JPH05310796A - 新規なヒト細胞性フィブロネクチン - Google Patents

新規なヒト細胞性フィブロネクチン

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JPH05310796A
JPH05310796A JP4143757A JP14375792A JPH05310796A JP H05310796 A JPH05310796 A JP H05310796A JP 4143757 A JP4143757 A JP 4143757A JP 14375792 A JP14375792 A JP 14375792A JP H05310796 A JPH05310796 A JP H05310796A
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JP
Japan
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fibronectin
cell
human
cell adhesion
cellular fibronectin
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JP4143757A
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English (en)
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Katsu Ito
東 克 伊
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Nichirei Corp
Original Assignee
Nichirei Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 下記の性質を有するヒト細胞性フィブロネク
チン。 非還元状態におけるSDSポリアクリルアミドゲル電
気泳動により二量体が470kdを示す。 等電点:pH5〜6 免疫学的特異性 市販の抗細胞性フィブロネクチン抗体及び抗フィブロネ
クチン抗体と反応する。 サーモリシンによる断片化を行うことによって、細胞
接着部位を含む125kdの断片物が得られるヒト細胞
性フィブロネクチンである。 現在までに報告されているフィブロネクチンの細胞接
着促進活性、ゼラチンビーズ凝集能及び細胞伸展活性等
の種々の生物学的作用を有する。 細胞HUH−6YMを培養し、得られた培養物から生
産することが可能である。 【効果】 フィブロネクチンは、研究用試薬、診断薬、
化粧品及び医薬品原料としての用途を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な構造を有するヒ
ト細胞性フィブロネクチンに関する。フィブロネクチン
は、研究用試薬、診断薬、化粧品及び医薬品原料として
の用途を有する。
【0002】
【従来の技術】一般にフィブロネクチンは、細胞接着性
因子としての作用を有する生理活性タンパク質である。
その種類としては、血漿中に存在する血漿性フィブロネ
クチンと主に線維芽細胞が産生し組織中に存在する細胞
性フィブロネクチンの2種類が知られている。この2種
類のフィブロネクチンは、主にその由来によって区別さ
れているが、その構造にも異なる部分が存在することが
知られている。図1はフィブロネクチン単量体のタンパ
ク構造の模式図である。
【0003】現在までの報告によると、血漿性フィブロ
ネクチンには、図1中のED−A及びED−B領域が存
在せず、細胞性フィブロネクチンには、ED−A及びE
D−B領域の一方あるいは両方が存在することが知られ
ている。さらにCarnemalla Barbaraらによると(J. of
Cell Biol. 1989, 108:1139)、サーモリシンによる断片
化によってRGD配列を含む細胞接着部位を有する断片
は、血漿性フィブロネクチンでは、110kd、ED−
B領域を含む細胞性フィブロネクチンは、120kdの
分子量を有することが明らかにされている。
【0004】フィブロネクチンには、細胞の接着及び伸
展作用だけではなく、細胞の走化性、食作用、分化、細
胞形態調節及び細胞運動などの生物学的作用を有するこ
とが報告されているが、各フィブロネクチンの構造の差
と生物学的作用については明らかにされておらず、血漿
性フィブロネクチンと細胞性フィブロネクチンの作用は
同一であると考えられている。
【0005】しかし、DNAやmRNAの分析によると
細胞性フィブロネクチンは、その構造の違いにより多種
類存在すると考えられているが、現在までに純品として
分離・精製され、その分子構造まで明らかにされている
細胞性フィブロネクチンは少ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、新規な構造
を有するヒト細胞性フィブロネクチンを提供することで
