜
35℃に保つことによってより分解速度を速めることが
できる。本発明の生分解性ポリマーを上記方法で分解す
るのに要する時間は長い程良いが本発明では回収効率を
考えると半日以上20日以内、より好ましくは1日以上
7日以内である。本発明の酸、アルカリあるいは生分解
性バインダーからなる磁性体層あるいは磁性体層より支
持体側の構成層中には、架橋剤を加えてもよく例えばエ
ポキシ系、イソシアネート系、シランカップリング系の
架橋剤を使用することができる。
【0155】磁気記録層の厚みは0.1μ〜10μ、好
ましくは0.2〜5μ、より好ましくは0.5μ〜3μ
である。本発明の磁気記録層は、感光材料の裏面に設け
るのが好ましい。磁気記録層は透明支持体の裏面に塗布
又は印刷によって全面又はストライプ状に設けることが
できる。又、磁化粒子を分散したポリマーの溶液と透明
支持体作成用のポリマーの溶液をストライプ状に共流延
して、磁気記録層を有する透明支持体を作成することも
好ましい。この場合、2種類のポリマーの組成を実質的
に同一にするのが好ましい。
【0156】ストライプ状記録層の付与は、特開昭55
−151639号、特公昭55−31455号、同29
−4221号等に記載されている。この磁気記録層をス
トライプ状に塗布する方法としてはエアードクターコー
ト、ブレードコート、エアナイフコート、スクイズコー
ト、含浸コート、リバースロールコート、トランスファ
ーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャス
トコート、スプレイコート等が利用出来、その他の方法
も可能であり、これらの具体的説明は朝倉書店発行の
「コーティング工学」253頁〜277頁(昭和46.
3.20.発行)に詳細に記載されている。
【0157】このような方法により、支持体状に塗布さ
れた磁性層は必要により層中の磁性粉末を直ちに乾燥し
ながら配向させる処理を施したのち、形成した磁性層を
乾燥する。このときの支持体の搬送速度は、通常10m
/分〜500m/分でおこなわれ、乾燥温度が20℃〜
120℃で制御される。又必要により表面平滑化加工を
施したりして、本発明の磁気記録体を製造する。これら
は、例えば、特公昭40−23625号公報、特公昭3
9−28368号公報、米国特許第3473960号明
細書、等にしめされている。又、特公昭41−1318
1号公報にしめされる方法はこの分野における基本的、
且つ重要な技術と考えられる。
【0158】更に蒸着法でストライプ状に磁気記録層を
付与しても良くその場合強磁性鉄を用いて、非ストライ
プ部を何らかの方法でおおう事で達成できる。例えば、
非ストライプ部にテープを貼って蒸着させる方法、又は
蒸着装置に窓を付けてストライプ状に蒸着する方法など
を挙げることができる。これらは、例えば特開昭56−
139095号、同56−181479号、同60−1
57717号等の技術を応用すればよい。本発明のスト
ライプ状磁気記録層は、フィルムの画像以外の部分に存
在することが好ましくその本数は1本以上であればよく
例えば、フィルムの片方の端部に1本でもよく2本以上
でもよい。その場合1本は多量の磁気材料を有し不透明
で他方が少量の磁気材料を有したものでもよい。又スト
ライプ状磁気記録層をフィルムの両端に有していてもよ
く1方が不透明で他方が透明であってもよい。透明スト
ライプ状磁気記録層とすることでこの上に光学的な記録
を付与することができ、従来の光学システムを損うこと
なく磁気記録層化できるというメリットを持たせること
ができる。又、ストライプが透明であっても特に間題は
ない。
【0159】更に又、本発明のストライプ状磁気記録層
を付与した場合、非ストライプ部はストライプ部に比べ
一般に陥没しているため種々の問題例えば感材が高温高
湿下に長時間保存された時の密着の悪化ストライプ周辺
の写真性上の圧力カブリ、あるいは又ストライプ端部の
粉落ち等の問題を生じる。この解決方法として、ストラ
イプ状磁気記録層部と非ストライプ部を同一平面とすれ
ばよいことが挙げられる。すなわちストライプ状磁気記
録層以外の非ストライプ部にストライプ層と同一の厚さ
の非磁気記録層を付与すればよい。この非磁気層部の付
与方法は、どのような方法を用いても良い。例えば、磁
気記録層を塗布、印刷、蒸着、転写などの方法でストラ
イプ状に感材に塗設した後、他の非磁気記録層を磁気記
録層と区別して後で塗設することで達成できる。
【0160】又、磁気記録層と非磁気記録層を同時に付
与してもよく、例えば、同一平面に分割されたギーサー
を用いて磁気記録層用塗布液と非磁気記録層用塗布液を
交互に押し出してもよいし、グラビアコーターを用いる
場合は同様に交互に各々の塗布液を付与してもよい。更
に又同一平面に塗布液を押し出す方法以外に異なる塗布
面に塗布液を押し出し分割してストライプを形成しても
よく、こうすることによって、ストライプ状磁気記録層
と非磁気記録層を同じ厚さとすることができる。
【0161】磁気記録層に、潤滑性向上、カール調節、
帯電防止、接着防止などの機能を合せ持たせてもよい
し、別の機能性層を設けて、これらの機能を付与させて
もよい。必要に応じて磁気記録層に隣接する保護層を設
けて耐傷性を向上させてもよい。磁気記録層を有する透
明支持体の裏面をカレンダリング処理して平滑性を向上
させ、磁気信号のS/N比を向上できる。この場合、カ
レンダリング処理を施した後に透明支持体上に感光層を
塗布するのが好ましい。
【0162】このようにして調製した磁気記録層を有す
る支持体上に、前述の通常の形式の写真感材の調製法と
同様にして、接着性改良のための表面処理、感光性層等
の写真層との接着力を増すための下びき層の塗設、バッ
ク層の塗設を必要に応じて実施する。この後、前述の通
常形式の写真感材と同様にして、感材層を塗設する。写
真感材層は、磁気記録層と反対の支持体面に塗設する方
法が好ましい。
【0163】このようにして得られた感光材料は、カメ
ラやプリンターでフイルム搬送時に透明磁気記録層に信
号入力が容易にできるロール状のフイルムが本発明の感
光材料の好ましい形態である。このロール状フイルムに
おいては、画像露光部1駒の面積が350mm以上1
200mm以下とし、磁気的情報記録可能スペース
が、上記の画像露光部1駒の面積の15%以上とするの
が好ましい。具体的には、1画面あたりのパーフオレー
シヨンの数を135フオーマツトより少くするのが好ま
しい。1駒あたりのパーフオレーシヨンの数を4コ以下
にするのが特に好ましい。磁気的情報記録可能スペース
に、LEDなどの発光体を使つて光学的に情報を入力す
ることもできる。該スペースに、磁気的情報と光学的情
報を重ねて入力することも好ましい。磁気記録フオーマ
ツトは、世界公開90−04205号に開示された方式
に従うのが好ましい。
【0164】この感光材料の現像処理は、前述の処理方
法と同様にして行うことができる。
【0165】このようにして調製した本発明の、Tgが
63℃以上のポリエステルと、吸水性を有するポリマー
とをそれぞれ少くとも1層以上積層してなることを特徴
とする支持体を用いることにより、現像処理後のカール
解消性にすぐれ、かつ耐熱性の高いハロゲン化銀写真感
光材料を達成することができた。
【0166】
【実施例】以下に具体的に例を示して本発明を説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。 (実施例1) 1)支持体の作成 吸水性を有するポリマーの合成 テレフタル酸ジメチル120重量部、エチレングリコー
ル46重量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメ
チル20重量部およびアジビン酸ジメチル14重量部
に、酢酸カルシウム0.1重量部および三酸化アンチモ
ン0.03重量部を添加し、常法によりエステル交換反
応を行った。得られた生成物にリン酸トリメチルエステ
ル0.05重量部を添加し、徐々に昇温、減圧にし、最
終的に280℃、1mmHg以下で重合を行い吸水性を
有する共重合ポリエステルを得た。以下これを(重合体
A)と称する。
【0167】Tgが63℃以上のポリエステルの調製 PETを、テレフタル酸とエチレングリコールを直重法
により合成した。得られた重合物の極限粘度は0.63
であった。
【0168】積層構造を有する支持体の作成(本発
明) PETおよび(重合体A)を各々常法で乾燥した後3つ
のリップを有する共押し出しダイを用いて押出した。こ
の共押出しダイの両端の2ヶ所のリップは間隔を各々、
押出し後のフィルムが300μmになるように調整し
(重合体A)を、また、中央のリップは間隔を押出し後
の膜厚が600μmになるよう調整しここからはPET
を280℃で押し出した。さらにこの積層フィルムの両
面に、厚みが10μmとなるように、PETを280℃
でホットメルトエクストルジョン塗布を行った。
【0169】次いで、この積層フィルムを、90℃で縦
方向に3.5倍、95℃で横方向に3.7倍遂次延伸し
た後、200℃で5秒間固定した。
【0170】このようにして得られた支持体の総膜厚は
94μmであった。延伸前の総膜厚が1220μmであ
りこれが94μmとなっているため約13分の1に延伸
されたことになる。従ってこの積層フィルムは計算上、
表面からPET(0.8μm)/(重合体A)(23.
1μm)/PET(46.2μm)/(重合体A)(2
3.1μm)/PET(0.8μm)の5層構造を形成
していることになる。
【0171】表面から20μm以上深い所に吸水性を
有するポリマーが存在する支持体の作成(比較例−1) 上述の本発明の支持体作成に用いた共押出しダイを用い
て、両端の2つのリップ(フィルム膜厚が300μmと
なる様調整)からPETをまた中央のリップ(フィルム
膜厚が600μmとなるように調整)からは重合体Aを
押し出した。さらにこの積層フィルムの両面に、厚みが
10μmとなるように、PETを280℃でホットメル
トエクストルジョン塗布を行った。この後、本発明の支
持体作成時と全く同様にして、延伸、熱固定を行った。
このようにして得られた支持体の総膜厚は94μmであ
った。
【0172】この積層フィルムの層構成を上述のように
計算上求めると、表面からPET(23.9μm)/
(重合体A)(46.2μm)/PET(23.9μ
m)の3層構造である。この支持体は、吸水性を有する
層(重合体A)が、表面から20μmよりも深い所にし
か存在しない。このフィルムを比較例−1とした。
【0173】片面にしか吸水性を有するポリマーが存
在しない支持体の作成(比較例−2) 上述の本発明の支持体作成に用いた共押出しダイを用い
て、一端のリップ(フィルム膜厚が300μmとなる様
調整)から(重合体A)を、また中央のリップ(フィル
ム膜厚が600μmとなるように調整)からはPETを
押し出した。さらに、もう一端のリップ(フィルム膜厚
が300μmとなる様に調整)からPETを押出した。
さらに、この積層フィルムの両面に厚みが10μmとな
る様に、PETをホットメルトエクストルジョン塗布を
行った。この後、本発明の支持体作成時と全く同様にし
て、延伸、熱固定を行った。このようにして得られた支
持体の総膜厚は94μmであった。
【0174】この積層フィルムの層構成を上述のように
計算上求めると、表面からPET(0.8μm)/(重
合体A)(23.1μm)/PET(70.1μm)の
3層構造となる。この支持体は、吸水性を有する層(重
合体A)が積層フィルムの片面にしか付いていない。こ
のフィルムを比較例−2とした。
【0175】重合体Aのみから成る支持体の作成(比
較例−3) 本発明の比較例として重合体Aのみから成る支持体を調
製した。(重合体A)を常法にして乾燥した後、280
℃で溶融押し出しし、未延伸シートを作成した。次い
で、90℃で縦方向に3.5倍、95℃で横方向に3.
