JPH05306281A - フェニルアルカン酸エステルの塩酸塩およびその中間体の新規な製造方法 - Google Patents

フェニルアルカン酸エステルの塩酸塩およびその中間体の新規な製造方法

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JPH05306281A
JPH05306281A JP12985092A JP12985092A JPH05306281A JP H05306281 A JPH05306281 A JP H05306281A JP 12985092 A JP12985092 A JP 12985092A JP 12985092 A JP12985092 A JP 12985092A JP H05306281 A JPH05306281 A JP H05306281A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 式(IA)で示されるフェニルアルカン酸エステ
ルの塩酸塩、および化合物(IV)と化合物(V) を反応させ
ることを特徴とする化合物(IA)の製造中間体である化合
物(VI)の製造方法。 【化1】 【効果】 化合物(IA)は、β1 受容体に対して選択性を
有し、作用時間の短い遮断作用を有しているので、心臓
血管系の疾患の予防および/または治療に有用である。
また、化合物(IA)の製造中間体である化合物(VI)を高収
率で得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、短時間作用型β1 −ア
ドレナリン受容体遮断薬である式(IA)
【化5】 で示される(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン
−4S−イル)メチル3−[4−[2S−ヒドロキシ−
3−(2−モルホリノカルボニルアミノエチル)アミノ
プロポキシ]フェニル]プロピオネート・塩酸塩、その
製造方法およびその中間体の製造方法に関する。
【0002】
【発明の背景】交感神経刺激に反応する組織細胞の表面
には、アドレナリン受容体があり、これにはαとβの2
種類が存在する。α受容体を介する反応は一般的に興奮
反応であり、平滑筋や血管の収縮を起こす。
【0003】一方、β1 受容体刺激によってひき起こさ
れる心臓の反応は、心拍数、収縮力、自動性などの増加
といった興奮反応であり、β2 受容体刺激は、気管平滑
筋、腸管平滑筋、子宮筋などの平滑筋の弛緩や血管の拡
張を起こす。
【0004】従って、β1 受容体のみを選択的に遮断す
ると、心臓に対して抑制的に働き、例えば心拍数の減
少、収縮力の減弱、自動性の減退、心拍出量の減少など
の生理的変化が生じる。このような薬理作用により、β
1 受容体遮断剤は、心筋自体の酸素消費量を極力低下さ
せる必要がある疾患、すなわち狭心症、心筋硬塞、心不
全あるいは高血圧や不整脈等の治療に有用である。
【0005】前項の目的を達成するために、従来から多
種多用のβ1 遮断剤が開発されている。その大部分は、
3−アリールオキシ−2−ヒドロキシプロピルアミンを
基本骨格として有する化合物群であり、すでにいくつか
の化合物で実用化されている。
【0006】また最近では、β1 受容体に対する選択性
の高い誘導体や短時間作用型の誘導体の開発が盛んであ
る。
【0007】従来のβ1 遮断剤はβ1 受容体を遮断する
と同時に、弱いながらもβ2 受容体を遮断し、気道抵抗
が増して気管支喘息が生じることがあるからである。ま
た短時間作用型であることは、効果のコントロールが容
易であるという特徴を有する。例えば、急性の心筋硬塞
患者にβ1 遮断剤を投与することは心筋の酸素消費を減
少させ、壊死部の拡大を防止する点で非常に有用である
が、回復後も引き続きβ1 遮断効果が持続すると、必要
以上に心機能が抑制され、生命が危険な状態にさらされ
る。このような場合にはβ1 遮断効果がすばやく除去さ
れることが望ましい。
【0008】
【従来の技術】そこで、本発明者らは、先に式(I)
【化6】 で示される化合物とそのシュウ酸塩、クエン酸塩、酒石
酸塩を見出した(特開平3-72475 号明細書参照)。ま
た、前記公報には、これらの化合物は、以下に示す工程
[A]で製造することができるということも開示されて
いる。
【0009】
【化7】
【0010】
【従来技術の問題点】特開平3-72475 号明細書で開示さ
れている化合物には以下に示す問題点がある。 (1) 式(I) で示される化合物は、精製過程で一部分解
がおこり、高純度のものを得ることができない。 (2) 化合物(I) のシュウ酸塩は結晶化しやすく精製し
やすいが、連続投与する場合、毒性が出現する可能性が