ある。
【0007】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、タンパク
質無添加培地で培養が可能で、且つ限界なく培養できる
ヒト肝芽腫由来変異株HUH−6YM(以下、細胞株H
UH−6YMとする。)を見いだし、これを株化細胞と
して確立した。本株化細胞は、細胞株HUH−6YMと
してFERM P−12890で微工研に寄託されてい
る。
【0008】更に、本細胞株HUH−6がヒト細胞性フ
ィブロネクチンを著量生産することを見いだし、細胞株
HUH−6YMを培養し、得られた培養液からヒト細胞
性フィブロネクチンを分離、精製し、高濃度に調製する
ことを特徴とするヒト細胞性フィブロネクチンの大量生
産法を確立した。
【0009】また、この細胞性フィブロネクチンの構造
についてプロテアーゼによる断片化と免疫学的特異性に
ついて検討したところ、新規な構造を有するヒト細胞性
フィブロネクチンであることを見いだした。
【0010】本発明は、上記知見に基づき完成されたも
のであり、それは新規な構造を有するヒト細胞性フィブ
ロネクチンに関するものである。
【0011】
【発明の効果】本発明により、新規なヒト細胞性フィブ
ロネクチンが提供された。フィブロネクチンは、細胞の
接着、移動及び走化性に関して重要な因子と考えられ、
組織損傷時の細胞移動を供う修復剤、あるいは表皮細胞
の恒常性を保つ因子などとして特徴的な医薬品、化粧品
及びガン転移等の診断薬などの開発が進められている
が、本発明のヒト細胞性フィブロネクチンは、それらの
用途に対して有利な作用を有すると考えられる。
【0012】
【発明の具体的な説明】本発明のヒト細胞性フィブロネ
クチンは、細胞株HUH−6YMの培養上清から分離、
精製することによって生産が可能であるが、その生産方
法としては、それに限定されるものではなく、例えば遺
伝子工学的手法を用いて、本ヒト細胞性フィブロネクチ
ンの遺伝子を導入した細胞、あるいは本ヒト細胞性フィ
ブロネクチンを発現する細胞株を培養し、その培養物か
ら分離、精製することによって生産することができる。
【0013】生産方法の1例として細胞株HUH−6Y
Mを培養し、本発明のヒト細胞性フィブロネクチンを製
造する方法について説明する。
【0014】細胞株HUH−6YMの培養は、種培養と
してシャーレで培養する。継代を繰り返し、次の連続培
養で必要な細胞数を確保する。使用する培地としては、
市販されているe−RDF培地が適しているが、これに
限定されるものではなく、その成分に準じて調製される
培地はどのようなものでも使用可能である。また添加成
分としては、タンパク性因子は特に必要ないが、細胞に
悪影響を与えない限り、添加されていてもかまわない。
【0015】培養条件は、特に規定されるものではない
が、培養温度は36〜37℃で、気相条件は、シャーレ
等による種培養において5%程度のCO2を含有する空
気が適当である。しかし、連続培養において特にCO2
等を調製した空気の必要はない。
【0016】連続培養の方法は、特に限定されるもので
はないが、一般的な方法であるローラボトルを用いた方
法で行うことが可能である。この場合、そのローラーボ
トル内の細胞数に応じて培地の交換を適切な時期に行っ
ていくものである。
【0017】このような方法で得られた細胞株HUH−
6YMの培養上清が、次の精製の原料となる。
【0018】細胞性フィブロネクチンの精製には、一般
的なタンパク質精製に用いられる方法を用いることがで
きるが、その1例をあげれば次の通りである。
【0019】まず培養上清に適当なプロテアーゼインヒ
ビターを添加し、次に遠心分離に付し細胞片等の不純物
を除去した後に、限外ロ過法によって濃縮を行い、培養
上清中の細胞性フィブロネクチンを適当な濃度にまで上
げる。これは次の精製を効率化するためである。濃縮さ
れた上清は、PBS(−)(Phosphate Buffered Salin
e)で平衡化してゼラチンアフィニティーカラムに負荷
する。その後、PBS(−)に6M尿素を溶解した緩衝
液で溶出させ、その溶出画分を得る。この画分中での細
胞性フィブロネクチンの純度は、電気泳動法による検定
によると95%以上であるが、さらに純度を高めるに
は、一般的なイオン交換法などの他の方法を用いて高純
度化することができるが、細胞性フィブロネクチンは、
通常PBS(−)のような緩衝液中では非常に溶解度が
低いため、すべて尿素存在下で分離操作を行う必要があ
る。
【0020】その後、尿素を除去し、ある濃度以上の細
胞性フィブロネクチン溶液を調製するために5%ショ糖
を含むリン酸緩衝液と緩衝液交換を行う。緩衝液で交換
を行う方法としては、一般的な方法である膜透析法や限
外ロ過を用いたダイアフィルトレーション法によって行
うことができる。
【0021】以下に本発明のヒト細胞性フィブロネクチ
ンの諸性質を示す。 非還元状態におけるSDSポリアクリルアミドゲル電
気泳動により二量体が470kdを示す。 等電点:pH5〜6 免疫学的特異性 市販の抗細胞性フィブロネクチン抗体及び抗フィブロネ