7倍遂次延伸した後、200℃で5秒間熱固定し、目的
サンプルを得た。厚みは92μmであった。
【0176】PET支持体の作成 本発明の比較例としてPETのみから成る支持体を調製
した。PETを常法で乾燥した後、280℃で溶融、押
出しし次いで90℃で縦方向に3.5倍、95℃で横方
向に3.7倍遂次延伸した後、200℃で5秒間熱固定
して目的とするPETフィルムを得た。厚みは92μm
であった。
【0177】TAC支持体の作成 本発明の比較例としてTAC支持体を次の方法で得た。
セルローストリアセテート23重量部、トリフェニルフ
ォスフェート2.3重量部、ビフェニルジフェニルフォ
スフェート1.3重量部、メチレンクロライド65.7
重量部、メタノール2.9重量部及びブタノール4.8
重量部から成る塗布液を流延バンド上で塗布、乾燥させ
て、厚さ92μmのTACフィルムを得た。
【0178】2)支持体の評価 機械強度・透明性 透明性、破断強度及び初期弾性率は以下の条件で測定し
た。 透明性 フィルムのヘイズをASTN−D1003−52に従っ
て測定した。 破断強度および初期弾性率:JIS−Z1702−19
76に準じて、幅10mm、長さ100mmの短冊片
で、引張り速度は破断強度の測定の際には300mm/
分、初期弾性率は20mm/分で測定した。
【0179】この結果を表2に示した。このように本発
明の積層フィルムは、十分な透明性を有し、かつほぼP
ET並みの機械強度を有していた。
【0180】
【表2】
【0181】カール回復率の測定 本発明の積層フィルムと(重合体A)のみから成るフィ
ルム、上述のPET,TACフィルムについて、その含
水率とカール回復率を次の方法で測定した。 〔カールの評価方法〕サンプルサイズ12cm×35m
mのフィルムを直径10mmの巻芯に巻き、60℃×3
0%RH×72hrの処理を行い、その後、巻芯から解
放し40℃の蒸留水に15分間浸漬後、50gの荷重を
かけ55℃の空気恒温槽で3分間乾燥しサンプルを垂直
に吊し、サンプル長さを測定し元の12cmのサンプル
長にどれだけ回復したかを評価した。
【0182】〔含水率の測定〕サンプルフィルムを23
℃×30%RH×3hr調湿後23℃の蒸留水に15分
間浸漬し、この後微量水分計(たとえば、三菱化成
(株)製CA−02型)を用いて150℃で行った。
【0183】この結果を表2に示した。本発明の積層フ
ィルムは、この条件下で十分に吸水し、ほぼTAC並み
にカール回復し良好な結果を得た。これに対し、比較例
−1のサンプルでは表面から20μm以内に吸水性を有
する(重合体A)が存在しないため、ほとんど吸水せ
ず、カール回復もほとんど行なわれていない。また、比
較例−2のサンプルでは、片面にしか吸水性を有する
(重合体A)が存在しないため、吸水性も低く、かつ巻
きぐせ回復も少くなっている。
【0184】耐熱性の評価 本発明の積層フィルムと(重合体A)のみから成るフィ
ルム、および上述のPET,TACフィルムについて、
耐熱性を熱変形および熱収縮の2つの観点で評価した。
【0185】〔熱収縮の測定〕サンプルサイズ35mm
×12cmに裁断後、25℃×60%RH×24hr調
湿した後150℃×30min、空気恒温槽中で熱処理
を行う。これを25℃×60%RH×24hr調湿した
後、長手方向の長さを測り、熱収縮を評価する。
【0186】〔熱変形の測定〕サンプルサイズ35mm
×12cmに裁断後、直径25mmの巻き芯に巻き付
け、マイラーテープで止める。これを150℃×30分
熱処理し、目視でフィルムの凹凸をヘイズをASTN−
D1003−52に従って測定した。これらの結果を表
2に示した。表2から明らかなように、(重合体A)の
みから成るフィルムでは大きく劣っていた耐熱性も、本
発明により、ほぼPET並みにまで良化した。また、
(重合体A)のみから成るフィルムでは、表面にオリゴ
マーが析出しフィルムにヘイズが生じるが、本発明の積
層フィルムではフィルム最表層に、下層の(重合体A)
層の吸水性を低下させない程度に薄くPET層を設けて
いるために、(重合体A)から表面へのオリゴマーの析
出を防止し、クリアーな膜を得ている。
【0187】3)写真感光材料の作成 上述の本発明積層フィルム、比較例1〜3、PET,T
AC6種類の支持体上に、写真感光層を塗設し比較検討
した。
【0188】3−1)下びき層の塗設 上記6種類の支持体のその両面にコロナ放電処理した
後、下記組成の下びき層を設けた。コロナ放電処理の程
度は、0.02KVA・分/mであった。 ゼラチン 3g 蒸留水 250cc ソジウムα−スルホジ−2−エチルヘキシルサクシネート 0.05g クシネート 0.05g ホルムアルデヒド 0.02g
【0189】3−2)帯電防止層の塗設 上記6種類の各フィルムの片面に下記組成のバック層を
塗設した。 〔酸化スズ−酸化アンチモン複合物分散液の調製〕塩化
第二スズ水和物230重量部と三塩化アンチモン23重
量部をエタノール3000重量部に溶解し均一溶液を得
た。この溶液に1Nの水酸化ナトリウム水溶液を前記溶
液のpHが3になるまで滴下し、コロイド状酸化第二ス
ズと酸化アンチモンの共沈澱を得た。得られた共沈澱を
50℃に24時間放置し、赤褐色のコロイド状沈澱を得
た。赤褐色コロイド状沈澱を遠心分離により分離した。
過剰なイオンを除くため沈澱に水を加え遠心分離によっ
て水洗した。この操作を3回操り返し過剰イオンを除去
した。過剰イオンを除去したコロイド状沈澱200重量
部を水1500重量部に再分散し、600℃に加熱した
焼成濾に噴霧し、青味がかった平均粒径0.2μの酸化
スズ−酸化アンチモン複合物の微粒子粉末を得た。この
微粒子粉末の比抵抗は25Ω・cmであった。
【0190】上記微粒子粉末40重量部と水60重量部
の混合液をpH7.0に調製し、撹拌機で粗分散の後、
横型サンドミル(商品名ダイノミル;WILLYA.B
ACHOFEN AG製)で滞留時間が30分になるま
で分散して調製した。
【0191】下記処方〔A〕を乾燥膜厚が0.3μにな
るように塗布し、130℃で30秒間乾燥した。この上
に更に下記の被覆層用塗布液(B)を乾燥膜厚が0.1
μになるように塗布し、130℃で2分間乾燥した。 〔処方A〕 ・導電性微粒子分散液 10重量部 ・ゼラチン 1重量部 ・水 27重量部 ・メタノール 60重量部 ・レゾルシン 2重量部 ・ポリオキシエチレンノニル ・フェニルエーテル 0.01重量部 〔被覆層用塗布液(B)〕 ・セルローストリアセテート 1重量部 ・アセトン 70重量部 ・メタノール 15重量部 ・ジクロルメチレン 10重量部 ・p−クロルフェノール 4重量部
【0192】3−3)磁気記録層の塗設 帯電防止層塗設後に下記組成の磁性体含有物をグラビア
コーターを用い、塗布厚1.0μmになるように各サン
プルに塗布した後90℃にて10分間乾燥し、磁気記録
層を塗設した。 ・コバルトドープ酸化鉄微粉末 (比表面積45m/g) 1重量部 ( 〃 80m/g) 1重量部 ・バリウムフェライト微粉末 (比表面積15m/g) 2重量部 ( 〃 40m/g) 2重量部 ・酢酸ブチル/塩化ビニル共重合体(モル比1:1)2
0重量部 ・ポリウレタン樹脂 10重量部 ・トルエンジイソシアナート 40重量部 ・酢酸ブチル 100重量部 ・メチルエチルケトン 50重量部
【0193】3−4)すべり層の塗設 磁気記録層を塗設した後、下記組成のすべり層を、各サ
ンプルに塗設した。 ・ジアセチルセルロース 0.2g/m ・コロイダルシル(エアロジル) 0.02 〃 ・C1531COOC4081 0.02 〃 ・C2143COO(CHCHO)COOC19
0.01 〃 ・ポリ(二フッ化ビニリデン/四フッ化ビニリデン) 0.01 〃 (モル比9:1) ・ポリ(メチルメタクリレート/ジビニルベンゼン) 0.03 〃 (モル比9:1,平均粒径1.0μm) ・シリカ(平均粒径1.0μm) 0.005〃
【0194】得られたベースの抗磁力は1000Oeで
角型比は0.6〜0.7であり世界公開90−0420
5号に開示された信号入力方式が可能であることを確認
した。
【0195】3−5)感光材層の塗設 磁気記録層を有する面と逆の面に、特開昭2−9364
1号実施例1に記載の感光材料層と全く同様にして、感
光材料層を重層塗布し、多層カラー感光材料である試料
を各支持体について作成した。
【0196】3−6)サンプルの加工 各試料を35mm幅にスリットした後、36枚分の長さ
に裁断し、図1に示したようなパトローネに入れた。こ
の後、強制的に巻きぐせを付けるために、40℃で10
日間放置した。
【0197】3−7)現像処理 巻きぐせの付いた写真フィルムは次のようにして現像処
理を行った。 処理工程 温 度 時 間 発色現像 38℃ 3 分 停 止 38℃ 1 分 水 洗 〃 1 〃 漂 白 〃 2 〃 水 洗 〃 1 〃 定 着 〃 2 〃 水 洗 〃 1 〃 安定浴 〃 1 〃 用いた処理液は次の組成を有する。 発色現像液 苛性ソーダ 2g 亜硫酸ソーダ 2g 臭化カリウム 0.4g 塩化ナトリウム 1g ホー砂 4g ヒドロキシルアミン硫酸塩 2g エチレンジアミン四酢酸2 ナトリウム2水塩 2g 4−アミノ−3−メチル−N −エチル−N−(β−ヒド ロキシエチル1アニリン・ モノサルフェート 4g 水を加えて 全量 1l 停止液 チオ硫酸ソーダ 10g チオ硫酸アンモニウム(70 %水溶液) 30ml 酢酸 30ml 酢酸ソーダ 5g カリ明ばん 15g 水を加えて 全量 1l 漂白液 エチレンジアミン4酢酸鉄(III) ナトリウム・2水塩 100g 臭化カリウム 50g 硝酸アンモニウム 50g ホー酸 5g アンモニア水 pHを5.0に調節 水を加えて 全量 1l 定着液 チオ硫酸ソーダ 150g 亜硫酸ソーダ 15g ホー砂 12g 氷酢酸 15ml カリ明ばん 20g 水を加えて 全量 1l 安定浴 ホー酸 5g クエン酸ソーダ 5g メタホー酸ソーダ(4水塩) 3g カリ明ばん 15g 水を加えて 全量 1l
【0198】4)写真感光材料の評価 4−1)巻きぐせの評価 現像処理後のカールの状況は、現像後25℃×60%R
H×3日調湿後カール値(=1/カールがえがく円弧の
直径)を測定した。通常のPETフィルムを支持体とす
る感光材料の場合は、巻きぐせがほとんど解消していな
かったが、本発明の積層体は、ほぼTACと同等のカー
ル回復を示した。また、比較例−1のように、吸水性を
有する(重合体A)の層が中に入ってしまうと、カール
回復はほとんどせず、また比較例−2のように、(重合
体A)層が片面にしか無いと、その効果も半減してしま
った。この結果を表3に示した。
【0199】
【表3】
【0200】4−2)熱収縮性の評価 現像処理後の写真フィルムを各々、サンプルサイズ35
mm×12cmに裁断した。これを25℃×60%RH
×24hr調湿した後、150℃×30分空気恒温層中
で熱処理を行った。これを25℃×60%RH×24h
r調湿した後、長手方向の長さを測り、熱収縮を評価し
た。結果を表3に示した。このように比較例−3のよう
に(重合体A)からのみ成るフィルムでは著しい熱収縮
が生じたが、本発明の積層フィルムでは、ほぼPET並
みに良化した。
【0201】4−3)熱変形性の評価 現像処理後の写真フィルムを各々サンプルサイズ35m
m×12cmに裁断した。これを150℃×30分空気
恒温槽で熱処理し、目視で、フィルムの凹凸を評価し
た。この結果を表3に示した。本発明の積層フィルムを
用いた場合、凹凸はほぼPET並みであったが(重合体
A)のみから成る比較例3は熱変形が著しかった。
【0202】4−4)機械的強度の評価 下記方法により、現像処理前の写真フィルムの機械強度
の評価を行った。 〔破断強度および初期弾性率〕JIS−Z1702−1
976に準じて、幅10mm、長さ100mmの短冊片
で、引張り速度は破断強度の測定の際には300mm/
分、初期弾性率は20mm/分で測定した。 〔引き裂き強度の測定〕軽荷重式引き裂き強度試験機
(東洋精機(株)製)を用いサンプルサイズ51×64
mmで13mmの切れ込みを入れ残り51mmを引き裂
いた時の指示値を読み取った。この結果を表3に示し
た。このように本発明の積層フィルムは、PET並みの
高い機械的強度を有していた。
【0203】このように、本発明の吸水性を有するポリ
マーとTgが63℃を越えるポリエステル(本実施例で
はPET)を積層したフィルムを用いることで、TAC
並みの巻きぐせ回復性と、PET並みの高い機械的強度
と耐熱性を有した優れた写真感光材料を達成することが
できた。
【0204】(実施例2) 1)写真感光材料の作成 実施例1で用いた本発明の積層フィルム、比較例1〜
3、PET,TAC上に、実施例1の方法に従って、下
びき層の塗設、帯電防止層の塗設、すべり層の塗設、感
光層の塗設を行った。但し、本実施例では、磁気記録層
の塗設は行なわなかった。
【0205】このようにして調製した各サンプルをまず
35mm幅にスリットした後、パーフォレーション加工
を行い、通常の135システムのパトローネに収納し
た。この後、巻ぐせを付けるために50℃で5日間放置
した。
【0206】2)現像処理 実施例1と同様の方法で現像処理を行った。
【0207】3)写真感光材料の評価 実施例1と同様に、巻きぐせの回復性、熱収縮性、熱変
形、機械的強度の評価を行った。この結果を表4に示し
た。
【0208】
【表4】
【0209】このように、従来型のパトローネを用いた
写真システムに於ても、実施例1のような新規なパトロ
ーネシステムの場合と同様、良好な耐熱性、カール回復
性、機械強度が得られた。
【0210】
【発明の効果】本発明は、Tgが63℃以上のポリエス
テルフィルムと吸水性を有するポリマーとを、少くとも
1層以上積層したものを支持体とし、この上に、写真感
光層を付与して、写真感材とすることで、現像処理後、
巻きぐせ回復し、かつ機械的強度、耐熱性にすぐれる写
真感材を作ることを可能とした。これにより、カール解
消性は有するが、コストが高く、機械物性が弱いという
TACの欠点を打ち破る写真感材用フィルムを作ること
ができた。この結果、従来巻きぐせ解消しないため、T
ACしか用いられなかった分野(例えば、カラーネガ、
カラーリバーサルフィルム)を、本発明の支持体に置き
換えることができ、コストの低下、写真用ベースの強度
アップを図ることができた。また本発明中に記載したよ
うな新パトローネシステムでは、さらにこの効果は著し
く、TACに比べて大幅な強度アップと同時に、薄手化
によるパトローネの小型化を行うことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る写真フィルムパトローネの斜視図
である
【図2】図1中の写真フィルムの先端部分の状態を示す
平面図
【図3】図1のパトローネの断面図
【図4】図1のパトローネの一部破断図
【図5】写真フィルムバック層の磁気記録トラック層の
平面図
【図6】写真フィルムバック層の磁気記録トラック層の
断面図
【図7】本発明に係る写真フィルムパトローネ側面図
【図8】同上の正面図
【図9】本発明に係る写真フィルムパトローネ側面図
【図10】本発明に係る写真フィルムパトローネ全体図
【図11】本発明に係る写真フィルムパトローネの内部
【図12】本発明に係る写真フィルムパトローネの外ケ
ース部
【図13】同上の内スプールと写真フィルムの状態図
【図14】同上の内部
【符号の説明】
1 写真フィルムパトローネ 2 スプール 3 写真フィルム 4 パトローネ本体 5 フィルム引き出し口 7 パーフォレーション 8 隆起部 9 突状部 10 孔 11 切り欠き 12 フィルム引き出し通路 13 段部 14 乳剤構成層 15 支持体 16 透明磁性体層 17 帯電防止層+耐傷性層+潤滑層 18 1コマ分 19 パーフォレーション t−0〜t−1 磁気記録トラック f00〜f29 〃 120 写真フィルムパトローネ 101 スプール 102 写真フィルム 103 パトローネ本体 104 フィルム引き出し口 104a 遮光部材 106 フィルム先端 107 〃 108 リブ 102a フィルム最内周面 201 写真フィルムパトローネ 205 写真フィルム 206 スプール 206a フランジ 206b フランジ 206c 端部 207 パトローネ本体 208 側板 209 〃 208a 軸受け開口 209a 〃 208b 突条部 209b 〃 211 テレンプ 212 フィルム出入口 75 スプール 76 写真フィルム 77a リング 77b 〃 78 カートリッジ本体 79a 溝 79b 〃
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ハロゲン化銀写真感光材料
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は写真感光材料に関するも
のであり、特にポリエステル系の材料を支持体として用
い、現像処理後のカール解消性の優れたハロゲン化銀写
真感光材料(以下、写真感材または感材と称する。)に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】写真感光材料は一般的に、プラスチック
フィルム支持体上に少なくとも1層の写真感光性層を塗
布することによって製造される。このプラスチックフィ
ルムとしては一般的にトリアセチルセルロース(以下
「TAC」と記す)に代表される繊維系のポリマーとポ
リエチレンテレフタレート(以下(PET)と記す)に
代表されるポリエステル系のポリマーが使用されてい
る。
【0003】従来よりPETフィルムは優れた生産性、
機械的強度、ならびに寸度安定性を有するためTACに
代替するものと考えられてきたが、写真感光材料として
広範囲に用いられているロール形態では巻きぐせカール
が強く残留するため現像処理後の取り扱い性が悪く、上
記の優れた性質がありながらその使用範囲が限定されて
きた。
【0004】一般に写真感光材料としては、Xレイ用フ
ィルム、製版用フィルム及びカットフィルムの如くシー
ト状の形態のものと、ロールフィルムの代表的なもの
は、35m/m巾又はそれ以下の巾でパトローネ内に収
められており、一般のカメラに装填して撮影に用いるカ
ラー又は黒白ネガフィルムである。
【0005】一方、ロールフィルムに主として用いられ
ているTACフィルムの写真用支持体としての最大の特
徴は、光学的に異方性が無く透明度が高いことである。
さらにもう一点優れた特徴があり、それは現像処理後の
カール解消性についても優れた性質を有している点であ
る。即ち、TACフィルムはその分子構造からくる特徴
として比較的プラスチックフィルムとしては吸水性が高
い為、ロールフィルムとして巻かれた状況で経時される
ことによって生じる巻きぐせカールが現像処理における
吸水で分子鎖が流動し、巻き経時で固定化された分子鎖