あり、医薬品として用いるには適当ではない。 (3) 化合物(I) のクエン酸塩は結晶化が困難で扱いに
くく、酒石酸塩は潮解性が大きいため、製剤化しにくい
という欠点を有している。また、一般に酒石酸塩の薬物
は、静脈投与の場合、許容範囲が限られており、本発明
化合物のように手術中長時間にわたって連続投与する可
能性のある場合、酒石酸塩では不向きである。
【0011】一方、製造方法においても問題点がある。
すなわち、化合物(IV)から化合物(VI)に至るステップ
で、式(b)で示される化合物を用いると、目的とする
光学異性体の他に相当するエピマーが5%から10%副
成する。このエピマーを除去するために収率が大きく低
下するという欠点がある。
【0012】
【発明の目的】本発明者らは、医薬として十分な純度と
高品質の、かつ十分安全な(2,2−ジメチル−1,3
−ジオキソラン−4S−イル)メチル 3−[4−[2
S−ヒドロキシ−3−(2−モルホリノカルボニルアミ
ノエチル)アミノプロポキシ]フェニル]プロピオネー
トの塩を見出すべく鋭意検討した結果、塩酸塩が目的を
達成することを見出し、本発明を完成した。
【0013】また、化合物(IV)から化合物(VI)を合成す
るステップにおいて、化合物(b)の代わりに式(V)
【化8】 (式中、ニトロ基はベンゼン環の3位または4位に結合
していることを表わす。)で示される化合物を用いるこ
とにより、異性化をおこさず、収率ほぼ100%で化合
物(VI)が得られることを見出した。
【0014】
【発明の開示】本発明は、
【0015】i) 式(IA)
【化9】 で示されるフェニルアルカン酸エステルの塩酸塩、 ii) その製造方法、および
【0016】iii)化合物(IA)の中間体である式(VI)
【化10】 で示される化合物の新規な製造方法に関する。
【0017】
【本発明化合物の製造方法】式(IA)で示される本発明化
合物は、以下の反応工程式で示される方法により製造す
ることができる。
【0018】
【化11】
【0019】(反応工定式中、Xはシュウ酸または硫酸
を表わす。式(VII)で示される化合物はフリーのアミン
体でも、相当する酸付加塩でもよい。)
【0020】工程[a]は、例えば、不活性有機溶媒
(ジメチルスルホキシド等)中で、アルカリ(水酸化カ
リウム、水酸化ナトリウム等)を用いて100℃から1
20℃の温度で行なわれる。
【0021】工程[b]は、例えば不活性有機溶媒(ジ
メチルホルムアミド等)中で、強塩基(水素化ナトリウ
ム等)を用いて−10℃から30℃で、あるいはアルカ
リ(水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等)を用いて70
℃から80℃の温度で行なわれる。この工程[b]で得
られる化合物(VI)は単離することなく、次の工程[c]
に進んでもよい。
【0022】工程[c]は、例えば i) 化合物 (VII)が
酸付加塩でない場合、不活性有機溶媒(ジメチルホルム
アミド、イソプロピルアルコール等)中で25℃から7
0℃の温度で、ii) 化合物(VII) が酸付加塩である場
合、水と有機溶媒(イソプロピルアルコール、ジメチル
ホルムアミド)との混液中でアルカリ(水酸化ナトリウ
ム等)を用いて25℃から70℃の温度で行なわれる。
【0023】工程[d]は、例えば、不活性有機溶媒
(メタノール等)中で−10℃から40℃の温度で行な
われる。
【0024】工程[e]は、例えば0℃から10℃の温
度で、水中で炭酸水素ナトリウムで処理した後、塩化ナ
トリウムまたは塩化アンモニウムを用いて行なわれる。
必要ならば、希塩酸でpHを3から5に調整して行なっ
てもよい。また、化合物(IB)の水懸濁液に、0℃から1
0℃の温度で直接塩化アンモニウムを加えて行なわれ
る。
【0025】工程[f]は、例えば不活性有機溶媒(イ
ソプロピルアルコール、イソプロピルエーテル、酢酸エ
チル等)中で−10℃から30℃の温度で塩酸−メタノ
ール溶液を用いて行なわれる。
【0026】本明細書中の各反応において、反応生成物
は通常の精製手段、例えば常圧下または減圧下における
蒸留、シリカゲルまたはケイ酸マグネシウムを用いた高
速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、
あるいはカラムクロマトグラフィー、または洗浄、再結
晶等の方法により精製することができる。精製は各反応
ごとに行なってもよいし、いくつかの反応終了後行なっ
てもよい。
【0027】各反応で用いられる出発物質および試薬
は、すべてそれ自身公知であるか、または公知の方法に
より容易に製造することができる。例えば、式(II)で
示される3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸
