JPH05311406A - レーザ蒸着方法 - Google Patents
レーザ蒸着方法Info
- Publication number
- JPH05311406A JPH05311406A JP11617392A JP11617392A JPH05311406A JP H05311406 A JPH05311406 A JP H05311406A JP 11617392 A JP11617392 A JP 11617392A JP 11617392 A JP11617392 A JP 11617392A JP H05311406 A JPH05311406 A JP H05311406A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 基体に対する蒸着膜の密着強度を著しく高め
ることができるようにする。 【構成】 基板6の表面にレーザ蒸着によって蒸着膜を
形成させるに際し、基体6の表面をイオン衝撃によりク
リーニングした後、イオンビームエネルギを最大200
0eVまで上げ、引続いてレーザ蒸着を行い、イオン衝
撃を徐々に緩和していくことにより、基体6の新生面に
基体材料とターゲット材料とが傾斜的に変化した中間層
を形成する。
ることができるようにする。 【構成】 基板6の表面にレーザ蒸着によって蒸着膜を
形成させるに際し、基体6の表面をイオン衝撃によりク
リーニングした後、イオンビームエネルギを最大200
0eVまで上げ、引続いてレーザ蒸着を行い、イオン衝
撃を徐々に緩和していくことにより、基体6の新生面に
基体材料とターゲット材料とが傾斜的に変化した中間層
を形成する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、金属等の基体上にセ
ラミックスを蒸着するのに利用される蒸着方法に関し、
特に、レーザ光を加熱源とするレーザ蒸着方法に関する
ものである。
ラミックスを蒸着するのに利用される蒸着方法に関し、
特に、レーザ光を加熱源とするレーザ蒸着方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来のレーザ蒸着方法としては、例え
ば、図1に示す概略構造のレーザ蒸着装置を用いたレー
ザ蒸着方法がある。
ば、図1に示す概略構造のレーザ蒸着装置を用いたレー
ザ蒸着方法がある。
【0003】図1に示す概略構造のレーザ蒸着装置1に
おいて、2は真空などの減圧チャンバ、3はガス排出
口、4はターゲット、5はシャッタ、6は基板などの基
体、7はヒータ、8は光学窓、9はレーザ光、10はイ
オン源、11は電源、12はガス導入口である。
おいて、2は真空などの減圧チャンバ、3はガス排出
口、4はターゲット、5はシャッタ、6は基板などの基
体、7はヒータ、8は光学窓、9はレーザ光、10はイ
オン源、11は電源、12はガス導入口である。
【0004】このようなレーザ蒸着装置1を用いてレー
ザ蒸着を行うに際しては、まず、真空などの減圧チャン
バ2内に、アセトン中で超音波洗浄した基体6およびタ
ーゲット4を設置する。次いで、減圧チャンバ2内をガ
ス排出口3から10−4Pa台まで排気した後、基体6
をヒータ7により約380Kに加熱し、脱ガスを行う。
脱ガス後、基体6を所定の温度まで上げてその温度で保
持する。
ザ蒸着を行うに際しては、まず、真空などの減圧チャン
バ2内に、アセトン中で超音波洗浄した基体6およびタ
ーゲット4を設置する。次いで、減圧チャンバ2内をガ
ス排出口3から10−4Pa台まで排気した後、基体6
をヒータ7により約380Kに加熱し、脱ガスを行う。
脱ガス後、基体6を所定の温度まで上げてその温度で保
持する。
【0005】続いて、イオン源10で基体6のクリーニ
ングを行う。この場合の基体6に対するクリーニング方
法としては、2〜3SCCMのアルゴンガスまたは窒素
ガスをガス導入口12からイオン源10に注入し、イオ
ンビームエネルギ500eVのイオンを基体6に照射し