が再配列を起こす。
【0006】その結果一旦形成された巻きぐせカールが
解消するという優れた性質を有している。この様なTA
Cのごとき巻きぐせカール回復性を有さないフィルムを
用いた写真感光材料では、ロール状態で用いられた際
に、例えば現像後写真印画紙に画像を形成させる焼き付
け工程等で、スリ傷の発生、焦点ボケ、搬送時のジャミ
ング等の問題が生じてしまう。
【0007】ところで、近年写真感光材料の、用途は多
様化しており撮影時のフィルム搬送の高速化、撮影倍率
の高倍率化、ならびに撮影装置の小型化が著しく進んで
いる。その際には、写真感光材料用の支持体としては、
強度、寸度安定性、薄膜化等の性質が要求される。
【0008】しかし、上記TACでは剛直な分子構造か
らくる性質で製膜したフィルムの膜室が脆弱でこれらの
用途には使用できないのが現状であり、現像処理後も巻
きぐせカールが問題になるロールフィルム分野において
は、PETフィルムはその優れた機械的性質を有するも
のの使用出来ないという問題があった。
【0009】このような巻きぐせの問題は、従来から用
いられているような、パトローネに入ったカラー又は黒
白フィルムでも、大きな問題となるが、以下に示すよう
な新規なパトローネシステムでは、さらに大きな問題と
なる。これは、このようなパトローネシステムは、カメ
ラへの装填を容易にするために、カメラ内に入れると同
時に、カメラ内のモーターによりパトローネの巻芯を回
転させて、中に入っているフィルムを自動的に送り出せ
るようにしたものであり、このためには、密にパトロー
ネ内にフィルムが巻かれて収納されていることが必要で
あり、従来型のパトローネより、一層巻きぐせが付き易
いシステムとなっているためである。
【0010】このため、特開平1−24446に記載さ
れているような手法により、PETに金属スルホネート
を有する芳香族ジカルボン酸と炭素数4−20の脂肪族
ジカルボン酸を共重合させることにより、PETに吸水
性を付与させ、現像処理後のカール解消性を図った例が
ある。しかしこの手法では、カール解消はするものの、
熱変形温度が低下し耐熱性が不十分であるという欠点が
あった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、優れた透明性および機械的性質を有する支持体から
なり、現像処理後の巻きぐせカールが解消し易く、同時
に熱変形温度の高い写真感光材料を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】これらの課題は、ポリエ
ステルフィルム支持体上に、少くとも1層の感光層を有
してなる写真感光材料において、該ポリエステルのTg
が63℃以上のポリエステルと吸水性を有するポリマー
とをそれぞれ少くとも1層以上積層して成ることを特徴
とするハロゲン化銀写真感光材料によって達成された。
【0013】従来の方法(特開平1−244446)で
は、吸水性を付与するため金属スルホネートを有する芳
香族ジカルボン酸をPETに共重合させることで、吸水
性を付与し、現像処理後のカール解消性を付与した。し
かし金属スルホネートを有する芳香族ジカルボン酸との
共重合体は耐折強度が著しく低く、その改良のために共
重合させた炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸によ
り、耐折強度の向上を図ったが、同時に熱変形温度を低
下させてしまい耐熱性に欠ける欠点を有していた。しか
し、本発明では、吸水性を有する物質により、現像処理
中に、支持体中に吸水させカール回復を図る一方、耐熱
性を有するポリエステル上に積層させることで耐熱性の
低下をも克服させたものである。
【0014】吸水性を有するポリマーとしては、スルホ
ン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基
およびこれらの塩、ポリアルキレンオキシ基、アルコキ
シ基、アルコキシカルボニル基、スルファモイル基、カ
ルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ジ
スルホンアミド基、ウレイド基、ウレタン基、アルキル
スルホニル基、アルコキシスルホニル基のうち少くとも
1つの官能基を有するポリマーが挙げられる。また、こ
の吸水性を有するポリマーと積層させる耐熱性を有する
ポリマーとしては、Tgが63℃以上のポリエステルが
挙げられる。
【0015】上述の吸水性を有するポリマーの代表的な
例の1つに親水性基を持つモノマーと供重合させたポリ
エステルがある。本発明では、この吸水性ポリマーと耐
熱性を有するポリエステルと積層させるため、この吸水
性ポリマーも、ポリエステルである方が、一般に接着性
が良く、透明性の良好なフィルムを得やすい。従って、
まずこの親水性基を有するポリエステルについては詳し
く説明する。
【0016】ポリエステルは二塩基酸とグリコールが主
要な構成成分である。従来ポリエステル材料としてよく
知られているものとして、ポリエチレンテレフタレート
(PET)があり、本発明において親水性基を有するポ
リエステルとは、PETに対して、より含水率の高いポ
リエステルを指す。本発明のポリエステルにおける親水
性基は、構成成分である二塩基酸、あるいは、グリコー
ルのいずれに導入してもよい。
【0017】導入可能な親水性基としては、スルホン
酸、スルフィン酸、ホスホン酸、カルボン酸あるいはそ
の塩、ポリアルキレンオキシ基、アルコキシ基、アルコ
キシカルボニル基、スルファモイル基、カルバモイル
基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ジスルホンア
ミド基、ウレイド基、ウレタン基、アルキルスルホニル
基、アルコキシスルホニル基等、種々の1ないし2価の
置換基を挙げることができるが、この中でスルホン酸、
スルフィン酸、ホスホン酸、カルボン酸あるいはその
塩、ポリアルキレンオキシ基、ジスルホンアミド基が特
に好ましい。
【0018】このような親水性基を有する構成成分のう
ち、好ましい二塩基酸としては5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、4−
ナトリウムスルホフタル酸、4−ナトリウムスルホ−
2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,3,5−ベンゼ
ントリカルボン酸モノナトリウム塩、
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】等を挙げることができる。これらの二塩基
酸において、ナトリウム塩を有する化合物は、水素原子
や、他の金属原子、たとえばリチウムやカリウムで置換
されたものであってもよい。また、これらの二塩基酸に
おけるカルボキシル基は、製造上の必要等に応じて、エ
ステル(アルキルまたはアリールエステル)化されてい
てもよいし、酸クロリドの形にして用いてもよい。
【0022】親水性基を有する好ましいグリコールとし
ては、HO-(CH2)2-(OCH2CH2) n -O(CH2)2-OH (nは1な
いし約20の整数を表す)、HO-(CH(CH3)CH2O)n -H(n
は2ないし約20の整数を表す)、
【0023】
【化3】
【0024】等を挙げることができる。
【0025】また、これらの他にジオール成分として、
ヒドロキシポリエステル、ヒドロキシポリアセタール、
ヒドロキシエステルアミド類も用いることができる。ヒ
ドロキシ基を有するポリエステルは、多価(主として二
価)アルコールと二塩基性カルボン酸との反応生成物で
ある。ヒドロキシアセタールはグリコール(例えば、ジ
エチレングリコール)とホルムアルデヒドから得ること
ができる。ヒドロキシエステルアミドは、例えば二塩基
性カルボン酸とアミノアルコール単独あるいはジアミ
ン、ポリアミン類との混合物から得られる縮合物であ
る。
【0026】本発明のポリエステルの構成成分として
は、上記に挙げたもの以外に種々の化合物を用いること
ができる。使用可能な二塩基酸としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、無水コハク
酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン
酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ジ
フェニレン−p,p′−ジカルボン酸、テトラクロロ無
水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水
フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】
【0029】等を挙げることができる。
【0030】使用可能なジオールとしては、エチレング
リコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパ
ンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプ
タンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−
デカンジオール、1,12−トデカンジオール、1,4
−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,1
−シクロヘキサンジメタノール、カテコール、レゾルシ
ン、ハイドロキノン、1,4−ベンゼンジメタノール、
【0031】
【化6】
【0032】
【化7】
【0033】等を挙げることができる。
【0034】また、必要に応じて、単官能または3以上
の多官能の水酸基含有化合物あるいは、酸含有化合物が
共重合されていても構わない。また、本発明のポリエス
テルには、分子内に水酸基とカルボキシル基(あるいは
そのエステル)を同時に有する化合物が共重合されてい
ても構わない。このような化合物の例としては、
【0035】
【化8】
【0036】本発明のポリエステルは、その主成分がエ
チレングリコールとテレフタル酸からなる共重合ポリエ
ステルが特に好ましい。このような共重合ポリエステル
中に導入する前記親水性構成成分の量は、構成成分自身
の親水性や生成するポリエステルの物理的性質(屈折
率、機械的強度、等)により種々変わりうるが、好まし
くは、ポリエステルの全重量に対し1ないし50重量
%、特に好ましくは2ないし40重量%である。
【0037】また、エチレングリコール、テレフタル
酸、及び前記親水性構成成分以外の共重合可能な構成成
分も、生成するポリエステルの親水性や屈析率、透明
性、ガラス転移温度、融点、耐折性等の物理的、機械的
性質を勘案して任意に導入することが可能であるが、そ
の量は、ポリエステルの全重量に対し、好ましくは0な
いし50重量%、特に好ましくは0ないし40重量%で
ある。
【0038】本発明のポリエステルの合成は、従来公知
のポリエステルの製造法に従って行うことができる。例
えば、酸成分をグリコール成分と直接エステル化する
か、または酸成分をジアルキルエステルとして用いる場
合はグリコール成分とのエステル交換反応を用いること
ができる。あるいは、酸成分を酸ハライドとしておき、
グリコールと反応させてもよい。この際、必要に応じて
エステル交換反応触媒あるいは重合反応触媒を用いた
り、耐熱安定剤を添加してもよい。以上述べたポリエス
テル構成成分及び合成法については、例えば高分子実験
学第5巻「重縮合と重付加」(共立出版、1980年)
第103頁〜第136頁、「合成高分子V」(朝倉書
店、1971年)第187頁〜第286頁の記載を参考
に行うことができる。
【0039】本発明で用いるポリエステルの好ましい平
均分子量の範囲は、約3,000ないし約100,00
0である。次に本発明に用いるポリエステルの好ましい
具体的化合物例を示すが、本発明がこれに限定されるも
のではない。 ポリエステル化合物例 ( )内の数字は各成分のモル比を表す。
【0040】 P−1 TPA/AA/SSIA/EG (88/
5.3/6.7/100) P−2 TPA/AA/SSIA/EG (90/
7.2/2.8/100) P−3 TPA/AA/SSIA/EG (88/
7.2/4.8/100) P−4 TPA/SSIA/EG/DEG (95/
5/85/15) P−5 TPA/SSIA/EG/TEG (93/
7/80/20) P−6 TPA/AA/SPIA/EG (90/4
/6/100) P−7 TPA/PEG(4000)/EG (10
0/0.5/99.5) P−8 TPA/IPA/SSIA/PEG(400
0)/EG (95/4/1/0.3/99.7) P−9 TPA/SSIA/SA/TEEG/EG
(95/3/2/5/95) P−10 TPA/SCPP/AA/EG (90/5
/5/100)
【0041】 P−11 TPA/AA/SSIA/EG/DEG
(88/5/7/90/10) P−12 TPA/PISB/AA/EG (94/3
/3/100) P−13 TPA/PISB/EG/DEG (97/
3/95/5) P−14 TPA/EG/DMPS (100/95/
5) P−15 TPA/SSIA/SA/EG/BHPP
(90/2/8/95/5) 略称説明
【0042】
【化9】
【0043】
【化10】
【0044】上記の共重合比は、二塩基酸成分はいずれ
も仕込みモル比を表す。グリコール成分のうち、EG以
外の成分は全酸成分に対する仕込みモル百分率を表す。
EGは、通常のエステル交換法を用いた合成に従い、酸
成分に対して過剰に用いているが本具体例においては、
最終生成物における二塩基酸とグリコールの量が各々1
00となる様に計算して表記した。
【0045】このような親水性基を有するポリエステル
共重合体以外にも、種々の吸水性を有するポリマーを用
いることができる。例えば、ポリアクリル酸やポリメタ
クリル酸およびその誘導体、ポリアクリルアミドおよび
その誘導体、ポリエチレングリコールおよびその誘導
体、ポリスチレンスルホン酸塩およびその誘導体、ポリ
エチレンオキサイドおよびその誘導体等が挙げられる。
これらのポリマーは多くの種類のものが市販されており
容易に入手、利用できる。
【0046】このような吸水性を有するポリマーは、本
発明の積層フィルムの表面から20μm以内に少くとも
1層存在することが必須である。これは、本発明の巻き
ぐせカール回復のメカニズムが、現像処理中に支持体中
に取り込まれた水によりポリマー分子を可塑化させ、巻
きぐせ回復させているため、支持体表面か20μm以上
の深い所にこの吸水性を有するポリマーで一層が存在す
る場合、現像処理の間に十分な吸水量を得ることができ
ないため、巻きぐせカール回復を行うことはできないた
めである。
【0047】また、この吸水性を有するポリマーの層
は、Tgが63℃以上のポリエステルフィルムの両面に
積層させることが望ましい。即ち、耐熱性を付与させる
Tgが63℃以上のポリエステルを芯とし、その両側
に、吸水性を有するポリマーを付与させるのが望まし
い。これは、巻きぐせが付いた時、最っとも歪みを受け
易いのが、フィルムの表面近くであるため、吸水性を有
するポリマーをこの付近に設けることにより、有効にこ
の歪みを解消することができるためである。
【0048】次に本発明のTgが63℃以上の耐熱性を
有するポリエステルについて説明する。写真感光材料
は、写真撮影した後現像処理を行うが、この最後のプロ
セスで温風により、写真フィルムを乾燥させる。この時
の温度が一般に50〜60℃の間であるため、Tgが、
この乾燥温度よりも低いと、現像処理後得られた写真フ
ィルムは熱変形したものとなる可能性がある。従って、
支持体を構成する1つの積層体のフィルムのTgがこの
乾燥温度を上回っている必要があるが、実際にいくつか
のTgのを持つポリエステルから成る単一層のフィルム
を作り、Tgが摂氏何度から変形するかを調べた。この
結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】このように、現像処理後熱変形しないため
には、Tgが63℃以上であることが必要であった。
【0051】本発明で言うTgとは、次のような方法で
測定した値をさす。まず、サンプルを約10mg走査型熱
量計にセットし、窒素気流下で20℃/分の昇温速度で
昇温してゆき、ベースラインが偏奇しはじめる温度と、
新たなベースラインに戻る温度との算術平均値をTgと
した。
【0052】このようなTgを有するポリエステルの代
表的なものとしては、次のようなものが挙げられるが、
本発明は、これらに限定されるものではない。
【0053】
【化11】
【0054】
【化12】
【0055】
【化13】
【0056】
【化14】
【0057】
【化15】
【0058】
【化16】
【0059】本発明のポリエステルの合成は、従来公知
のポリエステルの製造法に従って行うことができる。例
えば、酸成分をグリコール成分と直接エステル化する
か、または酸成分をジアルキルエステルとして用いる場
合はグリコール成分とのエステル交換反応を用いること
ができる。あるいは、酸成分を酸ハライドとしておき、
グリコールと反応させてもよい。この際、必要に応じて
エステル交換反応触媒あるいは重合反応触媒を用いた
り、耐熱安定剤を添加してもよい。以上述べたポリエス
テル構成成分及び合成法については、例えば高分子実験
学第5巻「重縮合と重付加」(共立出版、1980年)
第103頁〜第136頁、「合成高分子V」(朝倉書
店、1971年)第187頁〜第286頁の記載を参考
に行うことができる。
【0060】本発明で用いるポリエステルの好ましい平
均分子量の範囲は、約3,000ないし約100,00
0である。このようなポリエステルの中で、工業的に用
いるには、価格、供給性の面から、ポリエチレンテレフ
タレート(以下PETと称する。)、ポリエチレンナフ
タレート(以下PENと称する)および、これらの誘導
体を用いるのが好ましい。
【0061】さらに、本発明のポリエチレンテレフタレ
ートフィルム中には種々の添加剤を含有せしめることが
できる。たとえば、ポリエステルフィルムを写真感光材
料用支持体として使用する際に問題となる性質の一つに
支持体が高屈折率であるために発生するふちかぶりの問
題があげられる。写真用支持体としてはトリアセチルセ
ルロース(TAC)ならびにポリエチレンテレフタレー
ト(PET)に代表されるポリエステル系のポリマーが
一般的に用いられているが、このTACとPETとの光
学的性質の大きな差の一つは、屈折率である。この屈折
率はPETが1.6程度に対してTACは1.5と小さ
い。一方、下びき層ならびに写真乳剤層にもっぱら用い
られるゼラチンの屈折率は1.50〜1.55であり、
ゼラチンの屈折率の比をとるとPETでは1.5/1.
