JPH0530485B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、微生物を利用したガスの脱臭装置に
おける洗浄方法に関するものである。

［従来の技術］ 近年、ガスの脱臭方法として、処理コストが低
廉で、かつ二次公害のおそれのない生物学的脱臭
方法が注目をあびている。

とくに省スペース、高効率脱臭が可能である充
填層に微生物を固定化した生物学的脱臭方法が各
種開発中である。

充填層に微生物を固定化した場合、微生物の活
性を維持し並びに菌相の変化を防止するため、定
期的に微生物へ水分を補給すること、および微生
物がガス中の含有悪臭成分を分解資化する際発生
する各種生成物を洗い流すことが必要であり、こ
の洗浄が不充分な場合は、微生物の活性が阻害さ
れ、最終的に脱臭効果を全く失つてしまう。

充填層の洗浄効果を高めるためには、単位時間
に流す洗浄水量を増やすことが最も効果的である
が、洗浄水量を増加すると充填層内の空間が洗浄
水の存在によつて減少し、通気抵抗の急増、臭気
ガスのシヨートパスによる除去効率の低下などの
問題が発生する。

このような問題を解決するため、従来は、単位
時間当りの洗浄水量を制限すると共に、充填層を
脱臭ガスの流れ方向に複数段に区分し、各段ごと
に順次洗浄して洗浄時の通気抵抗の増加及び除去
効率低下の影響を低減していた。

従来の生物学的脱臭方法における洗浄装置の一
例を第３図により説明する。図において、１は脱
臭塔であり、その内部には図示しない充填物（担
体）を積層した複数段の充填層２があり、各段の
充填層２の担体表面には微生物が固定化されてい
る。３は各段の充填層２に対して順次定期的に散
水するために設けられた散水装置で、脱臭塔１の
底部に設けられた洗浄水槽４にポンプ５を介して
連結された給水管６と、給水筒６から各段ごとに
それぞれ弁７を介して分岐された分岐管８と、分
岐管８に取り付けられた多数の洗浄水噴出用のノ
ズル９とから構成されている。

次にその作用を説明する。被処理ガス１０は脱
臭塔１の下部より送入され、各段の充填層２を上
昇通過する間にその担体表面に固定化された微生
物と接触させ、微生物によつて被処理ガス１０に
含まれている悪臭成分を分解する。各段の充填層
２において分解の結果発生する生成物は各段に設
けられた散水装置３を、例えば最上段から順番に
定期的に動作させることにより、その担体表面か
ら洗い流す。すなわち、まず最上段の弁７のみを
開いてポンプ５により洗浄水槽４内の洗浄水を給
水管６、分岐管８を通じて圧送し、ノズル９より
噴出させて最上段の充填層２に散水する。

次に、一定時間散水したのち、最上段の散水装
置３の動作を停止し、次段の散水装置３を上記と
同様に動作させる。これを最下段まで順番に繰り
返す。このようにして各段の充填層２の洗浄と微
生物への水分補給を行うものである。

被処理ガス１０は各段の充填層２を通すことに
より、上記のように含有する悪臭成分が除去さ
れ、処理ガス１０ａとなつて脱臭塔１の上部より
大気中に放出される。

［発明が解決しようとする課題］ 上記のような従来の洗浄方法は、被処理ガスを
通ガスしながら洗浄するため、次のような問題が
ある。

(1) 洗浄中は充填層内ガス流路面積が洗浄水の存
在により減少するため、被処理ガスがシヨート
パスして悪臭除去性能が極端に低下してしま
う。

ガス流れ方向に充填層を複数に区分し順次洗
浄してもこの影響は避けることができない。

(2) 洗浄中は充填層内ガス流路面積が洗浄水の存
在により減少しても、ガス通過量は一定のため
通気圧損が極端に上昇する。

ガス流れ方向に充填層を複数に区分し順次洗
浄してもこの影響は避けることができない。

(3) 洗浄中は充填層内にガス流れ部分が存在する
ため、洗浄水の均一流下が阻害される。特に、
前(1)、(2)項の影響を軽減するため通常は時間当
り洗浄水量を制限しているので、充填層全体の
均一洗浄は一層困難である。

本発明は、上記の従来の課題を解決するために
なされたもので、迅速かつ均一な洗浄が行え、し
かも洗浄中の通気圧損の増加、悪臭成分除去性能
の低下を生じることのないガスの脱臭装置におけ
る洗浄方法を提供することを目的とするものであ
る。

［課題を解決するための手段］ 本発明に係るガスの脱臭装置における洗浄方法
は、充填層を被処理ガスと平行に複数に区分し、
該区分領域ごとに順次短時間にヘツドタンク内の
多量の洗浄水を投下することにより前記区分領域
の生成分解による各種生成物を一挙に洗い流すと
共に、微生物に水分補給を行なうようにしたもの
である。