て、基体表面の酸化物等を除去する。そして、15分程
度経過したあとイオン源10を切り、ガス排出口3を通
して再び10−4Pa台まで排気する。
ングを行う。この場合の基体6に対するクリーニング方
法としては、2〜3SCCMのアルゴンガスまたは窒素
ガスをガス導入口12からイオン源10に注入し、イオ
ンビームエネルギ500eVのイオンを基体6に照射し
て、基体表面の酸化物等を除去する。そして、15分程
度経過したあとイオン源10を切り、ガス排出口3を通
して再び10−4Pa台まで排気する。
【0006】その後、レーザ光9を光学窓8を通してタ
ーゲット4に照射する。レーザ光9が照射されたターゲ
ット4は局部的に昇温し、ターゲット4の放線方向に蒸
発粒子13となって飛び出す、このとき、蒸着膜の組成
を化学量論比に近づけるため、再びイオン源10から基
体6にイオンビームエネルギ500eVの窒素イオンを
照射し、蒸着中に窒素をアシストする。
ーゲット4に照射する。レーザ光9が照射されたターゲ
ット4は局部的に昇温し、ターゲット4の放線方向に蒸
発粒子13となって飛び出す、このとき、蒸着膜の組成
を化学量論比に近づけるため、再びイオン源10から基
体6にイオンビームエネルギ500eVの窒素イオンを
照射し、蒸着中に窒素をアシストする。
【0007】ターゲット4の蒸発速度がほぼ一定になっ
たところで、シャッタ5を開けて蒸着を行う。そして、
蒸発粒子13は雰囲気中の窒素イオンを取り込みなが
ら、所定の温度に保持された基体6の表面で堆積し、蒸
着膜を形成する。
たところで、シャッタ5を開けて蒸着を行う。そして、
蒸発粒子13は雰囲気中の窒素イオンを取り込みなが
ら、所定の温度に保持された基体6の表面で堆積し、蒸
着膜を形成する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のレーザ蒸着方法にあっては、図2のオージェ
分析結果でも明らかなように、オーステナイト系ステン
レス鋼(SUS 304)よりなる基体と窒化ほう素
(BN)よりなる蒸着膜との境界がはっきり分かれてい
るため、基体と蒸着膜との密着強度が十分であるとは言
えず、密着強度の向上が最も大きな課題となっていた。
うな従来のレーザ蒸着方法にあっては、図2のオージェ
分析結果でも明らかなように、オーステナイト系ステン
レス鋼(SUS 304)よりなる基体と窒化ほう素
(BN)よりなる蒸着膜との境界がはっきり分かれてい
るため、基体と蒸着膜との密着強度が十分であるとは言
えず、密着強度の向上が最も大きな課題となっていた。
【0009】
【発明の目的】この発明は、上記した従来の課題にかん
がみてなされたものであって、基体とと蒸着膜との密着
強度を十分なものとすることが可能であって、蒸着膜の
剥離を生じがたいものとすることが可能であるレーザ蒸
着方法を提供することを目的としている。
がみてなされたものであって、基体とと蒸着膜との密着
強度を十分なものとすることが可能であって、蒸着膜の
剥離を生じがたいものとすることが可能であるレーザ蒸
着方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明に係わるレーザ
蒸着方法は、真空などの減圧チャンバ内に導入したレー
ザ光をターゲットに照射し、前記ターゲットを蒸発させ
て基体の表面に堆積させることにより蒸着膜を形成させ
るに際し、基体の表面をイオン衝撃によりクリーニング
した後、イオンビームエネルギを最大2000eVまで
上げ、引続いてレーザ蒸着を行い、イオン衝撃を徐々に
緩和していくことにより、基体の新生面に基体材料とタ
ーゲット材料とが傾斜的に変化した中間層を形成する構
成としたことを特徴としている。
蒸着方法は、真空などの減圧チャンバ内に導入したレー
ザ光をターゲットに照射し、前記ターゲットを蒸発させ
て基体の表面に堆積させることにより蒸着膜を形成させ
るに際し、基体の表面をイオン衝撃によりクリーニング
した後、イオンビームエネルギを最大2000eVまで