は市販されており、式(VII) で示される化合物は特開平
3-72475 号明細書に記載の方法により、また式(V) で示
される化合物は国際公開8800190 号明細書に記載の方法
により製造することができる。
【0028】
【発明の効果】本発明化合物のβ1 受容体における遮断
効果は、イソプロテレノールによって誘発される頻脈に
対する抑制効果(実験方法は特開平3-72475 号明細書に
記載されている。)により確認された。
【0029】式(IA)で示される本発明化合物は、β1
容体に対して選択性のある、かつ作用時間の短い遮断作
用を有しているので、哺乳動物、特にヒトにおいて心臓
血管系の疾患、例えば、狭心症、心筋硬塞、心不全、高
血圧、不整脈等の予防および/または治療に有用であ
る。
【0030】式(IA)で示される本発明化合物を上記の目
的で用いるには、通常、前身的または局所的に、経口ま
たは非経口の形で、より好ましくは非経口で投与され
る。
【0031】投与量は、年齢、症状、治療効果、投与方
法、処理時間等により異なるが、例えば静脈内持続注入
の場合、1時間当り体重1kg当り約0.001 〜約100
mgの投与量が一般に使用され、好ましくは1時間当り
体重1kgについて約0.1 〜約10mgの範囲である。
また、静脈内投与(ワンショット)の場合には、体重1
kg当り約0.001 〜約10mg、好ましくは約0.01〜約
1mgの範囲で使用される。もちろん前記したように、
投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量よ
り少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必
要な場合もある。
【0032】本発明化合物を投与する際には、経口投与
のための固体組成物、液体組成物およびその他の組成
物、非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤等、より
好ましくは注射剤として用いられる。
【0033】非経口投与のための注射剤としては、無菌
の水性または非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤が含まれ
る。このような液射剤においては、ひとつまたはひとつ
以上の活性物質が、少なくともひとつの不活性な水性の
希釈剤(注射用蒸留水、生理食塩水等)や不活性な非水
性の希釈剤(プロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール、オリーブ油、エタノール、ポリソルベート80
(登録商標)等)と混合して用いられる。
【0034】これらの注射剤は、さらに防腐剤、湿潤
剤、乳化剤、分散剤、安定化剤(ラクトース等)、溶解
補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)のような補
助剤を含有していてもよい。これらは通常、ろ過(バク
テリア保留フィルター等)、殺菌剤の配合または照射に
よって無菌化されるか、またはこれらの処理をした後、
凍結乾燥等の方法により固体組成物とし、使用直前に無
菌水、または無菌の注射用希釈剤を加えて使用される。
【0035】経口投与のための固体組成物には、錠剤、
丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤などが含まれる。カプ
セル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含
まれる。経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容
される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシ
ル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤
(水、エタノール等)を含んでいてもよい。非経口投与
のためのその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以
上の活性物質を含み、常法により処方される外用液剤、
軟膏、塗布剤のような外用剤、直腸内投与のための坐剤
およびペッサリー等が含まれる。
【0036】
【参考例および実施例】以下、参考例および実施例によ
って本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定される
ものではない。クロマトグラフィーによる分離の箇所に
示されているカッコ内の溶媒は、使用した溶出溶媒また
は展開溶媒を示し、割合は体積比を表わす。特別な記載
