JPH05312745A - 赤外線熱画像用投光装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 天候や方角等の善悪に拘らず、建物の壁面内
の剥離部分を容易に検出する。 【構成】 建物１の外壁２に赤外線５を照射する赤外線
ヒーター４と、赤外線５を照射されて加熱した外壁２の
正常部分と剥離部分の温度差を映像化する赤外線カメラ
６を配置する。また、この赤外線カメラ６で得られた映
像から壁面表面温度パターンを計算機シミューレーショ
ンで作成し、正常部分と剥離部分を色分けする。さらに
赤外線ヒーターの発光管と反射鏡を動作可能に構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建物の外壁面に貼着さ
れた外壁タイル等の密着度を映像化して診断する赤外線
熱画像用投光装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】建造物の外壁面に貼着された外壁タイル
が落下すると、通りすがりの一般市民に迄被害を及ぼす
ので、落下事故を未然に察知し、補修を加える必要があ
る。このため、従来から、外壁タイルの剥離の有無を診
断するため打音法、打撃法、反発法、超音波法、表面温
度法等の多くの方法が開発されているが、この内特に、
外壁面の熱輻射の分布から赤外線映像装置を用いて外壁
タイルの剥離個所を診断する表面温度法が脚光を浴びる
ようになっている。

【０００３】従来における壁面仕上材の剥離診断は特開
昭６１−６５２２１号公報に示されている如く、正常部
分の他に剥離部分を備えた建物の外壁仕上材に複数の反
射鏡で太陽光線を単に反射して加熱し、加熱された該外
壁仕上材の正常部分と剥離部分の表面温度を温度検出器
や赤外線放射温度映像装置等を使用して測定・診断して
いた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の壁面仕上材の剥
離診断は以上のようになされ、太陽光線を単に利用する
とともに、赤外線映像装置でタイルやモルタル等からな
る外壁仕上材の剥離を診断していたので、方角的・位置
的に太陽光線の当たらない外壁仕上材の剥離を診断する
ことは困難であった。

【０００５】本発明は上記に鑑みなされたもので、方角
的・位置的に太陽光線の当たらない外壁仕上材に赤外線
を照射して剥離部分を診断することのできる赤外線熱画
像用投光装置を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明においては上述の
目的を達成するため、建物の外壁に赤外線を照射する赤
外線ヒーターと、赤外線を照射されて加熱した建物の外
壁の正常部分と剥離部分との温度差を映像化する赤外線
カメラと、この赤外線カメラが映像化した映像を表示す
る表示装置とを備え、しかも、赤外線ヒーターを、赤外
線を照射する発光管と、この発光管の後方に配置され発
光管から照射された赤外線を反射して建物の外壁に照射
する反射鏡と、該発光管を移動させる移動機構と、発光
管と反射鏡を回転させる回転機構とから構成したことを
特徴としている。

【０００７】

【作用】本発明によれば、赤外線の照射スポットの形状
や照射位置を移動機構や回転機構により任意に変えるこ
とができるので、外壁の仕上材の剥離を明確に検出で
き、しかも、外壁全面の検査を可能ならしめることがで
きる。

【０００８】

【実施例】以下、図１〜図３に示す一実施例に基づき本
発明を詳述すると、図中、１は建物で、この建物１の外
壁２はタイルやモルタル等から構成され、その内部に
は、正常部分と剥離部分３とが存在する。

【０００９】４は地面に配置されて建物１の外壁２に赤
外線５を照射する単一の赤外線ヒーターで、この赤外線
ヒーター４は図３に示す如く、ベース４０の支持部４１
に水平に軸架された回動可能の横軸４２と、この横軸４
２に嵌入され後述する発光管４４を左右方向に進退動さ
せる移動機構４３と、この移動機構４３に水平に支持さ
れ赤外線５を照射する軸長の発光管４４と、該横軸４２
に嵌着されたブロック４５と、このブロック４５に取着
されて発光管４４の後方に位置し、発光管４４から照射
された赤外線５を反射して建物１の外壁２に照射する放
物形状の反射鏡４６と、該支持部４１に装着され横軸４
２を回転させる回転機構４７とから構成されている。