上げ、引続いてレーザ蒸着を行い、イオン衝撃を徐々に
緩和していくことにより、基体の新生面に基体材料とタ
ーゲット材料とが傾斜的に変化した中間層を形成する構
成としたことを特徴としている。
【0011】本発明に係わるレーザ蒸着方法においても
図1に示す概略構造のレーザ蒸着装置1を用いることが
可能であり、先に説明したと同様に、2は真空などの減
圧チャンバ、3は減圧チャンバ2内を排気するガス排出
口、4は蒸着膜の素材成分を含むターゲット、5はシャ
ッタ、6は蒸着膜が形成される基板などの基体、7は基
体6を加熱するためのヒータ、8はレーザ光9を導入す
るための光学窓、10はイオン源、11は電源、12は
ガス導入口である。
図1に示す概略構造のレーザ蒸着装置1を用いることが
可能であり、先に説明したと同様に、2は真空などの減
圧チャンバ、3は減圧チャンバ2内を排気するガス排出
口、4は蒸着膜の素材成分を含むターゲット、5はシャ
ッタ、6は蒸着膜が形成される基板などの基体、7は基
体6を加熱するためのヒータ、8はレーザ光9を導入す
るための光学窓、10はイオン源、11は電源、12は
ガス導入口である。
【0012】このようなレーザ蒸着装置1を用いてレー
ザ蒸着を行うに際しては、まず、真空などの減圧チャン
バ2内に、アセトン中で超音波洗浄した基体6およびタ
ーゲット4を設置する。次いで、減圧チャンバ2内をガ
ス排出口3から10−4Pa台まで排気した後、アセト
ン中で超音波洗浄後に設置した基体6をヒータ7により
約380Kに加熱し、脱ガスを行う。脱ガス後、基体6
を所定の温度まで上げてその温度で保持する。
ザ蒸着を行うに際しては、まず、真空などの減圧チャン
バ2内に、アセトン中で超音波洗浄した基体6およびタ
ーゲット4を設置する。次いで、減圧チャンバ2内をガ
ス排出口3から10−4Pa台まで排気した後、アセト
ン中で超音波洗浄後に設置した基体6をヒータ7により
約380Kに加熱し、脱ガスを行う。脱ガス後、基体6
を所定の温度まで上げてその温度で保持する。
【0013】続いて、イオン源10で基体6のクリーニ
ングを行う。この場合の基体6に対するクリーニング方
法としては、従来と同様に、2〜3SCCMの窒素ガス
をガス導入口12からイオン源10に導入し、イオンビ
ームエネルギ500eV程度の窒素イオンを約15分間
基体6に照射して、基体表面の酸化物等を除去する。
ングを行う。この場合の基体6に対するクリーニング方
法としては、従来と同様に、2〜3SCCMの窒素ガス
をガス導入口12からイオン源10に導入し、イオンビ
ームエネルギ500eV程度の窒素イオンを約15分間
基体6に照射して、基体表面の酸化物等を除去する。
【0014】このようなイオン衝撃によるクリーニング
後、イオンビームエネルギを最大1500eV程度まで
上げ、窒素イオンを基体6に注入させる。
後、イオンビームエネルギを最大1500eV程度まで
上げ、窒素イオンを基体6に注入させる。
【0015】引続き、レーザ光9を光学窓8を通してタ
ーゲット4に照射する。その間、イオンビームを連続し
て照射しておく。そして、ターゲット4からの蒸発粒子
13の蒸発速度がほぼ一定になったところで、シャッタ
5を開けて蒸着を行う。
ーゲット4に照射する。その間、イオンビームを連続し
て照射しておく。そして、ターゲット4からの蒸発粒子
13の蒸発速度がほぼ一定になったところで、シャッタ
5を開けて蒸着を行う。
【0016】次いで、イオンビームエネルギを徐々に下
げいくことによって、イオン衝撃を徐々に緩和し、50
0eV程度で保持することにより、蒸着膜を形成する。
げいくことによって、イオン衝撃を徐々に緩和し、50
0eV程度で保持することにより、蒸着膜を形成する。
【0017】このようにして基体の表面に蒸着膜を形成
した後の状態においては、基体材料の原子とターゲット
材料の原子とが傾斜的に変化した中間層が形成される。
した後の状態においては、基体材料の原子とターゲット
材料の原子とが傾斜的に変化した中間層が形成される。
【0018】