がない場合、IRはKBr錠剤法で測定しており、NM
Rは重クロロホルム−重メタノール混液で測定してい
る。
【0037】参考例1 (2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4S−イ
ル)メチル 3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート
【化12】
【0038】2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン
−4−イルメタノール(4.363 kg)を塩化メチレン
(33.0リットル)に溶解させた。その溶液に5℃でトリ
エチルアミン(3.338 kg)、次にトシルクロライド
(6.593 kg)を結晶のまま少量ずつ加えた。混合物を
室温で半日撹拌した。混合物を室温で半日放置し、TL
Cで反応が完結していることを確認し、水、次に食塩水
で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃
縮して2,2−ジメチル−4−トシルオキシメチル−
1,3−ジオキソラン(9.45kg)を得た。3−(4−
ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(5.570 kg)、水
酸化カリウム(含量85%:2.210 kg)およびジメチ
ルスルホキシド(34リットル)の混合物を十分に溶解
させた後、先の反応で得られたジオキソラン化合物(9.
14kg)のジメチルスルホキシド(6.0リットル)溶液
を40℃で加えた。混合物を110℃で2時間撹拌した
後、TLCにより反応が完結したことを確認した。
【0039】反応混合物を水冷して温度を室温にまで下
げ、混合物にジイソプロピルエーテル−酢酸エチル(=
1:1)混液(40リットル)を加え、抽出した。抽出
液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、次に食塩水で
洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、
粗結晶(10.3kg)を得た。粗結晶をジイソプロピルエ
ーテルに溶解させた後、n−ヘキサン(17.7リットル)
を撹拌しながら加え、結晶を析出させた。反応混合物を
遠心分離し、結晶を分取した。結晶をn−ヘキサン−酢
酸エチル(=1:1)混液で洗浄した後、室温で2日
間、減圧乾燥し、次に物性値を有する標題化合物(5.45
5 kg)を白色結晶として得た(収率60%)。
【0040】TLC(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:
1):Rf=0.75; NMR(重クロロホルム):δ 7.03(d,2H), 6.76(d,2
H), 4.23(m,1H), 4.18〜4.00(m,3H), 3.70(d,d,1H), 2.
90(t,2H), 2.62(t,2H), 1.42(s,3H), 1.38(s,3H)。
【0041】実施例1 (2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4S−イ
ル)メチル 3−[4−(2S,3−エポキシプロポキ
シ)フェニル]プロピオネート
【化13】
【0042】水素化ナトリウム(750g)をジメチル
ホルムアミド(17リットル)に反応釜中で懸濁した。
ドライアイス−アセトン混合物で0〜10℃に冷却した
懸濁液に参考例1で製造した化合物(5.937 kg)のジ
メチルホルムアミド(10リットル)溶液を30分間か
けて滴下した。混合物を室温で1.5 時間撹拌し、水素化
ナトリウムを溶解させた。混合物を再び0〜10℃に冷
却し、混合物に3−(2S,3−エポキシプロポキシス
ルホニル)−1−ニトロベンゼン(6.040 kg)を結晶
のまま加えた。混合物を室温で2時間30分撹拌した
後、TLCで混合物の反応が完結したことを確認した。
氷水(100リットル)とジイソプロピルエーテル−酢
酸エチル(=1:1)混液(40リットル)を入れた抽
出釜に反応混合物を入れ、混合物をジイソプロピルエー
テル−酢酸エチル(=1:1)混液で抽出した。抽出液
を水、次に食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾
燥した後、反応釜で濃縮し、次に物性値を有する標題化
合物(6.920 kg)を得た(収率97.1%)。
【0043】TLC(塩化メチレン:酢酸エチル=9:
1):Rf=0.79; NMR(重クロロホルム):δ 7.10(d,2H), 6.82(d,2
H), 4.38〜3.90(m,6H), 3.70(d,d,1H), 3.35(m,1H), 2.