充填層容量は一区分領域が通ガス停止した場合
も残余の区分領域で被処理ガスの全量を通ガス処
理可能な大きさとする。

［作用］ 本発明においては、充填層の被処理ガスの流れ
方向に区分された領域ごとに順次多量の洗浄水を
投下して一挙に流下させるので、当該区分領域は
洗浄中通気圧損が急増して被処理ガスの通ガスが
阻止されるが、当該洗浄中の領域以外の領域では
被処理ガスが平行に連続的に流入し正常に生物学
的脱臭処理が行われているため、洗浄時において
も悪臭成分除去性能の低下及び通気圧損の上昇が
ない。

また、洗浄中の区分領域にはガス流れ部分がな
く、従来のように水量制限もないことから充填層
の均一洗浄が容易である。

［実施例］ 以下、本発明を図に示す一実施例について詳述
する。第１図は本発明による洗浄方法を実施する
洗浄装置の一実施例を示す概略構成図で、第２図
は第１図のＡ−Ａ断面図である。

両図において、１１は断面方形の脱臭塔１内に
設けられた隔壁で、充填層２を被処理ガス１０の
流れ方向と平行に区画し、複数の充填層ブロツク
２ａ〜２ｆ（図には６個の場合が示してある。）を
構成している。１２は充填層２の上部に設けた処
理ガス１０ａの排出路、１３は排出路１２の上部
に設けたヘツドタンクで、給水管６ａにより揚水
ポンプ５を介して洗浄水槽４に接続されている。
また、ヘツドタンク１３と各充填層ブロツク２ａ
〜２ｆ上にそれぞれ設けられた散水装置３とは、
散水管１４により弁１５を介してそれぞれヘツド
タンク１３に接続されている。

次に上記のように構成した装置を使用した本発
明の作用を説明する。なお、ヘツドタンク１３に
は洗浄水槽４の洗浄水が揚水ポンプ５で送られ、
洗浄水が満たされているものとする。いま、例え
ば充填層ブロツク２ａの弁１５ａを開くと、ヘツ
ドタンク１３内の多量の洗浄水が洗浄装置３から
充填層ブロツク２ａに散水され、この洗浄水は充
填層ブロツク２ａ内を流下し、隅々まで洗浄す
る。これにより、充填層ブロツク２ａの生物分解
による各種生成物を一挙に洗い流すと共に、微生
物に水分を補給して活性化することができる。こ
のようにして、各充填層ブロツク２ｂ〜２ｆを順
次かつ定期的に洗浄する。

このとき、洗浄中の充填層ブロツクには大量の
洗浄水が散水されるため通気抵抗が急増し、被処
理ガス１０の流入を阻止する。一方、他の充填層
ブロツクへは被処理ガス１０が流入しているの
で、これらの充填層ブロツクにおいては生物学的
脱臭処理が正常に行われている。したがつて、洗
浄中においても悪臭成分除去性能の低下及び通気
圧損の上昇がない。また、洗浄中の充填層ブロツ
クについてはガス流れのない状態で多量の洗浄水
を散水して洗浄するので、充填層ブロツクの隅々
まで洗浄水がゆきわたり、均一な洗浄が可能とな
る。

上記の説明では第２図に示すように充填層を並
行に配設した隔壁によつて複数の充填層ブロツク
を形成した場合を示したが、断面円形の脱臭塔内
に中心部から放射状に隔壁を設け、これによつて
複数の充填層ブロツクを形成してもよい。また、
各充填層ブロツクごとに散水装置を設けた場合を
示したが、１個の散水装置を順次移動させて散水
するようにしてもよい。

さらに、上記の実施例では散水装置により各充
填層ブロツクを洗浄する場合を示したが、例えば
排気路を省略して処理ガスを上部から排出するよ
うにし、充填層の上部にヘツドタンクの代りに傾
動可能のバケツ状の容器を設け、洗浄水槽から給
水された洗浄水が満たされるごとに容器を傾動さ
せて対応する充填層ブロツクに洗浄水を投下し、
充填層ブロツクを一挙に洗浄するなど、種々変形
することができる。

［発明の効果］ 以上のように本発明によれば、充填層を被処理
ガスが平行に流れるように適当数に区分した領域
ごとに多量の洗浄水を流下させて洗浄中区分領域
への通ガスを阻止した状態で洗浄するようにした
ので、洗浄時間がきわめて短くてすみ、また充填
層内部の隅々まで均一に洗浄し、また微生物に水
分を補給することができる。さらに洗浄中の領域
以外の領域では正常に生物学的脱臭処理を行つて
いるため、洗浄中も脱臭性能の低下や通気圧損の
増加がないなど多大の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明方法に用いられる洗浄装置の一
実施例を示す概略構成図、第２図は第１図はＡ−
Ａ断面図、第３図は従来の洗浄装置の概略構成図
である。 １：脱臭塔、２：充填層、２ａ〜２ｆ：充填層
ブロツク、３：散水装置、１３：ヘツドタンク。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 脱臭塔内に微生物を固定化した充填層を洗浄
   する場合において、 前記充填層の被処理ガスの流れ方向に区分され
   た領域ごとに、ヘツドタンク内の多量の水を一挙
   に投下することにより該区分領域を短時間に洗浄
   することを特徴とするガスの脱臭装置の洗浄方
   法。