【発明の作用】この発明に係わるレーザ蒸着方法では、
基体の表面をイオン衝撃によりクリーニングした後、イ
オンビームエネルギを最大2000eVまで上げ、引続
いてレーザ蒸着を行い、イオン衝撃を徐々に緩和してい
くことにより、基体の新生面に基体材料とターゲット材
料とが傾斜的に変化した中間層を形成するようにしてい
るので、基体と蒸着膜との境界がはっきり分かれたもの
とはならず、基体材料とターゲット材料とが傾斜的に変
化した中間層が形成されることによって、基体と蒸着膜
との密着強度が十分なものとなり、基体からの蒸着膜の
剥離などが生じがたいものとなる。そして、本発明のレ
ーザ蒸着方法では、イオンビームエネルギは500〜1
500eVの範囲が最も好ましい。
基体の表面をイオン衝撃によりクリーニングした後、イ
オンビームエネルギを最大2000eVまで上げ、引続
いてレーザ蒸着を行い、イオン衝撃を徐々に緩和してい
くことにより、基体の新生面に基体材料とターゲット材
料とが傾斜的に変化した中間層を形成するようにしてい
るので、基体と蒸着膜との境界がはっきり分かれたもの
とはならず、基体材料とターゲット材料とが傾斜的に変
化した中間層が形成されることによって、基体と蒸着膜
との密着強度が十分なものとなり、基体からの蒸着膜の
剥離などが生じがたいものとなる。そして、本発明のレ
ーザ蒸着方法では、イオンビームエネルギは500〜1
500eVの範囲が最も好ましい。
【0019】
(実施例1)図1に示した概略構造のレーザ蒸着装置1
を用い、減圧チャンバ2内に、アセトン中で超音波洗浄
した基体6およびターゲット4を設置した。この場合、
基体6としては、オーステナイト系ステンレス鋼(SU
S 304)を用い、ターゲット4としては窒化ほう素
セラミックス(BN)を用いた。
を用い、減圧チャンバ2内に、アセトン中で超音波洗浄
した基体6およびターゲット4を設置した。この場合、
基体6としては、オーステナイト系ステンレス鋼(SU
S 304)を用い、ターゲット4としては窒化ほう素
セラミックス(BN)を用いた。
【0020】そして、減圧チャンバ2内をガス排出口3
から10−4Pa台まで排気した後、アセトン中で超音
波洗浄後に設置した基体6をヒータ7により約380K
に加熱し、脱ガスを行った。この脱ガス後、基体6を7
00℃まで上げてその温度で保持した。
から10−4Pa台まで排気した後、アセトン中で超音
波洗浄後に設置した基体6をヒータ7により約380K
に加熱し、脱ガスを行った。この脱ガス後、基体6を7
00℃まで上げてその温度で保持した。
【0021】続いて、イオン源10で基体6のクリーニ
ングを行った。この場合の基体6に対するクリーニング
方法としては、従来と同様に、2〜3SCCMの窒素ガ
スをガス導入口12からイオン源10に導入し、イオン
ビームエネルギ1000eV程度の窒素イオンを約15
分間基体6に照射して、基体6の表面の酸化物等を除去
した。
ングを行った。この場合の基体6に対するクリーニング
方法としては、従来と同様に、2〜3SCCMの窒素ガ
スをガス導入口12からイオン源10に導入し、イオン
ビームエネルギ1000eV程度の窒素イオンを約15
分間基体6に照射して、基体6の表面の酸化物等を除去
した。
【0022】このようなイオン衝撃によるクリーニング
を行った後、イオンビームエネルギを1500eV程度
まで上げ、窒素イオンを基体6に注入させた。
を行った後、イオンビームエネルギを1500eV程度
まで上げ、窒素イオンを基体6に注入させた。
【0023】引続き、レーザ光9を光学窓8を通してタ
ーゲット4に照射した。その間、イオンビームを連続し
て照射しておいた。そして、ターゲット4からの蒸発粒
子13の蒸発速度がほぼ一定になったところで、シャッ
タ5を開けて蒸着を行った。
ーゲット4に照射した。その間、イオンビームを連続し
て照射しておいた。そして、ターゲット4からの蒸発粒
子13の蒸発速度がほぼ一定になったところで、シャッ
タ5を開けて蒸着を行った。