90(m,3H), 2.76(m,1H), 2.63(t,2H), 1.41(s,3H), 1.38
(s,3H)。
【0044】参考例2 4−(フェノキシカルボニル)モルホリン
【化14】
【0045】水酸化ナトリウム(12.55 kg)を水(3
1.4リットル)に溶解させた。その溶液をブライン冷却
し、トルエン(63リットル)、モルホリン(27.361
g)、次にクロロギ酸フェニル(40.0kg)を0℃から
10℃で滴下した。混合物を室温で1時間撹拌した。反
応混合物から水層を分取し、水層をトルエン(30リッ
トル)で抽出した。有機層と抽出液を合わせて、混液を
水(30リットル)、次に食塩水(30リットル)で洗
浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮し
た。残留物をn−ヘプタン(30リットル)と共沸し、
次の物性値を有する標題化合物を含む残留物(52.89 k
g)を白色結晶として得た。この残留物は、精製せずに
そのまま次の工程で用いた。 TLC(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1):Rf=
0.34。
【0046】参考例3 2−(モルホリノカルボニルアミノ)エチルアミン・シ
ュウ酸塩
【化15】
【0047】参考例2で製造した白色結晶(52.89 g)
に水冷下でエチレンジアミン(122.6 kg)を加え、終
日撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残留物をn−ヘ
プタンと共沸した。残留物をメタノール(200リット
ル)に溶解させ、溶液をブライン冷却し、0℃以下の温
度でシュウ酸(125kg)のメタノール(320リッ
トル)溶液をpHが2になるまで加えた。析出した結晶
を遠心分離してろ取した。結晶をメタノール(1155リッ
トル)で練り洗いし、遠心分離した。上澄液を減圧濃縮
し、残留物に酢酸エチル(400リットル)を加えて撹
拌した。混合物を一晩静置した後、遠心分離した。結晶
を分取し、乾燥し、次の物性値を有する標題化合物(4
7.7kg)を得た(収率71%)。 TLC(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1):Rf=
0.85。
【0048】参考例4 (2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4S−イ
ル)メチル 3−[4−[2S−ヒドロキシ−3−(2
−モルホリノカルボニルアミノエチル)アミノプロポキ
シ]フェニル]プロピオネート・シュウ酸塩
【化16】
【0049】参考例3で製造した2−(モルホリノカル
ボニルアミノ)エチルアミン・シュウ酸塩(8.454 k
g)を水(43リットル)に溶解させた。その溶液をブ
ライン冷却しながら水酸化ナトリウム(2.443 kg)の
水(4.9 リットル)溶液を溶液に加えて、溶液のpHを
10に調整した。その溶液に実施例1で製造した化合物
(3.6 kg)のイソプロピルアルコール(85リット
ル)溶液を室温で加え、混合物を室温で8時間撹拌した
後、一晩放置した。
【0050】反応混合物を遠心分離し、上澄液を反応釜
で濃縮し、イソプロプルアルコールを留去した。残留物
をジイソプロピルエーテル(20リットル×3)で洗浄
し、ジイソプロピルエーテル層に目的化合物が含まれて
いる可能性があるためジイソプロピルエーテル層を水
(25リットル×1,20リットル×1)で抽出した。
残留物と抽出液を合わせ、混液に塩化ナトリウムを飽和
になるまで溶解させた。その溶液を酢酸エチル(40リ
ットル×1,30リットル×2)で抽出した。抽出液を
食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、反応釜
で濃縮し、オイル状の残留物(微量を精製せずに、実施
例2で用いた。)を得た。
【0051】残留物をメタノール(37リットル)に溶
解させ、その溶液に室温で無水シュウ酸(892.9 g)を