6と1より小さく、光がフィルムエッジから入射した
時、ベースと乳剤層の界面で反射しやすい。従って、ポ
リエステル系のフィルムはいわゆるライトパイピング現
象(ふちかぶり)を起こす。
【0062】この様なライトパイピング現象を回避する
方法としては染料を添加する方法等が知られている。フ
ィルム染色に使用する染料については特に限定を加える
ものでは無いが色調は感光材料の一般的な性質上グレー
染色が好ましく、また染料はポリエステルフィルムの製
膜温度域での耐熱性に優れ、かつポリエステルとの相溶
性に優れたものが好ましい。染料としては、上記観点か
ら三菱化成製の Diaresin 、日本化薬製の Kayaset等ポ
リエステル用として市販されている染料を混合すること
により目的を達成することが可能である。
【0063】染色濃度に関しては、マクベス社製の色濃
度計にて可視光域での色濃度を測定し少なくとも0.0
1以上であることが必要である。更に好ましくは0.0
3以上である。
【0064】以上述べてきたような、Tgが63℃以上
のポリエステル、吸水性を有するポリマーおよび色素等
の添加剤を乾燥した後これらを共押出し法や溶液キャス
トすることで積層構造を有するフィルムを形成させる。
【0065】以下に共押出し法を用いた積層フィルムの
形成法について述べる。上記吸水性を有するポリマー、
Tg63℃以上のポリエステルを共押出しダイを用いて
積層フィルムを形成させる。この時、これらのポリマー
の融点よりも、少なくとも10℃高温で溶融させる。ま
た、色素等の添加物を用いる場合は、二軸又は一軸混練
機などにより、均一に分散させると良い。
【0066】このようにしてダイから押出したポリマー
は、冷却ドラム、冷却浴などに導かれて冷却固化され
る。冷却ドラムの場合はロールコーターを使用して冷却
ドラム表面に薄い塗液(水や界面活性剤含有液体など)
を塗布してシートが冷却ドラム表面に密着するようにす
ると良い。もちろん、冷却ドラムに直接シートを接触さ
せることもできる。シートを冷却ドラムのような急冷面
に密着させる手法として、エアナイフも利用できる。3
層以上の積層フィルムを作る時には、共押し出しのダイ
の押し出し口を、必要な数だけ増やしても良いし、上記
共押し出し操作をくり返すことで積層数を増やしても良
い。
【0067】このようにして積層構造を形成させた後、
2軸延伸を行い、必要な写真用積層フィルムを得る。2
軸延伸は、縦、横の逐次延伸あるいは2軸同時延伸のい
ずれでもよく、延伸倍率は特に限定されるものではない
が通常は2.0〜5.0倍が適当である。また縦、横延
伸後、縦、横方面のいずれかに再延伸してもかまわな
い。延伸温度は用いたポリマーのガラス転移点から融点
の間の温度で選択する。例えば、PETの場合、縦延伸
は70〜100℃、横延伸の場合80〜160℃で行う
のが好ましい。
【0068】また、このような本発明の積層構造を得る
には、上述の共押出し法以外にも、キャスト法によって
も形成することができる。これは、 一方のポリマーの無軸延伸フィルムを形成してお
き、その上に、所定量のもう一方のポリマーを適当な溶
媒を用いて塗布し、逐次あるいは2軸延伸する方法。 一方のポリマーの無軸延伸フィルムをあらかじめ一
方向に延伸しておき、この後所定の量のもう一方のポリ
マーを適当な溶剤で塗布又は、ホットメルトエクストル
ジョン塗布する方法。 一方のポリマーの無軸延伸フィルムをあらかじめ2
軸延伸しておき、この後所定の量のもう一方のポリマー
を適当な溶剤で塗布又はホットメルトエクストルジョン
塗布する方法。 のいづれの方法で行っても構わない。延伸は、共押出し
法の所で述べた条件と同様にして行うと良い。
【0069】本発明のフィルムの厚みは写真フィルムの
用途分野により適宜設定できるが、25〜250μが望
ましく、更に望ましくは40〜150μの厚みが採用さ
れる。
【0070】このようにして得られた本発明の積層フィ
ルムは、従来写真用フィルムとして用いられていたPE
Tとほぼ同等または、それに勝る優れた透明性及び機械
的強度は損なわれておらず、フィルムヘイズが3%以下
で破断強度が8〜25Kg/mm 2 、初期弾性率が200〜
500Kg/mm2 、膜厚50μでの引き裂き強度が厚さ1
20μmで30g以上である。
【0071】本発明において透明性、破断強度、初期弾
性率及び引き裂き強度は以下の如く測定する。 〔透明性〕フィルムのヘイズをASTM−D1003−
52に従って測定した。 〔破断強度および初期弾性率〕JIS−Z1702−1
976に準じて、幅10mm、長さ100mmの短冊片で、
引張り速度は破断強度の測定の際には300mm/分、初
期弾性率は20mm/分で測定した。 〔引き裂き強度の測定〕軽荷重式引き裂き強度試験機
(東洋精機(株)製)を用いサンプルサイズ51×64
mmで13mmの切れ込みを入れ残り51mmを引き裂いた時
の指示値を読み取った。
【0072】本発明で得られたフィルム支持体は現像処
理後のカール解消性(以下、カール回復率と記す)が優
れることに特徴がある。本発明に於ては以下の方法で8
0%以上であることが好ましい。 〔カール回復率の測定〕サンプルサイズ12cm×35mm
のフィルムを直径10mmの巻芯に巻き、60℃×30%
RH×72hrの処理を行い、その後、巻芯から解放し
40℃の蒸留水に15分間浸漬後、50gの荷重をかけ
55℃の空気恒温槽で3分間乾燥しサンプルを垂直に吊
し、サンプル長さを測定し元の12cmのサンプル長にど
れだけ回復したかを評価した。本発明で得られたフィル
ム支持体は、また、耐熱性が高いことにも特徴がある。
本発明においては、以下の方法により、フィルム支持体
の熱収縮、熱変形から耐熱性を評価した。
【0073】〔熱収縮の測定〕サンプルサイズ35mm×
12cmに裁断後、25℃×60%RH×24hr調湿し
た後150℃×30min 空気恒温槽中で熱処理を行う。
これを25℃×60%RH×24hr調湿した後、長手
方向の長さを測り、熱収縮を評価する。
【0074】〔熱変形の測定〕サンプルサイズ35mm×
12cmに裁断後、直径25mmの巻き芯に巻き付け、マイ
ラーテープで止める。これを80℃×7hr熱処理し、
目視でフィルムの凹凸を評価する。
【0075】熱収縮は、好ましくは、2.0%以下であ
り、より好ましくは1.5%以下である。また熱変形
は、好ましくは、厚み122μmのトリアセチルセルロ
ース並みのわずかな熱変形であることであり、さらに好
ましくは、厚み100μmのPETフィルム並みに変形
しないことである。
【0076】本発明のポリエステルフィルムは接着性向
上およびコーティング液のぬれ特性を改良するため、予
めコロナ放電処理、薬液処理、火災処理などの各種表面
処理を必要に応じて施すことができる。これらの表面処
理の中で、本発明に最も好ましく用いられるのは、フィ
ルム表面への低重合物の析出が少ないコロナ放電処理で
ある。本発明のポリエステル支持体は、その上に塗設さ
れる感光性層等の写真層との接着力を増す為に下びき層
を有することが好ましい。下びき層としては、スチレン
−ブタジエン系共重合体又は塩化ビニリデン系共重合体
からなるポリマーラテックスを用いる下びき層、ゼラチ
ンの如き親水性バインダーを用いる下びき層がある。本
発明に好ましく用いられる下びき層は親水性バインダー
を用いる下びき層である。本発明に使用する親水性バイ
ンダーとしては水溶性ポリマー、セルロースエステル、
ラテックスポリマー、水溶性ポリエステルなどが例示さ
れる。水溶性ポリマーとしては、ゼラチン、ゼラチン誘
導体、ガゼイン、寒天、アルギン酸ソーダ、でんぷん、
ポリビニールアルコール、ポリアクリル酸共重合体、無
水マレイン酸共重合体などであり、セルロースエステル
としてはカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロースなどである。ラテックスポリマーとしては
塩化ビニル含有共重合体、塩化ビニリデン含有共重合
体、アクリル酸エステル含有共重合体、酢酸ビニル含有
共重合体、ブタジエン含有共重合体などである。この中
でも最も好ましいのはゼラチンである。
【0077】本発明に使用される支持体を膨潤させる化
合物として、レゾルシン、クロルレゾルシン、メチルレ
ゾルシン、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレ
ゾール、フェノール、o−クロルフェノール、p−クロ
ルフェノール、ジクロルフェノール、トリクロルフェノ
ール、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸、トリフルオロ酢
酸、抱水クロラールなどがあげられる。この中で好まし
いのは、レゾルシンとp−クロルフェノールである。
【0078】本発明の下びき層には種々のゼラチン硬化
剤を用いることができる。ゼラチン硬化剤としてはクロ
ム塩(クロム明ばんなど)、アルデヒド類(ホルムアル
デヒド、グルタールアルデヒドなど)、イソシアネート
類、活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロロ−6−ヒド
ロキシ−S−トリアジンなど)、エピクロルヒドリン樹
脂などを挙げることができる。本発明の下びき層にはS
iO2 、TiO2 、の如き無機物微粒子又はポリメチル
メタクリレート共重合体微粒子(1〜10μm)をマッ
ト剤として含有することができる。本発明に係る下びき
層は一般によく知られた塗布方法、例えばデップコート
法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤ
ーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョ
ンコート法等により塗布することが可能である。本発明
の感光材料には感光性層の他に、ハーレーション防止
層、中間層、バック層、表面保護層の如き非感光性層を
有することができる。バック層のバインダーとしては、
疎水性ポリマーでもよく、下びき層に用いる如き親水性
ポリマーであってもよい。
【0079】本発明の感光材料のバック層には、帯電防
止剤、易滑剤、マット剤、界面活性剤、染料等を含有す
ることができる。本発明のバック層で用いられる帯電防
止剤としては、特に制限はなく、たとえばアニオン性高
分子電解質としてはカルボン酸及びカルボン酸塩、スル
ホン酸塩を含む高分子で例えば特開昭48−22017
号、特公昭46−24159号、特開昭51−3072
5号、特開昭51−129216号、特開昭55−95
942号に記載されているような高分子である。カチオ
ン性高分子としては例えば特開昭49−121523
号、特開昭48−91165号、特公昭49−2458
2号に記載されているようなものがある。またイオン性
界面活性剤もアニオン性とカチオン性とがあり、例えば
特開昭49−85826号、特開昭49−33630
号、US2,992,108、US3,206,31
2、特開昭48−87826号、特公昭49−1156
7号、特公昭49−11568号、特開昭55−708
37号などに記載されているような化合物を挙げること
ができる。
【0080】本発明のバック層の帯電防止剤として最も
好ましいものは、ZnO、TiO3、SnO2 、Al2
3 、In2 3 、SiO2 、MgO、BaO、MoO
3 の中から選ばれた少くとも1種の結晶性の金属酸化物
あるいはこれらの複合酸化物の微粒子である。本発明に
使用される導電性の結晶性酸化物又はその複合酸化物の
微粒子はその体積抵抗率が107 Ωcm以下、より好まし
くは105 Ωcm以下である。またその粒子サイズは0.
01〜0.7μ、特に0.02〜0.5μですることが
望ましい。本発明に使用される導電性の結晶性金属酸化
物あるいは複合酸化物の微粒子の製造方法については特
開昭56−143430号及び同60−258541号
の明細書に詳細に記載されている。第1に金属酸化物微
粒子を焼成により作製し、導電性を向上させる異種原子
の存在下で熱処理する方法、第2に焼成により金属酸化
物微粒子を製造するときに導電性を向上させる為の異種
原子を共存させる方法、第3に焼成により金属微粒子を
製造する際に雰囲気中の酸素濃度を下げて、酸素欠陥を
導入する方法等が容易である。異種原子を含む例として
はZnOに対してAl、In等、TiO2 に対してはN
b、Ta等、SnO2 に対してはSb、Nb、ハロゲン
元素等が挙げられる。異種原子の添加量は0.01〜3
0 mol%の範囲が好ましいが0.1〜10 mol%であれ
ば特に好ましい。
【0081】次に本発明の写真感材について詳細に述べ
る。本発明の感材はハロゲン化銀乳剤層、バック層、保
護層、中間層、アンチハレーション層などで、構成され
ているが、これらは主に親水性コロイド層で用いられ
る。その場合の親水性コロイド層のバインダーとして
は、例えばゼラチン、コロイド状アルブミン、カゼイン
などの蛋白質;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース等のセルロース化合物;寒天、アル
ギン酸ソーダ、でんぷん誘導体等の糖誘導体;合成親水
性コロイド例えばポリビニルアルコール、ポリ−N−ビ
ニルピロリドン、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリ
ルアミドまたはこれらの誘導体および部分加水分散物、
デキストラン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステ
ル、ロジン等が挙げられる。必要に応じてこれらのコロ
イドの二つ以上の混合物を使用してもよい。この中で最
も用いられるのはゼラチンあるいはその誘導体であるが
ここに言うゼラチンはいわゆる石灰処理ゼラチン、酸処
理ゼラチンおよび酵素処理ゼラチンを指す。
【0082】本発明に於いては又アニオン、ノニオン、
カチオン、ベタイン性含フッ素界面活性剤を併用するこ
とができる。これらの含弗素界面活性剤は特開昭49−
10722号、英国特許第1,330,356号、特開
昭53−84712号、同54−14224号、同50
−113221号、米国特許第4,335,201号、
同4,347,308号、英国特許第1,417,91
5号、特公昭52−26687号、同57−26719
号、同59−38573号、特開昭55−149938
号、同54−48520号、同54−14224号、同
58−200235号、同57−146248号、同5
8−196544号、英国特許第1,439,402
号、などに記載されている。これらの好ましい具体例を
以下に記す。
【0083】
【化17】
【0084】
【化18】
【0085】
【化19】
【0086】
【化20】
【0087】
【化21】
【0088】
【化22】
【0089】
【化23】
【0090】
【化24】
【0091】
【化25】
【0092】
【化26】
【0093】
【化27】
【0094】本発明においてはノニオン性界面活性剤を
用いてもよい。以下に本発明に好ましく用いられるノニ
オン界面活性剤の具体例を示す。
【0095】
【化28】
【0096】
【化29】
【0097】
【化30】
【0098】
【化31】
【0099】
【化32】
【0100】本発明で使用される含弗素界面活性剤及び
ノニオン界面活性剤の添加する層は写真感光材料の少な
くとも1層であれば特に限定されず、例えば表面保護
層、乳剤層、中間層、下塗層、バック層などを挙げるこ
とができる。本発明で使用される及び含弗素界面活性
剤、ノニオン界面活性剤の使用量は写真感光材料の1平
方メートルあたり0.0001g〜1gであればよい
が、より好ましくは0.0005〜0.5g、特に好ま
しいのは0.0005g〜0.2gである。又、本発明
のこれらの界面活性剤は2種類以上混合してもよい。
【0101】又、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、1,1,1−トリメチロールプロパン等特開昭
54−89626号に示されるようなポリオマール化合
物を本発明の保護層あるいは他の層に添加することがで
きる。本発明の写真構成層には他の公知の界面活性剤を
単独または混合して添加してもよい。それらは塗布助剤
として用いられるものであるが、時としてその他の目
的、例えば乳化分散、増感その他の写真特性の改良等の
ためにも適用される。又、本発明に於ては、滑性化組成
物、例えば米国特許第3,079,837号、同第3,
080,317号、同第3,545,970号、同第
3,294,537号及び特開昭52−129520号
に示されるような変性シリコーン等を写真構成層中に含
むことができる。
【0102】本発明の写真感光材料は写真構成層中に米
国特許第3,411,911号、同3,411,912
号、特公昭45−5331号等に記載のポリマーラテッ
クスを含むことができる。本発明の写真感光材料におけ
るハロゲン化銀乳剤層およびその他の親水性コロイド層
は各種の有機または無機の硬化剤(単独または組合せ
て)により硬化されうる。特に本発明で好ましいハロゲ
ン化銀カラー写真感光材料の代表例としてカラーリバー
サルフィルムとカラーネガフィルムをあげることができ
る。特に一般用カラーネガフィルムが好ましいカラー写
真感光材料である。以下一般用カラーネガフィルムを用
いて説明する。
【0103】本発明の感光材料は、支持体上に青感色性
層、緑感色性層、赤感色性層のハロゲン化銀乳剤層の少
なくとも1層が設けられていればよく、ハロゲン化銀乳
剤層および非感光性層の層数および層順に特に制限はな
い。典型的な例としては、支持体上に、実質的に感色性
は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤
層から成る感光性層を少なくとも1つ有するハロゲン化
銀写真感光材料であり、該感光性層は青色光、緑色光、
および赤色光の何れかに感色性を有する単位感光性層で
あり、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料において
は、一般に単位感光性層の配列が、支持体側から順に赤
感色性層、緑感色性層、青感色性の順に設置される。し
かし、目的に応じて上記設置順が逆であっても、また同
一感色性層中に異なる感光性層が挟まれたような設置順
をもとりえる。上記、ハロゲン化銀感光性層の間および
最上層、最下層には各層の中間層等の非感光性層を設け
てもよい。該中間層には、特開昭61−43748号、
同59−113438号、同59−113440号、同
61−20037号、同61−20038号明細書に記
載されているようなカプラー、DIR化合物等が含まれ
ていてもよく、通常用いられるように混色防止剤を含ん
でいてもよい。各単位感光性層を構成する複数のハロゲ
ン化銀乳剤層は、西独特許第1,121,470号ある
いは英国特許第923,045号、特開昭57−112
751号、同62−200350号、同62−2065
41号、同62−206543号、同56−25738
号、同62−63936号、同59−202464号、
特公昭55−34932号、同49−15495号明細