クチン抗体と反応する。 サーモリシンよる断片化を行うことによって、細胞接
着部位を含む125kdの断片物が得られるヒト細胞性
フィブロネクチンである。 現在までに報告されているフィブロネクチンの細胞接
着促進活性、ゼラチンビーズ凝集能及び細胞伸展活性等
の種々の生物学的作用を有する。
【0022】以上の諸性質から本発明のヒト細胞性フィ
ブロネクチンは従来までに報告されていない新規な構造
を有することが明らかである。
【0023】
【実施例】
(1)分子量 上記、ヒト細胞性フィブロネクチンの標品の分子量をS
DSポリアクリルアミドゲル電気泳動法によって、標準
タンパク質及びヒト血漿性フィブロネクチン標品(岩城
硝子社製)と還元及び非還元状態下で比較した。その結
果、本発明のヒト細胞性フィブロネクチン標品の分子量
は二量体が470kd、単量体が245kdと225k
dと推定され、ヒト血漿性フィブロネクチンよりも大き
な分子量を有することが明らかになった。(図2)
【0024】(2)免疫学的特異性 血漿性フィブロネクチンには反応せず、細胞性フィブロ
ネクチンのみに反応する抗細胞性フィブロネクチン抗体
(シグマ社製、Product No.F−6140)
を用いてウエスタンブロッティング後の免疫染色法によ
り反応性の確認を行った。その結果、本標品はこの特異
抗体と反応した。また抗ヒトフィブロネクチン抗体(宝
酒造製、clone30−8)とも反応した。
【0025】(3)プロテアーゼによる断片化 本ヒト細胞性フィブロネクチンを1mg/mlの濃度の
サーモリシン(シグマ社製)によって、22℃、16時
間反応させ断片化を行った。この断片物をSDSポリア
クリルアミドゲル電気泳動法によってこの断片物の分子
量を測定し、さらにウェスタンブロッティング後に抗細
胞性フィブロネクチン抗体(シグマ社製)及び細胞接着
活性部位を認織する抗ヒトフィブロネクチン抗体(宝酒
造製造、clone30−8)を用いて免疫染色を行っ
た。その結果を図3に示す。
【0026】その結果、本ヒト細胞性フィブロネクチン
はRGD配列を含む細胞接着部位を有する125kdの
断片が存在することが明らかとなった。さらにCarnemal
la Barbaraら(J. Cell Biol. 1989, 108:1139)の報告
による細胞性フィブロネクチンの断片化の結果と細胞接
着部位を含む断片物及び抗細胞性フィブロネクチン抗体
(シグマ社製)の認織する断片物の分子量が異なること
が明らかとなった。
【0027】(4)水溶性 既報によると、細胞性フィブロネクチンはpH6から8
の緩衝液に対し、非常に溶解性が低いことが報告されて
いる。
【0028】本発明のヒト細胞性フィブロネクチンも低
溶解性であったが、ショ糖溶液に対し高溶解性であるこ
とが見いだされた。表1に各濃度のショ糖を含有するP
BS(−)に対する溶解性を示す。
【0029】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】既報(Carnemalla Barbara et al, J. Cell Bi
ol.1989, 108: 1139)等からフィブロネクチンの構造の
模式図とサーモリシンによる切断部位を示す。
【図2】本発明の細胞性フィブロネクチンをSDSポリ
アクリルアミドゲル電気泳動にかけた結果を示す。比較
対照としては、ヒト血漿性フィブロネクチン標品を用い
る。
【図3】本発明のヒト細胞性フィブロネクチンをサーモ
リシンによって断片化し、それをSDSポリアクリルア
ミドゲル電気泳動にかけ、ウエスタンブロッティング後
に免疫染色を行った結果を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 5/08 C12R 1:91) (C12P 21/00 C12R 1:91)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の性質を有するヒト細胞性フィブロ
    ネクチン。 非還元状態におけるSDSポリアクリルアミドゲル電
    気泳動により二量体が470kdを示す。 等電点:pH5〜6 免疫学的特異性 市販の抗細胞性フィブロネクチン抗体及び抗フィブロネ
    クチン抗体と反応する。 サーモリシンよる断片化を行うことによって、細胞接
    着部位を含む125kdの断片物が得られるヒト細胞性
    フィブロネクチンである。 現在までに報告されているフィブロネクチンの細胞接
    着促進活性、ゼラチンビーズ凝集能及び細胞伸展活性等
    の種々の生物学的作用を有する。 細胞HUH−6YMを培養し、得られた培養物から生
    産することが可能である。
JP4143757A 1992-05-11 1992-05-11 新規なヒト細胞性フィブロネクチン Pending JPH05310796A (ja)

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