加えた。湯浴を用いて溶液を42℃に加熱し、溶液中に
析出した結晶を溶解させた。その溶液にジイソプロピル
エーテル(12.5リットル)を加え、混合物を室温で静置
した後、氷水で10℃にまで冷却し、遠心分離した。沈
殿物をジイソプロピルエーテル−酢酸エチル(=1:
1)混液で洗浄した後、室温で2日間減圧乾燥し、次の
物性値を有する標題化合物の結晶(2.940 kg)を得た
(収率45.8%)。 TLC(酢酸エチル:酢酸:水=3:1:1):Rf=
0.42。
【0052】また、参考例4の化合物(IB)は参考例1で
製造した化合物(IV)から下記の参考例5によっても得る
ことができた。
【0053】参考例5 参考例1で製造された化合物(IV)(1.4 g)をジメチル
ホルムアミド(DMF)(5ml)に溶かして窒素ガス
雰囲気下氷冷撹拌した。これに水素化ナトリウム(60
%含量のものを220mg)を加えた。次に氷浴を取り
除いて水素ガスの発生が止むまで撹拌した後、3−(2
S,3−エポキシプロポキシスルホニル)−1−ニトロ
ベンゼン(1.424 g)をDMF(1ml)に溶かした溶
液を加え、室温で3時間撹拌した。この反応液は処理し
ないでこのまま次の反応に用いた。
【0054】2−(モルホリノカルボニルアミノ)エチ
ルアミン・硫酸塩(2.59g)を4N水酸化ナトリウム
(3.56ml)に溶かした溶液を上記の反応液に加え、室
温で一晩撹拌した。反応液を水(24ml)に注ぎ込
み、ジイソプロピルエーテル(10ml×2)で抽出し
た。水層部に食塩を加えて飽和させ、酢酸エチル(10
ml×3)で抽出した。酢酸エチル層は飽和食塩水(1
0ml×2)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減
圧濃縮した。
【0055】残渣をメタノール(10ml)に溶かした
溶液にシュウ酸(450mg)を加え、約50℃に加温
溶解した後、酢酸エチル(15ml)とn−ヘキサン
(5ml)を加え、室温で放置した。析出した結晶をろ
取、乾燥して化合物(IB)(1.54g)を白色結晶として得
た(収率:化合物(IV)より51.3%)。
【0056】実施例2 (2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4S−イ
ル)メチル 3−[4−[2S−ヒドロキシ−3−(2
−モルホリノカルボニルアミノエチル)アミノプロポキ
シ]フェニル]プロピオネート・塩酸塩
【化17】
【0057】炭酸水素ナトリウム(5.05g)と水(25
0ml)の混合物を5℃で撹拌した。その溶液に参考例
4で製造したシュウ酸塩(30g)を少量ずつ加えた。
混合物を30分間撹拌した後、混合物に活性炭(900
mg)を加え、さらに10分間撹拌した。反応混合物を
ろ紙を用いて吸引ろ過し、ろ紙上残留物を水(50m
l)で洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、その溶液を5
℃で撹拌しながら塩化ナトリウム(90g)を溶液に加
え、混合物を20分間撹拌した。
【0058】その混合物を塩化ナトリウムで充分飽和さ
せながら、酢酸エチル(200ml×4)で抽出した。
抽出液を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た後、グラスフィルター(3G−4)で吸引ろ過した。
ろ液を1/4量になるまで減圧濃縮した。残留物に倍量
のn−ヘキサンを加え、混合物を室温で一晩放置し、結
晶を析出させた。結晶をグラスフィルター(3G−3)
を用いてろ取し、結晶を乾燥して次の物性値を有する標
題化合物(25.4g)を白色粉末として得た(収率93.0
%)。
【0059】融点:125℃〜127℃; TLC(酢酸エチル:酢酸:水=3:1:1):Rf=
0.64; IR(cm-1):3274, 2944, 1724, 1620, 1541, 151
5, 1458, 1372, 1262,1200, 1049, 822 ; NMR:δ 7.06(2H,d,J=9Hz), 6.77(2H,d,J=9Hz), 4.