【００１０】６は地面に配置された赤外線カメラで、こ
の赤外線カメラ６は赤外線５を照射されて加熱した建物
１の外壁２の正常部分と剥離部分３の温度差を映像化す
る機能を有している。そしてこの赤外線カメラ６により
映像化された熱画像及び処理画像は図示しないＣＲＴ
（表示装置）の計算機シミュレーションによって温度パ
ターンで色分け表現され、この温度パターンの表示（図
２参照）に基づきオペレータが剥離部分６を目視判定す
る。尚、図２における７は外壁２に剥離部分３がない場
合のグラフ、８は外壁２に剥離部分がある場合のグラフ
である。

【００１１】従って、外壁２の仕上材の剥離診断を行う
には、まず、地面に赤外線ヒーター４と赤外線カメラ６
を配置した後、赤外線ヒーター４を動作させる。する
と、発光管４４から照射された赤外線５が反射鏡４６に
反射し、この反射した赤外線５が建物１の外壁２に照射
されて加熱する。この際、外壁２の仕上材を適当に温度
上昇させたい場合には、適切な赤外線エネルギー・適切
なスポット形状が必要となる。そのため、移動機構４３
により反射鏡４６の焦点近傍に配された発光管４４を進
退動（直動）させてスポット形状を適宜変えるようにす
る。この移動機構４３の動作により、外壁２の仕上材の
材質や構造に対し適切なスポット形状を設定して剥離部
分３の検出を容易ならしめることができる。

【００１２】さらに、外壁２の全体を診断するために、
外壁２に対しスポット形状を走査する必要がある。そこ
で、回転機構４７により横軸４２を、換言すれば、移動
機構４３、発光管４４、及び反射鏡４６を回転させて外
壁２全体の走査を可能とする。

【００１３】然してその後、赤外線カメラ６により、こ
の外壁２面の熱放射の映像をＣＲＴに温度パターンでカ
ラー表示し、この結果から外壁２の剥離部分３の有無を
診断する。

【００１４】上記構成によれば、天候や方角等に左右さ
れ易い太陽光線を利用するのではなく、赤外線５を利用
するので、天候や方角等の善悪に拘らず、外壁２の剥離
部分３の有無を診断することができる。また、赤外線５
の照射スポットの形状や照射位置を移動機構４３や回転
機構４７により任意に変えることができるので、複数の
反射鏡を使用しなくても単一の赤外線ヒーター４で、外
壁２の仕上材の剥離を明確に検出できるとともに、外壁
２全面の走査を可能ならしめることが可能となる。

【００１５】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、建物の
外壁に赤外線を照射する赤外線ヒーターと、赤外線を照
射されて加熱した建物の外壁の正常部分と剥離部分との
温度差を映像化する赤外線カメラと、この赤外線カメラ
が映像化した映像を表示する表示装置とを備え、しか
も、赤外線ヒーターを、赤外線を照射する発光管と、こ
の発光管の後方に配置され発光管から照射された赤外線
を反射して建物の外壁に照射する反射鏡と、該発光管を
移動させる移動機構と、発光管と反射鏡を回転させる回
転機構とから構成しているので、太陽光線の当たらない
外壁仕上材の剥離を明確な赤外線映像として把握するこ
とができるという効果がある。また、外壁全面の剥離の
検査を容易ならしめることができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る赤外線熱画像用投光装置の一実施
例を示す外観図である。

【図２】本発明に係る赤外線熱画像用投光装置の剥離部
分の検出のための概略構成図である。

【図３】本発明に係る赤外線熱画像用投光装置の赤外線
ヒーターを示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 建物 ２ 外壁 ３ 剥離部分 ４ 赤外線ヒーター ５ 赤外線 ６ 赤外線カメラ ４３ 移動機構 ４４ 発光管 ４６ 反射鏡 ４７ 回転機構

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建物の外壁に赤外線を照射する赤外線ヒ
   ーターと、赤外線を照射されて加熱した建物の外壁の正
   常部分と剥離部分との温度差を映像化する赤外線カメラ
   と、この赤外線カメラが映像化した映像を表示する表示
   装置とを備えた赤外線熱画像用投光装置において、上記
   赤外線ヒーターを、赤外線を照射する発光管と、この発
   光管の後方に配置され発光管から照射された赤外線を反
   射して建物の外壁に照射する反射鏡と、該発光管を移動
   させる移動機構と、発光管と反射鏡を回転させる回転機
   構とから構成したことを特徴とする赤外線熱画像用投光
   装置。