書に記載されている。
【0104】ハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十
四面体のような規則的な結晶を有するもの、球状、板状
のような変則的な結晶形を有するもの、双晶面などの結
晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの複合形でもよ
い。ハロゲン化銀の粒径は、約0.2ミクロン以下の微
粒子でも投影面積直径が約10ミクロンに至るまでの大
サイズ粒子でもよく、多分散乳剤でも単分散乳剤でもよ
い。本発明に使用できるハロゲン化銀写真乳剤は、例え
ばリサーチ・ディスクロージャー(RD)No.1764
3(1978年12月)、22〜23頁、“I.乳剤製
造(Emulsion preparation and types) ”、および同N
o. 18716(1979年11月)、648頁、グラ
フキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテル社刊
(P. Glafkides, Chemie et Phisique Photographique,
Paul Montel, 1967)、ダフィン著「写真乳剤化
学」、フォーカルプレス社刊(G. F. Duffin, Photogra
phic Emulsion Chemistry (Focal Press, 196
6))、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フ
ォーカルプレス社刊(V. L. Zelikman et al., Making
and Coating Photographic Emulsion, Focal Press, 1
964)などに記載された方法を用いて調製することが
できる。
【0105】米国特許第3,574,628号、同3,
655,394号および英国特許第1,413,748
号などに記載された単分散乳剤も好ましい。また、アス
ペクト比が約5以上であるような平板状粒子も本発明に
使用できる。平板状粒子は、ガトフ著、フォトグラフィ
ック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Gutof
f, Photographic Science and Engineering)、第14
巻 248〜257頁(1970年);米国特許第4,
434,226号、同4,414,310号、同4,4
33,048号、同4,439,520号および英国特
許第2,112,157号などに記載の方法により簡単
に調製することができる。
【0106】結晶構造は一様なものでも、内部と外部と
が異質なハロゲン組成からなるものでもよく、層状構造
をなしていてもよい、また、エピタキシャル接合によっ
て組成の異なるハロゲン化銀が接合されていてもよく、
また例えばロダン銀、酸化鉛などのハロゲン化銀以外の
化合物と接合されていてもよい。また種々の結晶形の粒
子の混合物を用いてもよい。ハロゲン化銀乳剤は、通
常、物理熟成、化学熟成および分光増感を行ったものを
使用する。本発明の効率は、金化合物と含イオウ化合物
で増感した乳剤を使用したときに特に顕著に認められ
る。このような工程で使用される添加剤はリサーチ・デ
ィスクロージャーNo. 17643および同No. 1871
6に記載されており、その該当箇所を後掲の表にまとめ
た。
【0107】本発明に使用できる公知の写真用添加剤も
上記の2つのリサーチ・ディスクロージャーに記載され
ており、下記の表に関連する記載箇所を示した。 添加剤種類 RD17643 RD18716 1 化学増感剤 23頁 648頁右欄 2 感度上昇剤 同 上 3 分光増感剤、 23〜24頁 648頁右欄〜 強色増感剤 649頁右欄 4 増 白 剤 24頁 5 かぶり防止剤 24〜25頁 649頁右欄〜 および安定剤 6 光吸収剤、フ 25〜26頁 649頁右欄〜 ィルター染料、 650頁左欄 紫外線吸収剤 7 ステイン防止剤 25頁右欄 650頁左〜右欄 8 色素画像安定剤 25頁 9 硬 膜 剤 26頁 651頁左欄 10 バインダー 26頁 同 上 11 可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 12 塗布助剤、 26〜27頁 同 上 表面活性剤
【0108】また、ホルムアルデヒドガスによる写真性
能の劣化を防止するために、米国特許4,411,98
7号や同第4,435,503号に記載されたホルムア
ルデヒドと反応して、固定化できる化合物を感光材料に
添加することが好ましい。本発明には種々のカラーカプ
ラーを使用することができ、その具体例は前出のリサー
チ・ディスクロージャー(RD)No. 17643、VII
−C〜Gに記載された特許に記載されている。
【0109】水中油滴分散法に用いられる高沸点溶媒の
例は米国特許第2,322,027号などに記載されて
いる。水中油滴分散法に用いられる常圧での沸点が17
5℃以上の高沸点有機溶剤の具体例としては、フタル酸
エステル類、リン酸またはホスホン酸のエステル類、安
息香酸エステル類、アミド類、アルコール類またはフェ
ノール類、脂肪族カルボン酸エステル類、アニリン誘導
体、炭化水素類などが挙げられる。また補助溶剤として
は、沸点が約30℃以上、好ましくは50℃以上約16
0℃以下の有機溶剤などが使用でき、典型例としては酢
酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノン、2−エトキシエチルア
セテート、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。ラ
テックス分散法の工程、効果および含浸用のラテックス
の具体例は、米国特許第4,199,363号、西独特
許出願(OLS)第2,541,274号および同第
2,541,230号などに記載されている。
【0110】本発明の感光材料は乳剤層を有する側の全
親水性コロイド層の膜厚の総和が28μm以下であり、
かつ、膜膨潤速度T1/2 が30秒以下が好ましい。膜厚
は、25℃相対湿度55%調湿下(2日)で測定した膜
厚を意味し、膜膨潤速度T1/ 2 は、当該技術分野におい
て公知の手法に従って測定することができる。例えば、
エー・グリーン(A. Green) らによりフォトグラフィッ
ク・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photogr.
Sci. Eng.)、19巻、2号、124〜129頁に記載
の型のスエロメーター(膨潤計)を使用することにより
測定でき、T1/ 2 は発色現像液で30℃、3分15秒処
理した時に到達する最大膨潤膜厚の90%を飽和膜厚と
し、このT1/2 の膜厚に到達するまでの時間と定義す
る。膜膨潤速度T1/2 は、バインダーとしてのゼラチン
に硬膜剤を加えること、あるいは塗布後の経時条件を変
えることによって調整することができる。また、膨潤率
は150〜400%が好ましい。膨潤率とは、さきに述
べた条件下での最大膨潤膜厚から、式:(最大膨潤膜厚
−膜厚)/膜厚に従って計算できる。
【0111】このようにして調製した写真感材は、所定
の幅に裁断した後(例えば、135であれば、35mm
幅、110であれば10mm幅)、パーフォレーション加
工を行い、所定のパトローネ等に収納し、カメラ撮影に
供する。
【0112】本発明に従ったカラー写真感光材料は、前
述のRD. No.17643の28〜29頁、および同 N
o.18716の615左欄〜右欄に記載された通常の方
法によって現像処理することができる。本発明のハロゲ
ン化銀カラー感光材料には処理の簡略化及び迅速化の目
的で発色現像主薬を内蔵しても良い。内蔵するために
は、発色現像主薬の各種プレカーサーを用いるのが好ま
しい。例えば米国特許第3,342,597号のインド
アニリン系化合物、同第3,342,599号、リサー
チ・ディスクロージャー14,850号及び同15,1
59号記載のシッフ塩基型化合物、同第13,924号
記載されている。
【0113】次に、本発明の支持体を全く新規な写真シ
ステムへの応用について説明する。このシステムの第一
の特徴は、フィルムのカメラへの装填が容易であること
である。従来の写真フィルムパトローネは写真フィルム
がパトローネ内部でスプールに密に巻かれてはいず、巻
きゆるんだ状態で収納されていたためスプールをフィル
ム巻き方向と逆の方向に回転させても写真フィルムをパ
トローネ外部に送り出すことはできなかった。このた
め、パトローネ外部に写真フィルム先端部を予め適当な
長さだけ引き出しておき、撮影者がこの写真フィルム先
端部をカメラ内のフィルム送り機構に装填するという操
作を必要としていた。
【0114】しかし、この操作は手間がかかるものであ
るとともに、ある程度の熟練を要するので装填ミスを生
じることも多く、装填ミスを生じた場合には未撮影の写
真フィルムを露光してしまうという問題があった。この
ため、このような操作を必要としないカメラシステムが
望まれていた。
【0115】かかるカメラシステムは写真フィルムをパ
トローネ内部から送り出し可能とすることにより実現す
ることができる。写真フィルムをパトローネ内部から送
り出し可能とすれば、フィルム先端を送り出すことによ
りフィルムをカメラ内のフィルム送り機構に係合させる
ことができるので、フィルム端部をカメラ内のフィルム
送り機構に装填する操作は不要となる。
【0116】このような目的には、従来から用いられて
いるパトローネを用いることはできず、新たな様式のも
のを用いる必要がある。以下にこのパトローネについて
説明する。このパトローネは、合成プラスチックを主成
分とする。このプラスチックの成形には、必要に応じて
可塑剤をプラスチックスに混合する。可塑剤としては、
例えば、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフ
ェート、ジブチルフタレート、ジエチルセバゲート、メ
チルアミルケトン、ニトロベンゼン、γ−バレロラクト
ン、ジ−n−オクチルサクシネート、ブロモナフタレ
ン、ブチルパルミテートなどが代表的なものである。
【0117】本発明に用いるプラスチックス材料の具体
例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではな
い。具体例にはポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリモノクロロトリフルオロエチレン、塩化ビ
ニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン共重合樹脂、メチルメタクリル樹脂、ビニルホルマー
ル樹脂、ビニルブチラール樹脂、ポリエチレンテレフタ
レート、テフロン、ナイロン、フェノール樹脂、メラミ
ン樹脂等がある。
【0118】本発明に特に好ましいプラスチック材料は
ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどであ
る。更に本発明のパトローネは、各種の帯電防止剤を含
有してもよい。帯電防止剤は特に限定されないが、カー
ボンブラック、金属酸化物粒子、ノニオン、アニオン、
カチオン及びベタイン系界面活性剤又はポリマー等を好
ましく用いることができる。これらの帯電防止されたパ
トローネとして特開平1−312537号、同1−31
2538号、に記載されている。
【0119】特に25℃、25%RHでの抵抗が1012
Ω以下が好ましい。通常パトローネは、遮光性を付与す
るためにカーボンブラックや顔料などを練り込んだプラ
スチックを使って製作される。パトローネのサイズは現
在のままでもよいし現在の25m/mのカートリッジの
径を22m/m以下、好ましくは20m/m以下、14
m/m以上とするとカメラの小型化に有効である。
【0120】パトローネのケースの容積は、30cm3
下好ましくは25cm3 以下さらに好ましくは20cm3
下とすることが好ましい。パトローネおよびパトローネ
ケースに使用されるプラスチックの重量は1g以上25
g以下好ましくは5g以上15g以下である。
【0121】パトローネケースの内容積とパトローネお
よびパトローネケースに使用されるプラスチックの比率
は4〜0.7好ましくは3〜1である。
【0122】本発明における好ましい135カラー感材
を内蔵したパトローネの場合、パトローネおよびパトロ
ーネケースに使用されるプラスチックの総重量は通常1
g以上25g以下、好ましくは5g以上15g以下であ
る。本発明のパトローネは、その形態について特に制限
されない。
【0123】本発明の感材を内蔵したパトローネに適合
する新たなカメラに用いる事が好ましくこれらの具体的
なパトローネを図1に、更に内部構造については図2〜
図4へ、後述する磁気記録トラックは図5に挙げる。ま
た、このフィルムの断面図を図6に挙げた。さらに本発
明で用いられるスプールを回転してフィルムを送り出す
パトローネについて記す。そのパトローネの例として特
願平1−21862号に記載のパトローネが挙げられ
る。
【0124】図7および図8に本発明に使用するパトロ
ーネを示す。写真フィルムパトローネ120はスプール
101、スプール101に一端を係止してスプール10
1にロール状に巻かれた写真フィルム102及びパトロ
ーネ本体103からなる。スプール101はパトローネ
本体103内部に軸線回りに回転可能に取り付けられ、
パトローネ本体103外部から回転させることができ
る。パトローネ本体103には写真フィルム102を引
き出すための写真フィルム引き出し口104が設けられ
ており、この写真フィルム引き出し口104の内面には
パトローネ本体103内部を遮光状態に保つ遮光部材1
04aが取り付けられている。
【0125】この写真フィルムパトローネ120におい
ては、パトローネ本体103の内面に沿って円周方向に
延び、フィルム幅の15〜20%程度の幅を有する一対
のリブ108がフィルム102の幅方向の両端部に設け
られている。リブ108は写真フィルム102をフィル
ム引き出し口104から引き出すことができるようにフ
ィルム引き出し口104の方向に開口している。また、
フィルム102の先端106は写真フィルム引き出し口
104の先端107に合わせて配置されている。
【0126】リブ108はフィルム102の最外周面に
当接してロール状に巻かれたフィルム102を最外周面
から押圧してフィルム102がスプール101に密に巻
かれた状態を維持する。
【0127】スプール101の外径は次のように決定さ
れる。フィルム最内周面102aをスプール101外周
に接触させたまま、フィルム102をスプール101に
ロール状に密に巻くことは前述の通り困難である。この
ため、フィルム最内周面102aとスプール101との
間に隙間ができることを避けることができない。前述の
ように、フィルム最内周面102aとスプール101と
の間隔hが大きすぎると、図9に示したようなフィルム
102の反転現象を生じる。このため、スプール101
の外径はフィルム最内周面102aとスプール101と
の間に隙間ができたときの両者の間隔hが2mm以下とな
るように設定する。すなわち、スプールの外径aは、パ
トローネ本体内径をb、リブの厚さをt、フィルムの厚
さをc、フィルム長さによって変わるロールの巻き数を
dとすれば、 b/2=a/2+h+c・d+t であるので、 a/2=b/2−t−h−c・d となる。間隔hは h=b/2−a/2−c・d−t であるので、h≦2mmとする場合のスプールの外径aは b/2−t−c・d−2≦a/2 となる。
【0128】間隔hを2mm以下とすることにより、スプ
ール回転トルクを0.8kgf・cm以下に設定すれば、
写真フィルム2の反転現象を防止することができる。リ
ブ108はパトローネ本体103の内面に沿って円周方
向全体に設けることは必要ではなく、パトローネ本体1
03の内面の円周方向の一部にのみ設けてもよい。ま
た、本実施例のようにフィルム102の幅方向の両端部
においてのみ設けることの他、フィルム102の幅方向
全体にわたって設けてもよい。
【0129】リブ108の材質は、例えばプラスチック
等のようなフィルム102を傷つけにくいものを選ぶ
(但し完璧ではない)。この場合、例えばウレタンのよ
うにある程度の弾性を有する部材を選んでもよい。フィ
ルム102をスプール101に密に巻いた状態でパトロ
ーネ本体103に装填するときに、ウレタンからなるリ
ブ108が収縮するようにリブ108の厚さを決定すれ
ば、収縮したリブ108の弾性力によってフィルム10
2のロールの外周が押圧されるので、フィルム102を
相当程度の長さ引き出してフィルム102のロールの外
径が小さくなってもフィルム102を密に巻いた状態を
維持することができる。
【0130】なおフィルム引き出し口の遮光方法は任意
である。従来のように「テレンプ」とよばれるフェルト
状の遮光部材を設けてもよく、またフィルム引き出し口
を開閉可能に形成して必要時以外は閉じた状態に保って
おくようにしてもよい。また、フィルム102の先端1
06は必ずしもフィルム引き出し口104の先端107
に合わせて配置する必要はなく、パトローネ本体103
内部に収納されていればよいが、フィルム引き出し口1
04内に収納されていることが望ましい。
【0131】更に叉、特願平1−172594号記載の
パトローネも挙げることができる。これらはスプールフ
ランジを変形させてフィルムロール最外周部の端面も押
圧しながらスプールを回転させることによりフィルムを
送り出す形式である。この写真フィルムパトローネを分
解した状態を示す図10において、写真フィルムパトロ
ーネ201は、写真フィルム205をロール状に巻き回
したスプール206と、これを収納するパトローネ本体
207と、スプール206を回動自在に支持するととも
に、パトローネ本体207を側方から光密に閉じる側板
208,209とから構成される。
【0132】前記スプール206は、可撓性を有するよ
うに厚みを薄く形成したフランジ206aと、厚く形成
した可撓性のないフランジ206bとを備え、プラスチ
ックで一体に形成されている。写真フィルム205は、
その終端部がフランジ206a,206b間のスプール
206に固定され、それぞれの端面をフランジ206
a,206bの内側に沿わせるようにスプール206に
ロール状に巻かれており、先端まで完全にパトローネ本
体207内に巻き込まれている。前記パトローネ本体2
07には、遮光用のテレンプ211が接合されたフィル
ム出入り口212が設けられている。
【0133】前記側板208の中央部には、スプール2
06の端部206c(図11参照)を回動自在に支持す
る軸受け開口208aが設けられ、また内壁面にはフラ
ンジ206aの一部を押圧する突条部208bが設けら
れている。前記側板209の中央部には、スプール20
6の端部206dを回動自在に支持する軸受け開口20
9aが設けられ、その近傍には、側板209の内壁面と
フランジ206bとの摩擦を軽減するための突起209
b(図11参照)が設けられている。