4 〜3.75(m,7H), 3.75〜3.3(m,11H), 2.84(2H,t,J=8H
z), 2.59(2H,t,J=8Hz), 1.38(s,3H), 1.31(s,3H)。
【0060】また、実施例2の化合物(IA)は、次に示す
実施例3、実施例4および実施例5の操作によっても得
ることができる。
【0061】実施例3 参考例4の操作の途中で得られた、(2,2−ジメチル
−1,3−ジオキソラン−4S−イル)メチル 3−
[4−[2S−ヒドロキシ−3−(2−モルホリノカル
ボニルアミノエチル)アミノプロポキシ]フェニル]プ
ロピオネートを含む粗生成物(7.88g)をイソプロピル
アルコール(90ml)に溶解させた。溶液に、5℃で
2.72N塩酸・メタノール溶液(2.85ml)を加え、その
溶液を2〜3分間撹拌した。その溶液に、5℃でジイソ
プロピルエーテル(45ml)を加えた。混合物の温度
を室温にまで上げてから、さらに混合物にジイソプロピ
ルエーテル(45ml)を加えた。混合物を冷却しなが
ら撹拌し、結晶が析出しはじめたのを確認した後、さら
に室温でしばらく撹拌した。析出した結晶をろ取して、
イソプロピルアルコール−ジイソプロピルエーテル(=
1:1)混液で結晶を洗浄した。結晶を酢酸エチル−n
−ヘキサン(=4:1)混液から再結晶し、化合物(IA)
(3.11g)を得た(収率36.9%)。
【0062】実施例4 炭酸水素ナトリウム(210mg)と水(8ml)の溶
液を5℃で撹拌した。この溶液に参考例4で製造したシ
ュウ酸塩(1.000 g)を少量ずつ加えた。混合物を10
分間撹拌した後、塩化アンモニウム(2g)を加えてさ
らに20分間撹拌した。次に1N塩酸でpHを3に調整
した後、さらに塩化アンモニウムを加えて飽和させなが
ら酢酸エチル(10ml×4)で抽出した。抽出液を無
水硫酸ナトリウムで乾燥した後、グラスフィルター(3
G−4)を用いて吸引ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残
留物に酢酸エチル(5ml)を加えて結晶を練り洗い
し、これに倍量のn−ヘキサンを加え、混合物を室温で
一晩放置して結晶を析出させた。結晶をグラスフィルタ
ー(3G−3)を用いてろ取した後、乾燥して白色結晶
の化合物(IA)(844mg)を得た(収率92.6%)。
【0063】実施例5 参考例4で製造したシュウ酸塩(1.000 g)と水(8m
l)の懸濁液を5℃で撹拌しながら塩化アンモニウム
(2g)を加えて20分間撹拌した(この時、混合液の
pHは約3であった。)。この混合液にさらに塩化アン
モニウムを加えて飽和させ、酢酸エチル/塩化メチレン
(7/3)の混合液(10ml×4)で抽出した。抽出
液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、活性炭(0.1
g)を加えてグラスフィルター(3G−4)を用いて吸
引ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残留物に酢酸エチル
(5ml)を加えて結晶を練り洗いし、これに倍量のn
−ヘキサンを加え、混合物を室温で一晩放置して結晶を
析出させた。結晶をグラスフィルター(3G−3)を用
いてろ取した後、乾燥して白色結晶の化合物(IA)(81
3mg)を得た(収率89.2%)。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(IA) 【化1】 で示されるフェニルアルカン酸エステルの塩酸塩。
  2. 【請求項2】 式(IV) 【化2】 で示される化合物と式(V) 【化3】 で示される化合物を反応させることを特徴とする式(VI) 【化4】 で示される化合物の製造方法。
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CN112430227A (zh) * 2020-10-27 2021-03-02 扬子江药业集团有限公司 一种盐酸兰地洛尔的制备方法
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