【0024】次いで、イオンビームエネルギを徐々に下
げていくことによって、イオン衝撃を徐々に緩和し、5
00eVで保持することにより蒸着膜を形成した。
げていくことによって、イオン衝撃を徐々に緩和し、5
00eVで保持することにより蒸着膜を形成した。
【0025】このようにして、オーステナイト系ステン
レス鋼(SUS 304)よりなる基体の表面に窒化ほ
う素(BN)よりなる蒸着膜を形成した後の状態におい
ては、図3のオージェ分析プロファイルに示すように、
基体材料の原子とターゲット材料の原子とが傾斜的に変
化した中間層が形成されていた。
レス鋼(SUS 304)よりなる基体の表面に窒化ほ
う素(BN)よりなる蒸着膜を形成した後の状態におい
ては、図3のオージェ分析プロファイルに示すように、
基体材料の原子とターゲット材料の原子とが傾斜的に変
化した中間層が形成されていた。
【0026】(実施例2)基体6として宇宙・航空機器
用材料としてよく利用されるTi−6Al−4Vを選
び、ターゲット4として窒化ほう素セラミックス(B
N)を選んで、実施例1と同様にして基体6の表面に蒸
着膜を形成し、その後、図4に示すような引き倒し法に
よって、Ti−6Al−4Vよりなる基体6の表面に蒸
着した窒化ほう素(BN)よりなる蒸着膜14の密着性
評価を行った。
用材料としてよく利用されるTi−6Al−4Vを選
び、ターゲット4として窒化ほう素セラミックス(B
N)を選んで、実施例1と同様にして基体6の表面に蒸
着膜を形成し、その後、図4に示すような引き倒し法に
よって、Ti−6Al−4Vよりなる基体6の表面に蒸
着した窒化ほう素(BN)よりなる蒸着膜14の密着性
評価を行った。
【0027】この評価試験では、図4に示すように、基
体6の表面に蒸着した蒸着膜14と相手部材16とを接
着剤15で接合し、相手部材16に対して矢印F方向に
荷重を加えることにより、蒸着膜14の基体6への密着
性を評価した。この結果、図5に示すように、従来法で
は蒸着膜14が剥離して破断されたのに対して、本発明
法で蒸着した蒸着膜14では膜の剥離が起こらず、接着
剤15の部分から破断した。このことから、本発明方法
により蒸着した蒸着膜14は、接着剤15の接合強度で
ある50MPa以上の付着力を有し、従来法に対して密
着性が著しく向上したことが確認された。
体6の表面に蒸着した蒸着膜14と相手部材16とを接
着剤15で接合し、相手部材16に対して矢印F方向に
荷重を加えることにより、蒸着膜14の基体6への密着
性を評価した。この結果、図5に示すように、従来法で
は蒸着膜14が剥離して破断されたのに対して、本発明
法で蒸着した蒸着膜14では膜の剥離が起こらず、接着
剤15の部分から破断した。このことから、本発明方法
により蒸着した蒸着膜14は、接着剤15の接合強度で
ある50MPa以上の付着力を有し、従来法に対して密
着性が著しく向上したことが確認された。
【0028】
【発明の効果】この発明に係わるレーザ蒸着方法では、
基体の表面をイオン衝撃によりクリーニングした後、イ
オンビームエネルギを最大2000eVまで上げ、引続
いてレーザ蒸着を行い、イオン衝撃を徐々に緩和してい
くことにより、基体の新生面に基体材料とターゲット材
料とが傾斜的に変化した中間層を形成するようにしたか
ら、基体と蒸着膜との境界がはっきり分かれたものとは
ならず、基体材料とターゲット材料とが傾斜的に変化し
た中間層が形成されることによって、基体と蒸着膜との
密着強度が十分なものとなり、基体からの蒸着膜の剥離
などが生じがたい密着性の良い窒化物等のセラミックス
蒸着膜が形成できるという著しく優れた効果がもたらさ
れる。
基体の表面をイオン衝撃によりクリーニングした後、イ
オンビームエネルギを最大2000eVまで上げ、引続
いてレーザ蒸着を行い、イオン衝撃を徐々に緩和してい
くことにより、基体の新生面に基体材料とターゲット材
料とが傾斜的に変化した中間層を形成するようにしたか
ら、基体と蒸着膜との境界がはっきり分かれたものとは