【0134】写真フィルムパトローネ201の断面図を
示す図9において、突条部208bと突起209bとの
内側寸法はフランジ206a,206bの外側寸法より
小さくなるように設定されており、突条部208bはフ
ランジ206aを押圧して変形させる。これよにって、
内側よりも、外側の写真フィルム205の端面がより強
くフィルム206a,206bに挟持される。したがっ
て、スプール206を図10に示す矢印A方向に回転さ
せれば、フランジ206a,206bと写真フィルム2
05端面との摩擦係合によって、写真フィルム205の
先端部205aはフィルム出入り口212からパトロー
ネ本体207の外部へ送り出される。
【0135】また、以上の構成においても、突条部20
8bと突起209bとの内側寸法をフランジ206a,
206bの外側寸法より大きくすることができる。その
場合は、カメラの部品にてスプール206をフランジ2
06bからフランジ206aの方向に押すことにより、
フランジ206a,206bの内側寸法が写真フィルム
205より小さくなって写真フィルム205の端面を押
圧可能となり、写真フィルム205をスプール206の
回転によってパトローネ本体207の外部に送り出すこ
とができる。
【0136】更に叉、US4834306号、同484
6418号、同4832,275号記載のパトローネを
好ましく使用される。(図12、13、14)それらの
例として図12に示すように、スプール75にロール状
に密に巻かれた写真フィルム76はその両端部において
一対のリング77a、77bによりスプール75に密に
巻かれた状態に保持される。カートリッジ本体78内部
にはリング77a、77bが嵌合する溝79a、79b
がカートリッジ本体78の軸方向に対して傾いた角度を
なすように形成されている。このため、図13、図14
に示すように、リング77a、77bはカートリッジ本
体78内部では、スプール75の軸に対して傾いた角度
で写真フィルム76のロールの外周に当接し、写真フィ
ルム76の巻きゆるみを防止している。リング77a、
77bは溝79a、79b内を摺動しながら、溝79
a、79bに沿って回転可能である。
【0137】写真フィルム76はリング77a、77b
によってスプール75にロール状に密に巻かれた状態を
保っているため、スプール75をフィルム巻き方向と逆
の方向に回転させると、写真フィルム76は写真フィル
ム引き出し口(図示せず)から送り出される。次にこの
システムの第2の特徴について述べる。これは、写真フ
ィルム中に磁気記録層を有していることであり、ここに
種々の情報を記入できることである。
【0138】従来写真感材はカメラ撮影時の各種の情報
(例えば、撮影日、天候、拡大比、プリント枚数など)
を入力することはほとんど不可能であり、わずかに光学
的に撮影日を入力できるのみであった。叉、プリント時
においても感材自身への情報入力は全く不可能であり、
高速かつコストダウンへの大きな障害となっている。感
材へ各種の情報を入力することは、今後のカメラの操作
性アップ及びより簡易化を進める上で非常に重要な手段
である。その情報入力手段として磁気記録方法は任意に
入・出力ができること叉安価であることから重要であり
従来も研究されてきた。
【0139】例えば、磁気記録層に含有される磁化性粒
子の量、サイズなどの適切な選択によって、撮影時感材
に必要な透明性を有し、さらに粒状度への悪影響を与え
ない磁気記録層を透明な支持体を有する感材のバック面
に設けることは、米国特許第3782947号、同42
79945号、同4302523号などに記載されてい
る。叉、この磁気記録層への信号入力方式が世界公開9
0−4205号、同90−04212号などに開示され
ている。
【0140】これらの磁気記録層の付与及び入出力法に
よって従来困難であった各種の情報を感材中に組み込む
ことが可能となり、例えば撮影の日時、天候、照明条
件、縮小/拡大比等の撮影時の条件、再プリント枚数、
ズームしたい箇所、メツセツジ等の現像、プリント時の
条件等を感材の磁気層に入出力できるようになった。更
に叉、テレビ/ビデオ映像へ感材から直接出力して画像
とする場合の信号入出力手段としても応用できるという
将来性を有するものである。
【0141】このような磁気記録層を有する写真感材
は、次のようにして作ることができる。まず、前述の方
法に従って、共押出し法または、キャスト法により、一
軸あるいは二軸延伸とを組合せて、Tgが63℃以上の
ポリエステルと吸水性を有するポリマーの積層フィルム
を形成させる。このようにして得られた支持体上に磁気
記録層を塗設する。塗設は全面に透明に行っても良く、
またストライプ状に透明又は不透明に行ってもよい。
【0142】この磁気記録用磁性体層に用いられる強磁
性体としては、強磁性体酸化鉄、Co含有強磁性酸化
鉄、強磁性二酸化クロム、強磁性金属、強磁性合金、バ
リウムフェライトなどが使用できる。強磁性合金の例と
しては、金属分が75wt%以上であり、金属分の80
wt%以上が少なくとも一種類の強磁性金属あるいは合
金(Fe、Co、Ni、Fe−Co、Fe−Ni、Co
−Ni、Co−Fe−Niなど)であり、該金属分の2
0wt%以下で他の成分(Al、Si、S、Sc、T
i、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Y、Mo、Rh、P
d、Ag、Sn、Sb、B、Ba、Ta、W、Re、A
u、Hg、Pb、P、La、Ce、Pr、Nd、Te、
Biなど)を含むものをあげることができる。また、上
記強磁性金属分が少量の水、水酸化物、または酸化物を
含むものであってもよい。
【0143】これらの強磁性体の製法は既知であり、本
発明で用いられる強磁性体についても公知の方法にした
がって製造することができる。強磁性体の形状・サイズ
は特に制限なく広く用いることができる。形状としては
粉末の場合は針状、米粒状、球状、立方体状、板状等い
ずれでもよいが針状、板状が電磁変換特性上好ましい。
結晶子サイズ、比表面積もとくに制限はないが、結晶子
サイズ400Å以下、SBET で20m2/g以上が好まし
く、30m2/g以上がとくに好ましい。強磁性粉末のp
H、表面処理はとくに制限なく用いる事ができる(チタ
ン、珪素、アルミニウム等の元素を含む物質で表面処理
されていてもよいし、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エ
ステル、ホスホン酸、燐酸エステル、ベンゾトリアゾー
ル等の含チッ素複素環をもつ吸着性化合物の様な有機化
合物で処理されていてもよい)。好ましいpHの範囲は5
〜10である。強磁性体酸化鉄微粉末の場合、2価の鉄
/3価の鉄の比に特に制限されることなく用いることが
できる。
【0144】透明支持体1m2あたりの強磁性微粉末の含
有量は、4×10-4〜3g、好ましくは10-3〜2g、
より好ましくは4×10-3〜1gである。本発明に用い
られる磁気記録層の結合剤(バインダー)は従来、磁気
記録媒体用の結合材として使用されている公知の熱可塑
性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、反応型樹脂
およびこれらの混合物使用することができる。但し蒸着
の場合は不用である。
【0145】上記樹脂のTgは−40℃〜150℃、重
量平均分子量は1万〜30万、好ましくは1万〜10万
である。上記熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル・酢酸
ビニル共重合体、塩化ビニル、酢酸ビニルとビニルアル
コール、マレイン酸および/またはアクリル酸との共重
合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニ
ル・アクリロニトリル共重合体、エチレン・酢酸ビニル
共重合体などのビニル系共重合体、ニトロセルロース、
セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセ
テートブチレート樹脂などのセルロース誘導体、アクリ
ル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラ
ール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテ
ルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹
脂、アミノ樹脂、スチレンブタジエン樹脂、ブタジエン
アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹
脂、フッ素系樹脂、あるいは生分解性を有するバインダ
ーを挙げることができる。
【0146】叉放射線硬化型樹脂としては上記熱可塑性
樹脂に放射線硬化官能基として炭素−炭素不飽和結合を
有する基を結合させたものが用いられる。好ましい官能
基としてはアクリロイル基、メタクリロイル基などがあ
る。以上列挙の結合剤分子中に、極性基(エポキシ基、
CO2 M、OH、NR2 、NR3 X、SO3 M、OSO
3 M、PO3 2 、OPO3 2 、ただしMは水素、ア
ルカリ金属またはアンモニウムであり、一つの基の中に
複数のMがあるときは互いに異なっていてもよい、Rは
水素またはアルキル基である)を導入してもよい。
【0147】以上列挙の高分子結合剤は単独または数種
混合で使用され、イソシアネート系の公知の架橋剤、お
よび/あるいは放射線硬化型ビニル系モノマーを添加し
て硬化処理することができる。また、本発明の磁気記録
層に親水性バインダーを使用できる。使用する親水性バ
インダーとしては、リサーチ・ディスクロージャーNo.
17643、26頁、および同No. 18716、651
頁に記載されており、水溶性ポリマー、セルロースエス
テル、ラテックスポリマー、水溶性ポリエステルなどが
例示されている。水溶性ポリマーとしては、ゼラチン、
ゼラチン誘導体、カゼイン、寒天、アルギン酸ソーダ、
でんぷん、ポリビニールアルコール、ポリアクリル酸共
重合体、無水マレイン酸共重合体などであり、セルロー
スエステルとしてはカルボキシメチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロースなどである。ラテックスポリマ
ーとしては塩化ビニル含有共重合体、塩化ビニリデン含
有共重合体、アクリル酸エステル含有共重合体、酢酸ビ
ニル含有共重合体、ブタジエン含有共重合体などであ
る。この中でも最も好ましいのはゼラチンである。
【0148】ゼラチンは、その製造過程において、ゼラ
チン抽出前、アルカリ浴に浸漬される所謂アルカリ処理
(石灰処理)ゼラチン、酸浴に浸漬される酸処理ゼラチ
ンおよびその両方の処理を経た二重浸漬ゼラチン、酵素
処理ゼラチンのいずれでもよい。必要に応じて一部分を
コロイド状アルブミン、カゼイン、カルボキシメチルセ
ルローズ、ヒドロキシエチルセルローズなどのセルロー
ス誘導体、寒天、アルギン酸ソーダ、デンプン誘導体、
デキストランなどの糖誘導体、合成親水性コロイド、た
とえばポリビニルアルコール、ポリN−ビニルピロリド
ン、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリルアミドまた
はこれらの誘導体、部分加水分解物、ゼラチン誘導体な
どをゼラチンと併用してもよい。
【0149】ゼラチンを含む磁気記録層を硬膜するのは
好ましく、磁気記録層に使用できる硬膜剤としては、た
とえば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如き
アルデヒド系化合物類、ジアセチル、シクロぺンタンジ
オンの如きケトン化合物類、ビス(2−クロロエチル尿
素)、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5
−トリアジン、そのほか米国特許第3,288,775
号、同2、732,303号、英国特許第974,72
3号、同1,167,207号などに記載されている反
応性のハロゲンを有する化合物類、ジビニルスルホン、
5−アセチル−1,3−ジアクリロイルヘキサヒドロ−
1,3,5−トリアジン、そのほか米国特許第3,63
5,718号、同3,232,763号、英国特許第9
94,869号などに記載されている反応性のオレフィ
ンを持つ化合物類、N−ヒドロキシメチルフタルイミ
ド、その他米国特許第2,732,316号、同2,5
86,168号などに記載されているN−メチロール化
合物、米国特許第3,103,437号等に記載されて
いるイソシアナート類、米国特許第3,017,280
号、同2,983,611号等に記載されているアジリ
ジン化合物類、米国特許第2,725,294号、同
2,725,295号等に記載されている酸誘導体類、
米国特許第3,091,537号等に記載されているエ
ポキシ化合物類、ムコクロル酸のようなハロゲンカルボ
キシアルデヒド類をあげることができる。あるいは無機
化合物の硬膜剤としてクロム明バン、硫酸ジルコニウ
ム、特公昭56−12853号、同58−32699
号、ベルギー特許825,726号、特開昭60−22
5148号、特開昭51−126125号、特公昭58
−50699号、特開昭52−54427号、米国特許
3,321,313号などに記載されているカルボキシ
ル基活性型硬膜剤などを例示できる。硬膜剤の使用量
は、通常乾燥ゼラチンに対して0.01〜30重量%、
好ましくは0.05〜20重量%である。
【0150】次に磁性体層に用いられる酸、アルカリ分
解性バインダーあるいは生分解性バインダーについて記
す。まず酸、又はアルカリ分解性バインダーとしては、
酸性、又はアルカリ性条件下(一般に水溶液又は水混和
性有機溶媒)で長時間(1時間以上)処理でその溶解性
が急激に向上し支持体から遊離するもの、あるいは酸
性、又はアルカリ性条件下で化学的に分解して支持体か
ら遊離するものであれば特に限定されない。これらのバ
インダーで好ましいのは、セルロース誘導体類(モノア
セチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセ
ルロースなど)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類
(例えば、エステル残基としてヒドロキシアルキル−又
はアリル基(例えばヒドロキシエチル、ヒドロキシエチ
ルフェニル)、カルボキシアルキル−又はアリル基(例
えばカルボキシエチル、カルボキシフェニルなど)、ア
ミノアルキル−又はアリル基(例えばアミノエチル、ア
ミノエチルフェニルなど)など)、ポリ(メタ)アクリ
ルアミド類(例えば、ポリ(N,N−ジヒドロキシエチ
ルアクリルアミド)など)を挙げることができる。
【0151】次に生分解性バインダーとして好ましいの
は、ポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)、ポリカプ
ロラクトン、スターチ、スターチ含有ポリマー(ポリエ
チレン、ポリプロピレン)などを挙げることができ、よ
り好ましいのはポリ(3−ヒドロキシバレート)、ポリ
(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシ
ブチレート)を主体とするポリマー、スターチ含有ポリ
エチレン、スターチ含有ポリプロピレンである。これら
は生分解性プラスチックス−海外動向調査報告書−(財
団法人バイオインダストリー協会発行1989年6月)
に詳細に記載されている。
【0152】本発明の酸・アルカリあるいは生分解性を
有するバインダーからなる磁性体層あるいは支持体側の
一層を形成するバインダー層を写真感材から除去して支
持体を回収する際に、バインダーの溶解性や分解性を促
進するために、写真感材を予め微細に裁断することが、
好ましく、更に分解するための処理浴を適度に加熱した
り攪拌したりあるいは空気を吹き込んだりすることは好
ましい。この時酸、アルカリあるいは生分解性バインダ
ーを有する写真感材を処理する場合は処理液を使用する
ことが一般的であるが、使用する溶媒は特に限定されな
く例えば水、アルコール(メタノール、エタノール、プ
ロパノールなど)、ケトン(アセトン、メチルエチルケ
トン、アセトフェノンなど)が好ましくこれらの混合溶
媒であっても良い。
【0153】叉本発明で用いられる酸・アルカリ性を与
える化合物としては、好ましくは、塩酸、硫酸、硝酸、
リン酸、酢酸などの酸性化合物、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、ア
ンモニアなどのアルカリ化合物を挙げることができ、こ
の中でも特に塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウムが好ましい。更に生分解性バインダーを用いた場
合の感材の分解処理方法について記す。
【0154】本発明においては、回収された感材をまず
細かく裁断し、ゼラチン乳剤がある場合はゼラチン分解
酵素(例えばアミラーゼ)で処理してゼラチン乳剤層を
除去し、その後磁気記録層を除くために活性汚泥中で分
解するのが好ましい。この時用いられる活性汚泥は特に
限定されないが、例えば財団法人化学品検査協会化学品
安全センター(CBC)の標準活性汚泥を利用すること
ができる。これらは空気を吹き込んでかつ温度を20〜
35℃に保つことによってより分解速度を速めることが
できる。本発明の生分解性ポリマーを上記方法で分解す
るのに要する時間は長い程良いが本発明では回収効率を
考えると半日以上20日以内、より好ましくは1日以上
7日以内である。本発明の酸、アルカリあるいは生分解
性バインダーからなる磁性体層あるいは磁性体層より支
持体側の構成層中には、架橋剤を加えてもよく例えばエ
ポキシ系、イソシアネート系、シランカップリング系の
架橋剤を使用することができる。
【0155】磁気記録層の厚みは0.1μ〜10μ、好
ましくは0.2〜5μ、より好ましくは0.5μ〜3μ
である。本発明の磁気記録層は、感光材料の裏面に設け
るのが好ましい。磁気記録層は、透明支持体の裏面に塗
布又は印刷によって全面又はストライプ状に設けること
ができる。叉、磁化粒子を分散したポリマーの溶液と透
明支持体作成用のポリマーの溶液をストライプ状に共流
延して、磁気記録層を有する透明支持体を作成すること
も好ましい。この場合、2種類のポリマーの組成を実質
的に同一にするのが好ましい。
【0156】ストライプ状記録層の付与は、特開昭55
−151639号、特公昭55−31455号、同29
−4221号等に記載されている。この磁気記録層をス
トライプ状に塗布する方法としてはエアードクターコー
ト、ブレードコート、エアナイフコート、スクイズコー
ト、含浸コート、リバースロールコート、トランスファ
ーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャス
トコート、スプレイコート等が利用出来、その他の方法
も可能であり、これらの具体的説明は朝倉書店発行の
「コーティング工学」253頁〜277頁(昭和46.