ならず、基体材料とターゲット材料とが傾斜的に変化し
た中間層が形成されることによって、基体と蒸着膜との
密着強度が十分なものとなり、基体からの蒸着膜の剥離
などが生じがたい密着性の良い窒化物等のセラミックス
蒸着膜が形成できるという著しく優れた効果がもたらさ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わるレーザ蒸着方法の実施に使用
されるイオン源を設置した一般的なレーザ蒸着装置の基
本構造を示す説明図である。
されるイオン源を設置した一般的なレーザ蒸着装置の基
本構造を示す説明図である。
【図2】従来法によってオーステナイト系ステンレス鋼
(SUS 304)よりなる基体の表面に窒化ほう素
(BN)よりなる蒸着膜を形成したときのオージェ分析
結果を示すグラフである。
(SUS 304)よりなる基体の表面に窒化ほう素
(BN)よりなる蒸着膜を形成したときのオージェ分析
結果を示すグラフである。
【図3】本発明法によってオーステナイト系ステンレス
鋼(SUS 304)よりなる基体の表面に窒化ほう素
(BN)よりなる蒸着膜を形成したときのオージェ分析
結果を示すグラフである。
鋼(SUS 304)よりなる基体の表面に窒化ほう素
(BN)よりなる蒸着膜を形成したときのオージェ分析
結果を示すグラフである。
【図4】密着性評価のために採用した引き倒し法の原理
を示す説明図である。
を示す説明図である。
【図5】従来法および本発明法によりTi−6Al−4
Vよりなる基体上に蒸着した窒化ほう素(BN)よりな
る蒸着膜の密着性評価の結果を示す説明図である。
Vよりなる基体上に蒸着した窒化ほう素(BN)よりな
る蒸着膜の密着性評価の結果を示す説明図である。
1 レーザ蒸着装置 2 減圧チャンバ 3 ガス排出口 4 ターゲット 5 シャッタ 6 基体 9 レーザ光 10 イオン源 12 ガス導入口 13 蒸発粒子 14 蒸着膜 15 接着剤 16 ロッド
Claims (1)
- 【請求項1】 減圧チャンバ内に導入したレーザ光をタ
ーゲットに照射し、前記ターゲットを蒸発させて基体の
表面に堆積させることにより蒸着膜を形成させるに際
し、基体の表面をイオン衝撃によりクリーニングした
後、イオンビームエネルギを最大2000eVまで上
げ、引続いてレーザ蒸着を行い、イオン衝撃を徐々に緩
和していくことにより、基体の新生面に基体材料とター
ゲット材料とが傾斜的に変化した中間層を形成すること
を特徴とするレーザ蒸着方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11617392A JPH05311406A (ja) | 1992-05-08 | 1992-05-08 | レーザ蒸着方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11617392A JPH05311406A (ja) | 1992-05-08 | 1992-05-08 | レーザ蒸着方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05311406A true JPH05311406A (ja) | 1993-11-22 |
Family
ID=14680607
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11617392A Pending JPH05311406A (ja) | 1992-05-08 | 1992-05-08 | レーザ蒸着方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05311406A (ja) |
-
1992
- 1992-05-08 JP JP11617392A patent/JPH05311406A/ja active Pending
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