3.20.発行)に詳細に記載されている。
【0157】このような方法により、支持体状に塗布さ
れた磁性層は必要により層中の磁性粉末を直ちに乾燥し
ながら配向させる処理を施したのち、形成した磁性層を
乾燥する。このときの支持体の搬送速度は、通常10m
/分〜500m/分でおこなわれ、乾燥温度が20℃〜
120℃で制御される。叉必要により表面平滑化加工を
施したりして、本発明の磁気記録体を製造する。これら
は、例えば、特公昭40−23625号公報、特公昭3
9−28368号公報、米国特許第3473960号明
細書、等にしめされている。叉、特公昭41−1318
1号公報にしめされる方法はこの分野における基本的、
且つ重要な技術と考えられる。
【0158】更に蒸着法でストライプ状に磁気記録層を
付与しても良くその場合強磁性鉄を用いて、非ストライ
プ部を何らかの方法でおおう事で達成できる。例えば、
非ストライプ部にテープを貼って蒸着させる方法、又は
蒸着装置に窓を付けてストライプ状に蒸着する方法など
を挙げることができる。これらは、例えば特開昭56−
139095号、同56−181479号、同60−1
57717号等の技術を応用すればよい。本発明のスト
ライプ状磁気記録層は、フィルムの画像以外の部分に存
在することが好ましくその本数は1本以上であればよく
例えば、フィルムの片方の端部に1本でもよく2本以上
でもよい。その場合1本は多量の磁気材料を有し不透明
で他方が少量の磁気材料を有したものでもよい。叉スト
ライプ状磁気記録層をフィルムの両端に有していてもよ
く1方が不透明で他方が透明であってもよい。透明スト
ライプ状磁気記録層とすることでこの上に光学的な記録
を付与することができ、従来の光学システムを損うこと
なく磁気記録層化できるというメリットを持たせること
ができる。叉、ストライプが透明であっても特に問題は
ない。
【0159】更に叉、本発明のストライプ状磁気記録層
を付与した場合、非ストライプ部はストライプ部に比べ
一般に陥没しているため種々の問題例えば感材が高温高
湿下に長時間保存された時の密着の悪化、ストライプ周
辺の写真性上の圧力カブリ、あるいは叉ストライプ端部
の粉落ち等の問題を生じる。この解決方法として、スト
ライプ状磁気記録層部と非ストライプ部を同一平面とす
ればよいことが挙げられる。すなわちストライプ状磁気
記録層以外の非ストライプ部にストライプ層と同一の厚
さの非磁気記録層を付与すればよい。この非磁気層部の
付与方法は、どのような方法を用いても良い。例えば、
磁気記録層を塗布、印刷、蒸着、転写などの方法でスト
ライプ状に感材に塗布した後、他の非磁気記録層を磁気
記録層と区別して後で塗設することで達成できる。
【0160】叉、磁気記録層と非磁気記録層を同時に付
与してもよく、例えば、同一平面に分割されたギーサー
を用いて磁気記録層用塗布液と非磁気記録層用塗布液を
交互に押し出してもよいし、グラビアコーターを用いる
場合は同様に交互に各々の塗布液を付与してもよい。更
に叉同一平面に塗布液を押し出す方法以外に異なる塗布
面に塗布液を押し出し分割してストライプを形成しても
よく、こうすることによって、ストライプ状磁気記録層
と非磁気記録層を同じ厚さとすることができる。
【0161】磁気記録層に、潤滑性向上、カール調節、
帯電防止、接着防止などの機能を合せ持たせてもよい
し、別の機能性層を設けて、これらの機能を付与させて
もよい。必要に応じて磁気記録層に隣接する保護層を設
けて耐傷性を向上させてもよい。磁気記録層を有する透
明支持体の裏面をカレンダリング処理して平滑性を向上
させ、磁気信号のS/N比を向上できる。この場合、カ
レンダリング処理を施した後に透明支持体上に感光層を
塗布するのが好ましい。
【0162】このようにして調製した磁気記録層を有す
る支持体上に、前述の、通常の形式の写真感材の調製法
と同様にして、接着性改良のための表面処理、感光性層
等の写真層との接着力を増すための下びき層の塗設、バ
ック層の塗設を必要に応じて実施する。この後、前述の
通常形式の写真感材と同様にして、感材層を塗設する。
写真感材層は、磁気記録層と反対の支持体面に塗設する
方が好ましい。
【0163】このようにして得られた感光材料は、カメ
ラやプリンターでフィルム搬送時に透明磁気記録層に信
号入力が容易にできるロール状のフィルムが本発明の感
光材料の好ましい形態である。このロール状フィルムに
おいては、画像露光部1駒の面積が350mm2 以上12
00mm2 以下とし、磁気的情報記録可能スぺースが、上
記の画像露光部1駒の面積の15%以上とするのが好ま
しい。具体的には、1画面あたりのパーフォレーション
の数を135フォーマットより少くするのが好ましい。
1駒あたりのパーフォレーションの数を4コ以下にする
のが特に好ましい。磁気的情報記録可能スぺースに、L
EDなどの発光体を使って光学的に情報を入力すること
もできる。該スぺースに、磁気的情報と光学的情報を重
ねて入力することも好ましい。磁気記録フォーマット
は、世界公開90−04205号に開示された方式に従
うのが好ましい。
【0164】この感光材料の現像処理は、前述の処理方
法と同様にして行うことができる。
【0165】このようにして調製した本発明の、Tgが
63℃以上のポリエステルと、吸水性を有するポリマー
とをそれぞれ少くとも1層以上積層してなることを特徴
とする支持体を用いることにより、現像処理後のカール
解消性にすぐれ、かつ耐熱性の高いハロゲン化銀写真感
光材料を達成することができた。
【0166】
【実施例】以下に具体的に例を示して本発明を説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。 (実施例1) 1)支持体の作成 吸水性を有するポリマーの合成 テレフタル酸ジメチル120重量部、エチレングリコー
ル46重量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメ
チル20重量部およびアジビン酸ジメチル14重量部
に、酢酸カルシウム0.1重量部および三酸化アンチモ
ン0.03重量部を添加し、常法によりエステル交換反
応を行った。得られた生成物にリン酸トリメチルエステ
ル0.05重量部を添加し、徐々に昇温、減圧にし、最
終的に280℃、1mmHg以下で重合を行い吸水性を有
する共重合ポリエステルを得た。以下、これを(重合体
A)称する。
【0167】Tgが63℃以上のポリエステルの調製 PETを、テレフタル酸とエチレングリコールを直重法
により合成した。得られた重合物の極限粘度は0.63
であった。
【0168】積層構造を有する支持体の作成(本発
明) PETおよび、(重合体A)を各々常法で乾燥した後3
つのリップを有する共押し出しダイを用いて押出した。
この共押出しダイの両端の2ケ所のリップは間隔を各
々、押出し後のフィルムが300μmになるように調整
し(重合体A)を、また、中央のリップは間隔を押出し
後の膜厚が600μmになるよう調整しここからはPE
Tを280℃で押し出した。さらにこの積層フィルムの
両面に、厚みが10μmとなるように、PETを280
℃でホットメルトエクストルジョン塗布を行った。
【0169】次いで、この積層フィルムを、90℃で縦
方向に3.5倍、95℃で横方向に3.7倍逐次延伸し
た後、200℃で5秒間固定した。
【0170】このようにして得られた支持体の総膜厚は
94μmであった。延伸前の総膜厚が1220μmであ
りこれが94μmとなっているため約13分の1に延伸
されたことになる。従ってこの積層フィルムは計算上、
表面からPET(0.8μm)/(重合体A)(23.
1μm)/PET(46.2μm)/(重合体A)(2
3.1μm)/PET(0.8μm)の5層構造を形成
していることになる。
【0171】表面から20μm以上深い所に吸水性を
有するポリマーが存在する支持体の作成(比較例−1) 上述の本発明の支持体作成に用いた共押出しダイを用い
て、両端の2つのリップ(フィルム膜厚が300μmと
なる様調整)からPETをまた中央のリップ(フィルム
膜厚が600μmとなるように調整)からは重合体Aを
押し出した。さらにこの積層フィルムの両面に、厚みが
10μmとなるように、PETを280℃でホットメル
トエクストルジョン塗布を行った。この後、本発明の支
持体作成時と全く同様にして、延伸、熱固定を行った。
このようにして得られた支持体の総膜厚は94μmであ
った。
【0172】この積層フィルムの層構成を上述のように
計算上求めると、表面からPET(23.9μm)/
(重合体A)(46.2μm)/PET(23.9μ
m)の3層構造となる。この支持体は、吸水性を有する
層(重合体A)が、表面から20μmよりも深い所にし
か存在しない。このフィルムを比較例−1とした。
【0173】片面にしか吸水性を有するポリマーが存
在しない支持体の作成(比較例−2) 上述の本発明の支持体作成に用いた共押出しダイを用い
て、一端のリップ(フィルム膜厚が300μmとなる様
調整)から(重合体A)を、また中央のリップ(フィル
ム膜厚が600μmとなるように調整)からはPETを
押し出した。さらに、もう一端のリップ(フィルム膜厚
が300μmとなる様に調整)からPETを押出した。
さらに、この積層フィルムの両面に厚みが10μmとな
る様に、PETをホットメルトエクストルジョン塗布を
行った。この後、本発明の支持体作成時と全く同様にし
て、延伸、熱固定を行った。このようにして得られた支
持体の総膜厚は94μmであった。
【0174】この積層フィルムの層構成を上述のように
計算上求めると、表面からPET(0.8μm)/(重
合体A)(23.1μm)/PET(70.1μm)の
3層構造となる。この支持体は、吸水性を有する層(重
合体A)が積層フィルムの片面にしか付いていない。こ
のフィルムを比較例−2とした。
【0175】重合体Aのみから成る支持体の作成(比
較例−3) 本発明の比較例として重合体Aのみから成る支持体を調
製した。(重合体A)を常法にて乾燥した後、280℃
で溶隔押し出しし、未延伸シートを作成した。次いで、
90℃で縦方向に3.5倍、95℃で横方向に3.7倍
逐次延伸した後、200℃で5秒間熱固定し、目的サン
プルを得た。厚みは92μmであった。
【0176】PET支持体の作成 本発明の比較例としてPETのみから成る支持体を調製
した。PETを常法で乾燥した後、280℃で溶隔、押
出しし次いで90℃で縦方向に3.5倍、95℃で横方
向に3.7倍逐次延伸した後、200℃で5秒間熱固定
して目的とするPETフィルムを得た。厚みは92μm
であった。
【0177】TAC支持体の作成 本発明の比較例として、TAC支持体を次の方法で得
た。セルローストリアセテート23重量部、トリフェニ
ルフォスフェート2.3重量部、ビフェニルジフェニル
フォスフェート1.3重量部、メチレンクロライド6
5.7重量部、メタノール2.7重量部及びブタノール
4.8重量部から成る塗布液を流延バンド上で塗布、乾
燥させて、厚さ92μmのTACフィルムを得た。
【0178】2)支持体の評価 機械強度・透明性 透明性、破断強度及び初期弾性率は以下の条件で測定し
た。透明性フィルムのヘイズをASTN−D1003−
52に従って測定した。破断強度および初期弾性率:J
IS−Z1702−1976に準じて、幅10mm、長さ
100mmの短冊片で、引張り速度は破断強度の測定の際
には300mm/分、初期弾性率は20mm/分で測定し
た。
【0179】この結果を表2に示した。このように本発
明の積層フィルムは、十分な透明性を有し、かつほぼP
ET並みの機械強度を有していた。
【0180】
【表2】
【0181】カール回復率の測定 本発明の積層フィルムと(重合体A)のみから成るフィ
ルム、上述のPET、TACフィルムについて、その含
水率とカール回復率を次の方法で測定した。 〔カールの評価方法〕サンプルサイズ12cm×35mmの
フィルムを直径10mmの巻芯に巻き、60℃×30%R
H×72hrの処理を行い、その後、巻芯から解放し4
0℃の蒸留水に15分間浸漬後、50gの荷重をかけ5
5℃の空気恒温槽で3分間乾燥しサンプルを垂直に吊
し、サンプル長さを測定し元の12cmのサンプル長にど
れだけ回復したかを評価した。
【0182】〔含水率の測定〕サンプルフィルムを23
℃×30%RH×3hr調湿後23℃の蒸留水に15分
間浸漬し、この後微量水分計(たとえば、三菱化成
(株)製CA−02型)を用いて150℃で行った。
【0183】この結果を表2に示した。本発明の積層フ
ィルムは、この条件下で十分に吸水し、ほぼTAC並み
にカール回復し良好な結果を得た。これに対し比較例−
1のサンプルでは、表面から20μm以内に吸水性を有
する(重合体A)が存在しないため、ほとんど吸水せ
ず、カール回復もほとんど行なわれていない。また、比
較例−2のサンプルでは、片面にしか吸水性を有する
(重合体A)が存在しないため、吸水性も低く、かつ巻
きぐせ回復も少くなっている。
【0184】耐熱性の評価 本発明の積層フィルムと(重合体A)のみから成るフィ
ルム、および上述のPET、TACフィルムについて、
耐熱性を熱変形および熱収縮の2つの観点で評価した。
【0185】〔熱収縮の測定〕サンプルサイズ35mm×
12cmに裁断後、25℃×60%RH×24hr調湿し
た後150℃×30 min、空気恒温槽中で熱処理を行
う。これを25℃×60%RH×24hr調湿した後、
長手方向の長さを測り、熱収縮を評価する。
【0186】〔熱変形の測定〕サンプルサイズ35mm×
12cmに裁断後、直径25mmの巻き芯に巻き付けマイラ
ーテープで止める。これを150℃×30分熱処理し、
目視でフィルムの凹凸をヘイズをASTN−D1003
−52に従って測定した。これらの結果を表2に示し
た。表2から明らかなように、(重合体A)のみから成
るフィルムでは大きく劣っていた耐熱性も、本発明によ
りほぼPET並みにまで良化した。また、(重合体A)
のみから成るフィルムでは、表面にオリゴマーが析出し
フィルムにヘイズが生じるが、本発明の積層フィルムで
は、フィルム最表層に、下層の(重合体A)層の吸水性
を低下させない程度に薄くPET層を設けているため
に、(重合体A)から表面へのオリゴマーの析出を防止
し、クリアーな膜を得ている。
【0187】3)感光材料の作成 上述の本発明積層フィルム、比較例1〜3、PET、T
AC6種類の支持体上に、写真感光層を塗設し比較検討
した。
【0188】3−1)下びき層の塗設 上記6種類の支持体のその両面にコロナ放電処理した
後、下記組成の下びき層を設けた。コロナ放電処理の程
度は、0.02KVA・分/m2であった。 ゼラチン 3g 蒸留水 250cc ソジウムα−スルホジ−2−エチルヘキシルサクシネート 0.05g ホルムアルデヒド 0.02g
【0189】3−2)帯電防止層の塗設 上記6種類の各フィルムの片面に下記組成のバック層を
塗設した。 〔酸化スズ−酸化アンチモン複合物分散液の調製〕塩化
第二スズ水和物230重量部と三塩化アンチモン23重
量部をエタノール3000重量部に溶解し均一溶液を得
た。この溶液に1Nの水酸化ナトリウム水溶液を前記溶
液のpHが3になるまで滴下し、コロイド状酸化第二スズ
と酸化アンチモンの共沈澱を得た。得られた共沈澱を5
0℃に24時間放置し、赤褐色のコロイド状沈澱を得
た。赤褐色コロイド状沈澱を遠心分離により分離した。
過剰なイオンを除くため沈澱に水を加え遠心分離によっ
て水洗した。この操作を3回繰り返し過剰イオンを除去
した。過剰イオンを除去したコロイド状沈澱200重量
部を水1500重量部に再分散し、600℃に加熱した
焼成濾に噴霧し、青味がかった平均粒径0.2μの酸化
スズ−酸化アンチモン複合物の微粒子粉末を得た。この
微粒子粉末の比抵抗は25Ω・cmであった。
【0190】上記微粒子粉末40重量部と水60重量部
の混合液をpH7.0に調製し、攪拌機で粗分散の後、横
型サンドミル(商品名ダイノミル;WILLYA.BA
CHOFEN AG製)で滞留時間が30分になるまで
分散して調製した。
【0191】下記処方〔A〕を乾燥膜厚が0.3μにな
るように塗布し、130℃で30秒間乾燥した。この上
に更に下記の被覆層用塗布液(B)を乾燥膜厚が0.1
μになるように塗布し、130℃で2分間乾燥した。 〔処方A〕 ・導電性微粒子分散液 10重量部 ・ゼラチン 1重量部 ・水 27重量部 ・メタノール 60重量部 ・レゾルシン 2重量部 ・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.01重量部 〔被覆層用塗布液(B)〕 ・セルローストリアセテート 1重量部 ・アセトン 70重量部 ・メタノール 15重量部 ・ジクロルメチレン 10重量部 ・p−クロルフェノール 4重量部
【0192】3−3)磁気記録層の塗設 帯電防止層に塗設後に下記組成の磁性体含有物をグラビ
アコーターを用い、塗布厚1.0μmになるように各サ
ンプルに塗布した後90℃にて10分間乾燥し磁気記録
層を塗設した。 ・コバルトドープ酸化鉄微粉末(比表面積45m2/g) 1重量部 ( 〃 80m2/g) 1重量部 ・バリウムフェライト微粉末 (比表面積15m2/g) 2重量部 ( 〃 40m2/g) 2重量部 ・酢酸ブチル/塩化ビニル共重合体(モル比1:1) 20重量部 ・ポリウレタン樹脂 10重量部 ・トルエンジイソシアナート 40重量部 ・酢酸ブチル 100重量部 ・メチルエチルケトン 50重量部
【0193】3−4)すべり層の塗設 磁気記録層を塗設した後、下記組成のすべり層を、各サ
ンプルに塗設した。 ・ジアセチルセルロース 0.2g/m2 ・コロイダルシル(エアロジル) 0.02 〃 ・C1531COOC4081 0.02 〃 ・C2143COO(CH2 CH2 O)3 COC9 19 0.01 〃 ・ポリ(二フッ化ビニリデン/四フッ化ビニリデン) 0.01 〃 (モル比9:1) ・ポリ(メチルメタクリレート/ジビニルベンゼン) 0.03 〃 (モル比9:1、平均粒径1.0μm) ・シリカ(平均粒径1.0μm) 0.005 〃
【0194】得られたベースの抗磁力は1000 Oe
で角型化は0.6〜0.7であり世界公開70−042
05号に開示された信号入力方式が可能であることを確
認した。
【0195】3−5)感光材層の塗設 磁気記録層を有する面と逆の面に、特開昭2−9364
1号実施例1に記載の感光材料層と全く同様にして、感
光材料層を重層塗布し、多層カラー感光材料である試料
を各支持体について作成した。
【0196】3−6)サンプルの加工 各試料を35mm幅にスリットした後、36枚分の長さに
裁断し、図1に示したようなパトローネに入れた。この
後強制的に巻きぐせを付けるために、40℃で10日間
放置した。
【0197】3−7)現像処理 巻きぐせの付いた写真フィルムは次のようにして、現像
処理を行った。 処理工程 温 度 時 間 発色現像 38℃ 3分 停 止 38℃ 1分 水 洗 〃 1〃 漂 白 〃 2〃 水 洗 〃 1〃 定 着 〃 2〃 水 洗 〃 1〃 安定浴 〃 1〃 用いた処理液は次の組成を有する。 発色現像液 苛性ソーダ 2g 亜硫酸ソーダ 2g 臭化カリウム 0.4g 塩化ナトリウム 1g ホー砂 4g ヒドロキシルアミン硫酸塩エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム 2水塩 2g 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエ チル1アニリン・モノサルフェート 4g 水を加えて 全量1リットル 停止液 チオ硫酸ソーダ 10g チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 30ml 酢酸 30ml 酢酸ソーダ 5g カリ明ばん 15g 水を加えて 全量1リットル 漂白液 エチレンジアミン4酢酸鉄(III)ナトリウム・2水塩 100g 臭化カリウム 50g 硝酸アンモニウム 50g ホー酸 5g アンモニア水 pHを5.0に調節 水を加えて 全量1リットル 定着液 チオ硫酸ソーダ 150g 亜硫酸ソーダ 15g ホー砂 12g 氷酢酸 15ml カリ明ばん 20g 水を加えて 全量1リットル 安定浴 ホー酸 5g クエン酸ソーダ 5g メタホー酸ソーダ(4水塩) 3g カリ明ばん 15g 水を加えて 全量1リットル
【0198】4)写真感光材料の評価 4−1)巻きぐせの評価 現像処理後のカールの状況は、現像後25℃×60%R
H×3日調湿後カール値(=1/カールがえがく円弧の
直径)を測定した。通常のPETフィルムを支持体とす
る感光材料の場合は、巻きぐせがほとんど解消していな
かったが、本発明の積層体は、ほぼTACと同等のカー
ル回復を示した。また、比較例−1のように、吸水性を
有する(重合体A)の層が中に入ってしまうと、カール
回復はほとんどせず、また比較例−2のように、(重合
体A)層が片面にしか無いと、その効果も半減してしま
った。この結果を表3に示した。
【0199】
【表3】
【0200】4−2)熱収縮性の評価 現像処理後の写真フィルムを各々サンプルサイズ35mm
×12cmに裁断した。これを25℃×60%RH×24
hr調湿した後、150℃×30分空気恒温槽中で熱処
理を行った。これを25℃×60%RH×24hr調湿
した後、長手方向の長さを測り熱収縮を評価した。結果
を表3に示した。このように比較例−3のように(重合
体A)からのみ成るフィルムでは著しい熱収縮が生じた
が、本発明の積層フィルムでは、ほぼPET並みに良化
した。
【0201】4−3)熱変形性の評価 現像処理後の写真フィルムを各々サンプルサイズ35mm
×12cmに裁断した。これを50℃×30分空気恒温槽
で熱処理し、目視で、フィルムの凹凸を評価した。この
結果を表3に示した。本発明の積層フィルムを用いた場
合、凹凸はほぼPET並みであったが、(重合体A)の
みから成る比較例3は熱変形が著しかった。
【0202】4−4)機械的強度の評価 下記方法により、現像処理前の写真フィルムの機械強度
の評価を行った。 〔破断強度および初期弾性率〕JIS−Z1702−1
976に準じて、幅10mm、長さ100mmの短冊片で、
引張り速度は破断強度の測定の際には300mm/分、初
期弾性率は20mm/分で測定した。 〔引き裂き強度の測定〕軽荷重式引き裂き強度試験機
(東洋精機(株)製)を用いサンプルサイズ51×64
mmで13mmの切れ込みを入れ残り51mmを引き裂いた時
の指示値を読み取った。この結果を表3に示した。この
ように本発明の積層フィルムは、PET並みの高い機械
的強度を有していた。
【0203】このように、本発明の吸水性を有するポリ
マーとTgが63℃を越えるポリエステル(本実施例で
はPET)を積層したフィルムを用いることで、TAC
並みの巻きぐせ回復性と、PET並みの高い機械的強度
と耐熱性を有した優れた写真感光材料を達成することが
できた。
【0204】(実施例2) 1)写真感光材料の作成 実施例1で用いた本発明の積層フィルム、比較例1〜
3、PET、TAC上に、実施例1の方法に従って、下
びき層の塗設、帯電防止層の塗設、すべり層の塗設、感
光層の塗設を行った。但し本実施例では、磁気記録層の
塗設は行なわなかった。
【0205】このようにして調製した各サンプルをまず
35mm幅にスリットした後、パーフォレーション加工を
行い、通常の135システムのパトローネに収納した。
この後、巻ぐせを付けるために、50℃で5日間放置し
た。
【0206】2)現像処理 実施例1と同様の方法で現像処理を行った。
【0207】3)写真感光材料の評価 実施例1と同様に、巻きぐせの回復性、熱収縮性、熱変
形、機械的強度の評価を行った。この結果を表4に示し
た。
【0208】
【表4】
【0209】このように、従来型のパトローネを用いた
写真システムに於ても、実施例1のような新規なパトロ
ーネシステムの場合と同様、良好な耐熱性、カール回復
性、機械強度が得られた。
【0210】
【発明の効果】本発明は、Tgが63℃以上のポリエス
テルフィルムと、吸水性を有するポリマーとを、少くと
も1層以上積層したものを支持体とし、この上に写真感
光層を付与して、写真感材とすることで、現像処理後、
巻きぐせ回復しかつ機械的強度、耐熱性にすぐれる写真
感材を作ることを可能とした。これより、カール解消性
は有するが、コストが高く、機械物性が弱いというTA
Cの欠点を打ち破る写真感材用フィルムを作ることがで
きた。この結果、従来巻きぐせ解消しないため、TAC
しか用いられなかった分野(例えば、カラーネガ、カラ
ーリバーサルフィルム)を、本発明の支持体に置き換え
ることができ、コストの低下、写真用ベースの強度アッ
プを図ることができた。また本発明中に記載したような
新パトローネシステムではさらにこの効果は著しく、T
ACに比べて大幅な強度アップと同時に、薄手化による
パトローネの小型化を行うことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る写真フィルムパトローネの斜視図
である
【図2】図1中の写真フィルムの先端部分の状態を示す
平面図
【図3】図1のパトローネの断面図
【図4】図1のパトローネの一部破断図
【図5】写真フィルムバック層の磁気記録トラック層の
平面図
【図6】写真フィルムバック層の磁気記録トラック層の
断面図
【図7】本発明に係る写真フィルムパトローネ側面図
【図8】同上の正面図
【図9】本発明に係る写真フィルムパトローネ側面図
【図10】本発明に係る写真フィルムパトローネ全体図
【図11】本発明に係る写真フィルムパトローネの内部
【図12】本発明に係る写真フィルムパトローネの外ケ
ース部
【図13】同上の内スプールと写真フィルムの状態図
【図14】同上の内部
【符号の説明】 1 写真フィルムパトローネ 2 スプール 3 写真フィルム 4 パトローネ本体 5 フィルム引き出し口 7 パーフォレーション 8 隆起部 9 突状部 10 孔 11 切り欠き 12 フィルム引き出し通路 13 段 部 14 乳剤構成層 15 支持体 16 透明磁性体層 17 帯電防止層+耐傷性層+潤滑層 18 1コマ分 19 パーフォレーション t−0〜t−1 磁気記録トラック f00〜f29 〃 120 写真フィルムパトローネ 101 スプール 102 写真フィルム 103 パトローネ本体 104 フィルム引き出し口 104a 遮光部材 106 フィルム先端 107 〃 108 リ ブ 102a フィルム最内周面 201 写真フィルムパトローネ 205 写真フィルム 206 スプール 206a フランジ 206b フランジ 206c 端 部 207 パトローネ本体 208 側 板 209 〃 208a 軸受け開口 209a 〃 208b 突条部 209b 〃 211 テレンプ 212 フィルム出入口 75 スプール 76 写真フィルム 77a リング 77b 〃 78 カートリッジ本体 79a 溝 79b 〃

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステルフィルム支持体上に少くとも
    1層の感光層を有してなる写真感光材料において、該ポ
    リエステルフィルムのTgが63℃以上のポリエステル
    と吸水性を有するポリマーとをそれぞれ少くとも1層以
    上積層してなることを特徴とするハロゲン化銀写真感光
    材料。
  2. 【請求項2】該吸水性を有するポリマーが、スルホン酸
    基、スルフィン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基、お
    よびこれらの塩、ポリアルキレンオキシ基、アルコキシ
    基、アルコキシカルボニル基、スルファモイル基、カル
    バモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ジス
    ルホンアミド基、ウレイド基、ウレタン基、アルキルス
    ルホニル基、アルコキシスルホニル基のうち、少くとも
    1つの官能基を有するポリマーであることを特徴とする
    請求項1記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  3. 【請求項3】該ポリエステル積層フィルムのTgが63
    ℃以上のポリエステルの両面に、吸水性を有するポリマ
    ーをそれぞれ少くとも1層以上積層してなり、かつ該ポ
    リエステル積層フィルムの少くとも一方の表面から20
    μmまでの深さの間に少くとも1層の吸水性を有するポ
    リマーの層が存在していることを特徴とする請求項1記
    載のハロゲン化銀写真感光材料。
  4. 【請求項4】パトローネ本体内に回転自在に設けられた
    スプールをフィルム給送方向に回転させることにより、
    スプールに巻き付けられたハロゲン化銀写真感光材料先
    端をパトローネ本体のフィルム引出口から外部に送り出
    すパトローネシステムを有し、かつ抗磁力400 Oe
    以上の磁性体層を少くとも片面に、全面あるいはストラ
    イプ状に有するハロゲン化銀写真感光材料において、該
    支持体のTgが63℃以上のポリエステルと吸水性を有
    するポリマーとをそれぞれ少くとも1層以上積層してな
    ることを特徴とする請求項1〜3記載のハロゲン化銀感
    光材料。
JP20711591A 1991-01-21 1991-01-21 ハロゲン化銀写真感光材料 Pending JPH05313302A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5404237A (en) * 1992-04-28 1995-04-04 Katsuse; Hirofumi Ferroelectric liquid crystal display having c2u alignment and the rewriting voltage<non-rewriting voltage

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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